共同研究・競争的資金等の研究 - 宮石 智
-
死胎児の週齢推定に関する研究~胎盤及び臍帯病理所見から法医診断へ
研究課題/領域番号:22K19648 2022年06月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
谷口 香, 三浦 雅布, 宮石 智, 山崎 雪恵
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
-
法医学におけるイムノアッセイの再興と継承 -新しい法医物体検査法の開発を通して
研究課題/領域番号:21H03213 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
宮石 智, 谷口 香, 三浦 雅布, 高田 智世
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
Myosin light chain (MLC)の検出による骨格筋の同定法では、当初はマイクロプレートを用いたダブルサンドイッチ法によるin-house developed ELISAとする計画であったが、ヒト心室筋MLC1を検出する臨床検査用市販試薬(キット)の応用に切り替えた。本年度の検討では、骨格筋はその部位に拘わらず十分量のMLC1を含有していることが認められた。なおこの試薬ではヒト骨格筋MLC1との交差が明らかにされており、肉眼で骨格筋を疑いうると考えられる大きさ(重量で0.01g程度)の組織片からのMLC1の定量的検出は理論計算上は可能である。また法医学実務への市販試薬の応用は、機関や人員の制限がなくなるのが利点である。
Tear specific protein (tear prealbumin, lipocalin 1, LCN1)に着目した涙液の鑑別法では、上述のような臨床検査試薬はなく、当初計画通りマイクロプレートを用いたダブルサンドイッチELISAを採用しつつ、検査法の汎用性の観点から、ラテックス凝集法で実用に耐える検出限界を得られるかも検討対象とした。市販の標準抗原と抗体から、検査法として確立できそうな反応性のある組み合わせを検討した。また、涙液は鼻涙管経由で鼻孔から体外に排出され得ることから、鼻汁との鑑別は特に重要になる可能性に配慮し、鼻汁特異的蛋白Odorant-binding proteinに着目した鼻汁鑑別法も同時に確立する方針として、市販の標準抗原と抗体との反応性を検討した。 -
研究課題/領域番号:26460893 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
守屋 文夫, 宮石 智, 吉留 敬
配分額:1690000円 ( 直接経費:1300000円 、 間接経費:390000円 )
法医解剖例の薬物分析結果から、(1)未変化体として尿中に排泄される割合が高いメタンフェタミンとエフェドリンなどの塩基性薬物は胃内よりも尿中へ多く排泄される一方、その割合が低い塩基性薬物は尿中よりも胃内への排泄量が多いこと、および(2)代謝物のように血中濃度が徐々に上昇するものでも、塩基性の性質を維持していれば胃内に移行しやすいことが明らかとなった。
一方、フレカイニドを塩基性薬物のモデルとして家兎に静脈内投与したところ、当該薬物が血液中から胃内に速やかに移行することが確認された。また、メタンフェタミンの胃内排泄動態解析のための動物実験モデルを、ラットを用いて構築した。 -
乳幼児突然死への新しいアプローチ -未知なる死因・誘因の検索
研究課題/領域番号:25670343 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
宮石 智, 北尾 孝司, 高田 智世, 三浦 雅布, 谷口 香, 山﨑 雪恵
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
従前は着目されていなかった乳幼児突然死の誘因ないし死因について検討した。誘因としてのストレスの評価は唾液中クロモグラニンA濃度の検討などが必要と考えられたが、死因としてのCronobacter sakazaki感染は同菌の培養陽性で、また劇症Ⅰ型糖尿病は血中1,5-AGの異常低値で診断可能と考えられた。また、心臓横断面における左右心腔の面積比ならびに左心室における左心腔の割合の検討で、左心系の機能不全が突然死の原因または誘因になっている可能性が指摘された。
-
医療・介護・福祉の融合―現場発ヘルスサービスリサーチによる地域包括ケアの実現
研究課題/領域番号:24249031 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
