共同研究・競争的資金等の研究 - 阪口 政清
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癌はなぜ早い時期からリンパ組織へ転移するのか。
研究課題/領域番号:19K07676 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山内 明, 岡本 秀一郎, 山村 真弘, 片瀬 直樹, 阪口 政清, 栗林 太
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
癌転移ではまずリンパ節転移が観られるが、癌細胞がリンパ組織に侵入する機序は不明である。我々はこれまで独自に開発してきた癌細胞解析方法を用いて細胞同士の相互作用や動態制御を解析する中で、炎症関連分子S100タンパク質がリンパ内皮細胞を刺激し、癌細胞の遊走を活性化する現象を見出した。つまり何らかの“リンパ向性転移因子”が存在することが分かった。この因子はケモカインなど既存の遊走因子とは異なる。本研究では、このリンパ向性転移因子を同定し、なぜ早期からリンパ組織への転移が観られるのか、その機序を解明する。
令和元年(昨年)度の成果では、in vitroでのS100タンパク質刺激の有無によるリンパ内皮細胞の網羅的遺伝子発現解析(DNAマイクロアレイ)を行い、2倍以上の発現上昇92個/減少105個を同定していた。また、低分子物質については活性酸素が癌細胞の遊走を抑える現象を見出していた。
令和2年(本年)度は、上記の分子群が生体内で働いているかどうかを確かめるために、ヒト膵癌細胞株をヌードマウスに接種して生着させた担癌マウスモデルを用いて癌組織(ヒト癌細胞由来および宿主マウス浸潤細胞由来)の遺伝子について、シングルセルRNA発現解析を行った。その結果、上記in vitro実験と同様に発現上昇・減少した分子を含むい遺伝子群が同定され、リンパ内皮細胞での遺伝子発現がin vivoでも確認された。また、in vitroとin vivoで発現が異なる遺伝子群については現在解析中である。 -
腫瘍幹細胞マーカーDCLK1を標的とした、悪性胸膜中皮腫に対する新規治療戦略
研究課題/領域番号:19K09286 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
三好 新一郎, 豊岡 伸一, 宗 淳一, 山本 寛斉, 諏澤 憲, 阪口 政清, 冨田 秀太
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究は腫瘍幹細胞マーカーであるDCLK1の阻害が悪性胸膜中皮腫細胞に抗腫瘍効果を及ぼすことに着目し、悪性胸膜中皮腫において同タンパク質を抑制することによる抗腫瘍効果を検討し、さらに同タンパク質を標的とする薬剤を独自に構築する技術でスクリーニングし、当該疾患に対する新規治療法の確立を目指すものである。悪性胸膜中皮腫細胞株におけるDCLK1アイソフォームの発現パターンは細胞株によって異なっている。一方で正常中皮細胞株ではDCLK1の発現を認めなかった。DCLK1阻害による腫瘍増殖抑制効果は予備実験により明らかとなったが、アイソフォーム選択的に阻害した場合の効果は不明である。令和2年度は、令和元年度に実施したsiRNAによるDCLK1阻害後の細胞増殖抑制効果の機構を解明するため、バイオインフォマティクス解析を行っているが解析途中である。また、DCLK1発現による細胞増殖能の変化や浸潤能の獲得の有無について検討するためにDCLK1発現ベクターを作成し正常中皮細胞株に導入する実験を進めている。さらに、DCLK1を標的とするshRNAを作成・導入して安定的に発現が阻害された悪性胸膜中皮腫細胞株を樹立する実験も進めている。
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HER2異常肺癌に対する新しい治療法の開発
研究課題/領域番号:19K09285 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
宗 淳一, 冨田 秀太, 豊岡 伸一, 山本 寛斉, 阪口 政清, 光冨 徹哉, 須田 健一, 諏澤 憲
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
HER2変異・増幅に代表されるHER2異常の肺癌における頻度は5%程度であり、EGFR標的療法の獲得耐性の一因としてもHER2異常は注目されている。HER2異常肺癌へのHER2標的療法は、先行研究でその有効性が示唆されており、個別化治療として期待されるが、肺癌に対するHER2標的療法は適応外であり、対策が遅れている。ただ、多岐にわたるHER2異常スペクトル別にHER2標的薬の感受性が異なること、他の分子標的薬と同様にHER2標的薬への獲得耐性が生じること、が予想されている。本研究では、多岐にわたるHER2異常スペクトル別にHER2標的薬の効果とその獲得耐性の克服を検討することで、HER2異常肺癌に対するプレシジョン・メディシンの確立を目指した基礎的検討を実施する。具体的には、「#1. HER2 異常タイプ別のHER2 標的薬の効果の検討」「#2. HER2 標的薬耐性細胞株の樹立とオミックス解析による耐性機序の解明」「#3. 獲得耐性例の治療法および耐性例出現の抑制法の開発」を行う。
これまで複数のHER標的薬について、肺癌・乳癌・胃癌のHER2異常細胞株を用いて、in vitro, in vivoにその効果を検討するとともに、長期暴露による薬剤耐性株を樹立し、耐性化の機序の解明と耐性株の治療法の開発を行い、複数の報告を行っている。今後は、新たなHER異常スペクトルそれぞれについて遺伝子異常を導入した細胞株を樹立し、HER2標的薬の効果と耐性化の機序と克服の検討を続けるとともに、耐性化出現の抑制法の開発に取り組む。また、新たなHER2標的薬の臨床試験結果が発表されたため、標的となり得る新規HER2異常スペクトルの同定も試みている。 -
