共同研究・競争的資金等の研究 - 服部 高子
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液滴トランスクリプトーミクスによる相分離を介した細胞分化制御機構の解明
研究課題/領域番号:24H00652 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 大野 充昭
配分額:48100000円 ( 直接経費:37000000円 、 間接経費:11100000円 )
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糖代謝障害が招く軟骨肥大性細胞老化を介したO Aの発症機構の解明とC C N2の役割
研究課題/領域番号:24K12869 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 久保田 聡
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
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下顎頭軟骨変性を制御する分子メカニズムの解明
研究課題/領域番号:24K13004 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
桑原 実穂, 原 哲也, 丸尾 幸憲, 服部 高子, 角谷 宏一
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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相分離下での転写制御を解明するドロップレットーミクスの開発
研究課題/領域番号:23K17439 2023年06月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 大野 充昭
配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )
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非コードRNAを介した新たな軟骨ホメオスタシスとその変性メカニズムの解明
研究課題/領域番号:22K10218 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
森谷 徳文, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 近藤 星
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
本研究の目的は、2つの非コードRNA, miR-18aおよびUrothelial cancer-associated (UCA)1の軟骨分化における正負双方向の協調した調節機構を検証し、さらに軟骨組織の変性時におけるこれら非コードRNAの役割を解明することである。研究初年度(2022年度)は、当初の研究計画に基づき培養細胞での検証と並行してin vivoでの解析のためのUCA1ノックイン (KI) マウスの系統確立とその表現型解析を行なった。
1. UCA1のmiR-18aおよび軟骨分化促進因子Cellular Communication Network Factor (CCN) 2の発現への関与を検証するため、軟骨細胞株HCS-2/8にUCA1発現ベクターを導入し、軟骨分化マーカー遺伝子の発現を経時的に検討した。その結果、これまでの癌細胞での報告と同様に、UCA1によるmiR-18a発現抑制作用が確認された。また、UCA1によるCCN2, Sox9遺伝子の発現誘導および軟骨細胞の変性時に認められるACAN, COL2A1遺伝子の発現低下も認めた。
2. 癌細胞ではUCA1の発現抑制効果の報告されている、糖尿病治療薬メトホルミンをHCS-2/8細胞に添加し、経時的な遺伝子発現を解析したところ、UCA1の発現は上昇した。
3. UCA1は霊長類特有のlncRNAでマウスには存在しない。UCA1 KIマウスを作製すればin vivoでのUCA1の生理的・病理的役割の解明に直結する。我々はCRISPR-Cas9システムを用いてUCA1 KIマウスを作製し、系統確立に成功した。表現型解析の結果、当初の予測に反し、骨や生殖器などUCA1発現が影響すると思われた部位には明らかな組織学的・形態学的な変化は認められなかった。今後、骨―軟骨組織の形態学的・生化学的解析を行う予定である。 -
象牙芽細胞の表面に突き出た細胞小器官の機能解析と象牙質再生への応用
研究課題/領域番号:22K10075 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
象牙芽細胞の一次繊毛の形成や細胞周期制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88の機能制御により、理想的な形質・形態の象牙質の再生を目指すべく、まずは正常象牙質の形成過程である1. 象牙芽前駆細胞の接着・増殖、2. 分化、3. 細胞極性の分子制御機構の検討を行っている。
現在までに、IFT88は古典的WNTシグナルの抑制を介して象牙芽細胞分化を制御すること、また、古典的WNTシグナルは一次繊毛形成を抑制することを明らかにしている(Bone, 2021)。
本研究では、細胞増殖速度への影響を検討しており、Ift88をノックダウンしたsh-Ift88 MRMT-1細胞(乳癌細胞株)では、現在までの報告通り増加したが、Ift88をノックダウンしたsh-Ift88 KN-3細胞(象牙芽前駆細胞)では抑制された。この制御機構を探索するために、細胞増殖制御に機能するHippoシグナル経路の転写共役因子YAPの核移行検討について検討を行った。その結果、sh-Ift88 MRMT-1細胞においてはYAPが核移行する細胞数は増加したが、sh-Ift88 KN-3細胞ではYAPが核移行する細胞数は増加と減少の二極性を示した。また、Hippoシグナル経路とクロストークするWNTシグナル経路の転写調節因子beta-cateninの核移行についても同様に検討を行った。その結果、sh-Ift88 MRMT-1細胞においては、beta-cateninが核移行する細胞数は増加したが、sh-Ift88 KN-3細胞では減少した。現在は、それぞれのシグナルのactivator, inhibitorを添加し、その影響を検討中である。 -
体細胞分化の鍵となる遺伝子探索のための新方法論:インバース・ジェネティクスの開拓
研究課題/領域番号:21K19603 2021年07月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 青山 絵理子, 滝川 正春, 大野 充昭
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
初年度である本年度は、本研究で提唱する「インバース・ジェネティクス方法論」を、軟骨細胞を用いて検証することを第一の目的と定め研究を進めた。当初の予定ではマウス肋軟骨細胞を用いる予定であったが、長鎖非コードRNA (lncRNA) 遺伝子の数がはるかに多いこと、およびフィーダー細胞としてマウス由来SNL細胞を使うことを考慮しヒト軟骨細胞を用いた検討から開始することとした。理論上は可能だが軟骨細胞からiPS細胞を作成できたという報告はまだない。したがってまず山中4因子 (OSKM) を強制発現するレンチウイルスベクターを作成し、ヒト軟骨細胞に導入、リプログラミングが起こるかどうかをコロニー形成を指標に検討した。その結果OSKM導入発現2週間後には多数のコロニーの形成が見られ、軟骨細胞もiPS細胞化しうることが確認された。この結果を受けて、iPS干渉法によって仮説の妥当性とSOX9遺伝子の軟骨細胞分化の機能確認に進んだ。すなわち軟骨細胞にOSKMに加えてSOX9を発現させることでリプログラミングが阻止されるかを検証した。その結果SOX9発現によって形成されるコロニーは減少したがゼロにはならなかった。これはSOX9が単独で軟骨細胞分化を決定しているのではないためと考えている。そして次にシングルセル解析に進むにあたっては、解析前にフィーダー細胞を除去する必要がある。そのため以上の研究に並行して、蛍光色素mCherryを発現するSNL細胞を新たに樹立し、フローサイトメトリーで除去するシステムを整えてきた。ここまでは順調であったが、この実験システムではリプログラミング効率が十分ではなく、シングルセル解析で有意な結果を得るために必要なOSKM導入細胞数の確保が難しいことが分かってきた。そこで最近開発された一体型山中因子発現ウイルスベクターを試したところ、予備実験で飛躍的に高い導入効率が得られた。来年度はこのシステムを用いて研究を先に進める予定である。
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長鎖非コードRNA群によるCCN2を通じた骨格形成調節機構の解明
研究課題/領域番号:21H03105 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
本研究を支える2つの柱は、cellular communication network factor 2 (CCN2) 遺伝子をトランスに制御する長鎖非コードRNA (lncRNA) であるurothelial cancer associated 1 (UCA1) と、シスに制御するanti-CCN2 3'-UTR RNA (ACUR) である。
まずUCA1については、当該lncRNAの作動エレメント、つまり軟骨細胞分化を促進するRNA上の機能領域を突き止めるためin silicoでUCA1の構造を予測し、順に欠損させた3つの変異体を発現するシステムを、レンチウイルスベクターを用いて構築し、それらベクターを使って標的であるマウスATDC5細胞でこれら変異体を強制発現できることを確認できた。またUCA1が吸着しうるmiRNAを探索し、現在までに37のmiRNAをUCA1によって軟骨細胞内で制御されうる分子として特定できた。さらに新たな展開として、UCA1が骨芽細胞機能に与える影響を、軟骨細胞と同じ戦略、すなわちUCA1を持たないマウスMC3T3-E1細胞にレンチウイルスベクターで強制発現させ、骨芽細胞マーカー遺伝子の発現定量やアルカリホスファターゼ染色で評価した。しかしながら軟骨細胞とは異なり骨芽細胞形質はUCA1の影響を受けなかった。以前の研究で、間葉系幹細胞が骨芽細胞へ分化する際、UCA1発現は減少することも確認している。以上の所見は、UCA1が軟骨細胞において高度に特異的な機能を発揮していることを示唆している。
そしてACURについては、センスRNA、つまりCCN2 RNA には影響を与えることなくアンチセンスRNAのみを、RNase H活性により特異的に分解するGapmeRを5種類設計・合成し、ヒト軟骨細胞様HCS-2/8細胞に導入して関連遺伝子発現量を評価した。その結果、5種のうち2種のGapmeRによって効率よくACURのサイレンシングが起こることが確認され、その状況下ではCCN2遺伝子ばかりでなく、軟骨細胞マーカー遺伝子も抑制される傾向にあった。つまり骨格形成に対してインパクトを与えている可能性が濃厚となった。 -
長鎖非コードRNA群によるCCN2を通じた骨格形成調節機構の解明
研究課題/領域番号:23K21483 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 西田 崇
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
1. ACURの機能解析:ACURはCCN2 mRNAの3'非翻訳領域に相補的なアンチセンスRNAであり、その発現が予想に反してCCN2 mRNAの発現量と相関する。本年度は昨年度から取り組んでいる、GapmeRを用いたACUR特異的サイレンシング実験を繰り返し、ACURサイレンシングによりCCN2 mRNAの発現が有意に低下すること、さらに軟骨細胞分化のマスター転写因子であるSOX9の発現も同様に抑制されることを明らかにした。この効果はCCN2に対してより強くみられるため、ACURはCCN2の遺伝子発現促進を通じて軟骨細胞分化に貢献している可能性が高くなった。
2. ACURによるCCN2発現制御メカニズムの解析:ACURのCCN2制御機構を明らかにするため、CCN2 3'-UTRを蛍ルシフェラーゼ遺伝子下流に接続したレポーターベクターを軟骨細胞様HCS-2/8細胞に、ACUR強制発現ベクターとともに導入してルシフェラーゼ活性を評価したが、ACUR発現による変化はみられなかった。よってCCN2 3'-UTRを標的とするmiRNAなどのアクセスを遮断してCCN2発現を増強するという可能性は低くなった。そこで次にACURがCCN2遺伝子座周辺の微細環境の形成に貢献していることを想定し、予備実験を開始した。
3. UCA1の作用メカニズムの解明:昨年度の研究でUCA1の作用が軟骨細胞特異的であることが明らかになったが、本年度はヒト線維芽細胞にUCA1を強制発現させ、RNA-sequencingを行ったデータを公共データベースからダウンロードし再解析した。その結果、線維芽細胞でUCA1はCCN2発現に影響を与えないという結果が得られた。したがってUCA1によるCCN2発現制御は軟骨細胞形質の変化に伴う間接的な現象と考えられる。
4. CCN2遺伝子座から出力される新たなRNA分子の発見:CCN2 pre-mRNAから生成しうる環状RNA (circRNA)を探索したところ、ヒトとマウスにおいて今までに報告のないcircRNAが複数出力されていることを見出した。 -
長鎖非コードRNAによる骨細胞メカニカルストレス応答制御機構の解明
研究課題/領域番号:21K10189 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
石川 崇典, 宮脇 正一, 前田 綾, 大賀 泰彦, 久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
最近、タンパク質をコードしない長鎖非コードRNAが様々な生理的機能に関与していることが明らかとなっている。しかしながら、矯正歯科治療における歯の移動において極めて重要な生体反応である、骨細胞のメカニカルストレス応答に関与するとされる長鎖非コードRNAの報告はまだない。そこで、本研究では骨細胞のメカニカルストレス応答下で機能する長鎖非コードRNAを特定し、その詳細な分子機構を明らかにすることを目的とし、研究を実施している。
目的とする長鎖非コードRNAを特定するため、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を予定しており、初年度はまず実施するサンプルの条件を検討した。骨細胞様細胞株MLO-Y4細胞を培養し、同細胞に様々な種類のメカニカルストレスを負荷後、同サンプルを回収し、骨芽細胞マーカー遺伝子および骨芽細胞分化に関与しているとされる長鎖非コードRNAを定量RT-PCRにより評価し、マイクロアレイを実施するサンプルの選定を行った。初年度末の時点で概ね本作業は完了しており、今後はコントロール群と比較し遺伝子変動の大きかった方法でメカニカルストレスを付与したMLO-Y4細胞を準備し、網羅的遺伝子発現解析を実施していく。同サンプルの解析結果より、特定の長鎖非コードRNAの遺伝子発現の上昇もしくは低下が確認できると考えており、2年目以降では、その中で特に遺伝子発現の変動が多かったRNAをin vitroにてノックダウンおよび強制発現させ、骨代謝マーカー遺伝子の発現変動を確認し詳細な機能を調査することとしている。 -
変形性足関節症におけるCCN3を介した新たな軟骨細胞老化制御機構の解明
研究課題/領域番号:21K09280 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
雑賀 建多, 服部 高子, 中田 英二, 二川 摩周, 尾崎 敏文, 久保田 聡
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
