共同研究・競争的資金等の研究 - 成瀬 恵治
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関節破壊を制御する転写因子とマイクロRNAの誘導機構とその治療応用
研究課題/領域番号:23390366 2011年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
廣畑 聡, 二宮 善文, 成瀬 恵治, 西田 圭一郎, 大月 孝志, 小川 弘子
配分額:19110000円 ( 直接経費:14700000円 、 間接経費:4410000円 )
本研究の目的は変形性関節炎(OA)の細胞外マトリックス分解に中心的な役割を果たす切断酵素アグリカナーゼの遺伝子発現を制御するmicroRNAと転写因子群の発現制御を明らかにすることである。細胞伸展刺激装置を用いた軟骨様細胞実験系において、メカニカルストレスによる転写因子の発現誘導を解析した。転写因子においてはHIF-2は刺激によってそれほど上昇顕著ではなく他の転写因子の関与が大きいと考えられた。microRNAに関しては、サイトカイン刺激とメカニカルストレス刺激による反応性を網羅的に解析した。既報のmiR-140を含め、microRNA変動が層別化できることが初めて明らかとなった。
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心機能制御における心肥大・心室形態調節の分子基盤と臓器機能連関のフィジオーム解析
研究課題/領域番号:23300171 2011年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
毛利 聡, 橋本 謙, 氏原 嘉洋, 成瀬 恵治, 宮坂 武寛
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
心臓の血液ポンプ機能は心筋の量と性質、心室形態によって決まり、その制御は外界からの情報を感知して、変化に適応する形で行われる。その例として出生時における心筋分裂の停止と肥大への移行について検討した。胎児心筋細胞を3%酸素下と20%酸素下で培養したところ低酸素下では分裂が継続したが、高濃度酸素では分裂が停止した。それぞれの条件で発現が変化した遺伝子を検索して、分裂を停止している心筋細胞を再び分裂させるために有用な知見が得られた。また、心筋細胞の機械的受容を司る分子のについて検討し、TRPV2と呼ばれる介在版のイオンチャネルが心臓機能や構造の維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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心筋細胞内小器官の機械感受性と動的心筋バイオメカニクスの関係
研究課題/領域番号:23300167 2011年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
入部 玄太郎, 脇元 修一, 成瀬 恵治
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
我々はこれまで心筋細胞の伸展刺激によってカルシウムスパーク(筋小胞体カルシウム放出チャネルであるリアノジン受容体からの局所的で自発的なカルシウム放出現象)頻度が増加することを報告してきた。これまでこの現象には細胞膜上のNADPHオキシダーゼ由来の活性酸素が関わっているとされてきたが、今回の研究により、この現象は伸展刺激によるミトコンドリアからの活性酸素産生上昇がリアノジン受容体を刺激することによるものであることが明らかとなった。
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細胞外マトリックスによるがん血管新生、リンパ管新生制御のメカノバイオロジー
研究課題/領域番号:23612004 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
稲垣 純子, 廣畑 聡, 二宮 善文, 成瀬 恵治
配分額:5460000円 ( 直接経費:4200000円 、 間接経費:1260000円 )
ADAMTS1はマトリックス分解酵素であり強力な血管新生抑制作用を持つ。ADAMTS1のリンパ管新生への効果と、担がんマウスモデルにおけるがん組織中の内圧と腫瘍増殖、リンパ管新生の関係について検討した。リンパ管内皮細胞に強制発現させたADAMTS1は、VEGFCと複合体を形成しVEGFR3のシグナル伝達を阻害することでリンパ管新生を抑制することが明らかになった。また、内圧の増大する腫瘍にVEGFCを投与しリンパ管を形成させると、腫瘍の増大が抑制された。さらに、伸展刺激がADAMTS1やリンパ管新生関連遺伝子の発現に影響を与えている可能性が示唆された。
