共同研究・競争的資金等の研究 - 阪口 政清
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IPF急性増悪治療を目指したS100A8/A9抗体の研究開発
研究課題/領域番号:20im0210119h0001 2020年08月 - 2023年03月
日本医療研究開発機構 産学連携医療イノベーション創出プログラム ACT-M
担当区分:研究代表者 資金種別:産学連携による資金
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突発性肺線維症急性増悪治療を目指したS100A8/A9抗体の研究開発
2020年08月 - 2022年03月
ノーベルファーマ株式会社 共同研究 共同研究
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がん免疫サイクルの観点からみたAb-REICと分泌REICタンパク質の分子機構の解明と新規創薬
2020年06月 - 2021年02月
岡山県 特別電源所在県科学技術振興事業
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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がん転移の予測を可能とする全てのS100タンパク質の同時診断技術の開発
2020年04月 - 2025年03月
株式会社ホロンシステム 共同研究
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新規S100A8/A9阻害分子の発見に基づいたがん脳指向転移の機構解明とその制御
研究課題/領域番号:20H03516 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
阪口 政清, 山本 健一, 近藤 英作, 豊岡 伸一, 木下 理恵, 西堀 正洋, 村田 等
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本年度の研究では、(1)HRGとS100A8/A9が遠隔の腫瘍に応答して脳内環境のどの細胞からそれぞれ産生放出されているかを理解すること、(2)HRGの低下と脳転移に関連性があるかを検証すること、さらに、計画終了後の展開を念頭に時間が許せば、(3)HRGによるS100A8/A9阻害作用がなぜ脳選択的に起こるのか、その糸口を見出すことである。成果は以下の通りである。
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(1)S100A8/A9はミクログリア細胞が産生していることが判明したが、HRGは免疫染色用の良い抗体がなく患者由来組織切片において検出することができていない。
(2)血漿を用いたELISA検討からHRGは脳転移がん患者さんで顕著に低下することが判明した。
(3)脳転移の起こりやすくしたB16-BL6クローン(HRGへの反応が鈍い細胞)についてRNAseq解析を行った。その結果、親株と比較して数多くの遺伝子発現変動が起こっており、その中でも脳転移の引き金になる、あるいはHRG耐性の理由となる可能性のある遺伝子変動をとらえることができた。 -
S100A8/A9が悪性化する原発巣および転移先がん微小環境を制御する治療法
研究課題/領域番号:20K07636 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木下 理恵, 阪口 政清
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
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肺虚血再灌流障害におけるS100A8/A9の役割の解明と新しい治療法の開発
研究課題/領域番号:20K09164 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
岡崎 幹生, 大谷 真二, 山根 正修, 坂上 倫久, 豊岡 伸一, 山本 寛斉, 木下 理恵, 杉本 誠一郎, 阪口 政清
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
重症肺疾患に対して、肺移植手術が唯一残された治療法となることがあるが、一時的な虚
血と血液の再灌流により炎症が生じる虚血再灌流障害は依然として肺移植時の大きな問題点である。肺移植後の移植肺の機能不全は虚血再灌流障害によるものがほとんどで、基礎研究による肺虚血再灌流障害の分子メカニズムの解明や革新的治療薬が開発できると、肺移植による治療成績が格段に向上する。最近申請者らは、経時的かつ網羅的遺伝子発現解析から、肺虚血再灌流後に最も早期に過剰発現する遺伝子としてS100A8/A9を見出した。S100A8/A9は、多様な炎症反応の引き金となるためIRIの治療のターゲットとして極めて有望である。本研究では、申請者らが開発したS100A8/A9を標的とした中和抗体を用いて、肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証し、臨床応用に向けたProof of Conceptを確立することを目的とする。
