共同研究・競争的資金等の研究 - 西村 伸一
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地盤構造物設計のための体系的な性能設計と信頼性設計理論の構築と普及
研究課題/領域番号:19206051 2007年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
本城 勇介, 吉田 郁政, 西村 伸一, 鈴木 誠, 白戸 真大, 菊池 喜昭, 堀越 研一, 長尾 毅, 鈴木 誠, 菊池 喜昭, 長尾 毅
配分額:42510000円 ( 直接経費:32700000円 、 間接経費:9810000円 )
本研究の遂行に当たっては,地盤構造物の性能設計と信頼性設計に関する3つの課題を立て,研究を進めた.課題(A)では,次の6つの課題について,研究を遂行し,順次学術誌の論文,国際会議での研究発表により成果を公表した.6個の課題とは,(1)効率的MCSの開発,(2)MCSによる部分係数決定,(3)簡易な信頼性設計法の開発,(4)確率場理論による地盤のモデル化,(5)確率場からのサンプリング論,(6)信頼性関連データの収集・整理,である.30以上の学術雑誌論文と36の国際会議の論文が発表されている.課題(B):「国際ワークショップを開催し,知見を集約する」においては,2009年6月11-12日,岐阜市の長良川国際会議場を会場として国際シンポジウムIS岐阜を開催した.登録者126名,出席者約100名,内国外からの参加者32名であり,4つの講演と51編の一般発表が行われた.全発表の3分の2は,海外からの参加者による発表であり,この分野における最新の知見が集約される会議であった.課題(C)「地盤工学の性能設計・信頼設計法について体系的に解説した書籍を出版する。」では,研究期間の特に後半において,外国の大学での集中講義の原稿,委員会報告,学会誌への講座の執筆などの機会に書き溜めた原稿を整理・編集して,テキストを作成中である.
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施工観測を考慮した土構造物性能照査コードの開発とGPS・携帯電話を用いた性能管理
研究課題/領域番号:17380145 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
村上 章, 西村 伸一, 西山 竜朗, 鈴木 誠, 柴田 俊文, 飯塚 敦
配分額:16520000円 ( 直接経費:16100000円 、 間接経費:420000円 )
東日本高速道路(株)北関東自動車道蓬田トンネル工区付近の盛土基礎上でGPS受信機を設置し、平成18年度に計測した盛土基礎地盤の沈下挙動を水〜土連成弾塑性有限要素解析により解釈することを試みた。同様の解析作業は平成18年度にも行ったところであるが、今年度は土質材料パラメータ、初期条件、境界条件、盛土荷重に関する条件を精査し、見直したパラメータ・条件を用いて数値解析を行い、結果を比較した。境界条件や荷重条件を見直してもそれほど結果に大きな影響を与えないこと、初期条件のうち初期応力分布の与え方が最も結果に影響することを示した。初期応力分布を検討したのち、土質パラメータを調整して計測値の再現を試み、良好な結果を得るとともに、最終沈下量を評価した。並行して、携帯電話を用いた性能照査値の管理やワークステーションを用いた遠隔データの管理も行った。
水〜土連成弾塑性有限要素/メッシュフリー解析コードのうち特に後者について、規定性能や設計の変更に対応したものとするよう修正を試みた。その中にはメッシュフリーコードの安定化も含まれている。上記作業を統合して、性能の変更や設計変更のシミュレーションを想定した数値解析も試みた。
本研究の遂行計画は、土構造物に導入される性能照査設計法と時期的に並行しており、研究代表者は農業水利構造物の性能規定化委員会にも参画している。本研究で得られた成果は、実務にも取り入れられる意義を有するものと考えられる。 -
土構造物の性能評価のための多次元圧密予測法の開発と設計法への応用
研究課題/領域番号:17580214 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
西村 伸一, 西山 竜朗
配分額:3750000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:150000円 )
軟弱地盤上の土構造物は,何年にも渡り圧密沈下の影響を受けるために,時間経過を考慮した性能評価を行う必要が有る.本研究は,その様な圧密変形の影響を受ける土構造物の性能を評価し,最適な維持管理法決定手法の開発を目的とする.通常,軟弱地盤では施工の際に,変位や間隙水圧が計測される.ここでは,長期的(10-20年程度)の維持管理を念頭に置いているため,計測値に基づいて維持管理計画を変更できる方法を念頭に置いている.
