共同研究・競争的資金等の研究 - 寳田 剛志
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低栄養時の炎症の遷延化,創傷治癒遅延のメカニズム解明:HMGB1機能不全の可能性
研究課題/領域番号:19K10128 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山城 圭介, 青柳 浩明, 宝田 剛志, 西堀 正洋
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究の目的は,低栄養状態のモデルマウスにおいて,HMGB1の機能不全が生じた結果,炎症の遷延化や創傷治癒遅延が起こるのかを検証することである。
最初に低栄養モデルマウスの作成を行った。具体的には,2週間マウスに低栄養食(カゼイン3%)を与え低栄養状態を作成した。コントロールは標準食(カゼイン25%)とした。低栄養群ではコントロール群と比較して体重が約30%減少した。血液検査の結果,総蛋白量,アルブミン値,グルコース量なども低栄養群ではコントロール群と比較して有意に減少した。次にこれら2群のマウスの歯を抜歯し,創傷治癒過程の比較検討を行った。組織学的解析の結果,抜歯後3日目では,コントロール群で血管新生が見られたのに対して,低栄養群では赤血球などの血球細胞の浸潤が見られた。抜歯後7日目ではコントロール群で親生骨の形成が見られたのに対して,低栄養群では依然炎症細胞の浸潤が持続していた。次に抜歯窩周囲組織を抽出し,以下の解析をおこなった。定量PCR解析の結果,コントロール群と比較し低栄養群では,抜歯後3日目,7日目双方において炎症性サイトカイン,幹細胞,骨マーカーなどの遺伝子発現量が有意に減少していた。フローサイトメトリー解析の結果,コントロール群と比較し低栄養群では,抜歯後3日目,7日目双方において,幹細胞の割合が有意に減少していた。
次に抜歯窩周囲組織のHMGB1およびATPの産生量をELISA法を用いて定量した。抜歯後3日目,7日目において,コントロール群と比較し低栄養群では,ややHMGB1の産生量が少ない傾向が見られた。抜歯後3日目,7日目において,コントロール群と比較し低栄養群ではややATPの産生量は有意に少なかった。 -
I型インターフェロンが顎顔面の形態形成に及ぼす影響
研究課題/領域番号:19K10381 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
早野 暁, 川邉 紀章, 宝田 剛志
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究の目的であるI型インターフェロンの機能亢進による全身性骨形成不全の発生機序を解明するため、Singleton-Merten Syndrome 患者および対照群となる健常患者の抜去歯から間葉系幹細胞を単離し、骨芽細胞への分化を試みた。また同時に、健常患者の抜去歯から単離した間葉系幹細胞にI型インターフェロンのリコンビナントプロテイン(IFN-alfa-2a, IFN-alfa-2b, IFN-beta)添加した実験群と、同じく健常患者由来の間葉系幹細胞にI型インターフェロンを添加しない対照群とで骨芽細胞への分化を試みた。どちらの実験でもI型インターフェロンが亢進している群において、重度の骨芽細胞への分化抑制が認められた。興味深いことに後者の実験から骨芽細胞への分化抑制は特にIFN-betaにおいて著しいことが分かった。
これら一連の結果の原因を解明するため、培養後の細胞からRNAを単離し、qPCR法によって骨芽細胞分化マーカー、p53経路の活性、細胞死の状況を確認した。我々の当初の仮説では、I型インターフェロンの機能亢進が間葉系幹細胞においてp53細胞死経路を活性化することで骨芽細胞への分化抑制が生じていると考えていたが、予想に反してp53細胞死経路の活性化はI型インターフェロン亢進群では見られなかった。つまり、I型インターフェロンによる骨芽細胞への分化抑制はアポトーシスによるものではない可能性が示唆された。
この結果はSingleton-Merten Syndrome の全身性骨形成不全の原因を解明する上で非常に重要な情報だと言える。 -
ステムセルエイジングの制御に向けた間葉系幹細胞未分化性維持機構の解明
研究課題/領域番号:18K19646 2018年06月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
窪木 拓男, 大野 充昭, 宝田 剛志, 渡辺 亮, 大野 彩, 秋山 謙太郎, 升井 伸治
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
老化による間葉系幹細胞 (MSCs)の能力低下が,加齢変化に伴う様々な疾患の発症に関与していることから,如何にMSCsの老化を防ぐかが重要な課題である.そこで本申請研究では,骨髄由来MSCs (BMSCs)の幹細胞性維持に必須な転写因子を同定することを目的とする.若齢マウスおよび老齢マウス由来MSCsの比較,ヒトBMSCsとヒト皮膚線維芽細胞の比較より,若齢マウス由来BMSCとヒトBMSCsに高発現している転写因子を抽出した.さらに,iPS干渉法を応用し,BMSCに重要な転写因子の抽出を行った.現在,BMSCsにおけるこれらの転写因子の機能を解析中である.