変形性足関節症 (osteoarthritis of the ankle; OA of the ankle)の患者では痛みや歩行障害により日常生活動作が著しく低下する。我々はOA関連遺伝子の探索を行い、軟骨組織の発生・分化・再生過程において多様な生理機能を持つCellular Communication Network Factor (CCN)フ ァミリー遺伝子のうち、CCN3がヒトから得られた関節軟骨細胞で加齢とともに有意に増加していることを認めた。また、酸化ストレス刺激により老化を誘導した軟骨細胞でCCN3 発現の上昇を認めた。そこで、これらの結果をもとに足関節においてCCN3が軟骨細胞の老化によるOAを促進するか検討し、足関節の軟骨細胞において、CCN3を介した加齢性変性に対する分子メカニズムを解明することを目的としている。
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研究実施計画に基づき、足関節固定術や人工足関節置換術時に軟骨組織を採取し解析を行なっている。令和3年度は、まず並行して行なっている股関節軟骨研究を進めた。すなわち、Normal群とOA群を荷重部と非荷重部で分け、それぞれの組織をサフラニンOで染色した。肉眼的にOA群荷重部で明らかな軟骨層の菲薄化が確認できた。また、培養した軟骨細胞のmRNAをReal-time PCRを使用しCCN2, 3とADAMTS5で評価した。CCN3, ADAMTS5で荷重、非荷重関係なしにOA群で有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。さらに、組織より直接抽出した軟骨細胞のmRANを評価した。荷重、非荷重に関与することなくそれぞれの因子でOA群において有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。 -
新規軟骨老化促進因子CCN3の加齢に伴った発現誘導と細胞周期停止機構の解明
研究課題/領域番号:21K09815 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 久保田 聡, 西田 崇, 高江洲 かずみ
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
1.胎生期から出生後37週(8.6ヶ月齢)までの様々な時期のマウス肋軟骨組織から初代培養軟骨細胞を単離し、遺伝子発現の変化を調べると、CCN family member 3 (CCN3) mRNAとともに細胞周期停止因子p21, p53、senescence-associated secretory phenotype (SASP)因子であるIL-6, IL-8 mRNAの発現レベルと軟骨細胞採取時のマウスの加齢状態との間に強い正の相関があることがわかった。また、CCN3抗体を用いた1ヶ月から7ヶ月齢のマウス膝関節の免疫染色でも、加齢とともに強い染色性が観察された。2.ヒト患者由来初代培養軟骨細胞、ラット培養軟骨細胞株RCSに酸化ストレスとしてH2O2を添加し、人工的に誘発した老化軟骨細胞においてCCN3 mRNAの有意な発現上昇とともに、p21,p53の発現上昇、肥大軟骨マーカーである10型コラーゲン、マトリックスメタロプロテナーゼ13、アグリカン分解酵素ADAMTS5 mRNAの発現誘導が認められ、CCN3、P53の誘導は蛋白レベルでも確かめられた。この時、senescence-associated (SA)-β galactosidaseの活性化も確認された。3.RCS細胞にCCN3を発現ベクターの導入により過剰発現させるとp21プロモータ活性が上昇した。4.2週齢マウス膝関節より単離された初代培養軟骨細胞およびRCS細胞に組換えCCN3蛋白を添加するとp21, p53 mRNAが誘導された。これらのことからCCN3の発現上昇によっても細胞周期停止因子の誘導による老化が誘発されることが明らかとなった。5.軟骨組織特異的にCCN3を発現するトランスジェニックマウスの関節軟骨では、早期に関節変性が誘導され、このマウスの肋軟骨組織から単離した初代培養軟骨細胞では細胞周期停止因子群、SASP因子群の発現が上昇していた。6.ヒト患者由来関節組織から単離した初代培養軟骨細胞においてCCN3, p21,p53 mRNAの発現レベルと年齢との間に強い正の相関が観察された。
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CCN2の転写因子様機能を介した線維症のキープレイヤー筋線維芽細胞分化機構の解明
研究課題/領域番号:20K09889 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
線維性疾患は組織内にコラーゲンが過剰に沈着し、正常な組織機能が損なわれる慢性疾患である。近年、筋線維芽細胞が線維化のキープレイヤーとして注目されているが、その分化機構は未だ不明である。本研究課題の目的は線維化の進行に重要な役割を担うと考えられているCellular communication network factor 2 (CCN2)が筋線維芽細胞の分化にどのように関わっているのかをイントラクリン作用の観点から解明することである。当該年度では、未分化間葉系細胞株C3H10T1/2細胞を用いてCCN2にイントラクリン様の作用を誘導し、筋線維芽細胞への分化に対する影響を解析した。以下にその結果を示す。
1.シグナルペプチドを欠失したCCN2の発現プラスミド(SP-Ccn2)を構築し、C3H10T1/2細胞に遺伝子導入した。対照群としてシグナルペプチドを付加したCCN2の発現プラスミド(SP+Ccn2)を用いた。CCN2が核内に移行するかを蛍光免疫染色で調べた結果、SP+Ccn2を遺伝子導入した細胞ではCCN2が細胞質に局在したのに対し、SP-Ccn2を遺伝子導入した細胞ではCCN2は一部核内に見られた。
2.1.で作製した発現プラスミドをC3H10T1/2細胞に遺伝子導入し、筋線維芽細胞分化に重要な転写因子であるPU.1の遺伝子発現レベルを定量RT-PCR法で解析した。結果、SP+Ccn2を遺伝子導入した群ではempty vectorを導入した群と変わらなかったが、SP-Ccn2を遺伝子導入した群はPU.1の遺伝子発現レベルが有意に上昇した。
3.PU.1の標的分子であるテネイシンC及びPDGFの産生量をWestern blot解析で調べた結果、SP-Ccn2を導入した群で両分子の産生量の増加が見られた。 -
内在性UTRブロッカーによるCCN2遺伝子発現制御とその生物学的意義
研究課題/領域番号:19K22716 2019年06月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究の対象は、ヒトCCN2の3'-非翻訳療育 (UTR) を過不足なく覆うアンチセンス長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA) anti-CCN2 3'-UTR RNA (ACUR)である。ヒト子宮頸癌細胞HeLaと軟骨肉腫細胞HCS-2/3でのACURの発現はすでに予備実験で判っていたが、本研究はまずACURの発現を、別の細胞株や正常ヒト細胞でも検証することから始めた。その結果、ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231株でもACURが発現していること、さらにヒト膝関節から分離した関節軟骨細胞でもACURでも強い発現が確認できた。また、その発現量にはやはりCCN2 mRNAと正の相関があった。この所見は関節軟骨におけるACURの生物学的意義を示唆するものであり興味深い。なおCCN2遺伝子がすべての哺乳類に存在することから、マウスにもACURが存在すると思われたが、今後マウスを用いた実験を行うにあたってこの点を確認する必要がある。そこでCCN2遺伝子座の構造を比較解析し、ACURの構造を推定した上でマウスACURの検知を試みた。その結果マウスC3H10T1/2細胞株でもACURが転写されていることを確認できた。しかもその転写量はCCN2 mRNA同様、同細胞の脂肪細胞への分化によって大きく減少することが明らかとなった。
ACURの分子機能を明らかにする第一段階として、ヒトACURを一過性に強制発現するための発現プラスミドを構築した。そして本研究提案当初の仮説である3'-UTR封鎖機能を検証するため、蛍ルシフェラーゼ遺伝子にヒトCCN2 3'-UTRを接続したレポータープラスミドとともに、HCS-2/8細胞に導入してその効果をみたが、強制発現による有意な変化は見られなかった。
なお本研究を進める過程で、CCN2遺伝子座のまったく別の5'-UTR領域にアンチセンスlncRNAを新たに発見した。 -
細胞アンテナによる象牙質再生への道を拓く基礎研究
研究課題/領域番号:19K10109 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
日本人の平均寿命は年々伸びている反面、健康寿命は伸びていない。健康寿命を延長には咀嚼機能の維持が鍵となるため、歯牙の再生療法の開拓が望まれている。個々の歯牙の再建には象牙質の再生が必須であるが、自然状態での象牙質再生能力は不充分である。
このため、象牙芽細胞の細胞外環境感知センサー、つまり〝一次繊毛”の形成や細胞周期の制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88を機能制御することで、象牙質再生の実現を我々は目指している。理想的な形質・形態の象牙質を再生するためには、まず正常象牙質の形成過程を解明する必要がある。そのために、まず、1. 象牙芽前駆細胞の接着・増殖、2. 分化、3. 細胞極性の分子制御機構を検討する。その上で、象牙質再生法の開発を検討していく。
現在までに、Ift 88をノックダウンした象牙芽前駆細胞であるsh-Ift88 KN-3細胞では、一次繊毛形成に関係なく、細胞接着能力や細胞増殖速度が抑制されることを確認している。本年度は、KN-3細胞において、IFT88が細胞接着や細胞増殖を調節する機構を検討するため、Fucci-S/G2/M Green expression KN-3細胞を作製し、細胞周期のモニタリングをArrayScanを用いて行った。その結果、sh-Ift88 KN-3細胞では、コントロールのKN-3細胞と比較して、Fucci-S/G2/M Greenの発現が抑制されていることが明らかとなった。 -
低身長治療のみでなく関節機能維持によるアンチエイジング療法の開発を目的とした軟骨組織の概日リズム形成機構の解明
2017年10月 - 2018年09月
至誠会 平成29年度至誠会基礎医学研究助成渡辺慶子賞
服部高子
担当区分:研究代表者
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CCN2とVASH1による新たな内軟骨性骨化調節メカニズムの解明
研究課題/領域番号:17H06885 2017年08月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
村瀬 友里香, 滝川 正春, 佐藤 靖史, 久保田 聡, 青山 絵理子, 鈴木 康弘, 服部 高子, 吉田 祥子, 佐々木 朗
配分額:2730000円 ( 直接経費:2100000円 、 間接経費:630000円 )
本研究では、CCN2とVASH1による新たな内軟骨性骨化調節メカニズムを解明することを目的とした。興味深いことに、VASH1はCCN2と同様に肥大軟骨細胞層に局在し、また、軟骨細胞においてCCN2の発現を抑制すると、VASH1の発現が低下し、アポトーシスが誘導された。そして、その誘導されたアポトーシスはROS阻害剤であるN-acetyl-L-cysteineにより抑制された。これらの成果から、軟骨細胞の肥大化期には、CCN2-VASH1の発現が亢進し、ROSレベルの制御を介して肥大軟骨細胞の細胞死・アポトーシスを分化終末期まで防いでいる可能性が推測された。
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CCN2の新ポテンシャル:ワールブルグ・エフェクター機能の検証
研究課題/領域番号:17K19756 2017年06月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
久保田 聡, 西田 崇, 服部 高子, 高江洲 かずみ, 滝川 正春, 青山 絵理子, 志茂 剛
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
軟骨肉腫由来細胞での検討の結果、CCN2遺伝子発現抑制で細胞内ATP量が低下する一方、解糖系の阻害によりCCN2遺伝子発現も低下した。この事実から、同細胞ではCCN2はワールブルグ・エフェクターを超え、正のフィードバックにより解糖系を活性化するワールブルグ・ブースターとして機能することが明らかになった。また解糖系阻害が全CCNファミリー遺伝子の発現に与える影響を解析したところ、CCN3の遺伝子発現が強く誘導された。この現象はミトコンドリアでのATP産生を阻害しても見られず、解糖系の活性に依存する。以上より、CCN2とCCN3は解糖活性を核として緊密な制御下にあることも本研究において解明された。
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肥満による変形性膝関節症の発症機構の解明とCCN2によるその制御効果の検討
研究課題/領域番号:17K11641 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 青山 絵理子, 高江洲 かずみ
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
Angiotensin II (ANG II)は軟骨細胞の増殖・分化を抑制すると同時にCCN2の産生量を濃度依存的に増加させた。その作用はANG II受容体であるAT1Rを阻害するロサルタン処置やゲノム編集によるAT1Rノックアウト軟骨細胞を用いた解析結果からAT1Rを介していることが明らかとなった。また、CCN2欠損ではANG IIの合成促進が示唆され、CCN2欠損マウスによる変形性関節症の発症にはANG IIの産生量の増加が関与していると考えられた。
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Sorcinの細胞内局在と軟骨内骨化過程における細胞分化との関連性を明らかにする
研究課題/領域番号:17K11635 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
河井 まりこ, 服部 高子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
Ca結合因子であるSorcinの骨形成過程ならびに骨代謝における役割解明を目的とし、sorcin遺伝子欠失マウスと野生型のマウスとの比較検討を実施した。胎生期における比較では、遺伝子欠失マウスが野生型マウスに比較し、破骨細胞の活性が高まる可能性が示唆された。また、生後マウスの比較では、骨質が野生型に比較し、高まる傾向が認められた。さらに、アパタイト配向性は遺伝子欠失マウス脛骨において、野生型よりも高まる傾向があることが認められた。これらの結果から、Sorcinは骨形成過程ならびに骨代謝に関連する因子である可能性が高いことが明らかとなった。
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二次骨化中心初期石灰化の生命科学、材料学、双方向からの解析と理解
研究課題/領域番号:16H06990 2016年08月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
ハラ エミリオ・サトシ, 松本 卓也, 岡田 正弘, 窪木 拓男, 長岡 紀幸, 服部 高子
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本研究では,マウス大腿骨二次石灰化現象について,軟骨内骨化の初期石灰化部位とタイミングを同定し,その部位における石灰化について,生命科学的・工学的に検討を行い,それぞれを時間空間的に比較することで,軟骨内骨化の多面的な理解を目的とした.実験の結果から,初期石灰化は生後6日目から開始することがわかった.開始点を電子顕微鏡で観察・解析した結果,細胞膜の断片(リン脂質)が石灰化の核になることがわかった.この結果から,リン脂質を基盤とした新しい無機有機ハイブリッド材料の開発に繋がる可能性があると考えられる.
