共同研究・競争的資金等の研究 - 髙柴 正悟
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ペプチド核酸を応用した選択的細菌抑制による微生物叢コントロール法の確立
研究課題/領域番号:15K11404 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
前田 博史, 苔口 進, 高柴 正悟, 北松 瑞生
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
本研究の目的はアンチセンスPNAを口腔微生物に対して応用し,特定細菌種の増殖抑制を行うことである。歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis、ならびにAggregatibacter actinomycetemcomitansのHSP遺伝子ならびにAcpP遺伝子を標的としてアンチセンスPNAを設計・合成し、増殖抑制効果を調べた。結果、P. gingivalisに対しては、両遺伝子を標的としたアンチセンスPNAによって、増殖を効果的に抑制することができた。A. actinomycetemcomitansに対しては、PNAによる顕著な増殖抑制効果はみられなかった。
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根尖性歯周炎等の口腔内感染巣に由来する「歯性好中球減少性発熱」の概念の確立
研究課題/領域番号:26462881 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
曽我 賢彦, 前田 嘉信, 室 美里, 樋口 智子, 奥井 明美, 片岡 広太, 江國 大輔, 谷本 光音, 飯田 征二, 森田 学, 松田 友里, 川村 夢乃, 安岡 利香, 武田 悠理子, 三島 美鈴, 片山 朋子, 小野 佳子, 高橋 郁名代, 近藤 英生, 藤井 伸治, 峠 亜也香, 佐藤 公麿, 藤井 友利江, 宮岡 満奈, 向井 麻里子, 兒玉 由佳, 竹本 奈奈, 高柴 正悟, 森 毅彦, 細川 亮一, 那須 淳一郎, 松原 稔, 三浦 公, 神崎 洋光, 岡田 裕之, 山本 和秀, 杉浦 裕子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
1)歯性感染と好中球減少性発熱の関連を明らかにした。智歯周囲炎も好中球減少性発熱に関与することが明らかとなった。
2)濃厚な抗菌剤治療を行っている患者においては口腔粘膜上細菌叢が通常の口腔内細菌叢と全く異なり,口腔粘膜障害は普段想像し得ない菌種の感染門戸になっていることを明らかにした。細菌叢の変化が口腔粘膜障害の増悪に関係し,感染経路が形成されることで好中球減少性発熱を呈する可能性を示唆した。
3)心内膜炎の一症例を対象に起炎菌と口腔内細菌の同一性について遺伝子レベルで証明した。口腔内感染巣との関連が重要視される感染性心内膜炎を対象にして,口腔内の感染管理の重要性を示す成果を得た。 -
インテグリンの活性制御による歯周組織幹細胞の遊走促進:分子リガンド創製への展開
研究課題/領域番号:26463134 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山本 直史, 高柴 正悟, 畑中 加珠, 下江 正幸
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
歯根膜細胞は,結合組織付着によるメカニカルな防御機能に加えて,多分化能を有する幹細胞としての機能を有することから,歯根膜細胞の欠損部位への遊走は歯周組織の恒常性維持や再生に重要な役割を果たす。本研究で,Integrin α3は歯根膜細胞の遊走を抑制し,integrin α5は遊走を促進することが明らかになった。とりわけ,integrin α3阻害剤が歯根膜細胞の遊走促進に有効であることが分かった。
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歯周炎・糖尿病・リウマチの共通リスクサイトカイン遺伝子の解明
研究課題/領域番号:25253104 2013年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
吉江 弘正, 高柴 正悟, 永田 俊彦, 三谷 章雄, 石原 裕一, 小林 哲夫, 木戸 淳一, 大森 一弘, 前田 博史, 野口 俊英
配分額:44980000円 ( 直接経費:34600000円 、 間接経費:10380000円 )
本研究の目的は、歯周炎、糖尿病(DM)、関節リウマチ(RA)の共通リスクサイトカイン遺伝子を特定することである。慢性歯周炎(CP)併発RA185名、CP併発2型DM 149名、CP 251名、健常130名を対象に17遺伝子多型を解析した結果、2つの多型(KCNQ1 rs2237892、PADI4_104 rs174803)がCP・RA併発に有意に関連した。また、CP併発RA群ではCP非併発RA群と比べ環状シトルリン化ペプチドに対する血清抗体価が高い傾向にあることを認めた。以上から、KCNQ1とPADI4が日本人のRA・CPの共通リスク遺伝子となる可能性が示唆された。
