共同研究・競争的資金等の研究 - 冨樫 庸介
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肝細胞癌の背景肝に蓄積したT細胞の腫瘍抗原認識に着目した機能解析
研究課題/領域番号:22K08049 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小笠原 定久, 冨樫 庸介
担当区分:研究分担者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
肝細胞癌の発癌母地となる慢性炎症を有す肝臓(慢性肝炎または肝硬変)にはCD8+T細胞が蓄積・浸潤していることが知られている。一方、肝細胞癌のみならず全ての悪性腫瘍において免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を高めるためには腫瘍に浸潤する「腫瘍を認識した」CD8+T細胞が大きな役割を果たしている。肝細胞癌において背景肝に蓄積するCD8+T細胞と腫瘍に浸潤するCD8+T細胞の機能を個々に解析するために、我々は肝細胞癌対して免疫チェックポイント阻害剤を投与する症例の治療開始直前の臨床サンプルを、同一症例において①腫瘍局所、および腫瘍から離れた②背景肝の2ヶ所から生検を行い、ペアサンプルの蓄積、解析を行なった。本研究では臨床サンプルを用いて(A)肝細胞癌の腫瘍局および背景肝における免疫微小環境の評価、(B)肝細胞癌の腫瘍局所および背景肝のCD8+T細胞の抗原認識の相違性の探索、(C)項目A、Bで得られた解析結果と免疫チェックポイント阻害剤との奏効の関連性の検討を実施し、加えて(D)マウスモデルを用いたCD8+T細胞の抗原認識の相違性の検証を計画している。
本年度は、項目(A)では病理学的所見の検討、およびフレッシュサンプルを用いたフローサイトメトリー(FCM)を用いた免疫細胞の1細胞レベルの解析を行なった。項目(B)においてはTCRレパトア解析の準備を行なった。また、項目(C)の解析に向けてさらなる臨床データの蓄積を行なっている。 -
免疫チェックポイント阻害剤の課題克服を目指した腫瘍特異的T細胞の解析
研究課題/領域番号:22K08424 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
猪爪 隆史, 冨樫 庸介
担当区分:研究分担者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
抗PD-1抗体は3-4割のメラノーマ患者に奏効するが、一定割合で免疫関連有害事象も発生する。したがって、治療前に効果を予測するバイオマーカーの探索および効果と副作用の差別化が重要課題となる。本研究では代表者らのグループが専門とする、メラノーマ組織中の腫瘍特異的T細胞を同定してその性質と機能を分析する技術を駆使し、腫瘍内の腫瘍特異的T細胞に発現する特徴的な分子を探索する。本研究の特徴は代表者が持つメラノーマ組織中の腫瘍特異的T細胞を同定する技術と研究分担者が持つ単細胞RNA解析技術を融合して、腫瘍特異性が担保されたT細胞クローンの特徴をin vivoに近い状態で網羅的に解析する点である。同定された分子群は鋭敏なバイオマーカーとなる可能性がある。またそれらの分子の機能を解析し、アゴニストやアンタゴニストによって活性化すべきT細胞のみを選択的に活性化する方法を開発し、次世代がん免疫療法の開発を目指す。本計画では特に、腫瘍特異的T細胞の解析が世界でもほとんど進んでいない粘膜型、末端黒子型、先天性母斑由来型にフォーカスして解析を進めている。これらの病型について各2-3症例程度の網羅的解析を行って有用な分子を探索し、最終的には各病型20-50例の免疫染色によって一般的な傾向、有用性を検証する。今年度は可能な限り多くの進行期メラノーマ患者の体表転移 (主に粘膜型、末端黒子型、先天性母斑由来型)を切除してTumor digestを作成保存すること、tumor digestからがん細胞株と浸潤T細胞株を樹立して、それらの共培養によりがん細胞株に反応するT細胞クローンを多数樹立すること、増殖させた各T細胞クローンからmRNAを抽出し、5’RACE PCRによって可能な限り多くの腫瘍特異的T細胞受容体(TCR)遺伝子配列を同定すること、を重点目標として研究を実施した。
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腫瘍微小周辺環境における特異的分子に基づいた新規治療開発
2022年
AMED 橋渡し研究シーズA
担当区分:研究代表者
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悪性リンパ腫における遺伝子異常を基盤とした発症機構・分子病態の統合的解明
