共同研究・競争的資金等の研究 - 石野 宏和
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超伝導技術と微細構造形成技術の合体による新しいニュートリノ物理学の展開
研究課題/領域番号:21H00077 2021年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
石野 宏和
配分額:7280000円 ( 直接経費:5600000円 、 間接経費:1680000円 )
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2019年04月 - 2021年03月
科学研究費
石野 宏和
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インフレーション探索に向けた半波長板変調式超電導転移端偏光計望遠鏡の開発
研究課題/領域番号:18KK0083 2018年10月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
松村 知岳, 高倉 理, 片山 伸彦, 櫻井 雄基, 石野 宏和
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測はインフレーション由来の原始重力波が生み出すB モード偏光パターンに対して感度を持つ。現在、地上、気球、そして衛星による観測計画が進行中であり、その発見に向けて世界的に熾烈な競争が行われている。本提案では、観測機器の鍵となる偏光変調器と焦点面超電導遷移端検出器を組み合わせた性能評価試験を行うことで、インフレーション仮説の検証実験の実現性を示す。コロナ禍による渡航を伴う研究ができないため、オンラインにて海外との共同研究者と議論を積み重ねることにより共同研究を進めている。
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具体的な成果は以下の通りである。CMB偏光観測のための偏光変調器の開発の一環として、モスアイ微細加工による広帯域反射防止膜の大面積化実証を行った。具体的には 直径300mmの赤外アルミナフィルターを作成し、その両面にモスアイ微細構造をレーザーにて作成した。ミリ波特性として75から105 GHz帯域にて98%以上の透過率を実証した。この赤外アルミナフィルターは天文観測を目的とした米国グリーンバンク望遠鏡に搭載するMUSTANG2レシーバーに搭載することを想定し作成し、世界で初めてレーザーを用いたモスアイ微細加工反射防止機能ミリ波光学素子を低温ミリ波レシーバーに搭載し天文観測をおこなった例となった。この成果は米国ミネソタ大、東京大学の共同研究にて開発を行い、開発を主体的に進めた大学院生が主著者(Takaku et al.)としてOptics Expressに投稿した。また、この成果はプレスリリースとして公開された。また、米国バークレー校およびバークレー国立研究所と協力して100mK環境での超電導遷移端検出器と直流読み出しSQUIDを組み合わせた試験環境を構築した。 -
宇宙マイクロ波背景放射LiteBIRD衛星搭載デジタル信号処理器評価システム開発
研究課題/領域番号:18K03715 2018年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
辻本 匡弘, 石野 宏和
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
宇宙背景放射 (CMB) 偏光の大角度の回転方向異方性には、インフレーション理論が予測する原始重力波の密度分布が刻印されている。これを測定するのが LiteBIRD 衛星計画である。本研究では、同計画で必要となる軌道上信号処理のアルゴリズムを開発した。特に問題となる宇宙線信号の物理モデルを構築して擬似データを作成した。アルゴリズムの妥当性をその擬似データと市販ボードを用いた概念実証機で検証した。
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2017年04月 - 2019年03月
科学研究費
石野 宏和
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2016年04月 - 2018年03月
科学研究費
石野 宏和
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宇宙マイクロ波背景放射の広天域観測で探る加速宇宙と大規模構造
研究課題/領域番号:15H05891 2015年06月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
羽澄 昌史, 片山 伸彦, 長谷川 雅也, 関本 裕太郎, 満田 和久, 石野 宏和
配分額:419770000円 ( 直接経費:322900000円 、 間接経費:96870000円 )
