共同研究・競争的資金等の研究 - 窪木 拓男
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第二世代BMP-2を応用した口腔インプラントの骨結合促進と歯槽骨再生の実用化
研究課題/領域番号:20592268 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
縄稚 久美子, 窪木 拓男, 園山 亘, 完山 学, 山崎 聖也
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
1. 大腸菌由来BMP-2によるインプラント体周囲の骨再生の検討
大腸菌由来BMP-2を用いてインプラント体周囲への骨再生が可能かをラット背部皮下での異所性骨再生モデルで検討した.濃度は,0,1,5,10ug/ulのBMP-2水溶液を調整し,インプラント体を3分間浸漬したうえで移植した.移植から,2・3週間後にレントゲンで骨形成状態を確認したところ,5,10ug/ulのBMP-2溶液を用いたものでは明らかな骨形成が確認された.3週後に,インプラント体を回収し,非脱灰切片を作成し顕微鏡的に評価したところ,インプラント体と骨の直接的な接触が得られていることが確認された.
2. 大腸菌由来BMP-2を骨補填材と併用した際の骨再生の検討
大腸菌由来BMP-2と骨補填材とを併用した際の骨再生をラット背部皮下での異所性骨再生モデルで検討した.骨補填材は炭酸機含有アパタイトとβTCPを用いた.事前に両骨補填材の吸水量を検討し,一移植体当たり0,1.25,2.5,12.5,25,125ugのBMP-2を含有するように調整した上で移植した.レントゲン的に骨形成を確認したうえで,移植から3週後に移植体を回収し,組織学的に評価した.その結果,12.5,25,125ugのBMP-2を用いた群では両方の骨補填材を用いた群で明らかな骨新生を認めた.0.25,2.5ugでは3週の時点では骨形成は認めなかった.また,高濃度のBMP-2を用いた場合,移植体のボリュームは約10倍以上となるが,その中心部には赤血球を主体とする血液が停滞している部分が広く認められることが確認できた. -
モノアミン遺伝子多型よりみた睡眠時ブラキシズムの素因に関する分子遺伝学的研究
研究課題/領域番号:20592265 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水口 一, 窪木 拓男, 松香 芳三, 十川 紀夫, 北山 滋雄, 上原 淳二
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
本研究は,睡眠時ブラキシズムの発症メカニズムについて遺伝学的見地から解明を試みたものである。すなわち,脳内情報伝達物質であるモノアミン,特にセロトニン神経系の濃度調節機構に関与するトランスポーターの機能と睡眠時ブラキシズムの発症頻度の関連を検討した。同時に,我々が先行研究にて開発した睡眠時ブラキシズムの簡易測定装置の改良,被検者の集積基準についても検討を行った。その結果,軽度ブラキシズム群のセロトニントランスポーターの機能は,重度ブラキシズム群のそれと比較して有為に高い事が分かった。
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II型可溶型TNF受容体を用いた重度変形性顎関節症に対する局所抗サイトカイン療法
研究課題/領域番号:19592237 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山崎 聖也, 上原 淳二, 窪木 拓男, 松香 芳三, 園山 亘, 山崎 聖也
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究では, 変形性顎関節症に対する新規関節腔内注入薬として可溶型腫瘍壊死因子受容体(sTNFR-II)を対象に考えており, 既に関節リウマチの治療薬として使用されているエタネルセプトにより, 関節軟骨破壊に関与する一部のマトリックスメタロプロテアーゼの関節軟骨細胞からの産生を抑制する傾向がみられた. また, 併せて変形性顎関節症に特異的なタンパク質を同定することで, 本治療の効果判定の指標としたり、新規治療に応用するため, 顎関節滑液中のタンパク質に関してもサイトカインアレイ解析や網羅的解析を行った.
