共同研究・競争的資金等の研究 - 服部 高子
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二次骨化中心初期石灰化の生命科学、材料学、双方向からの解析と理解
研究課題/領域番号:16H06990 2016年08月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
ハラ エミリオ・サトシ, 松本 卓也, 岡田 正弘, 窪木 拓男, 長岡 紀幸, 服部 高子
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本研究では,マウス大腿骨二次石灰化現象について,軟骨内骨化の初期石灰化部位とタイミングを同定し,その部位における石灰化について,生命科学的・工学的に検討を行い,それぞれを時間空間的に比較することで,軟骨内骨化の多面的な理解を目的とした.実験の結果から,初期石灰化は生後6日目から開始することがわかった.開始点を電子顕微鏡で観察・解析した結果,細胞膜の断片(リン脂質)が石灰化の核になることがわかった.この結果から,リン脂質を基盤とした新しい無機有機ハイブリッド材料の開発に繋がる可能性があると考えられる.
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細胞外環境感知センサーを介した象牙芽細胞の規則的配列機構の解明
研究課題/領域番号:16K11475 2016年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
我々は、 象牙芽細胞分化培地に添加するデキサメタゾン (DEX)による象牙芽前駆細胞であるKN3細胞の増殖抑制を、一次繊毛の形成や細胞周期の制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88のノックダウンが解除する機構を探索した。その結果、一次繊毛の制御するシグナル経路の関与は認められなかったが、古典的Wntシグナル関連遺伝子であるCcn4、5の関与が疑われた。このため、Ccn4、5を強制発現させたKN3細胞を作製し、その影響を検討したが、DEXによる細胞増殖抑制をIft88ノックダウンが解除する機構には、Ccn4、5は関与していないことが明らかになった。
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軟骨細胞の成長概日リズムとSOX9-ユビキチンリガーゼとの関連
研究課題/領域番号:16K11476 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 久保田 聡, 西田 崇, 高江洲 かずみ, 池亀 美華
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究により、メラトニン受容体MT-1, MT-2が軟骨組織に発現していること、メラトニン添加により軟骨細胞の増殖が促進されること、また、MT-1, MT-2のアンタゴニストの添加によりその効果が消失すること、メラトニンの長期投与により軟骨細胞の分化マーカー遺伝子の発現が促進される一方で、肥大化のマーカー遺伝子の発現は抑制されること、さらに軟骨細胞がメラトニン合成酵素を発現しており、メラトニン産生は質量分析解析で確かめられたこと、メラトニン合成酵素および受容体遺伝子は概日リズムを持った発現をし、メラトニン投与によってメラトニン合成酵素遺伝子および受容体遺伝子は早い誘導を受けることを明らかにした
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Rab14とCCN2による小胞輸送がマトリクス形成に及ぼす役割
研究課題/領域番号:16K11786 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
星島 光博, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 上岡 寛, 久保田 聡
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
軟骨分化促進因子CCN2と細胞内輸送制御因子Rab14は、骨、軟骨および肺組織で極めて高いレベルで発現している。両者の分子間相互作用が、これらの組織で果たす役割を解明することを目的とし、骨細胞の分化や基質産生に及ぼす影響について検証した。
その結果、骨細胞の成熟に伴ってRab14とCCN2の発現が亢進し、Ⅰ型コラーゲンやオステオカルシンの発現が有意上昇していた。それに伴い細胞内カルシウム応答に関与するc-Fos、コネキシン43およびパネキシン3の発現が著しく増加した。また成熟骨細胞で、機械的刺激に対する細胞内カルシウムイオンの上昇率が有意に上昇した。 -
CCN2・CCN3のダイアーキーによる組織形成統合制御機構の解明と応用
研究課題/領域番号:25462886 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
ダイアーキー的相互作用を想定しCCN3を強制発現したところ細胞の線維化形質は抑制され、CCN2,4産生が抑制されていた。またCCN3を軟骨細胞に強発現するマウスを作成し解析した結果、内軟骨性骨形成の最終段階に遅延が認められた。なおCCN2協同分子として新たに数種の分子を見出した。