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自己集合性ペプチドゲルを用いた3次元培養ストレッチシステムの開発
研究課題/領域番号:23650264 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
成瀬 恵治, 貝原 恵子, 永井 祐介
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
効率的な組織再生を行うために、3次元培養組織に機械刺激を加えることができるシステムの開発を行った。独自に開発した自己集合性ペプチドゲルおよび伸展培養容器を組み合わせたシステムを用い、3次元培養したマウス筋芽細胞に伸展刺激を加えたところ、細胞内ERKのリン酸化や細胞増殖率の向上が確認された。これらの結果から、本システムが3次元培養細胞に機械刺激を与え、増殖などを制御できることが証明された。
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医工学的解析に基づく生体機械受容システムの分子的基盤と生理学的意義の解明
研究課題/領域番号:22240056 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
成瀬 恵治, 毛利 聡, 中村 一文, 竹居 孝二, 山田 浩司, 入部 玄太郎, 片野坂 友紀
配分額:50570000円 ( 直接経費:38900000円 、 間接経費:11670000円 )
生体内では至るところで、重力・伸展や剪断応力といった物理的な機械刺激が生じている。細胞の機械受容システムを介して伝達されるこのような刺激は、単に生体にとって不利益なストレスではなく、発生過程や臓器機能発現に不可欠な生体情報であることが次第に明らかになってきた。本研究では、独自のメカニカルストレス負荷システムおよび評価系の開発を通して生体での機械受容環境を再現し、生体の巧みなメカニカルストレス応答機構を明らかにする。
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マルチレベル医工学評価法に基づく心筋メカノセンサーの作動機序と病態生理的役割
研究課題/領域番号:21300166 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
片野坂 友紀, 成瀬 恵治, 毛利 聡, 金川 基, 片野坂 公明
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などの血行力学負荷は共通の引き金である。
本研究では、臨床で経験されるような多様な血行力学負荷が、どのような機構で心肥大・心不全の発症および重症化を招くのかを明らかにするために、心筋メカノセンサーの作動機序と心不全発症への役割を解明することを核とした分子・細胞・生体を網羅するマルチレベル医工学的評価法に基づいたトランスレーショナルリサーチを展開する。この結果、心臓ポンプ機能を長期にわたって維持する分子的基盤を得ることを目的としている。
昨年度に引き続き、心筋細胞の興奮収縮連関に大きく関わるCa2+輸送体に関するトランスジェニックマウスを作製することを通して、血行動態負荷(メカニカルストレス)に対する臓器応答、心筋細胞応答を解析した。具体的には、特定の輸送体の発現レベルを調節したときのみに、特定の臓器形態的変化、機能変化が見られることが明らかとなった。また、新生児培養心筋細胞応答の解析からは、それぞれのトランスジェニックマウスにおける肥大応答能力を解析することが可能であった。これらの結果を総合して判断すると、心筋細胞の興奮収縮連関に大きく関わるCa2+輸送体には、それぞれ適切な分子発現量が存在し、その範囲内で可能な適応現象も、その範囲を超えることで適応不能へ陥ることが明らかとなった。得られた知見から、心肥大から不全への進行におけるCa2+輸送体の役割を、より詳細に議論することが可能となった。さらに、本年度は、生体メカノセンサーの病態生理学的な役割を明らかにするために、様々な血行動態負荷(メカニカルストレス)によって引き起こされる細胞内リモデリングを分子レベルで明らかにした。この結果、血行動態負荷(メカニカルストレス)のかかりかたによって、細胞応答が大きく異なることが明らかとなってきたところである。 -
細胞膜を破壊する蛋白質・ペプチドと膜の相互作用の単一巨大リポソーム法による研究
研究課題/領域番号:21310080 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