研究は,具体的には,1.圧密変形評価モデルの検討,2.現場計測値に基づいた将来変位予測法の開発を行った.最適な構造物の維持管理のためには,正確な変形予測法が必要である.今回は,二次元圧密模型実験を実施し,軟弱地盤の多次元的な挙動を正確に予測する手法の開発に力点置いた.具体的な結果は次のとおりである.
(1)二次元圧密模型試験装置の開発
試験機は,水圧によって拘束圧が載荷され,ベロフラムシリンダによって局所載荷がなされる仕組みになっている.計測は,表面の沈下を変位変換器で間隙水圧を圧力変換器で計測している.また,多次元変位は,CCDカメラによるビデオ撮影を行い,供試体に設置した標点の変位から求めた.
(2)二次元圧密試験の実施
実験材料として,カオリン粘土(低塑性),海成粘土(高塑性)を用いて圧密試験を実施した.計測値として供試体の複数点の変位と間隙水圧を計測した.
(3)逆解析に対応した簡便な変形予測モデルの開発
モデルは,圧密硬化,せん断による応力ひずみ関係の非線形性,および異方性を評価できるものである.逆解析に対応した変形予測モデル開発に当たっての留意点としては,モデルを可能な限り単純化することである,得られた実権計測データに基づいて逆解析を実施し,適切な変位予測が行えるかどうかを確認し,解析手法の有効性を確認することができた. -
農業水利施設の性能設計・性能施工に関する研究
研究課題/領域番号:16380160 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
野中 資博, 工藤 庸介, 田中 勉, 緒方 英彦, 西村 伸一, 石黒 覚, 小林 範之, 井上 一哉, 浜口 俊雄
配分額:15200000円 ( 直接経費:15200000円 )
各種水利構造物の正確な性能評価を実現するために、コンクリートや土,基礎岩盤などを対象として,性能評価手法についての検討と検証を実施した。コンクリートの中でもダムコンクリートは,粗骨材が一般のコンクリートよりも大きいため,その性質に不明な点が残されている。破壊解析で必須なパラメータとなる破壊エネルギーについて,試験方法を確立するとともに,ダムコンクリートへの適用性を確認した。またダムコンクリートの自己収縮特性に関して,実験的手法を用いて検討を行った。さらには,コンクリート構造物を対象とした超音波法によるひび割れ深さの測定について,実験や実測を踏まえた検証を実施するとともに,コンクリートの材料となる骨材の枯渇問題への対策として,リサイクル材を用いたコンクリートの特性に関する検討を行った。土質材料に対しては,非線形性と異方性の両方を考慮した逆解析手法の開発を行い,また信頼性設計法をため池の耐震設計に適用した。さらに,セルオートマトン法を用いてパイピングの解析を行い,ため池堤体の安定性に関する検証を実矩した。基礎岩盤に対しては,ロック材の風化による材料特性の変化について調べるために,人工的に劣化を生じさせる実験を行い,強度や変形特性の変化について明らかにした。近年重要性が高まっている構造物の景観に対しては,斜面が持つ景観の特徴について分析を行うとともに,水利施設が持つ景観を含めた多面的機に能について検討を加え,多面的機能の性能規定化に向けた研究を行った。
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粒状材料のせん断帯生成に関する非接触画像診断・メッシュレス分岐解析システム
研究課題/領域番号:14360144 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
村上 章, 西村 伸一, 西山 竜朗, 阪口 秀
配分額:11200000円 ( 直接経費:11200000円 )