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唾液腺体性幹細胞とiPS細胞を用いた唾液腺機能再生に関する研究
研究課題/領域番号:25463217 2013年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
峯柴 淳二, 大森 一弘, 山本 直史, 高柴 正悟
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
【研究の目的】唾液は,口腔感染制御を含めて口腔内環境を保つ重要な働きを持つ。しかし唾液を分泌する唾液腺は,自己再生能が低く,障害後の機能回復は難しい。我々は,CD49F+細胞がin vitroではINHIBIN βA,INHIBIN βB,FOLLISTATINを発現することを報告している。INHIBINのβ鎖はホモ二量体を構成し,ACTIVIN分子と成る。一方FOLLISTATINは,ACTIVINに特異的に結合し,その受容体への結合を阻害する。本研究は,マウス顎下腺の主排泄導管を結紮後に解除すると顎下腺が再生することを利用し,in vivoにおいて唾液腺組織再生中のCD49F,INHIBIN βA,INHIBIN βB,そしてFOLLISTATINの発現局在の解明を目的とした。
【研究実施計画および結果】
マウス顎下腺の片側の排泄導管を血管結紮用クリップで結紮,他方は対照とし,6日後に結紮を解除した。結紮解除1,2,4,8,16日後の顎下腺を摘出し,パラフィン包埋切片作製の後,INHIBIN βA,INHIBIN βB,CD49FそしてFOLLISTATINの局在を免疫組織染色法で検討した。その結果,結紮解除後のどの日数でもINHIBIN βAは染色されず,INHIBIN βBとCD49fは染色された。また,結紮解除後8日目にはFOLLISTATINが染色された。さらに連続切片上で,CD49F,INHIBIN βB,そしてFOLLISTATINが同部位で染色された。以上から,結紮解除後8日目以降の唾液腺組織再生に,CD49F+細胞でのactivin-follistatin相互作用の関与を想定できる。
以上から本研究を行った結果,マウス顎下腺主排泄導管結紮解除後8日目の導管上皮細胞で,CD49F,INHIBIN βB,FOLLISTATINが発現していることが解明された。 -
研究課題/領域番号:24659925 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
前田 博史, 高柴 正悟, 苔口 進, 北松 瑞生, 山城 圭介, 峯柴 史, 磯島 大地
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
本課題はキャリアーペプチドを付加したペプチド核酸を歯周病原細菌に対するアンチセンス核酸として設計し、歯周病原細菌に対する抗菌薬として応用するための基礎研究である。今回、キャリアーペプチドの設計と細菌への導入効率を解析した。キャリアーペプチドの配列は既報のアミノ酸配列を参考として、合計64種類を合成した。
ペプチドには蛍光標識を行い、歯周病原細菌P. gingivalis,、A. actinomycetemcomitans、ならびに大腸菌への導入効率を評価した。その結果、Tmr-KFFKFFKFFK-NH2の配列を持つペプチドが高効率にP. gingivalisに導入されることが明らかとなった。 -
歯周病原細菌の感染と歯科インプラントの安全性に関するコホート研究
研究課題/領域番号:24659924 2012年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
高柴 正悟
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
口腔細菌感染症への配慮が少ない中で口腔インプラント治療が行われている状況が多い。そのため,潜在性の口腔感染(歯周病等)が口腔インプラント治療の予後に与える影響は大きいものと考えられる。
このことを明らかにするための臨床研究案を策定した。「歯周病原性菌に対する血漿IgG抗体価検査を取り入れた口腔インプラント施術前後10年間にわたる感染評価」という研究案を作成し,口腔細菌叢変化の包括的検討法も樹立した。 -
口腔内感染度からみたビスフォスフォネート系製剤関連顎骨壊死の予防システムの構築
研究課題/領域番号:23593058 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
畑中 加珠, 高柴 正悟, 山本 直史, 山城 圭介
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
がんの骨転移などの治療に使用されるビスフォスフォネート(BP)製剤の投与を受けている患者において、顎骨壊死(ONJ)が発生するという事象が報告されている。岡山大学病院では、腫瘍センターに歯科衛生士を配置し、口腔内のトラブルの実態を調査した。その結果、年々腫瘍センター利用患者および歯科衛生士の面談件数は増えており、3年間で新たに6件のONJを見つけることができた。当院歯周科および口腔外科にてフォローしている。また、他の化学療法患者に口内炎の訴えがある患者が多く見られた。
