共同研究・競争的資金等の研究 - 窪木 拓男
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人工知能による深層学習を応用した運動障害性咀嚼障害の多軸診断支援システムの開発
研究課題/領域番号:20K10071 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
大野 彩, 窪木 拓男, 森田 瑞樹, 菊谷 武, 百田 龍輔
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本申請研究では、①咀嚼運動を撮影した動画から評価できる「咀嚼機能評価プロトコール」の診断結果が、十分な信頼性・妥当性を有するかどうかを、臼歯部移送試験や専門医の診断等と比較して評価する。また②そのプロトコールを用いて、患者および正常咀嚼者の動画撮影および診断を行い、教師データを収集する。そして、③教師データを人工知能(AI)深層学習に供し、AIによる運動障害性咀嚼障害診断システムを開発することを目的としている。
本年度は、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に則り、本研究計画について倫理審査委員会の承認を得た。そして、動画を用いた運動性咀嚼機能評価法の信頼性・妥当性の確認のため、まずは健常者にてプロトコールおよび咀嚼解析システムの精度確認を行った。その結果、撮影角度、影や眼鏡等の影響による運動検出精度の低下が明らかとなった。そのため、システムの改良を行い、運動検出精度を向上させることに成功した。 -
下顎骨後方移動術に伴う睡眠呼吸障害の発症リスクおよび施術基準の確立
研究課題/領域番号:19K10382 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中村 政裕, 川邉 紀章, 片岡 伴記, 鬼頭 慎司, 森本 泰宏, 水口 一, 窪木 拓男, 宮脇 卓也
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
骨格性下顎前突患者に対し安全に下顎骨後方移動術を施行するためには、術後の上気道の狭窄やそれに伴う睡眠呼吸状態への影響に配慮しなければならない。過去の研究においても、下顎骨後方移動術を行った患者の上気道形態の変化は調べられているが、これらは覚醒時に撮影したセファログラムやコンピューター断層撮影画像を解析した静態評価であった。そのため、本研究は、上気道の動態および三次元解析が可能であるMRI movieおよびvolumetric MRIを用いて下顎骨後方移動術前後の睡眠時における上気道形態の変化を観察し、下顎骨の後方移動量と睡眠時の上気道の容量との関連を解明し、睡眠時の上気道形態変化と睡眠時呼吸状態との関連を調べることで睡眠呼吸障害の発症リスクを明らかにすることを目的としている。
本年度の研究実績として、研究を開始するにあたり、臨床研究実施計画書および研究説明書、同意書等を作成し、岡山大学臨床研究審査専門委員会への申請を行った。臨床研究審査専門委員会の承認が得られたため、患者への同意説明を開始した。 -
オーラルフレイル回避を目指した筋機能訓練の有効性検討と新規個別スキームの開発
研究課題/領域番号:19K10225 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水口 一, 三木 春奈, 水口 真実, 窪木 拓男
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
摂食機能の低下の抑制が可能となれば,健常高齢者の要介護状態への転落を遅延できるかもしれなという研究仮設のもと,高齢者の筋機能維持を筋機能訓練の観点から検証することを当初の目的としていた。その一方で,睡眠時の口腔周囲筋の機能亢進が筋機能訓練の一助となりうる可能性にも着目した。その結果,高齢者の就寝時の筋活動量と筋機能との関連についても検討を行うこととなった。
第一に,就寝中の咬筋の筋活動を簡便かつ適正に定量化することを目的に,音声動画撮影を追加したpolysomnography(PSG)検査をもとに,筋電図による睡眠時筋活動検査システムについて検討を行った。しかしながら従来の睡眠時の口腔周囲筋の活動評価は,筋電図をもとに一定の閾値を超えた筋活動の頻度を基準としてきたため,掻痒や体動による筋電図波形の亢進も筋活動の亢進として誤認されてしまう場合があり,その信頼性に問題があることが明らかとなった。すなわち,我々が行った動画記録を伴うポリソムノグラフ(PSG)検査において,咬筋の筋活動が亢進したイベントのうち,80.7±16.0%が体動や掻痒等による非特異的な筋活動やアーチファクトに起因したものであった事が示された。