研究課題/領域番号:21H05051 2021年07月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
片岡 圭亮, 木暮 泰寛, 冨樫 庸介
担当区分:研究分担者
配分額:186680000円 ( 直接経費:143600000円 、 間接経費:43080000円 )
悪性リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)や、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)、節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)などを含む不均一な疾患である。近年、リンパ腫においても遺伝子異常の全体像が解明され、様々な新規異常が同定されてきた。しかし、多くの異常の生物学的意義、特に、その分子機構や生体内でリンパ腫発症に果たす役割、微小環境に与える変化は不明のままである。本研究では、申請者が同定した異常を中心に、リンパ腫で認められる遺伝子異常の詳細な分子機構・生体内における役割・微小環境に与える変化を解明するために、A.申請者の遺伝子解析研究で同定された異常の分子機能の解明・疾患動物モデルの解析、B.生体内CRISPRスクリーニングによるリンパ腫発症に寄与する遺伝子異常の高効率な検証、C. CRISPR制御部位スクリーニングによるB細胞リンパ腫特異的PD-L2発現制御機構の解明、D.単一細胞マルチオミクス解析のマウスリンパ腫モデルへの応用とリンパ腫微小環境の解明、E.ヒト検体由来の網羅的遺伝子解析データを用いた臨床応用の可能性の探索、を実施した。
本年度は、項目Aでは、ATLでアイソフォーム特異的に変異が認められるCICのアイソフォーム特異的欠失マウスの構築・解析を行い、CIC-L欠失により、ATLの起源細胞である制御性T細胞が増加することを明らかにした(Y Kogure, 2022 Blood)。項目Bでは、DLBCLで認められる異常も対象として生体内CRISPRスクリーニングを実施し、様々な造血器腫瘍の発症・進展に関与する遺伝子を同定した。項目Cでは、PD-L2発現制御に関わる転写因子をCRISPRスクリーニングにより探索した結果、7個の転写抑制因子および2個の転写促進因子を同定した。項目Dでは、単一細胞マルチオミクス解析のマウスモデルへの応用を実現した。 -
ゲノム異常を有する腫瘍浸潤リンパ球の1細胞解析方法の開発とその臨床的意義の解明
2021年06月 - 2023年03月
AMED 次世代がん医療創生研究事業
担当区分:研究代表者
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抗腫瘍免疫応答に重要な真のネオ抗原の同定と発がんとの関係解明
2021年04月 - 2027年
JST 創発的研究支援事業
冨樫 庸介
担当区分:研究代表者
がん免疫療法の効果は未だ満足のいくものではないです。がん免疫では遺伝子変異由来の「ネオ抗原」が注目されていますが、従来の「ネオ抗原」だけでは説明できない現象も多く、本研究では今まで注目されていない遺伝子や免疫細胞に踏み込み、「真のネオ抗原」を同定して治療応用を目指します。またがんになる手前の病変でも「真のネオ抗原」含めどのような免疫状態になっているか解明し、がんの予防方法などに応用します。
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鼻副鼻腔原発の粘膜型悪性黒色腫の免疫ゲノム解析および重粒子線の影響解明
研究課題/領域番号:21K09625 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
花澤 豊行, 猪爪 隆史, 冨樫 庸介
担当区分:研究分担者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫は、皮膚型の悪性黒色腫に比較すると予後が悪く、手術と放射線治療を有効に組み合わせることで、比較的良好な局所制御率を達成しているものの、遠隔転移が多いため極めて予後不良な疾患である。また、悪性黒色腫に効果があるとされる重粒子線治療単独での局所制御は高いものの、やはり遠隔転移が多いことが課題である。更に免疫チェックポイント阻害薬は、悪性黒色腫に対して一定の効果が示されているが、その効果は15%程度であり、有効な化学療法が存在しない現況から遠隔転移を如何に制御できるかは喫緊の課題である。本研究においては、粘膜型悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍免疫応答のメカニズムを明らかにすることが目的である。そこで、まずは鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫の免疫状態を解析するために、貴重な臨床検体を用いて、患者由来の悪性黒色腫細胞株およびオルガノイドとそのペアの腫瘍浸潤リンパ球を樹立して、腫瘍微小環境を再現する系の作製を試みた。腫瘍浸潤リンパ球の樹立には成功したものの、粘膜型悪性黒色腫細胞株の樹立に関してはさまざまな細胞が多数混在しているためやや難渋している。しかし、樹立した腫瘍浸潤リンパ球と臨床検体処理直後のTumor digestを共培養することで、IFN-γが産生されていることが確認でき、Tumor digestに含まれる粘膜型悪性黒色腫細胞を樹立した腫瘍浸潤リンパ球が認識できていることが確認できた。
