共同研究・競争的資金等の研究 - 服部 高子
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液滴トランスクリプトーミクスによる相分離を介した細胞分化制御機構の解明
研究課題/領域番号:24H00652 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 大野 充昭
配分額:48100000円 ( 直接経費:37000000円 、 間接経費:11100000円 )
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糖代謝障害が招く軟骨肥大性細胞老化を介したO Aの発症機構の解明とC C N2の役割
研究課題/領域番号:24K12869 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 久保田 聡
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
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下顎頭軟骨変性を制御する分子メカニズムの解明
研究課題/領域番号:24K13004 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
桑原 実穂, 原 哲也, 丸尾 幸憲, 服部 高子, 角谷 宏一
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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相分離下での転写制御を解明するドロップレットーミクスの開発
研究課題/領域番号:23K17439 2023年06月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 大野 充昭
配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )
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非コードRNAを介した新たな軟骨ホメオスタシスとその変性メカニズムの解明
研究課題/領域番号:22K10218 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
森谷 徳文, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 近藤 星
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
本研究の目的は、2つの非コードRNA, miR-18aおよびUrothelial cancer-associated (UCA)1の軟骨分化における正負双方向の協調した調節機構を検証し、さらに軟骨組織の変性時におけるこれら非コードRNAの役割を解明することである。研究初年度(2022年度)は、当初の研究計画に基づき培養細胞での検証と並行してin vivoでの解析のためのUCA1ノックイン (KI) マウスの系統確立とその表現型解析を行なった。
1. UCA1のmiR-18aおよび軟骨分化促進因子Cellular Communication Network Factor (CCN) 2の発現への関与を検証するため、軟骨細胞株HCS-2/8にUCA1発現ベクターを導入し、軟骨分化マーカー遺伝子の発現を経時的に検討した。その結果、これまでの癌細胞での報告と同様に、UCA1によるmiR-18a発現抑制作用が確認された。また、UCA1によるCCN2, Sox9遺伝子の発現誘導および軟骨細胞の変性時に認められるACAN, COL2A1遺伝子の発現低下も認めた。
2. 癌細胞ではUCA1の発現抑制効果の報告されている、糖尿病治療薬メトホルミンをHCS-2/8細胞に添加し、経時的な遺伝子発現を解析したところ、UCA1の発現は上昇した。
3. UCA1は霊長類特有のlncRNAでマウスには存在しない。UCA1 KIマウスを作製すればin vivoでのUCA1の生理的・病理的役割の解明に直結する。我々はCRISPR-Cas9システムを用いてUCA1 KIマウスを作製し、系統確立に成功した。表現型解析の結果、当初の予測に反し、骨や生殖器などUCA1発現が影響すると思われた部位には明らかな組織学的・形態学的な変化は認められなかった。今後、骨―軟骨組織の形態学的・生化学的解析を行う予定である。 -
象牙芽細胞の表面に突き出た細胞小器官の機能解析と象牙質再生への応用
研究課題/領域番号:22K10075 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
象牙芽細胞の一次繊毛の形成や細胞周期制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88の機能制御により、理想的な形質・形態の象牙質の再生を目指すべく、まずは正常象牙質の形成過程である1. 象牙芽前駆細胞の接着・増殖、2. 分化、3. 細胞極性の分子制御機構の検討を行っている。