本研究結果は,筋電計単体による口腔周囲筋の評価には多くの偽陽性イベントが含まれていることを示すものであり,従来の検査方法,評価方法の妥当性を高く評価できないとう結果となった。事実,閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)症状が出現する際には低酸素状態となることから,交感神経活動の亢進,微小/睡眠覚醒,筋活動の亢進が出現し,その結果,筋活動の亢進が認められることが知られている。
そこで,検査が容易な筋電図検査において,真の口腔周囲筋の活動と偽の筋電図の亢進現象(OSAS関連性,嚥下関連性,動作関連性,その他)を識別する手法の確立が急務と考えられた。 -
基底膜構成分子の誘導制御による低侵襲角化歯肉獲得療法の確立
研究課題/領域番号:19H03841 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
前川 賢治, 窪木 拓男, 冨田 秀太, ハラ エミリオ・サトシ, 大橋 俊孝, 大野 充昭
配分額:17030000円 ( 直接経費:13100000円 、 間接経費:3930000円 )
基底膜直下に存在する角化歯肉由来間葉細胞と非角化歯肉由来間葉細胞の遺伝子発現の相違を明らかにすることで,上皮細胞の角化に関わっている間葉細胞からのシグナル分子を抽出することが可能であると考える。そこで,令和元年度は,レーザーマイクロダイセクション法とRNA-Seq を組み合わせた候補因子の抽出を目的に,以下の実験を実施してきた。
間葉組織は,筋肉や脂肪など様々な組織を含むことから,マクロレベルで口蓋粘膜から間葉組織を採取すると,様々な組織を含んでしまう。基底膜直下の間葉組織の遺伝子発現解析を正確にするには,特異的に組織を採取することが可能なレーザーマイクロダイセクション法を用いる必要がある。そこで,マウスの口蓋粘膜(角化粘膜)と頬粘膜(非角化粘膜)の凍結組織切片を作製し,サンプルの厚み,固定方法,染色方法,レーザーの強度の調整等,様々な条件検討を行い,本組織において最適な条件を見出した。そして,これらのサンプルからRNAを抽出し,RNA-seqが可能な質の高いRNAが回収できていることを,TapStation (アジレント)にて確認した。
また、in vitroにおいて,角化粘膜の間葉組織に高発現している遺伝子をRNA-seq解析から抽出後,さらなる候補因子の絞り込みをin vitroにて行う予定である。そこで,令和元年度は,ヒト口腔扁平上皮癌由来の口腔粘膜上皮細胞であるTR146と,ヒト口腔粘膜細胞由来線維芽細胞を用いた三次元共培養実験モデルを構築すべく,コラーゲンゲルの種類,濃度や細胞の濃度などの条件検討を行い,正常な口腔粘膜組織に類似したin vitro モデル構築に適正な条件の絞り込みを終えた。 -
咀嚼が認知機能に与える影響の検討および認知症早期診断バイオマーカーの網羅的探索
研究課題/領域番号:19K10205 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
三野 卓哉, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭, 山下 徹, 黒崎 陽子
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究の目的は,①ヒト高齢者において,試験的咀嚼運動刺激が,唾液や血液中BDNF濃度に及ぼす影響を検討すること,②ある要介護高齢者集団において,唾液や血液中のBDNF濃度が咀嚼能力ならびに認知機能と関連しているかを検討すること,③BDNFに加えて認知症発症の早期バイオマーカーを唾液中から網羅的に探索することである.
本年は,まずは目的①のための倫理委員会審査書類の作成を行った.また,倫理委員会審査書類の作成と並行して目的②のために,他の研究で毎年行っている岡山県下の老人介護施設(3施設)へ調査に出向き,基礎疾患,認知機能,ADLなどの臨床情報に加えて口腔内診査(残存歯数,機能歯数,カリエス数など)や摂食嚥下機能などを評価し,高齢者疫学調査データベースのアップデートを行った.現時点で、63名の要介護高齢者(認知機能健全:4名,MCI:10名,軽度認知症:7名,中等度認知症:23名,重度認知症:19名)を得ている.
