共同研究・競争的資金等の研究 - 成瀬 恵治
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重力を介すメカノトランスダクションが心筋細胞カルシウムハンドリングへ及ぼす影響
研究課題/領域番号:24K15698 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
貝原 恵子, 成瀬 恵治, 松浦 宏治
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運動機能の増進から健康長寿を高めるシーズとモダリティ開発
2024年04月 - 2025年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業インキュベートタイプ(LEAP LEAP )
淺原弘嗣, 一條秀憲, 関矢一郎, 岸田晶夫, 関 和彦, 成瀬恵治
担当区分:研究分担者
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新規メカニカル負荷装置の開発を通した次世代メカノメディスンへの挑戦
研究課題/領域番号:21H04960 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
成瀬 恵治, 西山 雅祥, 高橋 賢, 片野坂 友紀, 森松 賢順, 入部 玄太郎
担当区分:研究代表者
配分額:43290000円 ( 直接経費:33300000円 、 間接経費:9990000円 )
1. ストレッチ・静水圧負荷装置の開発:バルク型および顕微鏡型の開発を行った。基本設計は終了しており、微調整を行っている。
2. 軟骨に対するマルチメカニカルストレスへの応答解析:高圧受容応答メカニズムの解明を最終目的とし、高静水圧刺激による細胞及び、細胞内分子の挙動計測を実施した。定常圧力20 MPa以上の圧力を1時間負荷した際、シグナル伝達物質に関わるSmad 3タンパク質の細胞質から細胞核内への核移行が観察された。この圧力に依存したSmad 3の核内移行過程には、TGF-β receptor の活性化やImportin bとの結合が必要であることが分かり、高静水圧に依存したSmad 3核内移行メカニズムの提案が可能となった。
3. 心筋細胞に対するマルチメカニカルストレスへの応答解析:循環器における機械感受性イオンチャネルTRPV2の役割を、組織特異的TRPV2ノックアウトマウスを用いて、明らかにしてきた。その過程で、TRPV2は、心臓への圧負荷依存的肥大や心不全、血管の筋原性緊張や肥厚などに大きく関与する因子であることが明らかとなった。
4. 剪断応力・ストレッチチャンバーでのiPS心筋細胞3次元培養:剪断応力とストレッチの同時刺激が可能な臓器チップを用い、血管内皮細胞を播種した状態で、血管収縮の調節因子である一酸化窒素(NO)のライブイメージングを行った。その結果、ストレッチ刺激および圧力刺激に応じたNOの放出が確認された。
5. 心筋細胞標本の機能評価:心筋細胞のメカニカルストレスとそれに対する応答及び応答伝播の相互関係を観察するため、細胞を直列に配列させる培養法の開発を行った。フォトエッチング技術により描画した直線状パターンを鋳型としたPDMS製のマイクロ流路を作製し、これをイオンボンバーダーで親水処理した。これを用いてマウス幼若心筋細胞を播種することで、細胞を一次元的に配向させた状態で培養することに成功した。 -
微小重力下では細胞はどのような挙動をするのか?
