Research Projects -
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膵島におけるグルタミン酸によるインスリン分泌制御機構の解析
Grant number:14770600 2002 - 2004
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
山田 浩司
Grant amount:\3800000 ( Direct expense: \3800000 )
株化細胞であるMIN6細胞に、AMPA型グルタミン酸受容体のイソフォームであるGluR2が発現していることを免疫化学的手法を用いて見いだした。グルタミン酸受容体のエンドサイトーシスを生化学的に検出する手法を構築し、GluR2が、AMPA刺激により細胞内にエンドサイトーシスされることを見いだした。このエンドサイトーシスは、細胞外グルコースが低濃度の場合に顕著に起こり、AMPA型グルタミン酸受容体のアンタゴニストであるGYKI52466により阻害されることが判明した。さらに、このリガンド依存性エンドサイトーシスは、細胞外のNaイオン、Caイオンを除くことにより阻害された。さらに、人工的に細胞膜の脱分極を高濃度のKClを加えることにより、誘導するとGluR2のエンドサイトーシスが起こった。従って、GluR2のエンドサイトーシスは、グルタミン酸の受容体への結合と細胞膜の脱分極が必要であることが示唆された。さらに、蛍光ラベルしたGluR2(GFP-GluR2)をMIN6細胞に強制発現させ、AMPA刺激で、GluR2のエンドサイトーシスを反映していると考えられる蛍光スポットの移動が観察できた。
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シナプスにおけるエンドサイトーシス機能タンパク-膜リン脂質相互作用の解析
Grant number:14380306 2002 - 2004
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
絹田 正裕, 竹居 孝二, 山田 浩司
Grant amount:\10700000 ( Direct expense: \10700000 )
Amphiphysin 1によるDynamin GTPase活性の上昇
Dynamin 1GTPアーゼ活性に対するAmphiphysin 1と膜脂質の影響を調べ、Amphiphysin 1が、大型リポゾームの存在下にDynamin 1のGTPアーゼ活性を上昇することを明らかにした。リポゾームにフォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール2リン酸などの酸性リン脂質を含まれる場合、特にGTPアーゼ活性の増強効果が高かった。ミュータントAmphiphysin 1を用いた解析により、Dynamin 1GTPアーゼ活性の増強には膜脂質への結合を担うBARドメインと、dynaminとの結合ドメインであるSH3ドメインが必要でであることを明らかにした。また、クラスリン結合部位、AP2結合部位を含む中間部は、Dynamin 1GTPアーゼ活性に対して抑制的に働くことが示唆された。
Amphiphysin 1によるDynamin 1と膜脂質の結合の増加
リポゾームを用いた結合実験により、Amphiphysin 1がDynamin 1と膜脂質の結合を増加させることを明らかにした。この結合増加の一因は、Amphiphysin 1のBARドメインとSH3ドメインを介した間接的結合によるものであることを、ミュータントAmphiphysin 1を用いた解析により明らかにした。
Amphiphysin 1とDynamin 1と脂質膜の結合増加
ミュータントAmphiphysin 1を用いた解析により,Amphiphysin 1とDynamin 1のリング形成にはBARドメインとSH3ドメインが必要であることを明らかにした。また、リング形成とDynamin 1 GTPアーゼ活性の上昇が、Dynamin 1と膜結合性にある程度相関することを示唆した。
以上の成果を論文にまとめ発表した。 -
神経シナプスにおけるエンドサイトーシスの変化を指標とした神経変性疾患の解析
Grant number:13035032 2001 - 2002
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
竹居 孝二, 山田 浩司, 絹田 正裕
Grant amount:\4600000 ( Direct expense: \4600000 )
1.老化モデルマウスを用いた解析
老化脳における神経シナプスの変化を調べるため、老化モデルマウスであるKlotho変異マウス海馬シナプスにおけるタンパク発現を精査した。蛍光免疫染色法および蛍光強度の定量的測定では、シナプス小胞のマーカーであるSynaptophysinの発現が海馬CA3領域において軽度減少していた。次にシナプスエンドサイトーシス機能蛋白(Clathrin、AP2、Dynamin1、Amphiphysin1など)の発現と局在をそれぞれウエスタンブロッティング、蛍光免疫染色法により調べた。Klotho変異マウス海馬ではDynamin1の発現がわずかにの減少していたが、他のタンパクについては変化はみられなかった。
2.Klothoタンパクの局在
Klotho変異マウス脳における上記の変化とKlothoタンパクの関連を明らかにする目的で、Klothoタンパクの局在を蛍光免疫染色法により調べた。既にKlotho mRNAは脈絡叢上皮に局在することが報告されているが、Klothoタンパクも脈絡叢に特異的に発現していた。さらに共焦点顕微鏡観察、金コロイドを用いた凍結免疫電顕法により、Klothoタンパクが脈絡叢上衣細胞のapical側(脳室側)に選択的に局在することが明らかになった。脈絡叢は脳脊髄液の産生、調節に機能することから、Klotho変異マウス脳にみられた上記の比較的軽度な変化は、脳脊髄液産生、調節の変化を介した二次的な変化である可能性が示唆された。 -
AMPA型グルタミン酸受容体のエンドサイトーシスの分子機構
Grant number:13041045 2001
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(A)
竹居 孝二, 山田 浩司, 絹田 正裕
Grant amount:\4000000 ( Direct expense: \4000000 )
1.膵島β細胞株MIN6のキャラクタライゼイション
膵島β細胞にはAMPA受容体が発現していることが見い出されており、本研究ではAMPA受容体のエンドサイトーシスの機構を解明するためにβ細胞を用いることを提案した。
まず特異的抗体を用いたWestern blot法により、MIN6におけるAMPA受容体の発現を明らかにした。次にMIN6におけるエンドサイトーシス機能タンパクの発現を調べた。その結果、クラスリン依存性エンドサイトーシスの機能タンパクであるアンフィファイジン、さらにアンフィファイジンのリン酸化酵素CDK5が高発現することがWestern blot法により見い出された。
2.エンドサイトーシスのin vitro再構成系の確立
AMPA受容体エンドサイトーシスの分子メカニズム解明のためには、エンドサイトーシスによる取り込み小胞の形成をin vitroで再現する実験系の確立が必要であると考えた。In vitroで人工脂質膜(リポソーム)を膜成分として、ATPおよびGTP存在下に細胞質と反応させることにより、大型(直径>1μm)のリポソームから直径100nm以下の小胞が多数形成される実験系を確立した。さらに、形成された小胞の大きさ、数、相対的質量を動的光拡散測定装置を用いて測定することにより、小胞形成の定量化を可能とした。この実験系はAMPA受容体の選択的取り込みを解析するための実験系として応用されうる。 -