現在までに、IFT88は古典的WNTシグナルの抑制を介して象牙芽細胞分化を制御すること、また、古典的WNTシグナルは一次繊毛形成を抑制することを明らかにしている(Bone, 2021)。
本研究では、細胞増殖速度への影響を検討しており、Ift88をノックダウンしたsh-Ift88 MRMT-1細胞(乳癌細胞株)では、現在までの報告通り増加したが、Ift88をノックダウンしたsh-Ift88 KN-3細胞(象牙芽前駆細胞)では抑制された。この制御機構を探索するために、細胞増殖制御に機能するHippoシグナル経路の転写共役因子YAPの核移行検討について検討を行った。その結果、sh-Ift88 MRMT-1細胞においてはYAPが核移行する細胞数は増加したが、sh-Ift88 KN-3細胞ではYAPが核移行する細胞数は増加と減少の二極性を示した。また、Hippoシグナル経路とクロストークするWNTシグナル経路の転写調節因子beta-cateninの核移行についても同様に検討を行った。その結果、sh-Ift88 MRMT-1細胞においては、beta-cateninが核移行する細胞数は増加したが、sh-Ift88 KN-3細胞では減少した。現在は、それぞれのシグナルのactivator, inhibitorを添加し、その影響を検討中である。 -
体細胞分化の鍵となる遺伝子探索のための新方法論:インバース・ジェネティクスの開拓
研究課題/領域番号:21K19603 2021年07月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 青山 絵理子, 滝川 正春, 大野 充昭
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
初年度である本年度は、本研究で提唱する「インバース・ジェネティクス方法論」を、軟骨細胞を用いて検証することを第一の目的と定め研究を進めた。当初の予定ではマウス肋軟骨細胞を用いる予定であったが、長鎖非コードRNA (lncRNA) 遺伝子の数がはるかに多いこと、およびフィーダー細胞としてマウス由来SNL細胞を使うことを考慮しヒト軟骨細胞を用いた検討から開始することとした。理論上は可能だが軟骨細胞からiPS細胞を作成できたという報告はまだない。したがってまず山中4因子 (OSKM) を強制発現するレンチウイルスベクターを作成し、ヒト軟骨細胞に導入、リプログラミングが起こるかどうかをコロニー形成を指標に検討した。その結果OSKM導入発現2週間後には多数のコロニーの形成が見られ、軟骨細胞もiPS細胞化しうることが確認された。この結果を受けて、iPS干渉法によって仮説の妥当性とSOX9遺伝子の軟骨細胞分化の機能確認に進んだ。すなわち軟骨細胞にOSKMに加えてSOX9を発現させることでリプログラミングが阻止されるかを検証した。その結果SOX9発現によって形成されるコロニーは減少したがゼロにはならなかった。これはSOX9が単独で軟骨細胞分化を決定しているのではないためと考えている。そして次にシングルセル解析に進むにあたっては、解析前にフィーダー細胞を除去する必要がある。そのため以上の研究に並行して、蛍光色素mCherryを発現するSNL細胞を新たに樹立し、フローサイトメトリーで除去するシステムを整えてきた。ここまでは順調であったが、この実験システムではリプログラミング効率が十分ではなく、シングルセル解析で有意な結果を得るために必要なOSKM導入細胞数の確保が難しいことが分かってきた。そこで最近開発された一体型山中因子発現ウイルスベクターを試したところ、予備実験で飛躍的に高い導入効率が得られた。来年度はこのシステムを用いて研究を先に進める予定である。
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長鎖非コードRNA群によるCCN2を通じた骨格形成調節機構の解明
研究課題/領域番号:21H03105 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
本研究を支える2つの柱は、cellular communication network factor 2 (CCN2) 遺伝子をトランスに制御する長鎖非コードRNA (lncRNA) であるurothelial cancer associated 1 (UCA1) と、シスに制御するanti-CCN2 3'-UTR RNA (ACUR) である。
まずUCA1については、当該lncRNAの作動エレメント、つまり軟骨細胞分化を促進するRNA上の機能領域を突き止めるためin silicoでUCA1の構造を予測し、順に欠損させた3つの変異体を発現するシステムを、レンチウイルスベクターを用いて構築し、それらベクターを使って標的であるマウスATDC5細胞でこれら変異体を強制発現できることを確認できた。またUCA1が吸着しうるmiRNAを探索し、現在までに37のmiRNAをUCA1によって軟骨細胞内で制御されうる分子として特定できた。さらに新たな展開として、UCA1が骨芽細胞機能に与える影響を、軟骨細胞と同じ戦略、すなわちUCA1を持たないマウスMC3T3-E1細胞にレンチウイルスベクターで強制発現させ、骨芽細胞マーカー遺伝子の発現定量やアルカリホスファターゼ染色で評価した。しかしながら軟骨細胞とは異なり骨芽細胞形質はUCA1の影響を受けなかった。以前の研究で、間葉系幹細胞が骨芽細胞へ分化する際、UCA1発現は減少することも確認している。以上の所見は、UCA1が軟骨細胞において高度に特異的な機能を発揮していることを示唆している。