マウス肺虚血再灌流障害モデルでS100A8/A9中和抗体の効果を検証した。抗体を投与した30分後に左肺を60分クランプし(虚血)、再灌流後120分に評価し、Control群と比較・検討した。虚血再灌流障害群(IgG Control群)はSham群と比較して、有意にPaO2が低下していた。それに対して、S100A8/A9中和抗体投与群ではControl群と比較して、優位にPaO2が改善していた。病理組織学的にもS100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して、虚血再灌流障害に伴う炎症細胞浸潤が有意に抑制されていた。S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果がみられることがわかった。 -
ホーミングペプチドを基盤にした新規膵癌バイオマーカー及び膵癌標的化抗体医薬の開発
研究課題/領域番号:20H03527 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
近藤 英作, 飯岡 英和, 阪口 政清, 齋藤 憲
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
準備研究により膵がん細胞ホーミングペプチドの細胞内への取り込みに関与するアクセプター分子(受容体)として候補に挙がっているreceptorφについて、その発現と局在を患者浸潤性膵管癌組織30症例に検索を拡大して解析した。結果、receptorφは全例で膵癌細胞膜上に特異的な発現を認め、膵がん細胞ホーミングペプチドに対する特異的受容体であうこと、及び膵癌細胞において膜局在分子として何らかの生物学的役割を果たしていることが推察された。一方、receptorφの細胞外領域を特異的に認識する抗体の初回試作に失敗したため、現在新たな手法で特異抗体作成を実施中である。この経緯から、第2年度に予定していた「新規膵癌細胞膜受容体候補の生物学的な分子機能の洗い出し」のための解析を前倒しし、CRISR/Cas9 systemを用いたreceptorφノックアウトcloneを2種類の膵癌細胞株BxPC3, HPAF IIそれぞれで作成することに成功した。現在、これらノックアウトクローンと野生型を比較サンプルとしたNGS RNA Seq解析を実施中である。この結果から、の重要な膵癌細胞における生物学的機能の洗い出しを進める計画である。
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組織障害性HMGB1に着眼した肺虚血再灌流障害に対する新規戦略の確立
研究課題/領域番号:20K09176 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
大谷 真二, 山根 正修, 豊岡 伸一, 杉本 誠一郎, 王 登莉, 西堀 正洋, 岡崎 幹生, 三好 健太郎, 阪口 政清
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
①マウス肺門クランプモデルにおけるHMGB1の動態:HMGB1は通常核内に限局しているタンパクである。マウス左肺門クランプモデルにおいて、再還流後2時間までのHMGB1の血中濃度を測定したところ、HMGB1が時系列に沿って上昇することが確認された。また組織の免疫染色において、虚血再還流障害を加えた群では、HMGB1が核内よりむしろ細胞質で強く染色され、細胞障害性の刺激により核内から細胞質へ移動している様子が確認された。この現象はHMGB1抗体を投与することで抑制されたことから細胞障害によりHMGB1には自己分泌経路が出現し抗体投与によってその経路を停止させることができるのではないか、と考えられた。
②抗体投与による虚血再還流障害の抑制:HMGB1抗体を投与する事による虚血再還流障害の抑制効果を調べた。肺機能、組織障害の改善を生理学的、組織学的に確認することができた。
③抗体投与による抗炎症効果:HMGB1抗体を投与するとサイトカインの産生が低下することが確認された。HMGB1はRAGEやTLRといったレセプターのリガンドであり、MAPKの経路を介しサイトカイン産生を行っているが、HMGB1抗体によりMAPKの経路が抑制されることが示された。
④抗体投与によるアポトーシスの抑制:肺組織の細胞死を定量するため組織でのアポトーシスを検索した。虚血性再還流障害によるアポトーシスが抗体投与により抑制されていることが確認された。 -
免疫チェックポイント阻害剤の効果を高める新たな併用療法の探索
研究課題/領域番号:20nk010542h0001 2020年04月 - 2022年03月
