共同研究・競争的資金等の研究 - 芳野 極
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地球深部をアナログとしたFe‐C系高温高圧実験における炭素同位体分別の研究
研究課題/領域番号:23654186 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
M. Satish-Kumar, 芳野 極
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
本研究では,地球コアに含まれる軽元素の主な成分を炭素と想定し,高温高圧実験からFe-C系の状態図について検討した.高圧実験は,出発物質に粉末の鉄と同位体比が既知の粉末のグラファイトを使用し,川井型マルチアンビル装置を用いて5~14GPa,1200~2100℃の条件で反応実験を行った.この実験より鉄の炭化物-固体炭素間における超高温高圧条件での炭素同位体分別を定量化し、炭化物-固体炭素間の炭素同位体分別係数を得ることができた.
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川井型装置による核マントル境界の温度圧力発生とマントル最深部実験地球科学の展開
研究課題/領域番号:22224008 2010年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
米田 明, 伊藤 英司, 山崎 大輔, 芳野 極, 富岡 尚敬, 辻野 典秀, 大迫 正弘
配分額:201760000円 ( 直接経費:155200000円 、 間接経費:46560000円 )
焼結ダイヤモンドアンビルによる川井型装置圧力発生のフロントランナーとして世界的に認知される成果をあげた。期間中の代表的成果は“ε鉄の状態方程式の決定”である。半導体ダイヤモンドヒーターを実用化した。超高温発生に最適なヒーターとして近年中に世界標準になると断言できる。ポストペロブスカイトのアナログ物質であるCaIrO3で多様な実験を実施した。特にSPring8でのX線非弾性散乱法によるペロブスカイト及びポストペロブスカイトCaIrO3の結晶弾性測定は世界的にも先駆的業績である。
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研究課題/領域番号:22340124 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
藤 浩明, 浜野 洋三, 芳野 極
配分額:11310000円 ( 直接経費:8700000円 、 間接経費:2610000円 )
マントル中の「水」は,マントルの物性を大きく変え,またその対流様式にも強い影響を与えている。本研究では,高い貯水能力を持つと予想されるマントル遷移層に着目し,その含水率を海底観測と室内実験から解明する事を目的とした。室内実験の結果,ごく微量(<0.1 wt%)の水では,観測された電気伝導度に有意な違いをもたらさない事が分かり,海底観測からは,北西太平洋海盆下で数‰程度の水しか含まない比較的乾いたマントル遷移層の存在が確認された。
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研究課題/領域番号:21109003 2009年07月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
小川 康雄, 藤田 清, 神田 径, 松島 政貴, 芳野 極, 藤 浩明, 上嶋 誠, 市來 雅啓, 小山 崇夫
配分額:168220000円 ( 直接経費:129400000円 、 間接経費:38820000円 )
東北日本弧の中央部に位置する宮城県鳴子周辺で電磁気観測を高密度に行い、地殻・上部マントルの3 次元比抵抗構造を推定した。活動的な火山である鳴子や鬼首では、地殻深部から地表に向かう鉛直状の低比抵抗異常が解明された。この低比抵抗体は、その上面がほぼ脆性塑性境界に対応することから、メルトではなく高塩濃度の流体だまりであろう。マントルに関しては、沈み込むプレートの上面から低比抵抗体が立ち上がり、その延長が脊梁山地に向かうものと、さらに分岐して日本海側の火山列に至るものが見いだされた。下部地殻条件の含水岩石実験からは、これらの低比抵抗を説明するために、高塩濃度の塩水の存在が必要であることがわかった。
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高圧実験によるポストペロフスカイトとマントル最下部のレオロジー
研究課題/領域番号:21340128 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
山崎 大輔, 伊藤 英司, 芳野 極, 桂 智男
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
ポストペロフカイトはマントル最下部層(いわゆる、D"層)の主要構成物質である。そこで、地球内部の対流を理解するために、ペロフスカイトからポストペロフスカイトへの相転移に伴う、レオロジー的性質の変化を高圧実験的手法により調べた。結晶粒径は、物質の粘性率や変形機構を制約する重要な要因で有り、実験結果から、相転移に伴い細粒化が起こることが明らかになった。このことは、ポストペロフスカイトに相転移することによって粘性率の低下が起きることを示している。