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細胞外環境感知センサーを介した象牙芽細胞の規則的配列機構の解明
研究課題/領域番号:16K11475 2016年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高江洲 かずみ, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
我々は、 象牙芽細胞分化培地に添加するデキサメタゾン (DEX)による象牙芽前駆細胞であるKN3細胞の増殖抑制を、一次繊毛の形成や細胞周期の制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88のノックダウンが解除する機構を探索した。その結果、一次繊毛の制御するシグナル経路の関与は認められなかったが、古典的Wntシグナル関連遺伝子であるCcn4、5の関与が疑われた。このため、Ccn4、5を強制発現させたKN3細胞を作製し、その影響を検討したが、DEXによる細胞増殖抑制をIft88ノックダウンが解除する機構には、Ccn4、5は関与していないことが明らかになった。
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軟骨細胞の成長概日リズムとSOX9-ユビキチンリガーゼとの関連
研究課題/領域番号:16K11476 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 久保田 聡, 西田 崇, 高江洲 かずみ, 池亀 美華
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究により、メラトニン受容体MT-1, MT-2が軟骨組織に発現していること、メラトニン添加により軟骨細胞の増殖が促進されること、また、MT-1, MT-2のアンタゴニストの添加によりその効果が消失すること、メラトニンの長期投与により軟骨細胞の分化マーカー遺伝子の発現が促進される一方で、肥大化のマーカー遺伝子の発現は抑制されること、さらに軟骨細胞がメラトニン合成酵素を発現しており、メラトニン産生は質量分析解析で確かめられたこと、メラトニン合成酵素および受容体遺伝子は概日リズムを持った発現をし、メラトニン投与によってメラトニン合成酵素遺伝子および受容体遺伝子は早い誘導を受けることを明らかにした
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Rab14とCCN2による小胞輸送がマトリクス形成に及ぼす役割
研究課題/領域番号:16K11786 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
星島 光博, 服部 高子, 青山 絵理子, 滝川 正春, 西田 崇, 上岡 寛, 久保田 聡
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
軟骨分化促進因子CCN2と細胞内輸送制御因子Rab14は、骨、軟骨および肺組織で極めて高いレベルで発現している。両者の分子間相互作用が、これらの組織で果たす役割を解明することを目的とし、骨細胞の分化や基質産生に及ぼす影響について検証した。
その結果、骨細胞の成熟に伴ってRab14とCCN2の発現が亢進し、Ⅰ型コラーゲンやオステオカルシンの発現が有意上昇していた。それに伴い細胞内カルシウム応答に関与するc-Fos、コネキシン43およびパネキシン3の発現が著しく増加した。また成熟骨細胞で、機械的刺激に対する細胞内カルシウムイオンの上昇率が有意に上昇した。 -
CCN2・CCN3のダイアーキーによる組織形成統合制御機構の解明と応用
研究課題/領域番号:25462886 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
ダイアーキー的相互作用を想定しCCN3を強制発現したところ細胞の線維化形質は抑制され、CCN2,4産生が抑制されていた。またCCN3を軟骨細胞に強発現するマウスを作成し解析した結果、内軟骨性骨形成の最終段階に遅延が認められた。なおCCN2協同分子として新たに数種の分子を見出した。
続いて変形性関節症 (OA)をラットに誘発させたところ組織のCCN3が著しく減少し、OA病巣へのCCN3タンパク質局所適用は改善効果を発揮した。
次に組織再生CCNカクテルのモデルとして血小板を分析し、そこにCCN1,2,3,5が含まれることを明らかにした。これに倣い調製したCCNカクテルはCCN2以上の効果を発揮した。 -
CCNファミリーの微小環境調整マスターマインドとしての分子基盤の解明と医学的応用
研究課題/領域番号:24390415 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
CCNファミリータンパク質のマスターマインドとして作用の分子基盤を、そのプロトタイプであるCCN1-3、特にCCN2を中心に、それらに対する結合分子を多数同定し各々の結合がもたらす最終的な生物学的作用を明らかにすることによって解明した。次いで、CCN2等の軟骨特異的過剰発現マウスを作成し、その表現系を解析することにより、CCN2等が実際に生体内でマスターマインドとして機能していることを証明した。また、CCN2の個別モジュールを骨格系組織の再生医療に応用できる可能性を示した。さらに、CCN2遺伝子を非侵襲性に生体内で発現誘導させ、軟骨組織を再生し得ることを見いだし、臨床応用への道筋を付けた。
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研究課題/領域番号:23390131 2011年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中島 和江, 中島 伸, 芳賀 繁, 小松原 明哲, 中村 京太, 鈴木 敬一郎, 福井 康三, 古市 昌一, 高橋 りょう子, 奥村 明之進, 上島 悦子, 山田 憲嗣, 高橋 敬子, 鶴和 幹浩, 田中 宏明, 和田 裕太, 上間 あおい, 島井 良重, 服部 高子, 團 寛子, 圓見 千代, 池尻 朋
配分額:15730000円 ( 直接経費:12100000円 、 間接経費:3630000円 )
学生がチーム医療やエラー予防を疑似体験できる、卒前医療安全教育用のゲーム及び教育方法を開発した。2コマの授業で、既存のグループ対抗ゲーム「マシュマロチャレンジ」を実施し、新規作成した振り返りシートでチームパフォーマンスを振り返り、引き続いて講義、有害事象に関するグループディスカッション、講師からのフィードバックを行うという教育方法を開発した。3大学の医学生等に対して実施し、高い教育効果が得られた。また、類似外観や名称による医薬品のとり間違いを経験するシリアスゲームを開発し、16名の医療従事者らで試行した。ゲーム上での失敗及び上達が、臨床の実際と似ていることやエンターテイメント性が確認された。
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CCNファミリー間のネットワーク形成による筋肉内異所性骨化の分子機構の解明
研究課題/領域番号:23592732 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 青山 絵理子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
マウス筋芽細胞株C2C12に炎症性サイトカインの一つであるTNF-αを作用させると、CCN2/結合組織成長因子(CTGF)の産生量の増加が見られ、CCN2はC2C12細胞の細胞増殖とMyoD産生量を増加させた。この結果に一致して、Ccn2欠損マウスの筋組織では野生型と比べて筋芽細胞の細胞増殖が低下し、筋組織も低形成を示した。また、C2C12細胞にCCN2とBMP2を同時に添加すると、BMP2単独刺激で上昇したRunx2及びOsterixの遺伝子発現レベルは有意に減少した。
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研究課題/領域番号:23659872 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
軟骨は無血管の組織で従来軟骨内タンパク質輸送は拡散によるものと考えられていた。本研究では、軟骨に発現する Low-density lipoprotein receptor-related protein-1(LRP-1)が結合組織成長因子/CCN ファミリー2(CTGF/CTGF/CCN2/CCN2)をトランスサイトーシスすることにより軟骨内を輸送すること、すなわち、軟骨に拡散以外のタンパク質輸送機構が存在することを明らかにした。また、軟骨特異的 LRP-1 欠損マウスを作成し、骨格異常が認められることを明らかにした。
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低分子化合物ライブラリーを用いた骨形成過程における新規BMP2活性制御因子の探索
研究課題/領域番号:23592844 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
藤澤 拓生, 園山 亘, 窪木 拓男, 服部 高子
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
骨欠損部に対して骨形成タンパク(BMP)を用いて骨造を図る方法は次世代の骨造法の最も有望な方法と考えられているが,ターゲットとする細胞の応答性の低さから大量のタンパクが必要となり高コストとなること,および大量のタンパク投与による副作用のリスクが高まる危険があり,より低用量で高効果の得られる投与方法の開発が望まれている。そこで本研究はBMPの生理活性を増強する低分子化合物を同定し,その機能を解明することを目的に以下の実験を行った。
まず初めに一次スクリーニングとして低分子化合物(FDA approved Drug Library)の細胞増殖能,細胞障害度ならびにBMP-2の生物学的活性に与える影響について検討した。細胞増殖能についてはMTS assayで,細胞障害度に関してはLDH assayでそれぞれ評価した。BMP-2の生物学的活性に関してはBMP-2シグナルの増強の有無をBMP-2にのみ特異的な反応を示すId-1プロモーター領域を有するレポーター遺伝子を導入したC2C12細胞を用いたルシフェラーゼアッセイで評価した。その結果,640個の低分子化合物ライブラリーから細胞に障害を与えることなくBMP-2の生物学的活性を相乗的に増強する,あるいは化合物単体でBMP-2様の生物学的活性を示す可能性のある化合物を40個抽出した。さらに二次スクリーニングとしてin vitroでアルカリホスファターゼ活性の測定とアリザリンレッド染色による石灰化能の検討を行い40個の候補化合物からBMP-2の骨形成能を増強している可能性のある化合物を7個抽出した。 -
Sox9ユビキチン化酵素発現異常と骨格系発達異常および神経障害との関連