続いて変形性関節症 (OA)をラットに誘発させたところ組織のCCN3が著しく減少し、OA病巣へのCCN3タンパク質局所適用は改善効果を発揮した。
次に組織再生CCNカクテルのモデルとして血小板を分析し、そこにCCN1,2,3,5が含まれることを明らかにした。これに倣い調製したCCNカクテルはCCN2以上の効果を発揮した。 -
CCNファミリーの微小環境調整マスターマインドとしての分子基盤の解明と医学的応用
研究課題/領域番号:24390415 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
CCNファミリータンパク質のマスターマインドとして作用の分子基盤を、そのプロトタイプであるCCN1-3、特にCCN2を中心に、それらに対する結合分子を多数同定し各々の結合がもたらす最終的な生物学的作用を明らかにすることによって解明した。次いで、CCN2等の軟骨特異的過剰発現マウスを作成し、その表現系を解析することにより、CCN2等が実際に生体内でマスターマインドとして機能していることを証明した。また、CCN2の個別モジュールを骨格系組織の再生医療に応用できる可能性を示した。さらに、CCN2遺伝子を非侵襲性に生体内で発現誘導させ、軟骨組織を再生し得ることを見いだし、臨床応用への道筋を付けた。
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研究課題/領域番号:23390131 2011年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中島 和江, 中島 伸, 芳賀 繁, 小松原 明哲, 中村 京太, 鈴木 敬一郎, 福井 康三, 古市 昌一, 高橋 りょう子, 奥村 明之進, 上島 悦子, 山田 憲嗣, 高橋 敬子, 鶴和 幹浩, 田中 宏明, 和田 裕太, 上間 あおい, 島井 良重, 服部 高子, 團 寛子, 圓見 千代, 池尻 朋
配分額:15730000円 ( 直接経費:12100000円 、 間接経費:3630000円 )
学生がチーム医療やエラー予防を疑似体験できる、卒前医療安全教育用のゲーム及び教育方法を開発した。2コマの授業で、既存のグループ対抗ゲーム「マシュマロチャレンジ」を実施し、新規作成した振り返りシートでチームパフォーマンスを振り返り、引き続いて講義、有害事象に関するグループディスカッション、講師からのフィードバックを行うという教育方法を開発した。3大学の医学生等に対して実施し、高い教育効果が得られた。また、類似外観や名称による医薬品のとり間違いを経験するシリアスゲームを開発し、16名の医療従事者らで試行した。ゲーム上での失敗及び上達が、臨床の実際と似ていることやエンターテイメント性が確認された。
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CCNファミリー間のネットワーク形成による筋肉内異所性骨化の分子機構の解明
研究課題/領域番号:23592732 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
マウス筋芽細胞株C2C12に炎症性サイトカインの一つであるTNF-αを作用させると、CCN2/結合組織成長因子(CTGF)の産生量の増加が見られ、CCN2はC2C12細胞の細胞増殖とMyoD産生量を増加させた。この結果に一致して、Ccn2欠損マウスの筋組織では野生型と比べて筋芽細胞の細胞増殖が低下し、筋組織も低形成を示した。また、C2C12細胞にCCN2とBMP2を同時に添加すると、BMP2単独刺激で上昇したRunx2及びOsterixの遺伝子発現レベルは有意に減少した。
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研究課題/領域番号:23659872 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
軟骨は無血管の組織で従来軟骨内タンパク質輸送は拡散によるものと考えられていた。本研究では、軟骨に発現する Low-density lipoprotein receptor-related protein-1(LRP-1)が結合組織成長因子/CCN ファミリー2(CTGF/CTGF/CCN2/CCN2)をトランスサイトーシスすることにより軟骨内を輸送すること、すなわち、軟骨に拡散以外のタンパク質輸送機構が存在することを明らかにした。また、軟骨特異的 LRP-1 欠損マウスを作成し、骨格異常が認められることを明らかにした。
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低分子化合物ライブラリーを用いた骨形成過程における新規BMP2活性制御因子の探索
研究課題/領域番号:23592844 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
藤澤 拓生, 園山 亘, 窪木 拓男, 服部 高子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