そしてACURについては、センスRNA、つまりCCN2 RNA には影響を与えることなくアンチセンスRNAのみを、RNase H活性により特異的に分解するGapmeRを5種類設計・合成し、ヒト軟骨細胞様HCS-2/8細胞に導入して関連遺伝子発現量を評価した。その結果、5種のうち2種のGapmeRによって効率よくACURのサイレンシングが起こることが確認され、その状況下ではCCN2遺伝子ばかりでなく、軟骨細胞マーカー遺伝子も抑制される傾向にあった。つまり骨格形成に対してインパクトを与えている可能性が濃厚となった。 -
長鎖非コードRNA群によるCCN2を通じた骨格形成調節機構の解明
研究課題/領域番号:23K21483 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 西田 崇
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
1. ACURの機能解析:ACURはCCN2 mRNAの3'非翻訳領域に相補的なアンチセンスRNAであり、その発現が予想に反してCCN2 mRNAの発現量と相関する。本年度は昨年度から取り組んでいる、GapmeRを用いたACUR特異的サイレンシング実験を繰り返し、ACURサイレンシングによりCCN2 mRNAの発現が有意に低下すること、さらに軟骨細胞分化のマスター転写因子であるSOX9の発現も同様に抑制されることを明らかにした。この効果はCCN2に対してより強くみられるため、ACURはCCN2の遺伝子発現促進を通じて軟骨細胞分化に貢献している可能性が高くなった。
2. ACURによるCCN2発現制御メカニズムの解析:ACURのCCN2制御機構を明らかにするため、CCN2 3'-UTRを蛍ルシフェラーゼ遺伝子下流に接続したレポーターベクターを軟骨細胞様HCS-2/8細胞に、ACUR強制発現ベクターとともに導入してルシフェラーゼ活性を評価したが、ACUR発現による変化はみられなかった。よってCCN2 3'-UTRを標的とするmiRNAなどのアクセスを遮断してCCN2発現を増強するという可能性は低くなった。そこで次にACURがCCN2遺伝子座周辺の微細環境の形成に貢献していることを想定し、予備実験を開始した。
3. UCA1の作用メカニズムの解明:昨年度の研究でUCA1の作用が軟骨細胞特異的であることが明らかになったが、本年度はヒト線維芽細胞にUCA1を強制発現させ、RNA-sequencingを行ったデータを公共データベースからダウンロードし再解析した。その結果、線維芽細胞でUCA1はCCN2発現に影響を与えないという結果が得られた。したがってUCA1によるCCN2発現制御は軟骨細胞形質の変化に伴う間接的な現象と考えられる。
4. CCN2遺伝子座から出力される新たなRNA分子の発見:CCN2 pre-mRNAから生成しうる環状RNA (circRNA)を探索したところ、ヒトとマウスにおいて今までに報告のないcircRNAが複数出力されていることを見出した。 -
長鎖非コードRNAによる骨細胞メカニカルストレス応答制御機構の解明
研究課題/領域番号:21K10189 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
石川 崇典, 宮脇 正一, 前田 綾, 大賀 泰彦, 久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
最近、タンパク質をコードしない長鎖非コードRNAが様々な生理的機能に関与していることが明らかとなっている。しかしながら、矯正歯科治療における歯の移動において極めて重要な生体反応である、骨細胞のメカニカルストレス応答に関与するとされる長鎖非コードRNAの報告はまだない。そこで、本研究では骨細胞のメカニカルストレス応答下で機能する長鎖非コードRNAを特定し、その詳細な分子機構を明らかにすることを目的とし、研究を実施している。
目的とする長鎖非コードRNAを特定するため、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を予定しており、初年度はまず実施するサンプルの条件を検討した。骨細胞様細胞株MLO-Y4細胞を培養し、同細胞に様々な種類のメカニカルストレスを負荷後、同サンプルを回収し、骨芽細胞マーカー遺伝子および骨芽細胞分化に関与しているとされる長鎖非コードRNAを定量RT-PCRにより評価し、マイクロアレイを実施するサンプルの選定を行った。初年度末の時点で概ね本作業は完了しており、今後はコントロール群と比較し遺伝子変動の大きかった方法でメカニカルストレスを付与したMLO-Y4細胞を準備し、網羅的遺伝子発現解析を実施していく。同サンプルの解析結果より、特定の長鎖非コードRNAの遺伝子発現の上昇もしくは低下が確認できると考えており、2年目以降では、その中で特に遺伝子発現の変動が多かったRNAをin vitroにてノックダウンおよび強制発現させ、骨代謝マーカー遺伝子の発現変動を確認し詳細な機能を調査することとしている。 -
