共同研究・競争的資金等の研究 - 大森 一弘
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口腔疾患(歯周病)と子宮の連関に着目した新規不妊標的因子の探索
研究課題/領域番号:24K22249 2024年06月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
大森 一弘, 中山 真彰, 大原 利章, 萬代 大樹
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
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歯周病細菌主要病原因子ジンジパインの宿主直接作用と必須新奇オペロンの解明
研究課題/領域番号:24K02614 2024年04月 - 2028年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
大原 直也, 中山 真彰, 大森 一弘, 佐藤 啓子, 大原 直子, 武部 克希
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
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歯周感染・炎症が導く口腔ー子宮連関による新規不妊メカニズムの解明
研究課題/領域番号:23K27773 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
大森 一弘, 中山 真彰, 大原 利章, 萬代 大樹
配分額:12090000円 ( 直接経費:9300000円 、 間接経費:2790000円 )
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歯周感染・炎症が導く口腔ー子宮連関による新規不妊メカニズムの解明
研究課題/領域番号:23H03083 2023年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
大森 一弘, 中山 真彰, 大原 利章, 萬代 大樹
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
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がん化学療法に伴う口腔粘膜炎発症患者に対する新規口腔粘膜保護法の有効性および安全性を検討する臨床試験の実施
研究課題/領域番号:22718358 2022年10月 - 2025年03月
日本医療研究開発機構 令和4年度革新的がん医療実用化研究事業(5-3)アンメットメディカルニーズに応える支持・緩和医療の開発に関する研究
大森 一弘, 高柴 正悟, 伊東 孝, 吉田 道弘, 堀田 勝幸, 田端 雅弘, 伊原木 聰一郎
担当区分:研究代表者
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歯周病が胎盤・胎児の成長発育を阻害する分子メカニズムの解明
研究課題/領域番号:22H03511 2022年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
岡村 裕彦, 十川 千春, 江口 傑徳, 大森 一弘, 福原 瑶子, 池亀 美華
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歯周病菌が産生するプロテアーゼによる宿主細胞応答撹乱と歯周組織破壊の分子理解
研究課題/領域番号:21K09842 2021年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
中山 真彰, 大森 一弘, 大原 直也
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
本研究の目的は,「歯周病原細菌と宿主細胞間で起こる感染現象の分子基盤を細胞・分子生物学的アプローチにより構築し,歯周病菌が産生する病原性プロテ アーゼの機能解析を行ない、歯周病の発症機序を解明する」ことである。本申請研究では歯周病細菌の感染による歯周病発症と病態形成機序を解明するために、 歯周病細菌Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)が産生する病原因子であるプロテアーゼ「ジンジパイン」に着目し、宿主細胞の主要なシグナル伝達経路 の撹乱機構を中心に分子解析を行なう。これまでの研究では、歯周病の発症におけるジンジパインの役割を調べるために、ジンジパイン完全欠損株とその野生株 を用いた感染実験による比較解析を行ない、歯周組織の炎症で発現がみられるCOX-2やPGE2の産生について調べた。P. gingivalisのLPSや線毛がCOX-2発現や PGE2産生に関与することは知られていたが、ジンジパインが発現誘導に関わる因子であることは報告がなかった。我々の結果から、本菌が産生するジンジパイン はLPSや線毛よりも強くCOX-2発現やPGE2産生を誘導することを明らかにした。またジンジパインによるCOX-2発現の分子機序について宿主細胞応答を調べたとこ ろ、ERKとIKKの2つのシグナル伝達経路の活性化とそれぞれ転写因子c-Jun/c-FosとNF-kBp65の活性化が重要であることを示し、さらには細胞内カルシウムの重要性も明らかにした。今後は、COX-2発現と PGE2産生 に繋がる上流因子の分子解析を行ない、ジンジパインが作用する細胞膜上の入り口となる因子の解析を行なう。
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がん化学療法に伴う口腔粘膜炎の疼痛緩和・発症制御を目指す 新規口腔粘膜保護材の開発
研究課題/領域番号:20333757 2020年08月 - 2022年03月
日本医療研究開発機構 橋渡し研究戦略的推進プログラム・シーズB
大森 一弘, 高柴正悟, 入江 正郎, 堀綾花, 吉田道弘, 堀田勝幸, 本田成道, 小里達也, 山本裕也, 高木智久, 二村優次
担当区分:研究代表者