本年度は、導入した「非接触型変位測定システム」と「平面歪試験装置」により、飽和砂供試体に関する平面ひずみ試験結果画像を解析した。解析のツールとして、PIV(Particle Image Velocimetry)を採用している。実施した室内試験は、平面ひずみ条件下でのせん断過程において砂供試体に発生する局所変形とその進展を追跡しながら、その変形メカニズムを把握することを目的とした。具体的には、PIV解析結果を変換し、供試体内のひずみ、渦度といった局所変形量を可視化し、その進展に着目することに重点を置く。局所変形を可視化することで、局所変形の発生領域を明確にし、各局所変形量の相互比較を容易なものとする。得られた結果から、載荷初期においてひずみの網目構造が形成され、ひずみの発達する方向は、最大主応力方向と最小主応力方向とに発達するものに分類できること、網目構造が座屈することにより主せん断帯が発生し、網目構造の座屈には渦運動が関与すること、供試体の側方への膨張に伴い、渦度が一箇所に集中し、主せん断帯の形成へとつながることを示した。以上の内容は、農業土木学会論文集にて報告した。
一方、このような飽和土の挙動を数値解析するために、水〜土連成問題を有限変形場でメッシュレス法により離散化して、プログラムの精度を検証したのち、土の要素試験や盛土基礎地盤の数値解析を実施した。解析結果は本年度において日本機械学会論文集で報告するとともに、来年度のSoils and Foundations(地盤工学会論文報告集)や国際地盤工学会議論文集に掲載を予定している。 -
統計的軸対称圧密モデルの開発と軟弱地盤情報化施工への適用
研究課題/領域番号:13660242 2001年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
西村 伸一, 西山 竜朗, 村上 章, 藤井 弘章
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
自然堆積地盤の透水性には,通常,異方性が存在すると考えられるが,バーチカルドレーンが施工された地盤では,圧密による主な排水は水平かつ放射状に生じると推測されるので,水平方向圧密係数を正確に評価する必要が生じる.本研究は,バーチカルドレーンを念頭に置き,粘性土地盤の透水性の異方性,もしくは,水平方向と鉛直方向の圧密係数の相違を考察することを第一の目的とした.多種類の材料を用いて実験を行った結果,どの材料でも排水方向による圧密係数の大きな相違は生じず,概ねc_h=1〜2c_vの結果となった.また,c_h/c_vあるいはk_h/k_vの圧密圧力に対する顕著な依存性は見られなかった.ただし,圧密圧力の変化に対して,比較的一定値を保つ傾向がある.また,t^n法と逆解析法によって決定された圧密定数を比較した結果,後者による方が,より明確に排水方向の相違による圧密係数あるいは透水係数の相違を得ることができた.
最終的に,現場の沈下実測値を逆解析することによって,実地盤の水平方向透水係数を同定し,実験結果と比較している.ここで,実験値は通常の標準圧密試験結果であるため,鉛直方向排水の試験結果である.実地盤は,空間的に大きな不均質性を有し,深度によって応力状態も異なるため,パラメータの非線形性を考慮する必要がある.筆者らは,これらのパラメータの空間的な変動性と圧密途中における非線形性を表現するために,統計的な非線形圧密モデル(SNCMと表記する.)を開発し,これに基づいた逆解析手法を提案している.この手法を,サンドドレーンが施工された実軟弱地盤における沈下実測値に適用している.さらに,情報化施工を念頭に置き,同定されたパラメータに基づき,将来圧密挙動予測を行っている. -
粒状材料におけるせん断帯生成機構解明のための実験と解析
研究課題/領域番号:12460105 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
村上 章, 西山 竜朗, 西村 伸一, 藤井 弘章
配分額:5700000円 ( 直接経費:5700000円 )
本年度は、アルミ棒積層体を用いた二軸試験を実施した。アルミ棒の径は3種類とり、均等径および混合径にて試料とした。粒子の中心軌跡を非接触装置により観察し、粒子群の挙動を把握した。それと並行して、こうした変位を連続体物質点のそれとみなすことで、粒子群のつり合い状態を逆解析することを試みた。解析には等価介在物法による逆解析法を用い、粒子集合体の非弾性応力分布を推定した。また、接触力分布を推定する新しい考え方を導入し、個別要素法による結果と比較し、その対比を検討した。一方、研究代表者と海外共同研究者とによる「連結格子セルオートマトン(Connected Lattice-Cellular Automata : CL-CA)」の適用・検討も進めた。粒状体に関するCAのローカルルールは、従来開発していた落し戸受働モードのそれに加え、より一般的なせん断条件を記述するローカルルールを新たに提案した。均等径粒子群について、このルールに基づいたダムブレイク問題の数値解析を行い、ルールの有効性と結果の妥当性を検討した。この問題の解析では、海外共同研究者が行った実験や個別要素法解析の結果と良く似た傾向が得られるだけでなく、流体解析に用いられるCIPによる解析結果とも良い対比を示した。
