共同研究・競争的資金等の研究 - 馬 建鋒
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研究課題/領域番号:18510200 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
村田 佳子, 岩下 孝, 難波 康祐, 馬 建鋒, 岩下 孝, 難波 康祐, 馬 建鋒
配分額:4040000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:540000円 )
イネ科植物はキレート化合物であるムギネ酸類を分泌し、土壌中の不溶3価鉄と錯体を形成して植物内に取り込んでいる。我々はムギネ酸類の簡便かつ高収率な合成方法を確立した。また、鉄欠乏状態で生育させたオオムギの根からムギネ酸類鉄錯体トランスポーターHvYS1を同定し、根の表皮細胞特異的な局在を明らかにした。HvYS1はムギネ酸3価鉄錯体のみを輸送し、他の金属錯体は輸送しない。この基質特異性を担っているのが6番目の膜外ループであることを解明した。
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イネ科植物由来のアルミニウム耐性遺伝子の単離と機能解析
研究課題/領域番号:18380052 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
馬 建鋒
配分額:17160000円 ( 直接経費:15000000円 、 間接経費:2160000円 )
アルミニウムイオン毒性は世界の耕地面積の3割以上を占める酸性土壌での主な作物生育阻害因子である。しかし、植物の種類あるいは品種によってアルミニウム毒性に対する耐性が大きく異なる。本研究ではオオムギの品種間差を利用して、クエン酸の分泌に関与する遺伝子を同定した。またイネのアルミニウム感受性変異体を用いて、細菌型ABCトランスポーターをコードするアルミニウム耐性遺伝子を同定し、その機能を解析した
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ケイ酸トランスポーター遺伝子の単離と解析
研究課題/領域番号:17078008 2005年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
馬 建鋒, 山地 直樹
配分額:79500000円 ( 直接経費:79500000円 )
ケイ素は植物の有益元素で、植物の複合ストレスを軽減することができる。本研究では、植物のケイ酸の吸収、分配に関与するトランスポーターを同定した。イネから同定したLsi1とLsi2は根で発現し、根の外皮と内皮細胞に極性をもって偏在し、根によるケイ酸の吸収に重要な役割を果たしている。またLsi6は葉の維間束木部や第I節で発現し、ケイ酸の分配に関与している。トウモロコシやカボチャからも同様のトランスポーターを同定しているが、イネと比べ、発現レベルや細胞局在性が異なっていた。
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イネのケイ酸吸収、輸送機構の解明
研究課題/領域番号:15380053 2003年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
馬 建鋒
配分額:15000000円 ( 直接経費:15000000円 )
1.ケイ酸の導管へのローディングは非常に速い過程で行われ、また一種のトランスポーターを介していることを明らかにした。^<29>Si-NMRを用いて導管液中のケイ酸の形態を同定したところ、単分子のケイ酸と同じケミカルシフトを与え,ケイ素が単分子のケイ酸の形態で輸送されていることを明らかにした。
2.単離したケイ酸吸収欠損突然変異体(lsi1)を用いて、イネのケイ酸吸収に関与する遺伝子のポジショナルクローニングを行った。変異体とインド型イネ品種カサラスとの交配で得たF_2集団を用いて、SSRマーカーやCAPSマーカーで遺伝子型を調べた結果、原因遺伝子は2番染色体に座乗していることが明らかとなった。野生型と変異体の塩基配列を比較した結果、変異は一塩基置換に起因することがわかった。この遺伝子は3609bp塩基で、298個のアミノ酸からなっている。この遺伝子は主に根に構成的に発現していることがわかった。またケイ酸が十分ある条件と比べ、ケイ酸がない場合はLsi1の発現量が4倍増加した。Lsi1によってコードされたタンパク質の局在性を調べるために、Lsi1のプロモーター及びLsi1遺伝子とGFPを連結させたコンストラクトを作成し、組み換えイネを作出した。その結果、Lsi1タンパク質は主に主根と側根に存在し、根毛にないことを明らかにした。
3.新たなケイ酸吸収欠損突然変異体の選抜を試みた。メチルニトロソウレアで変異処理した台中65のM_3種子を用いて、ケイ素の同属元素であるゲルマニウムに対する耐性を指標し、変異体の選抜を行った結果、ゲルマニウムに対して、強い耐性を示す変異体(lsi2)を得た。この変異体によるケイ酸吸収特性を野生型(WT,台中65)と比較して調べた。短期(12時間まで)及び長期(50日間)のケイ酸吸収実験では、変異体によるケイ酸の吸収は、WTよりはるかに低かったが、他の養分(KとP)の吸収においては差が認められなかった。この原因遺伝子をマッピングした結果、染色体3番に座乗していることを明らかにした。 -
アルミニウムによる有機酸分泌制御機構の解明
研究課題/領域番号:13660067 2001年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
馬 建鋒
配分額:3800000円 ( 直接経費:3800000円 )
根から有機酸の分泌はアルミニウム耐性機構の一つであり、本研究ではアルミニウム処理してから有機酸の分泌に至るまでの機構を解析した.
1.ソバにおいてアブシジン酸(ABA)がアルミニウムによるシュウ酸の分泌に関与していることを明らかにした。シュウ酸の分泌はABAの添加によって誘導されたが、他の植物ホルモンによって誘導されなかった。またABA合成阻害剤であるFloridonを添加すると、アルミニウムによるシュウ酸の分泌が減少された。さらに、根の先端のABA濃度はアルミニウム処理によって速やかに増加した。遮光や地上部の切除はシュウ酸の分泌量に影響を与えなかった。
2.アルミニウム耐性の異なるライ小麦二系統を用いて、有機酸の代謝に対するアルミニウムの影響を調べた.アルミニウムによって、根端の有機酸含量が増加したが、耐性系統と感受性系統との間に差が認められなかった.また四酵素活性に対するアルミニウムの影響はいずれの系統においてもなかった.^<31>P-NMRによる根端の細胞質と液胞のpHを測定した結果、アルミニウム処理による影響は見られなかった.これらのことはライ小麦において有機酸の代謝の改変がアルミニウムによる有機酸分泌への寄与が小さいことを示唆している.
1.スクリーニングで選抜したアルミニウム耐性の異なる21品種の大麦を用いて、オオムギにおけるアルミニウムの耐性機構を調べた.アルミニウムによってアルミニウム耐性品種の根からクエン酸が分泌され、クエン酸の分泌量とアルミニウム耐性との間に有意な正の相関が認められた。また分泌特性を調べた結果、クエン酸の分泌はアルミニウム処理後20分以内に起こり、低温やアニオンチャンネル阻害剤NIFによって阻害されることが明らかとなった.さらに、クエン酸の分泌量はアルミニウム処理濃度に依存しないことをつきとめた。これらの結果は大麦において今まで報告された分泌パターンと異なるパターンを有していることを示唆している. -
植物のアルミニウムストレスに対する応答と耐性誘導に関する初期反応の解析
研究課題/領域番号:07456040 1995年 - 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
松本 英明, 馬 建鋒, 山本 洋子, 江崎 文一
配分額:6900000円 ( 直接経費:6900000円 )
Al耐性の機構については様々な考え方が提唱されているが、統一的な概念がまだ得られていない。今回は、Alを大量に蓄積することが知られる西洋アジサイ(ハイドランジャ)を用い、植物体内でAlとキレート結合を生成している物質を検索することを中心に行った。生葉中の^<27>Al-NMRスペクトルの結果から3つのピークが認められ、主要なものは12.4ppmでAlは六位配位の化学的形態であった。抽出した細胞溶液中のAlのシグナルは11.3ppmに認められ、生葉中の形態とほぼ一致した。Al複合体のリガンドを同定するため、粗抽出液を高速液クロで分画すると有機酸に相当するいくつかのピーク(425nm)が認められた。さらにSephadex G-10で精製すると保持時間8.8分にピークを認め、このピークには粗抽出液中の80%のAlが含まれていた。さらに、Sephadex G-10で精製すると8.8分にのみ単一のピークを認め、全体の65%のAlが含まれていた。このサンプルの^<27>Al-NMRのケミカルシフトは10.9ppmに認めた。さらにこのピークを同定するため、標準物質としてクエン酸をHPLCで分析すると、8.8分の所に溶出した。Al-クエン酸(1:1)複合体の^<27>Al-NMRのケミカルシフトは10.7ppmに認めた。さらにリガンドの構造を明らかにするため陽、陰イオン樹脂を用いて純化したものをイオン排除HPLCで分画した結果、単一のピークを与え、クエン酸と一致した。また^1H-NMRスペクトルの結果から、純化したリガンドは2.14ppmと2.92ppmにケミカルシフトを与えた。また陰イオンFABマススペクトルの結果から、純化したリガンドはイオンピークとしてm/z 191の値を与えた。以上の結果から、アジサイ葉中のAlの大部分はクエン酸と1:1の割合で結合していることが明らかになった。トウモロコシ根の伸長は20μM Al、22時間処理により50%の伸長阻害を示したが、ハイドランジャの細胞溶液中から分離したAl複合体(20μM Al)は伸長の阻害を起こさなかった。これらの結果からハイドランジャは大量のAlを含んでいるにもかかわらず、細胞内でクエン酸とキレート結合して無毒化することによりAlストレスに対して抵抗性を獲得していることが明らかになった。