本研究は宇宙マイクロ波背景放射を広域に渡り精密観測し、加速宇宙の本質を実験物理学の立場から探求することを目的とし、二つのプロジェクトを推進した。Simons Array(サイモンズ・アレイ)プロジェクトでは、新しい受信機をチリに移設し、観測を行い、高精度観測の礎を築くことに成功した。もう一つは日本主導の次世代衛星計画LiteBIRD(ライトバード)であり、概念検討と基礎開発を完了した。さらに、本領域の他の計画研究班との共創により、LiteBIRDが宇宙誕生の謎にまつわる新しい発見をもたらした場合の科学的インパクトを明らかにした。
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超伝導光検出器を用いた液体ヘリウムTPCの開発と軽い暗黒物質の探索
2014年04月 - 2019年03月
科学研究費
石野 宏和
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2014年04月 - 2016年03月
科学研究費
石野 宏和
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超伝導検出器とSOIピクセル検出器を合体させた新規暗黒物質探索用検出器の開発
2014年04月 - 2016年03月
科学研究費
石野 宏和
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中性子同時計測を用いた超新星ニュートリノ観測
研究課題/領域番号:26000003 2014年 - 2019年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究
中畑 雅行, 小汐 由介, 岸本 康宏, ヴァギンズ マーク, 池田 一得, 中島 康博, 竹内 康雄, 作田 誠, 石野 宏和, マルチマグロ ジュイス, スミー ミハエル, ラバルガ ルイス
配分額:589420000円 ( 直接経費:453400000円 、 間接経費:136020000円 )
本研究では、スーパーカミオカンデ(SK)にガドリニウム(Gd)を導入して中性子を同時計測することにより、宇宙の初期から起きてきた超新星爆発によって蓄積されたニュートリノ(超新星背景ニュートリノ)の世界初観測を目指す。そのために、2018年度にSKタンクを改修してタンクの水漏れを止めるとともに、Gd溶解装置及びGdを含んだ水を循環・純化する装置を製作・設置した。また、放射性不純物の少ないGd_2(SO_4)_3の製造もおこなった。これらにより、2020年春より0.01%の濃度でGdを導入し、50%の中性子捕獲効率で観測を開始することができるようになった。
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2012年04月 - 2014年03月
科学研究費
石野 宏和
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研究課題/領域番号:22684009 2010年04月 - 2013年03月
日本学術振興会 科学研究費 若手研究(A)
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:25610000円 ( 直接経費:19700000円 、 間接経費:5910000円 )
ニュートリノは素粒子の一種でその性質は未だ謎で、その絶対質量さえ測定されていない。本研究では超伝導検出器を用いてニュートリノの質量を測定する野心的な研究を行うことを目的とする。超伝導検出器として超伝導結合素子と力学的インダクタンス検出器の開発を行った。前者は実機で測定したところ検出効率が予想より悪いことが分かった。一方で後者は、高い効率でフォノン信号を検出したが、精密なエネルギー測定にはより深い検出器の解釈が必要であることがわかった。
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超伝導技術を利用したトリチウム崩壊ニュートリノ質量測定用新式検出器の開発
研究課題/領域番号:22654028 2010年04月 - 2012年03月
日本学術振興会 科学研究費 挑戦的萌芽研究
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3160000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:360000円 )
トリチウム崩壊におけるベータ線と反跳原子核のエネルギーを精度良く測定するために、超伝導検出器であるMKID(Microwave Kinetic Inductance Detector)の開発を行った。当初、大きな立体角を持つマイクロストリップ型のMKIDの開発を行ったが、本研究に必要な性能を満たす検出器を作製できなかった。詳細な研究の結果、絶縁層(SiO_2, Al_2O_3等)の誘電損失が原因であることがわかった。そこで、CPW(Coplanar waveguide)型で作製したところ、性能の良いMKIDの作製に成功し、可視光の照射による反応を確認した。