研究課題/領域番号:21592359 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 滝川 正春, 久保田 聡, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
内軟骨性骨形成過程においてSox9は間葉系細胞が軟骨細胞へと分化する方向性を決定する転写制御因子として知られており、Sox9の活性の厳密な調節が正常な骨格形成に必要だと思われる。本課題では、Sox9の細胞内量を調節するSox9特異的ユビキチンリガーゼを同定し、このユビキチンリガーゼによるSox9の細胞内量調節が内軟骨性骨形成に及ぼす影響を調べ、ユビキチンリガーゼの異常によるSox9の分解不全と神経疾患との関わりについて明らかにした。
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CCN2結合性ペプチド・RNAアプタマーの開発と組織再生・疾患治療への応用
研究課題/領域番号:21592360 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
CCN2は骨や軟骨組織を調和のとれた再生に導く分子であるとともに、様々な臓器の線維化病変に関与することが知られている。したがってCCN2の機能をコントロールすることには、再生医療や線維化疾患治療の観点から大きな意味がある。本研究ではこのCCN2に結合する小分子、アプタマーを設計・作成し、CCN2の分子機能の制御を試みた。その結果、軟骨組織の再生を促進するアプタマー、骨リモデリングを制御しうるアプタマーをそれぞれ開発することができた。
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CCNファミリー2/CTGFによる破骨細胞形成促進作用の分子メカニズムの解明
研究課題/領域番号:20592173 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 崇, 滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
マウスマクロファージ系細胞株(RAW264.7)及び胎生14.5日肝細胞にRANKL,M-CSF及びCCN2を添加すると、多核巨細胞数はRANKL,M-CSF刺激群よりも増加した。このメカニズムを調べるために胎生14.5日のCCN2欠損マウスから肝細胞を採取し、RANKL,M-CSFを添加すると、単核の破骨細胞までは分化するが、その後の細胞融合は抑制された。またCCN2欠損マウス由来の単核破骨細胞にCCN2を添加すると破骨細胞融合が回復した。これらの結果はCCN2が破骨細胞形成、特に細胞融合に関与する事を示唆している。
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CCNファミリーの新規シグナルコンダクターとしての包括的分子基盤の解明とその応用
研究課題/領域番号:19109008 2007年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:110500000円 ( 直接経費:85000000円 、 間接経費:25500000円 )
CCNファミリータンパク質が、オーケストラの指揮者(コンダクター)が様々の楽器を駆使してシンフォニーを奏でるが如く、「細胞外シグナルをハーモナイズさせるコンダクター」というべき新概念のタンパク質群であることを証明し、従来の細胞外シグナルネットワーク研究の刷新に繋がる成果を挙げた。また、同タンパク質の「調和ある組織再生」への応用と「異常発現で誘発される疾患の治療」へ向けての基礎データの集積という医学的応用に結びつく成果を挙げた。
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MMPの新機能:マトリクス合成促進因子の転写因子としての役割
研究課題/領域番号:19659487 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
(1)MMP-3と複合体を形成する転写関連因子の探索と機能解析;MMP-3とnuclear MMP-3associated protein (NuMAP)の発生、内軟骨性骨化過程における遺伝子発現変動の解析:まず、マウスの発生段階でのこれら遺伝子の発現変動をin silicoでESTデータベースを活用し解析した結果、MMP-3の制御標的であるCCN2遺伝子発現は原腸陥入以後成体に至るまでは誘導されること、またMMP-3は出生時以後に発現が誘導されることが明らかになった。これに対してNuMAPであるretinoblastoma binding protein4(RBBP4)、nuclear receptor co-repressor1(NRCR1)、Interleukin enhancer binding factor2(ILF2)は卵細胞から成体に至るまで広い発生段階で遺伝子発現がみられた。続いてマウス成長軟骨初代培養細胞増殖・分化系でRBBP4とILF2遺伝子発現が、共に、後期分化、つまり肥大化に向かうに従って上昇することをリアルタイムRT-PCRで明らかにした。以上より、NuMAPのうちRBBP4およびILF2は、発生毅階で見る限りではcofactorとは考えにくいものの、内軟骨性骨形成においてはMMP-3によるCCN2遺伝子の転写活性化を支える役割を果たすものと考えられる。
(2)他のMMPsによるCCN2/CTGF遺伝子の転写制御の検討:軟骨細胞様HCS-2/8細胞におけるCCN2遺伝子プロモーター活性を、MMP-2/9特異的阻害剤の存在下で評価した結果、MMP-3特異的阻害剤でみられた用量依存的な転写活性抑制効果はみられなかった。したがってMMP-2およびMMP-9はMMP-3とは異なり、MMPとしての古典的機能と関連した形では、CCN2遺伝子の転写制御にかかわっていないことが示唆された。 -
マイクロRNAによるCCNファミリー遺伝子発現制御ネットワークとその生物学的意義
研究課題/領域番号:19592142 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
マイクロRNA(miRNA)は小分子noncoding RNA(ncRNA)であり、個々のmiRNAが数千のmRNAの3'非翻訳領域を標的として、遺伝子の発現をネットワーク的に制御する。本研究ではCCNファミリー遺伝子の代表的メンバーであり、間葉系組織の成長ならびに再生を指揮するCCN2遺伝子が特定のmiRNAの制御ネットワーク下にあることを実証した。さらに、このmiRNAによる制御が、軟骨細胞の成熟形質の獲得・維持に重要であることも明らかとなった。またmiRNAの作用機構や軟骨細胞後期分化における役割を今後解明していく上で、有用な知見をも得ることができた。
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BACトランスジェニックマウスを用いた内軟骨性骨形成特異的遺伝子の解析
研究課題/領域番号:19592145 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
服部 高子, 滝川 正春, 久保 田聡, 西田 崇, 青山 絵理子
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
全長10型コラーゲン遺伝子を含むbacterial artificial chromosome(BAC)DNAの10型コラーゲンプロモーター領域下流にSox9 cDNAを挿入し、Sox9を肥大化軟骨層に異所性に過剰発現するBACトランスジェニックマウスを作製し,(1) 骨髄の消失、肥大化軟骨層への血管侵入の遅延、肥大化軟骨細胞層の延長に起因する骨の短縮、(2) 延長した肥大化軟骨細胞層でのSox9の強い発現に加え、肥大化軟骨マーカー遺伝子の発現の低下、(3) Sox9は直接的にyθgfプロモーター活性を低下させる事、を明らかにし、これらの事からSox9の肥大軟骨細胞層における消失は、血管の侵入、骨髄の形成を可能にし,正常な内軟骨性骨形成に必須である事をin vivoおよびin vivoで明らかにした。
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結合組織成長因子(CCN2/CTGF)を用いた顎顔面領域の三次元軟骨再生
研究課題/領域番号:18592121 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
藤澤 拓生, 服部 高子, 滝川 正春, 窪木 拓男, 上原 淳二
配分額:3950000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:450000円 )
本研究では,ドナーサイトから採取した自己軟骨細胞をCCN2/CTGFとともに培養・増幅し、付形した3次元スキャフォードに播種後に移植する新しい顎顔面再生療法を開発するための基礎研究を行い,以下の知見を得た.
細胞実験にはすべて4周齢の日本白色ウサギの耳介より採取した初代耳介軟骨細胞を用いた.
1.CTGFの細胞増殖に対する効果をMTS assayで評価したところ,50ng/mlのCTGF添加により耳介軟骨細胞の細胞増殖は,細胞播種後5日目と7日目にコントロール群と比較すると有意に促進された.
2.DNA合成に対するCTGFの効果を[^3H]thymidineの取り込みを指標に検討したところ,CTGFは濃度依存性に耳介軟骨細胞のDNA合成を上昇させ,50ng/mlでピークに達した(コントロールの約1.5倍).
3.プロテオグリカン合成に対するCTGFの効果は[^<35>S]sulfateの細胞内への取り込みを指標に検討した.プロテオグリカン合成もDNA合成と同様に添加したCTGFの濃度依存性に上昇し,50ng/mlでピークに達した(コントロール群の約1.4倍).
4.軟骨細胞の分化関連マーカー遺伝子の遺伝子発現に対する効果はリアルタイムPCRにて検討した.50ng/mlのCTGFでコンフルエントに達した耳介軟骨細胞を48時間刺激することにより,CTGFの遺伝子発現は1.9倍,エラスチンの遺伝子発現は5倍,2型コラーゲンの遺伝子発現は1.5倍上昇したが,10型コラーゲンの遺伝子発現には有意な発現上昇は認められなかった.またエラスチンのタンパク産生をビクトリアブルー染色で確認したところ,CTGF添加によりビクトリアブルーの染色性は亢進していた.すなわち,エラスチンのタンパク産生はCTGF添加によりコントロール群と比べると亢進していた.一方,アリザリンレッド染色ではその染色性にコントロール群との差は認められなかった.すなわち,CTGF添加により耳介軟骨細胞の石灰化は誘導されなかった.
5.In vivoにおける軟骨再生に対するCTGFの効果は,細胞ペレットをヌードマウスの背部皮下に移植することで検討した.移植後4週に移植片を取り出したところ,CTGF処理群はコントロール群と比べると移植片の大きさが明らかに大きくなっていた.移植片をサフラニン染色したところ,CTGF群,コントロール群ともにサフラニン染色陽性であったが,CTGF群のほうがその染色性は亢進していた.