無菌養蚕冬虫夏草による抗がん機能の新たな作用点の探求
2019年01月 - 2020年01月
株式会社カイタックトレーディング 共同研究 共同研究
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新たな治療標的として重要ながん転移を促すS100種の網羅的同定
2019年01月 - 2019年12月
公益財団法人テルモ生命科学芸術財団 2018年度 ?. 研究助成金
阪口 政清
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RAGE-aptamer封入ナノ粒子による肺高血圧症の新規治療法の開発
研究課題/領域番号:18K08037 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中村 一文, 赤木 達, 阪口 政清, 三好 亨, 深水 圭, 伊藤 浩
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
1.肺高血圧モデルラットにおけるRAGE特異的 DNA aptamerの抑制効果: モノクロタリン誘発性肺高血圧症モデルラットにおいてモノクロタリンと同時に終末糖化産物受容体RAGE特異的 DNA aptamerの持続皮下注を行ったところ、肺高血圧症と肺動脈リモデリングの発生抑制効果を認めた。
2. 肺動脈性肺高血圧症患者の肺動細胞平滑筋細胞におけるRAGE特異的 DNA aptamerの増殖抑制効果: 血小板由来増殖因子刺激による増殖亢進をRAGE特異的DNA aptamerは有意に抑制した。
上記よりRAGE特異的 DNA aptamerの肺高血圧症発症の抑制作用が認められた。 -
がん細胞の転移を加速するがん微小環境内線維芽細胞の新たな役割
2018年 - 2019年
公益財団法人がん研究振興財団 第50 回がん研究助成金
阪口 政清
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敗血症治療のためのHRG血液製剤の創出
研究課題/領域番号:19im0210109 2017年10月 - 2020年03月
日本医療研究開発機構 (AMED) 医療分野研究成果展開事業 産学連携医療イノベーション創出プログラム 基本スキーム (ACT-M)
西堀正洋, 和氣秀徳, 阪口政清, 宝田剛志, 勅使川原匡, 王登莉, 森松博史, 吉田道弘, 伊藤浩和, 上園昭人, 村上弘次, 前野英毅, 須加智也, 小林不二夫, 福永裕樹
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新規S100 受容体による原発巣転移前がん微小環境構築とがん転移動力獲得の分子機構
2017年 - 2020年03月
独立行政法人 日本学術振興会 基盤研究(B)
阪口 政清
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がん転移の“種と土”を解くS100タンパク質ワールド
2017年 - 2020年
公益財団法人武田科学振興財団 2017 年度生命科学研究助成
阪口 政清
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希少漢方「冬虫夏草」中に含まれる新規抗がん成分の同定とその薬効解析
2017年 - 2019年
公益財団法人小林国際奨学財団 平成29 年度研究助成
阪口 政清
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新規S100 受容体による原発巣転移前がん微小環境構築とがん転移動力獲得の分子機構
2017年 - 2019年
独立行政法人 日本学術振興会 基盤研究(B)
阪口 政清
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分泌REICタンパク質の抗腫瘍の本態解明
2017年
岡山医学振興会 第17 回公募助成
阪口 政清
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癌遺伝子候補MYNNとp53の統合的解析と肺癌発症メカニズムの解明
研究課題/領域番号:16K10460 2016年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
伊藤 佐智夫, 笹井 香織, 阪口 政清, 片山 博志
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
新規癌遺伝子Myoneurin (MYNN)は、BTB/POZ-Zinc Fingerタンパク質ファミリーに属し、肺癌、卵巣癌、食道癌、乳癌等において高頻度に遺伝子増幅がみられる。MYNNがコードされる染色体3q26領域は多くの癌で増幅が確認され、近年、この領域からのCancer driver geneの同定が盛んに試みられている。MYNNが強力な転写抑制能、腫瘍形成能、p53結合能を有することから、MYNNの機能解析は発癌を理解する上で大変重要であると考えた。
本研究では、MYNNとp53の機能相互作用について新しい知見を示した。 -
2型糖尿病治療薬メトホルミンと抗PD-1抗体を併用した新しい肺癌免疫療法の開発
研究課題/領域番号:16K15637 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
三好 新一郎, 豊岡 伸一, 山本 寛斉, 阪口 政清, 宗 淳一
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