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咬合感覚異常症患者における末梢および中枢知覚神経活動の亢進と治療法開発
研究課題/領域番号:19659506 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
松香 芳三, 窪木 拓男, 福島 俊士, 小川 匠, 坂口 千代美, 小野 剛
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
1.健常者における周囲歯肉への局所麻酔薬塗布後の歯の知覚閾値の低下
昨年に引き続き、咬頭嵌合位の咬合接触異常を訴えない健常者に局所麻酔薬(ハリケインゲル)を歯周歯肉へ塗布前後の歯の知覚閾値を計測したところ、閾値の低下が観察された。さらに、部位により知覚閾値の低下に差があることが理解できた。以上から、咬合感覚異常症患者の歯肉への局所麻酔薬の塗布により、歯の知覚を減少させることができる可能性、歯種により、反応が異なる可能性が示唆された。
2.咬合感覚異常症患者に対する局所麻酔薬の効果
昨年に引き続き、咬合感覚異常症患者に研究目的・内容を説明し、研究への参加を依頼した。包含基準は、1.咬頭嵌合位での咬合接触の異常を6か月以上にわたり訴える、2.患者は問題歯を特定可能であるとした。除外基準は、1.歯髄・歯周病変・顎関節症が存在する、2.多数の欠損歯のために、咬頭嵌合位が不安定である、3.歯科用局所麻酔薬に対するアレルギーがあるとした。それらの患者に対し、局所麻酔薬を塗布したところ、症状の軽快が観察された。
3.咬合感覚異常症患者と健常者の脳磁図計測
東京歯科大学の機器を使用し、脳磁図計測を行うため、プロトコールに関して東京歯科大学の担当研究者と検討した。被験者に能動的に咬合接触してもらうと、脳内の活動が生じるため、受動的に当該歯を押すこと装置の開発が必要であることが理解できた。研究費補助期間終了後になるが、今後、計測を継続していく予定である。
4.三叉神経刺激動物モデルにおける三叉神経節でのDNA変化の網羅的解析
ラット眼窩下神経をゆるく結紮することにより、刺激したモデルにおいて、三叉神経節内のDNA変化を網羅的に解析した。その結果、伝達物質遊離に関連するGRP75が増加していることが理解できた。 -
付着歯肉の分化に関連した特異的遺伝子・蛋白の同定とその機能解析
研究課題/領域番号:19659507 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
窪木 拓男, 高柴 正悟, 園山 亘, 滝川 正春
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
1.付着歯肉組織と遊離歯肉組織の遺伝子発現解析
前年度のマウスならびにラット歯肉組織の組織学的検討をもとにして,成体マウスの口腔内から実態顕微鏡下で付着歯肉と遊離歯肉をそれぞれ採取した、この組織からmRNAを抽出し,cDNAマイクロアレイを行い,両者の遺伝子発現を比較・検討した.
その結果,付着歯肉で発現量の高い遺伝子として,mmp12, integrin(alpha6), laminin(beta3), HIF-1a, VEGF, tenomodulin, collagen(typeV, alpha2), integrin(beta4)などが抽出された.一方,遊離歯肉で発現量の高い遺伝子としてIGFBP2, RABL3(member of RAS oncogene family-like3), RASA3(RAS p21 protein activator3), elastinなどが抽出された.既知の発現パターンと機能から考察するといくつかの遺伝子はたいへん興味深い研究対象と考えられた.
2,ヒト歯肉上皮細胞の培養
倫理委員会の許可を得て,抜歯時に得られたヒト歯肉サンプルから歯肉上皮細胞を分離し,同時に得た歯原性上皮細胞とその差異を比較,検討した.
その結果,歯肉上皮細胞は培養条件下では寿命が短く,cumulative population doubling(cPD)は平均8であった。一方,歯原性上皮細胞は平均16のcPDを示した.また,両者ともに上皮細胞のマーカーであるサイトケラチン14とE-cadherinを遺伝子レベルで発現していたが,amelogeninの発現は歯肉上皮細胞では認めなかった.すなわち,歯肉上皮細胞は歯原性上皮細胞と比較して,明らかに異なるフェノタイプを有していることを明らかにした. -
三叉神経痛において生じている一次侵害受容神経過敏化のメカニズムの解明と治療法開発
研究課題/領域番号:18390512 2006年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
松香 芳三, 前川 賢治, 窪木 拓男, 完山 学, 杉本 朋貞, 竹居 孝二, 小野 剛, 小熊 惠二, 山本 由弥子, 北村 洋一, 熊田 愛
配分額:16850000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:2550000円 )
ラット顔面部の三叉神経を絹糸でゆるく結紮する三叉神経刺激により、疼痛を誘発すること、結紮側の三叉神経節細胞からの神経伝達物質遊離が増加していることが理解できた。また、毒素成分を精製した改良A型ボツリヌス毒素を顔面部皮膚に注射することにより、疼痛が軽減し、増強された神経伝達物質遊離を抑制することを証明した。
以上から、本研究結果は神経痛の発症メカニズムの解明に大きく貢献するとともに、改良A型ボツリヌス毒素の末梢投与は、神経痛患者に対して有意義な治療法となる可能性を示唆している。 -
発生過程を再現する象牙質再生技術の開発歯胚や歯髄の不死化細胞株樹立とその応用
研究課題/領域番号:18390514 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
完山 学, 窪木 拓男, 松香 芳三, 上原 淳二, 園山 亘, 土本 洋平
配分額:15200000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:2400000円 )
歯髄幹細胞, 歯胚上皮細胞, 歯胚間葉細胞を用いて, 歯胚発生段階で生じている上皮間葉相互作用を再現することで象牙質を再生しようと試みた.その結果, 上皮間葉相互作用に関連するSonic Hedgehog(Shh)と呼ばれる成長因子が象牙質を産生する象牙芽細胞の増殖や分化を促進することが明らかとなり, このShhが象牙質再生のキーファクターであることが示唆された.また, ヒトの智歯から採取した上皮細胞と間葉細胞を用い上皮間葉相互作用が試験管内で再現できる可能性が見いだされた.