これらの結果から,CTGFには耳介軟骨細胞においてそのphenotypeを増強する働きがあると考えら,CTGFを弾性軟骨の修復・再生にも応用できる可能性が示唆された。 -
骨軟骨血球系の統合形成におけるトランスモジュレーターとしてのCCN2の役割
研究課題/領域番号:17591938 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 滝川 正春, 服部 高子, 西田 崇, 青山 絵里子, 椋代 義樹
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
1.骨髄組織および血球系細胞におけるCCN2の産生状況と分布の解明
CCN2産生および標的細胞の特定:血小板に多量のCCN2が存在する事実から、CCN2の骨髄における産生者を巨核球と仮定し、まずその前駆細胞の表現型を有するヒト細胞株CMKにおけるCCN2mRNAおよびタンパク質の定量を行ったが検知限界以下であった。続いてヒト血球系幹細胞を分離し、そこから可能な限り分化誘導を進めた主常巨核球によるCCN2産生を検討した。その結果分化の最終段階で、巨核球によるCCN2のmRNA発現を確認することができた。ただしこの所見は最終的に血小板に含まれる大量のCCN2、を説明する証拠としては十分ではなく、他のCCN2の産生者の関与を示唆している。そこで骨髄組織標本を解析し、CCN2の細胞内取り込みに関連する分子を探索したところ、CCN2との相互作用が疑われているEphA4が巨核球表面に存在することを示す所見を得た。
骨髄血球系のCCN2標的候補細胞に対するCCN2の効果の解析:破骨細胞分化誘導培養系において、共培養した間葉系細胞からのCCN2産生をノックダウンすると破骨細胞の形成が抑制された。この事実は血球系である破骨細胞前駆細胞がCCN2の標的細胞である可能性を示している。
2.CCN2と骨髄の他の機能分子(サイトカイン、成長因子など)との相互作用の解明
遺伝子レベルでは、CCN2が軟骨細胞に作用し、単球系細胞の分化に重要なM-CSFを産生させうることを解明した。続いてCCN2結合分子の探索のため、CCN2の各モジュールに対する結合標的アミノ酸配列のスクリーニングを、ランダムな12アミノ酸残基を表面に呈示するバクテリオファージを用いて行い、各モジュールあたり10前後の結合アミノ酸配列を決定した。続いてこのデータから、in silico解析によって結合ペプチドモチーフの抽出を試みた。得られたモチーフに基づき合成ペプチドを試作しそのCCN2機能に対する影響を検討したところ、抑制活性を呈するものが認められた。 -
コンディショナルノックアウト法を用いた慢性関節リウマチ病因因子RA-A47の解析
研究課題/領域番号:16791124 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
服部 高子
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
1.軟骨細胞における関節リウマチ関連抗原RA-A47/HSP47とCCN2/CTGFの発現変動の関連
軟骨細胞においてHSP47の発現抑制が細胞外へのCCN2/CTGFの放出を促す知見が得られている事から、軟骨肉腫由来培養軟骨細胞HCS-2/8にリコンビナントCCN2/CTGFを添加するとHSP47との発現は抑制される一方,2型コラーゲンの発現は誘導されることがmRNAレベル、および蛋白レベルで明らかになった。また、この効果は、ウサギおよびマウス初代肋軟骨培養細胞においても観察され、さらにCCN2/CTGFの誘導剤であるデキサメタゾンを添加した場合にも同様にHSP47の発現抑制と2型コラーゲンの発現誘導が観察されたことから、HSP47の発現抑制が軟骨細胞外へのCCN2/CTGFの放出を引き起こし,さらにこのCCN2/CTGFがHSP47の発現を抑制する,フィードバック機構が働いて軟骨細胞における障害性の因子の誘導が加速されるのではないかと考えられる。
2.皮膚由来繊維芽細胞におけるHSP47とCCN2/CTGFの発現変動の関連
CCN2/CTGFを皮膚由来繊維芽細胞に添加すると,HSP47の発現は1型コラーゲンと同調して上昇し,皮膚におけるCCN2/CTGFによるHSP47の発現量変化の影響は、自己免疫疾患と考えられているSystemic Sclerosisと密接な関係があると思われる。
3.軟骨組織におけるCCN2/CTGFの過剰発現マウスモデルの作製
CCN2/CTGFの軟骨細胞における過剰発現の影響をin vivoで確かめるために,軟骨特異に発現する2型コラーゲンプロモーターを用いてCCN2/CTGFを過剰発現させたトランスジェニックマウスを作製した。発生段階においては、肥大軟骨層の短小が認められ、また軟骨分化マーカーの発現促進が認められた。これらの事から、CCN2/CTGFは少なくとも軟骨分化を促進する事が、in vivoで明らかになった。さらに軟骨維持におけるCCN2/CTGFの効果を調べる為に、生体マウス関節軟骨の解析を行っている。また、肥大軟骨層でCCN2/CTGFを異所性に高発現する為に、BAC DNAを用いた10型コラーゲンプロモーターLacZトランスジェニックの作製を行った。 -
RNA干渉を用いたCCN遺伝子ファミリーの包括的機能解析とその応用
研究課題/領域番号:16659511 2004年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 椋代 義樹
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
・マウス15日胚の頸骨成長板軟骨におけるCCNファミリータンパク質の局在を免疫染色で調べたところ、成長板に6つのメンバーすべての分布がみられた。しかし、その分布には差異があり、CCN2/CTGFとCCN5は肥大軟骨細胞層全域で強染し、CCN1/Cyr61とCCN4/WISP1は前肥大化軟骨細胞層で強染し石灰化層では染色性が減弱した。一方、CCN3と6は前肥大化軟骨細胞層で強染し、肥大軟骨細胞層で一旦染色性が減弱したのち再び石灰化層で染色性が増強した。
・ヒト軟骨細胞様細胞株HCS2/8で、CCNファミリーのmRNAレベルをRT-PCRで調べたところ、すべてのメンバーが定量可能なレベルで発現していた。特に、CCN2が顕著に高く、続いてCCN1とCCN6が高発現していた。
・マウス軟骨細胞、骨芽細胞および線維芽細胞の3種の細胞でCCNファミリーの発現を比較したところ、CCN2は軟骨細胞にほぼ特異的に、CCN4と6は軟骨細胞と骨芽細胞とで強く発現しており、CCN4は線維芽細胞で強い発現が見られた。CCN1およびCCN5の発現は3種の細胞間で大差は無かった。
・軟骨培養細胞において、軟骨分化を促進させるデキサメサゾンにより、CCN2のみならずCCN1,4および5の発現も転写段階で亢進することを見出した。
・CCN2のノックアウトマウスから初代軟骨細胞を分離培養し、他のCCNファミリーメンバーの発現を調べたところ、CCN3は著明に上昇し、CCN6は著明に低下していた。また、線維芽細胞の場合ではCCN1,3,4および6で著明な低下が見られた。即ち、これらのCCNメンバーの発現がCCN2により調節されていること、またその調節機構には組織特異性が見られることが明らかになった。 -
新たな組織再生因子リジェネリンとしてのCTGFの役割解明と再生医歯工学的応用
研究課題/領域番号:15109010 2003年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
滝川 正春, 久保田 聡, 服部 高子, 西田 崇, 山本 照子, 田畑 泰彦, 青山 絵理子, 山合 友一朗, 椋代 義樹, 小守 壽文, 中西 徹
配分額:103870000円 ( 直接経費:79900000円 、 間接経費:23970000円 )
1. 野生型あるいは遺伝子変異動物を用いCTGF/CCN2(以下CTGFと略す)が、成長板における内軟骨性骨化だけでなく、二次骨化中心の形成、膜性骨化、歯根膜、関節軟骨及び耳介軟骨の形成、骨延長術による骨形成、抜歯創治癒に重要な役割を果たすことを示した。また、ゼラチンハイドロゲルを併用してCTGFがin vivoにおいて関節軟骨や骨の再生作用を有すること、さらに、CTGFが血小板に多量に含まれることを見いだし、創傷後の組織再生、特に、各組織の元来の特性を再生させる"リジェネリンとして、CTGFが機能することを明らかにした。
2. 各ドメインに特異的なモノクローナル抗体を調製し、各ドメイン特異的ELISAシステムを開発した。また、各ドメインの作用や細胞内情報伝達経路が軟骨細胞と血管内皮細胞とで異なることを見いだした。さらに、CTGFのCTドメインが骨髄間葉系細胞のハイドロキシアパタイト(HA)への接着を促進することを見いだし、CTドメインとHAによる硬組織再生の実用化の可能性を示した。
3. CTGFの遺伝子発現制御機構として、3'-非翻訳領域(3'-UTR)のmRNA不安定化配列とこれに結合するタンパク質の存在を明らかにし、また、その結合量が軟骨分化過程でCTGF/CCN2の発現レベルと逆相関して変動することを見いだした。さらに、低酸素下で3'-UTRに結合してmRNAを安定化させるタンパクの存在も証明した。
4. CTGFがパールカン、アグリカン、フィブロネクチンに結合して細胞外基質に貯留されること、M-CSFと協調して作用すること、LRP1が軟骨で受容体の一つとして働くこと、さらに、軟骨細胞内情報伝達機構としてはp38MAPKとERKの上流にPKCが存在することを新たに見出した。また,増殖はJNK,石灰化促進作用は,PI3Kとそれに続くPKBが仲介することを明らかにした。 -
DNAマイクロアレイ(DNAチップ)を用いた軟骨細胞遺伝子発現プロファイルの解析
研究課題/領域番号:12671806 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
中西 徹, 大山 和美, 滝川 正春, 服部 高子
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
(1)マイクロアレイ法による軟骨分化関連遺伝子の解析
前軟骨細胞株ATDC5において、この細胞がインシュリン存在下、軟骨細胞へ分化する過程で細胞内で変化する遺伝子をcDNA発現アレイで解析した。その結果、発現が変動するケモカインあるいはその受容体(CCR2)などの数種の遺伝子を見い出した。
(2)マイクロアレイ法による軟骨疾患関連遺伝子の解析
cDNA発現アレイによって、軟骨疾患に関わる遺伝子の解析を行った。その結果、変形性関節症ではSTAT, PKC, caspase, IGFBP、慢性関節リウマチではCDC25,RHO, FGF7などを単離した。また、c-fos、c-junの発現も慢性関節リウマチにおいて若干上昇していた。その中で、アポトーシス関連遺伝子caspase-9は、特に変形性関節症の関節軟骨組織に多く発現しており、TUNEL染色陽性組織と相関していた。
(3)軟骨肉腫由来軟骨細胞株HCS-2/8に対する軟骨成長因子CTGFの作用解析
CTGFがHCS-2/8細胞の増殖、分化を促進することを見い出した。この際、細胞内遺伝子発現変化をcDNA発現アレイで解析した結果、ERKあるいはp38などのMAPキナーゼ系が活性化されていることが明らかとなった。実際にERKあるいはp38などのMAPキナーゼ阻害剤を用いて解析した結果、CTGFによる増殖促進作用はERKを介しており、分化促進作用はp38を介していることが明らかとなった。
(4)軟骨肉腫由来軟骨細胞株HCS-2/8より単離した軟骨成長因子CTGFの作用解析
軟骨成長因子CTGFを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した。II型コラーゲンのプロモター下流でCTGFを発現するトランスジェニックマウスは、正常マウスに比較して矮小であり、さらに、X線撮影の結果、骨密度が低下していることがわかった。 -
多機能成長因子CTGF/エコジェニンのドメイン別測定法の開発と臨床検査法への応用
研究課題/領域番号:12557154 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 西田 崇, 久保田 聡, 中西 徹, 椋代 義樹, 服部 高子
配分額:13200000円 ( 直接経費:13200000円 )
1)CTGF/エコジェニン(以下CTGFと略す)のIGF結合タンパク質様ドメイン(IGFBP)・フォンビルブランドファクター・タイプCリピートドメイン(VWC)、トロンボスポンジンタイプ1リピートドメイン(TSP1)、C末ドメイン(CT)の各ドメイン毎の発現ベクターを構築し、各組み換え体タンパク質の大量生産に成功した。現在、これらの各モジュールがCTGFの多面的作用のどれを担っているか解明しつつある。
2)CTGFの1ないし2ドメインを欠損させたタンパク質を真核細胞内で発現させる10種以上のプラスミドを作製した。それらを応用してIGFBP、TSPドメインをそれぞれ欠いたCTGFを産生するHeLa細胞株を樹立した。