変形性足関節症におけるCCN3を介した新たな軟骨細胞老化制御機構の解明
研究課題/領域番号:21K09280 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
雑賀 建多, 服部 高子, 中田 英二, 二川 摩周, 尾崎 敏文, 久保田 聡
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
変形性足関節症 (osteoarthritis of the ankle; OA of the ankle)の患者では痛みや歩行障害により日常生活動作が著しく低下する。我々はOA関連遺伝子の探索を行い、軟骨組織の発生・分化・再生過程において多様な生理機能を持つCellular Communication Network Factor (CCN)フ ァミリー遺伝子のうち、CCN3がヒトから得られた関節軟骨細胞で加齢とともに有意に増加していることを認めた。また、酸化ストレス刺激により老化を誘導した軟骨細胞でCCN3 発現の上昇を認めた。そこで、これらの結果をもとに足関節においてCCN3が軟骨細胞の老化によるOAを促進するか検討し、足関節の軟骨細胞において、CCN3を介した加齢性変性に対する分子メカニズムを解明することを目的としている。
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研究実施計画に基づき、足関節固定術や人工足関節置換術時に軟骨組織を採取し解析を行なっている。令和3年度は、まず並行して行なっている股関節軟骨研究を進めた。すなわち、Normal群とOA群を荷重部と非荷重部で分け、それぞれの組織をサフラニンOで染色した。肉眼的にOA群荷重部で明らかな軟骨層の菲薄化が確認できた。また、培養した軟骨細胞のmRNAをReal-time PCRを使用しCCN2, 3とADAMTS5で評価した。CCN3, ADAMTS5で荷重、非荷重関係なしにOA群で有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。さらに、組織より直接抽出した軟骨細胞のmRANを評価した。荷重、非荷重に関与することなくそれぞれの因子でOA群において有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。 -
新規軟骨老化促進因子CCN3の加齢に伴った発現誘導と細胞周期停止機構の解明
研究課題/領域番号:21K09815 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 久保田 聡, 西田 崇, 高江洲 かずみ
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
1.胎生期から出生後37週(8.6ヶ月齢)までの様々な時期のマウス肋軟骨組織から初代培養軟骨細胞を単離し、遺伝子発現の変化を調べると、CCN family member 3 (CCN3) mRNAとともに細胞周期停止因子p21, p53、senescence-associated secretory phenotype (SASP)因子であるIL-6, IL-8 mRNAの発現レベルと軟骨細胞採取時のマウスの加齢状態との間に強い正の相関があることがわかった。また、CCN3抗体を用いた1ヶ月から7ヶ月齢のマウス膝関節の免疫染色でも、加齢とともに強い染色性が観察された。2.ヒト患者由来初代培養軟骨細胞、ラット培養軟骨細胞株RCSに酸化ストレスとしてH2O2を添加し、人工的に誘発した老化軟骨細胞においてCCN3 mRNAの有意な発現上昇とともに、p21,p53の発現上昇、肥大軟骨マーカーである10型コラーゲン、マトリックスメタロプロテナーゼ13、アグリカン分解酵素ADAMTS5 mRNAの発現誘導が認められ、CCN3、P53の誘導は蛋白レベルでも確かめられた。この時、senescence-associated (SA)-β galactosidaseの活性化も確認された。3.RCS細胞にCCN3を発現ベクターの導入により過剰発現させるとp21プロモータ活性が上昇した。4.2週齢マウス膝関節より単離された初代培養軟骨細胞およびRCS細胞に組換えCCN3蛋白を添加するとp21, p53 mRNAが誘導された。これらのことからCCN3の発現上昇によっても細胞周期停止因子の誘導による老化が誘発されることが明らかとなった。5.軟骨組織特異的にCCN3を発現するトランスジェニックマウスの関節軟骨では、早期に関節変性が誘導され、このマウスの肋軟骨組織から単離した初代培養軟骨細胞では細胞周期停止因子群、SASP因子群の発現が上昇していた。6.ヒト患者由来関節組織から単離した初代培養軟骨細胞においてCCN3, p21,p53 mRNAの発現レベルと年齢との間に強い正の相関が観察された。
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CCN2の転写因子様機能を介した線維症のキープレイヤー筋線維芽細胞分化機構の解明
研究課題/領域番号:20K09889 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
