共同研究・競争的資金等の研究 - 河合 穂高
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DCE-MRIによる口腔癌免疫療法に対する効果予測指標の確立
研究課題/領域番号:22K10118 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
藤田 麻里子, 河合 穂高, 浅海 淳一
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
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口腔癌間質が主導する実質進展制御メカニズム解明と新規治療法開発
研究課題/領域番号:22K10170 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
高畠 清文, 長塚 仁, 中野 敬介, 辻極 秀次, 河合 穂高
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
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細胞競合による癌の生物学的性格および癌化の制御
研究課題/領域番号:21K10043 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中野 敬介, 河合 穂高, 志茂 剛, 長塚 仁, 辻極 秀次, 高畠 清文
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
2021年は腫瘍の生物学的な特性と関連因子の発現を確認するために、移植腫瘍を用いた組織学的な検討をおこなった。臨床的に内向型の発育様式を示す口腔扁平上皮癌は上皮下結合組織へ浸潤増殖していくが、口腔扁平上皮癌の亜型の疣贅癌は体表外へ向かって外向性に増殖し、結合組織への浸潤性に乏しい。通常型の口腔扁平上皮癌(高浸潤型癌)、およびその亜型である疣贅癌(低浸潤型癌)について、これら性格の異なる2つの癌の間質細胞を互いに入れ替えてマウスに移植した。その結果、低浸潤型癌の間質細胞は、高浸潤型癌を低浸潤型に変化させ、高浸潤型癌の間質は低浸潤型癌を高浸潤癌に変化させた。移植癌組織を組織学的に検討し、低浸潤型癌組織では、間質細胞にYAP, Notch をはじめとして、細胞競合で勝者に発現する細胞競合勝者因子が強く発現し、高浸潤型癌組織では、癌細胞に細胞競合勝者因子が強く発現していることを確認した。癌の間質は従属的組織として癌の制御下におかれているのではなく、細胞競合の働きによって癌細胞へ働きかけて癌細胞の性格そのものを変化させている可能性示唆する結果を得られた。また癌細胞と間質細胞を共培養し、癌と間質細胞の相互作用を検討できる実験モデルの作製を行った。
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口腔扁平上皮癌における新規遠隔転移抑制治療の開発
研究課題/領域番号:20H03888 2020年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
長塚 仁, 山近 英樹, 中野 敬介, 河合 穂高, 江口 傑徳, 辻極 秀次, 高畠 清文
配分額:17030000円 ( 直接経費:13100000円 、 間接経費:3930000円 )
本年度は、リンパ節における転移niche形成の検討を行うために、GFP骨髄移植を行なったマウスにヒト好転移ヒト扁平上皮癌細胞株を頬粘膜に移植して、リンパ節転移モデルの作成を行なった。腫瘍組織は、通報に従い標本を作成し、免疫組織化学染色、蛍光免疫二重染色、蛍光免疫多重染色を行い検討を行なった。
●蛍光免疫多重染色(Opal 7 color manual IHC)による目的細胞の組織内での局在の検討
転移に関与するBMDCのプロファイルがある程度特定されれば、次に蛍光免疫多重染色(Opal 7 color manual IHC)を用いることにより、目的BMDCの組織での局在を明らかとする。Opal 7 color manual IHCは、同一切片内で最大7色までの多重染色を行うことが可能な染色手法で、FACSで得られた情報をそのまま切片内に再現することが可能である。これにより、組織内での目的BMDCの局在や動態の詳細を継時的に観察した。 -
エナメル上皮腫の生物学的性格制御による腫瘍実質ー間質相互作用破綻の誘導