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研究課題/領域番号:23659977 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
山本 直史, 高柴 正悟, 畑中 加珠, 山城 圭介, 山口 知子
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
生細胞の細胞周期の進行をリアルタイムで識別できるトランスジェニックマウス(Fucciマウス)は、歯周組織での時空的な細胞周期の動態を解析するための重要なツールであり,特に未分化な細胞と歯肉上皮の細胞周期の可視化に有用である。これを応用したFucciマウスの歯周病モデルの分子イメージング結果から,歯周組織の炎症期に活性化好中球が産生する一連の活性酵素が,歯周組織構成細胞の細胞周期をG1期で停止させる可能性が示唆された。
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2011年 - 2012年
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
高柴 正悟
本研究では、岡山県の特産品で安価に原料供給を受けることが出来るマッシュルームの石づき(廃棄部分)を原材料として、細菌バイオフィルムを抑制するレクチンの応用に関して、1安価で安定した大量抽出技術を確立し、2抽出物がStreptococcus mutans(S. mutans)以外のう蝕原因菌等の口腔細菌のバイオフィルム形成に対する抑制効果を検討して、本製法で得たレクチンを用いた口腔ケア剤がコスト的にも有効性においても実用的であることを検証する。本年度の研究では、マッシュルーム石づきからレクチン含有エキス製造法の確立を目標として開発研究を進めてきた。評価方法としては、赤血球凝集測定によって抽出物のレクチン活性を評価した。現段階では目標値にほぼ達する行程を確立することができており、今後バイオフィルム抑制効果および他菌種への検討へと移行する。
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前立腺癌の臓器転移に及ぼす歯周感染病巣の影響に関する基礎的研究
研究課題/領域番号:22592312 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
谷本 一郎, 渡部 昌実, 成石 浩司, 峯柴 淳二, 大森 一弘, 高柴 正悟
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
歯周病という慢性炎症において局所で繰り返す細菌感染は,感染局所と全身において,全く逆の生体反応をもたらすことがわかった。微細な感染を繰り返すことは,たとえば敗血症になるような多量の細菌感染から,あらかじめ全身を守ることにつながっていると考えられる。慢性炎症がもたらす全身的な生体反応制御が,感染以外のがん転移という侵襲に対しても影響を及ぼしているかもしれない。
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歯肉上皮細胞における増殖因子による細胞接着因子制御のメカニズムの分子生物学的解明
研究課題/領域番号:22890119 2010年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
山城 圭介, 山本 直史, 高柴 正悟
配分額:2977000円 ( 直接経費:2290000円 、 間接経費:687000円 )
歯周病は歯周病原細菌の感染が原因で起こる慢性炎症で,日本人の約8割が罹患していると言われており,歯の喪失のもっとも大きな原因である。しかし個人差による進行の程度などわからないことも多い。歯肉上皮と歯が接着することは細菌感染に対しての物理的バリアとなっており,接着を強固にすることは歯周病の予防に大変重要であると考えられる。本研究では,歯肉上皮細胞が産生する増殖因子が,細胞接着を制御していると仮説を立てそのメカニズムを調べたものである。
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遷延する慢性感染が慢性閉塞性肺疾患の免疫応答に与える影響とその機序の解明
研究課題/領域番号:21590964 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
室 繁郎, 伊藤 功朗, 成石 浩司, 佐藤 晋, 高柴 正悟, 三嶋 理晃, 伊藤 功朗, 黄瀬 大輔, 星野 勇馬, 小川 恵美子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
93名のCOPD患者の観察研究の結果、安定期の測定した歯周病抗体価の高値は、COPD増悪頻度に抑制的に関連するという、予想とは反対の結果を得た。血清中のIL-4とIL-7の濃度は、歯周病抗体価の陰性群で、歯周病抗体価陽性群に比して高値であるという結果であり、抗体産生能力と、液性免疫に関連するサイトカインが増悪の有無に関連する可能性が示唆された。また、肺気腫は増悪を経験することによって進行することが明らかとなった。