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巨大単結晶と大容量超高圧発生技術に基くマントル深部のレオロジー
研究課題/領域番号:20224010 2008年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
桂 智男, 米田 明, 山崎 大輔, 芳野 極, 安東 淳一, 伊藤 英司, 富岡 尚敬
配分額:198900000円 ( 直接経費:153000000円 、 間接経費:45900000円 )
1. 本年度、設備備品として、精密イオンポリッシングシステム(PIPS691)・PIPSコールドステージ・GATAN636試料冷却2軸傾斜ホルダ・試料ホルダ予備排気装置・GATANデジタルマイクログラフソフトウェァを購入し、セットアップを行った。
2. 単結晶フォルステライトの珪素自己拡散係数を圧力3~13GPa、温度1600Kと1800Kで測定じた。単結晶試料の化学組成は、電子線マイクロープローブで調べた限り不純物は検出されない純粋なMg2Si04である。拡散の方向は[100]および[001]である。超高圧高温拡散実験は川井型マルチアンビル装置で行い、拡散プロファイル測定は二次イオン質量分析計で行った。得られた拡散係数は、1600Kでは10^<-20>~10^<-21>m^2s^<-1>、1800Kでは10^<-19>m^2s^<-1>であった。これにより、活性化エネルギーは430kJ/mol、活性化体積は1.3x10^<-6>m^3/molと見積もった。
今回得られた拡散係数は1気圧下での測定結果より2桁以上拡散係数が大きい。これは圧力効果では説明できない。他の研究結果と合わせて総合的に検討すると、拡散実験中に圧力媒体から進入してきた水がフォルステライト結晶中に欠陥を作るためと考えられる。無水条件下で拡散実験をするための特別な技術の開発が必要であることがわかった。
3. 単結晶試料によるMgSi03ペロフスカイトの珪素自己拡散実験を行った。拡散実験は、圧力23GPa、温度1870Kと2070Kで行った。単結晶試料によって得られた珪麦自已拡散係数は、他結晶試料によって得られた珪素自己拡散係数と誤差の範囲で一致する。また、有意な結晶方位依存性は見られない事が分かった。
4. MgSi03ペロフスカイトの変形実験用の単結晶試料を合成し、4軸回折計・EDS付SEMによって結晶性・化学組成・包有物の有無な調べた。単結晶試料は結晶軸方向に垂直な面で研磨した。現在、変形実験用長高圧セルの開発を行っている。 -
差応力下における部分溶融ペリドタイトの微細構造・物性に関する研究
研究課題/領域番号:20340120 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
芳野 極, 山崎 大輔, 米田 明, 桂 智男, 伊藤 英司
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
差応力下における部分熔融ペリドタイトの物性を決定するために、変形機構を有するDIA型マルチアンビルのシステム更新を行った。変形実験で差応力場での部分熔融ペリドタイトの電気伝導度の異方性と静水圧場における電気伝導度の比較を行った。予察的な結果は剪断応力場では剪断方向に水平方向に電気伝導度が垂直方向に比べ、約1桁高くなる傾向が得られた。このことはアセノスフェアで観測される電気伝導度異方性が部分熔融メルトによっていることを示唆する。
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複合体としてのマントル岩石物性:試料合成・弾性測定・モデリングによる実証的研究
研究課題/領域番号:19204044 2007年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
米田 明, 桂 智男, 山崎 大輔, 芳野 極, 伊藤 英司, アントン シャッキー
配分額:48620000円 ( 直接経費:37400000円 、 間接経費:11220000円 )
スティショバイトの純良単結晶の合成に成功し、X線、FTIR,EPMA等で結晶評価行った。プリセッションカメラにより結晶方位を確定し、200-500ミクロン長の直方体に整形した。高周波共振法で約20本のピークを確認し、弾性定数を決定した。マルチバッファレイヤーモデルを開発し、2次元多孔質体の空孔効果を系統的に解析し、その結果から、空孔率、空孔の扁平率、ポアソン比と実効弾性定数の間に極めてエレガントな解析式を見出すことに成功した。
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2相系としてとらえた高圧下における下部マントルレオロジーの研究
研究課題/領域番号:18340173 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
山崎 大輔, 桂 智男, 芳野 極, 伊藤 英司, 大藤 弘明
配分額:15800000円 ( 直接経費:14600000円 、 間接経費:1200000円 )