研究課題/領域番号:20K10094 2020年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
藤井 昌江, 長塚 仁, 中野 敬介, 高畠 清文, 河合 穂高
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
エナメル上皮腫は若年層に発症し、顎骨切除術を行うと著しくQOLが低下する。現在では顎骨保存外科的療法(開窓術)が適応されることが多い。しかし、開窓術においても、複数回の手術が必要であり、再発率も高いため、全く新しい視点からアプローチする新規治療法の確立が望まれている。申請者らはこれまでに歯原性腫瘍の腫瘍実質と腫瘍間質の相互作用に着目した研究を行ってきた。その結果、腫瘍間質には未分化で骨芽細胞に分化しうる細胞 が存在することを発見している。この未分化な細胞に対して腫瘍実質が産生する因子が分化抑制を行い、細胞浸潤や骨吸収に影響を与える研究成果を得ている。 さらに、開窓術の科学的根拠の検索のために、エナメル上皮腫における開窓術前後の組織学的変化を検討してきた。その結果、開窓術によりエナメル上皮腫が正常口腔粘膜上皮と連続することで、腫瘍実質が抑制的に制御されるとの研究成果を得ている。 そこで本申請課題では、正常粘膜上皮との連続による腫瘍実質の生物学的性格の変化を利用し、腫瘍実質と腫瘍間質の相互作用機構を破綻させ、外科的手法を 用いないエナメル上皮腫の新規治療法の開発に向けた基礎的研究を行う。 2021年度は、樹立したエナメル上皮腫間質細胞とエナメル上皮腫腫瘍細胞(AM-1)の共培養実験を行い、エナメル上皮腫の腫瘍微小環境を再現した。具体的には、エナメル上皮腫間質細胞とAM-1をシャーレ上(2D共培養)とコラーゲンゲル上(3D共培養)で培養し、腫瘍微小環境を再現した。
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miRNAが支配する骨・軟骨分化方向決定メカニズムの解明
研究課題/領域番号:20K10178 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
伏見 滋子, 中野 敬介, 河合 穂高, 長塚 仁, 辻極 秀次, 高畠 清文
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
申請者らはすでにウサギ組織内にBMPとハニカムTCPで作成した特殊な環境下において骨組織と軟骨組織をシームレスに連続した状態で誘導することに成功している(シームレス骨・軟骨分化誘導モデル)。令和3年度はマウスを用いたシームレスな骨・軟骨モデルの作製を行い良好な再現性を実現できることを確認している。マウスを使用して、安定的にシームレス骨・軟骨分化誘導モデルを作製することが可能となった。これまでに明らかになっているウサギの実験条件を流用しマウス組織内にも同様な骨・軟骨シームレス組織が形成されることを確認した。ハニカムCTPは孔径の異なる種類を用い、濃度の異なるBMP-2を含侵させ同所性および異所性に結合組織内へ埋入し、骨・軟骨誘導をおこなった。今回の研究で使用しているスカフォールドの形態が細胞分化に影響を及ぼし特定の細胞分化に関連する遺伝子発現を誘導することを見出した。これらの結果は学術誌上で報告した。
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三次元腫瘍オルガノイド評価系により見出された新規癌転移抑制化合物の創薬展開
研究課題/領域番号:20K09904 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
十川 千春, 岡元 邦彰, 江口 傑徳, 河合 穂高, 青山 絵理子
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
癌の悪性化、転移および再発を制御するには、分子機序の解明と有効な抗腫瘍薬の開発が不可欠である。近年、癌の悪性化には癌細胞を取りまく腫瘍微小環境が影響するといわれ、癌細胞のみならず腫瘍微小環境を制御する因子も標的分子の候補に入れた検討が必要である。本研究課題では、三次元腫瘍オルガノイド形成とMMP9発現をモニタリングすることによる、独自の多元薬物評価系によって見出したヒット化合物をもとに、新規癌転移抑制薬開発に向けた創薬展開を行うことを目的とする。
