共同研究・競争的資金等の研究 - 宮石 智
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キャピラリー電気泳動による超高速SNP分析法の開発
研究課題/領域番号:13470102 2001年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 吉留 敬, 宮石 智, 山本 雄二, 稲垣 幸代
配分額:13200000円 ( 直接経費:13200000円 )
本研究課題の研究経過および成績は以下に示すとおりである。
ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。
ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。
Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。
なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。
さらに、ヒトの各染色体上の合計38個のSNP座位を5つの検出グループに分け、それぞれのグループ毎に一塩基プライマー伸長反応を行った後、時間差連続インジェクション法を採用したキャピラリー電気泳動により同時検出して38座位のSNPの遺伝子型を一度の電気泳動でタイピングする方法をほぼ確立した。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。 -
母体末梢血からの胎児DNA多型分析法の開発
研究課題/領域番号:12877076 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽的研究 萌芽的研究
石津 日出雄, 吉留 敬, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
本年度の研究経過および成績は以下に示すとおりである。
1.妊娠後期の妊婦母体末梢血を5ml採取した。尚、血液採取に当たっては問診により過去の妊娠歴、流産歴、輸血歴等を明らかにしておくと共に、本研究は実験的段階であること及び病的遺伝子の診断ではないことを十分に説明し、採取に対するインフォームドコンセントおよびプライバシーの厳守など倫理面での配慮を欠かないようにした。
2.まず妊婦末梢血を滅菌生理食塩水で2倍に希釈し、これを比重を1.075および1.085に調製した比重遠心分離液Percollに重層して1600回転で30分間遠心した後、中間層の有核赤血球を多く含有する分画を回収した。
3.次に回収した有核赤血球を滅菌生理食塩水で洗浄後、DAB染色を施し、洗浄後さらに攪拌しながらエタノールを滴下して固定した。
4.エタノール固定した有核赤血球の生理食塩水浮遊液にヘマトキシリンを添加して染色を施した後、その一部をスライドグラス上に載せ、マイクロマニピュレータをセットした顕微鏡で観察して有核赤血球を回収した。
5.マイクロマニピュレーション法により回収した有核赤血球を1個ずつ個別のチューブに取り、Proteinase Kを含有するPCR緩衝液を添加して細胞溶解後、加熱によりProteinase Kを失活させ、チューブに新たにPEP(Primer Extension Preamplification)用プライマーまたはDual-PCR用プライマーを含むPCR反応混液を加えて反応させ、この反応産物の一部を鋳型としてPCR法によりSTR多型のタイピングを行った結果、一部のチューブにおいて、STR多型のタイピングが可能であった。また、母親のDNA型をリンパ球抽出DNAにより同時にタイピングして、有核赤血球から検出されたDNA型が母親のものとは異なることを確認した。
6.また、胎児有核細胞からのタイピング結果を確認するために、出生後の新生児から少量の血液を採取し、DNA型をリンパ球抽出DNAによりタイピングして、有核赤血球から検出されたDNA型が出生後の新生児のDNA型と一致することを確認した。 -
甲状腺内に含有されるミオグロビンを 指標とする新しい頸部圧迫の証明法
1999年04月 - 2000年03月
上原記念生命科学財団 研究奨励金
担当区分:研究代表者
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第4回法医学シンポジウム・ 第78回ドイツ法医学会
1999年04月 - 2000年03月
ウエスコ学術振興財団 海外渡航費助成事業 学術研究費助成事業
担当区分:研究代表者
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筋組織由来蛋白の法医診断への応用に関する研究
研究課題/領域番号:10470119 1998年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 北尾 孝司, 山本 雄二, 宮石 智
配分額:11600000円 ( 直接経費:11600000円 )