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結合組織成長因子(CCN2/CTGF)を用いた顎顔面領域の三次元軟骨再生
研究課題/領域番号:18592121 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
藤澤 拓生, 服部 高子, 滝川 正春, 窪木 拓男, 上原 淳二
配分額:3950000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:450000円 )
本研究では,ドナーサイトから採取した自己軟骨細胞をCCN2/CTGFとともに培養・増幅し、付形した3次元スキャフォードに播種後に移植する新しい顎顔面再生療法を開発するための基礎研究を行い,以下の知見を得た.
細胞実験にはすべて4周齢の日本白色ウサギの耳介より採取した初代耳介軟骨細胞を用いた.
1.CTGFの細胞増殖に対する効果をMTS assayで評価したところ,50ng/mlのCTGF添加により耳介軟骨細胞の細胞増殖は,細胞播種後5日目と7日目にコントロール群と比較すると有意に促進された.
2.DNA合成に対するCTGFの効果を[^3H]thymidineの取り込みを指標に検討したところ,CTGFは濃度依存性に耳介軟骨細胞のDNA合成を上昇させ,50ng/mlでピークに達した(コントロールの約1.5倍).
3.プロテオグリカン合成に対するCTGFの効果は[^<35>S]sulfateの細胞内への取り込みを指標に検討した.プロテオグリカン合成もDNA合成と同様に添加したCTGFの濃度依存性に上昇し,50ng/mlでピークに達した(コントロール群の約1.4倍).
4.軟骨細胞の分化関連マーカー遺伝子の遺伝子発現に対する効果はリアルタイムPCRにて検討した.50ng/mlのCTGFでコンフルエントに達した耳介軟骨細胞を48時間刺激することにより,CTGFの遺伝子発現は1.9倍,エラスチンの遺伝子発現は5倍,2型コラーゲンの遺伝子発現は1.5倍上昇したが,10型コラーゲンの遺伝子発現には有意な発現上昇は認められなかった.またエラスチンのタンパク産生をビクトリアブルー染色で確認したところ,CTGF添加によりビクトリアブルーの染色性は亢進していた.すなわち,エラスチンのタンパク産生はCTGF添加によりコントロール群と比べると亢進していた.一方,アリザリンレッド染色ではその染色性にコントロール群との差は認められなかった.すなわち,CTGF添加により耳介軟骨細胞の石灰化は誘導されなかった.
5.In vivoにおける軟骨再生に対するCTGFの効果は,細胞ペレットをヌードマウスの背部皮下に移植することで検討した.移植後4週に移植片を取り出したところ,CTGF処理群はコントロール群と比べると移植片の大きさが明らかに大きくなっていた.移植片をサフラニン染色したところ,CTGF群,コントロール群ともにサフラニン染色陽性であったが,CTGF群のほうがその染色性は亢進していた.
これらの結果から,CTGFには耳介軟骨細胞においてそのphenotypeを増強する働きがあると考えら,CTGFを弾性軟骨の修復・再生にも応用できる可能性が示唆された。 -
アドレナリンレプターの遺伝子多型からみた慢性筋痛の病態解明と症型分類
研究課題/領域番号:18659572 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
前川 賢治, 窪木 拓男, 水口 一, 松香 芳三, 小野 剛
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
1) 頭頸部筋症状とβ2アドレナリン受容体多型の関連性の検討
岡山大学歯学部のヒトゲノム倫理委員会から承認を受け,本学附属病院の顎関節症・口腔顔面痛み専門外来を受診した患者の中で,研究参加に同意の得られた被験者より採血を行った.各被験者のDNAサンプルを取得開始し,現在,約200名のサンプルを保有している.また,切断酵素を用いたβ2アドレナリン受容体の遺伝子多型解析手法を確立した.今後は,β2受容体の遺伝子多型や筋症状に関する因子を予測因子として,多変量解析を用いて統計解析を進めていく予定である.