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悪性黒色腫の腫瘍特異的疲弊T細胞に発現する新規接着因子の機能解析と臨床応用
研究課題/領域番号:21K08314 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
盛永 敬郎, 猪爪 隆史, 冨樫 庸介
担当区分:研究分担者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
免疫チェックポイント阻害薬(ICB)は、PD-1など免疫チェックポイント分子によって免疫応答が不活性化(疲弊)している腫瘍特異的T細胞を再活性化して、治療効果を発揮する。ICBは悪性黒色腫への効果が証明されているが、まったく無効な症例もあり、ICBで活性化できないT細胞の分子機構解明は急務である。我々は以前に、悪性黒色腫患者検体の腫瘍浸潤T細胞のシングルセルシークエンス(scRNA-seq)から、腫瘍特異的T細胞に既知の免疫チェックポイント分子以上に高発現する分子として、複数の接着因子を見いだしており、本研究は①これら接着因子の腫瘍特異的T細胞における発現機序を解明し、②抗腫瘍免疫応答における機能と結合リガンドを明らかにし、③臨床検体を用いて既存のICB治療効果も含め臨床病理学的に検討することで、接着因子を標的とした新規ICB治療法開発を目指すものである。
2021年度は①の分子機構について、そのシグナル経路を明らかにし、阻害薬でこれを抑制できることを確認した。また②については、当該分子の過剰発現が免疫応答に与える影響をin vitro実験で明らかにした。③についても臨床検体を集めて解析に着手している。これらの実験に附随して、本年度はPD-1阻害療法が疲弊T細胞に与える影響に関する共著論文を発表したほか、がん細胞自体の進化が免疫療法に影響しうるといった研究成果の論文発表を準備しており、目標としている新規ICB治療法開発の基礎的な知見を積み重ねている。 -
COPDの病態解明・新規治療開発のための空間解析を含むマルチオミックスデータベース構築
2021年 - 2022年03月
AMED ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(次世代医療基盤を支えるゲノム・オミックス解析)
担当区分:研究分担者
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腫瘍浸潤B細胞の本態解明とその治療応⽤
2021年
上原記念生命科学財団 研究奨励金
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がん抗原階層性からの腫瘍浸潤PD-1陽性T細胞の抗腫瘍免疫応答及び抑制能の解明
研究課題/領域番号:20H03694 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
冨樫 庸介, 盛永 敬郎
担当区分:研究代表者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
抗PD-1/PD-L1抗体はT細胞を活性化し抗腫瘍効果を発揮している。特に体細胞変異由来のネオ抗原は強い免疫応答を起こすことができるため、それらを認識しているエフェクターT細胞が重要である。申請者は肺癌の臨床検体から腫瘍浸潤T細胞のPD-1発現のバランスが抗PD-1/PDL1抗体の効果・耐性に関与することを明らかにした。本研究はさらに発展させ、ネオ抗原や共通抗原といった認識するがん抗原の階層性に基づくT細胞のPD-1発現といった表現型や機能の違いを明らかにし、より効果の高い治療や正確なバイオマーカー、個別化細胞療法の基盤データを得ることを目指す。
前年度に腫瘍細胞と反応するPD-1陽性CD8陽性エフェクターT細胞と制御性T細胞を含むCD4陽性T細胞を同定した。さらにシングルシークエンスを加速させるために共同で機器を購入したうえで詳細を解析したところ、CD4陽性T細胞に関してはPD-1の発現に加えて、他のマーカーも発現しており、1部では細胞傷害活性も有していた。CD4陽性T細胞の細胞傷害活性に関わる転写因子に関してもシングルセルシークエンスデータを解析したところ、CD8陽性T細胞で報告のある転写因子を同定できた。今後の同定した転写因子の機能への影響を検証する予定である。また制御性T細胞のPD-1発現機序として、乳酸代謝が関わることを明らかにした。
