共同研究・競争的資金等の研究 - 近森 秀高
-
都市域における環境用水とその創生に関する研究
研究課題/領域番号:03202127 1991年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
岡 太郎, 近森 秀高, 田中丸 治哉, 菅原 正孝
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
本研究では、居住環境のアメニティ-を確保するための用水を環境用水と称し、都市域で必要な環境用水量を定量的に表示するとともに、その水源の確保・創生法を技術的に明らかにすることを目的としている。
1.環境用水の実態調査 環境用水の実態を明らかにするため、潤いのある町として知られている島根県鹿足郡津和野町及び内陸型工業都市である滋賀県長浜市において、用水源・取水施設・水路網・流量・事業所等における水管理及び地元住民の意識調査を実施した。その結果、津和野川の左岸に広がる市街地(26ha)には、幅0.7〜1.5mの水路が道路沿いに縦横に付設されており、1ha当り0.015m^3/sの流水が確保されていることが明らかになった。この流量は環境用水量を定量的に議論する際の目安になる。長浜市では、事業所の水管理について重点的に調査し、汚水処理法・排水経路などの実態を明らかにしたのち、水質の改善法及び排水の環境用水への転換の可能性について検討した。
2.地下水涵養強化と揚水利用 雨水の一部を土中に水平に埋設した孔あきパイプを通して浸透させ(埋管浸透法)地下水涵養を促進したのちそれを揚水して環境用水として用いることを提案するとともに、その技術的問題を実験的・理論的に検討した。その結果、埋管よりの浸透現象は不飽和浸透流理論を用いてうまく表せること、埋管よりの浸透量はPhilip型の浸透量式で近似しうることなどが明らかになった。次に、埋管浸透量式の係数と初期土壌水分量・土壌の透水性との関係を究明し飽和透水係数と初期土壌水分量を用いて浸透量を算出する手法を提案した。さらに、雨水浸透施設の設置効果などを検討する場合に欠かせない地盤浸透能の簡易測定法を開発した。これは、ハンドオ-ガ-を用いて孔を掘り、定水頭で注水して、浸透量を測定した後、その低減曲線より地盤浸透能を逆算する手法である。 -
排水機場前池の適正規模に関する研究
研究課題/領域番号:03760155 1991年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
近森 秀高
配分額:500000円 ( 直接経費:500000円 )
-
低平都市化域における内水排除施設の最適規模配置に関する研究
研究課題/領域番号:02201228 1989年 - 1990年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
角屋 睦, 近森 秀高, 田中丸 治哉
配分額:3000000円 ( 直接経費:3000000円 )
近年、内水災害危険度の高い低平地流域でも急速に都市化が進行しているが、それに対処すべき治水施設の規模配置の合理的な決定手法の確立を目的として、これに必要な基礎的諸問題を以下のように攻究した。
1.大和川流域のような低平都市化域の対策を想定して、パタ-ン認識の手法を利用して奈良及び大台ケ原の豪雨波形の特性分析を試みた。この結果、大台ケ原では豪雨の核となる代表的な波形要素が抽出できたのに対し、奈良では抽出できなかった。両者の間には雨量及びその継続時間に大きな差があることも一因とみられる。さらに複峰波形の表現法を工夫した実用的手法が開発できる見通しを得ている。
2.前年度に引続き、一山降雨を想定して得られる累加流入量曲線を基礎として、排水機を効率的かつ安全に稼働させるために必要な前池容量の決定方法を検討した。その結果、前池の容量はその溢水を回避するための容量と、排水機の間欠運転を避けるための容量の和として表現できること、排水機能力の増加に伴い前者は減少するが後者は増大し、容量最小の解は存在するがそれは過大気味になること、小降雨時に許容すべき間欠運転回数の設定法などが攻究された。
3.京都南部の古川流域を事例研究流域として、内水排除施設の最適規模配置問題を建設費最小問題として、DP手法の定式化の方法、都市化・低平農地への超過洪水氾濫補償費などの諸要素が最適解に及ぼす影響などが攻究された。前年度では、これまでの計画の妥当性の検討に主眼を置いたが、今年度は将来の対策を主体として、前年度に十分検討できなかったいくつかの問題も詳細に検討された。その結果、新規の施設設置よりも、平成2年に新設の排水機場を含む現況施設の拡張ないし更新が最適解になること、下流側農地に溢水氾濫させ補償する案は、その額に一応の限界のあることなどが明らかにされた。 -
低平都市化域における内水排除施設の最適規模配置に関する研究
研究課題/領域番号:01601515 1989年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
角屋 睦, 近森 秀高, 田中丸 治哉, 岡 太郎
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
近年、内水災害危険度の高い低平地流域でも急速に都市化が進行しているが、それに対処すべき治水施設の規模や配置についての合理的な方法論はいまなお確立しているとはいいにくい。本年度は、こうした問題を科学的に扱うために必要な基礎的諸問題を以下のように攻究した。
1.急速な都市河川化の懸念されている大和川流域における豪雨の統計的特性を調べ、大和川流域のように平野部が多くかつ少雨地域では、主成分分析にクラスタ-分析を併用することにより、かなり有効な情報が得られることを示した。さらに、基準地点である柏原地点でのピ-ク流量との関係を検討し、長時間雨量よりもむしろ12時間程度の中時間雨量との間に強い相関が認められることなどを明らかにした。
2.有限要素法を利用する内水氾濫モデルを検討し、Galerkin法に基づく陽解法は計算精度に問題があるが、Taylor-Galerkin法を用いるとこれらの問題がほぼ解消することを示した。
3.排水機を効率的かつ安全に稼働させるために必要な前池容量の決定法として、一山波形降雨を想定して得られる累加流入量曲線を基礎とする簡便な方法を考案し、その妥当性をシミュレ-ション的に検討した。これから、豪雨時に間欠運転を起こさないような前池容量の設定は可能であるが、その容量は過大気味でなり、小降雨時に許容すべき間欠運転の回数、降雨開始から排水機停止までの時間の設定法などについての検討が必要なことが明示された。
4.京都南部の古川流域を事例研究流域として、内水排除施設の最適規模配置問題を「計画降雨による流出量の排除施設建設費を最小にすること」との観点からDP手法を用いて検討し、その定式化の方法、流域の都市化・低平農地への超過洪水氾濫補償費などの諸要素が最適解に及ぼす影響などを明らかにした。