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土地改良施設における安全性評価手法の開発
研究課題/領域番号:11556042 1999年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
清水 英良, 石黒 覚, 田中 勉, 西村 眞一, 西村 伸一
配分額:3700000円 ( 直接経費:3700000円 )
1.浸透破壊に対する安全性 Prismatic failureの概念を用いて基礎地盤の浸透破壊に対する安全率を定義し,複列矢板を設置した場合の限界水頭差(二次元集中流)を,掘削幅,矢板の根入れ深さをパラメータとして解析した。その結果,掘削幅が小さく,根入れ深さが大きいほど浸透破壊に対する安定性が低下し,単列矢板と仮定して解析すること(二次元流)が極めて危険であり不合理であることを明らかにした。さらに,土の異方透水性の値が大きくなると,二次元流二次元集中流のいずれの場合も地盤の力学的安定性が低下し,特に二次元集中流の場合に顕著であることを明らかにした。
2.水理破砕に対する安全性 初期亀裂長を各種変化させた円柱供試体を用いてアースダム築堤材料の破壊靭性試験を実施した。その結果,破壊靭性値には寸法効果が存在し,実験・解析結果より供試体直径が初期亀裂長の約7倍以上なければ実際の値を過小評価することを明らかにした。さらに三軸圧縮試験の結果より,不撹乱土や含水比が低下した撹乱土の場合,側方への伸びによる初期亀裂が低応力レベルで発生した。従って,施工の状態・条件によっては築堤過程で縦亀裂が生じ,貯水時に水理破砕へと進展する危険性が十分に考えられることを明らかにした。
3.コンクリート構造物の安全性 圧縮〜引張の二軸応力下におけるくさび挿入試験装置を作成し,川砂利,砕石コンクリートの破壊エネルギーを求めた。その結果,破壊エネルギーは一軸応力の場合に比べて減少し,また砕石コンクリートの破壊エネルギーの方が大となり,既往の研究結果を立証した。さらに,多直線近似解析法を適用して引張軟化曲線を推定する解析プログラムを作成しその適用性を検証した。その結果,二軸応力下における引張軟化曲線の形状は圧縮応力比によって異なること,弾性係数は圧縮応力比の増加に伴い低下することを明らかにした。
4.干拓堤防の地震時安全性 地盤統計学の手法を多次元に拡張して土質パラメータの空間分布に関する統計モデルを構築し,干拓堤防の液状化確率分布を地震発生の統計モデルを考慮して求める手法を開発した。さらに,サンドコンパクション(SCP)工法による地盤改良効果に関する統計モデルを用いて,3つの改良パターンにおける最適砂置換率および最適総費用を期待総費用最小化規準によって決定した。その結果,全面改良のパターンが最適砂置換率が最も小さく,また最適総費用も,破壊損失・耐用年が大である重要構造物に対して最小となることを明らかにした。 -
土の保水性・透水性のヒステリシスが降雨時の傾斜地安定性に与える影響について
研究課題/領域番号:10660227 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
島田 清, 西山 竜朗, 西村 伸一, 藤井 弘章
配分額:2800000円 ( 直接経費:2800000円 )
不飽和まさ土のpF試験,および不飽和透水試験を行うとともに,数値解析により,斜面土の不飽和特性,すなわちマトリックサクション(Su)-体積含水率(θ)-比透水係数(Kr)関係が降雨浸潤による斜面の不安定化に及ぼす影響について調べた.さらに,降雨中に地震が斜面を襲った場合の両者の効果を定量的に評価できるように解析プログラムを改良し,解析を試みた.