線維性疾患は組織内にコラーゲンが過剰に沈着し、正常な組織機能が損なわれる慢性疾患である。近年、筋線維芽細胞が線維化のキープレイヤーとして注目されているが、その分化機構は未だ不明である。本研究課題の目的は線維化の進行に重要な役割を担うと考えられているCellular communication network factor 2 (CCN2)が筋線維芽細胞の分化にどのように関わっているのかをイントラクリン作用の観点から解明することである。当該年度では、未分化間葉系細胞株C3H10T1/2細胞を用いてCCN2にイントラクリン様の作用を誘導し、筋線維芽細胞への分化に対する影響を解析した。以下にその結果を示す。
1.シグナルペプチドを欠失したCCN2の発現プラスミド(SP-Ccn2)を構築し、C3H10T1/2細胞に遺伝子導入した。対照群としてシグナルペプチドを付加したCCN2の発現プラスミド(SP+Ccn2)を用いた。CCN2が核内に移行するかを蛍光免疫染色で調べた結果、SP+Ccn2を遺伝子導入した細胞ではCCN2が細胞質に局在したのに対し、SP-Ccn2を遺伝子導入した細胞ではCCN2は一部核内に見られた。
2.1.で作製した発現プラスミドをC3H10T1/2細胞に遺伝子導入し、筋線維芽細胞分化に重要な転写因子であるPU.1の遺伝子発現レベルを定量RT-PCR法で解析した。結果、SP+Ccn2を遺伝子導入した群ではempty vectorを導入した群と変わらなかったが、SP-Ccn2を遺伝子導入した群はPU.1の遺伝子発現レベルが有意に上昇した。
3.PU.1の標的分子であるテネイシンC及びPDGFの産生量をWestern blot解析で調べた結果、SP-Ccn2を導入した群で両分子の産生量の増加が見られた。 -
内在性UTRブロッカーによるCCN2遺伝子発現制御とその生物学的意義
研究課題/領域番号:19K22716 2019年06月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究の対象は、ヒトCCN2の3'-非翻訳療育 (UTR) を過不足なく覆うアンチセンス長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA) anti-CCN2 3'-UTR RNA (ACUR)である。ヒト子宮頸癌細胞HeLaと軟骨肉腫細胞HCS-2/3でのACURの発現はすでに予備実験で判っていたが、本研究はまずACURの発現を、別の細胞株や正常ヒト細胞でも検証することから始めた。その結果、ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231株でもACURが発現していること、さらにヒト膝関節から分離した関節軟骨細胞でもACURでも強い発現が確認できた。また、その発現量にはやはりCCN2 mRNAと正の相関があった。この所見は関節軟骨におけるACURの生物学的意義を示唆するものであり興味深い。なおCCN2遺伝子がすべての哺乳類に存在することから、マウスにもACURが存在すると思われたが、今後マウスを用いた実験を行うにあたってこの点を確認する必要がある。そこでCCN2遺伝子座の構造を比較解析し、ACURの構造を推定した上でマウスACURの検知を試みた。その結果マウスC3H10T1/2細胞株でもACURが転写されていることを確認できた。しかもその転写量はCCN2 mRNA同様、同細胞の脂肪細胞への分化によって大きく減少することが明らかとなった。
ACURの分子機能を明らかにする第一段階として、ヒトACURを一過性に強制発現するための発現プラスミドを構築した。そして本研究提案当初の仮説である3'-UTR封鎖機能を検証するため、蛍ルシフェラーゼ遺伝子にヒトCCN2 3'-UTRを接続したレポータープラスミドとともに、HCS-2/8細胞に導入してその効果をみたが、強制発現による有意な変化は見られなかった。
なお本研究を進める過程で、CCN2遺伝子座のまったく別の5'-UTR領域にアンチセンスlncRNAを新たに発見した。 -
細胞アンテナによる象牙質再生への道を拓く基礎研究
研究課題/領域番号:19K10109 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
日本人の平均寿命は年々伸びている反面、健康寿命は伸びていない。健康寿命を延長には咀嚼機能の維持が鍵となるため、歯牙の再生療法の開拓が望まれている。個々の歯牙の再建には象牙質の再生が必須であるが、自然状態での象牙質再生能力は不充分である。
このため、象牙芽細胞の細胞外環境感知センサー、つまり〝一次繊毛”の形成や細胞周期の制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88を機能制御することで、象牙質再生の実現を我々は目指している。理想的な形質・形態の象牙質を再生するためには、まず正常象牙質の形成過程を解明する必要がある。そのために、まず、1. 象牙芽前駆細胞の接着・増殖、2. 分化、3. 細胞極性の分子制御機構を検討する。その上で、象牙質再生法の開発を検討していく。