田宮 菜奈子, 野口 晴子, 松井 邦彦, 宮石 智, 山崎 健太郎, 山本 秀樹, 斉藤 環, 阿部 智一, 武田 文, 高橋 秀人, 柏木 聖代, 泉田 信行, 松本 吉央, 柴山 大賀, 山海 知子, 阿部 吉樹, 麻生 英樹, 菊池 潤, 森山 葉子, 山岡 祐衣, 伊藤 智子, 小林 洋子, 佐藤 幹也, 石崎 達郎, 涌井 智子, 陳 礼美, 門間 貴史, 杉山 雄大
配分額:45630000円 ( 直接経費:35100000円 、 間接経費:10530000円 )
本研究は、医療・介護・福祉に関わる現場と大学を両輪としたPDCAサイクルを実現することを目的として、医療福祉現場と協同でつくば市医療福祉事例検討会を進行し、問題点の集約分析や、つくば市ニーズ調査の分析を市にフィードバックすることで、現場との協同を図ってきた。また、これからのミクロレベルで成果の一般化展開も含めて、全国介護給付費データや国民生活基礎調査のビッグデータを含む種々のデータ分析により学術的研究を行い、医療と介護の連携はどうしたら進むのか、要介護者・障害児者およびその介護者にどのような支援が必要か、介護保険サービス利用の実態等を明らかにすることで、地域包括ケア推進方策を検討した。
-
法医学情報の公衆衛生学的分析による精神障害者福祉の在り方に関する研究
2012年04月 - 2013年03月
岡山医学振興会 研究助成
担当区分:研究分担者
-
福祉・介護サービスの質向上のためのアウトカム評価拠点 -実態評価から改善へのPDCAサイクルの実現
2009年04月 - 2012年03月
厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)
担当区分:研究分担者
-
穏やかな人生の最終章のためにー公衆衛生学・法医学・法学等学際的アウトカム研究拠点
研究課題/領域番号:21390202 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
田宮 菜奈子, 本澤 巳代子, 中谷 陽二, 本田 克也, 高橋 秀人, 宮石 智, 山崎 健太郎, 山本 秀樹, 柏木 聖代, 松澤 明美, 宮田 澄子, 伊藤 智子, 谷口 起代, 加納 智子, 森田 展彰, 脇野 幸太郎
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
穏やかな人生の最期のために、公衆衛生学-ヘルスサービスリサーチと、法医学、法学的な視点との学際研究により、わが国の「避けるべき死」の実態を実証的に探った。その結果、地域における認知症や精神疾患の理解にもとづく支援体制、また、地域の安全環境整備(農機具の安全性など)、地域医療福祉ネットワークの重要性、そして、"死"という究極のアウトカムを法医学・公衆衛生学双方から学際的に分析する有用性が示された。
-
全自殺事例報告に基づく自殺予防対策の提示と比較対照研究の実施
研究課題/領域番号:21590695 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
浜田 淳, 津田 敏秀, 瀬藤 貴志, 宮石 智
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
岡山県の全自殺例の分析を行い、練炭自殺が30~ 40代の男性を中心にある時期に集中して発生することを明らかにした。厚労省の人口動態統計のデータセットを構築して分析を行い、不況などの社会経済状況からみてハイリスク集団を同定し、この集団に対して適切な時期に予防的な介入を実施し、自殺を減少させることができないかを検討した。秋田県、岩手県、足立区など自殺予防の先進地域の取り組みを分析し、「ヘルスプロモーション・アプローチ」という総合的な取り組みを都市部を中心に浸透させることの重要性を明らかにした。
-
サイトカイン・ケモカインを指標とする包括的分子法医診断学の確立
研究課題/領域番号:20249040 2008年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
近藤 稔和, 木村 章彦, 石田 裕子, 宮石 智, 池松 和哉
配分額:50700000円 ( 直接経費:39000000円 、 間接経費:11700000円 )
分子法医診断学確立のために全身性生活反応としてのサイトカイン・ケモカインに着目し,種々の死因におけるサイトカイン・ケモカインの動態を検索した.しばしば法医実務の場で経験する敗血症,溺死,薬物中毒(アセトアミノフェン,ヒ素,シスプラチン, クロルプロマジン),深部静脈血栓,急性膵炎,外傷性ショック及び虚血再灌骨格筋傷害の各モデルにおいて,Key player となるサイトカイン・ケモカインを同定し,分子法医診断学のための指標を見出した.