今後は倫理委員会承認後に、岡山大学病院に所属する教職員のうち全身疾患ならびに服薬を認めない20歳以上の健康成人,あるいはクラウンブリッジ補綴科にてメインテナンスを行なっている患者のうち全身疾患ならびに服薬を認めない65歳以上の健康高齢患者からボランティアを募り,無刺激ガムによる試験的咀嚼運動刺激が,唾液や血液中BDNF濃度に及ぼす影響をランダム化クロスオーバーデザインにて検討する予定である. -
骨髄微小環境における骨形成・吸収メカニズムの分子基盤の解明と治療戦略
研究課題/領域番号:19H03842 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
大野 充昭, 窪木 拓男, 宝田 剛志, ハラ エミリオ・サトシ, 渡辺 亮, 秋山 謙太郎, 淺田 騰, 枝松 緑
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
BMP-2は,有効な骨再生療法を提供するとして大変期待されている.一方,我々は,骨髄腔内にBMP-2を投与すると逆に,骨形成が抑制され,骨髄腔が拡大するという大変興味深い知見を得た.本申請研究では,骨髄細胞のシングルセル解析にて,BMP-2投与による骨形成抑制・骨髄腔拡大に関わっている細胞を抽出し,これら候補細胞が,BMP-2投与下で骨髄ニッチや骨髄腔の維持にどの様にして関わっているのかを解析する. そして,上記の解析より,骨髄ニッチや骨髄腔の維持に関わりが深い細胞や分子を抽出し,その欠損マウスを用いてBMP-2にて骨形成が誘導可能か検証し,骨髄腔の維持に関わる細胞やその分子を同定する予定である.
令和元年度は,間葉系幹細胞が可視化されたCXCL12-GFPマウス,骨芽細胞が可視化されたCol1a1-GFPマウス,破骨細胞が可視化されたTrap-Tomatoマウスを用いて,BMP-2の骨髄内投与によりこれらの細胞がどのような挙動を取るか,詳細に検討した.また,BMP-2を骨髄内に投与による骨髄細胞分画の変化をフローサイトメーターにて詳細に検討し,single cell RNA-seq解析の条件検討を行った.
また,in vitroにてBMP-2が骨芽細胞分化に与える影響をどの骨髄細胞が抑制的に制御しているかを明らかにするため,B細胞,T細胞,ミエロイド系細胞をマグネットビーズが付与された抗体を用いて分離し,骨芽細胞分化に与える影響を検討し,どの骨髄細胞が間葉系細胞の骨形成能を抑制しているか絞り込みを行った. -
薬剤関連顎骨壊死の骨髄微小環境と大腸菌由来BMP-2の応用
研究課題/領域番号:19K10246 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
縄稚 久美子, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭, 秋山 謙太郎
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
我々はこれまでに報告された方法に従い,8~12週齢雌マウスに,3週間,週2回のzoledronate (Zometa; Novartis, Stein, Switzerland) (0.05mg/kg) の皮下投与と,cyclophosphamide (C7397; Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA) (150 mg/kg) の腹腔内投与を行い,MRONJモデルマウスの作製を行った.薬剤の投与開始3週間後に上顎左右の第一大臼歯の抜歯を行い,その後14,28,56日目の組織を回収し,MRONJが創傷治癒に与える影響をマイクロCTを用いた骨形態学的評価,HE染色による組織学的評価を実施した. 骨形態・組織学的解析の結果,薬物の投与を行なっていない対照マウスの抜歯14日後の抜歯窩はほぼ骨により再生している像が観察された.しかし,MRONJモデルマウスの抜歯窩では14,28,56日目のどの時期においてもほとんど再生骨が観察されず,細胞成分が少ない疎な組織によって満たされていることを確認した.さらに,作製したMRONJモデルマウスの抜歯窩への骨形成タンパク質であるrhBMP-2とTCPの複合体を移植し,その効果を検討した結果,非移植群と比較して,抜歯窩根尖部に骨形成が観察され,形成骨以外の抜歯窩は,細胞成分を豊富に含む密な結合組織で満たされていた.また本モデルマウスはかなり重症度の高いMRONJモデルであるため,さらにマイルドなMRONJモデルマウスでの検証が必要であると考えられる.
