共同研究・競争的資金等の研究 - 井澤 俊
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ペリオスチンの機能解析-骨芽細胞及び歯根膜線維芽細胞における抗アポトーシス作用-
研究課題/領域番号:20592404 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
藤原 慎視, 堀内 信也, 井澤 俊
担当区分:研究分担者
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
本研究は、骨芽細胞と歯根膜線維芽細胞のアポトーシスにおけるペリオスチンの果たす役割とそのシグナル伝達系について検討を行った。結果、低酸素によるアポトーシス誘導系により、歯根膜のアポトーシスにはペリオスチンが関連し、そのシグナル伝達にはFAK, JNK, ERK, P38, AKTなどが関連していることが示唆された。また、・-cateninシグナル伝達系でも、ペリオスチンが関与し、種々の細胞における抗アポトーシス作用に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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顎関節におけるRANKL/Fasシグナルクロストークによる骨・軟骨破壊の制御
研究課題/領域番号:20791579 2008年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
井澤 俊
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究の目的はRANKL刺激により活性化した樹状細胞を関節リウマチモデルマウスに移入し関節病態への影響を解析することである。In vivoにおける結果として、RANKL刺激樹状細胞を関節炎モデルマウスに繰り返し移入するとT細胞のアポトーシス亢進や自己免疫性関節リウマチの病態抑制効果がみられた。これらの結果より自己免疫性関節リウマチの病熊形成機構にRANKLシグナルが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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オステオイムノロジーを基盤にした顎関節リウマチにおける骨・軟骨破壊の分子機構とその制御
2008年 - 2009年
口腔からQOL向上を目指す連携研究(徳島大学 若手研究) 研究カテゴリー(口腔環境制御)
井澤 俊
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リン酸カルシウム置換処理による機能性ベクトルマテリアルの開発
研究課題/領域番号:19592355 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
堀内 信也, 辻 けい子, 井澤 俊, 藤原 慎視, 田中 栄二, 木内 奈央
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
骨形成促進効果を有する亜鉛を徐放するセメントを開発するために、歯科用セメントとして従来より使用されているリン酸亜鉛セメントの成分であるリン酸亜鉛をリン酸亜鉛カルシウムへと置換し、骨代替材料(アパタイトセメント)へと導入したところ、アパタイトを析出しつつ硬化する亜鉛徐放性セメントを得た。このセメント上で骨を形成する細胞を培養したところ、細胞増殖が促進し、骨マーカーであるアルカリフォスファターゼの活性が上昇した。
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歯根膜細胞におけるRhoファミリータンパク質RhoEの細胞骨格制御機構の解明
研究課題/領域番号:19592356 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
木内 奈央, 大庭 康雄, 藤原 慎視, 塩屋園 敦, 北瀬 由紀子, 田中 栄二, 井澤 俊, 谷本 起穗, 木内 奈央
担当区分:研究分担者
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
歯根膜は、歯槽骨に歯を植立する懸架組織であり、その主な構成要素はコラーゲンの太い束から成る歯根膜線維と線維芽細胞系の歯根膜細胞である。矯正力に伴う歯の移動において、歯根膜組織は圧縮や伸展といった形態変化を引き起こした後にリモデリングを行い、一定の形態を維持しながら歯根とともに歯槽骨内を移動する。歯根膜組織が介在しない骨癒着歯やインプラントでは歯周組織のリモデリングは起こらず歯は移動しないことからも、矯正歯科治療において歯根膜は極めて重要な組織であり、歯根膜の機械的刺激に応答したリモデリングや形態維持機構において、歯根膜細胞が中心的役割を演じていると考えられる。ところが、歯根膜細胞がどのような機構で機械的シグナルを生物学的シグナルに変換し、歯根膜組織のリモデリングや恒常性に関与しているのか、未だ詳細は不明である。過去に我々は、歯根膜細胞における力学的刺激応答性の分子制御機構を解明することを目的として、コラーゲンゲル中で三次元培養したヒト歯根膜細胞に圧縮力を負荷し、遺伝子発現パターンをマイクロアレイ法にて網羅的に解析した。その結果、圧縮力負荷群において低分子量GTP結合タンパクであるRh。ファミリーのRhoEが高発現していることを見出している(Araujo RMS, Oba Y, MoriyamaK : J PeriodontRe8, (42)15-22, 2007)。