-
法医剖検事例の公衆衛生学的時系列分析に基づく高齢者孤独死撲滅のための 実証的予防政策立案
2007年04月 - 2009年03月
厚生労働科学研究費補助金 政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)
担当区分:研究分担者
-
医療の信用を高める医師の育成 2005年4月 - 2006年3月
2006年04月 - 2007年03月
岡山医学振興会 教育助成
担当区分:研究代表者
-
法医公衆衛生学の構築-根拠に基づく医療福祉政策立案の新しい方法論
研究課題/領域番号:18659180 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
田宮 菜奈子, 宮石 智, 山本 秀樹, 松澤 明美, 本澤 巳代子
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
本研究では、法医学関連の情報を公衆衛生学的に分析し、実態に即した解決策を検討する新学問領域「法医公衆衛生学」の構築を試みた。これまでの3年間の経過を通じ、法医学関連情報として「法医剖検事例」の分析および「死体検案例」の分析双方を有機的に結びつけ分析することで、jこれまで実態が不明であった「虐待」「孤独死」「事故」「自殺」などの実態および関連要因を分析できることが明らかになった。「法医剖検事例」においては、事情聴取があるため、社会的背景など、フォームをあらかじめ作成し聴取する依頼をすることにより詳細な背景データが入手できた。しかし、火災は剖検率が高いが、病死は少ないなど、サンプリングバイアスがあり、剖検例の発生割合をそのまま公衆衛生学的な事例の発生割合と解釈することはできない。一方、「死体検案例」は、状況が不明な死のかなりの部分をカバーしていると考えられ、情報には限界があるが、全体の数および内訳分布などを把握するには適していると考えられた。
具体的分析成果としては、まず、「剖検例からみた高齢者死亡の実態と背景要因」として、高齢者の剖検事例を対象として、家族形態によって状況が異なり、家族がいても事故などの異状死体が多いこと、高齢者の火災死亡には、コンロや灯明など特有の要因があり環境整備で予防しうるものがあることなどを、原著論文として発表した(厚生の指標56,1-7,2009)。2年目から開始したフォームによる剖検事例の背景情報の把握も蓄積され、最終年度に高齢者の死亡を分析し学会発表(日本公衆衛生学会2008)を、また、小児虐待の実態把握も行った。
「死体検案例」については、まずは前述の死因別の剖検率を算出し、とくに火災では高いなど死因により異なることを、また死亡から発見までの期間による分類では、死因、発見場所、家族状況によって異なること、一方、自殺は家族同居者に多いことなどが明らかになった。
また本研究班会議を開き、これらの分析結果を地方行政関係者と共有し、このように各種事例の属性別のパターンを明らかにすることで、「発生予防」および「早期発見」に分けた具体的政策も立案しやすいことが明らかになった。 -
法医生物学におけるイムノアッセイの応用
研究課題/領域番号:172066 2005年09月
日本学術振興会 国際学会等派遣事業 国際学会等派遣事業
担当区分:研究代表者
-
医療の信用を高める医師の育成
2005年04月 - 2006年03月
岡山医学振興会 教育助成
担当区分:研究代表者
-
医療関係者の自殺問題に対する意識の日独比較調査
2004年04月 - 2005年03月
ウエスコ学術振興財団 学術研究費助成事業
担当区分:研究代表者
-
筋肉内蛋白ミオグロビンの法医診断への応用に関する研究
研究課題/領域番号:15390214 2003年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
宮石 智, 石津 日出雄, 山本 雄二, 吉留 敬, 北尾 孝司, 高田 智世, 稲垣 幸代
配分額:10700000円 ( 直接経費:10700000円 )
体液中ミオグロビン濃度の死後変化については、血液を中心に、ウサギによる動物実験で検討した。研究の過程で、定量値が不正確になる血液試料の存在が新たに判明したため、試薬の精製等により対応を図った。その結果、一旦は正確な定量値を得るための測定条件を明らかにできたが、体液中ミオグロビン濃度の死後変化は実験個体によるばらつきが大きかった。また、その後再び定量値が得られない試料に遭遇して研究の進捗に著しい停滞を余儀なくされ、最終的な原因解明と対応方法の策定には至らなかったが、血中ミオグロゼン濃度の死後変化が正しく捉えられれば、死後半日程度以内の場合の死後経過時間推定に有用となるこきは判明した。