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ステムセルエイジングの制御に向けた間葉系幹細胞未分化性維持機構の解明
研究課題/領域番号:18K19646 2018年06月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
窪木 拓男, 大野 充昭, 宝田 剛志, 渡辺 亮, 大野 彩, 秋山 謙太郎, 升井 伸治
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
老化による間葉系幹細胞 (MSCs)の能力低下が,加齢変化に伴う様々な疾患の発症に関与していることから,如何にMSCsの老化を防ぐかが重要な課題である.そこで本申請研究では,骨髄由来MSCs (BMSCs)の幹細胞性維持に必須な転写因子を同定することを目的とする.若齢マウスおよび老齢マウス由来MSCsの比較,ヒトBMSCsとヒト皮膚線維芽細胞の比較より,若齢マウス由来BMSCとヒトBMSCsに高発現している転写因子を抽出した.さらに,iPS干渉法を応用し,BMSCに重要な転写因子の抽出を行った.現在,BMSCsにおけるこれらの転写因子の機能を解析中である.
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iPS干渉法を応用した歯胚発生メカニズムの理解と歯の再生技術への応用
研究課題/領域番号:18H02991 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
窪木 拓男, 大野 充昭, 辻 孝, 渡辺 亮, 宝田 剛志, ハラ エミリオ・サトシ
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
本申請研究は,歯科医学において未達成の重要な研究課題である「エナメル芽細胞・象牙芽細胞のマスター遺伝子」を同定し,それを利用して生理機能を有した 臓器としての歯の再生法を開発することを目的としている.具体的には,1器官原基法を応用した発生学的アプローチ,2レーザーマイクロダイセクションを応 用した組織学的アプローチ,3既知の重要な転写因子を利用した絞り込み等の技術を総動員してエナメル芽細胞・象牙芽細胞分化時におけるマスター遺伝子の絞 り込みを行い,iPS細胞樹立技術を逆手に取ったマスター遺伝子同定法(iPS干渉法)やゲノム編集技術を駆使してエナメル芽細胞・象牙芽細胞のマスター遺伝子を同定する.
2018年度に,発生過程の歯胚から定期的に組織を回収し,RNA-Seq解析データ,ヒト歯乳頭由来間葉系幹細胞 (以下, hSCAP),ヒト骨髄由来間葉系幹細胞,ヒト成人皮膚由来線維芽細胞 (以下, hADF)のRNA-Seq解析データを照らし合わせ,幹細胞の象牙芽細胞への分化や象牙芽細胞自身の分化に関わっている可能性がある転写因子を抽出した.
2019年度は,hSCAPに山中4因子と上記で抽出された転写因子を一つずつ入れ,どの転写因子が山中4因子の導入によるiPS細胞への誘導を阻害するのか検討した.その結果,13転写因子がiPS細胞への誘導を阻害することが明らかとなった.現在この13転写因子をhADFに遺伝子導入し,hADFがhSCAPにdirect reprogramingされていないか様々な方法で検討を行っている. -
変形性関節症の発症予防を目指したWISP遺伝子の機能解析
研究課題/領域番号:18K09682 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
前田 あずさ, 窪木 拓男, 大野 充昭, ハラ エミリオ・サトシ, 吉岡 裕也
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究では,国民が要支援となる最大の原因となっている変形性関節症 (OA) の原因遺伝子のひとつであると考えられているWISP1に着目し,OAの発症メカニズムを解明することで治療法ならびに予防法を確立することを目的としているが,前年度までに3種類のOAモデルマウス,すなわち ①加齢モデル,②機械的負荷モデル,③炎症誘発モデル の作製に成功した.