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初期宇宙探査のための超高感度アレイデバイスの研究開発
研究課題/領域番号:21111003 2009年07月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
大谷 知行, 関本 裕太郎, 石野 宏和, 田島 治, 岡村 崇弘, 樋口 岳雄, 都丸 隆行, 美馬 覚, 有吉 誠一郎, 野口 卓, 鵜沢 佳徳, 唐津 謙一, 吉田 光宏, 服部 香里, 岐部 佳朗, 古川 昇, 成瀬 雅人
配分額:539500000円 ( 直接経費:415000000円 、 間接経費:124500000円 )
CMB、CIRB観測用1,000画素クラス超伝導アレイ検出器開発を目指し、STJ検出器開発から開始したが、並行してMKIDs検出器を国内で初めて開発し、より良い感度とアレイ読み出しに成功した。そこでMKIDs検出器開発を進め、600素子アレイ(歩留まり95%)、720素子Siレンズ、無反射コート、4000 ch信号読み出しシステムを新規開発した。そして、電気的な雑音等価電力6e-18 W/√Hz、偏光に対する実測の雑音等価温度190 μK√sec(世界最高値)を達成した。また、CIRB用512素子アレイ、汎用FPGAを用いた読み出しシステム、GroundBIRD実験の開発を進めた。
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超新星背景ニュートリノの探索
研究課題/領域番号:21224004 2009年05月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
中畑 雅行, 作田 誠, 石野 宏和, ヴァギンズ マーク, 竹内 康雄, 小汐 由介, 竹田 敦, 関谷 洋之
配分額:207870000円 ( 直接経費:159900000円 、 間接経費:47970000円 )
本研究の目的は、宇宙の初めから起きてきた超新星爆発からのニュートリノ(Supernova Relic Neutrino(SRN))を捉えるための開発研究である。SRNを捉えるにはスーパーカミオカンデ(SK)にガドリニウムを溶解させて反ニュートリノが反応した際に放出される陽電子と中性子を同時計測する必要がある。本研究ではSKを模擬したテストタンクを建設し、ガドリニウムを溶解し、水の透過率の測定、ガドリニウムを保持したまま水を純化させる方法の開発、放射性不純物の測定とその除去方法の開発をおこなった。
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研究課題/領域番号:20039003 2008年04月 - 2010年03月
日本学術振興会 科学研究費 特定領域研究
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2000000円 ( 直接経費:2000000円 )
Bファクトリー実験において、bクォークからdクォークへの遷移における新物理の探索を行うことがこの研究のである。研究代表者は、Bファクトリー実験(Belle実験)において、CPの破れの解析グループの元リーダーの一人として、CPの破れの測定から標準模型を超える物理の探索を行ってきた。アクティビティーとしては主に二つあり、一つはbクォークがsクォークへ遷移するときのCPの破れと、bクォークがuクォークへ遷移するときの分岐比及びCPの破れの測定である。両者は、本研究課題であるbからdクォークへの遷移の解析において、解析方法・物理的意義としての基盤を与える。前者の解析では、BO→KOpiOの解析の推進を行っていて、2010年に論文出版の運びとなった。後者については、B中間子がa1piという粒子に崩壊する過程において、海外の研究者(J.Dalseno, Max-Planck-Institute)と連絡を取り合いながら、進めていた。特に、a1粒子の解析方法についての取り扱いなどについて意見交換を行っていた。また、奈良女子大学准教授宮林謙吉氏を岡山大学にお招きし、Bファクトリー実験の現状と将来についての講演をして頂き、解析グループの現状や今後の指針などについて、意見交換を行った。また、国内・海外の研究者らと協力して、次期Bファクトリー実験(Belle II)で期待される物理についての論文(arXive:1002.5012)の一部の執筆を行った。特に、本研究課題と密接に関連するCPを破る位相φ2測定の部分について重点的に研究を行い、Belle II実験で得られるφ2の測定精度についての評価を行った。結果、その精度は約1度と見積もられた。これは、強い相互作用・電磁相互作用から来る理論的不定性と同レベルで、Belle II実験は小林・益川行列パラメータを究極の精度で求めることができ、なおかつ新物理にも十分感度を持つ実験であることが示せた。