山崎 昌一, 岡 俊彦, 丹波 之宏, 宇理須 恒雄, 成瀬 恵治
配分額:19630000円 ( 直接経費:15100000円 、 間接経費:4530000円 )
直径10μm以上の巨大リポソーム(GUV)を用いた単一GUV法を利用して、細胞膜に障害を与える蛋白質/ペプチドと脂質膜との相互作用を研究した。抗菌ペプチド・マガイニン2による膜中のポア(小さな孔)形成の速度定数がペプチドの膜表面濃度により決定されることや、蛍光プローブの膜透過速度定数の測定より、ポア形成時にポアの大きさが時間的に変化することを見出した。また、スフィンゴミエリンに特異的に結合する蛋白質毒素ライセニンの膜中でのポア形成やポアにおける蛍光プローブの膜透過係数などを解明した。
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医工学的解析に基づく肺ストレッチセンサーを介した肺癌発症機構の解明
研究課題/領域番号:21650113 2009年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
片野坂 友紀, 成瀬 恵治, 毛利 聡
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
我々の体を構成するほぼすべての細胞は、生命活動において常に機械刺激(メカニカルストレス)を受けているが、細胞の機械受容については未だ不明な点が多い。
肺は、我々が呼吸のたびに受動的にストレッチされる組織である。肺胞内部は、サーファクタントという脂質で覆われており、これが機能しないと直ちに肺が広がらなくなり呼吸不全に陥る。サーファクタントは、ストレッチ依存的に肺胞上皮から分泌されることが知られているが、肺のストレッチセンサーが未だ不明であるため、その分泌メカニズムは明らかにされていない。本研究では、生体の肺の膨張を再現する細胞伸展装置を開発し、肺ストレッチセンサーが、肺癌発症において重要な役割を持つことを証明することを目的とする。
本年度は、ストレッチセンサー分子と細胞増殖や分化の関係を明らかにするために、肺の膨張を再現するようなin vitro実験装置を開発した。具体的には、呼吸における肺の膨張を再現するようなin vitro実験系を確立するために、我々が既存に開発しているストレッチ装置を改良し、肺胞上皮細胞の初代培養細胞単離技術を確立した。また、数種類の肺癌由来細胞株を用いて、メカノセンサー分子類の発現や局在を詳細に解析し、肺癌発症におけるメカノセンサーの生理的役割を検討した。 -
冠循環・心臓メカニクス連関:分子進化から心機能、心不全発症機構までの医工学的解析
研究課題/領域番号:20300160 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
毛利 聡, 成瀬 恵治, 片野坂 友紀, 中村 一文, 宮坂 武寛, 入部 源太郎, 橋本 謙
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
脊椎動物の心臓は大別して冠循環を有するものと、心室内腔から直接血液が流入するタイプがある。冠循環心臓(ラット)と非冠循環心臓(カエル)の心機能を可変弾性の概念で評価すると、冠循環心臓は拡張期優位の血流を維持するために心室の拡張を制限して収縮性優位の構造を実現していた。また、心肥大・心不全時における心室形態制御を検討するために薬物投与によりNa-Ca交換体を心臓に強発現できるモデルマウスを作成し、内腔拡大を伴わない求心性肥大と拡張性の低下を確認した。
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ヒト心筋細胞の興奮収縮連関制御における機械的負荷の役割
研究課題/領域番号:20300159 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
入部 玄太郎, 成瀬 恵治, 毛利 聡, 片野坂 友紀, 佐野 俊二, 大島 祐
配分額:16900000円 ( 直接経費:13000000円 、 間接経費:3900000円 )
正常な心臓の心拍はたくさんの細胞が協調、影響しあって行われている。そこに伸展や衝撃といった物理的な外乱が加わるとその調和が乱れ、不整脈などの原因となるが、そのような物理的なな刺激の心臓への影響はよくわかっていなかった。今回の研究では細胞が急激に伸展されたときに起こる細胞内外でおこるさまざまなイオンの流入や流出の変化を詳細に調べ、そのときに起こる不整脈の発生メカニズムを明らかにすることができた。