現在までに、Ift 88をノックダウンした象牙芽前駆細胞であるsh-Ift88 KN-3細胞では、一次繊毛形成に関係なく、細胞接着能力や細胞増殖速度が抑制されることを確認している。本年度は、KN-3細胞において、IFT88が細胞接着や細胞増殖を調節する機構を検討するため、Fucci-S/G2/M Green expression KN-3細胞を作製し、細胞周期のモニタリングをArrayScanを用いて行った。その結果、sh-Ift88 KN-3細胞では、コントロールのKN-3細胞と比較して、Fucci-S/G2/M Greenの発現が抑制されていることが明らかとなった。 -
低身長治療のみでなく関節機能維持によるアンチエイジング療法の開発を目的とした軟骨組織の概日リズム形成機構の解明
2017年10月 - 2018年09月
至誠会 平成29年度至誠会基礎医学研究助成渡辺慶子賞
服部高子
担当区分:研究代表者
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CCN2とVASH1による新たな内軟骨性骨化調節メカニズムの解明
研究課題/領域番号:17H06885 2017年08月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
村瀬 友里香, 滝川 正春, 佐藤 靖史, 久保田 聡, 青山 絵理子, 鈴木 康弘, 服部 高子, 吉田 祥子, 佐々木 朗
配分額:2730000円 ( 直接経費:2100000円 、 間接経費:630000円 )
本研究では、CCN2とVASH1による新たな内軟骨性骨化調節メカニズムを解明することを目的とした。興味深いことに、VASH1はCCN2と同様に肥大軟骨細胞層に局在し、また、軟骨細胞においてCCN2の発現を抑制すると、VASH1の発現が低下し、アポトーシスが誘導された。そして、その誘導されたアポトーシスはROS阻害剤であるN-acetyl-L-cysteineにより抑制された。これらの成果から、軟骨細胞の肥大化期には、CCN2-VASH1の発現が亢進し、ROSレベルの制御を介して肥大軟骨細胞の細胞死・アポトーシスを分化終末期まで防いでいる可能性が推測された。
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CCN2の新ポテンシャル:ワールブルグ・エフェクター機能の検証
研究課題/領域番号:17K19756 2017年06月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 志茂 剛
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
軟骨肉腫由来細胞での検討の結果、CCN2遺伝子発現抑制で細胞内ATP量が低下する一方、解糖系の阻害によりCCN2遺伝子発現も低下した。この事実から、同細胞ではCCN2はワールブルグ・エフェクターを超え、正のフィードバックにより解糖系を活性化するワールブルグ・ブースターとして機能することが明らかになった。また解糖系阻害が全CCNファミリー遺伝子の発現に与える影響を解析したところ、CCN3の遺伝子発現が強く誘導された。この現象はミトコンドリアでのATP産生を阻害しても見られず、解糖系の活性に依存する。以上より、CCN2とCCN3は解糖活性を核として緊密な制御下にあることも本研究において解明された。
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肥満による変形性膝関節症の発症機構の解明とCCN2によるその制御効果の検討
研究課題/領域番号:17K11641 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
Angiotensin II (ANG II)は軟骨細胞の増殖・分化を抑制すると同時にCCN2の産生量を濃度依存的に増加させた。その作用はANG II受容体であるAT1Rを阻害するロサルタン処置やゲノム編集によるAT1Rノックアウト軟骨細胞を用いた解析結果からAT1Rを介していることが明らかとなった。また、CCN2欠損ではANG IIの合成促進が示唆され、CCN2欠損マウスによる変形性関節症の発症にはANG IIの産生量の増加が関与していると考えられた。
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Sorcinの細胞内局在と軟骨内骨化過程における細胞分化との関連性を明らかにする
研究課題/領域番号:17K11635 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
河井 まりこ, 服部 高子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
Ca結合因子であるSorcinの骨形成過程ならびに骨代謝における役割解明を目的とし、sorcin遺伝子欠失マウスと野生型のマウスとの比較検討を実施した。胎生期における比較では、遺伝子欠失マウスが野生型マウスに比較し、破骨細胞の活性が高まる可能性が示唆された。また、生後マウスの比較では、骨質が野生型に比較し、高まる傾向が認められた。さらに、アパタイト配向性は遺伝子欠失マウス脛骨において、野生型よりも高まる傾向があることが認められた。これらの結果から、Sorcinは骨形成過程ならびに骨代謝に関連する因子である可能性が高いことが明らかとなった。