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フレーバー物理研究のためのガンマ線電子対生成を用いた位置偏光検出器の研究
研究課題/領域番号:19740132 2007年04月 - 2009年03月
日本学術振興会 科学研究費 若手研究(B)
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3780000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:480000円 )
本研究では、高輝度Bファクトリー実験において、ガンマ線が検出器中で対生成を起こす現象を利用して、クォーク間相互作用の研究方法に新しい測定手順を展開することを目指した。まず、中性B中間子が二つのπ0中間子に崩壊する過程において、対生成現象を利用して時間に依存するCPの破れを測定する方法を開発した。またB中間子がK*とγに崩壊する過程から標準模型を超える物理に対する制限を得るための条件を得た。SIO 技術を用いた新しい検出器の読み出しシステムの準備をおこなった。
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SoI技術を用いたピクセルセンサーの開発
研究課題/領域番号:18204027 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
坪山 透, 新井 康夫, 海野 義信, 羽澄 昌史, 池田 博一, 石野 宏和
配分額:35620000円 ( 直接経費:27400000円 、 間接経費:8220000円 )
SOI(silicon on insulator)はシリコンウエファ上にシリコン酸化膜を形成し、その上にCMOS回路を集積する半導体技術である。ウエファに高抵抗シリコンを用いPN接合を形成すると放射線がウエファ中に落とした信号を電気的に取り出すことが可能になる。その信号を酸化膜上部のCMOS回路で処理することで、粒子測定用ピクセルセンサーを開発することが本研究の目的である。半導体プロセスには(株)沖電気のIC量産ラインを用いることで、製造プロセスの信頼性と継続性を高めた。
平成18年には128x128ピクセルをもつピクセルセンサーおよび試験用チップを試作した。このセンサーを用いて、パルスレーザ光への高い感度が確認され、続いて行ったB線試験でも信号が確認された。またTCADシミュレーションを行い「不純物打ち込みエネルギーが高いほどブレークダウン耐性が向上する」という予想を得た。それに従って打ち込みエネルギーを変えたところ、予想通りの効果があり、試験チップではブレークダウン電圧が40Vから60Vに改善した。またSOICMOS回路の耐放射線性の試験の結果、CMOSトランジスタがガンマ線60MRadの照射後もウエファに補正電圧を与えることで動作可能であった。またピクセル読み出し回路にした場合も30MRadまで入力信号に対する応答があった。現在計画されているSuper KEKBのピクセルセンサーとしても使用可能なデバイスと考えられる。平成19年にはこれらの知見に基づきSuper B factoryでの使用を考慮したpixel sensorの設計・製造を行った。評価は始まったところであるが、IV特性などの静特性は良好だった。引き続き動的な特性を測るための試験を行う予定である。 -
弱い相互作用の高次効果のみが寄与するB中間子崩壊過程でのCP非保存の研究
研究課題/領域番号:16740136 2004年04月 - 2006年03月
日本学術振興会 科学研究費 若手研究(B)
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2900000円 ( 直接経費:2900000円 )
素粒子の標準模型の枠内では、CPの破れは小林・益川(KM)理論により説明できるとされている。本研究では高エネルギー加速器研究機構で行われているBelle実験において、B中間子の崩壊過程を詳しく調べることにより、KM理論を検証することを目的とする。
B中間子が二つの荷電π中間子に崩壊する過程は、弱い相互作用の1次の効果(bクォークがuクォークに遷移するツリー過程)と、Wゲージボソンがループをつくる2次の効果(bクォークがdクォークに遷移するペンギン過程、またはFlavor Changing Neutral Current)の両方が寄与すると考えられている。この結果、B中間子と反B中間子が二つの荷電π中間子に崩壊する確率が異なる直接的CPの破れが現れるかもしれない。本研究で直接的CPの破れの大きさを測ったところ、4σの有意性でCPが破れていることがわかり、b→d遷移のFCNCが存在することを世界で初めてつきとめた。中性B中問子の混合過程でのCPの破れを予言する理論はスーパーウィーク理論のようにKM理論以外にも存在したが、直接的CPの破れはKM理論特有の予言である。この研究により、少なくともスーパーウィーク理論は排除することができた。