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関節炎におけるアグリカナーゼ制御機構と変形性関節症早期診断・関節保護治療への応用
研究課題/領域番号:20390399 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
廣畑 聡, 二宮 善文, 成瀬 恵治, 大橋 俊孝, 西田 圭一郎
配分額:19630000円 ( 直接経費:15100000円 、 間接経費:4530000円 )
同意が得られた関節炎患者におけるADAMTS9のSNPを解析した。ADAMTS9のプロモーター解析でNF-κBの結合を同定した。関節炎患者由来細胞に周期性伸張刺激を加えるとADAMTS1,4,5,9はいずれも異なる発現誘導パターンを示した。COL1A1の発現増強とともにインテグリンの関与を明らかにした。軟骨細胞にメカニカルストレス刺激を加えるとMMP-13およびADAMTS-5が増加し、RUNX-2とp38MAPKが関与していた。ラット変形性関節炎モデルを作成し解析を行った。
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心不全発症における機械負荷様式の多様性~機械受容分子応答機構と新規治療開発
研究課題/領域番号:19200037 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
成瀬 恵治, 毛利 聡, 松井 秀樹, 富澤 一仁, 片野坂 友紀, 入部 玄太郎, 中村 一文, 草野 研吾, 大江 透
配分額:49400000円 ( 直接経費:38000000円 、 間接経費:11400000円 )
近年、肥大の分子メカニズムが解明されつつあるが、臨床的に経験される肥大は、心負荷の機械的・時間的特性に依存した多様な応答であり、一元的な現象ではない。本研究では、心不全発症における筋形質膜のCa^<2+>輸送体の制御機構を解明するトランスレーショナルリサーチを展開して、実際の臨床で見られる機械負荷様式が多様な心不全に適用できるCa^<2+>ハンドリング是正治療を新規治療として開発することを目的とする。
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ムスカリン受容体作動性陽イオンチャネルとその調節系の分子実体解明
研究課題/領域番号:19590202 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
高井 章, 吉田 晃敏, 成瀬 恵治, 大日向 浩, 宮津 基, 高井 佳子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
副交感神経支配の効果器の典型である毛様体筋において、受容体作動性非選択性陽イオンチャネル(NSCC)の分子候補としてのTRPC(4種)とOrai1、およびそれらの調節に関与する可能性のある分子としてのG_(q/11)、STIM1、RhoA/kinase、rianodine受容体などの存在と細胞内局在を明らかにした。さらに、それらの機能的意義を検討した。
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生体血管膜モデルを用いた血管新生・消退機構の統合的解析
研究課題/領域番号:19659450 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
高畠 隆, 大月 洋, 成瀬 恵治, 毛利 聡, 森實 祐基
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
本研究は、1)瞳孔膜消退過程のメカニズムの詳細に対する分子生物学的検討、2)瞳孔膜の消退が眼球全体の発達に及ぼす影響についての検討を目的とした。1)我々はこれまでに虹彩の動きが瞳孔膜血管の血流の停止再開を誘導し、それによる虚血再還流障害によって瞳孔膜を構成する血管内皮細胞のアポトーシスが誘導されることを明らかにした。今回我々は虚血再還流障害以降の過程でどのような因子が機能しているか検討を行った。我々は血管内皮細胞のアポトーシスに関与するとサイトカインの中で、血管内皮細胞増殖因子と骨形成因子、また虚血再還流障害による細胞死において重要な役割を果たす活性酸素に注目しこれらの因子について瞳孔膜の消退時期における産生量について検討した。具体的には眼球の前房水中の血管内皮細胞増殖因子、骨形成因子、活性酸素の産生量を経時的に定量した。血管内皮細胞増殖因子および骨形成因子については瞳孔膜消退の前後で産生量に有為な変化を認めなかった。また活性酸素の産生量については計測が困難で有為なデータを得ることが出来なかった。