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iPS干渉法を応用した歯胚発生メカニズムの理解と歯の再生技術への応用
研究課題/領域番号:18H02991 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
窪木 拓男, 大野 充昭, 辻 孝, 渡辺 亮, 宝田 剛志, ハラ エミリオ・サトシ
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
本申請研究は,歯科医学において未達成の重要な研究課題である「エナメル芽細胞・象牙芽細胞のマスター遺伝子」を同定し,それを利用して生理機能を有した 臓器としての歯の再生法を開発することを目的としている.具体的には,1器官原基法を応用した発生学的アプローチ,2レーザーマイクロダイセクションを応 用した組織学的アプローチ,3既知の重要な転写因子を利用した絞り込み等の技術を総動員してエナメル芽細胞・象牙芽細胞分化時におけるマスター遺伝子の絞 り込みを行い,iPS細胞樹立技術を逆手に取ったマスター遺伝子同定法(iPS干渉法)やゲノム編集技術を駆使してエナメル芽細胞・象牙芽細胞のマスター遺伝子を同定する.
2018年度に,発生過程の歯胚から定期的に組織を回収し,RNA-Seq解析データ,ヒト歯乳頭由来間葉系幹細胞 (以下, hSCAP),ヒト骨髄由来間葉系幹細胞,ヒト成人皮膚由来線維芽細胞 (以下, hADF)のRNA-Seq解析データを照らし合わせ,幹細胞の象牙芽細胞への分化や象牙芽細胞自身の分化に関わっている可能性がある転写因子を抽出した.
2019年度は,hSCAPに山中4因子と上記で抽出された転写因子を一つずつ入れ,どの転写因子が山中4因子の導入によるiPS細胞への誘導を阻害するのか検討した.その結果,13転写因子がiPS細胞への誘導を阻害することが明らかとなった.現在この13転写因子をhADFに遺伝子導入し,hADFがhSCAPにdirect reprogramingされていないか様々な方法で検討を行っている. -
神経が顎顔面形成に与える影響を考える-顔面半側萎縮症と顔面半側肥大症の病因解明-
研究課題/領域番号:18K09832 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
川邉 紀章, 植田 紘貴, 早野 暁, 岡村 裕彦, 宝田 剛志
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
顎顔面領域の形態異常は外表奇形の中でも最も割合が高く、著しい不正咬合を呈することから、歯科領域において重要な疾患の一つである。しかし、多くの疾患の発症機序はほとんど解明されておらず、有効な治療方法も開発されていない。本研究課題では、顎顔面領域の成長期における正常な形態形成には、Shhを介した神経細胞による幹細胞の制御が重要な役割を担っており、この制御機構が崩れると顔面半側萎縮症や顔面半側肥大症など顎顔面領域の形態異常が起こるのではないか、との学術的「問い」を立てた。したがって、本研究の目的は、マウスの三叉神経および顔面神経が、Shhを介して成長期の顎顔面の形態形成に及ぼす影響を明らかにし、顔面半側萎縮症や顔面半側肥大症など顎顔面領域の形態異常の発症機序を解明することである。
本年度の研究は、実験②として、神経に発現するShhが、成長期の顎顔面領域の形態形成にどのような影響をおよぼすのかを明らかにするための実験を行った。現在、Synapsin Iプロモーター(神経細胞)と、nestinプロモーター(神経細胞)を用いて、tamoxifen依存的にCre-loxPシステムを調整できるShh遺伝子欠損マウスとShh遺伝子発現マウスを作成している。今後、Tamoxifen投与開始を生後1・2・4・8週目で行い、それぞれの時期でShhがどのような影響をおよぼすのか時間的特徴を明らかにする予定である。 -
光操作技術による生体内間葉系幹細胞の集積に関する分子理解と歯槽骨関連疾患への応用
研究課題/領域番号:17H04399 2017年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
宝田 剛志, 窪木 拓男, 大野 充昭, 佐藤 守俊, 戸村 道夫, 戸口田 淳也, 渡辺 亮
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
