共同研究・競争的資金等の研究 - 鵜殿 平一郎
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原虫抗原/hsp70融合蛋白を用いたマラリアワクチン防御免疫の分子機構
研究課題/領域番号:13670248 2001年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本間 季里, 鵜殿 平一郎, 由井 克之
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
hsp70にマラリア原虫CS蛋白のCTLエピトープを結合させた融合蛋白をマウスに免疫することにより、CS特異的CTLの誘導と部分的防御免疫得られることを我々はこれまで明らかにしてきたが、本研究の目的は抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにすることである。
1.バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製
上記で用いた融合蛋白は大腸菌で発現させた融合蛋白であるため、大腸菌由来のLPSなどの僅かな混入により樹状細胞の抗原提示能が影響される可能性がある。そこで、大腸菌由来物質の混入を回避するため、バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製を行なった。
2.抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにするためのモデルシステムの確立
H2-K^b拘束性に卵白アルブミンペブチドOVA_<257-264>を認識するCD8^+T細胞のT細胞レセプターのトランスジェニックマウス(OT-1)のリンパ節より精製したCD8^+T細胞と、モデル抗原としてのOVA_<257-264>を結合させたマウスhsc70(hsc70-OVA)の融合蛋白をパルスした抗原提示細胞(APC)を培養する。APCがhsp70-OVAを取り込みOVA_<257-264>の提示を行なったか否かは、OT-1由来CD8^+T細胞からのIFN-γ産生を指標に行なった。その結果、樹状細胞はhsc70-OVAを取り込み、OVA_<257-264>をOT-1T細胞に提示出来ることが明らかとなった。
3.抗原特異的CTLの誘導機序の解析
樹状細胞をブレフェルデインA、クロロキンなどの抗原提示経路の阻害剤で前処置することにより、抗原特異的CTLの誘導機序を解析した。その結果、外来性抗原として取り込まれたhsc70-OVAの提示には樹状細胞内のTAP分子は必ずしも必要ないこと、エンドソームでCTLエピトープとMHCクラスI分子が会合する経路が存在することを明らかにした。 -
ストレス蛋白の分子生物学的特性に基づく癌免疫治療研究
研究課題/領域番号:13218102 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(C) 特定領域研究(C)
鵜殿 平一郎, 由井 克之
配分額:5200000円 ( 直接経費:5200000円 )
リコンビナントhsc70-癌抗原ペプチド融合分子により活性の高いCTLを誘導できることを我々は明らかにした。一方CTL認識ペプチドをIFAと混合して免疫する際に同じMHCハプロタイプ(クラスII)拘束性のヘルパーペプチドと同時投与してやるとCTLの感作が強く行われる。そこで、hsc70分子のN末にモデル抗原OVA(ovalubumin)のI-A^b拘束性ペプチドOVA_<265-280>を融合し、同時にC末にCTLエピトープOVA_<257-264>を融合させたリコンビナント分子を作製した。この分子でマウスを免疫し脾臓細胞をin vitroで6日間ペプチド刺激し、得られたエフェクター細胞(CD8^+T細胞)の細胞傷害活性とELISPOTアッセイ法によるIFNγ産生細胞数を解析した。その結果細胞傷害活性はCTLエピトープ単独融合分子とヘルパー及びCTLエピトープ両方融合分子では差が認められなかった。しかし、IFNγ産生細胞数はヘルパーエピトープ付加により、2〜4倍に増加した。即ち、ヘルパーエピトープはhsc70に融合した場合、CD8^+T細胞の感作活性を増強させることが判明した。OVA_<265-280>の代わりにI-A^d拘束性のPlasmosium yoelii circumsporozoite蛋白由来のヘルパーエピトープを融合させた場合にはOVA_<257-264>に対する反応性の亢進は認められないことよりMHC拘束性が確認された。さらにOVA_<265-280>とマウスメラノーマ抗原TRP2_<180-188>の両方をhsc70に融合し、同様に解析した結果、TRP2_<180-188>に対してIFNγ産生細胞数はTRP2_<180-188>単独融合分子の場合よりもやはり2〜4倍増加していた。即ち、ヘテロのヘルパーエピトープであってもMHC拘束性が一致していれば感作されるCD8^+T細胞数が増加することが判明した。