一方、Rhoファミリーは、アクチン細胞骨格の再編成を介して様々な細胞機能を制御することが知られており、なかでもユニークなRndサブファミリーに属するRh。E(Rnd3)も細胞骨格制御に関与すると考えられているが、歯根膜細胞においては全く報告を見ない。過去に、我々はRh。Eの細胞骨格制御における役割を検討したところ、圧縮力によりRhoEが発現上昇し、ストレスファイバー形成が抑制されたが、RhoEアンチセンスオリゴを導入するとストレスファイバー形成が回復したことから(Oba Y et.al, Orthodontic Waves2008)、RhoEは歯根膜細胞において細胞骨格形成に抑制的に作用することを見出し、RhoEが歯根膜再薄のストレスファイバー形成の制御に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
そこで、本研究では歯根膜細胞の機械的刺激に応答した細胞骨格リモデリングにおけるRhoEの役割を解明することを目的に、培養歯根膜細胞に圧縮力を加え、メカニカルストレス負荷時の歯根膜細胞の細胞骨格制御、とくにストレスファイバー(Fアクチン)形成におけるRhoEの役割をin vitroならびにin vivoにおいて以下の検討を行った。
まず、RhoEの三次元的な細胞内局在の解析と細胞骨格制御における役割に関して、メカニカルストレスに応答して発現する歯根膜細胞のRhoEの細胞内局在を三次元的に詳細に調べ、RhoA、Rac、Cdc42などの発現を比較検討したところ、RhoEの発現が上昇することが確認された。また、RhoEの機能に関する検討に関して、メカニカルストレス負荷の歯根膜細胞において、アンチセンスやRhoEに特異的な合成二本鎖RNAを用いINAiにてRhoEの発現制御を行ったところ、ストレスファイバー形成がRhoEにて制御されることを確認した。さらに、加重負荷後1時間から48時間の各時間におけるストレスファイバー形成の観察にっいて検討したところ、ストレスファイバー形成がRhoEにて制御されることが確認できた。
この結果を踏まえて、歯の移動時の歯根膜組織におけるRhoEの役割と、それに伴う歯根膜細胞の形態変化や細胞の分化制御をRhoEや細胞骨格関連因子の発現を検索し解析することを目的に、RhoEに対するin vivoでのRNAiを試みている。今回の実験では為害性が少なく, 近年マウス皮下腫瘍や全身性転移癌に対するsiRNA導入実験でその有効性が確認されているアテロコラーゲンを担体として用いsiRNAの導入を行っている。すなわち、RhoEに特異的な二本鎖RNA(siRNA)とアテロコラーゲンを最適な濃度比率で混合した後、lo週齢のc57BL/6マウスの歯周組織にin vivo投与しRNAiを行いその抑制効果を検討している最中である。
以上のことから、RhoEが歯根膜細胞の細胞骨格制御に深く関わっている可能性は極めて高いと考えられ、力学的刺激に応答した歯根膜組織のリモデリング機序や細胞形態の維持機能はRhoEを介する歯根膜細胞の細胞機能制御が関与していることが示唆された。本研究を通じて、力学的刺激に伴う歯根膜細胞の分子制御機構の一端が明らかになれば、歯の移動における生物学的基礎的データとして歯科矯正学分野に大きく貢献するものと思われる。また、本研究は歯周治療やインプラント、さらには歯根膜再生医学の進歩にも大きく寄与すると考えられ、新しい歯科医療の開拓と治療戦略の構築に大きく貢献するものと期待される。 -
頭蓋顎顔面骨格先天異常に対する新規治療法開発と実用化への基礎的研究
研究課題/領域番号:18209060 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
森山 啓司, 大庭 康雄, 高橋 巧, 北瀬 由紀子, 谷本 起穂, 井澤 俊, 藤原 慎視, 鈴木 聖一, 小野 卓史, 須田 直人, 馬場 祥行, 川元 龍夫, 辻 美千子, 浜田 俊, 小川 卓也, 鈴木 聖一, 小野 卓史, 馬場 祥行, 川元 龍夫, 辻 美千子
担当区分:研究分担者
配分額:49010000円 ( 直接経費:37700000円 、 間接経費:11310000円 )