野生型とWISP1遺伝子欠損マウスを用いて機械的負荷モデルと炎症誘発モデルマウスを作製後,回収した膝関節から作製した組織切片をサフラニンO染色した後に,OA重症度の半定量的評価 (OARSIスコア) を行ったところ,野生型と比較してWISP1遺伝子欠損マウスではOARSIスコアが低い値を示しており,WISP1遺伝子が欠損することでOA誘発に伴う関節軟骨の破壊が抑制されていることが確認された.そこで,WISP1遺伝子欠損マウスでのOA重症化抑制に関わる因子を調べるため,膝関節腔内にコラゲナーゼを注射することでOAを誘発する炎症誘発モデルを3か月齢の野生型ならびにWISP1遺伝子欠損マウスを用いて作製し,7日後に回収した滑膜組織からRNAを抽出,リアルタイムRT-PCRを行い,軟骨基質破壊に関連する遺伝子の発現レベルを調べた.その結果,細胞外マトリックスの分解に関わるmmp3, mmp9, adamts4, adamts5の遺伝子発現量がWISP1遺伝子欠損マウスで低下していた.
以上より,WISP1がMMPやADAMTSといった細胞外マトリックス分解酵素の分泌を促進することで,OAを悪化させている可能性が示唆された. -
光操作技術による生体内間葉系幹細胞の集積に関する分子理解と歯槽骨関連疾患への応用
研究課題/領域番号:17H04399 2017年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
宝田 剛志, 窪木 拓男, 大野 充昭, 佐藤 守俊, 戸村 道夫, 戸口田 淳也, 渡辺 亮
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
抜歯窩創傷治癒過程に必須な間葉系幹細胞に関する従来の研究は、培養条件下での解析や、外来性移植MSCの効果の検証が主である。しかしこの現状では、生体内MSCの「内在性」の組織修復システムを理解することは難しい。申請者らは、青光照射でDNA組み換え反応をコントロールできる光活性型Cre(Photoactivatable(PA)-Cre)に着目し、このPA-Cre技術と、テトラサイクリン誘導発現系システム(TetON/OFF)のActb locusへのノックイン技術を組み合わせることで、R1年度は、in vivoでのlight/Dox-dependentなDNA組み換え反応を可能とする遺伝子改変マウス(TREPA-Creマウス)の開発を目指した。その結果、TRE-PACreマウスの開発に成功し、同マウスにtail veinよりtTA発現プラスミドと、レポーターであるLSL-tdTomatoプラスミドを導入することで、生体外からの光照射による肝臓でのDNA組み換え反応に成功し、これについて論文投稿を達成した(Takao et al, BBRC, 2020)。私たちが作製したTRE-PA-Creマウスを利用すれば、「生体組織」で、「細胞種(特定プロモーターでON)特異的」かつ、従来不可能であった「時間・空間(光照射時/部位)特異的」な精度を持つ生体内遺伝子操作が可能である。
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間葉系幹細胞の機能低下から見た歯周病やインプラント周囲炎発症の新規理解と対策
研究課題/領域番号:17H04392 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
秋山 謙太郎, 窪木 拓男, 大島 正充, 大野 充昭
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
本研究は,骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)の機能が,宿主の加齢変化によってどのように影響を受けるのかを解明するとともに,MSCsの機能低下が,歯周病やインプラント周囲炎などの歯周組織における感染性・炎症性疾患の発症や病状の進行にどのように関与するのかを解明することを目的としている.その結果,週齢の異なるマウスに実験的歯周病を誘導すると,週齢が上がるに連れて,歯周病による骨吸収が進行した.そこで,5週,50週齢マウス由来MSCsの機能を分析したところ,50週齢では細胞増殖,骨芽細胞分化能力が明らかに低下する一方で,脂肪細胞への分化能力が亢進するとともに,免疫調節能の低下が認められた.