2)瞳孔膜の消退が関与する他の眼球発達過程として我々は水晶体におけるナトリウム/カルシウム交換体の発現と硝子体動脈の消退に着目した。我々は虹彩の動きを抑制し瞳孔膜の消退を抑制し瞳孔膜を残存させた。そしてナトリウム/カルシウム交換体の発現をwesternblot法で検討した。また水晶体後方に存在する硝子体動脈の消退をその血管分岐点数を定量し検討した。瞳孔膜消退時期においてはナトリウム/カルシウム交換体の同位体1の発現を認めたが、その他の同位体の発現は認めなかった。同位体1の発現と瞳孔膜消退との間に因果関係を認めなかった。虹彩の動きを抑制すると瞳孔膜の残存がみられたが硝子体動脈の消退に影響はみられなかった。硝子体動脈の消退には虹彩の動きは関与していない可能性が高いと考えられた。
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心不全におけるCa2+ハンドリング機構解明と是正治療の開発
研究課題/領域番号:19790529 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
片野坂 友紀, 成瀬 恵治, 毛利 聡, 竹内 崇, 岩崎 慶一朗
配分額:3690000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:390000円 )
心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に充分な血液を送りだせなくなる状態である。最近の研究から、心不全の発症と進展には、心筋細胞内Ca2+調節破綻が大きく関わっていることが知られてきたが、そのメカニズムは未だ不明な点が多い。本研究の目的は、心不全発症に大きく関わるCa2+輸送体を同定し、この病態生理的意義を明らかにすることを通して、新規治療法開発の分子的基盤を得ることである。
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未熟児網膜症におけるヘモグロビン変換の関与
研究課題/領域番号:19659451 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
毛利 聡, 成瀬 恵治, 片野坂 友紀, 宮坂 武寛, 森実 祐基
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
未熟児網膜症は低体重出生児への過剰な酸素投与を中止した際に網膜の相対的低酸素状態が惹起され、病的な血管新生によって起こる網膜剥離が原因とされる。酸素運搬体であるヘモグロビンは生後胎児型(高酸素親和度)から成人型に変化酸素を容易に放出する成人型に変換されていくが、この変換が進んでいる症例では末梢組織(網膜)での酸素放出量が多く、酸素中止時の相対的低酸素が顕著になり未熟児網膜症を発症し易いという仮説を検証するために高速液体クロマトグラフィーを用いてカラムや溶離液の作成、グラディエント条件を検討して計測システムを構成した。また、赤血球の特性としてヘモグロビンによる一酸化窒素(NO)の結合や酸化による微小循環制御の解明のため、NO標準液を溶解させた生理食塩水(NO:190nM)50mlにヘパリンによる抗凝固を施した全血を0.3ml懸濁させてNO濃度の変化をNOセンサを用いて計測した。この実験系では成人型ヘモグロビンを含む赤血球が190nMのNOを90%減少させた。胎児型ヘモグロビン比率の計測には、赤血球による陽イオン交換カラムを用いて検出波長は415nm、流量は2ml/minとして、新生児の臨床検査のために採血した血液の廃棄分を用いて計測した。測定方法の妥当性を確認するために出生後週齢と胎児型ヘモグロビン比率について検討し、ロジスティック関数によるカーブフィティングから約8週齢で50%が成人型に変換されていた。今後これらの確立された実験系を用いて未熟児網膜症症例との関連を検討するとともに、胎児ヘモグロビン比率とNOの関係を検討する。
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新規アグリカナーゼの関節炎早期における誘導メカニズムとその役割・診断的応用
研究課題/領域番号:18390416 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
廣畑 聡, 二宮 善文, 西田 圭一郎, 成瀬 恵治, 小川 弘子
配分額:17180000円 ( 直接経費:15500000円 、 間接経費:1680000円 )
1:アグリカナーゼ誘導に関わる細胞内分子メカニズム