令和3年度は、これまで得られたヒット化合物のさらなるブラッシュアップのため、腫瘍微小環境に対する薬剤の効果を評価可能な高次アッセイ系の構築を引き続き行った。エクソソームをはじめとする細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)は腫瘍微小環境制御に関わるとされるが、免疫系細胞が分泌するEVの腫瘍細胞に対する影響について、昨年度確立した蛍光または発光モニタリングシステムを応用することにより検討した。マクロファージ様に分化させたTHP-1細胞から分泌されたEVをサイズ排除クロマトグラフィーを用いて粒子径により分画し、CD9陽性の大型EV(80-300 nm)とCD63/HSP90陽性小型EV(20-200 nm)を得た。蛍光標識したこれらのEVは口腔癌細胞HSC-3に効率的に取り込まれ、口腔癌細胞の生存率を大幅に低下させることが明らかとなった。
以上のことから、マクロファージ様細胞におけるEVの分泌を促進する薬剤は抗がん作用を発揮する可能性が高く、腫瘍微小環境に対する薬剤の効果を検討する上で重要であると考えられた。 -
口腔癌分泌エクソソームを用いた分子標的抗癌剤感受性試験の開発
研究課題/領域番号:19K10288 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
村上 純, 長塚 仁, 河合 穂高, 高畠 清文
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
近年、癌細胞が分泌するエクソソーム顆粒が、癌の転移に重要な役割を果たすことが報告 された。癌細胞から分泌されたエクソソームは、様々な癌関連マイクロRNA等を内包し、細 胞間の情報伝達に関与する。また、エクソソームは血液等の体液にも含まれ、低侵襲な体液 診断の切り札として、大きな注目を浴びつつある。2018年、申請者らは口腔癌においてエク ソソームが分子標的抗癌剤動態へ関与する可能性を報告している。
当該研究の目的は、口腔癌が分泌するエクソソームによるセツキシマブ動態への影響を明ら かにし、エクソソームを利用した簡便かつ低侵襲性の体液診断型分子標的抗癌剤セツキシマブ感受性予測法を開発することである。
本年は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC4、3、2、SAS、Hep2、Ca9-22株)培養上清からPureExo® エクソソーム単離キット(コスモ・バイオ株式会社)にてエクソソームを回収する。マイクロRNA回収にはExoMirTMエキソソームRNA抽出キット(コスモ・バイオ株式会社)を用い、 DNA Chip法(3D-Gene®、東レ株式会社)を用いて口腔癌細胞株特異的マイクロRNAの存在 を網羅的に検討した。 -
癌間質による癌の生物学的性格の制御および癌誘発の検討
研究課題/領域番号:18K09789 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中野 敬介, 長塚 仁, 高畠 清文, 河合 穂高, 江口 傑徳, 辻極 秀次, 志茂 剛
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
本研究の目的は、口腔癌の間質が癌細胞に作用して、癌の生物学的性質を変化させることの検証、および、癌間質が癌の周囲の正常細胞に働きかけて癌化を引き起こす可能性を検証することである。平成30年度では口腔扁平上皮癌細胞株と間質細胞の組合せによる培養、腫瘍間質の違いによる腫瘍細胞の生物学的性格(増殖能、浸潤能、遊走能、形態)に与える影響を検討した。腫瘍細胞株は高浸潤癌:HSC-2、低浸潤癌:SAS、対照細胞: HaCaT細胞を用いた。間質組織は岡山大学病院手術摘出材料から高浸潤癌症例、低浸潤癌症例を選定して用いた。由来の異なる癌間質を癌細胞株と共培養し、また同複合体をマウス皮下に移植した。その結果、腫瘍組織は癌の間質の違いによって大きくその性状を変化させることが示された。培養系を用いた検討では共培養する間質細胞の違いにより癌細胞に対する遊走、増殖能が変化することが明らかになった。癌細胞と間質複合体の移植実験では組織学的および免疫組織化学的検討を行い、癌細胞の増殖と分化の様相が間質細胞によって影響されることが明らかになった。また、移植実験系では当初予想していなかった非常に特殊な間質細胞の動態が明らかになった。この点については今後さらに追及していく予定である。本年度の研究結果は、癌間質が直接的に癌の生物学的性格を調節していることを強く裏付けるものである。この研究結果は癌間質に注目した癌の治療戦略に結び付く非常に重要な成果である。