ミオグロビン遺伝子DNAの断片化からの死後経過時間推定については、マウスを用いて実験的に検討した。3種類の長さのDNA断片を増幅する条件を確立し、増幅産物量は死後の時間経過に従って減少すること、その程度が増幅断片長や死体の保存温度に依存すること、この原理による死後変化の把握は週単位での死後経過時間推定に対して有用であることが判明した。実験成績のばらつきの問題までは完全には解消できず、具体的な推定方法策定には至らなかったが、人体剖検例への応用は十分期待できるとと考えられた。
横紋筋からのミオグロビンの漏出・拡散については、マウスを用いた実験を中心とした。ミオグロビンは、死後極めて早期から横紋筋細胞外に証明できなくなる一方で、一定時間後に再び横紋筋内に染色された。従って、横紋筋からのミオグロビンの漏出像を定量的に表現すれば、超早期の死後経過時間推定に役立つと考えられた。また、横紋筋からの死後超早期のミオグロビン漏出はホルマリン固定中にも生じていることが判明し、ホルマリン固定の心筋や横紋筋の変化に基づいて死因を診断する従前の知見には、根本的な見直しが必要であることが示された。 -
旅行中死亡者の死体取り扱いに関する研究 ~一般庶民の意識と社会制度の国際比較
2002年04月 - 2003年03月
旅の文化研究所 第8回公募プロジェクト
担当区分:研究代表者
-
死体試料中ミオグロビン濃度に基づく死後経過時間推定法
2002年04月 - 2003年03月
岡山医学振興会 研究助成
担当区分:研究代表者
-
下垂体ホルモンを指標とした死へのプロセスの解明
研究課題/領域番号:9999 2001年04月 - 2002年03月
岡山大学 重点配分(学内競争的資金) 重点配分
担当区分:研究分担者
-
キャピラリー電気泳動による超高速SNP分析法の開発
研究課題/領域番号:13470102 2001年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 吉留 敬, 宮石 智, 山本 雄二, 稲垣 幸代
配分額:13200000円 ( 直接経費:13200000円 )
本研究課題の研究経過および成績は以下に示すとおりである。
ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。
ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。
Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。
なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。
さらに、ヒトの各染色体上の合計38個のSNP座位を5つの検出グループに分け、それぞれのグループ毎に一塩基プライマー伸長反応を行った後、時間差連続インジェクション法を採用したキャピラリー電気泳動により同時検出して38座位のSNPの遺伝子型を一度の電気泳動でタイピングする方法をほぼ確立した。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。 -
母体末梢血からの胎児DNA多型分析法の開発
研究課題/領域番号:12877076 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽的研究 萌芽的研究
石津 日出雄, 吉留 敬, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
本年度の研究経過および成績は以下に示すとおりである。
1.妊娠後期の妊婦母体末梢血を5ml採取した。尚、血液採取に当たっては問診により過去の妊娠歴、流産歴、輸血歴等を明らかにしておくと共に、本研究は実験的段階であること及び病的遺伝子の診断ではないことを十分に説明し、採取に対するインフォームドコンセントおよびプライバシーの厳守など倫理面での配慮を欠かないようにした。
2.まず妊婦末梢血を滅菌生理食塩水で2倍に希釈し、これを比重を1.075および1.085に調製した比重遠心分離液Percollに重層して1600回転で30分間遠心した後、中間層の有核赤血球を多く含有する分画を回収した。
3.次に回収した有核赤血球を滅菌生理食塩水で洗浄後、DAB染色を施し、洗浄後さらに攪拌しながらエタノールを滴下して固定した。