3)上記のタンパク質を用いて、CTGFに対して調製した6種のモノクローナル抗体、及び2種の抗血清に対しエピトープがどのドメインにあるかを特定した。その結果、IGFBP、VWC、TSPおよびCTを特異的に認識する抗体をそれぞれ1種、3種、1種および1種得る事ができた。さらにそれらを組み合わせて応用し、(1)VWCとCTに対する抗体によるsandwich法で、全長CTGFを高感度で定量できる酵素抗体法(ELISA)。(2)GFBPとVWCを標的としたシステムで、N末前半断片を特異的に認識するELISA、2種の抗VWC抗体によりVWCドメインだけを認識し全長CTGFを認識しないELISA定量システムを確立した。
4)CTGFが産生されてから分泌される間にprocessingを受けることも見いだした。
5)CTGFが新たに低酸素状態や固形癌で誘導される血管新生因子であること、メカニカルストレスで誘導されることを見いだした。したがって、これらが関与する疾患における血中および組織液中CTGFを上記のELISA法で測定することは病態、病勢の把握に意義あるものと思われる。 -
ヒト軟骨由来多機能成長因子エコジェニン/CTGFの細胞内機能の探究
研究課題/領域番号:12671807 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
久保田 聡, 中西 徹, 滝川 正春, 服部 高子
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
1)細胞内CTGF過剰発現による細胞周期変調効果の検証:サル腎線維芽細胞株Cos-7に一過性にCTGFを高レベルで発現させた場合、遺伝子導入後12時間でCTGFタンパク質は細胞に集積し、この時CTGFは細胞核近傍の特定のスポットに集中した。α-tubulinとの共染色によればその場所は中心体の可能性がある。その後CTGFの蓄積は導入後24時間でより顕著となり、それに伴い細胞は培養シャーレ底面より浮き上がりを見せ、同時にDNA含量の著しい増加が見られた。これは細胞周期中G2-M期にある細胞の特徴と一致し、実際それは有糸分裂をM期で停止させるコルヒチンの作用に酷似していた。CTGF発現によって細胞増殖はむしろ鈍ったことから、それは細胞内で細胞周期をG2-M期で停止、遅延させる効果を持つと考えられる。そこでマウス成長板軟骨細胞内CTGFを免疫組織学的に詳細解析したところ、CTGFは増殖を停止した肥大軟骨細胞においても同様のスポットに集積していることがわかった。今後ヒト扁平上皮癌由来HSC-3細胞株にCTGF発現ベクターを導入し、CTGF発現クローンの遺伝子発現パターンをマクロアレイで解析する予定である。
2)CTGFモジュール構造と、細胞周期コントロール機能の構造-機能連関:上記の現象がCTGF分子を構成する4つのモジュールのどの作用によるかを解析するため、CTGF欠損変異体発現プラスミドが多数構築された。それによる解析で4つのモジュールのうち細胞周期変調には最N末のIGFBPモジュールは必要ではなく、細胞核近傍への局在にはそれに続くVWCモジュールが重要と分かってきた。また各モジュールタンパク質の生産にも成功した。
3)CTGFの細胞内作用点、レセプターの探索:CTGF分子を固定したアフィニティーカラムを用い、CTGFが細胞内で結合するタンパク質を細胞質抽出液から精製、部分アミノ酸配列を決定し、それが細胞骨格タンパク質であることを突き止めた。 -
ヒト軟骨成長因子エコジェニン/CTGF遺伝子発現調節機構の解析
研究課題/領域番号:11671841 1999年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大山 和美, 服部 高子, 中西 徹, 滝川 正春, 久保田 聡, 大山 和美
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
1)転写レベルでの研究:エコジェニン/CTGFプロモーター及びその欠損変異体を蛍ルシファラーゼ遺伝子上流に組み込んだ一連のプラスミドを構築し、様々な細胞でそれぞれのプロモーター活性を比較解析した。その結果ヒト軟骨由来細胞株HCS-2/8細胞を用いた実験で、本細胞株におけるCTGFの構成的高発現を支えている領域には転写開始点から88塩基対上流の約110塩基対長の断片が重要と分った。さらにその研究を発展させ、当該領域内にHCS-2/8細胞で機能している転写活性シスエレメント二つを特定した。1つは既に報告されているTGF-β response elementであり、もう1つは本研究で初めて見い出されたエレメントである。それぞれに点変異を導入すると、HCS-2/8細胞におけるプロモータ活性は著しく低下した。特に後者には、結合する核内因子がHCS-2/8細胞に特異的に見られる点が非常に興味深い。
2)転写後レベルにおける研究:我々は約1kbのエコジェニン/CTGF遺伝子3'-非翻訳領域(3'-UTR)を蛍ルシファラーゼ遺伝子下流に直結し、発現、定量比較することで、その強力な遺伝子発現抑制作用を発見した。さらに欠損変異体解析にコンピュータ予測を援用し、我々は84塩基からなる抑制性シスエレメントを決定することに成功した。当該エレメントmRNAは水溶液中で二次構造体を形成し、変異体分析から抑制機能が二次構造に依存すると分り我々はcis-acting element for structure-anchored repression(CAESAR)と命名した。最近CAESARの機能を決定するのは複数stem-loopの連結構造であるとの結論も得られてきた。なおCAESARは転写領域外では活性を発揮せず、また細胞内で発現されたレポーターmRNAの細胞内分布がCAESARの有無で影響を受けなかった。よってCAESARはmRNAの核外輸出には影響を与えず、翻訳段階で抑制機能を発揮していると考えられる。 -
新規軟骨由来多機能成長因子エコジェニン/CTGFの作用機構に関する研究-受容体の分子クローニングと細胞間および細胞内情報伝達機構の解明-
研究課題/領域番号:10470389 1998年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 西田 崇, 服部 高子, 中西 徹
配分額:13300000円 ( 直接経費:13300000円 )
1)軟骨細胞、骨芽細胞、血管内皮細胞にエコジェニン/CTGF受容体が存在することを明らかにした。また、その分子量が約240KDaであることを示唆する結果を得た。
2)ウサギ肋軟骨成長軟骨初代培養細胞増殖・分化系を用い、軟骨細胞が成熟し、肥大化し、石灰化するに伴い、エコジェニン/CTGFの発現量とは逆に^<125>I標識エコジェニン/CTGFの結合量は減少することを見いだした。
3)軟骨細胞においてはエコジェニン/CTGFは、分泌された後細胞周囲のヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合して備蓄され、その後遊離してパラクリン的に作用する、いわゆるマトリクリン因子であることが判明した。
4)エコジェニン/CTGFは、軟骨細胞においてERKのリン酸化とp38MAPKのリン酸化を促進した。また、それぞれの選択的阻害剤を用いて、エコジェニン/CTGFの増殖促進作用はERKの経路を、分化促進作用はp38MAPK経路を介していることを明らかにした。
5)ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8より、2種のエコジェニン/CTGF結合タンパク質を精製した。そのうちの一つの分子量42KDaのタンパクのN末端の部分アミノ酸配列はγ-アクチンのそれと一致した。また、50KDaのタンパクのN末端の部分アミノ酸配列はサイトケラチンのそれと一致した。
6)エコジェニン/CTGFをCos-7細胞に強制発現させると、細胞質に均等に分布せず中心体近傍に局在した。また、合成後の動態を調べると、C-末フラグメントが細胞内に存在することが判明した。
したがって、エコジェニン/CTGFの作用機構としてマトリクイン因子として働くだけでなく、分泌されずにγ-アクチン等に結合して細胞内で直接効果を発揮する経路も存在することが示唆された。 -
ヒト軟骨細胞のメカニカルストレスに関連した細胞内情報伝達機構-ストレスの多寡と細胞内情報伝達転換機構-
研究課題/領域番号:10470415 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
窪木 拓男, 服部 高子, 滝川 正春
配分額:11300000円 ( 直接経費:11300000円 )
本研究では,負荷と軟骨破壊との関係,さらにはその機序を明らかにすることを目的として,周期的な伸展負荷が軟骨細胞の増殖,基質合成,軟骨破壊因子の発現におよぼす影響について検討し,以下の知見が得られた。
1.DNA,タンパク質およびコラーゲン合成に対する影響
15kPaおよび5kPaのどちらの負荷でもDNA合成能,タンパク合成能およびコラーゲン合成能は高頻度のストレスによって有意に低下した。
2.プロテオグリカンの蓄積と合成に対する影響
ウロン酸量はどちらの負荷でも高頻度のストレスによって有意に減少した。また,15kPaの高頻度のストレスを加えると,プロテオグリカン合成は経時的に減少したのに対し,低頻度のストレスでは,負荷後初期にプロテオグリカン合成がわずかに減少したがその後はほとんど変化しなかった。さらに,15kPaの高頻度のストレスにおいて培養上清中にMMPインヒビターを添加すると,ストレス負荷後のプロテオグリカンの減少が抑制された。
3.軟骨破壊因子の遺伝子発現におよぼす影響
IL-1,MMP-2 mRNAについては,どちらの負荷群においても負荷後早期に一時的な増加が認められた後,24時間以内には元のレベルにまで戻った。これに対し,MMP-9 mRNAの発現は,15kPa負荷群では24時間まで増加し続けた。
4.ゼラチナーゼ分泌に対する影響
5kPa負荷群ではMMP-2,MMP-9の産生はともにストレスの影響をほとんど受けなかったが,15kPa負荷群では潜在型および活性型MMP-9さらには潜在型MMP-2の産生が,ストレス負荷後24時間で対照群と比較して明らかに増加した。
5.NO産生におよぼす影響
高頻度の条件で負荷を加えた場合,NO産生は負荷後48時間以降対照群と比較すると有意に上昇した。 -
新規軟骨由来血管新生因子(CTGF)に対する阻害剤の開発と血管新生病治療への応用
研究課題/領域番号:10557165 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 井上 美穂, 服部 高子, 中西 徹, 玉谷 卓也
配分額:13700000円 ( 直接経費:13700000円 )
1)合成ヒトCTGFペプチド断片およびリコンビナントCTGF(rCTGF)をウサギに免疫して、ポリクロナール特異抗体を調製した。また、多数のモノクローナル抗体を作製した。
2)鶏卵漿尿膜にrCTGFを投与するとbFGFに匹敵する著明な血管新生が見られた。また、マウス皮下に投与でも著明な血管新生がみられた。
3)rCTGFは血管内皮細胞の接着、増殖、遊走を促進し、また、管腔形成を誘導し、これらの作用はすべてポリクローナル抗CTGF抗体により阻害された。
4)血管内皮細胞にCTGF受容体が存在することをクロスリンク法により明らかにした。
5)ヌードマウス移植腫瘍の血管新生が強い順に乳癌細胞株(MDA231)、線維肉腫細胞株(HT1080)、扁平上皮癌細胞株(A431)を選びそのCTGF産生能をin vitroならびにin vivoで調べるとこの順序で強かった。一方、従来から血管新生因子として知られているVEGFやbFGFの産生能とこれらの腫瘍細胞の血管新生活性との間に相関はみられなかった。
6)鶏卵漿尿膜に上記の乳癌細胞を移植すると著明な血管新生がみられこの腫瘍による血管新生は抗CTGF抗体を同時投与することにより抑制された。
7)血管新生病の一つである慢性関節リウマチ患者の関節液中にCTGFが出現することを明らかにした。また、実験的心筋梗塞の修復期にCTGF遺伝子の発現が亢進することを見出した。
8)ヒト抗体産生トランスジェニックマウスを用いてヒト型CTGF抗体を作製しこの抗体がヌードマウス骨転移モデルで骨転移を阻害することを明らかにした。
以上の結果、CTGFが血管新生の全過程を促進する新規の血管新生因子であること、また、正常および病的な血管新生の両者に関与することが明らかになった。さらに、抗CTGF抗体がCTGF阻害剤として血管新生病の治療に応用できる可能性が示された。 -
軟骨肉腫由来軟骨成長因子エコジェニン/CTGFのレセプターの分子クローニング
研究課題/領域番号:09671893 1997年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
中西 徹, 大山 和美, 服部 高子, 滝川 正春, 井上 美穂