KM理論は3×3のユニタリー行列を導入し、それは一つの複素位相を含んでいる。したがって、複素平面上で行列要素の関係を示すと三角形になる。このユニタリー三角形の内角と辺の長さを測ることにより、KM理論をさらに詳しく検証することができる。本研究では、上記のB→π^+π^-崩壊に加えてB→ρ^+ρ^-崩壊を用いて、三角形の頂角φ_2を測定した。その結果φ_2=93±12度を得た。他の角度や辺の長さからφ_2=97±15度と予想でき、二つの独立な測定は一致することが確かめられ、KM行列を10%強の精度で検証することができた。 -
B中間子のFCNC崩壊過程における混合に起因するCP非保存の研究
研究課題/領域番号:16340069 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
渡邊 靖志, 石野 宏和
配分額:16400000円 ( 直接経費:16400000円 )
本研究の目的は、B中間子のFCNC(Flavor Changing Neutral Current)崩壊過程に注目し、いろいろな崩壊モードにおいてCP非対称性を測定し、標準理論の予言値と比較することによって標準理論を超える理論に迫ることであった。FCNC崩壊過程ではループダイヤグラムが支配的であることから、標準理論を超える粒子等の寄与に敏感であり、その寄与はCP非保存パラメータを大きく変える可能性が高い。その比較のためには、まずCP非保存パラメータを標準崩壊モードで精度良く測定しておく必要がある。本研究では、まずCP非保存パラメータφ2をB→π+π-、ρπ、ρρの崩壊モードを解析して精度よく測定することに集中した。そして約10%の精度で求めることに成功した。95%信頼度で決定したその値(97±11)°は、標準理論の小林・益川機構によるものと矛盾しないものだった。しかしながら、FCNC崩壊過程での測定については、本研究グループとしては十分解析できるまでには至れなかったことは残念である。しかしながら、Belleグループの他の研究グループと共同でそれらの解析に間接的に関わり、議論や論文化を通じて貢献した。
素粒子物理学における標準理論は1970年代半ばに定式化された。自然界に存在する4つの力のうち重力を除く3つの力を記述する強力で美しい理論である。CP非保存については、1973年に提唱された小林・益川機構により自然に標準理論の枠組みに組み込まれた。しかし、その実験的検証は困難であった。1999年から稼働を始めたKEKB加速器は世界一の輝度を誇り、Belle実験は現在まで順調にルミノシティを溜めて800fb-1に達し本研究のような検証を可能にした。 -
Bファクトリーを用いた質量起源の探求
研究課題/領域番号:14046101 2002年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
相原 博昭, 羽澄 昌史, 石野 宏和, 角野 秀一, 岩崎 昌子, 幅 淳二
配分額:200900000円 ( 直接経費:200900000円 )
1)bクォークのsクォークを含む終状態へ崩壊する過程である、3億8千6百万のB・反B中間子対から、B中間子がファイ中間子とKs6中間子、およびイータプライム中間子とKs中間子とに崩壊する反応を選び出し、それらのCP非対称を測定した。その結果、それらのCP非対称度の値が標準理論から期待される値からずれている可能性を得た。この結果は、標準理論を超える新しい物理につながる可能性があり、より一層の統計精度の向上が望まれる。
2)B中間子が荷電パイ中間子対に崩壊する過程のCP非対称の測定の統計精度を高め、直接的CP対称性の破れについての信頼度を高めた。2億7千5百万のB・反B中間子対の解析から得られた直接的CP非対称の大きさA=0.56+-0.12+-0.06は、この反応における直接的CPの破れを4σの統計的有意さで示している。
3)B中間子がストレンジネスを含むハドロンとレプトン対(電子・陽電子またはミューオン・反ミューオン)へ崩壊する電弱崩壊の精密測定を進めた。1億5千2百万のB・反B中間子対を解析することによって、その分岐比を(4.11+-0.83+0.85-0.81)×10^<-6>と決定した。この値を使って、いくつかの超対称性モデルに制限を与えることができる。さらに、B中間子がK*中間子とレプトン対に崩壊する反応のレプトンの角分布を測定し、角分布に前方後方非対称があることを世界で初めて示した。また、反応のWilson係数を決定し、新物理のモデルにも制限を与えた。 -
研究課題/領域番号:13740148 2001年04月 - 2003年03月
日本学術振興会 科学研究費 若手研究(B)
石野 宏和
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