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歯周病原細菌の感染とタンパク質シトルリン化を介する関節リウマチの病態解明
研究課題/領域番号:20K09954 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
畑中 加珠, 大森 一弘, 高柴 正悟
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究は、関節リウマチとその類似疾患患者を対象に、シトルリン化に関与する歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価を調べることによって、歯周病原細菌の感染と関節リウマチの病態との関連を明らかにすることを目的としている。
抗シトルリン化蛋白抗体陽性を特徴とする関節リウマチとその類似疾患で抗シトルリン化蛋白抗体陰性であるリウマチ性多発筋痛症の患者を対象とした。研究協力者である小山芳伸医師から岡山赤十字病院 膠原病患者の「検体バンク」に保存されている関節リウマチおよびリウマチ性多発筋痛症患者142名の初発時(治療前)の血清の提供を受けた。シトルリン化の関与が報告されているPorphyromonas gingivalis(Pg)およびAggregatibacter actinomycetemcomitansを含む歯周病原細菌9菌種13菌株に対する血清IgG抗体価の測定を行った。なお、既に岡山大学および岡山赤十字病院の倫理審査委員会の承認は得ている。
抗シトルリン化蛋白抗体陽性群と陰性群で歯周病原細菌に対する血清抗体価の違いを検討したところ、陽性群とりわけ高値陽性群は陰性群と比較してPgに対する血清抗体価が高い結果となった。また、関節リウマチ患者群とリウマチ性多発筋痛症患者群とで血清抗体価を比較したところ、リウマチ患者の方がPgに対する血清抗体価が高い傾向がみられた。さらに、関節リウマチ患者に絞って、疾患活動性や治療反応性と血清抗体価との関連についても検討予定である。 -
APPLICATION OF RvD2 AS A REGENERATIVE DIRECT PULP CAPPING MATERIAL
研究課題/領域番号:20K09938 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
アリアス・マルティネス スレマ・ロサリア, 大森 一弘, 山城 圭介, 高柴 正悟
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
Vital pulp therapy (VPT)’s goal is to stimulate dentin regeneration after pulp injury. The known VPT materials have issues about operability and biocompatibility. Because the best replacement tissue is the one produced by a self-defense mechanism, we target resolvin D2 (RVD2), an anti-inflammatory lipid mediator that acts at the resolution stage of inflammation. RVD2 is produced by macrophages, endothelial cells, and dental pulp stem cells. We reported that RVD2 resolves apical periodontitis promoting healing of the periapical bone lesion. RVD2 also has analgesic, angiogenesis, and bacterial clearance effects. Thus, our hypothesis is that RVD2 being a cell-produced bioactive molecule will fulfill the expectations of the “ideal” VPT material. The aim of this study in this year is to evaluate RVD2 as a VPT material. A pulpotomy in vivo model was applied using SD 8 weeks old rats. After removing coronal pulp, 4 different reagents RDV2 (1 and 10 ng/ul), PBS and Ca (OH)2 were applied into the root’s pulp. 2, 4 and 6 weeks later simple CT, micro-CT images, histological and immunohistochemistry analysis were done. Calcified tissue was observed on simple CT and micro-CT images in RVD2 and CA(OH)2 groups. H&E and Masson trichrome staining confirmed the presence of dentin regeneration in those groups. No apical periodontitis was observed in any group. Immunohistochemistry revealed the presence of GPR18 in RVD2 groups. RVD2 may promote calcified tissue formation in VPT by stimulating dentin regeneration. We need to clarify a possibility that RVD2 would be a new candidate for VPT.