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BMP-2含有人工骨膜の難治性骨疾患・骨癒合不全治療への応用
研究課題/領域番号:17K11750 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
大野 彩, 大野 充昭, 窪木 拓男, 三野 卓哉, 宝田 剛志, 笈田 育尚
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では,BMP-2含有PLGAメンブレン(BMP-2含有人工骨膜)の臨床応用に向け,イヌインプラント周囲炎骨欠損モデルでの有用性を検討した.イヌインプラント周囲炎モデルのインプラント周囲骨欠損部に自家骨を移植したが,十分な骨再生は認められなかった.次に,本モデルの骨欠損部に,BMP-2含有β-TCPを移植し,その周囲をBMP-2含有人工骨膜にて被覆した.対照群にはBMP-2含有β-TCPのみを移植した.その結果,BMP-2含有人工骨膜被覆群では,対照群と比較し骨再生が促された.以上の結果より,BMP-2含有人工骨膜は,インプラント周囲炎などの難治症例において有用である可能性が示唆された.
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必須アミノ酸トリプトファンによる幹細胞老化制御機構の解明・骨質改善治療への応用
研究課題/領域番号:17K11751 2017年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
笈田 育尚, 窪木 拓男, 大野 彩, 宝田 剛志, 大野 充昭
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
口腔インプラント治療は,人工歯根が歯槽骨や顎骨と結合することにより強固な骨支持を得るため,骨量と骨質が重要な因子となる.しかし,日本人は欧米人と比べ歯槽骨が解剖学的に菲薄で,インプラント体埋入のために骨造成が必要な場合も少なくない.また,高齢化の進む日本で増加傾向にある骨粗鬆症患者へ口腔インプラント治療がなされる場合も多く,多くの研究者が骨造成や骨質改善に関する研究を進めてきた.
我々は,これまでの研究から骨髄由来間葉系幹細胞の幹細胞性維持という観点からスクリーニングし,同定したトリプトファンが,骨質改善や骨の創傷治癒を促進することが明らかにした.この結果は,トリプトファンの投与が口腔インプラントの骨結合促進においても有用である可能性を強く示唆するものである.しかし,口腔インプラントの埋入に伴うトリプトファンの投与が,①骨のリモデリングを担う骨芽細胞,破骨細胞や間葉系幹細胞にどのような影響を与えるのか,また,②インプラント体の初期固定や長期予後に有意に働くのか,また,トリプトファンによる幹細胞の活性化が骨粗鬆症をはじめとする老化疾患に対して有効なのか,未だその詳細は明らかでない.
そこで,本研究ではトリプトファンの骨代謝関連細胞に与える効果の検討を行うこととした.トリプトファンと間葉系幹細胞の骨芽細胞分化との関係性は明らかにしてきたが,破骨細胞との関係性は未だ不明である.はじめに,トリプトファンが破骨細胞分化に与える影響を検討した.すなわちトリプトファンを投与したマウスの大腿骨を経時的 (0, 3, 7, 14日)にサンプリングし,組織学的,分子生物学的に検討する計画をした.しかし本研究では研究期間が短く解析,評価するまでには至らなかった.
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二次骨化中心初期石灰化の生命科学、材料学、双方向からの解析と理解
研究課題/領域番号:16H06990 2016年08月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援
ハラ エミリオ・サトシ, 松本 卓也, 岡田 正弘, 窪木 拓男, 長岡 紀幸, 服部 高子
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本研究では,マウス大腿骨二次石灰化現象について,軟骨内骨化の初期石灰化部位とタイミングを同定し,その部位における石灰化について,生命科学的・工学的に検討を行い,それぞれを時間空間的に比較することで,軟骨内骨化の多面的な理解を目的とした.実験の結果から,初期石灰化は生後6日目から開始することがわかった.開始点を電子顕微鏡で観察・解析した結果,細胞膜の断片(リン脂質)が石灰化の核になることがわかった.この結果から,リン脂質を基盤とした新しい無機有機ハイブリッド材料の開発に繋がる可能性があると考えられる.