抗原性の観点でも制御性T細胞の解析を行ったが、今までに見つかっていない異常ペプチドを質量分析から同定しており、反応するT細胞に関して今後検証していく予定である。 -
異所性に存在する腫瘍ネオ抗原特異的T 細胞クローンの同定方法の開発
2020年 - 2021年
東京生化学研究会 研究奨励金
冨樫庸介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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腫瘍浸潤PD-1陽性制御性T細胞は「疲弊状態」にある
2020年 - 2021年
第一三共生命科学研究振興財団 研究助成
冨樫庸介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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腫瘍微小環境の「疲弊」CD4陽性T細胞の本態解明
2020年
千里ライフサイエンス振興財団 岸本基金研究助成
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HLA class I/class IIとがん免疫療法の効果と耐性への影響の解明と新たな治療開発
2020年
公益財団法人がん研究振興財団 がん研究助成金
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前がん病変から発がん過程における免疫応答とその逃避機構の解明
2020年
MSD生命科学財団 がん領域研究助成
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代謝産物が紡ぐがんドライバー遺伝子異常による抗腫瘍免疫応答への影響の解明と治療への応用
2020年
興和生命科学振興財団
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体細胞変異に伴う抗腫瘍免疫応答に対する新たな免疫編集機構の解析
研究課題/領域番号:19K22574 2019年06月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
冨樫 庸介
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
非小細胞肺癌、大腸癌の臨床検体を用いて、体細胞変異数が異常に多いにも関わらず、免疫応答が起きていないような症例の存在を明らかにした。そういった症例について、体細胞変異からネオ抗原を予測し、予測上位のペプチドと患者リンパ球を用いてアッセイした。ELISPOTではそのような症例でも抗原特異的T細胞の存在が確認され、ネオ抗原は存在するにも関わらず、特異的T細胞が浸潤できていないような状況が想定された。遺伝子発現を解析するとそういった症例では抗原提示細胞に関わる遺伝子発現が低下しており、逆にがんの悪性化に関わるシグナルの遺伝子発現が上昇していた。
またマウスモデルで変異を誘導した腫瘍株はマウスに拒絶されたが(株1)、さらに変異を誘導すると再びマウスに生着することを確認した(株2)。免疫不全マウスでは親株と株1、株2で生着や増殖に差は見られず、この現象には何らかの免疫環境が関与していると考えられた。これらの株について変異解析を行ったところ、親株<株1<株2と体細胞変異数が多かった。一方で、発現解析からは臨床検体同様に腫瘍の悪性化に関わるシグナルが複数関与していることを明らかにした。これらシグナルの阻害剤を使用した際に再生着した株2の成長が抑制され、この効果は他の株や免疫不全マウスでは見られず、株2でこのシグナルが免疫系に作用し免疫応答が抑制されていることが示唆された。
以上より、体細胞変異・ネオ抗原に対する抗腫瘍免疫応答を腫瘍側の悪性化に関わるシグナルが抑制するような新たな免疫編集機構の存在が示唆された。 -
シングルセルシークエンスによるネオ抗原特異的T細胞の時空間的解析から治療標的・バイオマーカーへの応用
2019年 - 2021年
AMED 革新がん医療実用化研究事業
冨樫庸介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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ネオ抗原特異的腫瘍浸潤T細胞に発現する接着因子の腫瘍免疫における役割
2019年 - 2020年
三菱財団 三菱財団自然科学助成金
冨樫庸介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金