15例の剖検例について心筋中及び全身19箇所の骨格筋中の筋由来物質含有量を調べた。心筋では、心筋特異的トロポニンT(TnT)含有量は事例によるばらつきがあり、また当該事例の心臓血中濃度との間に相関はなかった。心筋中ミオグロビン(Mb)含有量も事例による差を認めた。また、これら15例について骨格筋に含まれる筋肉由来の各種蛋白やその他の物質の含有量も、事例により差が認められたほか、同一事例における骨格筋の部位による違いも、認められる場合と認められない場合とがあった。従って、筋由来物質の筋肉内含有量を死因診断、死後経過時間推定、年齢推定などに結びつけることは困難であった。血液中筋由来物質含有量を血液の部位別に検討すると、心筋特異的なTnTやトロポニンI(TnI)は、心臓血、大血管血、末梢血管血の順に、また右心系(静脈系)より左心系(動脈系)で含有量が多かった。これに対し心筋より骨格筋に含有量の多いCPKやクレアチンではこの傾向は逆となった。また、肝臓に多量に含まれるGOTやGPTは心臓血や末梢血より大血管血で活性が高かった。これらの結果は、血液の死後循環、筋肉からの物質の死後洩出メカニズム、中毒事例における薬物の死後拡散を考える上で示唆に富むものと思われた。しかし血中Mb濃度は、心臓血、末梢血管血、大血管血の順で高いという独特の特徴を示し、このメカニズムや意義については解明は今後の課題となった。また心臓血中の心筋特異的なTnTやTnI濃度は、溺死事例では左心血より右心血で高濃度である傾向が認められた。これは溺死の補助診断として有意義と考えられたが、そのメカニズムについては今回の研究では解明できなかった。血液以外の体液では、脳脊髄液や硝子体中クレアチン濃度が死後の時間経過とともに上昇し、心嚢液中クレアチニン濃度もまた死後経過時間と正の相関があった。従ってこれらのパラメーターは死後経過時間推定に役立つものと思われた。筋組織由来蛋白のうち、特にMbについて遺伝子分析の法医診断への応用を試みたところ、第2エクソンにおけるSNPが個人識別や親子鑑定への応用が考えられたほか、第3エクソンにおけるヒト特異的塩基配列の検出が人獣鑑別に有用であった。
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異状死体におけるHBV,HCV,及びHIVへの感染率
研究課題/領域番号:97KI149 1997年04月 - 1998年03月
金原一郎記念医学医療振興財団 第12回基礎医学医療研究助成金
担当区分:研究代表者
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挫減症候群におけるミオグロビンの毒性に関する実験的研究
研究課題/領域番号:09770300 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
Bywatersによって50年以上も前(1941年)に報告されていた挫滅症候群は、阪神淡路大震災を契機として、その重要性が再び認識されている。しかし、Bywatersが提唱した挫滅症候群の病態へのミオグロビンの関与については、今日なお解明が進んでいない。この点に着目した私の研究は、本研究補助金を得て、昨年度には、高純度ウサギミオグロビンの抽出・精製方法の確立とその大量抽出、これを抗原とした抗ウサギミオグロビンポリクローナル抗体(ヤギ)の作製、ウサギミオグロビンと交差反応性のある市販抗ヒトミオグロビンモノクローナル抗体の特定と、大きく前進した。本年度は、これらの成果に立脚して、先ずウサギミオグロビンのエンザイムイムノアッセイを確立した。すなわち、市販抗ヒトミオグロビンモノクローナル抗体を固相抗体、抗ウサギミオグロビンポリクローナル抗体(ヤギ)を二次抗体、市販のベルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体を検出抗体とするダブルサンドイッチELISAを完成した。次いで、挫滅症候群におけるミオグロビンの毒性を実験的に調べるための基礎的検討として、健康なウサギについて血中ミオグロビン濃度を調べたところ、10〜60ng/ml程度であった。更に、昨年度抽出したウサギミオグロビンを1mg/mlの溶液に調整し、これをlmg/kgの割合でウサギに経静脈投与した後、ミオグロビン被投与ウサギの血中ミオグロビン濃度を経時的に追跡した。その結果、投与直後の血中ミオグロビン濃度は約40μg/ml(正常値の1000倍程度)に上昇していたが、その後速やか低下し、30分後には約1μg/ml、.1時間後で約500ng/mlとなり、12時間後にはほぼ正常値に復した。このことから、挫滅症候群でミオグロビンが毒性を発現するのは、更に多量のミオグロビンが血中に放出される場合か、或いはミオグロビン以外の筋肉内成分との共存下の場合であることが示唆された。
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性染色体DNAの刑事及び民事鑑定への応用に関する法医分子生物学的研究
研究課題/領域番号:09557039 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 中村 智恵美, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:11500000円 ( 直接経費:11500000円 )
本研究課題における研究成果を以下に要約した。
1. Y染色体特異Alu配列の検出に基づく性別判定
Y染色体特異Alu配列のPCR反応条件を確立し、検出感度を向上させ、毛髪の毛幹部2cm等からの性別判定に成功した。
2. Y染色体STR多型の検出