得られた結果をまとめると,次のとおりである.
(1)体積含水率(θ)と比透水係数(Kr)の関係におけるヒステリシスはごく小さく,無視できる.
(2)θの増加とともにマトリックサクション(Su)が急速にゼロに近づくタイプのθ-Su関係を示すで土は,降雨により斜面安全率の低下が急速に生じる可能性がある.
(3)降雨浸潤による斜面の不安定化を調べる場合,浸潤過程のpF試験で得られたθ-Su関係を解析に用いる必要がある.
(4)降雨浸潤により安全率が低下しているが崩壊を免れている斜面に地震が作用すると,安全率が1.0を切る可能性がある. -
Study on reuse of dredged sludge
1998年
資金種別:競争的資金
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地盤計測結果に基づく新しい軟弱地盤の変形予測法の開発
研究課題/領域番号:09760222 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
西村 伸一
配分額:2200000円 ( 直接経費:2200000円 )
本研究は,軟弱地盤の変形および間隙水圧の消散に関する,新しい変形予測モデルを開発することを目的とする.ここでいう予測モデルは,従来の土質試験結果のみならず,原位置における地盤の変形計測結果,間隙水圧の測定結果から逐次更新され,将来の変形,間隙水圧の消散を予測できるものを意味する.平成10年度は,次の項目にしたがって検討した.
(1) 統計的非線形圧密モデル用いた新たな逆解析手法の開発を行った.今回は,土のせん断による非線形性を考慮するため,双曲線モデルを用いた非線形解析も実施した.また,間隙水圧計測結果を利用する方法について重点的に検討した.
(2) モデルの検証のため,室内圧密実験を実施した.室内実験により比較的計測誤差のない変位および間隙水圧の計測結果を得ることができる.特に,実験試料としては,カオリン粘土を用いた.試験は,標準圧密試験装置,ベロフラム型圧密試験装置,三軸圧密試験装置を用いて行った.ベロフラム試験装置に関して,10年度は,大型(試料寸法φ10cm x hl0cm)の圧密セルを用いた実験を実施した.大型セルを用いることにより,間隙水圧の計測が比較的容易になった.三軸試験に関しては,拘束圧と軸圧を独立に付加する異方圧密を実施し,試料にせん断変形を生じさせた.
(3) 室内実験結果を用いて,逆解析モデルの検証を行った.その結果,非線形モデルの同定には間隙水圧の計測結果が変位の計測結果とともに重要であることが明らかとなった.また,二次元問題の場合,短期間の計測結果を用いて変形予測を行う場合は,線形弾性モデルを用いてヤング率,ボアソン比,透水係数を同定するのが有効であるとの結論を得た.