2) 頚部慢性筋痛者における筋組織内代謝特性に関する疫学的検討
岡山画像センターをがん検診を目的としてPET(Positron Emission Tomography)検査を受診した患者の中で,研究参加に同意の得られたものを対象とした.各被験者からはPET撮像前に頭頸部の慢性筋痛に関するアンケートに回答してもらい,筋痛に有無や場所,疼痛の強さに関するデータを得た.PET画像は,両側僧帽筋上部の規格化された部位にROI (region of interest)を設定し,その部位におけるFDG(F-18フルオロデオキシグルコース)の集積値を求めた.各被験者の基礎データ(年齢,性別,頭頸部慢性筋痛の有無,疼痛強度等)と僧帽筋部のFDGの集積値を予測因子とした多変量解析を行った.その結果,慢性筋痛を訴える被験者ではFDGの集積は有意に低下している結果が得られた.さらに,疼痛強度が強いほど,FDGの集積値は低い傾向にあった.これらの結果は,慢性筋痛者においては筋組織内の代謝が抑制されて可能性を示すものと思われた. -
第二世代BMPを応用した口腔インプラントの骨結合促進と歯槽骨再生
研究課題/領域番号:18592125 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
縄稚 久美子, 窪木 拓男, 完山 学, 藤澤 拓生
配分額:3790000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:390000円 )
ヘパリン結合部位を改変・修飾することで局所停滞性を高め,骨誘導能を改善した遺伝子組換え変異型骨形成因子(BMP-2 T4 mutant)は,それ自体で組織停滞性がよいため,本因子のキャリアに,従来の野生型BMP-2に最適化されたキャリアと同等の徐放プロファイルを持たせることが,よい骨再生能を生むかどうか不明であった。そこで我々は,徐放プロファイルをin vitroの系で求めるとともに,in vivoでそれを確認した。In vitro, in vivoの徐放試験については等イオン点が高いゼラチンハイドロゲルほど,高い収着挙動および徐放動態を示した。しかしながら,ラット頭蓋骨骨欠損モデルにおいては,カチオン化ゼラチンではほとんど骨再生は認めらなかったが、塩基性ゼラチンを用いた群では強い骨再生が認められた。以上から,BMP-2 T4 mutantは,塩基性ゼラチンと共に用いることで,確実な骨再生を安定的に実現できることがわかった.本結果をさらに大動物で確認するため,ビーグル犬の下顎骨に骨欠損を作製した後インプラントを埋入し,周囲におけるPl9/BMP-2 T4 mutantの骨誘導能を検討したところ,デンタルエックス線写真とCT画像,および組織像により骨の再生が得られたことが認められた.
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モノアミン遺伝子多型よりみた睡眠時ブラキシズムの素因に関する分子遺伝学的研究
研究課題/領域番号:18592122 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水口 一, 前川 賢治, 窪木 拓男, 北山 滋雄
配分額:3920000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:420000円 )
研究#1:若年者を対象に睡眠時ブラキシズム(Brux)頻度を貼付型Brux検出装置を用いて計測し,顎関節症症状の有症状率との関連を検討した.平成17年度岡山一宮高校1年生のなかで同意が得られた195名に顎関節部を含む頭頸背部筋の臨床診査,質問票による問診を行い,貼付型Brux検出装置による1晩のブラキシズム頻度との関連を検討した.その結果,127名の最終被検者では,男性ではブラキサーの診断閾値を高値にするほど,クリックや頭痛に対するO.R.は増加し,クリック6.67(p=0.02),頭痛4.85(p=0.04)であった.多変量解析では,Brux頻度とクリック有症状者との間には性差に関係なく有意な関連(O.R.:3.74, p=0.02)が認められたが,頭痛は男性であることに関連(O.R.:2.52, p=0.04)が認められた.一方,圧痛とBrux頻度の間に相関は認められなかった.
研究#2:エラー表示の発生を解決するため皮膚通電感知センサーの仕様変更を行い,改良型Brux測定装置を開発した.そこで,新旧バイトストリップをBrux陽性の6名に5日間同時に使用させ測定結果を比較した.その結果,旧型のエラー表示は14個(46.7%),新型では1個(3.3%)と有意にエラー発生率は低下した(p<0.01).