A Study on Molecular Mechanisms of Endocytosis
Grant number:12480217 2000 - 2001
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (B) Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
TAKEI Kohji, YAMADA Hiroshi, KINUTA Masahiro
Grant amount:\14100000 ( Direct expense: \14100000 )
Establishment of in vitro cell-free system: In order to elucidate molecular mechanisms involved in endocytosis, vesicle formation in endocytosis was reconstituted in vitro. Incubation of large liposomes, larger than 1 μm in diameter, with brain cytosol resulted in massive formation of small vesicles, smaller than 100 nm in diameter. The vesicle formation required both ATP and GTP. Vesicle formation was drastically reduced when liposomes were incubated with dynamin 1 -depleted cytosol, indicating that vesicle formation in this experimental system represents endocytic vesicle formation. The vesicle formed during the incubation can be analyzed quantitatively and qualitatively by dynamic light scattering.
Functions and Kinetics of membrane lipids: Functions of membrane lipids were studied by analyzing vesicle formation from liposomes of with various compositions. Vesicle formation increased as phosphatidylinositol-4.5-bisphosphate (PIP_2) concentration in liposomes was increased. Furthermore, PIP_2 was degraded to phosphatidylinositol-4-bisphosphate, then to phosphatidylinositol. Next, PIP_2 synthesis during the reaction was analyzed by addition of neomycin, inhibitor for PIP_2 degradation, in the reaction mixture. PIP_2 synthesis was increased by active form of ADP-ribosylation factor 6 (Arf6). It was suggested that increase of membrane recruitment of AP2, clathrin adaptor protein, by Arf6 might attribute to the increase of PIP_2 synthesis.
Kinetics of membrane lipids in culture cells: Degradation of PTP_2 synthesis upon endocytosis was examined in culture cells. Metabolically labeled HeLa cells were stimulated for endocytosis and the amount of PIP_2 was analyzed. Similar PIP_2 degradation as that observed in the cell-free system was observed. -
遺伝子、蛋白の機能、形態解析のための細胞内超微構造のデータベースの構築
Grant number:12208033 2000
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究(C)
竹居 孝二, 横田 一正, 山田 浩司, 絹田 正裕, 劉 渤江, 國島 丈夫
本研究の目的は既報論文の電子顕微鏡像を形態的特徴によって分類し、そのデータベースを構することである。本年度の研究実績は以下の通り。
1 論文検索および電子顕微鏡像の解析
今年度は対象論文を神経細胞に限定し、まずPubMedで『neuron(神経)』および『ultrastructure(微細構造)』のキーワードにより検索される約3万7千余の論文の一部について、本データベースの対象論文としての妥当性を分析した。その結果、対象となる電子顕微鏡像は一部の学術雑誌に集中して掲載されていることが判明したので、効率的なデータベース構築をするため、学術雑誌ごとに論文の分析、入力作業を行うこととした。現在、Cell Tissue Researchに掲載された1197件の論文について、電顕像をその特徴により分類し、画像入力およびPubMedからの書誌情報の取り込みを行っている。
2 データベース構築
今年度はデータベース構築のためのプロトタイプシステムの実装を行った。このシステムでは、PubMedから得られる論文の書誌情報、論文からスキャナで取り込んだ画像データ、および画像データの特徴をあらわすキーワードなどをデータベースに格納し、相互の関連付けを半自動で行っている。データベースに対する検索は、要求が最も高いと思われるキーワードからの検索を中心に実装した。PubMedの書誌情報がASN.1形式で構造化されているため、テキスト情報は構造化文書の標準規格であるXML形式で構造化した上でデータベースに格納するという構成を採用した。その結果として、データベースとしてはXML文書処理機能の豊富なOracle8iを、また検索システムはJava言語のServlet機能を用いたWWWサーバ・クライアント方式をそれぞれ採用した。この知見を元に、来年度はより使いやすいデータ入力方式や検索方法、PubMedの更新への自動追随などを検討していきたい。 -
松果体細胞がグルタミン酸作動性のパラニューロンであることの発見とその性格づけ
Grant number:97J03629 1998
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
山田 浩司
Grant amount:\1300000 ( Direct expense: \1300000 )