(4) 現位置の計測結果を用いて,本逆解析手法の実問題への適用性の検討をした.この場合も,上記の室内試験結果を用いる場合と同様,変位のみならず間隙水圧の計測結果を用いると精度のよい予測結果を得ることが明らかとなった. -
兵庫県南部地震による堤体被害の要因分析およびデータベース化
研究課題/領域番号:09234230 1997年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究 重点領域研究
藤井 弘章, 西村 伸一, 島田 清
配分額:1400000円 ( 直接経費:1400000円 )
【目的】兵庫県南部地震により、淡路島では944個ものため池が被害を受けた。本研究は、被害の多かった淡路島北部の5町、特に北淡町を中心に、被害・無被害ため池を調査・整理して要因を探り、統計的・地盤工学的分析しデータベース化しようとする。
【方法】被害・無被害に関わる要因として、各ため池の位置(断層・震源への距離、標高)、構造(堤軸の方向、形状、大きさ等)、築堤材料の特性、ダムサイトの地質、履歴(築堤年代・漏水・改修等)を選定した。これらに関わる淡路島北部5町の2071個(内被害ため池425個)のため池の資料、および地盤工学的なデータ(当方の行った上記の内約40箇所の現地調査・土質試験結果、10個の弾性波探索結果)を集めた。これらに、一般的な統計的分析および多変量解析を行った。
【結果】北淡町の場合、被害に関わる要因は、(1)最も近い断層が水越・野島・浅野断層、(2)その距離が250〜1000m、(3)震源からの距離が概ね12km以内、(4)標高100m以上、(5)堤体の大きい、(6)震源および断層に対し、堤軸が正対・直交・その対角線付近、(7)堤軸の形状が複雑、(8)ダムサイトの地質が粘土、砂礫の土質地盤、(9)100年以上経過、(10)堤体材料が粘性土系より砂質土系、強度(貫入抵抗)も小、(11)堤体に生じたクラックは、堤軸に対して45度、135度の方向が最も多い、(12)堤体長に対するクラックの比は、砂粒土方が大きく、(13)また被害ため池の基盤は無被害ため池より深く、(14)一般的な統計と多変量解析を併用することは有効等がいえる。 -
浚渫ヘドロを盛土材料とした場合の圧密・圧縮特性に関する基礎研究
研究課題/領域番号:08456119 1996年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
藤井 弘章, 西山 竜朗, 西村 伸一, 島田 清
配分額:8000000円 ( 直接経費:8000000円 )
湖底のヘドロを浚渫し強制脱水して脱水ケーキとし、さらにこれを盛土材料として使おうとしている。この脱水ケーキの地盤工学的な特性を知るために、種々の条件で、室内実験・遠心力載荷試験・模型土槽実験・数値解析を行った。
その結果、基本的な性質としては、脱水ケーキの性状は採取位置により、試料の自然含水比・粒度等も大きく異なった他沈下にかんして以下の知見を得た。(1)圧縮試料では、脱水ケーキのみかけの粒径が大きくなるほど沈下率は大きくなる。(2)含水比が低くなる程つまり乾燥する程、沈下率は小さくなる。(3)脱水ケーキの沈下率は20日前後で一定値に近づく。(4)水中で盛土したものが空中で盛土したものより沈下が大きい。(5)空中では含水比によって沈下率に大きな差があるが、水中では含水比による差が小さくなる。(6)遠心力載荷試験の沈下率の方が、模型土槽実験の沈下率よりはるかに大きい。(7)脱水ケーキは、試料作成圧力が小さいほど沈下率が大きくなる傾向がある。(8)粒径が大きくなるほど、体積圧縮係数は、大きくなる傾向がある。(9)粒径が大きくなるほど圧密速度が大きくなる。(10)順解析、逆解析結果は、実用にたる結果がえられるが、モデルを確立するためには、さらに種々の条件で実験を続ける必要がある。(11)脱水ケーキは比較的早く沈下するので、盛土材料としてその挙動の予測はやりやすいといえよう。 -
農業土木構造物の耐震信頼性設計に関する研究
研究課題/領域番号:06556037 1994年 - 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
藤井 弘章, 西村 伸一, 島田 清
配分額:3800000円 ( 直接経費:3800000円 )
本研究では農業土木構造物の耐震設計に関して、次の2項目の成果を得ることができた。
1.砂質材料で構築された盛土の液状化に対する信頼性設計