研究課題/領域番号:20K21896 2020年07月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
成瀬 恵治
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
宇宙空間においては宇宙線・微小重力といった地球上とは異なる環境下であり、様々な身体変化が報告されその分子メカニズムに関して多く研究されているが、肝心の重力センシングメカニズムに関しては不明な点が多い。現在までに、我々は、重力感知機構に関する研究より、過重力負荷時の細胞構造、特に核・ミトコンドリアなどの密度の大きいものと細胞骨格との相互作用が重要であることを明らかにしてきた。その上で、「微重力下ではどのような細胞挙動をするのか?」と疑問に感じ、過重力とは反対の微重力下での細胞挙動のリアルタイム観察が喫緊の課題であることを痛感した。現在地球上において擬似微小重力環境を提供するクリノスタットにて細胞挙動(細胞運動・細胞形態変化・細胞内情報伝達等)を測定する試みが行われているが、リアルタイムでの細胞挙動を見ることは現在の技術では困難である。そこで、微小重力下では細胞はどのような挙動をするのかを観察したいという強いモティベーションの下、リアルタイム測定系クリノスタット搭載型蛍光顕微鏡の構築を本研究の目的とし研究に着手した。
まず、疑似微小重力装置搭載型顕微鏡システムの作製とし三次元光造形装置を用いて既存のクリノスタットに搭乗させられる蛍光顕微鏡のプロトタイピングを作成した。この顕微鏡を用いて高速回転させ、染色した核を観測することは可能であった。最終的には、アルミ材にて成型しクリノスタットに搭載する予定である。これと並行し2軸回転での培養に耐えうる特殊チャンバーの開発を行った。 -
機械感受性チャネルPiezo1とメカノセンサーを標的とした呼吸器疾患の病態解明
研究課題/領域番号:20K08554 2020年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
伊藤 理, 成瀬 恵治, 佐藤 光夫
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
圧縮、ずり応力、ストレッチ、基質硬度など、機械的刺激や環境(メカニカルストレス)は、呼吸器の発達、生理機能と恒常性の維持に必要不可欠である。一方で、過剰なメカニカルストレスやメカニカルストレスに対する呼吸器の応答の不具合は、気管支喘息、COPD、肺線維症、人工呼吸器関連肺損傷、肺癌を含む多くの呼吸器疾患の病態機序につながる因子となると考えられ、近年注目されている。
2010年Patapoutian博士らにより、機械感受性Ca2+チャネルとしてPiezo1, Piezo2が発見され(Coste B, et al., Science 2010;335:55-60)た。メカノセンサー分子を発見した功績に対して、TRPV1発見者のJulius博士とともに、Patapoutian博士に対して2021年ノーベル生理学・医学賞が授与された。
研究代表者は、これまでメカノバイオロジーを行う中で、これらPiezoおよびTRPVファミリーに着目し、「呼吸器細胞のメカノセンサーとして働く」、更には「喘息や肺線維症など、メカニカルストレスが関与する病態との関連がある」、との仮説を立てて研究を行ってきた(Ito S, Curr Opin Physiol 2021;21:65-70)。
まずは細胞レベルの実験において、培養ヒト気道平滑筋細胞および肺線維芽細胞にはPiezo遺伝子、特にPiezo1のmRNA発現が発現していることを確認し、siRNA導入によりmRNA発現レベルが抑制されることを確かめた。Piezoによる気道平滑筋細胞や肺線維芽細胞の機能における制御機構について、検討を行っている。 -
NOX4が及ぼす心不全移行へのメカノトランスダクションの解明
研究課題/領域番号:20K12598 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
貝原 恵子, 成瀬 恵治, 入部 玄太郎
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
全身へのポンプ機能を有する心臓は常に収縮弛緩を繰り返しており、心臓生理を解明する上でメカノトランスダクション(力学刺激を細胞が生理反応に転換する過程の分子機構)を理解することは非常に重要である。一方、疾患や老化等の負のイメージが強い活性酸素( ROS: Reactive oxygen species )であるが、実は細胞分化や 免疫などに関与する生命にとって非常に重要な生理活性物質である。現在、我々は独自の単離心筋細胞伸展刺激システムを用いて、細胞伸展負荷時にNOX4( NADPH Oxidase 4 )由来のROSが産生され収縮力を上げることを明らかにしているが、そのメカニズムは不明である。また、慢性的なメカニカルストレスに対するNOX4由来のROSが、心疾患へどの様に影響を及ぼしているかも明らかでない。そこで、本研究においては慢性的なメカニカルストレス応答で産生されたNOX4由来のROSが心不全移行に関与しているとの仮説のもと、NOX4を介したメカニカルストレスがカルシウムハンドリングへ及ぼす影響を明らかにするとともに、NOX4由来ROSによる心不全への影響を解明することを目的とし、研究に着手している。 今年度は、NOX4由来ROSの関与が疑われるイオンチャネルTRPV1 ( Transient Receptor Potential Vanilloid 1 ) 経路について阻害剤やノックアウトマウス等を用いて、単一細胞での発生張力の測定を行ったところ、有意な収縮力の低下が明らかとなった。つまり、伸展によって産生されたNOX4由来のROSがTRPV1を活性化し伸展時の収縮力増強に関与している可能性が高いことが示唆されたが、詳細は不明であり、今後の更なる研究が期待される。