研究#3:Brux患者の特異性を検討する前段階として,Bruxの日差変動を考慮した各種の診断方法の診断方法の妥当性を検討した.本院補綴科(クラウンブリッジ)の顎関節症,口腔顔面痛み外来に受診した連続患者サンプルのうち,顎関節内障患者(ID)ならびに咀嚼筋痛患者(MFP)と診断された被検者に,10日間連続してBrux頻度を自宅に計測させた,各被験者毎のBrux頻度の診断方法を検討した.各種診断方法は,任意の1日の結果,連続2日間,および連続3日間の結果を抽出し,種々の方法にて代表値を算出した。これらの値にブラキサーの診断基準を適用し,10日間の代表値と比較した場合の各種診断方法の感度,特異度,正診率を算出した.最終サンプルの8名(女性:平均年齢41.5+/-20.7歳,ID群6名,MFP群2名)では1日の検査でも感度:0.80-0.90,特異度:0.80-0.86,正診率:0.81-088と高い値を示した.また,他の検査法では測定日数の増加に伴い正診率は上昇した. -
オゾン照射によるエルビウムヤグレーザー照射象牙質の脆弱層強化
研究課題/領域番号:18592123 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
峯 篤史, 窪木 拓男, 松香 芳三, 鈴木 一臣, 土本 洋平
配分額:2600000円 ( 直接経費:2600000円 )
牛切歯掛冠部唇側象牙質を用い,試料の半分はう蝕試料として人工脱灰溶液に5日間象牙質を浸漬した.それぞれの試料は3等分し.2試料にレーザー(Er : YAG, CO2)照射を行った.Scanning Electron Microscopy (SEM) (DS-720,TOPCON)を使用し,加速電圧20kVの条件で観察し,Energy Dispersive X-ray Spectroscopy (EDS) (Voyager III M3100. Noran Instrument Inc.)を用いてビーム電流50〜100pA,測定時間150秒の条件で測定した.測定結果からO/PおよびCa/Pを算出した.
その後オゾン照射(ヒールオゾン,Kavo)し同様に形態観察および元素測定を行った.
統計解析はまず歯質(健全,う蝕),処理(無処理,レーザー照射),オゾン照射(有,無)という三条件の影響を三元配置分散分析にて確認した後. Sheffe法を用いて有意水準5%で有意差検定した.
形態観察では各処理による著明な変化は認められないものの,CO2レーザー照射およびオゾン照射により閉じた象牙細管がより観察される傾向があった.
三元配置分散分析の結果,O/Caにおいては歯質(F=1.173,P=.281),処理(F=2.443,P=.0955),オゾン照射(F=2.320,P=.1330)のいずれも有意な影響を受けさなかった.一方,Ca/Pにおいては,オゾン照射の有無に有意な影響を受けなかったが(F=3.330,P=.0730),歯質(F=7.097,P=.0099,)および処理(F=7.846,P=.0009)は有意な影響を及ぼした.表面処理においてSheffe法によりCO2レーザー,Er : YAGレーザー間に有意差が認められた.
以上により,象牙質に対するオゾン照射により形態的ならびに元素的には大きな変化が認められないが明らかになった. -
アパタイトコーティング層の微細構造制御による新しい生体活性型インプラント
研究課題/領域番号:17390516 2005年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
前川 賢治, 吉田 靖弘, 窪木 拓男, 鈴木 一臣, 早川 聡, 尾坂 明義
配分額:17020000円 ( 直接経費:15400000円 、 間接経費:1620000円 )
失われた歯を補う目的で顎の骨に埋入されるチタンインプラントが,早期に確実に骨と結合して治療期間が短縮できるよう,チタン表面に生物学的な表面の改質を施した.具体的には,生体内に埋入された時に骨と親和性の高いアパタイトがチタン表面に自己形成される酸化膜を施し,骨の形成能が亢進される表面を開発した。また,ポリリン酸をチタン表面に吸着させることにより,高い生体活性を有するチタンインプラントの開発に繋がる可能性を示した。
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研究課題/領域番号:17209062 2005年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
窪木 拓男, 上田 実, 完山 学, 高柴 正悟, 辻 孝, 滝川 正春, 浅原 弘嗣, 土本 洋平, 園山 亘, 田川 陽一, 田川 陽一
配分額:48880000円 ( 直接経費:37600000円 、 間接経費:11280000円 )
マウスの歯の発生時に認められる遺伝子を検索し、従来報告のなかった28個の遺伝子を同定した。エナメル質形成細胞の成熟は、周囲に存在する細胞が制御していることを証明した。高脂血症治療薬(スタチン)は、象牙質の形成を促進し、歯科治療薬として応用しうることを示した。顎骨に存在する細胞は、手足の骨の細胞とは異なる性質を有していること、また、顎骨の再生促進に成長因子(結合組織成長因子、塩基性線維芽細胞増殖因子)が応用可能であることを確認した。