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古細菌シャペロニン分子の交差反応性と歯周病ならびに自己免疫疾患への関与
研究課題/領域番号:21592624 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
前田 博史, 高柴 正悟, 苔口 進, 谷本 一郎
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
歯周病は口腔内細菌の感染によって発症する疾患である。ところが近年、細菌とは異なる微生物の古細菌が歯周病の原因となるが報告された。古細菌はヒトのシャペロニンと類似した蛋白質を保有している。このため、この分子に対する免疫応答が誘導された場合には、自己のシャペロニンが免疫応答の標的となり、自己免疫応答が誘導される可能性が高い。本研究では、歯周病患者と自己免疫疾患患者のシャペロニンに対する応答性を解析し、シャペロニンに対する自己免疫応答が誘導されている可能性を示した。
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RhoAによる細胞分化機構を応用した歯根膜細胞移植治療のための基礎的研究
研究課題/領域番号:20592429 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山本 直史, 高柴 正悟, 峯柴 淳二, 山城 圭介, 成石 浩司, 塩見 信行, 園山 亘
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化過程は、RhoA-ROCKシグナルが制御する細胞骨格の性状に依存的であり、その細胞骨格はBMP-4やWnt3aおよびWnt5aなどの硬組織分化に関与する遺伝子発現を制御すると考えられる。一方、RhoAおよびROCKを過剰発現した歯根膜細胞は著しい細胞増殖能の低下を示したことから、歯根膜細胞の分化は、細胞骨格の性状に加えて、種々の増殖因子や細胞外基質の協調制御が重要であると考えられる。
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MMP-3を標的とした糖尿病患者における歯周病悪化メカニズムの分子生物学的解明
研究課題/領域番号:20592428 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
成石 浩司, 畑中 加珠, 高柴 正悟, 峯柴 淳二, 大森 一弘, 塩見 信行
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
糖尿病患者の歯周病が重篤化することが知られる。本研究において,高血糖状態で培養した歯肉線維芽細胞のMMP-3産生量は有意に増加した。しかし,sIL-6Rの産生性は著明に亢進しなかった。さらにTHP-1細胞において,MMP-3阻害剤の添加によってsIL-6Rの産生量が有意に抑制された。以上の事から,MMP-3産生の亢進が糖尿病患者における歯周病悪化を誘導する可能性が示唆された。さらにMMP-3がTHP-1細胞のsIL-6R産生性を亢進させることを考え合わせて,糖尿病患者における歯周病の悪化メカニズムには,歯肉線維芽細胞とマクロファージの相互作用にIL-6シグナル伝達系が関与する可能性が示唆された。
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ラット根管治療モデルを用いたラミニンγ2発現動態からみた根尖病巣治癒メカニズム
研究課題/領域番号:20592226 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
畑中 加珠, 山本 直史, 高柴 正悟, 下江 正幸, 山口 知子, 成石 浩司, 加古 綾
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
根尖性歯周炎(根尖周囲に骨吸収をきたす炎症性疾患)の治癒過程において遺伝子発現の亢進を報告した細胞外基質ラミニンおよび炎症性サイトカインIL-1αを中心に、骨再生を担う骨芽細胞に対するこれら分子の効果を検討した。IL-1αは骨芽細胞のインテグリンα3発現を亢進し、また、骨芽細胞のラミニンに対する細胞接着性を亢進させたという結果は、根尖病巣の治癒期に病巣部への骨芽細胞の誘導・定着を示唆するものである。
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付着歯肉の分化に関連した特異的遺伝子・蛋白の同定とその機能解析
研究課題/領域番号:19659507 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
窪木 拓男, 高柴 正悟, 園山 亘, 滝川 正春
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
1.付着歯肉組織と遊離歯肉組織の遺伝子発現解析
前年度のマウスならびにラット歯肉組織の組織学的検討をもとにして,成体マウスの口腔内から実態顕微鏡下で付着歯肉と遊離歯肉をそれぞれ採取した、この組織からmRNAを抽出し,cDNAマイクロアレイを行い,両者の遺伝子発現を比較・検討した.