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MSP1/hsp70融合蛋白ワクチンによるマラリア防御免疫機構の基礎研究
研究課題/領域番号:12670234 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
由井 克之, 鵜殿 平一郎
配分額:3900000円 ( 直接経費:3900000円 )
我々は、マラリア原虫Plasmodium yoeliiのMSP1抗原とマウス熱ショック蛋白70(hsp70)との組換え融合蛋白を大腸菌に発現させて精製しマウスに免疫することにより、スポロゾイト感染に対して肝細胞期と赤血球期両者における防御免疫が誘導されることを明らかにしてきた。この免疫方法では、MSP1抗原特異的抗体産生とT細胞のIFN-γ産生などの細胞性免疫の両者が誘導される。今回、免疫マウスの肝細胞期における感染防御機構について解析を行った。肝細胞期の防御効果は赤血球期においては原虫血症の消失或いは出現遅延として観察される。肝細胞期において防御されていることを証明するため、スポロゾイト感染後の肝内原虫数を原虫rRNAのreal time RT-PCR法により解析した。MSP1/hsc70免疫群で特異的に原虫数が低下することから、MSP1特異的免疫応答により肝内の防御免疫が成立することが示された。防御免疫機構を解析するため、免疫マウスから肝内リンパ球を調整してC57BL/6マウスに養子移入を行い、スポロゾイトの攻撃感染を行った。肝内での防御免疫は、リンパ球を移入したマウスでは成立したが、抗体を移入したマウスでは成立せず、細胞性免疫により担われていることが示された。さらに、リンパ球サブセットに特異的な抗体を免疫マウスに投与することによりT細胞分画を除去する方法を用い、防御免疫を担うT細胞分画の解析を行った。抗体によりCD4とCD8陽性細胞の両者を除去しても肝細胞期における防御効果は失われず、CD4-CD8細胞が防御免疫を担っている可能性が示唆されてた。この肝細胞期防御免疫は、S57BL/6マウスばかりでなくBALB/c、C3H及びAKRマウスでも観察されており、MHCの多様性を越えて防御効果を誘導できる可能性が示された。
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ストレス蛋白-癌抗原融合分子による抗腫瘍効果
研究課題/領域番号:12217113 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(C) 特定領域研究(C)
鵜殿 平一郎, 新原 直樹, 由井 克之
配分額:5100000円 ( 直接経費:5100000円 )
我々はCTL認識抗原ペプチドを遺伝子工学的にストレス蛋白分子hsc70と融合させた融合分子がワクチンとして確実な効果があることを証明し、その細胞性免疫誘導機構及びストレス蛋白分子のどのような性状にそれが依拠するのかを明らかにした。腫瘍抗原ペプチドpRL1a(マウス白血病細胞RL♂1のLd拘束性ペプチド)、TRP2(マウスメラノーマB16のKb拘束性ペプチド)、さらにモデル抗原としてOVA257-264をそれぞれhsc70のC末に融合してその免疫効果を検討した。これら3つのペプチドに対して強力なCTLが誘導された。これらのCTLはオリジナルの腫瘍に対しても高い傷害活性を示した。CTLエピトープの融合部位はhsc70のN末、C末どちらでもよかった。in vivoへの投与経路は皮下、皮内ではなく静脈内投与が最も効果的であった。このことはhsc70のターゲットとする抗原提示細胞は皮下ランゲルハンス細胞ではないことを意味している。むしろ、脾臓内未熟樹状細胞、或いはマクロファージの可能性が高い。hsc70融合分子によるCTL誘導にはCD4^+T細胞は必須ではなかった。また、免疫の際にカラゲナンを投与するとhsc70融合分子によるCTL誘導は全く消失するためカラゲナン感受性の抗原提示細胞がhsc70融合分子のプロセッシングにあたると推測された。
次にhsc70のどの領域がCTL誘導に必須であるかを検討するためにhsc70のdeletion mutantsとCTIエピトープの融合分子を作製した。その結果hsc70280-385の間に必須領域があると判断した。
hsc70はある細胞表面受容体をもつ特定の抗原提示細胞に特異的に取り込まれると考えられている。この受容体の特定と同時にhsc70280-385と受容体の結合を介して細胞内に取り込まれる可能性を今後検討する。 -
ストレス蛋白-マラリアCS抗原融合分子によるワクチン効果の分子機構
研究課題/領域番号:11670245 1999年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
鵜殿 平一郎, 由井 克之
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