骨欠損部に対して骨形成タンパク(BMP)を用いて骨造を図る方法は次世代の骨造法の最も有望な方法と考えられているが,ターゲットとする細胞の応答性の低さから大量のタンパクが必要となり高コストとなること,および大量のタンパク投与による副作用のリスクが高まる危険があり,より低用量で高効果の得られる投与方法の開発が望まれている。そこで本研究はBMPの生理活性を増強する低分子化合物を同定し,その機能を解明することを目的に以下の実験を行った。
まず初めに一次スクリーニングとして低分子化合物(FDA approved Drug Library)の細胞増殖能,細胞障害度ならびにBMP-2の生物学的活性に与える影響について検討した。細胞増殖能についてはMTS assayで,細胞障害度に関してはLDH assayでそれぞれ評価した。BMP-2の生物学的活性に関してはBMP-2シグナルの増強の有無をBMP-2にのみ特異的な反応を示すId-1プロモーター領域を有するレポーター遺伝子を導入したC2C12細胞を用いたルシフェラーゼアッセイで評価した。その結果,640個の低分子化合物ライブラリーから細胞に障害を与えることなくBMP-2の生物学的活性を相乗的に増強する,あるいは化合物単体でBMP-2様の生物学的活性を示す可能性のある化合物を40個抽出した。さらに二次スクリーニングとしてin vitroでアルカリホスファターゼ活性の測定とアリザリンレッド染色による石灰化能の検討を行い40個の候補化合物からBMP-2の骨形成能を増強している可能性のある化合物を7個抽出した。 -
Sox9ユビキチン化酵素発現異常と骨格系発達異常および神経障害との関連
研究課題/領域番号:21592359 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 滝川 正春, 久保田 聡, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
内軟骨性骨形成過程においてSox9は間葉系細胞が軟骨細胞へと分化する方向性を決定する転写制御因子として知られており、Sox9の活性の厳密な調節が正常な骨格形成に必要だと思われる。本課題では、Sox9の細胞内量を調節するSox9特異的ユビキチンリガーゼを同定し、このユビキチンリガーゼによるSox9の細胞内量調節が内軟骨性骨形成に及ぼす影響を調べ、ユビキチンリガーゼの異常によるSox9の分解不全と神経疾患との関わりについて明らかにした。
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CCN2結合性ペプチド・RNAアプタマーの開発と組織再生・疾患治療への応用
研究課題/領域番号:21592360 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
CCN2は骨や軟骨組織を調和のとれた再生に導く分子であるとともに、様々な臓器の線維化病変に関与することが知られている。したがってCCN2の機能をコントロールすることには、再生医療や線維化疾患治療の観点から大きな意味がある。本研究ではこのCCN2に結合する小分子、アプタマーを設計・作成し、CCN2の分子機能の制御を試みた。その結果、軟骨組織の再生を促進するアプタマー、骨リモデリングを制御しうるアプタマーをそれぞれ開発することができた。
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CCNファミリー2/CTGFによる破骨細胞形成促進作用の分子メカニズムの解明
研究課題/領域番号:20592173 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
マウスマクロファージ系細胞株(RAW264.7)及び胎生14.5日肝細胞にRANKL,M-CSF及びCCN2を添加すると、多核巨細胞数はRANKL,M-CSF刺激群よりも増加した。このメカニズムを調べるために胎生14.5日のCCN2欠損マウスから肝細胞を採取し、RANKL,M-CSFを添加すると、単核の破骨細胞までは分化するが、その後の細胞融合は抑制された。またCCN2欠損マウス由来の単核破骨細胞にCCN2を添加すると破骨細胞融合が回復した。これらの結果はCCN2が破骨細胞形成、特に細胞融合に関与する事を示唆している。
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CCNファミリーの新規シグナルコンダクターとしての包括的分子基盤の解明とその応用
研究課題/領域番号:19109008 2007年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:110500000円 ( 直接経費:85000000円 、 間接経費:25500000円 )
CCNファミリータンパク質が、オーケストラの指揮者(コンダクター)が様々の楽器を駆使してシンフォニーを奏でるが如く、「細胞外シグナルをハーモナイズさせるコンダクター」というべき新概念のタンパク質群であることを証明し、従来の細胞外シグナルネットワーク研究の刷新に繋がる成果を挙げた。また、同タンパク質の「調和ある組織再生」への応用と「異常発現で誘発される疾患の治療」へ向けての基礎データの集積という医学的応用に結びつく成果を挙げた。