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超高齢社会での応用を目指す低分子化合物terreinの標的分子の同定・機能解析
研究課題/領域番号:19K10108 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大森 一弘, 中山 真彰, 竹内 恒, 高柴 正悟, 萬代 大樹
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
超高齢社会を迎えた我が国において,食生活を司る口腔機能を維持することは健康寿命を延伸する上で必須である。一方,8020達成率が50%を超えた現代において,高齢者の口腔内に存在する歯自体が感染源となり,口腔疾患の罹患率が上昇する新たな問題が生じている。 そのため,安全・簡便に応用できる新規口腔治療法の開発が社会的に望まれる。申請者らの研究グループは,抗菌・抗炎症作用を有する一方,極めて細胞毒性が低い真菌由来代謝産物terreinに着目し,1) 有機化学的大量合成経路の確立,2)抗IL-6効果,3)破骨細胞分化抑制効果等を報告した。しかし,terreinの作用機序(標的分子)は未だ不明であり,terreinの有益 性を検証する上で標的分子の同定は必要不可欠である。本研究では,様々な薬理作用を期待できる低分子化合物terreinの標的分子を同定し,歯内・歯周疾患モ デルを用いた機能解析を行い,terreinの新たな口腔治療薬(治療法)としての可能性を検証することを目的としている。本年度は,terreinの破骨細胞分化抑制 メカニズムの一端として、RANKL誘導性のNFATc1の発現を抑制するメカニズムの一端を解明し,報告した。従来考えていたRANKL刺激時に誘導されるNF-kB経路、 MAPKs経路に影響を与えず、PKC経路を抑制することによって破骨細胞分化を制御する可能性が示唆された。今後,terreinの標的分子をさらに同定していくにあたり,候補分子(経路)を絞り込む上で有用な結果が得られたと判断する。
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歯周病細菌が産生するプロテアーゼによる歯周組織破壊機構の解明
研究課題/領域番号:17K11668 2017年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
中山 真彰, 大森 一弘, 後藤 和義, 大原 直也
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
本研究の目的であるPorphyromonas gingivalisが産生するプロテアーゼ「ジンジパイン」の宿主細胞に対する作用機序を調べ、歯周病発症メカニズムの解明および歯周病関連疾患との関連性について、ジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生の作用解析を中心に研究を行なった。細胞内カルシウムシグナルの関与を調べるために、細胞内のカルシウム濃度を上昇させるイオノマイシンやカルシウムキレート剤であるBAPTA-AMやカルシウムチャネル阻害剤などを用いて検討した。その結果、細胞内のカルシウム濃度の上昇に応じてCOX-2発現/PGE2産生は増加し、細胞内カルシウム濃度を減少させる試薬の使用により、COX-2発現/PGE2産生は減少した。また細胞内カルシウム貯蔵に重要な器官である小胞体に存在するカルシウムチャネルの阻害剤であるThapsigardinの使用では、イオノマイシンと同様にCOX-2発現/PGE2産生は増加した。これは貯蔵するためのチャネルを阻害したことによる細胞内カルシウム濃度の上昇により、COX-2発現/PGE2産生の増加につながったと思われる。このカルシウムの濃度上昇は、ジンジパインの作用により細胞外からカルシウムが流入したと思われ、細胞内カルシウムの濃度上昇を下げるように働く細胞内カルシウムチャネルがThapsigardinにより阻害されたことで細胞内カルシウムの上昇にも繋がっており、Thapsigardin使用時より一層
COX-2発現/PGE2産生の増加に繋がったと考えられた。したがって、ジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生において、細胞内カルシウムは重要な役割があることが示された。 -
抗炎症性低分子化合物terreinおよびその類縁体の歯内歯周疾患治療への応用
研究課題/領域番号:16K11549 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
大森 一弘, 中山 真彰, 高柴 正悟, 萬代 大樹
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では,抗炎症性低分子化合物terreinの炎症性骨吸収疾患(特に歯内・歯周疾患)に対する治療薬としての可能性を検討した。 その研究成果として,①新規terrein類縁体の合成に成功,破骨細胞分化抑制効果を確認した,②terreinの細胞内標的分子の一つとしてJAK1のタンパク質リン酸化を抑制することを確認した,③絹糸結紮歯周病マウスモデルにおいてterreinを腹腔投与すると有意に歯槽骨の吸収を抑制することを確認,炎症性細胞の上皮下への浸潤を抑制することを確認した。以上の結果から,低分子化合物terreinの歯内歯周疾患治療薬として応用できる可能性が示唆された。