我々はPlasmodium yoelii circumsporozoite(CS)蛋白由来のK^d拘束性epitope(PYE)をコードするmini-genesをマウスhsc70遺伝子と融合しこれで免疫することによりCTLの誘導を検討した。即ちPYEをhsc70のN又はC末に融合させた分子を作製し大腸菌にて発現させた(hsc70-PYE,PYE-hsc70)。この2種類の融合分子を皮下、皮内、静脈内に各週2回免疫した。脾臓細胞を調整後PYEペプチドで6日間in vitro刺激を行い、P815(H-2d)に同ペプチドをパルスしたものを標的細胞としてクロム51遊離試験にてCTL活性を検査したところ静脈内投与が最も有効であった。脾臓細胞をペプチドで48時間刺激して得られたELISPOT assayでも同様の結果であった。また、hsc70によるCTL誘導にはCD4^+T細胞は必須ではかった。しかし免疫の際にカラゲナンを投与するとCTL誘導は全く消失してしまうことからカラゲナン感受性の抗原提示細胞がhsc70融合分子のプロセッシングにあたると推測された。以上のことはhsc70は皮下ランゲルハンス細胞よりもむしろある細胞表面受容体をもつ特定の脾臓内抗原提示細胞に特異的にターゲッテイングされると考えられる。
次にhsc70のどの領域がCTL誘導に必須であるかを検討するためにhsc70のdeletion mutantsを作製し、これとPYEの融合蛋白を作製しCTL誘導能を検討した。その結果、hsc70_<280-385>の間に必須流域があると判明した。
今後hsc70の受容体の特定が必須の課題であると考えられる。さらにhsc70_<280-385>が細胞表面受容体を介して細胞内に取り込まれる可能性を今後検討しなければならない。 -
不活化スポロゾイトの免疫による赤内型マラリア原虫に対する防御免疫誘導機構
研究課題/領域番号:11147226 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(A) 特定領域研究(A)
由井 克之, 鵜殿 平一郎
配分額:1700000円 ( 直接経費:1700000円 )
X線照射により不活化したPlasmodium yoelii(P.yoelii)スポロゾイトで繰り返しマウスを免疫することにより、抗マラリア原虫抗血清を作成した。この抗血清を用い、Western blot法で赤内型原虫抗原を解析することにより、複数の抗原を同定した。主要なものは、P.yoelii HSP70、MSP1抗原及び未同定の抗原であった。これらの抗原は、肝細胞期と赤血球期原虫の両者に発現されると考えられる。赤内型P.yoelii のcDNAライブラリーを作成し、P.falciparum HSP70のプローブでスクリーニングすることにより、P.yoelii HSP70のcDNAをクローニングした。また抗血清で同ライブラリーをスクリーニングすることにより、新たなマラリア原虫抗原cDNAをクローニングした。この新抗原cDNAの全塩基配列はまだ決定されていないが、従来同定されていない新しい原虫抗原であることが明らかになっている。
MSP1が赤内型と肝細胞期両者に発現されることから、MSP1抗原C末端のEGF様ドメインを含む15kDaペプチド断片とマウスHSP70との組換え融合分子を作成した。他のアジュバントなしでこの融合蛋白で免疫することにより、肝細胞期と赤血球期両者に有効な防御免疫を誘導することに成功した。C57BL/6マウスではスポロゾイト感染後赤内型原虫が全く出現せず、肝細胞期における感染阻止が示された。この防御免疫能は、血中抗MSP1抗体価とは直接の相関がなかった。一方、免疫マウスは赤内型原虫の感染に対しても抵抗性を示した。このことから、MSP1/HSP70融合蛋白ワクチンの免疫により肝細胞型と赤内型両者に有効な防御免疫が誘導されると考えられた。 -
ストレス蛋白・癌抗原融合蛋白分子による抗腫瘍効果
研究課題/領域番号:11140257 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(A) 特定領域研究(A)
鵜殿 平一郎, 由井 克之
配分額:2700000円 ( 直接経費:2700000円 )
マウスのhsc70遺伝子を鋳型として3'側のプライマーに癌抗原ペプチドpRL1a(RL♂1)、TRP2(B16)、又はマラリアCS抗原、OVA抗原(E.G7)、HY抗原をコードするmini-geneをそれぞれ入れ、PCR法で遺伝子増幅する。これを発現ベクターに組み込み大腸菌にて大量に発現された。それぞれの蛋白分子1mgで隔週2回免疫し、脾臓細胞を取り出し同ペプチドでin vitro刺激を行いELISPOT法とクロム51遊離試験で効果を比較した。いずれの抗原ペプチドでも特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導が可能であることが判明した。即ち、抗原ペプチドの種類に制限はないと考えられた。さらにRL♂1、B16、E.G7を皮内に注射しvivoで腫瘍増殖の抑制効果を判定する試みを現在も続けているが、完全抑制とまではいかないようである。しかし、マラリア抗原MSP-1のほぼ全長とhscp70の融合分子はスポロゾイト攻撃感染を肝臓期に完全に抑制するという実験結果も我々は得ており、このことから単一のCTLエピトープだけではなくヘルパーエピトープも含めた複数のエピトープがより強力なワクチン効果を発揮する上で重要であると推察された。