日本人におけるDYS19多型の対立遺伝子(アレル)頻度は、A=0.064、B=0.068、C=0.423、D=0.226、E=0.211、F=0.004およびC-2=0.004(N=263)であった。これらのうちアレルC-2は、アレルBとアレルCの中間に泳動され、過去には内外ともに報告のないインターアレルであった。家族試料を用いて遺伝様式とともに、この多型の親子鑑定における有用性を確認し、強姦被疑事件における加害者の推定にも応用して良好な成績を得た。また、DYS390、DYS393およびDYS395各STR多型についても検討を行い、その有用性を確認した。
3. X染色体HPRT座STR多型の検出
日本人におけるHPRT座多型のアレル頻度は、T1=0.105、T2=0.243、T3=0.396、T4=0.200およびT5=0.057であった(男性例数=84、女性例数=63)。家族試料を用いてこのSTR多型の遺伝様式を確認し、この多型の親子鑑定における有用性を明らかにした。
4. アメロゲニン遺伝子の検出
ヒトおよび各種動物のアメロゲニン遺伝子のPCR増幅産物につき、制限酵素切断分析、塩基配列解析等によりごく近縁な動物相互間を除き種属鑑別が可能であることが示唆された。また、蛍光色素標識プライマーを用いたPCR法によりヒトの高感度な性別判定が可能であった。 -
外傷死体における尿中ミオグロビン濃度測定の法医診断的意義
研究課題/領域番号:08770311 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
殺人事件や交通轢逃げ事件の全貌を解明するには、犯行や事故発生の時刻を明らかにすることが極めて重要である。しかし、このような時刻の特定は、被疑者の自白や目撃証言という人間の記憶に依存しているのが実状である。従って、外傷死体の受傷後の生存時間を死体から推定し、延いては受傷時刻を特定することができれば法医学的に意義深い。ところで、筋肉内蛋白のミオグロビン(Mb)は、筋肉が損傷を受けると血中へ洩出し、更に尿中へ排泄される。そこで私は、外傷死体の尿中Mb濃度を独自に開発した酵素免疫測定法によって定量し、その値から当該死体の受傷後の生存時間を推定し得るか否かに付いて検討を加えた。まず対照用として収集した生体随時尿531例の尿中Mb濃度は大部分が20ng/ml以下であったが、100ng/ml以上の例も散見された。一方損傷による死亡例については、剖検ないし検案死体から54例の尿中Mb濃度を測定したところ、同濃度が500ng/ml以上のもの11例、1000ng/ml以上のもの5例が見いだされた。尿中Mb濃度と受傷から死亡までの経過時間との関係をみると、一般に強い損傷を受けたのち一定時間経過して死亡したものでは尿中Mb濃度が高い(例:16歳男性。轢き逃げ事故。第1車に跳ねられたうえ第2車に轢過され、約8時間後に死亡。尿中Mb濃度4610ng/ml)傾向にあった。しかしながら、受傷後の一定時間生存していても頭部外傷による死亡の場合(例:74歳男性。頭部だけをステッキで滅多打ちにされ、脳挫傷で約12時間後に死亡。尿中Mb濃度6ng/ml)や、損傷の激しい死体でも即死と判断された場合(例:17歳女性。電車に跳ねられた。身体の諸処に強い打撲損傷、四肢骨骨折。尿中Mb濃度2ng/ml)には尿中Mb濃度が低い傾向にあった。以上のように、本研究により、外傷死体の尿中Mb濃度測定によって、当該死体の受傷後生存時間を推定し得る可能性が示唆された。
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単座位DNA多型Km型・A2m型・α2-マクグロブリン型等の検出法の開発
研究課題/領域番号:06454247 1994年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(B) 一般研究(B)
石津 日出雄, 中村 智恵美, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:4100000円 ( 直接経費:4100000円 )
私どもは対立遺伝子(アレル)特異的プライマーを使用したPCR法により単座位DNA多型検出法の開発を試み、以下に示す成績を得た。
1.Km遺伝子型(血清Km型に対応する遺伝子多型)
アレル特異的(ASA)プライマーを用いたsemi-nested PCR法により、リンパ球DNAだけでなく全血、血痕、唾液斑、毛髪の毛根部からKm遺伝子型の判定が可能であり、日本人115名の検査成績からアレル頻度はKm*3=0.739、 Km*1, 2=0.261と推定された。
2.IgA2遺伝子型(血清A2m型を支配する免疫グロブリンアルファ鎖定常部遺伝子の3'-flanking領域に見られる遺伝子多型)
ASAプライマーを用いたnested PCR法により100pgのリンパ球DNAからIgA2遺伝子型の検出が可能であり、日本人318名の検査成績からアレル頻度はIgA2*1=0.561、 IgA2*2=0.439と推定された。また全血、血痕、唾液斑及び各種臓器・組織片からIgA2遺伝子型が判定された。
3.HLA DRB1型(HLAクラスII DRB1遺伝子の多型)
ASAプライマーを用いたsemi-nested PCR法により10pgのリンパ球抽出DNAからHLA DRB1型の検出が可能である、また全血、血痕からも型判定が可能であった。
4.Hp遺伝子型(血清Hp型に対応するHp遺伝子多型)