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レーザー照射歯質被着体に対応した新規機能性モノマーの合成と接着システムの開発
研究課題/領域番号:17390517 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
鈴木 一臣, 吉田 靖弘, 入江 正郎, 田仲 持郎, 西山 典宏, 窪木 拓男, 峯 篤吏
配分額:16390000円 ( 直接経費:15700000円 、 間接経費:690000円 )
緒言:う蝕治療時の窩洞形成に使用されているEr:YAGレーザーは、エアータービンやマイクロモーターのように騒音、振動による不快感がなく、また、無麻酔での治療が可能であることから注目されている。しかし、私達はEr:YAGレーザーを照射した歯質被着体とした場合、現行の歯質接着システムにおいてその性能が十分に発現しないことと、その原因の一つがレーザー照射歯質の脆弱化によることを解明した。そこで、Er:YAGレーザー照射後の歯質構造ならびに被着体としての性質を明らかにするとともに、本被着体に対応した新しい接着システム開発の重要性と臨床的意義から本研究に着手した。
材料および方法:1)レーザー照射歯質被着体は、Er:YAGレーザー(Erwin、Morita Co.)をエナメル質には127mJ,10pps×2秒,象牙質には69mJ,10pps×2秒の条件下で照射して作製した。2)接着システムのプライマーは、トリアジン系、アミノ酸系およびエポキシ系メタクリレート/HEMA,アルコールから調整した。3)接着強さの測定は、上述の被着体に各種プライマー、リン酸エステル系ボンデング材を作用させた後、コンポジットレジン(Clearfil APX、 Kurary Co.)を充填し、37℃水中浸漬24時間後の値を求めた。
結果および考察:Er:YAGレーザー照射歯質被着面に対するエポキシ系プライマーシステムの接着強さは、エナメル質に対して18.6MPa(コントロール:メガボンド/Kurary Co.;12MPa)、象牙質に17.2MPa(コントロール:9MPa)の値を表示した。この結果について本報告者らは、レーザー照射歯質被着体に発生したマイクロクラック間の空隙に存在している酸素の影響と考察している。すなわち、コントロールに用いている現在の歯科用接着材はラジカル重合型であって酸素が介在すると重合反応が著しく低下する。これに対して今回用いた開環重合型レジンは、反応中での酸素の影響を受けにくいことからの現象と考えている。 -
インプラント周囲の骨破壊活動性を評価できるチェアーサイド検査システムの実用化
研究課題/領域番号:17592025 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
荒川 光, 窪木 拓男, 完山 学, 上原 淳二, 縄稚 久美子, 山崎 聖也
配分額:3440000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:240000円 )
始めに,インプラント体周囲の骨吸収の活動性を評価するために,インプラント周囲歯肉溝滲出液(PICF)中のマリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1,-8,-13)を同定し,インプラント周囲の骨吸収との関連を検討した.対象は過去17年間にインプラント義歯を装着し,当科独自のメンテナンスプロトコルに従いリコールを受けた患者の中で,究の同意が得られたインプラント周囲炎患者4名とした.そして,年齢,性別,部位をマッチングしたコントロール者をリコール患者から4名抽出した.PICF濃度は,抗ヒトモノクロナール抗体を用いてWestern Blotting法にて検出た.その結果,年間0.8mm以上の進行性骨吸収が認められるPICF中からMMP-8のみが検出された.一方,慢性の骨吸収よびコントロール群のPICFからは,MMP-1,-8,-13のいずれも検出されなかった.以上から,進行性の骨吸収のリスマーカーとしてMMP-8が有望であることがわかった.
次に,多変量解析を用いて,インプラント周囲炎含めたインプラント体の予後(臨床的成功率)を左右するリスク子の検討を行った.その結果,Rough Surfaceのインプラント体であれば,年齢や喫煙,埋入部位やインプラント体長さといった現在リスク因子として報告されている因子は,インプラント体の臨床的成功率に影響を与えなかった.
そして,総括的に口腔インプラント治療の効果を評価するために,QoLアンケートを用いて,他の欠損補綴法を対とした治療前後の口腔関連QoL(OHQoL)を測定した.その結果,インプラント義歯を装着した患者の治療後のOHQoL化量は,ブリッジや可撤性床義歯を装着した患者のそれと比較して有意に上昇した. -
重度変形性顎関節症に対する抗サイトカイン療法の実用化
研究課題/領域番号:17592024 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
上原 淳二, 窪木 拓男, 藤澤 拓生, 水口 一
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
本研究では,変形性顎関節症の抗サイトカイン療法としてエタネルセプトの顎関節腔内注入療法の実用化を目的に,以下の基礎的実験を行った.