Wister系胎児ラットの膝関節から軟骨細胞を分離培養し、メカニカルストレスを加え、ストレス刺激時のアグリカナーゼ発現誘導を調べた。最終的に7%伸展(0.33または0.5Hz)で刺激後、0.5,2,6,12時間後にRNAを抽出し、各アグリカナーゼ発現の変化を検討したところ、アグリカナーゼ-2であるADAMTS 5は殆ど発現レベルに変化を生じないのに対して、ADAMTS1,4,9はいずれも発現が上昇している結果が得られた。
次にADAMTS9の発現誘導に関わる細胞内転写因子およびその結合部位に関する研究を行った。まず、ヒトADAMTS9のプロモーター部位をgenomic PCRにて得ることに成功した。異なった長さのDNAをルシフェラーゼアッセイ用のベクターに組み込んでコンストラクトを作成しルシフェラーゼアッセイを行い最もプロモーター活性の強いコンストラクトを決定した。
2:ラットOAモデルおよびマウス成長軟骨におけるADAMTS9発現動態の解析
雄性Wisterラット(200-300g)を用いて変形性関節炎モデルを作成し免疫染色を行った。関節破壊が進行しているステージではADAMTS9陽性細胞を多数認めたが、一方進行した時期ではむしろADAMTS9陽性細胞は減少していた。
次に、0週,7週,14週齢雄ICRマウスにおけるADAMTS-9のmRNA発現の検討を行った。マウス脛骨成長軟骨において、ADAMTS-9は成熟軟骨細胞層で一部陽性、肥大軟骨細胞においては、mRNAレベルで強く発現していた。成長軟骨における軟骨分化過程において、軟骨細胞が肥大化する際に、周辺のマトリックスを分解する手段の一つとしてADAMTS-9が関与する可能性があると考えられた。 -
研究課題/領域番号:17076006 2005年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究 特定領域研究
成瀬 恵治, 高井 章, 宮津 基, 毛利 聡, 片野坂 友紀, 入部 玄太郎, 片野坂 友紀, 入部 玄太郎
配分額:101500000円 ( 直接経費:101500000円 )
本研究では、私たちの体の"力"を感じるメカニズムの解明に向けて研究を行ってきた。具体的には、細胞の伸展刺激や薬物刺激に対する応答解析のための方法論をソフトリソグラフィーという微細加工技術に着目して開発し、これを用いて刺激応答の解析を行ってきた。また、高速原子間力顕微鏡という液中で分子の動きを観察する方法により、高い時間空間分解能で分子動態の観察を行い、体内における分子動態を解明してきた。
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新規微量プロテインフォスファターゼ群の分子クローニングと機能解析
研究課題/領域番号:17659059 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
高井 章, 大日向 浩, 宮津 基, 成瀬 恵治
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
ウサギの脳、心臓、腎臓、肝臓、骨格筋などの臓器をホモゲナイズして得られた抽出液を、それぞれ1型および2A型プロテインフォスファターゼ(PP1とPP2A)の高親和性阻害剤の一つであるミクロシスチンLR(MCLR)をリガンドとしたアフィニティカラム(現有)に通し、PP 1/PP2Aを除去したのち、液体クロマトグラフィ (LQ)(イオン交換LQ,疎水性LQ,ゲル濾過)にかけ、得られた分画についてPP活性を測定した。基質としては32P・燐酸化蛋白(カゼイン、ミオシン軽鎖、フォスフォリラーゼ、ピストンなど)の他、人工の発色基質(ρ-ニトロフェニル燐酸)などを試みた。
検出された酵素活性について、陽イオン要求性、阻害剤感受性[酒石酸、プロモテトラミゾール、アントラセン-9-カルボン酸(9AC)など]に基づいて新規PPを含む分画の同定を試みた。特に、9AC感受性分画を中心に二次元電気泳動や分取用等電点電気泳動装置を用いた酵素蛋白の精製を進め、目的とする酵素蛋白が二次元電気泳動により単一スポットとして泳動される程度に精製した。さらに、そのような試料についてN末のアミノ酸分析を行い、その配列情報をもとにdegenerated primerを設計してPCRを行い、全cDNA配列の決定に努めている。
今後、9AC感受性PPのcDNA全配列の決定とそれに基づいた発現系の確立を目指す。また、9AC感受性PP以外のPP活性を持つ分画に関しても同様の分析を進める。
なお、上記と並行してこれまで成功した例のない、大腸菌におけるPP2Aの大量発現系の構築を試みた。まだフォスファターゼ活性のある酵素の発現には至っていないが、2つの調節性サブユニットや分子シャペロンとの共発現により、従来より格段に多いPP2A蛋白の発現をおこすことができるようになった。