日本医療研究開発機構 創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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アトピー性皮膚炎を治療する新しい生物製剤
研究課題/領域番号:20lm0203008j0004 2020年04月 - 2021年03月
日本医療研究開発機構 橋渡し研究戦略的推進プログラム シーズA
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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無菌養蚕冬虫夏草及びその含有成分によるがん免疫誤動作の修復機構の解明
2020年02月 - 2025年02月
株式会社カイタックトレーディング 共同研究 共同研究
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Ad-SGE-REIC製剤の抗腫瘍効果・作用機序の解明
2019年09月 - 2026年03月
桃太郎源株式会社 共同研究
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がん免疫サイクルの観点からみたAb-REICと分泌REICタンパク質の分子機構の解明と新規創薬
2019年06月 - 2020年02月
岡山県 特別電源所在県科学技術振興事業研究委託
阪口 政清
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表皮分化および角層成熟制御因子の探索と機能解明
2019年04月 - 2025年03月
株式会社資生堂 共同研究
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喫煙によるがん細胞休眠解除と転移能獲得へのS100A8/A9の役割の探求と制御
2019年04月 - 2022年03月
公的財団法人喫煙科学研究財団 2019年度研究助成
阪口 政清
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バイオセンサー分子としてのHMGB1の動態と多機能性解析
研究課題/領域番号:19H03408 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
西堀 正洋, 阪口 政清, 逢坂 大樹, 王 登莉, 和氣 秀徳, 勅使川原 匡
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
1.HMGB1トランスロケーションを制御する受容体系ならびにシグナルトランスダクションの同定:研究代表者らは、LPSとTNF-αによるHMGB1トランスロケーションを強力に抑制する物質として、血漿タンパクHistidine-rich glycoprotein (HRG) を見出している。この制御系の実態を明らかにするため、血管内皮細胞のHRG とのインキュベーションによって生じる細胞内シグナルについて解析し、LPS刺激で生じるp38とErk1/2のリン酸化がHRG添加によって著明に抑制されることを明らかにした。さらに活性化型のRhoタンパクを低下させることも見出した。LPS刺激により、内皮細胞におけるHMGB1 mRNA発現は低下したが、HRGはその低下を抑制した。HRG単独ではHMGB1 mRNA発現に有意な効果をもたらさなかった。
2.ヒスタミンによる血管透過性亢進作用並びにアナフィラキシー性血管反応における細胞外放出HMGB1の関与:これまでに、ボイデンチェンバーを用いて、血管内皮細胞分泌性のHMGB1が血管透過性亢進に関与するかどうかを予備実験で検討した。特異的抗HMGB1抗体の添加は、血管透過性亢進を抑制したことから、細胞外に分泌されたHMGB1が血管透過性亢進にも関与する可能性が強く示唆された 。そこで、まず肥満細胞を活性化し、顆粒(ヒスタミン)分泌を惹起できるCompound48/80のラットへの投与を試みた。Compound48/80を静脈内投与すると、予想された急激な血圧の低下が観察され、その後徐々に血圧低下からの回復が観察された。抗HMGB1抗体をラットに前処理し、その効果を評価した。その結果、抗HMGB1抗体による前処理は、Compound48/80による初期の急激な血圧低下を軽度抑制し、さらに持続する低血圧状態からの回復を促進した。 -
脂肪酸の質的変化を介した核内受容体によるNASH発症機構の解明
研究課題/領域番号:19K07474 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
井上 裕介, 阪口 政清, 柿崎 暁