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がん組織に分布する感覚神経に着目した、がんの新規バイオマーカーと新規がん神経治療の開発
2020年
特別電源所在県科学技術振興事業
担当区分:研究分担者
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がん組織に分布する感覚神経に着目した、がんの新規バイオマーカーと新規がん神経治療の開発
2020年
特別電源所在県科学技術振興事業
担当区分:研究分担者
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メカニカルストレス負荷システムの開発
2018年10月 - 2021年02月
安全保障技術研究推進制度
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研究課題/領域番号:17K20108 2017年06月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
成瀬 恵治, 藤田 彩乃, 松浦 宏治
配分額:6110000円 ( 直接経費:4700000円 、 間接経費:1410000円 )
我々のからだは常に外界から物理的刺激を受け適切に反応しているが、機械刺激である静水圧は重要であるにもかかわらず、研究の進捗が遅れていた。そこで、静水圧負荷・解析システムの構築を行うことにより細胞内情報伝達機構の解明、更には再生医療・不妊治療への応用技術の開発を目的とした。まず初めに、高圧リアルタイム計測システムの構築に成功した.その結果、歯根膜細胞、軟骨細胞、精子の圧力負荷応答の計測が可能となり、圧力感受閾値や運動能の定量を実施した.本計測システムは、生体組織における恒常性メカニズムの解明及び、生殖医療への知見創出に繋がることが今後期待される。
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宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解
研究課題/領域番号:15H05935 2015年06月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
古川 聡, 根井 充, 松崎 一葉, 日出間 純, 東端 晃, 東谷 篤志, 成瀬 恵治, 瀬原 淳子, 高橋 昭久, 井上 夏彦, 長瀬 博, 森田 啓之, 岩崎 賢一, 那須 正夫, 村井 正, 嶋津 徹, 村上 敬司
配分額:72410000円 ( 直接経費:55700000円 、 間接経費:16710000円 )
長期宇宙滞在時、無重力の物理ストレスは筋萎縮や骨密度低下を、閉鎖環境の精神的ストレスは体内リズム不調を、放射線被ばく等の環境リスクはDNA 変異等をきたす。有人宇宙探査での超長期宇宙滞在に挑戦する時代にあって、これらは今解決すべき課題である。同時にこれら課題への深い理解は、地上の高齢化・ストレス社会における生命維持・恒常性の担保に貢献し、健康長寿社会につながる。
本領域では[A01~03]に横断・補完的研究[B01]を加えた11の計画研究と30の公募研究の相乗的展開により、上記目的達成を目指している。H30年度は新たに78本の論文が発行された。
これまで[A01]宇宙からひも解かれる生命分子基盤の理解では、細胞の重力応答をリアルタイム観察できる遠心蛍光顕微鏡システム開発(成瀬)、微小重力下で線虫TGF-β/DBL-1の発現低下(東谷)、神経筋接合部の維持因子活性化の検出プローブを開発(瀬原)、骨代謝における重力応答機構の発見(茶谷)、視床下部摂食中枢活動のライブイメージ化(川上)等、[A02]生命体個体の高次恒常性・適応機構と生命医学への展開では、重力負荷による脳血流量の低下(岩崎)、宇宙飛行で前庭系を介した血圧調節機能低下(森田)、オレキシン1型受容体特異的拮抗薬リード化合物の発見、睡眠を制御する2遺伝子を世界に先駆け発見(長瀬)、閉鎖環境によるストレスマーカー候補の検出(古川)、宇宙長期飼育マウスの破骨細胞による骨破壊が亢進(篠原)等、[A03]宇宙環境によるリスク因子研究では、模擬無重力装置に放射線同期照射システムを構築 (高橋)、国際宇宙ステーションでの微生物モニタリング(那須)等、[B01]では、クマムシの放射線耐性メカニズム解明(國枝)、放射線被ばくによる細胞ダメージの可視化(沢野)等があり、宇宙滞在はじめ極限的環境での生体維持機構やその基盤的研究が進んでいる。 -
研究課題/領域番号:15H05936 2015年06月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