頭蓋冠縫合部早期癒合症を主症状の1つとするApert症候群の原因として、FGFR 2の細胞外領域における2種類の変異(S252W、P253R)が報告されている。我々は、S252W型変異が骨芽細胞分化に及ぼす影響を検討することを目的として、S252W型変異体(FGFR2IIIc-S252W)と、その細胞外領域のみを含む可溶性変異体(soluble FGFR2 IIIc-S252W)を過剰発現させたトランスジェニックマウスを作出した。マウスの頭蓋冠由来の骨芽細胞を単離し、種々の解析を加えた結果、FGFR2IIIc-S252Wは骨芽細胞分化を亢進するのに対し、solubleFGFR2IIIc-S252Wはこのプロセスを抑制した。可溶性変異体による分化制御が、頭蓋冠縫合部早期癒合症に対する新規治療法に発展する可能性が期待される。
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RANKLシグナルを介した関節リウマチ顎関節破壊機構の解明
研究課題/領域番号:18791553 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
井澤 俊
担当区分:研究代表者
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : RA)の病態形成機構については不明な点が多い。本研究はRAの自然発症モデルとして知られているMRL/1prマウスの樹状細胞(Dendritic Cell : DC)の機能を詳細に解析し、RANKLシグナルを介したDCの活性化・維持機構を明らかにした上で、MRL/1prマウスにRANKL刺激により活性化したDCを移入することによる関節病変への影響について検討した。その結果、MRL/1prマウスの脾臓およびリンパ節においてMRL+/+マウスと比較してDCの細胞数の有意な増加が認められ、特にB220^-CD11_c^+CD8_a^+またはB220^-CD11_c^+CD11_b^+のMyeloid DCの割合が増加していた。一方、MRL/1prマウス由来のBone Marrow DCをRANKLで刺激すると活性化の亢進が見られ、抗アポトーシス分子(Bc1-2,Bc1-XL)の発現上昇、NF-κB活性の上昇が検出された。また正常DCをRANKLで刺激するとFasの発現、抗Fas抗体でのアポトーシスの亢進が認められた。さらに、RANKL刺激DCをMRL/1prマウスに移入すると骨破壊を伴ノうRA病変の増悪が観察された。したがって、MRL/1prマウスのRA病態形成にDCの機能異常が重要な役割を果たしていることに加え、RANKL及びFasの下流分子の中でNF-kBの活性化異常により最終的な樹状細胞の運命が決定されることを明らかにした(Blood 110:242-50,2007)。
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RNAiを用いた顎口腔系の骨格筋量制御法の開発に関する研究
研究課題/領域番号:17659648 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
森山 啓司, 大庭 康雄, 井澤 俊, 金子 和之, 塩屋園 敦, 佐竹 秀太, 泰江 章博, 西 真寿美
担当区分:研究分担者
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
咀嚼筋や舌筋の機能異常は、不正咬合の成因や矯正治療の予後の安定性に影響を与える。近年、細胞内の標的遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA干渉法(RNA interference : RNAi)が開発され、臨床応用への展開が期待されている。本研究では、筋形成の新たな制御方法を開発することを目的として、骨格筋形成の抑制遺伝子であるマイオスタチン(Mst)を標的遺伝子としたRNAiがマウス筋芽細胞の増殖および分化に及ぼす影響を検討した。
COS-1細胞で一過性に強制発現させたマイオスタチンはpSi-Mstをco-transfectionすることでその発現が顕著に抑制された。マイオスタチン恒常発現株では親株と比較して有意に細胞増殖能が低下していたが、pSi-Mstを導入すると細胞増殖能が有意に促進された。マイオスタチン恒常発現株における細胞増殖関連因子p21、p53およびpRbの発現に対するpSi-Mstの影響を検討した結果、p21、p53の発現上昇とpRbの発現低下が認められた。一方、pSi-Mstを導入したマイオスタチン恒常発現株では筋分化制御因子MyoD、myogeninおよびMHCの発現上昇と筋管形成を伴う筋分化促進が認められた。また、Mst-siRNAを混合したアテロコ・ラーゲンを導入したマウス咬筋において、導入から2週間後、対照群と比較してマイオスタチン発現が顕著に抑制されており、肉眼的にも明らかな骨格筋増大が観察された。Mst-siRNAを導入した咬筋および大腿二頭筋の重量は、いずれも有意な増加を示した。さらに、組織学的解析を行ったところ、Mst-siRNAを導入した咬筋の各筋線維は明らかな肥大傾向を示し、各筋線維の直径を測定・定量化した結果,対照群に比べて平均で約1.3倍増加していた。以上の結果から、マイオスタチンを標的としたRNAiは、筋芽細胞の増殖および分化を促進し、さらには個体レベルでの骨格筋量の調節に有用であり、今後骨格筋異常を伴う種々の疾患に対する非侵襲的かつ安全な治療として応用しうる可能性が示唆された。