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カベオリン-1を標的とした結合組織における炎症の抑制制御
研究課題/領域番号:15K20622 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
冨川 知子, 大森 一弘, 後藤 絢香, 伊東 有希, 中村 亜里紗, 河村 麻理
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
IL-6は歯周病の炎症病態を増悪させるサイトカインである。本研究では,マウス微弱炎症モデルを作成した結果,血清中IL- 6濃度が上昇し,血清中カテプシンBとLの濃度が上昇することが明らかになった。臨床的検討では,歯肉炎患者群において,他群と比較した場合,血清中のカテプシンBの活性は高くなる傾向がみられた。 以上から,IL-6によって増悪した歯周炎症には,カテプシンBが関与しており,またカテプシンBは歯肉炎のような結合組織における炎症の段階において 最も関与していることが示唆された。将来,歯周病悪化を抑制制御し得る,また疾患の早期発見に寄与し得る可能性があると考えられる。
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歯周炎・糖尿病・リウマチの共通リスクサイトカイン遺伝子の解明
研究課題/領域番号:25253104 2013年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
吉江 弘正, 高柴 正悟, 永田 俊彦, 三谷 章雄, 石原 裕一, 小林 哲夫, 木戸 淳一, 大森 一弘, 前田 博史, 野口 俊英
配分額:44980000円 ( 直接経費:34600000円 、 間接経費:10380000円 )
本研究の目的は、歯周炎、糖尿病(DM)、関節リウマチ(RA)の共通リスクサイトカイン遺伝子を特定することである。慢性歯周炎(CP)併発RA185名、CP併発2型DM 149名、CP 251名、健常130名を対象に17遺伝子多型を解析した結果、2つの多型(KCNQ1 rs2237892、PADI4_104 rs174803)がCP・RA併発に有意に関連した。また、CP併発RA群ではCP非併発RA群と比べ環状シトルリン化ペプチドに対する血清抗体価が高い傾向にあることを認めた。以上から、KCNQ1とPADI4が日本人のRA・CPの共通リスク遺伝子となる可能性が示唆された。
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根尖性歯周炎に対するIL-1α/ラミニンを用いた新規治療法の開発
研究課題/領域番号:25861801 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
大森 一弘
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
根尖性歯周炎の治癒機序は未だ不明な点が多い。本研究は,根尖病巣治癒期に発現が亢進するIL-1αとラミニンの動態に着目し,根尖部歯周組織の再生におけるIL-1αとラミニンの相互作用を検討した。MC3T3-E1細胞において,IL-1αとラミニンはFAKおよびMAPKsのリン酸化を亢進し,骨分化マーカであるtype1 collagenのmRNA発現を亢進した。ラット歯内疾患モデルに分子イメージング技術を応用し,根尖部炎症の可視化と定量化する手法を確立した。以上の結果から,IL-1αおよびラミニンの相互作用が根尖部歯周組織の再生に寄与し,歯内疾患研究における分子イメージング技術の有用性が示唆された。
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唾液腺体性幹細胞とiPS細胞を用いた唾液腺機能再生に関する研究
研究課題/領域番号:25463217 2013年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
峯柴 淳二, 大森 一弘, 山本 直史, 高柴 正悟
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
【研究の目的】唾液は,口腔感染制御を含めて口腔内環境を保つ重要な働きを持つ。しかし唾液を分泌する唾液腺は,自己再生能が低く,障害後の機能回復は難しい。我々は,CD49F+細胞がin vitroではINHIBIN βA,INHIBIN βB,FOLLISTATINを発現することを報告している。INHIBINのβ鎖はホモ二量体を構成し,ACTIVIN分子と成る。一方FOLLISTATINは,ACTIVINに特異的に結合し,その受容体への結合を阻害する。本研究は,マウス顎下腺の主排泄導管を結紮後に解除すると顎下腺が再生することを利用し,in vivoにおいて唾液腺組織再生中のCD49F,INHIBIN βA,INHIBIN βB,そしてFOLLISTATINの発現局在の解明を目的とした。
【研究実施計画および結果】