成瀬 恵治, 曽我部 正博, 小林 剛, 高橋 賢
配分額:95030000円 ( 直接経費:73100000円 、 間接経費:21930000円 )
本研究は、細胞の重力応答をリアルタイムで観察できる遠心蛍光顕微鏡システムを開発した。これにより、数十分間の回転刺激に対する細胞形態変化のライブイメージングに成功した。
また細胞の重力感知に関する新たなメカニズムを発見した。宇宙では宇宙飛行士の骨密度が低下するが、これに一致するように模擬微小重力は間葉系幹細胞の骨分化に抑制的に働く。これは、模擬微小重力環境下で機械感受性イオンチャネルTRPV4の活動が低下し、続いてプロテインキナーゼCの活性が低下することにより、転写共役因子YAPの核内移行が抑制されることによることが示唆された。さらに、異種動物間の遺伝子発現量を統一的に解析する統計手法も開発した。 -
メカノメディスン:メカノ医工学を駆使した再生医療・生殖医療への展開
研究課題/領域番号:26220203 2014年05月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
成瀬 恵治, 王 英正, 高橋 賢, 松浦 宏治, 入部 玄太郎
配分額:201760000円 ( 直接経費:155200000円 、 間接経費:46560000円 )
メカノ心臓再生医療に関し、ヒトiPS細胞から自発的に収縮する心筋細胞への分化誘導を行った。この分化誘導は周期的伸展刺激により早期化し、ヒト線維芽細胞との共培養により促進された。小児拡張型心筋症に対する心臓内幹細胞の自家移植療法に関し、TICAP-DCM第1相臨床研究を3症例に対し行い、細胞移植を無事に実施した。
メカノ生殖補助医療に関し、マウス受精卵を用いてメカニカルストレスの有無による遺伝子発現の違いを網羅的解析したところ、胚発育、細胞死、環境ストレス等に関する遺伝子発現に有意差が見られた。また従来のマウス用チャンバーに対し、ヒト受精卵に利用可能な高純度シリコン樹脂製チャンバーを完成させた。 -
ストレッチ刺激が培養皮膚に及ぼす影響の解析~オーダーメイド皮膚の作成を目指して~
研究課題/領域番号:26462732 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
長谷川 健二郎, 高橋 賢, 成瀬 恵治, 徳山 英二郎
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
我々は、世界初の3次元全層培養皮膚の伸展培養が可能なシステムを開発しており、今回このシステムを用いて伸展刺激が3次元全層培養皮膚に及ぼす影響の解析を行った。伸展刺激を加えた群で表皮層の厚みが増し、表皮分化マーカーであるinvolucrinの発現が増加しており、伸展刺激が表皮細胞の分化・増殖を促進することが示唆された。さらに基底膜構成タンパクであるLaminin 5, Collagen IV/ VIIの合成および基底層への沈着が増加し、基底膜におけるLamina densaの長さとヘミデスモゾームの数も有意に増加しており、伸展刺激により、より発達した基底膜を形成することが分かった。
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関節破壊を制御するマイクロRNAの統合的解析と軟骨における機能解析
研究課題/領域番号:26293338 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
廣畑 聡, 伊藤 佐智夫, 成瀬 恵治, 西田 圭一郎, 大月 孝志, 二宮 善文
配分額:16250000円 ( 直接経費:12500000円 、 間接経費:3750000円 )
本研究は変形性関節症の細胞外マトリックス分解に中心的役割を持つアグリカナーゼの遺伝子発現レベルがmicroRNAによってどう制御されるかを統合的に解析し、その作用メカニズムを明らかにした。microRNAの標的遺伝子を探索するために、複数のデータベースを使い候補となる遺伝子を絞り込んだ。今回の研究によって、変形性関節症の細胞外マトリックス破壊に役割を持つ可能性のある新たなmicroRNAを同定し、機能を明らかにすることができた。
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心疾患治療に向けた革新的次世代メカノ組織工学・再生医療の創生
研究課題/領域番号:26242042 2014年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
成瀬 恵治, 王 英正, 高橋 賢, 入部 玄太郎
配分額:23270000円 ( 直接経費:17900000円 、 間接経費:5370000円 )
心臓再生医療において、力学的・機械的刺激(メカニカルストレス)を用いた新しい技術を開発するために研究活動を行った。まず、心臓機能障害の動物モデルを作出するためにin vivoでECGを記録しつつラット冠状動脈左前下行枝(LAD)を結紮する実験を行った。組織学的解析の結果、LAD支配領域に心筋壊死による梗塞巣が形成されていることが確認された。計画段階において、心機能障害のモデルとして心筋梗塞モデルと右心不全モデルの作出を想定していたが、心筋梗塞モデルの作出は達成された。