通常、リコンビナントhsc70分子にはほとんどATPase活性が認められないのが現実であるが、我々の特種なrefolding操作によりnative分子と同様のATPase活性を持ったhsc70蛋白分子の精製を可能にした。このATPase活性の強さとCTL感作の強さに相互関係があることがわかった。また、hsc70のN末側アミノ酸280番から300番目の間にCTL感作に大きく影響を及ぼす領域があることが変異hsc70分子を用いた実験で明らかになった。 -
熱ショック蛋白と免疫応答
1998年
資金種別:競争的資金
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フリプトコックス感染症の発症機序におけるストレス蛋白の関与-ワクチン療法への応用
研究課題/領域番号:08670667 1996年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
河野 茂, 鵜殿 平一郎
配分額:2200000円 ( 直接経費:2200000円 )
Cryptococcus感染症は、AIDSの日和見感染症の一つとして重要な疾患であるばかりでなく、健常人にも発症する疾患である。近年、細菌や寄生虫などの感染症における主たる抗原がこれらの病原体のストレス蛋白(Heat shock protein:HSP)であり、HSPが宿主の免疫応答を引き起こす認識抗原となっていることが明らかになった。しかし、Cryptococcus neoformansに関する報告は未だみられない。今回、我々は肺感染マウスモデルを用い、Western blotting法にて、感染マウス血清中のHSPに対する抗体の存在の有無について検討を行った。その結果、感染血清中には菌体の蛋白に対する数種類の抗体の出現が認められた。その中で77kDaの蛋白は、immunodominantで、抗HSP70抗体を用いた実験などでHSP familyであることが証明された。これらの結果より、Cryptococcus感染症においても他の感染症と同様に微生物自身のHSPが免疫応答を引き起こしているものと思われた。本研究は、Cryptococcus感染症における免疫機構の一部を解明できたと思われる。
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熱ショック蛋白結合性腫瘍抗原ペプチドの解析
研究課題/領域番号:07274244 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
鵜殿 平一郎
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
Meth A腫瘍由来のHSPの分離、精製を一部改良し非常に高純度のHSPを精製し結合している内因性ペプチドの同定、解析を改めて行った。Meth A腫瘍の10万gの上清を硫安沈殿法にて0-50%、50-80%の分画に分けた。50-80%の画分にはgp96が存在しておりこれをさらにCon A sepharose及びMono Qカラムを用いたFPLCにて高純度(98%以上)のgp96を精製し。また、Con A sepharoseに結合しない分子及び硫安沈殿法にて0-50%の画分蛋白を混合しMono Qカラムを用いてcrudeのhsp70を精製しさらにADPアガロースカラムを用いて98%以上の純度でhsp70を精製することに成功した。このhsp70にはMeth Aに対する抗腫瘍効果が認められた。同hsp70をATP処理し、遊離してきた低分子をC18逆相カラムにてHPLC解析を行いペプチドの存在を確認した。これらペプチドのプールシークエンスを行った結果は作年我々が指摘したものと同じようにN末1番目のアミノ酸はIIe,Leu,Valの分岐鎖アミノ酸、及びAla,Pheの頻度が高く合計すると全体の70%くらいを占める。2番目にはこれらのアミノ酸残基に加えAsn,Asp,Glu,Gln,Lys,Ser,Thrなどの親水性のアミノ酸が位置していた。Gly,Proは3番目から7番目くらいに高頻度に認められた。Gp96からTFA処理にて得られたペプチドのプールシークエンスも同様の結果であった。さらに現在gp96及びhsp70から遊離してきた一部のペプチドピークをエドマン分解法にてそのアミノ酸配列を決定している。
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熱ショック蛋白70-マラリア抗原ペプチド複合体によるワクチン効果の検討
研究課題/領域番号:06670259 1994年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C) 一般研究(C)
鵜殿 平一郎, 小野 俊郎
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