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MMPの新機能:マトリクス合成促進因子の転写因子としての役割
研究課題/領域番号:19659487 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
(1)MMP-3と複合体を形成する転写関連因子の探索と機能解析;MMP-3とnuclear MMP-3associated protein (NuMAP)の発生、内軟骨性骨化過程における遺伝子発現変動の解析:まず、マウスの発生段階でのこれら遺伝子の発現変動をin silicoでESTデータベースを活用し解析した結果、MMP-3の制御標的であるCCN2遺伝子発現は原腸陥入以後成体に至るまでは誘導されること、またMMP-3は出生時以後に発現が誘導されることが明らかになった。これに対してNuMAPであるretinoblastoma binding protein4(RBBP4)、nuclear receptor co-repressor1(NRCR1)、Interleukin enhancer binding factor2(ILF2)は卵細胞から成体に至るまで広い発生段階で遺伝子発現がみられた。続いてマウス成長軟骨初代培養細胞増殖・分化系でRBBP4とILF2遺伝子発現が、共に、後期分化、つまり肥大化に向かうに従って上昇することをリアルタイムRT-PCRで明らかにした。以上より、NuMAPのうちRBBP4およびILF2は、発生毅階で見る限りではcofactorとは考えにくいものの、内軟骨性骨形成においてはMMP-3によるCCN2遺伝子の転写活性化を支える役割を果たすものと考えられる。
(2)他のMMPsによるCCN2/CTGF遺伝子の転写制御の検討:軟骨細胞様HCS-2/8細胞におけるCCN2遺伝子プロモーター活性を、MMP-2/9特異的阻害剤の存在下で評価した結果、MMP-3特異的阻害剤でみられた用量依存的な転写活性抑制効果はみられなかった。したがってMMP-2およびMMP-9はMMP-3とは異なり、MMPとしての古典的機能と関連した形では、CCN2遺伝子の転写制御にかかわっていないことが示唆された。 -
マイクロRNAによるCCNファミリー遺伝子発現制御ネットワークとその生物学的意義
研究課題/領域番号:19592142 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
マイクロRNA(miRNA)は小分子noncoding RNA(ncRNA)であり、個々のmiRNAが数千のmRNAの3'非翻訳領域を標的として、遺伝子の発現をネットワーク的に制御する。本研究ではCCNファミリー遺伝子の代表的メンバーであり、間葉系組織の成長ならびに再生を指揮するCCN2遺伝子が特定のmiRNAの制御ネットワーク下にあることを実証した。さらに、このmiRNAによる制御が、軟骨細胞の成熟形質の獲得・維持に重要であることも明らかとなった。またmiRNAの作用機構や軟骨細胞後期分化における役割を今後解明していく上で、有用な知見をも得ることができた。
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BACトランスジェニックマウスを用いた内軟骨性骨形成特異的遺伝子の解析
研究課題/領域番号:19592145 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 滝川 正春, 久保 田聡, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
全長10型コラーゲン遺伝子を含むbacterial artificial chromosome(BAC)DNAの10型コラーゲンプロモーター領域下流にSox9 cDNAを挿入し、Sox9を肥大化軟骨層に異所性に過剰発現するBACトランスジェニックマウスを作製し,(1) 骨髄の消失、肥大化軟骨層への血管侵入の遅延、肥大化軟骨細胞層の延長に起因する骨の短縮、(2) 延長した肥大化軟骨細胞層でのSox9の強い発現に加え、肥大化軟骨マーカー遺伝子の発現の低下、(3) Sox9は直接的にyθgfプロモーター活性を低下させる事、を明らかにし、これらの事からSox9の肥大軟骨細胞層における消失は、血管の侵入、骨髄の形成を可能にし,正常な内軟骨性骨形成に必須である事をin vivoおよびin vivoで明らかにした。
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結合組織成長因子(CCN2/CTGF)を用いた顎顔面領域の三次元軟骨再生
研究課題/領域番号:18592121 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
藤澤 拓生, 服部 高子, 滝川 正春, 窪木 拓男, 上原 淳二
配分額:3950000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:450000円 )
本研究では,ドナーサイトから採取した自己軟骨細胞をCCN2/CTGFとともに培養・増幅し、付形した3次元スキャフォードに播種後に移植する新しい顎顔面再生療法を開発するための基礎研究を行い,以下の知見を得た.