地球の下部マントルは主要に珪酸塩鉱物とフェロペリクレースで構成されていることから、単相ではなく2相系としてのレオロジー特性が重要であるとの認識に基づき、2相系の下部マントル岩石を実験室内で再現するために高温高圧実験を行った。実験試料の微細構造観察により、比較的低温である沈み込んでいくスラブの粘性率はフェロペリクレースのそれに制約されていること、マントル最下部で観測されている地震波速度の異方性はフェロペリクレースに起因していることを明らかにした
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地球マントル物質の電気伝導度〜水の影響について
研究課題/領域番号:18740280 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
芳野 極
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
本度は、上部マントルの主要構成紘物であるカンラン石、ウオズリアイト、リングウッダイトの電気伝導度への水の影響に関する研究を引き続き行った。水入りかんらん石の電気伝導度への水の寄与に関しては、前年度のうちにNature誌に公表されたが、同じ号に掲載された他のグループの同種の論文の結果と大きく異なっていることが分かった。この2つの結果の大きな違いが生じる原因として、測定温度領域の違いと我々の用いたサンプルが単結晶であるのに対し、彼らの使用したサンプルが多結晶体であることが挙げられる。彼らの測定した温度領域は1000Kを超えるような高温領域であるため、かんらん石の電気伝導度メカニズムは高温で鉄の効果による小さなポーラロン伝導が卓越してくるので、単純に水の効果によるプロトン伝導だけを示さない。そのために、低温の測定を行うことが伝導メカニズムをより分けるために必要である。そこで本年度は水入りかんらん石の電気伝導度への影響を彼らと同じく多結晶体を用いて行った。我々は、多様な水の量を含むかんらん石を合成し、その電気伝導度を含水サンプルに関しては脱水がほとんど起こらない低温(<1000K)で無水に近いサンプルは高温までの幅広い温度領域で測定した。その結果、2つのメカニズムを分離することに成功し、求めたプロトン伝導の活性化エネルギーは、単結晶から得られたものに非常に良く合うことが確かめられた。一方で、前年度行ったウオズリアイト、リングウッダイトの電気伝導度への水の影響に関する論文を投稿した。その過程で査読者はインピーダンススペクトル解析の必要性を言及した。我々の通常の電気伝導度測定は、低周波数(0.1〜0.01Hz)の交流回路であることから、サンプルと電極の反応、プロトンの分極などの効果が現れる可能性を否定できない。そこで、新たにインピーダンススペクトル解析を幅広い周波数帯(1Mhz〜0.01Hz)で実施した。この解析結果から、低周波数測定から得られた電気伝導度とインピーダンススペクトル解析から得られた電気伝導度はほぼ一致することが確認された。この結果を踏まえて、論文を改訂し、2008年1月号のNature誌に公表された。
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電気伝導度測定による珪酸塩鉱物中の連結度の解明
研究課題/領域番号:03J02518 2003年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
芳野 極
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
本年度は、アメリカ合衆国ニューヨーク州トロイにあるレンセラー工科大学のワトソン教授の下で、主にピストンシリンダー高圧発生装置を用いた実験を行い、固液混合系における液相の分布形態の幾何学を回収試料の電子顕微鏡写真を用いて行った。液相の連結度は電気伝導度に非常に敏感であり、その微細構造の詳細を知ることは地球深部物質の液相の移動(浸透率)、弾性特性、レオロジーなどの物性を明らかにするのに非常に有効な手段である。
本年度前半は様々な二面角、ファセットの度合いを示す液相と固相からなる系を液相の体積分率を変えることにより、固相の表面が液相にどれだけ濡らされるのか(ウエットネス)を詳細な画像解析により調査した。ウエットネスは固相の全境界(固相? 固相境界および固液境界)面積に占める固液境界の比で表される。ウエットネスは概して液相の体積分率の増加につれて増加するが、二面角の小さな系ほど増加の度合いが大きいことが分かった。特に、ファセットの度合いの小さい系に関しては、理論から予測される値に近い結果を与えた。しかしながら、ファセットの度合いが大きくなるにつれ、ウエットネスは理論曲線からはずれて低い値を持つことが示唆され、これは結晶の表面エネルギーの異方性が大きくなると粒子のクラスター化、液相が不均質にプール状に集まるためであると推測される。また、液相の体積分率とウエットネスを対数でプロットすると傾き1/2で近似できることが分かった。このことは、液相の固相内における分布は、粒子の稜部を結ぶ線状のネットワークを形成していることを示す。この結果に基づき固液2相系における弾性モデルを構築した。
本年度後半はオリビン-水系の二面角の測定を1200度Cで1? 13GPaまでの範囲で行った。4GPa以上の実験はエール大学の唐戸教授のもと行った。二面角は圧力の上昇にともない急激に減少することが測定の結果から明らかになり、おそらく10GPa付近では二面角は0度に近くなることが示された。このことは少量の水の存在が上部マントル深部で物性に対し、多大な影響を与えることを示唆する。