新生児ラット膝関節より採取した関節軟骨細胞を初代培養し,TNFα単独,IL1-β単独,同時刺激24時間後にエタネルセプトを培養液に加え,6,18時間後のmmp3,9,13発現変化を経時的にリアルタイムRT-PCR法にて定量した.
1)各単独,同時刺激で24時間後のmmp3,9,13発現は無刺激に比べ有意に増加し,同時刺激では単独刺激に比べ,いずれのmmp発現量も大きく増加した.
2)エタネルセプトは,TNFα単独と同時刺激で,いずれのmmp発現も抑制したが,IL-1β単独刺激では,抑制効果を示さなかった.
3)mmp3に関しては,TNFα単独刺激24時間後に,mmp9に関しては,TNFα単独刺激12,24時間後に,エタネルセプトによりその発現が有意に抑制された.
ラット変形性膝関節症モデルの膝関節腔内へエタネルセプトを局所投与し,組織学的に検討した.
1)いずれのエタネルセプト投与群においても関節軟骨破壊に対する抑制効果はみられなかった.
以上から,細胞実験では,エタネルセプトはTNFαが関与する軟骨細胞でのMMP3,9,13産生誘導を抑制することが示唆された.また,IL-1β単独刺激の場合,エタネルセプトによる抑制効果はみられなかったが,相乗効果を示すTNFαどの共存環境では,抑制傾向を示すことから,滑膜炎を伴うような炎症反応の強い変形性関節症では,その効果が期待できるかもしれない.今回の動物実験では,エタネルセプトの関節軟骨破壊への抑制効果は認められなかったが,今後は本研究モデルの妥当性を含め,さらなる検討が必要と考える.
本研究では,治療法実用化には至らなかったが,今回の結果は今後,本研究目的を遂行するには欠かせないデータといえる. -
口腔インプラントの骨結合を促進する遺伝子導入法の検討
研究課題/領域番号:16591948 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
鈴木 康司, 窪木 拓男, 完山 学, 峯 篤史
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
インプラント周囲骨の骨増生法を開発することを目的に,本研究を行った.まず,アデノウイルスベクターに骨芽細胞増殖因子のひとつである結合組織成長因子(CTGF)を組み込む実験を行った.β-galactosidaseとCTGF遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを作製し,マウス骨芽細胞株MC3T3-E1 cellを使用して遺伝子導入の効果を,X-gal染色,β-gal活性測定,RT-PCRにより導入効率,発現期間を検討した,その結果LacZ発現アデノウイルスベクターの至適濃度はMOI50であることが明らかとなった.同条件で,CTGF遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いてマウス骨芽細胞株MC3T3-E1 cellに遺伝子導入実験を行った結果,CTGFタンパクの産生が確認され,培養骨芽細胞に目的とする成長因子(CTGF)の遺伝子導入とそれに続くタンパク産生が可能であることが明らかとなった.さらにそれらをin vivoモデルに応用する実験系に取り組んだ。はじめにラットを用いた上顎骨抜歯窩モデルの作成とインプラント埋入モデルの確立を試みた。8週齢のWistar系雄性ラットの上顎第一臼歯と第二臼歯を抜去し,抜歯窩が完全に治癒するまでに3週間必要なことが確認できた。そこでインプラント埋入モデルはこの抜歯窩が治癒した歯槽骨に行うこととした。すなわち,直径1mm長さ2mmのチタンピンを抜歯後治癒した歯槽骨に埋入した。経時的に組織学的観察を行い,この動物モデルでオッセオインテグレーション獲得が組織学的に評価できる可能性を確認した。しかしながら引き抜き強さやプッシュアウトテストなどの物理学的な評価が困難であった。次に,ゼラチンハイドロゲルとCTGFやBMP-2タンパクを組み合わせラット抜歯窩モデルに応用した。しかし,抜歯窩の治癒過程においては抜歯後何も投与しないコントロール群と実験群に差が無かった。抜歯窩やインプラント周囲骨の増生を評価するためにはラットなどの小動物モデルでは明らかな差を求めるには限界があり,イヌやサルなどの大動物での実験モデルの確立が必要と考えられた。
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新規簡易貼付型ブラキシズム検出装置による大規模疫学ならびに臨床介入研究
研究課題/領域番号:16591949 2004年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水口 一, 前川 賢治, 窪木 拓男
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
本研究では,我々が開発した簡便かつ客観的に睡眠時ブラキシズム(Brux)を評価することの出来る小型貼付型Brux測定装置(BiteStrip【○!R】)を用いて,(1)青年層のBrux頻度と頭頚背部の筋痛との関連を検討する,(2)高頻度で生じたエラーの原因と思われる東洋人特有の皮膚抵抗に対応した改良型装置の開発を行った.