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は良性の脂肪肝から進展し、肝癌に進行する悪性疾患であるが、その発症機構は不明で治療薬もない。申請者は、核内受容体HNF4Aの肝臓特異的欠損マウス(Hnf4aΔHマウス)が脂肪肝を経てNASHを発症し、さらに核内受容体PPARAを欠損させたダブル欠損マウスがNASH改善と寿命延長を示すことを見出した。本研究では、①Hnf4aΔHマウスで発現上昇する脂肪酸不飽和化/伸長酵素が、脂肪酸の質的変化を引き起こし、PPARAを活性化する。②microRNA の発現低下が、PPARAのさらなる活性化と肝線維化を促進する。という2つの仮説を検証することにより、新規NASH発症機序の解明を目指した。Hnf4aΔHマウスで発現上昇する脂肪酸伸長酵素遺伝子のPPARA結合部位を同定し、この脂肪酸伸長酵素遺伝子の発現がこのPPARA結合部位依存的に転写活性化されることを明らかにした。また、miR-194遺伝子の新規標的遺伝子を8個同定することができ、これらの標的遺伝子はHnf4aΔHマウスで発現増加していることも明らかにした。さらにはmiR-192の標的遺伝子候補を32個スクリー二ングした。
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ミトコンドリア呼吸阻害による軸索変性誘導機構の解明とパーキンソン病への展開
研究課題/領域番号:19K07369 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
村田 等, 阪口 政清, 浅沼 幹人
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
SARM1の異常活性化を介した軸索変性がパーキンソン病に及ぼす影響を解析するために、ヒトiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いて解析を進めた。前年度において、Parkin遺伝子を欠失している家族性パーキンソン病患者由来の神経細胞は、健常者由来の神経細胞と比較して、神経毒ロテノンに対して脆弱であることを確認した。この応答がParkinの欠失に依存していることを確認するために、ゲノム編集技術を用いて健常者由来の神経細胞からParkinを欠失させた細胞を作製した。Parkinを欠失した神経細胞ではロテノン暴露時のSARM1リン酸化レベルがコントロールの神経細胞よりも増加しており、軸索変性や細胞死の割合も増加していた。Parkinは損傷ミトコンドリアを除去するマイトファジー誘導に関与する分子である。Parkin欠失による機能不全ミトコンドリアの蓄積が、活性酸素種の増加、JNKの活性化を誘導し、SARM1のリン酸化につながったと考えられる。
SARM1のリン酸化を介した活性化をin vivoで確認するために、ロテノンを用いたパーキンソン病モデルマウスの作製を試みた。ロテノンを注入した浸透圧ポンプを皮下に移植し、0、5、10 mg/kg/dayの濃度で28日間の投与を行った。マウス中脳部分を用いた解析から、ロテノン濃度の増加に伴い、SARM1のリン酸化が上昇することを見出した。また軸索成分NF-Lの分解やドーパミン神経の脱落が生じていることを確認した。今後SARM1の活性化を阻害することで、これらの症状が改善するかどうかを確認していく。 -
ダメージ関連分子パターンに着眼した肺線維化関連疾患に対する新規治療法の開発
研究課題/領域番号:19H03746 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
豊岡 伸一, 冨田 秀太, 山本 寛斉, 宮原 信明, 阪口 政清, 宗 淳一, 諏澤 憲
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本研究は、特発性肺線維症 (IPF: idiopathic pulmonary fibrosis) を中心とした肺線維化の発症と増悪に導くダメージ関連分子パターン (DAMPs)・RAGE・線維化パスウェイの中心的分子を同定し、肺の異常線維化に関連した疾患・病態に対する新規治療法の開発を目的としている。令和2年度はIPF患者の肺組織におけるS100A8/A9の発現を免疫染色およびウエスタンブロットで評価した。正常肺組織と比較して、IPFの肺組織ではS100A8/A9の発現が上昇していた。またS100A8/A9はIPF患者の血漿中でも上昇が認められた。これらの知見と、令和元年度に得られている知見(ブレオマイシンによる肺線維症モデルマウスの作製プロトコールを確立し、そのモデルを用いた実験で抗S100A8/A9中和抗体により有意な肺線維化抑制効果が得られ、生存率の改善を認めたこと、また線維芽細胞を用いたin vitroでの実験により、S100A8/9蛋白の刺激によって線維芽細胞の増殖能は上昇し、下流の転写因子であるNF-κBの活性の上昇を認め、さらに 抗S100A8/A9中和抗体投与により、活性型線維芽細胞のマーカーであるαSMAの発現低下、コラーゲン産生能の低下、NF-κBの活性の抑制効果を認めたこと)とを併せて、論文にまとめ、Journal of Molecular Medicine誌に投稿し、掲載された。