細胞実験にはすべて4周齢の日本白色ウサギの耳介より採取した初代耳介軟骨細胞を用いた.
1.CTGFの細胞増殖に対する効果をMTS assayで評価したところ,50ng/mlのCTGF添加により耳介軟骨細胞の細胞増殖は,細胞播種後5日目と7日目にコントロール群と比較すると有意に促進された.
2.DNA合成に対するCTGFの効果を[^3H]thymidineの取り込みを指標に検討したところ,CTGFは濃度依存性に耳介軟骨細胞のDNA合成を上昇させ,50ng/mlでピークに達した(コントロールの約1.5倍).
3.プロテオグリカン合成に対するCTGFの効果は[^<35>S]sulfateの細胞内への取り込みを指標に検討した.プロテオグリカン合成もDNA合成と同様に添加したCTGFの濃度依存性に上昇し,50ng/mlでピークに達した(コントロール群の約1.4倍).
4.軟骨細胞の分化関連マーカー遺伝子の遺伝子発現に対する効果はリアルタイムPCRにて検討した.50ng/mlのCTGFでコンフルエントに達した耳介軟骨細胞を48時間刺激することにより,CTGFの遺伝子発現は1.9倍,エラスチンの遺伝子発現は5倍,2型コラーゲンの遺伝子発現は1.5倍上昇したが,10型コラーゲンの遺伝子発現には有意な発現上昇は認められなかった.またエラスチンのタンパク産生をビクトリアブルー染色で確認したところ,CTGF添加によりビクトリアブルーの染色性は亢進していた.すなわち,エラスチンのタンパク産生はCTGF添加によりコントロール群と比べると亢進していた.一方,アリザリンレッド染色ではその染色性にコントロール群との差は認められなかった.すなわち,CTGF添加により耳介軟骨細胞の石灰化は誘導されなかった.
5.In vivoにおける軟骨再生に対するCTGFの効果は,細胞ペレットをヌードマウスの背部皮下に移植することで検討した.移植後4週に移植片を取り出したところ,CTGF処理群はコントロール群と比べると移植片の大きさが明らかに大きくなっていた.移植片をサフラニン染色したところ,CTGF群,コントロール群ともにサフラニン染色陽性であったが,CTGF群のほうがその染色性は亢進していた.