抜歯窩創傷治癒過程に必須な間葉系幹細胞に関する従来の研究は、培養条件下での解析や、外来性移植MSCの効果の検証が主である。しかしこの現状では、生体内MSCの「内在性」の組織修復システムを理解することは難しい。申請者らは、青光照射でDNA組み換え反応をコントロールできる光活性型Cre(Photoactivatable(PA)-Cre)に着目し、このPA-Cre技術と、テトラサイクリン誘導発現系システム(TetON/OFF)のActb locusへのノックイン技術を組み合わせることで、R1年度は、in vivoでのlight/Dox-dependentなDNA組み換え反応を可能とする遺伝子改変マウス(TREPA-Creマウス)の開発を目指した。その結果、TRE-PACreマウスの開発に成功し、同マウスにtail veinよりtTA発現プラスミドと、レポーターであるLSL-tdTomatoプラスミドを導入することで、生体外からの光照射による肝臓でのDNA組み換え反応に成功し、これについて論文投稿を達成した(Takao et al, BBRC, 2020)。私たちが作製したTRE-PA-Creマウスを利用すれば、「生体組織」で、「細胞種(特定プロモーターでON)特異的」かつ、従来不可能であった「時間・空間(光照射時/部位)特異的」な精度を持つ生体内遺伝子操作が可能である。
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BMP-2含有人工骨膜の難治性骨疾患・骨癒合不全治療への応用
研究課題/領域番号:17K11750 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
大野 彩, 大野 充昭, 窪木 拓男, 三野 卓哉, 宝田 剛志, 笈田 育尚
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では,BMP-2含有PLGAメンブレン(BMP-2含有人工骨膜)の臨床応用に向け,イヌインプラント周囲炎骨欠損モデルでの有用性を検討した.イヌインプラント周囲炎モデルのインプラント周囲骨欠損部に自家骨を移植したが,十分な骨再生は認められなかった.次に,本モデルの骨欠損部に,BMP-2含有β-TCPを移植し,その周囲をBMP-2含有人工骨膜にて被覆した.対照群にはBMP-2含有β-TCPのみを移植した.その結果,BMP-2含有人工骨膜被覆群では,対照群と比較し骨再生が促された.以上の結果より,BMP-2含有人工骨膜は,インプラント周囲炎などの難治症例において有用である可能性が示唆された.
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必須アミノ酸トリプトファンによる幹細胞老化制御機構の解明・骨質改善治療への応用
研究課題/領域番号:17K11751 2017年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
笈田 育尚, 窪木 拓男, 大野 彩, 宝田 剛志, 大野 充昭
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
口腔インプラント治療は,人工歯根が歯槽骨や顎骨と結合することにより強固な骨支持を得るため,骨量と骨質が重要な因子となる.しかし,日本人は欧米人と比べ歯槽骨が解剖学的に菲薄で,インプラント体埋入のために骨造成が必要な場合も少なくない.また,高齢化の進む日本で増加傾向にある骨粗鬆症患者へ口腔インプラント治療がなされる場合も多く,多くの研究者が骨造成や骨質改善に関する研究を進めてきた.
我々は,これまでの研究から骨髄由来間葉系幹細胞の幹細胞性維持という観点からスクリーニングし,同定したトリプトファンが,骨質改善や骨の創傷治癒を促進することが明らかにした.この結果は,トリプトファンの投与が口腔インプラントの骨結合促進においても有用である可能性を強く示唆するものである.しかし,口腔インプラントの埋入に伴うトリプトファンの投与が,①骨のリモデリングを担う骨芽細胞,破骨細胞や間葉系幹細胞にどのような影響を与えるのか,また,②インプラント体の初期固定や長期予後に有意に働くのか,また,トリプトファンによる幹細胞の活性化が骨粗鬆症をはじめとする老化疾患に対して有効なのか,未だその詳細は明らかでない.
そこで,本研究ではトリプトファンの骨代謝関連細胞に与える効果の検討を行うこととした.トリプトファンと間葉系幹細胞の骨芽細胞分化との関係性は明らかにしてきたが,破骨細胞との関係性は未だ不明である.はじめに,トリプトファンが破骨細胞分化に与える影響を検討した.すなわちトリプトファンを投与したマウスの大腿骨を経時的 (0, 3, 7, 14日)にサンプリングし,組織学的,分子生物学的に検討する計画をした.しかし本研究では研究期間が短く解析,評価するまでには至らなかった.