対象は,高校生ならびに専門学校生のうち,本研究の参加に同意が得られた195名ならびに96名である.これら被験者にBiteStrip【○!R】を配布し,咬筋相当部皮膚に貼付して就寝させた.また,信頼性(κ=0.59)があらかじめ確認されている2名の検者が頭頸背部筋の圧痛検査を行った.この際,片側15部位の圧痛の有無を評価し,圧痛ありの部位の合計を圧痛点数とした.BiteStrip【○!R】によるBrux評価は,Bruxイベントの回数が40,75,125回をCut-offとした4段階にてそれぞれスコア0から3として評価し,Spearmanの順位相関係数にて関連性を検討した.
装置未返却者29名と,エラー表示もしくは表示なし52名を除いた高校生127名と専門学校生83名を最終被検者とした結果,両被検群ともに,総圧痛点数とBrux頻度の間に有意な相関は認められなかった(高校生/専門学校生:p=0.61/0.11,ρ=-0.05/0.18).これより,青年層においてはBrux頻度と頭頸背部の筋痛には関連が認められないことがわかった.
一方,この疫学研究より得られた結果,すなわち高頻度にエラー表示が発生する問題点を解決すべく,起動プログラムならびに皮膚通電感知センサーの仕様変更を行い,改良型Brux測定装置を開発した.そこで,新旧BiteStrip【○!R】の測定結果を比較して本改良点の効果について検討した.Brux陽性と診断された6名に5日間,新旧両方のBiteStrip【○!R】を貼付させ,その結果を比較した.6名が連続使用した5日間のうち,旧BiteStrip【○!R】では,エラー表示は14個(46.7%)であったのに対し,新BiteStrip【○!R】では1個(3.3%)と明らかにエラー発生率は低下した(P<0.01,Chi-Square test).これより新BiteStrip【○!R】は,旧型に比べ,東洋人に用いてもエラー表示が格段に少なく,優れた性能を示した. -
チタン表面への生体分子および細胞接着挙動のナノレベル・2次元・リアルタイム測定
研究課題/領域番号:16659533 2004年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
吉田 靖弘, 鈴木 一臣, 窪木 拓男, 平田 伊左雄, 田川 陽一, 長岡 紀幸
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
チタンは医学・歯学の分野において人工歯根・人工骨の材料として重要な位置を占めており,その用途・規模は年々拡大している。本研究はチタンを用いた人工歯根・人工骨の治療期間短縮ならびに適応範囲拡大を目指し,チタン表面での生体物質の相互作用をnmオーダーでかつ多点で解析するシステムとして,2次元イメージング表面プラズモン解析装置(SPR)に適したイメージングSPR用チタンセンサーの設計・チタンSPRセンサー作製を目指した。
本研究のチタンSPRセンサーは二酸化チタンを直接表面に被覆せず,金属チタン表面を大気中で酸化させた。測定結果より,本研究で開発したチタンSPRセンサーは,タンパク質吸着量をng/mm^2のオーダーで精密に測定できることが明らかとなった。また,このセンサーを用いることにより,タンパク質の吸着過程を経時的に測定することも可能となった。これより,チタンセンサーは大気中で酸化された金属チタン表面での生体分子の相互作用を求める上で極めて有用であることが示唆された。
また,今回作製した2次元イメージングSPRは,(1)表面に存在する極微量の物質をpg〜ng/cm^2のオーダーでリアルタイムに定量可能,(2)多数の生体分子間相互作用に関するデータを瞬時に取得可能,(3)2次元平板上で同時に起こる複数(〜数1,000種類)の反応をパラレル分析することが可能であった。さらにユニークな特徴として(4)イメージングSPRでありながら正確な入射光角度-反射光強度のSPRスペクトルを測定可能であり,他のイメージングSPRと比べてより正確な物質吸着量を求めることができるなどの優れた長所を有していることも明らかとなった。
以上より,2次元イメージングSPRとチタンSPRセンサーはチタン材料の生体適合性の研究に重要な役割を果たすことが期待できる。