ASAプライマーを用いたPCR法により200pgのリンパ球抽出DNAからHp遺伝子型の判定が可能であり、また全血、血痕、唾液斑及び毛髪の毛根部からもHp遺伝子型が判定された。
5.α-2-マクログロブリン遺伝子型の判定
α-2-マクログロブリン遺伝子型については、現在までのところ型判定に適したASAプライマーの作製に成功しておらず、遺伝子型は判定できていない。 -
FDP-Dダイマーとミオグロビン検出に基づく月経血痕の証明法
研究課題/領域番号:05770300 1993年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
法医学実務においては、着衣等に付着した血痕が月経血に由来するか否かがしばしば問題とされる。従来の月経血痕証明法の一つである血痕からのフィブリン分解産物(FDP;月経血に多量に含まれている)の検出では、月経血は生体末梢血からは鑑別され得たが、月経血同様多量のFDPを含有する死体血との鑑別は困難であった。ところで私は、死体血と生体末梢血のミオグロビン(Mb)含量の差を利用した、血痕からの生体血と死体血との鑑別法を既に考案している。月経血は子宮という平滑筋臓器から出血する生体の血液であり、Mb含有量は生体末梢血と同程度と考えられる。そこで、血痕からのFDPとMbの同時検出によって、生体末梢血、死体血との鑑別を含めた月経血痕の証明が可能であると考えられた。
月経血及び死体血の各10mu1を晒し布に付着させて実験的に血痕を作製し、これに200mu1のPBSを加え37℃で一夜静置して得られた抽出液についてFDP-Dダイマー(二次線溶に特異的に出現するFDPの一成分)の定量を行った結果は、月経血では5.94x10^2〜1.27x10^3ng/ml、死体血では5.84x10^2〜1.58x10^4ng/mlと高値であった。一方生体末梢血のFDP-Dダイマー濃度は9.7〜37.1ng/mlに過ぎないことから、血痕からのFDP-Dダイマー検出により月経血及び死体血と生体末梢血との鑑別が可能であった。月経血のMb濃度を測定すると27.2〜53.7ng/mlであり、生体末梢血のMbレベル(35.5±23.9ng/ml)に相当していた。従って血痕からのMb検出により、月経血も生体末梢血と同様に死体血から鑑別され得ることが判明した。
以上のことから、血痕からのFDP-DダイマーとMbの同時検出により月経血、生体末梢血、死体血の三者が鑑別され得ること(FDP-Dダイマーのみ検出されたものは月経血、FDP-DダイマーとMbの両者が検出されたものは死体血、いずれも検出されないものは生体末梢血)が確認された。 -
抗ヒトミオグロビン抗体を用いたELISAによる血痕からの生体血・死体血の鑑別法
研究課題/領域番号:04770362 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
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DNAハイブリダイゼーションを応用した法医生物試料からのGm型の判定
研究課題/領域番号:03670297 1991年 - 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C) 一般研究(C)
石津 日出雄, 宮石 智, 守屋 文夫, 山本 雄二
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR)によるDNA増幅法を利用した免疫グロブリンG(IgG)および免疫グロブリンκ型L鎖の遺伝的多型検査法につき検討を行った。当初の研究計画では、PCRと標識DNAプローブによるハイブリダイゼーションを組み合わせた方法を採用する予定であったが、PCRのみにより目的が達成可能と考えられたため、当初の計画を一部変更して、以下に示す方法により実験を行った。
[方法]1.抽出DNAから1回目のPCRにより免疫グロブリン遺伝子の一部分を増幅した。
2.1回目のPCR産物の一部を試料として、免疫グロブリンの各アロタイプの遺伝子に特異的なプライマーを使用した2回目のPCRを行い、産物を電気泳動後、増幅断片のバンドを観察して遺伝子型を判定した。
上述の方法により、IgG3遺伝子に存在するG3m(t)アロタイプの遺伝子とこれと対立関係にあるnon-G3m(t)の遺伝子、またIgG1のG1m(f)アロタイプの遺伝子とこれと対立するG1m(z)アロタイプの遺伝子、さらに免疫グロブリンκ型L鎖のKmアロタイプのKm^<・1>、Km^<・1,2>、Km^<・3>各対立遺伝子を検出し、遺伝子型の判定を試みた。
[結果]κ型L鎖遺伝子の検出では1回目のPCRにより試料DNAから各対立遺伝子の変異部位を含む目的塩基配列部位(353bp)が増幅され、その増幅産物の一部を用いた2回目のPCRによりKm^<°1>、Km^<°1,2>、Km^<°3>各対立遺伝子の検出が可能であった。72名の試料につき本法により検査した結果、Km°3/Km°3型が38例、Km°1,2/Km°3型が30例、Km°1,2/Km°1,2型が4例みられ、遺伝子頻度はKm°3=0.736、Km°1,2=0.264と推定された。IgG3のtおよびnon-t遺伝子の検出では、1回目のPCRで目的塩基配列部位(726bp)が増幅され、2回目のPCRにより各対立遺伝子の検出がほぼ可能であった。IgG1のfおよびz遺伝子については現在なお検査条件を検討中である。