共同研究・競争的資金等の研究 - 横谷 尚睦
-
軟X線発光分光の開発とタンパク質、DNA等の生体物質の電子状態の研究
研究課題/領域番号:16104004 2004年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
辛 埴, 横谷 尚睦, 高田 恭孝, 小林 啓介, 原田 慈久, 石坂 香子
配分額:95030000円 ( 直接経費:73100000円 、 間接経費:21930000円 )
高効率で、高エネルギー分解能を持った軟X線発光分光器及び、フロー型の溶液セルを開発する事によって、金属タンパク質やDNA 等の水を含んだ生体物質, アミノ酸、酢酸、水等の関連物質の電子状態の研究を行った。タンパク質ミオグロビンにおいては、電荷移動エネルギーが著しく小さくなっており、吸着分子の違いによって、スピンや価数が容易にコントロールされていることがわかった。
-
近低温・極超高分解能角度分解光電子分光による電子‐フォノン超伝導体の電子状態
研究課題/領域番号:14702010 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(A)
横谷 尚睦
配分額:28990000円 ( 直接経費:22300000円 、 間接経費:6690000円 )
近低温・極超高分解能光電子分光およびSPring-8を用いた軟/硬x線を使った光電子分光により電子-フォノン超伝導体および新超伝導体の電子状態の研究を行った。コバルト酸化物超伝導体の近低温・極超高分解能光レーサー光電子分光を行い、超伝導転移温度より上の温度でフェルミ準位近傍に超伝送ギャップとはエネルギースケールの異なる擬ギャップが形成されることを見いだした。この結果は、低温において超伝導とは別の秩序変数の存在を示す。また、超伝導転移温度前後で超伝導ギャップ形成に伴うスペクトル形状の変化を観測し、s-波とd-波を用いた解析からギャップの大きさを見積もった。YNi_2B_2Cの角度分解光電子分光測定を更にすすめ、バンド分散、フェルミ面形状、超伝導ギャップの運動量依存性を詳細に研究した。超伝導ギャップの運動量依存性研究からは、大きな超伝導ギャップ異方性を観測するとともにpoint-nodeと一致する結果を得た。また、大きな異方性とフェルミ面のネスティングとの関連を考察した。新超伝導体Li_2Pd_3Bの放射光光電子分光測定からは、Li_2Pd_3Bの電子状態が一電子近似でよく説明できることを確認した。これは、理論的に予想されていた強電子相関効果と反する結果である。CVD B-dope diamond薄膜の放射光光電子分光測定を行い、内殻準位スペクトルの測定から、B-dopeに伴うClsピーク0シフトと低結合エネルギー側に新構造が出現することを見いだした。軟x線角度分解光電子分光測定からは、ダイアモンドのバンド分散を観測するとともに、ダイアモンドバンドがフェルミ準位を横切ることを見いだした。この結果は、ダイアモンドバンドに形成されたホールがフォノンと強く結合することにより超伝導が発現することを示す。
-
軟X線レーザー光源を用いた極超高分解能・微少スポットサイズの光電子分光装置の開発
研究課題/領域番号:12440098 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
辛 埴, 横谷 尚睦
配分額:15400000円 ( 直接経費:15400000円 )
レーザーを励起光とした光電子分光装置の開発を行った。光源のエネルギー幅をのぞいた装置の分解能0.8meV、角度分解能+/-0.1度、測定最低温度4K(瞬間的には2.3K)を達成している。これらの装置緒性能は世界最高である。
本光電子分光装置装置を用い、これまでの光電子分光装置の分解能と試料温度では測定の難しかった低温超伝導体について、その超伝導及び常伝導状態の電子状態を調べた。単体金属超伝導体においては、超伝導ギャップの観測と強結合超伝導体のスペクトル形状(peak-dip-hump構造)を光電子分光で初めて見いだした。Niホウ化炭化物に関しては、不純物によるギャップ異方性の研究から異方的s-波を確認した。新規超伝導体MgB2については、その超伝導ギャップを直接観測するとともに、ギャップが多重ギャップである可能性を直接的に示した。Ba_<1-x>K_xBiO_3の研究からは等方的s-波超伝導ギャップと常伝導擬ギャップを見いだした。新規超伝導体Ba_8Si_<46>の超伝導ギャップを観測した。角度分解光電子分光実験からは、遷移金属ダイカルコゲナイド2H-NbSe_2について、これまで分離できなかったフェルミ面を全てを観測するとともに、超伝導ギャップの大きさがフェルミ面により大きく異なることを直接的に示した。 -
超高分解能角度分解光電子分光装置の極低温化酸化物超伝導体の電子状態の研究
研究課題/領域番号:11740193 1999年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
横谷 尚睦
配分額:2200000円 ( 直接経費:2200000円 )
東大物性研に建設した超高分解能角度分解能光電子分光装置を改良し、エネルギー分解能1.4meV,角度分解能0.2度、測定最低試料温度4Kを達成した。これらの諸性能は現時点で世界最高である。
この装置を用い、これまでの光電子分光装置の分解能と試料温度では測定の難しかった低温超伝導体について、その超伝導及び常伝導状態の電子状態を調べた。単体金属については、世界に先駆けて超伝導ギャップの観測に成功するとともに、電子-フォノン結合に起因する微細電子構造を見いだした。Ni炭化ホウ化物の結果は、その超伝導ギャップが異方的s-波であることを示した。Ba_<1-x>K_xBiO_3についても、超伝導ギャップを光電子分光で初めて観測することに成功するとともに、超伝導転移温度より上の温度で擬ギャップが存在することを見いだした。最近超伝導転移が発見された、シリコンクラスレートについても超伝導ギャップを測定し、、弱結合超伝導体であることを見いだした。
一方角度分解光電子分光実験からは、遷移金属ダイカルコゲナイド2H-NbS_<e2>について、これまで分離できなかったバンド全てを観測した。また、超伝導ギャップの観測にも成功し、その運動量依存性を調べた。酸化物高温超伝導体Bi2212については、2枚のCuO_2面に起因するバンド分裂と、バンドリノーマリゼーションを観測した。更に、これらの結果を低温超伝導体の結果と比較し、酸化物高温超伝導体の電子状態にフォノンが大きな影響を与えていることを見いだした。 -
高温超伝導体および強相関酸化物の高分解能角度分解光電子分光
研究課題/領域番号:97J05989 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
横谷 尚睦