4.エタノール固定した有核赤血球の生理食塩水浮遊液にヘマトキシリンを添加して染色を施した後、その一部をスライドグラス上に載せ、マイクロマニピュレータをセットした顕微鏡で観察して有核赤血球を回収した。
5.マイクロマニピュレーション法により回収した有核赤血球を1個ずつ個別のチューブに取り、Proteinase Kを含有するPCR緩衝液を添加して細胞溶解後、加熱によりProteinase Kを失活させ、チューブに新たにPEP(Primer Extension Preamplification)用プライマーまたはDual-PCR用プライマーを含むPCR反応混液を加えて反応させ、この反応産物の一部を鋳型としてPCR法によりSTR多型のタイピングを行った結果、一部のチューブにおいて、STR多型のタイピングが可能であった。また、母親のDNA型をリンパ球抽出DNAにより同時にタイピングして、有核赤血球から検出されたDNA型が母親のものとは異なることを確認した。
6.また、胎児有核細胞からのタイピング結果を確認するために、出生後の新生児から少量の血液を採取し、DNA型をリンパ球抽出DNAによりタイピングして、有核赤血球から検出されたDNA型が出生後の新生児のDNA型と一致することを確認した。 -
甲状腺内に含有されるミオグロビンを 指標とする新しい頸部圧迫の証明法
1999年04月 - 2000年03月
上原記念生命科学財団 研究奨励金
担当区分:研究代表者
-
第4回法医学シンポジウム・ 第78回ドイツ法医学会
1999年04月 - 2000年03月
ウエスコ学術振興財団 海外渡航費助成事業 学術研究費助成事業
担当区分:研究代表者
-
筋組織由来蛋白の法医診断への応用に関する研究
研究課題/領域番号:10470119 1998年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 北尾 孝司, 山本 雄二, 宮石 智
配分額:11600000円 ( 直接経費:11600000円 )
15例の剖検例について心筋中及び全身19箇所の骨格筋中の筋由来物質含有量を調べた。心筋では、心筋特異的トロポニンT(TnT)含有量は事例によるばらつきがあり、また当該事例の心臓血中濃度との間に相関はなかった。心筋中ミオグロビン(Mb)含有量も事例による差を認めた。また、これら15例について骨格筋に含まれる筋肉由来の各種蛋白やその他の物質の含有量も、事例により差が認められたほか、同一事例における骨格筋の部位による違いも、認められる場合と認められない場合とがあった。従って、筋由来物質の筋肉内含有量を死因診断、死後経過時間推定、年齢推定などに結びつけることは困難であった。血液中筋由来物質含有量を血液の部位別に検討すると、心筋特異的なTnTやトロポニンI(TnI)は、心臓血、大血管血、末梢血管血の順に、また右心系(静脈系)より左心系(動脈系)で含有量が多かった。これに対し心筋より骨格筋に含有量の多いCPKやクレアチンではこの傾向は逆となった。また、肝臓に多量に含まれるGOTやGPTは心臓血や末梢血より大血管血で活性が高かった。これらの結果は、血液の死後循環、筋肉からの物質の死後洩出メカニズム、中毒事例における薬物の死後拡散を考える上で示唆に富むものと思われた。しかし血中Mb濃度は、心臓血、末梢血管血、大血管血の順で高いという独特の特徴を示し、このメカニズムや意義については解明は今後の課題となった。また心臓血中の心筋特異的なTnTやTnI濃度は、溺死事例では左心血より右心血で高濃度である傾向が認められた。これは溺死の補助診断として有意義と考えられたが、そのメカニズムについては今回の研究では解明できなかった。血液以外の体液では、脳脊髄液や硝子体中クレアチン濃度が死後の時間経過とともに上昇し、心嚢液中クレアチニン濃度もまた死後経過時間と正の相関があった。従ってこれらのパラメーターは死後経過時間推定に役立つものと思われた。筋組織由来蛋白のうち、特にMbについて遺伝子分析の法医診断への応用を試みたところ、第2エクソンにおけるSNPが個人識別や親子鑑定への応用が考えられたほか、第3エクソンにおけるヒト特異的塩基配列の検出が人獣鑑別に有用であった。
-
異状死体におけるHBV,HCV,及びHIVへの感染率
研究課題/領域番号:97KI149 1997年04月 - 1998年03月
金原一郎記念医学医療振興財団 第12回基礎医学医療研究助成金
担当区分:研究代表者
-
挫減症候群におけるミオグロビンの毒性に関する実験的研究