これらの結果から,CTGFには耳介軟骨細胞においてそのphenotypeを増強する働きがあると考えら,CTGFを弾性軟骨の修復・再生にも応用できる可能性が示唆された。 -
骨軟骨血球系の統合形成におけるトランスモジュレーターとしてのCCN2の役割
研究課題/領域番号:17591938 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵里子, 椋代 義樹
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
1.骨髄組織および血球系細胞におけるCCN2の産生状況と分布の解明
CCN2産生および標的細胞の特定:血小板に多量のCCN2が存在する事実から、CCN2の骨髄における産生者を巨核球と仮定し、まずその前駆細胞の表現型を有するヒト細胞株CMKにおけるCCN2mRNAおよびタンパク質の定量を行ったが検知限界以下であった。続いてヒト血球系幹細胞を分離し、そこから可能な限り分化誘導を進めた主常巨核球によるCCN2産生を検討した。その結果分化の最終段階で、巨核球によるCCN2のmRNA発現を確認することができた。ただしこの所見は最終的に血小板に含まれる大量のCCN2、を説明する証拠としては十分ではなく、他のCCN2の産生者の関与を示唆している。そこで骨髄組織標本を解析し、CCN2の細胞内取り込みに関連する分子を探索したところ、CCN2との相互作用が疑われているEphA4が巨核球表面に存在することを示す所見を得た。
骨髄血球系のCCN2標的候補細胞に対するCCN2の効果の解析:破骨細胞分化誘導培養系において、共培養した間葉系細胞からのCCN2産生をノックダウンすると破骨細胞の形成が抑制された。この事実は血球系である破骨細胞前駆細胞がCCN2の標的細胞である可能性を示している。
2.CCN2と骨髄の他の機能分子(サイトカイン、成長因子など)との相互作用の解明
遺伝子レベルでは、CCN2が軟骨細胞に作用し、単球系細胞の分化に重要なM-CSFを産生させうることを解明した。続いてCCN2結合分子の探索のため、CCN2の各モジュールに対する結合標的アミノ酸配列のスクリーニングを、ランダムな12アミノ酸残基を表面に呈示するバクテリオファージを用いて行い、各モジュールあたり10前後の結合アミノ酸配列を決定した。続いてこのデータから、in silico解析によって結合ペプチドモチーフの抽出を試みた。得られたモチーフに基づき合成ペプチドを試作しそのCCN2機能に対する影響を検討したところ、抑制活性を呈するものが認められた。 -
コンディショナルノックアウト法を用いた慢性関節リウマチ病因因子RA-A47の解析
研究課題/領域番号:16791124 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
服部 高子
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
1.軟骨細胞における関節リウマチ関連抗原RA-A47/HSP47とCCN2/CTGFの発現変動の関連
軟骨細胞においてHSP47の発現抑制が細胞外へのCCN2/CTGFの放出を促す知見が得られている事から、軟骨肉腫由来培養軟骨細胞HCS-2/8にリコンビナントCCN2/CTGFを添加するとHSP47との発現は抑制される一方,2型コラーゲンの発現は誘導されることがmRNAレベル、および蛋白レベルで明らかになった。また、この効果は、ウサギおよびマウス初代肋軟骨培養細胞においても観察され、さらにCCN2/CTGFの誘導剤であるデキサメタゾンを添加した場合にも同様にHSP47の発現抑制と2型コラーゲンの発現誘導が観察されたことから、HSP47の発現抑制が軟骨細胞外へのCCN2/CTGFの放出を引き起こし,さらにこのCCN2/CTGFがHSP47の発現を抑制する,フィードバック機構が働いて軟骨細胞における障害性の因子の誘導が加速されるのではないかと考えられる。
2.皮膚由来繊維芽細胞におけるHSP47とCCN2/CTGFの発現変動の関連
CCN2/CTGFを皮膚由来繊維芽細胞に添加すると,HSP47の発現は1型コラーゲンと同調して上昇し,皮膚におけるCCN2/CTGFによるHSP47の発現量変化の影響は、自己免疫疾患と考えられているSystemic Sclerosisと密接な関係があると思われる。
3.軟骨組織におけるCCN2/CTGFの過剰発現マウスモデルの作製
CCN2/CTGFの軟骨細胞における過剰発現の影響をin vivoで確かめるために,軟骨特異に発現する2型コラーゲンプロモーターを用いてCCN2/CTGFを過剰発現させたトランスジェニックマウスを作製した。発生段階においては、肥大軟骨層の短小が認められ、また軟骨分化マーカーの発現促進が認められた。これらの事から、CCN2/CTGFは少なくとも軟骨分化を促進する事が、in vivoで明らかになった。さらに軟骨維持におけるCCN2/CTGFの効果を調べる為に、生体マウス関節軟骨の解析を行っている。また、肥大軟骨層でCCN2/CTGFを異所性に高発現する為に、BAC DNAを用いた10型コラーゲンプロモーターLacZトランスジェニックの作製を行った。