肺癌において、メトホルミンによる腫瘍免疫担当細胞の機能増強作用と抗PD-1抗体による免疫寛容状態の解除作用に着目し、肺癌における両者の併用治療の確立を目指す研究を行った。癌患者における末梢血ならびに腫瘍組織中のリンパ球の機能評価を行い末梢血単核球および腫瘍浸潤性T細胞をメトホルミンの存在・非存在下で培養しT細胞に非特異的な刺激を与えたところ、メトホルミン存在下ではサイトカイン産生能が増加したことを確認した。また、初代培養肺癌細胞に対するメトホルミン処理T細胞+抗PD-1抗体の抗腫瘍効果の検討と、メトホルミン処理T細胞+抗PD-1抗体の抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーの探索・同定を進めた。
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遺伝子発現と変異プロファイル解析に基づくEGFR変異肺癌に対する新規治療法の開発
研究課題/領域番号:16H05431 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
豊岡 伸一, 三好 新一郎, 冨田 秀太, 枝園 和彦, 山本 寛斉, 阪口 政清, 宗 淳一
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
EGFR変異肺がん治療において、獲得耐性機序を治療前に予測すると同時にその耐性出現を防ぐ初期治療の確立を目指す研究を行った。高感度の検出が可能である分子バーコードを用いたDeepシークエンスにより、肺癌臨床検体で高率に複数のEGFR変異の共存が確認された。オシメルチニブに対する耐性を獲得した細胞株の検討では、EMT化による耐性獲得細胞では、高率にAXLが高発現し、AXL阻害剤であるカボザンチニブの上乗せにより耐性が解除されることを明らかにした。またドラッグリポジショニング解析から抗生物質モネンシンが抗EMT化作用を示し、その耐性獲得を抑制が可能であることを明らかにした。
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核内受容体HNF4αとPPARによるNASH発症機序の解明と治療応用への基礎研究
研究課題/領域番号:16K08728 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
井上 裕介, 阪口 政清, 柿崎 暁
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
肝臓特異的HNF4α欠損マウス(KOマウス)でのNASH発症におけるPPARαの活性化機構の解明を目的とした。KOマウスでは脂肪酸取り込みに関与するFATP1の発現が顕著に上昇しており、FATP1の転写活性化はPPARα依存的に強く誘導された。また、KOマウスで発現低下するmiRNAを同定し、その標的遺伝子として線維化に関与する遺伝子を同定した。さらに、KOマウス肝臓では数種類の脂肪酸の割合が変動していた。加えて、脂肪酸伸長と不飽和化に関与する複数の遺伝子の発現変動が認められた。以上より、KOマウスでは脂肪酸の質的変化によりPPARαが活性化されてNASHを発症する可能性が示唆された。
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HER2新規結合分子サイトケラチン19に着目したHER2活性癌の新規治療法
研究課題/領域番号:16K10681 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
宗 淳一, 三好 新一郎, 冨田 秀太, 佃 和憲, 豊岡 伸一, 山本 寛斉, 阪口 政清, 浅野 博昭
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
HER2蛋白は、肺癌・胃癌などで活性化する。既存のHER2分子標的薬は効果や薬剤耐性の問題があり、HER2活性型腫瘍への新しい戦略が必要である。HER2蛋白活性化に関与する新規分子サイトケラチン19を同定した。胃癌細胞株に対するHER2分子標的薬(Afatinib)の治療効果(in vitro&vivo)を報告した。Afatinibの適応がないHER2変異陽性がん患者において、探索的に使用し、その治療効果を報告した。HER2活性型肺癌細胞株における汎HER阻害剤Neratinibの治療効果(in vitro&vivo)を報告した。
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研究課題/領域番号:16K15245 2016年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
近藤 英作, 奥田 修二郎, 阪口 政清
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
TRA-1-60は糖鎖修飾型PODXL1であることから、ヒト膵がん細胞株においてPODXL1ノックアウトクローンを作成し機能解析した。結果、MiaPaCa-2, AsPC1, Panc-1 PODXL1-KO(PODXL1 -/-)クローンは膵がん肝転移を劇的に抑制した。即ち、PODXL1は膵がんの転移能獲得に直接に機能していることが判明した。PODXL1は複数のサイトカイン受容体と結合能を持ち、がん組織内でこれら受容体の機能活性化に働いていることが判明した膵がん患者病理組織では、上記の遺伝子機能を反映し、腫瘍の浸潤先進部や肝転移巣で高発現していることが判明した。
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臓器が発するがん誘引性転移シグナルの遮断を目指して開発した「新規分子標的タンパク質製剤」によるがん細胞転移制御の試み
2016年 - 2018年
一般財団法人藤井節郎記念大阪基礎医学研究奨励会 平成28 年度研究助成金
阪口 政清