研究課題/領域番号:09770300 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
Bywatersによって50年以上も前(1941年)に報告されていた挫滅症候群は、阪神淡路大震災を契機として、その重要性が再び認識されている。しかし、Bywatersが提唱した挫滅症候群の病態へのミオグロビンの関与については、今日なお解明が進んでいない。この点に着目した私の研究は、本研究補助金を得て、昨年度には、高純度ウサギミオグロビンの抽出・精製方法の確立とその大量抽出、これを抗原とした抗ウサギミオグロビンポリクローナル抗体(ヤギ)の作製、ウサギミオグロビンと交差反応性のある市販抗ヒトミオグロビンモノクローナル抗体の特定と、大きく前進した。本年度は、これらの成果に立脚して、先ずウサギミオグロビンのエンザイムイムノアッセイを確立した。すなわち、市販抗ヒトミオグロビンモノクローナル抗体を固相抗体、抗ウサギミオグロビンポリクローナル抗体(ヤギ)を二次抗体、市販のベルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体を検出抗体とするダブルサンドイッチELISAを完成した。次いで、挫滅症候群におけるミオグロビンの毒性を実験的に調べるための基礎的検討として、健康なウサギについて血中ミオグロビン濃度を調べたところ、10〜60ng/ml程度であった。更に、昨年度抽出したウサギミオグロビンを1mg/mlの溶液に調整し、これをlmg/kgの割合でウサギに経静脈投与した後、ミオグロビン被投与ウサギの血中ミオグロビン濃度を経時的に追跡した。その結果、投与直後の血中ミオグロビン濃度は約40μg/ml(正常値の1000倍程度)に上昇していたが、その後速やか低下し、30分後には約1μg/ml、.1時間後で約500ng/mlとなり、12時間後にはほぼ正常値に復した。このことから、挫滅症候群でミオグロビンが毒性を発現するのは、更に多量のミオグロビンが血中に放出される場合か、或いはミオグロビン以外の筋肉内成分との共存下の場合であることが示唆された。
-
性染色体DNAの刑事及び民事鑑定への応用に関する法医分子生物学的研究
研究課題/領域番号:09557039 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
石津 日出雄, 中村 智恵美, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:11500000円 ( 直接経費:11500000円 )
本研究課題における研究成果を以下に要約した。
1. Y染色体特異Alu配列の検出に基づく性別判定
Y染色体特異Alu配列のPCR反応条件を確立し、検出感度を向上させ、毛髪の毛幹部2cm等からの性別判定に成功した。
2. Y染色体STR多型の検出
日本人におけるDYS19多型の対立遺伝子(アレル)頻度は、A=0.064、B=0.068、C=0.423、D=0.226、E=0.211、F=0.004およびC-2=0.004(N=263)であった。これらのうちアレルC-2は、アレルBとアレルCの中間に泳動され、過去には内外ともに報告のないインターアレルであった。家族試料を用いて遺伝様式とともに、この多型の親子鑑定における有用性を確認し、強姦被疑事件における加害者の推定にも応用して良好な成績を得た。また、DYS390、DYS393およびDYS395各STR多型についても検討を行い、その有用性を確認した。
3. X染色体HPRT座STR多型の検出
日本人におけるHPRT座多型のアレル頻度は、T1=0.105、T2=0.243、T3=0.396、T4=0.200およびT5=0.057であった(男性例数=84、女性例数=63)。家族試料を用いてこのSTR多型の遺伝様式を確認し、この多型の親子鑑定における有用性を明らかにした。
4. アメロゲニン遺伝子の検出
ヒトおよび各種動物のアメロゲニン遺伝子のPCR増幅産物につき、制限酵素切断分析、塩基配列解析等によりごく近縁な動物相互間を除き種属鑑別が可能であることが示唆された。また、蛍光色素標識プライマーを用いたPCR法によりヒトの高感度な性別判定が可能であった。 -
外傷死体における尿中ミオグロビン濃度測定の法医診断的意義
研究課題/領域番号:08770311 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