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
1)内軟骨性骨化過程に発現する結合組織成長因子(CTGF)をdifferential display法によリクローニングした。この遺伝子は肥大軟骨細胞で強く発現していた。
2)CTGF遺伝子を発現ベクターに接続してHeLa細胞に導入し、組換えCTGF蛋白(rCTGF)を生産した。
3)rCTGFは軟骨細胞の増殖、成熟、分化を促進した。
4)rCTGFを用いた結合試験の結果、軟骨細胞において親和性の異なる2種のCTGF受容体を同定した。またクロスリンクや免疫沈降によって、CTGF受容体の分子量が240kDaであることやこの受容体がPDGF受容体とは異なることを明らかにした。
5)CTGF刺激によりMAPキナーゼがリン酸化を受けることやMAPキナーゼ阻害剤の添加によってCTGFの作用が阻害されることから、CTGFの細胞内情報伝達にはMEK,ERKなどのMAPキナーゼ経路が関わっていると考えられた。
6)上記CTGF特異的受容体のうち低親和性のものはプロテオグリカンなどの細胞外基質であり、高親和性のものの一部はインテグリンなどの細胞接着因子であることが示唆された。
7)HCS-2/8細胞の細胞膜画分および細胞質画分からそれぞれCTGF結合蛋白質を、CTGFを固定化したアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。その結果、細胞膜画分からは34kDa,44kDa,66kDaの3種類、細胞膜画分からは50kDaの各CTGF結合蛋白質が精製された。これらの発現量はCTGFの細胞刺激により変動したことから、CTGFの生理的作用に関連するレセプターを含む蛋白質であると考えられた。
8)チロシンキナーゼ型受容体に共通する遺伝子塩基配列をもとに縮重プライマーを作製し、RT-PCR法によってHCS-2/8細胞からチロシンキナーゼ型受容体遺伝子断片をクローニングした。これらの塩基配列を調べた結果、既知のチロシンキナーゼ型受容体に似た新しい受容体をいくつか含んでいた。これらの遺伝子の一部の発現はCTGFの細胞刺激により変動し、さらにCTGF遺伝子を多く発現する細胞株にこれらの受容体も多く発現していた。これらの結果は、クローニングしたチロシンキナーゼ型受容体遺伝子断片にCTGF受容体遺伝子が含まれる可能性があることを示した。 -
顎関節疾患における熱ショック蛋白(HSP)47様蛋白の生理的・病理的意義
研究課題/領域番号:09771535 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
服部 高子
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
顎関節における特徴的な疾患である変形関節症(OA)や慢性関節リウマチ(RA)では,どちらも病理組織学的には顎関節を含む多くの関節軟骨が破壊されることが観察されており,関節液中に軟骨細胞の破壊成分が放出されると思われる。さらに自己免疫疾患の一つであるRAに関しては特にその破壊軟骨に対する抗体が出現すると報告されている。本申請課題では,前半の1年目で軟骨細胞様培養細胞株HCS-2/8細胞からのRA患者血清で特異的に認識される蛋白(RA-A47)の単離精製,そのN一末端アミノ酸配列の解析を行い,ヒトコラーゲン特異的分子シャペロンHSP47遺伝子であるcolliginホモローグであるcolligin-2遺伝子から推定されるアミノ酸配列と完全に一致すること,さらにRA-A47蛋白はコラーゲン結合能を有することを見い出し,これらの結果からRA-A47蛋白が未同定のcolligin-2遺伝子の翻訳産物ではないかと仮定した。そこで後半の本年度では,さらにこのRA-A47の構造を明らかにするため,HCS-2/8からra-a47 cDNAの蛋白コード領域を単離し,塩基配列を決定した。その結果,ra-a47 cDNAはcolligin-2 cDNAと3塩基,類推されるアミノ酸配列でも2残基異なっているが,それ以外は全て一致していることから,ra-a47とcolligin-2は同一の遺伝子であると結論付けた。同時にHeLa細胞からもra-a47 cDNAの単離番行い,HCS-2/8由来のra-a47 cDNAとの比較を行ったところ,1塩基HCS-2/8に特異的な部分が存在していたが,アミノ酸配列ではHCS-2/8由来,HeLa細胞由来のra-a47 cDNAに違いは見られなかった。なお,この配列はgenomic DNAでも一致していることが確かめられ,さらにcolligin geneはいずれの細胞でも単離できなかった。このra-a47 geneは42℃の培養で誘導を受けることも明らかとなったことから,RA-A47/Colligin-2はHSP47として機能していると考えられる。
また,HCS-2/8細胞に慢性関節リウマチにおいて関節液中への放出が報告されているTNFαを作用させるとn-a47/colligin-2mRNAの発現量は減少するがtype II collagen mRNAの発現量は変化せず,合成されるコラーゲンと分子シャペロンとの産生量に不均衡が生じることを昨年度報告したが,この条件下で抗体を用いた吸収実験から細胞表面にRA-A47が出現しており,また,培養上清中にもRA-A47が存在していることが確かめられ,TNFαなどの作用により本来細胞内にしか存在しないRA-A47の局在が変化するとともに細胞外に放出されたRA-A47が自己抗原として提示されるのではないかと考えている。 -
新たに単離した肥大軟骨細胞特異的遺伝子hcs-24の内軟骨性骨化における役割
研究課題/領域番号:08457490 1996年 - 1997年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
滝川 正春, 服部 高子, 高橋 浩二郎, 中西 徹
配分額:1900000円 ( 直接経費:1900000円 )
1)肥大軟骨細胞特異的遺伝子hcs-24のcDNAのコード領域は結合組織増殖因子(CTGF)と完全に一致した。
2)ウサギ成長軟骨培養細胞増殖・分化系でhcs-24遺伝子の発現はin vivoと同様肥大化期に最大となった。また、軟骨細胞における発現は軟骨分化を促進するTGFβとBMPで増強した。
3)抗CTGFペプチド抗体を調製し、マウス肋軟骨骨軟骨移行部を免疫染色したところ肥大軟骨細胞と骨内の血管内皮細胞が強染した。また、関節炎の関節軟骨表層とクラスター形成部位が染まった。
4)マウス胎児の発育過程ではhcs-24/ctgfの遺伝子発現は胎生7日目で最大となりその後低下して17日で再び上昇した。
5)hcs-24遺伝子をHCS-2/8細胞に導入し過剰発現させると増殖能が亢進した。一方、血管内皮培養細胞にhcs-24のアンチセンス発現ベクターを導入すると増殖と遊走が著明に抑制された。
6)HCS-2/8細胞からCTGF/Hcs-24を精製し、また、HeLa細胞を用いて組み換え体CTGF(rCTGF)を作製した。これらCTGF/Hcs-24は軟骨細胞の増殖能、プロテオグリカン合成能およびアルカリホスファターゼ(ALP)活性と、骨芽細胞のALP活性を上昇させた。さらに、血管内皮細胞の増殖と遊走を促進した。また、抗CTGFペプチド抗体は上記の増殖促進効果を阻害した。
7)CTGF/Hcs-24を高感度で定量可能なサンドイッチELISA法を確立した。
8)rCTGFを^<125>Iで標識し、培養軟骨細胞に特異的なレセプターが存在することを見出した。また、ウサギ肋軟骨培養軟骨細胞増殖・分化系を用いてレセプターが増殖期に多く分化に伴って減少することを明らかにした。
9)hcs-24遺伝子のトランスジェニックスマウスを作成するのに成功した。
以上の結果、Hcs-24/CTGFは肥大軟骨細胞から産生され増殖軟骨細胞の増殖、成熟、肥大化を促進し、一方、骨軟骨移行部で骨側から軟骨への血管侵入を促進して内軟骨性骨化を促進すると共に、器官形成にも関与する重要な成長因子であることが示唆された。 -
軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株HCS-2/8におけるIGF-2遺伝子の発現制御
研究課題/領域番号:08672124 1996年 - 1997年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高橋 浩二郎, 滝川 正春, 服部 高子
配分額:2600000円 ( 直接経費:2600000円 )
血管のない軟骨組織の細胞の増殖分化においてオートクリン的成長因子であるIGF-2の役割は重要である。そのIGF-2の機能究明を目的として、ヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞におけるIGF-2遺伝子(IGF-2)の発現制御を調べた。ヒト軟骨細胞ではIGF-2の4個のプロモーターがすべて発現していて、塩基配列が未定の2番目プロモータを除いた残り3個のプロモータの転写制御領域上にはEGRI(Early Growth Response Gene Product 1)、SP-1(Specificity Protein-1)、WT1(Wilms Tumor Suppresor)に対する複数個のコンセンサスな結合部位が存在している。HCS-2/8細胞でのIGF-2発現に対するこれらの転写制御因子の効果を検討するために行ったRT-PCRの結果は、SP-1の発現は正常軟骨細胞でも肉腫由来細胞株でも同様にほんのわずかであったが、EGRIの発現では正常軟骨細胞より肉腫由来細胞株の方がやや高く、WT1の発現では逆に正常軟骨細胞の方が肉腫由来細胞株より少し高かった。これらのことから、肉腫由来株HCS-2/8細胞では初期培養相での増殖に対するEGR1のポジティブな作用増強とWT1のネガティブな作用減少との相乗効果によってその肉腫由来細胞株の異常増殖が誘起されているものと推察された。
また、軟骨細胞系の一種の分化因子であるアスコルビン酸の効果は、HCS-2/8細胞ではIGF-2、H19(Tumor Suppresor)、EGR1、SP-1、WT1の発現を増加し、軟骨細胞の分化マーカーの10型コラーゲンα1鎖、アグリカン、アルカリホスファターゼの遺伝子発現も増加したけれども、2型コラーゲンα1鎖の遺伝子発現は減少させていた。これらの結果は、アスコルビン酸は軟骨細胞系において分化因子であるとともにその初期増殖においても増殖因子的な機能も有している可能性を示している。
一方、HCS-2/8細胞でのIGF-2のインプリンティング状態はすべてのプロモータとも父親由来のアレル発現に対応し、その過剰発現とは直接的な関連性は存在していないようであった。また、ヒト染色体11p15.5領域のインプリンティング・クラスターの中のCDKNIC(p57^<KIP2>)においては、父親由来のアレルではそのPAPA領域に欠損が認められたが、発現は母親アレルの正常な長さの型であった。 -
骨芽細胞インスリン様増殖因子遺伝子の発現と使用プロモーターの変動
研究課題/領域番号:06671854 1994年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C)
高橋 浩二郎, 滝川 正春, 服部 高子, 中西 徹
配分額:2200000円 ( 直接経費:2200000円 )
ヒトインスリン様増殖因子(IGFs)遺伝子の発現と使用プロモーターの変動に対するRNase保護アッセイ(RPA)法による定量解析法の開発が、マウス骨芽細胞株を用いる当初計画を一部変更して、ヒト軟骨肉腫由来軟骨様細胞株HCS-2/8で試みられた。当申請研究の主目的であるRPA用のプローブ作製は、IGF-2の4種のプロモーター(2P-1, 2P-2, 2P-3, 2P-4)のうち2P-2以外に対して、IGF-1の2種のプロモーターに対して、それぞれ成功した。現在、それらのプローブを用いたRPA法の適用範囲、限界を骨芽細胞、軟骨細胞等で調べている。また、転写産物の非常に少量であった2P-2のPCR産物を集積しており、クローニングに必要な量になり次第そのプローブ作製を行う予定である。今回の開発研究に関連した基礎的研究で以下の新事実を究明、発見し、現在それらの論文を作成中である。
1. IGF-2の4種のプロモーターの同時発現をHCS-2/8、ヒト正常軟骨細胞において初めて見いだした。
2. HCS-2/8のIGF-2の2P-4からの転写産物の複写開始点のすぐ上流の4塩基の欠損を見いだした。この欠損は染色体レベルでは起こっていなく、おそらくその肉腫由来細胞での特異的な選択的スプライシングに起因した欠損であるものと思われる。
3. HCS-2/8とヒト正常軟骨細胞の比較において、ともにインプリンティング遺伝子であるIGF-2とH19(癌抑制遺伝子)のそれぞれの発現量の間にパラレルな相関関係が存在していた。
4. HCS-2/8のIGF-2の制限酵素断片長多型の研究は、インプリティング型母親アレルはなく、父親由来のアレルだけの存在を示していた。このことが、軟骨肉腫形成に関連していると思われる。 -