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研究課題/領域番号:16KT0192 2016年07月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
宝田 剛志, 小川 数馬
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では、精神疾患病態として脳血管周囲に存在するペリサイトのロスを取り上げ、その分子メカニズムを体内時計ネットワークの切り口から解析するだけでなく、疾患早期診断を指向する目的で、ペリサイトを可視化させる技術を開発することをめざした。その結果、体内時計システムは、ペリサイトでのPDGFRβの発現を調節し、脳血管透過性の調節を介して障害前のアストロサイト活性化状態を制御する可能性を見出した。また、脳血管ペリサイトのマーカーであるPDGFRβに高親和性な化合物であるIQPを母体化合物としたPET/SPECTイメージングプローブを開発することができた。
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体内時計制御グリアネットワークによる「精神-疼痛」連関メカニズムの解明
研究課題/領域番号:16H01332 2016年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
宝田 剛志
配分額:9490000円 ( 直接経費:7300000円 、 間接経費:2190000円 )
グリア病である神経障害性疼痛は、精神的ストレスや精神疾患との関連性が臨床上指摘されている(うつを伴う慢性痛、統合失調症や自閉スペクトラム症での痛覚鈍麻など)。しかし、この「精神と疼痛(痛み)」の関連性(連関)の分子基盤は未解明である。本研究では、睡眠障害やうつ等の精神疾患に関連性が深い時計システム(体内時計)に注目し、「体内時計によるグリアネットワークの制御」という観点から、この「精神と疼痛」の謎に挑んだ。我々の解析結果より、睡眠障害等の精神疾患との関連性が深い体内時計システムが破綻したマウス(Bmal1欠損マウス)では、脳・脊髄組織でのアストロサイトの異常活性化が認められた。同マウスにて行動学的解析を実施した結果、多動といった精神行動異常が観察されただけでなく、神経障害性疼痛モデルを実施した結果、神経障害時におけるアロディニアが消失していた。更なる解析の結果、この病態は、血管周囲に存在するアストロサイト-ペリサイトアセンブリ異常による血液脳関門(BBB)破綻に起因することを見出した(J Neurosci.37:10052-10062,2017)。つまり、BBB恒常性は体内時計システムによるグリアネットワークの上に成り立ち、そのシステム破綻は、アストロサイトの異常活性化という段階を経て、精神/疼痛機構を共に破綻させることが示唆される。また、体内時計システムが破綻したマウスでは、脳幹部位特異的な炎症性サイトカインの上昇が観察され、脳幹の特定神経核での異常が行動異常の原因である可能性を見出した。
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Runx2コンディショナル欠損マウスを使用した成体間葉系幹細胞の機能解析
研究課題/領域番号:26460387 2014年 - 2016年
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
宝田 剛志
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
組織幹細胞である間葉系幹細胞(MSC)の個体レベルでの性質の多くは謎に包まれている。Runx2コンディショナル欠損マウスを独自に開発し、同マウスでの遺伝学的解析とフローサイトメトリー解析を組み合わせた解析結果から、Prx1とSca1 が共陽性なMSCが最も幹細胞性の高いMSCであり、まずSca1陰性となり、次にPrx1陰性 なOsterix陽性細胞となり、そして成熟した骨芽細胞となる、という骨形成への分化過程の詳細を明らかにした。つまり、「生体内」でのMSCの細胞生物学的な特徴(どのようなMSCが、どのような系列をたどり、どのような細胞となり、どのような機能を有するか)の一端が見えてきた。
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体内時計によるグリアネットワーク調節に注目した「精神-疼痛」連関メカニズムの解明
研究課題/領域番号:26117507 2014年 - 2015年
文部科学省 科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型)) 新学術領域研究(研究領域提案型)
宝田 剛志
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:8320000円 ( 直接経費:6400000円 、 間接経費:1920000円 )
グリア病である神経障害性疼痛は、精神的ストレスや精神疾患との関連性が臨床上指摘されている(うつを伴う慢性痛、統合失調症や自閉スペクトラム症での痛覚鈍麻など)。しかし、この「精神と疼痛(痛み)」の関連性(連関)の分子基盤は未解明である。
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我々の解析結果より、睡眠障害等の精神疾患との関連性が深い体内時計システムが破綻したマウスでは、行動・疼痛機能の異常とともに、脳・脊髄組織でのアストロサイトでの異常活性化が認められる。これにより、血管周囲に存在するアストロサイト-ペリサイトアセンブリが異常をきたす可能性を提唱した。つまり、BBB恒常性は体内時計システムによるグリアネットワークの上に成り立つことを示唆するものである。 -
研究課題/領域番号:22659065 2010年 - 2011年
文部科学省 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 挑戦的萌芽研究
檜井 栄一, 宝田 剛志
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:3030000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:330000円 )