その結果,付着歯肉で発現量の高い遺伝子として,mmp12, integrin(alpha6), laminin(beta3), HIF-1a, VEGF, tenomodulin, collagen(typeV, alpha2), integrin(beta4)などが抽出された.一方,遊離歯肉で発現量の高い遺伝子としてIGFBP2, RABL3(member of RAS oncogene family-like3), RASA3(RAS p21 protein activator3), elastinなどが抽出された.既知の発現パターンと機能から考察するといくつかの遺伝子はたいへん興味深い研究対象と考えられた.
2,ヒト歯肉上皮細胞の培養
倫理委員会の許可を得て,抜歯時に得られたヒト歯肉サンプルから歯肉上皮細胞を分離し,同時に得た歯原性上皮細胞とその差異を比較,検討した.
その結果,歯肉上皮細胞は培養条件下では寿命が短く,cumulative population doubling(cPD)は平均8であった。一方,歯原性上皮細胞は平均16のcPDを示した.また,両者ともに上皮細胞のマーカーであるサイトケラチン14とE-cadherinを遺伝子レベルで発現していたが,amelogeninの発現は歯肉上皮細胞では認めなかった.すなわち,歯肉上皮細胞は歯原性上皮細胞と比較して,明らかに異なるフェノタイプを有していることを明らかにした. -
歯周病細菌の発現する非翻訳RNA遺伝子の網羅的クローニングと機能解析
研究課題/領域番号:19592387 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
前田 博史, 高柴 正悟, 新井 英雄, 谷本 一郎, 曽我 賢彦
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
歯周病の原因となる細菌(歯周病細菌)における、非翻訳RNAの役割を解析することを目的として、以下の研究成果を得た。(1) 歯周病細菌Aggregatibacter actinomycetetemcomitansに大腸菌と類似した非翻訳RNAが発現していることを示した。(2) A. actinomycetemcomitansからRNAシャペロンを同定し、クローニングした。(3) RNAシャペロンを介した非翻訳RNAによる遺伝子発現調節機構がA. actinomycetemcomitansに存在する可能性を示した。(4)歯周病の病態には細菌だけでなく古細菌種が関与しており、その解析の必要性を示した。
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研究課題/領域番号:19592201 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
谷本 一郎, 塩見 信行, 成石 浩司, 高柴 正悟, 前田 博史
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
口腔内の二大感染症であるう蝕と歯周病を効果的に予防するため, 歯面にとどまる殺菌剤と新規担体の組み合わせを開発した。塩化セチルピリジニウム(CPC)とリン酸化プルランの混合物は, リン酸化アパタイト表面に吸着し, う蝕原性細菌・歯周病原細菌に対して抗菌作用を発揮することが明らかになった。新規物質であるリン酸化プルランの安全性をラットの肝臓で確かめ, 為害性が少ない物質であることを確認した。