殺人事件や交通轢逃げ事件の全貌を解明するには、犯行や事故発生の時刻を明らかにすることが極めて重要である。しかし、このような時刻の特定は、被疑者の自白や目撃証言という人間の記憶に依存しているのが実状である。従って、外傷死体の受傷後の生存時間を死体から推定し、延いては受傷時刻を特定することができれば法医学的に意義深い。ところで、筋肉内蛋白のミオグロビン(Mb)は、筋肉が損傷を受けると血中へ洩出し、更に尿中へ排泄される。そこで私は、外傷死体の尿中Mb濃度を独自に開発した酵素免疫測定法によって定量し、その値から当該死体の受傷後の生存時間を推定し得るか否かに付いて検討を加えた。まず対照用として収集した生体随時尿531例の尿中Mb濃度は大部分が20ng/ml以下であったが、100ng/ml以上の例も散見された。一方損傷による死亡例については、剖検ないし検案死体から54例の尿中Mb濃度を測定したところ、同濃度が500ng/ml以上のもの11例、1000ng/ml以上のもの5例が見いだされた。尿中Mb濃度と受傷から死亡までの経過時間との関係をみると、一般に強い損傷を受けたのち一定時間経過して死亡したものでは尿中Mb濃度が高い(例:16歳男性。轢き逃げ事故。第1車に跳ねられたうえ第2車に轢過され、約8時間後に死亡。尿中Mb濃度4610ng/ml)傾向にあった。しかしながら、受傷後の一定時間生存していても頭部外傷による死亡の場合(例:74歳男性。頭部だけをステッキで滅多打ちにされ、脳挫傷で約12時間後に死亡。尿中Mb濃度6ng/ml)や、損傷の激しい死体でも即死と判断された場合(例:17歳女性。電車に跳ねられた。身体の諸処に強い打撲損傷、四肢骨骨折。尿中Mb濃度2ng/ml)には尿中Mb濃度が低い傾向にあった。以上のように、本研究により、外傷死体の尿中Mb濃度測定によって、当該死体の受傷後生存時間を推定し得る可能性が示唆された。
-
単座位DNA多型Km型・A2m型・α2-マクグロブリン型等の検出法の開発
研究課題/領域番号:06454247 1994年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(B) 一般研究(B)
石津 日出雄, 中村 智恵美, 宮石 智, 山本 雄二
配分額:4100000円 ( 直接経費:4100000円 )
私どもは対立遺伝子(アレル)特異的プライマーを使用したPCR法により単座位DNA多型検出法の開発を試み、以下に示す成績を得た。
1.Km遺伝子型(血清Km型に対応する遺伝子多型)
アレル特異的(ASA)プライマーを用いたsemi-nested PCR法により、リンパ球DNAだけでなく全血、血痕、唾液斑、毛髪の毛根部からKm遺伝子型の判定が可能であり、日本人115名の検査成績からアレル頻度はKm*3=0.739、 Km*1, 2=0.261と推定された。
2.IgA2遺伝子型(血清A2m型を支配する免疫グロブリンアルファ鎖定常部遺伝子の3'-flanking領域に見られる遺伝子多型)
ASAプライマーを用いたnested PCR法により100pgのリンパ球DNAからIgA2遺伝子型の検出が可能であり、日本人318名の検査成績からアレル頻度はIgA2*1=0.561、 IgA2*2=0.439と推定された。また全血、血痕、唾液斑及び各種臓器・組織片からIgA2遺伝子型が判定された。
3.HLA DRB1型(HLAクラスII DRB1遺伝子の多型)
ASAプライマーを用いたsemi-nested PCR法により10pgのリンパ球抽出DNAからHLA DRB1型の検出が可能である、また全血、血痕からも型判定が可能であった。
4.Hp遺伝子型(血清Hp型に対応するHp遺伝子多型)
ASAプライマーを用いたPCR法により200pgのリンパ球抽出DNAからHp遺伝子型の判定が可能であり、また全血、血痕、唾液斑及び毛髪の毛根部からもHp遺伝子型が判定された。
5.α-2-マクログロブリン遺伝子型の判定
α-2-マクログロブリン遺伝子型については、現在までのところ型判定に適したASAプライマーの作製に成功しておらず、遺伝子型は判定できていない。 -
FDP-Dダイマーとミオグロビン検出に基づく月経血痕の証明法
研究課題/領域番号:05770300 1993年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