細胞培養による移植細胞の作出実験に関しては、3次元培養用の培養装置の開発を行い、これを用いた細胞培養を開始した。新生児ラットの単離心筋細胞およびラット心筋細胞株を用いた実験により、ゲルを足場にして細胞が3次元的に生育あるいは増殖することを確認した。この成果により、ずり応力およびストレッチによる機械的刺激を細胞に負荷する環境が確立された。
またOxford大学客員教授のPeter Kohlを招聘し、メカニカルストレスによる心臓再生医療の開発に関しディスカッションを行った。さらにメカノバイオロジーの世界的な権威が集う国際学会International Symposium on Mechanobiology 2014に研究者を参加させ、関連研究領域の情報収集を行った。また3次元プリンタのワークショップにも研究者を参加させ、細胞培養用の培養器開発の実務的知見を取得させた。
本研究の内容を包括する基盤研究(S)「メカノメディスン:メカノ医工学を駆使した再生医療・生殖医療への展開」の交付決定に伴い、本研究課題を終了しこれに引き継ぐこととした。 -
研究課題/領域番号:25560199 2013年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
成瀬 恵治
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
我々の体は、歩行時の膝にかかる荷重など、常に機械的な刺激を受けている。これらの刺激は細胞機能の活性化に役立っていると考えられている。本研究では、機械刺激と細胞機能の関係を明らかにし、機械刺激の作用を利用するため、実験的に軟骨(肉腫)細胞を自己集合性ペプチドゲルと呼ばれるゲルの中で培養した後、引っ張り刺激を繰り返し与えた。その結果、細胞からのコラーゲンとその他のタンパク質の産生量が低くなることを確認した。
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新しい自己集合性ペプチドゲルを用いた3次元全層皮膚ストレッチ培養に関する研究
研究課題/領域番号:24592713 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
徳山 英二郎, 成瀬 恵治, 高橋 賢, 永井 祐介
配分額:5330000円 ( 直接経費:4100000円 、 間接経費:1230000円 )
我々は、本研究において新しい自己集合成ペプチドゲルを用いて3次元全層培養皮膚の作成を試みたが、強度的に伸展培養が困難であった。そこで、1型コラーゲンゲルを用いる方法に変更することで強度が安定し、世界初の3次元全層培養皮膚ストレッチシステムを構築することに成功した。これを用いて、伸展刺激を加えた皮膚を解析したところ、伸展刺激を加えなかった皮膚に比べ、表皮層の肥厚、基底膜タンパクの増加が認められ、電子顕微鏡による観察では基底層におけるヘミデスモゾーム及びlamina densaが増加する所見が得られた。このシステムを用いることにより、より生体に近い条件での実験が可能になったと考える。
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機械刺激受容体を介したSOX9発現増加による培養軟骨細胞の脱分化抑制法の開発
研究課題/領域番号:24659671 2012年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
石黒 直樹, 鬼頭 浩史, 酒井 忠博, 金子 浩史, 三島 健一, 成瀬 恵治
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
ATDC5細胞の軟骨分化ではTRPV4mRNA発現がSOX9mRNA発現に先行して上昇、プロテオグリカン、II型コラーゲンも増加し軟骨分化作用との関わりを示した。機械刺激を負荷する実験系では、TRPV4活性化と、SOX9遺伝子発現の上昇、更にII型コラーゲン、プロテオグリカン産生亢進を確認した。TRPV4をRNA干渉によって抑制するとSOX9、II型コラーゲン、アグリカンのmRNA発現量は低下した。機械的刺激はTRPV4を介して、軟骨細胞分化促進効果を発揮していることを示した。TRPV4は軟骨分化に重要な働きを持つと共に、最適化した機械的刺激はTRPV4活性化を介して軟骨細胞分化に働くと結論した。
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自己集合性ペプチドゲルによる神経再生の有用性
研究課題/領域番号:24791907 2012年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
妹尾 貴矢, 長谷川 健二郎, 成瀬 恵治, 永井 祐介
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
神経修復に用いる人工神経の新たな素材として、100%化学合成されたゲル状素材である自己集合性ペプチドゲルを充填し実験を行った。人工神経に用いられるその他先行品と比較したところ、神経再生においてほぼ同等の効果を確認した。自家神経に比較すれば及ばないものの、ゲルを使用しない場合に比較して良好な神経再生が得られることを確認した。同素材は今後の100%合成での人工神経作成を目指すにあたり有用と思われる。