マウス顎下腺の片側の排泄導管を血管結紮用クリップで結紮,他方は対照とし,6日後に結紮を解除した。結紮解除1,2,4,8,16日後の顎下腺を摘出し,パラフィン包埋切片作製の後,INHIBIN βA,INHIBIN βB,CD49FそしてFOLLISTATINの局在を免疫組織染色法で検討した。その結果,結紮解除後のどの日数でもINHIBIN βAは染色されず,INHIBIN βBとCD49fは染色された。また,結紮解除後8日目にはFOLLISTATINが染色された。さらに連続切片上で,CD49F,INHIBIN βB,そしてFOLLISTATINが同部位で染色された。以上から,結紮解除後8日目以降の唾液腺組織再生に,CD49F+細胞でのactivin-follistatin相互作用の関与を想定できる。
以上から本研究を行った結果,マウス顎下腺主排泄導管結紮解除後8日目の導管上皮細胞で,CD49F,INHIBIN βB,FOLLISTATINが発現していることが解明された。 -
前立腺癌の臓器転移に及ぼす歯周感染病巣の影響に関する基礎的研究
研究課題/領域番号:22592312 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
谷本 一郎, 渡部 昌実, 成石 浩司, 峯柴 淳二, 大森 一弘, 高柴 正悟
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
歯周病という慢性炎症において局所で繰り返す細菌感染は,感染局所と全身において,全く逆の生体反応をもたらすことがわかった。微細な感染を繰り返すことは,たとえば敗血症になるような多量の細菌感染から,あらかじめ全身を守ることにつながっていると考えられる。慢性炎症がもたらす全身的な生体反応制御が,感染以外のがん転移という侵襲に対しても影響を及ぼしているかもしれない。
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TACE-Timp3を標的とした糖尿病患者における歯周病悪化機序の解明
研究課題/領域番号:22792083 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
大森 一弘
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
血糖コントロールが悪い糖尿病患者の歯周病は重篤化しやすいことが知られている。本研究において,高血糖状態で培養した歯肉線維芽細胞における TACE の活性および MMP-3 の産生が亢進した。さらにマクロファージ様細胞株 THP-1 において,リコンビナント活性型 MMP-3 を作用させると可溶型 IL-6 受容体(sIL-6R)の産生が有意に亢進した。以上の結果から,高血糖状態による TACE の活性亢進および MMP-3 の産生亢進は膜タンパクのシェディングを亢進し,糖尿病患者における炎症の重篤化に関与する可能性が示唆された。さらに,高血糖状態における歯肉線維芽細胞およびマクロファージ等の炎症性細胞との相互作用が IL-6シグナル伝達系の活性化に影響を与える可能性が示唆された。
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HMGB1ーRAGEシグナル系を標的とした糖尿病患者における炎症悪化機序の解明
研究課題/領域番号:21890150 2009年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
大森 一弘
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
本研究の最終目標は,糖尿病患者に頻発する歯周病悪化メカニズムを解明して,糖尿病-歯周病の相互作用の病態理論を構築することである。本研究においては,歯周組織の構築細胞の一つである歯肉線維芽細胞の動態に着目し,近年,炎症性サイトカインとしての作用が注目されているHigh mobility group box-1 (HMGB1)を標的分子として,そのレセプターの1つであるReceptor for Advanced Glycation Endoproducts (RAGE)との相互作用を明らかにした後,それら一連の細胞反応が及ぼす"高血糖"の影響を検討している。本年度は,歯肉線維芽細胞における1) 炎症性サイトカインIL-6および歯周病原生細菌由来のLPSがHMGB1の産生性に及ぼす影響の検討,2) HMGB1誘導性の細胞内シグナル伝達系に及ぼす影響の検討を行った。
まず,歯肉線維芽細胞に対して炎症性サイトカインIL-6 (1-50ng/ml)や歯周病原生細菌Porphyromonas gingivalisおよびEscherichia coli由来のLPS(1-1000ng/ml)を時間(0-48時間)および生理的濃度依存的に作用させたが,HMGB1の産生は誘導されなかった。この結果は,申請者が当初予測していた歯肉線維芽細胞自身によるHAfCB1のオートクライン作用がないことを示唆するものと考える。次に,HMGB1のパラクライン作用の検討を行うため,リコンビナンHMGB1を用いて歯肉線維芽細胞を刺激したところ,細胞内シグナル伝達系の一つであるMAPK系タンパク質(ERK1/2)のリン酸化が濃度および時間依存的に有意に誘導されることがわかった。
以上の結果から,炎症性細胞等によって産生されたHMGB1が歯肉線維芽細胞に対してパラクライン的に作用し,細胞活性,細胞死,そして炎症性サイトカイン産生性等に影響を及ぼす可能性が示唆された。糖尿病患者における炎症悪化のメカニズムにHMGB1が関与している可能性は非常に高く,引き続き本研究を継続していく必要があると考える。