B中間子を用いて物質と反物質の非対称性(CP非保存)を研究する実験(Belle実験)において、バックグランドをより多く落しB中間子のデータを効率良く取得するトリガーを開発中である。
平成15年度夏にBelle実験では新しいシリコンバーテックス検出器(SVD)を導入する予定である。新しいSVDは現行SVDに比べてシリコン検出器ストリップからのシグナルを直接波高弁別器にいれる機能を持っている。B中間子はある特定の位置範囲(4cm程度)のみに生成されるが、バックグランドは広範な範囲(20cm程度)から生成されるので、波高弁別器のアウトプットと検出器の位置の組合せにより、ある事象の生成位置を精度良く(2,3cm程度)しかも事象発生直後(長くても1μ秒以下)に求めることができる。
今年度は、次期SVDの組み立て、読みだし回路の開発をほぼ終えて、トリガーシグナルを生成するチップ(VA1TAチップ)の性能評価を行なった。VA1TAチップは内部に多数のパラメータ(プリアンプのシェーピングタイム、シェイパーバイアス、グローバル閾値等約10種類)を持っている。我々はそれらのパラメータを動かしてトリガー生成に最適な条件を見つけ出すのに多大な時間を費やした。思考錯誤の上、安定に動作できる閾値を約8000電子強(シリコン検出器を荷電粒子が通り抜けるときに生成する電子・ホールペアー数の平均の約1/3に相当する)まで下げることができた。この閾値はトリガー生成には十分に低い値である。また、β線をシリコン検出器にあててトリガー効率の測定を行なった。その結果期待通り90%以上の効率を得る事がわかった。今後はこれらのトリガー信号を組み合わせて事象位置を素早く求めるロジックの開発を行なう。 -
CP非保存パラメータφ_2の測定
研究課題/領域番号:13440074 2001年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
渡邊 靖志, 石野 宏和, 鈴木 聡
配分額:13200000円 ( 直接経費:13200000円 )
本研究では,CP非保存パラメータφ_2の測定を目指していろいろな崩壊モードを解析した。実験は,つくばのBファクトリー加速器KEKBとBelle粒子検出器を用いて行った。KEKB加速器はデザインルミノシティ10^<34>cm^<-2>s^<-1>を2003年5月に達成し、その後も順調に記録を塗り替え、現在も世界一のルミノシティを誇っている。Belle実験は、2003年夏にシリコンバーテックス検出器を無事アップグレードし、現在さらにデータを蓄積中である。
本研究課題であるφ_2測定については、B^0(反B^0)中間子がπ^+π^-に崩壊するモードの統計を、2002年夏までの78fb^<-1>からほぼ4倍の253fb^<-1>(2004年夏現在)に増やし、CP非対称パラメータであるA_<ππ>とS_<ππ>について、次の結果を得た。
A_<ππ>=+0.56±0.12(統計)±0.06(系統)、S_<ππ>=-0.67±0.16(統計)±0.06(系統)
すなわち、J/ψK崩壊モードでのCP非保存の発見に続いてこの崩壊モードでもCP非保存を確認するとともに、A_<ππ>が有意に0から離れていることから、初めて直接的CPの破れを強く示唆する重要な結果を得た(>4σ)。同時に所期の目的φ_2の測定についても、アイソスピンの関係などを用いてその領域を制限することができた。この結果が他の間接的な総合結果と一致することから、標準理論の要めである小林・益川機構の正しさを支持する結果であると言える。
当グループは、上記の解析を主体的に行うとともに、φ_2の測定に向けてa_1πの崩壊モードを探索し,まずは分岐比を測定することができた。また,購入した計算機ファームをフル回転して大量のモンテカルロデータを分担生成した。さらに,崩壊粒子の親がB^0中間子なのか,それとも反B^0中間子なのかを高い効率で判定する方法,および,コンティニュームをさらに効率よく抑制するさらに改善された方法を考案するなど、全体の解析にも貢献した。ハード面では、アップグレードされたバーテックス検出器において、初めてその信号をトリガーに組み込む作業、および,その性能向上等でも大きく貢献した。 -
つくば・神岡間長基線ニュートリノ振動実験におけるニュートリノの質量の研究
研究課題/領域番号:99J00222 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
石野 宏和
配分額:1500000円 ( 直接経費:1500000円 )
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スーパー神岡実験における過去の超新星爆発で生じた残在ニュートリノの研究
研究課題/領域番号:97J07355 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
石野 宏和
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )