共同研究・競争的資金等の研究 - 馬 建鋒
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コメのケイ酸蓄積に関する研究
2023年04月 - 2024年03月
日本ヘルスケア協会
担当区分:研究代表者
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土壌環境変動に応答する植物のミネラル輸送システムの可塑性の解明
研究課題/領域番号:21H05034 2021年07月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
馬 建鋒, 山地 直樹, 宮地 孝明, 三谷 奈見季, 菅 倫寛
配分額:189280000円 ( 直接経費:145600000円 、 間接経費:43680000円 )
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イネ科作物の有害ミネラル集積機構の解明
研究課題/領域番号:21H04716 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
馬 建鋒, 山地 直樹, 三谷 奈見季
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
1.イネカドミウム集積とヒ素集積 QTL 遺伝子のマッピング
イネのカドミウム品種間差を利用して作出したマッピング集団を用いて、新しいマーカーを作成しながら、染色体7番と11番のQTL遺伝子の候補領域を狭めることができた。7番染色体にあるQTL遺伝子についてプロモーター領域配列の比較、発現パータンの比較などを行い、この遺伝子の発現の違いがカドミウム集積に寄与している可能性を示した。またカドミウム集積における側根と根毛の役割を解析し、根毛ではなく、側根がカドミウムの吸収に大きな役割を果たしていることを明らかにした。
ヒ素集積に関して、6番染色体にあるヒ素集積に関与するQTL遺伝子の候補領域を350kbまで狭めることができた。
2.オオムギのカドミウム集積QTL遺伝子のマッピングとヒ素集積の品種間差
オオムギのカドミウム集積の品種間差を利用して、4番染色体にあるカドミウム集積に関与するQTL遺伝子のマッピングを行った。いくつかのマーカーを新たに設計し、候補領域を8375kbまで狭めることができた。
またオオムギヒ素集積の品種間差を調べるために、コアコレクションから100品種を選んで、圃場栽培された種子とわら中のヒ素濃度を測定し、比較した。その結果、ヒ素集積において大きな品種間差があることが分かった。また水耕栽培で幼苗のヒ素集積も比較し、種子のヒ素集積と必ず一致しないことを明らかにした。いくつか集積が大きく異なる品種を選んで、関連遺伝子をマッピングするための交配を行った。 -
新規鉄欠乏応答調節短鎖ペプチドFEP1を起点とした植物鉄恒常性制御機構の解明
研究課題/領域番号:21H02509 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
平山 隆志, 馬 建鋒, 横正 健剛
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
シロイヌナズナ短鎖ペプチドFEP1がどのように鉄欠乏応答の制御および鉄ホメオスタシスに関わっているかを明らかにするため、独自に作成したfep1欠損株やFEP1誘導発現形質転換株を利用して網羅的遺伝子発現解析を行った。詳細なデータ解析から、FEP1は維管束組織おける鉄欠乏応答で重要な役割を持つという知見を得た。また、FEP1類似遺伝子の植物界における保存性を調査し、維管束系を持つシダ植物にはFEP1類似遺伝子があるが、コケ植物には見当たらず、維管束組織との関わりが示唆された。シダ植物のFEP1様遺伝子はシロイヌナズナのものと同様鉄欠乏により誘導されるが、FEP1の活性に不可欠となるC末端の構造が異なっており機能については不明な点が多いが、ナス科植物にも同様の遺伝子が見つかっており、今後解析が必要である。さらに、FEP1周辺の機能因子の同定を目的に、FEP1を含む鉄欠乏応答遺伝子が恒常的に発現しているミトコンドリアpoly(A)制御関連変異株ahg2-1を背景にして、恒常的鉄欠乏応答形質の抑制変異を2系統獲得しているが、その一つの変異の同定に成功しRNA代謝関連の遺伝子が関与していることを明らかにした。一方、出芽酵母を用いた鉄欠乏応答制御の再構成を試み、植物で見られる応答がほぼ再現された。植物細胞を用いた実験で邪魔となる様々な二次的な影響を排除できる再構成系を用いて、今後構成因子に人為的な変化を導入し、その影響を調査することで精密な制御系の描出が可能と考えている。
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イネのヒ素集積に関与する遺伝子の同定
研究課題/領域番号:21F21096 2021年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
馬 建鋒, WANG PEITONG
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
本研究はイネのヒ素集積機構の解明を目的としている。2021年度では、イネヒ素集積の品種間差を利用して、染色体6番と10番にヒ素集積に関与するQTLを検出した。6番染色体にあるQTL遺伝子をクローニングするために、新規マーカーを作成しながら、約6千個体のF2(コシヒカリxMuha由来)からDNAを抽出し、遺伝子型を調べた。その結果、低ヒ素集積に関与する候補遺伝子が染色体6番の30.48Mbと30.8Mbの間にあることが分かった。この領域に28の候補遺伝子があり、現在更なる絞り込みを行っている。
一方、6染色体にある低ヒ素集積に関与する断片をコシヒカリに導入したisogenic lineを作成して、圃場で収量とヒ素集積をコシヒカリと比較した。その結果、isogenic lineの種子及びわら中のヒ素集積量が有意に減少したが、収量にはあまり影響を与えないことが分かった。このQTLが低ヒ素集積イネの作出に有用であることを示している。さらに6番と10番染色上のQTLをコシヒカリに集積させたが、ヒ素集積に対する10染色体QTLの効果があまりなく、6番染色体QTLを導入したラインと同程度であった。
またCSSLラインを用いて根の低ヒ素集積に関するQTLを解析した。その結果、QTLが染色体1番に座乗することを突き止めた。更なるマッピングを行い、原因遺伝子の特定ができた。この遺伝子はGSHの分解に関与し、PCの合成に必要であることが分かった。またこの遺伝子の配列は両品種間で差がなかったが、発現量は低ヒ素品種で低かった。 -
研究課題/領域番号:16H06296 2016年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究 特別推進研究
馬 建鋒, 山地 直樹, 宮地 孝明, 三谷 奈見季, 横正 健剛, 菅 倫寛, 櫻井 玄
配分額:536250000円 ( 直接経費:412500000円 、 間接経費:123750000円 )
イネのケイ素輸送体OsSIET3とOsSIET5,リン輸送体OsSULTR3;3、鉄輸送体OsOPT7、ムギネ酸輸送体OsVMT、ソバの金属輸送体Nramp5などの発現パターン、組織局在、輸送活性及び変異体の表現型を解析し、それぞれミネラルの輸送に果たす役割を明らかにした。そのうち、OsVMTはイネ節の維管束間の柔組織に発現し、鉄および亜鉛の維管束間輸送過程に関与し、その変異体では結果的に精白米中の鉄および亜鉛の蓄積が1.5~2倍に増加したことを明らかにした。 またイネのカスパリー帯形成に必要な遺伝子OsCASP1を同定し、ミネラルの選択的吸収におけるカスパリー帯の重要性を解明した。さらにリン酸輸送体AtSPDTの解析を通じて、双子葉植物がイネ科植物と異なるミネラルの分配機構を持つことを突き止めた。
導入したLA-ICP-MSを用いて、植物サンプルの元素イメージング法を確立した 。この方法は根、葉、節など様々な植物組織上で、細胞/組織レベルの元素分布を可視化でき、多元素や同位体も同時に検出できる。また定量的イメージング法も開発した。
ミネラル輸送体の結晶構造に関して、ケイ酸輸送体、3種類の金属輸送体、アニオン小分子輸送体の大量発現・精製・結晶化・機能解析を推進した。ケイ酸輸送体はH30年度に解析した立体構造に基づいて機能解析を終了した。また1種類の金属輸送体、アニオン小分子輸送体は低分解能データが得られた。さらにその他2種類の金属輸送体についても精製条件を検討して安定な状態で精製できるようになった。
イネ全体におけるトランスポータ配置の最適性解析を行い、その生物学的な意義を検証した。イネが有害な物質を若い器官に蓄積しないために、どのようなトランスポーター配置を行うべきなのかなどをモデル解析で示す例示研究を行った。 -
研究課題/領域番号:16K14871 2016年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
山地 直樹, 馬 建鋒, 三谷 奈見季, 横正 健剛
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
土壌pHは植物の栄養素の獲得に大きな影響を及ぼす。酸性土壌では、主に土壌から溶け出すアルミニウムイオンによって植物の生長が阻害される。アルカリ土壌では、主に鉄が不溶化し植物は鉄欠乏となって生育が悪化する。植物種によって土壌pHへの適応性は大きく異なるが、その種間差を規定する分子メカニズムは解明されていない。本研究では土壌pH適応性が大きく異なる3種のイネ科作物イネ(野生型、star1 変異体、art1変異体)・オオムギ・ライムギを用い、3つの条件、Alストレス条件(pH 4.5)、通常条件(pH6.0)、鉄欠乏条件(pH7.5)で根の比較トランスクリプトーム解析を実施した。
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イネの有害ミネラル集積を制御する因子の同定
研究課題/領域番号:16H02540 2016年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
馬 建鋒, 山地 直樹, 三谷 奈見季
配分額:40560000円 ( 直接経費:31200000円 、 間接経費:9360000円 )
これまでにイネのカドミウム集積の品種間差を利用して、幾つかカドミウム集積に関与する新規QTLを検出している。そのうちの一つ、7番染色体に座乗するqCd7についてファインマッピングを行い、候補遺伝子の絞込みに成功した。この遺伝子の発現をカドミウム集積量の異なる両親間で比較すると、差が認められなかった。またこの遺伝子はカドミウムによる誘導がなかった。両親間の配列を比較すると、1塩基の違いによる1アミノ酸の変化があった。しかし、酵母を用いたアッセイでは、両アリルともカドミウムに対する輸送活性を示した。両親のイネを用いて生理学的な解析も行った。その結果、カドミウム高集積品種では、マンガンによるカドミウムの抑制効果が見られたが、カドミウム低集積品種では、この抑制効果はほとんど見られなかった。これらの結果から、この1アミノ酸の変化はカドミウム輸送に対する親和性が低くなっている可能性があり、現在更なる解析を行っている。
ヒ素に関しては、ヒ素集積の異なる3種類のイネを用いて、関連遺伝子の発現量を比較した。その結果、ヒ素低集積品種のOsLsi1とOsLsi2の発現量が高集積品種より低いことが分かった。またケイ酸の吸収量も低くなっていた。これらのことはヒ素の低集積がケイ酸輸送体遺伝子の低発現に起因することを示唆している。 -
研究課題/領域番号:15H04469 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
山地 直樹, 三谷 奈見季, 馬 建鋒
配分額:16900000円 ( 直接経費:13000000円 、 間接経費:3900000円 )
イネ科植物の節は著しく発達した維管束群が高度に組織化されており、栄養素の“維管束間輸送”によってその分配を制御していることが次第に明らかになってきた。本研究ではイネの節においてリン、ホウ素、鉄の維管束間輸送と器官間の分配に関わる新奇輸送体を同定し、その生理機能解析を行った。このうちリンの新規輸送体SPDTは節の維管束木部などに発現し、リンの維管束間輸送を促進することで新葉や種子へのリンの優先的な分配に寄与する。
また節の肥大維管束木部転送細胞で高発現するケイ酸輸送体Lsi6のプロモーター解析を行い、組織特異的な遺伝子発現を制御する領域を推定した。 -
イネにおけるアルミニウム耐性転写因子ART1活性化機構
研究課題/領域番号:13F03388 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
馬 建鋒, CHEN ZHICHANG, CHEN Zhichang
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
イネアルミニウム耐性転写因子ART1の活性化機構を明らかにするために、前年度ART1プロモーター制御下でATR1-Flagタグつきの形質転換植物を作成したが、ART1タンパク質は検出できなかった。そのため、今年度はユビキチンプロモーター制御下で、Flagを三つ直立したコンストラクトを作成して、art1変異体に形質転換した。T0植物を使ってアルミニウム耐性を調べた結果、形質転換植物のアルミニウム耐性は野生型並に回復した。根から抽出した核タンパク質を用いてWesternを行った結果、ART1抗体では検出できたが、Flag抗体では検出できなかった。この原因については不明である。
酵母ツーハイブリッドで得たART1と相互作用するタンパク質IBBI3-2遺伝子は主に根で発現し、アルミニウムによって誘導される。そのの細胞内局在を調べるために、GFPとの融合遺伝子を作成し、タマネギの表皮細胞に一過的に発現させた。その結果、IBBI3-2は核ではなく、細胞質に局在していた。またCRISPR/Cas9を用いて、RBBI3-1, RBBI3-2 と RBBI3-3の3重破壊株を作出した。配列を調べた結果、幾つかの変異体を得た。現在ホモラインを取得しているところで、種子を得次第、アルミニウム耐性などを調べる予定です。
そのほかにイネの根の伸長を制御する遺伝子OsCCC1を単離し、その機能はK-Cl共輸送体としてこれらのイオンを細胞内に輸送して細胞の伸長に必要な浸透圧の維持に働いていることを明らかにした。 -
研究課題/領域番号:24248014 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
馬 建鋒, 山地 直樹, 三谷 奈見季
配分額:44850000円 ( 直接経費:34500000円 、 間接経費:10350000円 )
イネのカドミウムやヒ素の集積に関与する新規遺伝子の同定を行った。カドミウムの集積に関して、カドミウム吸収の主要輸送体OsNramp5を同定した。OsNramp5は根の外皮と内皮細胞の遠心側に偏在していた。また液胞膜に局在するカドミウム輸送体遺伝子OsHMA3を過剰発現させると、カドミウムの耐性も増加した。さらにカドミウムの種子への分配には節で発現しているOsHMA2が関与していた。一方、ヒ素の集積に関して、OsABCC1が種子へのヒ素の集積を抑制していることを明らかにした。OsABCC1は主に節の篩部伴細胞の液胞膜に局在していた。
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植物の金属輸送に関与するトランスポーターの同定
研究課題/領域番号:11F01089 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
馬 建鋒, ZHENG L.
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
1.オオムギにおいて鉄欠乏によって誘導される二つのABCトランスポーター遺伝子(HvMRP1 and HvMRP2)の機能を解析するために、RNAi法を用いて、発現抑制株を作成した。それぞれの遺伝子について17の独立したラインを取得し、その発現レベルを定量RT-PCRで測定した。その結果、HvMRP1に関してはライン1と17、HvMRP1に関してはライン13の発現が野生型と比べ有意に低下していた。金属濃度を比較した結果、野生型とRNAiラインとの間に顕著な差が認められなかった。今後これらのラインを用いて、他の形質の変化を調べていきたい。
2.OsYSL16はyellow-stripe likeファミリーに属する輸送体である。OsYSL16は主に節の飾部及び葉身の維管束に局在する。また細胞内局在を調べたところ、細胞膜に局在していた。さらに酵母では、銅―ニコチアナミン錯体の輸送活性を示した。OsYSL16遺伝子を破壊すると、古い葉の銅が増加し、新葉の銅が減少した。安定同位体65Cuを用いてラベリング実験を行った結果、古い葉から新葉への移動、止葉から種子への移動が破壊株で減少していた。これらの結果はOsYSL16が銅の鯖部の転流において重要な役割を果たしていることを示している。
3.OsENA1はmajor facilitator superfamily (MFS)に属する輸送体である。OsENA1は主に根で発現し、鉄欠乏によって強く誘導された。また発現量の日周性が見られなかった。Tos-17挿入破壊株を用いて解析した結果、破壊株で亜鉛の集積が見られ、OsENA1が亜鉛の恒常性に関与している可能性があることを見出した。しかし、鉄欠乏及び十分条件下で破壊株と野生型の顕著な違いは見られなかった。今後、輸送活性の再測定などを行い、その遺伝子の機能を明らかにしたい。 -
イネのアルミニウム耐性に関与するQTL遺伝子の同定
研究課題/領域番号:11F01395 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
馬 建鋒, XIA J.
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
1.選抜したアルミニウム耐性イネ品種日本晴と感受性品種7098のF2マッピング集団を用いて、アルミニウム耐性に関与するQTL解析を再度行った。形質の評価はアルミニウム存在下72時間の根の伸長阻害を指標に行った。またSNPアレイでゲェノタイピングを行った。その結果、アルミニウム耐性QTLは第1と第3染色体上に検出された。
2.これらのQTLを確認するために、F3集団を用いて再確認した。その結果、染色体第1番のQTLは確認できたが、染色体3番のQTLは検出できなかった。代わりに染色体8番に新たなQTLが検出された。現在染色体1番のQTLに着目して、遺伝子の単離に向けて材料の作出を行っている。
3.コシヒカリ―カサラスの交配集団を用いて、アルミニウム耐性QTLが染色体1、2と6番に検出されたが、これらQTL遺伝子の単離にはまだ至っていない。染色体2番のQTLは我々が同定したNrat1遺伝子(アルミニウムトランスポーターをコードする遺伝子)と同じ位置に座乗しているため、2番染色体のQTL遺伝子の可能性がある。それを検討するために、まずNrat1の発現量を比較した結果、根でのNart1の発現量はカサラスよりコシヒカリのほうが高かった。また根細胞内のアルミニウム濃度もコシヒカリのほうが高かった。コシヒカリ―カサラス染色体置換系統を用いて検討した結果、コシヒカリのNrat1領域がカサラスに置換されると、アルミニウム耐性が減少した。現在置換系統の種子を増やしており、充分量の種子が採れ次第、細胞内アルミニウム濃度、Nrat1の発現量などを検討する予定である。 -
研究課題/領域番号:3210 2010年06月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
馬 建鋒
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研究課題/領域番号:22119001 2010年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
馬 建鋒, 木下 俊則, 内藤 哲, 山谷 知行, 篠崎 和子, 杉本 慶子, 沖 大幹, 佐竹 暁子, 梅田 正明, 芦苅 基行, 経塚 淳子
配分額:233480000円 ( 直接経費:179600000円 、 間接経費:53880000円 )
1.新学術領域研究「大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析」(植物環境突破力)で得た成果を分かりやすく紹介するために、計画班員を中心とした成果の動画を以下のように各5分程度作成し、YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=ZmJdrNGHQu8&list=PLpSdiOHJl1UK41DWh-JlpY2vQWMx_kIw_)にアップした。
馬 建鋒(岡山大学)「植物環境突破力」領域紹介;馬 建鋒(岡山大学)「劣悪化する土壌環境に適応するための植物の知恵」;木下俊則(名古屋大学 )「環境変動に対する気孔開閉制御の分子機構」;内藤哲(北海道大学 )「栄養応答における新規転写後制御機構の解明」;芦苅基行(名古屋大学 )「深水条件下における節間伸長の分子機構」
梅田正明(奈良先端科学技術大学院大学 )根の成長を支える細胞増殖の相転換機構の解明;佐竹暁子(九州大学)植物システム制御の数理モデリング
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2.日本農芸化学学会の「化学と生物」に成果に関連した解説を10回連載した。またこれを2012年に出版した「Rice」の特集号,2015年に出版した[Plant & Cell Physiology」の特集号とともに一冊の本としてまとめ、植物関連分野の研究者に配布した。 -
研究課題/領域番号:22119002 2010年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
馬 建鋒, 山地 直樹, 藤原 徹
配分額:241540000円 ( 直接経費:185800000円 、 間接経費:55740000円 )
イネの高アルミニウム耐性に関して複数の耐性遺伝子を同定した。またこれら耐性遺伝子の発現を制御する転写因子ART1のシス配列を同定した。オオムギのアルミニウム耐性遺伝子HvAACTの発現は上流への1kbの挿入で、シラゲガヤのアルミニウム耐性遺伝子HlALMT1の発現はプロモーター領域にART1と結合するシス因子の数を増やすことによって耐性を向上させたことを明らかにした。さらに環境中のマンガン濃度の変動に対処するために、イネの節で発現しているOsNramp3がマンガンの分配をコントロールしていることを解明した。そのほかにミネラル輸送に関する遺伝子を複数同定し、ケイ素吸収の数理モデルを構築した。
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研究課題/領域番号:22658022 2010年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
馬 建鋒, 山地 直樹
配分額:3650000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:450000円 )
イネのアルミニウム耐性転写調節因子ART1の制御下にある遺伝子OsCDT3の機能解析を行った。OsCDT3は僅か53アミノ酸のペプチドをコードし、そのうち14個のアミノ酸はシステインであった。OsCDT3は主に根で発現し、アルミニウムによって誘導される。OsCDT3は細胞膜に局在していた。OsCDT3の発現を抑制すると、アルミニウム耐性が低下した。また酵母で発現させると、アルミニウム耐性が高くなり、細胞内のアルミニウム濃度が減少した。これらのことからOsCDT3はアルミニウムを細胞内に輸送しないようにアポプラストで無毒化している可能性がある。
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研究課題/領域番号:21248009 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
馬 建鋒, 山地 直樹
配分額:48620000円 ( 直接経費:37400000円 、 間接経費:11220000円 )
植物の有害金属(カドミウム、ヒ素、アルミニウム)の集積及び耐性に関わるトランスポーター遺伝子の同定を行った。カドミウムの超集積植物からカドミウムの無毒化に必要なTcHMA3、イネのカドミウムの集積に関わるOsHMA3をそれぞれ同定した。イネの内向きケイ酸トランスポーターLsi1はメチル化されたヒ素(MMAとDMA)をも輸送することを明らかにした。さらにソバ、シロイヌナズナ及びイネからアルミニウムの耐性に関わるいくつかの新規トランスポーター遺伝子を同定した。
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イネ新規ケイ素トランスポーター遺伝子の同定
研究課題/領域番号:08F08100 2008年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
馬 建鋒, DEMIRAL T.
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
イネから単離された外向きと内向きケイ酸トランスポーターLsi1とLsi2の輸送基質特性を明らかにするために、異なるpH下で野生型とケイ酸トランスポーター遺伝子欠損変異体によるケイ酸吸収量の比較を行った。その結果、ケイ素がアニオンとして存在するpH(11.0)においても、ケイ素が無電価の分子状の形態として存在するpH(6.0)においても野生型のケイ酸吸収量は変異体より高く、pHによる吸収量の変化は見られなかった。これらの結果は根圏のケイ素がケイ酸かケイ酸塩かを問わず、Lsi1、Lsi2によって吸収されることを示唆している。
またケイ酸トランスポーター遺伝子の発現制御機構を明らかにするために、ケイ酸吸収能力の異なるオオムギ10品種を用いて、ケイ酸の前処理に対する遺伝子の発現量とケイ酸吸収量の変化を調べた。その結果、多くの品種は前処理によって、ケイ酸吸収量が低下し、HvLsi2の発現量も減少した。しかし、一品種のみケイ酸の吸収量も遺伝子の発現量もケイ酸の供給によってほとんど低下しなかった。それぞれの品種のプロモーター領域をInverse-PCRで単離して、比較を行ったところ、幾つかの違いが品種間で見つかった。さらに、各品種のケイ素関連遺伝子の発現量と穀粒中のケイ素濃度を比較した結果、相関が見られなかった。このことは穀粒中のケイ素集積の品種間差は単一の遺伝子の発現量で説明できないことを示唆している。 -
カドミウムトランスポーター遺伝子の同定
研究課題/領域番号:19658027 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
馬 建鋒
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
カドミウム超集積植物Arabidopsis halleriにおける金属分布について解析した。葉からプロトプラストと液胞を単離して、それぞれのオルガネラー含まれる金属を定量し、比較した。その結果、ほとんどの亜鉛とカドミウムは液胞に局在していることを明らかにした。また亜鉛の蛍光プローブZnAF-2DAを用いて、組織別亜鉛の局在を調べたところ、亜鉛は表皮にはなく、葉肉細胞に局在していた。さらに、カドミウムの存在形態を113Cd-NMRで同定したところ、リンゴ酸との錯体で存在していることが分かった。ニコチンアナミンはほとんど検出されなかった。リンゴ酸と亜鉛やカドミウムとの結合安定度常数が小さいため、これらの結果はカドミウムや亜鉛を液胞に隔離することによって無毒化されていることを示唆している。
カドミウム超集積植物Thlaspi caerulescens (ecotype,Ganges)から単離したHMA3についてその細胞内局在性についてタマネギの表皮細胞に一過的に発現させて調べた。その結果、HMA3は液胞に局在していることを明らかにした。この結果はHMA3がカドミウムを液胞に隔離するために機能していることを示唆している。
イネからカドミウムの集積に関与する輸送体を単離するために、カドミウムを高集積及び低集積する品種を選抜した。これらの品種を用いて、生理学的な解析を行ったところ、根によるカドミウムの吸収はほとんど同じで、根から地上部へのカドミウムの輸送が高集積品種のほうで優れていることを突き止めた。現在関連遺伝子の単離を進めている。