法医学実務においては、着衣等に付着した血痕が月経血に由来するか否かがしばしば問題とされる。従来の月経血痕証明法の一つである血痕からのフィブリン分解産物(FDP;月経血に多量に含まれている)の検出では、月経血は生体末梢血からは鑑別され得たが、月経血同様多量のFDPを含有する死体血との鑑別は困難であった。ところで私は、死体血と生体末梢血のミオグロビン(Mb)含量の差を利用した、血痕からの生体血と死体血との鑑別法を既に考案している。月経血は子宮という平滑筋臓器から出血する生体の血液であり、Mb含有量は生体末梢血と同程度と考えられる。そこで、血痕からのFDPとMbの同時検出によって、生体末梢血、死体血との鑑別を含めた月経血痕の証明が可能であると考えられた。
月経血及び死体血の各10mu1を晒し布に付着させて実験的に血痕を作製し、これに200mu1のPBSを加え37℃で一夜静置して得られた抽出液についてFDP-Dダイマー(二次線溶に特異的に出現するFDPの一成分)の定量を行った結果は、月経血では5.94x10^2〜1.27x10^3ng/ml、死体血では5.84x10^2〜1.58x10^4ng/mlと高値であった。一方生体末梢血のFDP-Dダイマー濃度は9.7〜37.1ng/mlに過ぎないことから、血痕からのFDP-Dダイマー検出により月経血及び死体血と生体末梢血との鑑別が可能であった。月経血のMb濃度を測定すると27.2〜53.7ng/mlであり、生体末梢血のMbレベル(35.5±23.9ng/ml)に相当していた。従って血痕からのMb検出により、月経血も生体末梢血と同様に死体血から鑑別され得ることが判明した。
以上のことから、血痕からのFDP-DダイマーとMbの同時検出により月経血、生体末梢血、死体血の三者が鑑別され得ること(FDP-Dダイマーのみ検出されたものは月経血、FDP-DダイマーとMbの両者が検出されたものは死体血、いずれも検出されないものは生体末梢血)が確認された。 -
抗ヒトミオグロビン抗体を用いたELISAによる血痕からの生体血・死体血の鑑別法
研究課題/領域番号:04770362 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
宮石 智
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
-
DNAハイブリダイゼーションを応用した法医生物試料からのGm型の判定
研究課題/領域番号:03670297 1991年 - 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C) 一般研究(C)
石津 日出雄, 宮石 智, 守屋 文夫, 山本 雄二
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR)によるDNA増幅法を利用した免疫グロブリンG(IgG)および免疫グロブリンκ型L鎖の遺伝的多型検査法につき検討を行った。当初の研究計画では、PCRと標識DNAプローブによるハイブリダイゼーションを組み合わせた方法を採用する予定であったが、PCRのみにより目的が達成可能と考えられたため、当初の計画を一部変更して、以下に示す方法により実験を行った。
[方法]1.抽出DNAから1回目のPCRにより免疫グロブリン遺伝子の一部分を増幅した。
2.1回目のPCR産物の一部を試料として、免疫グロブリンの各アロタイプの遺伝子に特異的なプライマーを使用した2回目のPCRを行い、産物を電気泳動後、増幅断片のバンドを観察して遺伝子型を判定した。
上述の方法により、IgG3遺伝子に存在するG3m(t)アロタイプの遺伝子とこれと対立関係にあるnon-G3m(t)の遺伝子、またIgG1のG1m(f)アロタイプの遺伝子とこれと対立するG1m(z)アロタイプの遺伝子、さらに免疫グロブリンκ型L鎖のKmアロタイプのKm^<・1>、Km^<・1,2>、Km^<・3>各対立遺伝子を検出し、遺伝子型の判定を試みた。
[結果]κ型L鎖遺伝子の検出では1回目のPCRにより試料DNAから各対立遺伝子の変異部位を含む目的塩基配列部位(353bp)が増幅され、その増幅産物の一部を用いた2回目のPCRによりKm^<°1>、Km^<°1,2>、Km^<°3>各対立遺伝子の検出が可能であった。72名の試料につき本法により検査した結果、Km°3/Km°3型が38例、Km°1,2/Km°3型が30例、Km°1,2/Km°1,2型が4例みられ、遺伝子頻度はKm°3=0.736、Km°1,2=0.264と推定された。IgG3のtおよびnon-t遺伝子の検出では、1回目のPCRで目的塩基配列部位(726bp)が増幅され、2回目のPCRにより各対立遺伝子の検出がほぼ可能であった。IgG1のfおよびz遺伝子については現在なお検査条件を検討中である。