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研究課題/領域番号:16H06991 2016年08月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援
古味 佳子, 窪木 拓男, 秋山 謙太郎, 大野 充昭, 丸濱 功太郎, 吉岡 裕也, 國友 雅義
配分額:2990000円 ( 直接経費:2300000円 、 間接経費:690000円 )
本研究は,間葉系幹細胞の損傷組織への誘導集積させることで組織再生を促進する因子として注目されているHMGB1が骨髄由来間葉系幹細胞に与える影響を明らかとし,より効率的な組織再生療法を開発することが目的である.マウス大腿骨骨欠損モデルにおいて宿主間葉系幹細胞は骨欠損作製後1日に骨欠損部に集積し,幹細胞集積部位周囲にHMGB1の発現も確認された.in vitroにおけるHMGB1の間葉系幹細胞の機能に与える影響については,幹細胞性, 増殖ならびに走化性について明らかな影響は認められなかった.HMGB1の存在下で影響の起こりうる幹細胞の多分化能や免疫調節能についても今後のさらなる検討が必要である.
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研究課題/領域番号:16H06989 2016年08月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援
小山 絵理, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭, 秋山 謙太郎
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本邦の慢性腎臓病 (CKD)患者は年々増加しており,CKD患者の生命予後や合併症発症と口腔健康が関連することが報告され,口腔-腎連関が注目されている.
そこで本申請研究では,シャント感染部の細菌叢を明らかにし,口腔内細菌叢との関係を明らかにすることとした.次世代シークエンサーを用いた16SrRNA解析の結果,口腔内細菌叢に黄色ブドウ球菌が多くを占める患者が数人存在した.また,これらの患者の口腔内細菌叢と感染シャントの細菌叢が類似しており,口腔内に特異的に存在する菌がシャント感染部から検出された. -
MRI新技術を用いた上気道分析-OSAS患者の治療基準の作成を目指して-
研究課題/領域番号:16K11787 2016年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
片岡 伴記, 窪木 拓男, 森本 泰宏, 川邉 紀章, 村上 隆, 古森 紘基, 水口 一, 鬼頭 慎司, 中村 政裕
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
上気道の状態を継時的かつ三次元的に評価できるMRIを用いて、歯や顎の形態と上気道状態の関連を調べた。閉塞性睡眠時無呼吸患者への矯正治療の施術基準を明らかにするという目標は達成できなかったが、MRI movieとvolumetric MRIを用いた上気道の評価方法を確立し、動態評価としてのMRI movieの有用性を明らかにすることはできた。MRI movieを用いて歯や顎骨格形態と上気道状態の間の相関を調べた結果、下顎骨の前後的位置や大きさと上気道との間には相関があり、上顎骨の前後的位置や大きさ、下顎骨の垂直的位置や大きさと上気道との間には相関がないことを明らかにした。
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16SrRNA解析を応用した高齢者の低栄養起因口腔・腸内細菌叢の網羅的探索
研究課題/領域番号:16K11590 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水口 真実, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
要介護高齢者の腸内細菌叢ならびに代謝産物を網羅的に解析した結果,門レベルでは過体重者において細菌叢Xの比率,低体重者において細菌叢Yの比率が有意に増加していた.属レベルでは,BMIと正の相関にある細菌として細菌叢Z,負の相関にある細菌として細菌叢Aが抽出された.また一部の低体重者のサンプルが同じクラスターに分布していることが明らかとなった.
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BMP-2の環境選択的骨誘導/抑制メカニズムの解明・応用に基づく骨再生療法の開発
研究課題/領域番号:16H05524 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
大野 充昭, 窪木 拓男, 大島 正充, 大野 彩, 大橋 俊孝, 渡辺 亮, 秋山 謙太郎
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
BMP-2は骨形成を強力に誘導する成長因子として知られている.しかし,我々は,本研究において,骨形成を含むBMP-2の効果は骨髄内において著しく抑制され,本抑制効果は,骨髄細胞が直接骨芽細胞に作用することで生じていることを明らかにした.本研究成果は,BMP-2の臨床応用において,BMP-2の副作用その作用機序の一部を明らかにした大変重要な知見である.