ヒト軟骨細胞様細胞株を用いた新規軟骨分化関連遺伝子のクローニングと機能解析
研究課題/領域番号:06454521 1994年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(B)
滝川 正春, 服部 高子, 中西 徹, 高橋 浩二郎
配分額:7100000円 ( 直接経費:7100000円 )
1。まず、新規軟骨分化関連遺伝子のクローニングと機能解析のための細胞培養系の特徴を把握するためヒト軟骨細胞様細胞株(HCS)の性状解析とウサギ肋軟骨in vitro増殖・分化系の詳細な解析をおこなった。
2。ついで、これらの軟骨系の細胞と骨芽細胞系の細胞との間に,differential display法を適用し、7個の未知遺伝子と数個の既知遺伝子と相同性を有する遺伝子を得た。その内、今まで軟骨細胞での報告がなかったヒト結合組織増殖因子(human connective tissue growth factor ; CTGF)と相同性を有するヒト軟骨肉腫細胞株HCS由来の遺伝子のcDNAのクローニングを行った結果,この遺伝子hcs24はCTGF蛋白をコードしており,ctgfと同一の染色体DNAに由来することが判明した。その発現は培養細胞ではHCS-2/8細胞とウサギ肋軟骨成長軟骨細胞に特に強く、上記ウサギ肋軟骨成長軟骨細胞in vitro増殖・分化系では肥大化期に最大となった。また、HCS-2/8細胞における発現は内軟骨性骨形成に重要な役割を果たすTGF-βやBMP-2により著明な誘導を受けた。
3。17日齢マウス胎仔のin situハイブリダイゼーションの結果そのmRNAの発現は軟骨細胞特に肥大軟骨細胞に強かった。
4。抗PDGF抗体がCTGFを認識することを利用し、ウエスタンブロットでHCS-2/8細胞CTGF蛋白を産生していること確認した。
5。アンチセンスDNAをHCS-2/8細胞in vitro増殖・分化系に添加するとそのプロテオグリカン合成が増加し、一方、その増殖は著明に抑制された。さらに、ウサギ成長軟骨細胞増殖・分化系ではアルカリホスファターゼ活性を増加させた。したがって、ctgf/hcs24の遺伝子産物すなわちCTGFは増殖期の軟骨細胞が分化、成熟するのを抑え、一方、その増殖を促進する作用を有することが判明した。 -
口腔内常在通性嫌気性菌の酸素センサー兼転写調節蛋白およびその遺伝子構造の比較解析
研究課題/領域番号:06771628 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
服部 高子
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
大腸菌の環境応答のうち、分子状酸素濃度の低下に応答した好気的から嫌気的への呼吸系転換には、酸素センサーであると同時にDNA結合性調節蛋白であるFNRの関与が必須である。FNRはC末端のDNA結合領域の類似性からCRP(cAMP receptor protein)とCRP-FNR familyを形成しており、このfamily間ではFNRの方がN末端領域に分子状酸素を感知すると考えられるシステインクラスターを保持していることで区別されている。最近、DNA結合領域とシステインクラスター領域の両方においてFNRと同様な特徴を持つ蛋白(HlyX:Haemolysin合成における転写調節蛋白)がActinobacillus pleuropneumoniaeに存在することが報告され、FNR-HlyX familyの存在も示唆されている。このことよりFNRの機能的側面において、嫌気的呼吸系遺伝子群のactivatorに加えて病原細菌の毒素産生に対する調節蛋白としての可能性が推察されている。
種々の代謝様式を持つ5種の代表的な口腔内常在細菌でのFNR様蛋白の存在の有無を確かめる前年度までの予備的な実験で、抗FNR血清との反応性と分子量の類似性から通性嫌気性細菌で嫌気的呼吸系を持ち、かつ白血球毒素産生能を持つActinobacillus actiinomycetemcomitansにのみ有意なFNR様蛋白の産出が認められた。さらに、フルクトース制限下のケモスタット培養における増殖パターンの変動実験から、A.actinomycetemcomitansのFNR様蛋白と大腸菌FNRとの間に産生量変動パターンにおける相関性が観測された。
本年度は、上記のA.actinomycetemcomitansに加えてHaemophilus aphrophilus、Capnocytophaga gingivalis、Capnocytophaga ochraceaの4種の口腔内常在通性嫌気性細菌におけるFNR様蛋白およびfnr様遺伝子の検出を試みた。その結果の要点は、下記の通りである。
(1)抗FNR血清と反応する分子量約30Kの蛋白は、A.actinomycetemcomitansに加えてH.aphrophilusも産出することが確認された。
(2)FNR-HlyX family間でのコンセンサスなアミノ酸領域より設計した混合プライマーを用いたPCR法でも、fnr様遺伝子の増幅産物がA.actinomycetemcomitansとH.aphrophilusに検出された。これらの増幅産物のシークエンシングの結果、fnr様遺伝子はfur遺伝子およびhlyX遺伝子と非常に高い相同性があることが確認され(約75%)、FNR-HlyX familyに属すると思われる。
以上の事実より、A.actinomycetemcomitansおよびH.aphrophilusのFNR様蛋白は大腸菌FNRとの構造的、機能的な類似性だけでなく、毒素産生調節蛋白との構造的類似性も有することを初めて見い出した。(投稿準備中) -
口腔内常在細菌のDNA結合性酵素センサー蛋白質の同定と一次構造の解析
研究課題/領域番号:05857203 1993年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
服部 高子
配分額:800000円 ( 直接経費:800000円 )
大腸菌では、環境の分子状酸素濃度の低下に応答した好気的呼吸系から嫌気的呼吸系への転換には、酸素センサーであると同時にDNA結合性転写調節蛋白であるFNRを介する1成分調節系の関与が必須である。嫌気条件下で活性化されるFNR蛋白は、嫌気的呼吸系遺伝子群の発現を誘導するだけでなく、自己をコードする遺伝子の転写を抑制する独自のautorepression機構によりその転写レベルが自己調節されていることが、in vitro の転写活性測定系で代表者らにより実証された(FEBS Lett.,1994,in press)。
口腔内常在細菌におけるこのような転写調節系の作動の有無を確かめるため、種々のredox代謝様式を持つ代表的な5種の細菌株を選び、FNR様蛋白の産生の有無を抗FNR血清との反応性と分子量の類似性より検索したところ、通性嫌気性細菌で嫌気的呼吸系の存在が報告されているActinobacillus actinomycetemcomitans にのみ、FNR様蛋白の産生が有意に認められた。さらに、フルクトース制限下のケモスタット培養における増殖パラメータの変動実験から、FNR様蛋白の産生量変動パターンにおいて大腸菌FNRとの相関が示唆された。そこで、本研究では、FNR様蛋白と大腸菌FNR蛋白との相同性を立証することを試みた。その結果の要点は、下記の通りであ。(投稿準備中)。
(1)A.actinomycetemcomitans より単離精製されたFNR様蛋白のアミノ酸N-末端配列には、大腸菌FNR蛋白との有意な相同性はみられなかった。しかし、大腸菌FNR蛋白との相同性をアミノ酸レベルで高度に保存しているPseudomonus属のANR蛋白やActinobacillus属のHlyX蛋白のN-末端領域に関しても有意な相同性は見られないことより、N-末端領域にはFNR-family 間でコンセンサスな領域が含まれず、FNRとの相同性はさらに内部領域のアミノ酸配列の解析から実証されるべきであると思われた。
(2)FNR-family間でコンセンサスなアミノ酸領域より設計した混合プライマーを用いたPCR法により、fnr様遺伝子の増幅産物がA.actinomycetemcomitans に検出されており、遺伝子DNAレベルにおいても大腸菌fnrとの相同性が明らかにされた。
以上の事実より、A.actinomycetemcomitans のFNR様蛋白は構造的、機能的に大腸菌のFNRと類似している可能性が強く示唆された。 -
二制御因子(NarL・FNR)系によるnarオペロンの協同的転写制御
研究課題/領域番号:04254212 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
高橋 浩二郎, 谷口 茂彦, 服部 高子, 中西 徹
配分額:1900000円 ( 直接経費:1900000円 )
大腸菌硝酸呼吸遺伝子オペロンの嫌気的条件下での発現制御には,各サブオペロンのプロモーター上流の調節領域にそれぞれ独立に作用する2つの転写促進因子が不可欠である。1つは,分子状酸素センサーであると同時に嫌気呼吸系遺伝子群の転写活性化因子であるFNRであり,他は硝酸イオンに対する二成分調節系:NarX/Lにおける転写調節因子であるNarLタンパクである。それら両調節タンパクからなる二成分系によるnarオペロンの転写調節の分子機構と,両因子のそれぞれが認識するDNA部域の高次構造の基本骨格の推定とを目標とした平成4年度の研究成果は以下の通りである。
1.家兎抗血清を用いたウエスタンブロット法で,口腔内細菌群の中で硝酸呼吸を営む通性嫌気性菌,Actinobacillus actinomysetemomitans(若年性歯周病原因菌)にFNR様タンパクが作動する事実を見出した(論文(1,3))。
2.硝酸イオンに対するセンサータンパクであるNarXを含む膜標品を用いて,その目己リン酸化と調節タンパクNarLへのリン酸基転移の両反応が,他の二成分調節系と同様のモードで起こることを^<31>P-NMRにより示した(論文(4))
3.ゲルシフト法によるFNRのDNA結合部域(いわゆるanaero-box配列)との反応の解析では,調節領域を含むnarX,narCHJI,fnrの各プロモーター・フラグメントに対するFNR単独での特異的な結合は認められなかったが,RNAポリメラーゼのホロ酵素あるいはコア酵素との共存下では結合し,かつポリメラーゼの結合親和性を一桁高める事実を解明した(論文(2))。
4.FNRによる転写自己抑制をテストしたin vitro転写実験で,fnrのプロモーター域では約100塩基間隔で2つのFNR結合部位が,narX/Kのプロモーター域では約210塩基間に3つのFNR結合部位が設定されるときに,抑制的な効果が説明可能で,DNAの誘導湾曲構造の形成が不可欠であると示唆された(論文(2))。 -
硝酸還元酵素系遺伝子群を協同的に転写制御するDNA結合 蛋白質:NarL・Fnr
研究課題/領域番号:03259210 1991年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
高橋 浩二郎, 服部 高子, 谷口 茂彦, 野地 澄晴
配分額:1800000円 ( 直接経費:1800000円 )
嫌気的条件での大腸菌硝酸呼吸系遺伝子群(nark:硝酸輸送蛋白質をコ-ド)とnarCHJI(硝酸還元酵素複合体をコ-ド)の発現には,各プロモ-タ-上流にある制御領域にそれぞれ作用する二つの転写促進因子が必要である.一つは,分子状酸素センサ-であると同時に嫌気呼吸系遺伝子群の活性化因子であるFNR蛋白質である.他の一つは,硝酸イオンに対する二成分制御系:NarxーLでの制御因子としてのNarL蛋白質である.それら両制御蛋白質からなる二制御因子系(Two Regulator System)によるnarオペロンの転写制御機構の究明と,両制御蛋白質のそれぞれが認識するDNAの高次構造の決定とを目的とした本研究において,平成3年度には次のような研究成果を得た.
1.平成2年度に確立していたNarLとFNRの大量発現系を利用して,それら両制御蛋白質の精製を検討した.FNRに対してはその精製法を確立するとともに,その家兎抗血清を作製した.一方,NarLの方は,最終精製段階におけるその蛋白質の大半が沈澱するという問題点を残しており,現在,その解決策を検討中である.
2.精製FNRは,単独では,narオペロンへの特異的な結合を起こさなかったが,RNAポリメラ-ゼのホロ酵素およびコア酵素の存在下では結合するとともに,その酵素の結合能を増加させた。一方,シグマ因子との共存下では,FNRは結合しなかった.
3.NarL非存在下でのin vitro転写実験において,narCHJI・narKの両プロモ-タ-からの転写は起こらなかった。しかし,narX(硝酸センサ-をコ-ド)のプロモ-タ-を含むそのnarKのフラグメントではnarXの方に対応した転写が観測され,その転写活性はFNRによって抑制されていた.
4.現在,narオペロンに対する精製FNRと部分精製NarLとの協同的な転写制御のin vitro実験を進行中である(平成4年2月)