骨組織から分泌されるホルモン様分子を網羅的にスクリーニングした結果、骨細胞から分泌される因子として、GDF15を同定した。さらに、GDF15が破骨細胞の分化・成熟化を促進すること、また、その中和抗体が虚血性骨粗鬆症の発症を予防することが明らかとなった。本研究により、虚血や低酸素等の病態生理学的条件下において骨細胞から分泌されるGDF15が、破骨細胞へ作用し骨代謝を制御していることが判明した。
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研究課題/領域番号:22500330 2010年 - 2011年
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
宝田剛志
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
我々は、骨芽細胞特異的表現型を特徴付けるRunt-related transcription factor 2(Runx2)分子が、中枢神経系にも機能的に発現する事実を報告した。本研究では、個体レベルでのRunx2の脳機能解析を実施する目的で、Cre/loxPシステムを利用したRunx2 conditional欠損マウスの作製に取り組み、Runx2遺伝子のexon 4をloxP配列にて挟んだRunx2^flox/+のマウス作製に成功した。
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研究課題/領域番号:20790250 2008年 - 2009年
文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)) 若手研究(B)
宝田剛志
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究では、軟骨細胞に発現する時計遺伝子群(Bmal1, ClockあるいはPer1等)の生理学的あるいは病態生理学的役割を解明した。Bmal1欠損マウスや各種分子生物学的解析の結果、軟骨細胞では分化調節能を有するIhhの発現が、Per1をはじめとする時計遺伝子群によって直接的に転写制御され、骨の伸長過程が24時間周期にて制御されている可能性が示唆された。
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新規シグナル分子によるグリアニューロン相互回路網構築の可能性探究
研究課題/領域番号:18053009 2006年 - 2007年
文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究) 特定領域研究
米田幸雄, 寳田剛志
資金種別:競争的資金
配分額:6100000円 ( 直接経費:6100000円 )
本研究では、脳内神経情報伝達物質が骨関節系細胞において細胞間情報伝達に利用される事実に基づいて、骨関節系細胞における情報分子群について脳内ニューロンおよびグリア細胞における機能的発現の可能性を探索した。特に、Runt related factor-2(Runx2)は間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化と成熟過程に必須の転写制御因子であるが、中枢神経系における発現解析は全く行われていない。したがって本研究ではRunx2に焦点を当てて、その中枢神経系における機能的発現の可能性を追究するとともに、一過性脳虚血時における病態生理学的役割について検討した。RT-PCR法による解析の結果、ラット大脳皮質由来培養アストログリア細胞およびC6グリオーマ細胞ともにRunx2のmRNA発現が認められた。C6グリオーマ細胞にRunx2の発現ベクターを導入すると、Matrix metalloproteinase-13(MMP13)のmRNA発現量が有意に上昇することが明らかとなった。次いで、中大脳動脈結紮(MCAO)ラット脳におけるMMP13発現を検討した結果、MCAO負荷により梗塞側でMMP13のmRNA発現量の著明な上昇が認められた。以上の結果より、Runx2は中枢神経系内でも特にアストログリア細胞に強く発現するだけでなく、MMP13の発現制御を介して脳虚血病態出現に何らかの関与を示す可能性が示唆される。
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細胞間コミュニケーションにおけるセリン光学異性体に関する研究
研究課題/領域番号:17790057 2005年 - 2006年
文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)) 若手研究(B)
宝田剛志
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
我々の研究グループでは、以前より骨関節組織を構成する骨芽細胞、破骨細胞および軟骨細胞の分化段階を制御する因子の探索を行っているが、近年中枢神経系において興奮性情報伝達物質として機能するグルタミン酸(Glu)が、これらの細胞において情報伝達物質として機能することを世界に先駆けて報告した。我々は、Gluシグナリング機構に関連する因子が骨関節組織においても存在するのではないかとの仮説に基づき、中枢神経系のGlu受容体の一種であるNMDA受容体の機能制御を行うD-Serの軟骨細胞分化に与える影響について解析を始めた。現在までのところ、培養骨芽細胞および軟骨細胞において、D-Ser合成酵素であるSRのmRNAおよびタンパク質の発現を認めており、またラット脛骨の組織切片を用いたin situ hybridization法においても骨芽細胞および軟骨細胞におけるSR mRNAの局在性を確認している。前軟骨細胞株であるATDC5細胞にSRを強制的に安定発現させた結果、軟骨細胞分化の指標であるアルシアンブルーの染色性が有意に抑制され、これが軟骨細胞分化過程において重要な役割を果たすSOX9の細胞内タンパク質の安定性に対して影響を与えることが明らかとなった。これらの結果より、D-Ser合成酵素であるSRが軟骨細胞の分化過程を制御する可能性は充分に高いことが予想され、更なる研究計画の効率的実施によ...