マウスマラリアPlasmodium bergheiに対する赤外型ワクチンモデルの作成のためにPlasmodium berghei CS蛋白に対する細胞性免疫応答の誘導を試みた。宿主にはBALB/cマウスを使用した。15EA02:1、Plasmodium bergheiのCS蛋白に対してキラーT細胞を誘導するためにH-2K^d拘束性のキラーT細胞エピトープとして知られるNDDSYIPSAEKIを合成し、同ペプチドと熱ショック蛋白70(hsp70)を混合し37℃で1時間インキュベートすることにより結合させた。この結合はATPに感受性があるためATP、Mg^<2+>の存在下で結合したペプチドはhsp70から解離する。
2、このhsp70-ペプチド複合体10μgでマウスを隔週2回免疫しその脾細胞をin vitroで同様のペプチドで刺激し、得られたキラーT細胞の活性は同じペプチドをp815(H-2^d)腫瘍にパルスした細胞を標的細胞としクロム51遊離法で検出した。
3、in vitroにおけるペプチド刺激の際、どれくらいのペプチド濃度の時に最も強いキラー活性が得られるかを調べるために1x10^4,1x10^5,1x10^6,1x10^7,1x10^8M濃度のペプチドで刺激を行ったところ1x10^6及び1x10^7Mで低いながらも一番強い活性が認められた。
4、さらに初期培養の際にIL2を添加することによりキラー活性が増強するかを検討したが、いずれのペプチド濃度で刺激した際にも活性は逆に低下することがわかった。
5、初期培養で得られた弱い活性をもつ細胞をさらに同様のペプチドで再刺激を行いこれを繰り返すことにより、さらなる活性の増強が認められたため、現在T細胞培養株の確立を進めている。 -
熱ショック蛋白結合性腫瘍抗原ペプチドの解析
研究課題/領域番号:06282241 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
鵜殿 平一郎
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
Hsp70からATP依存性に遊離してきたペプチドのプールシークエンスの結果はN末1番目のアミノ酸はIle,Leu,Valの分岐鎖アミノ酸、及びAla,Pheの頻度も高くこれらのアミノ酸の量を合計すると全体の80%くらいを占める。2番目にはAsn,Asp,Glu,Gln,Lys,Ser,Thrなどの親水性のアミノ酸が位置する。Gly、Proは2ないし3番目から7番目くらいに高頻度に認められた。この結果は4回おこなったいいずれの実験でも同様であった。ER内にあるgp96からTFA処理にて得られたペプチドのプールシークエンスからもほぼ同様の結果が得られた。このことはhsp70及びgp96のペプチド結合部位の構造が類似である可能性を示唆する。
さらにhsp70から遊離してきたペプチドをC18逆相カラムにより分離し一部のペプチドピークをエドマン分解法にてそのアミノ酸配列を決定した。これまでにRas蛋白、hsp84、Annexin、Laminin、などに由来する約15本のペプチドのアミノ酸配列が決まったがそのほとんどは内因性由来の蛋白分子からきている。またタンデム質量分析器を用いてペプチドの分子量をみたところ約800から2000の範囲に多くのペプチドが観察された。Hsp70については従来からクラスIIの抗原提示に関与していることが言われてきたが、これらペプチドの解析の結果からクラスI及びクラスII両方の経路に関与している可能性が考えられる。さらに小胞体にあるgp96,Bipの結合ペプチドの構造決定が必要である。これらの結果をもとに、ストレス蛋白に結合している腫瘍抗原ペプチドの検出を行なうことも検討中である。 -
分子シャペロンと抗原のプロセッシング
資金種別:競争的資金
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ストレス蛋白を用いたワクチン開発
資金種別:競争的資金
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プロテアソームin vitro再構築
資金種別:競争的資金
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プロテオーム解析特にLC/MS
資金種別:競争的資金
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生物活性の高いリコンビナント蛋白のrefolding 法の確立
資金種別:競争的資金
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癌の遺伝子治療及び免疫治療
資金種別:競争的資金
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HLA 提示ペプチドの予測技術の確立
資金種別:競争的資金
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細胞傷害性T 細胞の誘導法
資金種別:競争的資金