動的土質定数の変動性と地震動の確率特性を考慮した液状化確率の算定を行っている。液状化の簡易な判定法としては、N値の分布に基づく簡易法がよく用いられる。この方法によると動的せん断強度比RがN値、平均粒径D_<50>、細粒分含有率F_Cなどの簡易なパラメータによって決定される。ところが、これらの土質定数は、空間的に大きく変動しており、統計モデル化が必要とされる。本研究では、第一に、この適切な統計モデルの決定法に関する考察を行った。次に、地震時せん断応力比に関しては、地震時の最大加速度を決定する必要がある。そこで、主な歴史地震を調べることにより、地震の年最大加速度の統計モデルを決定した。最終的に、これらの統計量にモンテカルロシミュレーション法を適用することにより、液状化確率を求めた。それに加えて、地盤がサンドコンパクションパイルによって改良される場合の最適設計について考察を行った。期待総費用最小化の理論を用いることにより、最適な砂置換率とその場合の液状化確率を決定している。その結果、最大水平速度150gal、200galの地震を想定した場合と地震の確率特性を考慮した場合の最適地盤改良計画、すなわち最適な砂置換率を決定することができた。
2.淡路島におけるため池被害に関する因子分析
兵庫県南部地震により、淡路島では多くのため池が被害を被った。研究グループは、淡路島の被害ため池の調査を実施した。その結果に基づき、被害率とため池の震源からの距離および震源と堤軸の法線のなす角、堤体の築堤年代、堤体材料、地質特性等との相関分析を数量化II類を用いて行った。解析の結果、各要因が被害率に与える影響の度合いが明らかにされた。 -
軟弱地盤上の構造物の情報化施工に関する研究
研究課題/領域番号:05760187 1993年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
西村 伸一
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
1.三笠の圧密理論,Barronの近似理論,有限要素法による圧密解析手法に最小自乗法を適用した圧密逆解析プログラムを開発した。最小自乗法では,非線型計画法の一手法であるGauss-Newton法,修正Marquardt法を用いた。ここで,圧密解析においては一次圧密のみならず,二次圧蜜を考慮できるようにした。また,圧蜜過程において生じる地盤に働く浮力の効果を考慮できるようにした。
2.原位置において得られている沈下板,層別沈下計による沈下計測値に関して検討を行った。各計測値は計測開始時期が異なるため,特に今回は計測の初期値の取り扱いに留意した。
3.開発した手法を原位置の計測データに関して適用した。解析対象地盤のとしては二次元的な沈下を生じている部分と一次元的な沈下を生じている部分を選んだ。今回特に主眼においた考慮点は次の3点である。
(1)どのくらいの観測期間を設けたら近い将来(圧蜜度90〜100%程度の時点)の沈下予測が行えるか。
(2)同定されたパラメータを近隣構造物の沈下予測に適用できるか。
(3)長期の残留沈下を支配する二次圧蜜に関するパラメータが決定できるか。
これに関して次の結論を得た。(1)に関して,一次元的な沈下に対しても,二次元的な沈下に対しても,本解析対象地盤に関しては盛土施工後100日程度(圧蜜度60〜70%程度)の観測期間で,同定されたパラメータの値は一定になる。(2)に関して,近隣構造物の荷重強度が同程度なら同定結果はその沈下予測に用いることができる。(3)に関して,二次圧蜜のパラメータは一次圧蜜度が80〜85%になった時点から同定が可能である。 -
盛土による干拓地軟弱地盤の挙動予測
研究課題/領域番号:04660254 1992年 - 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C) 一般研究(C)
藤井 弘章, 西村 伸一, 島田 清
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
児島湾と笠岡湾干拓地における5地区の盛土工事に対して有限要素圧密解析を行い,軟弱地盤の挙動予測方法を提案するとともに,盛土の形態や地盤改良工法の特質が軟弱地盤の挙動に与える影響について検討した。5地区は,サンドコンパクション工法,カードボードドレーン工法および袋詰めドレーン工法で地盤改良され,沈下,間隙水圧,側方変位などが観測された。本研究の解析には,平面ひずみおよび軸対称線形弾性圧密解析を適用した。ヤング率,ポアソン比,透水係数は,標準圧密試験および塑性指数から決定した。解析値と観測値の比較から,次のことが明らかになった。
1.地盤改良工法の違いにかかわらず,本解析法により沈下傾向をほぼ表現できたが,カードボードおよび袋詰めドレーン工法に対しては軸対称解析結果が,また,サンドコンパクション工法に対しては強制変位を与える方法が良い結果を与えた。
2.観測値を用いた逆解析法により,二次圧密を考慮したときの二次圧密開始時間・二次圧密係数を客観的に同定することができた。
3.盛土縁から観測地点までの距離(X)を盛土区間(L)で正規化し,異なった地点の比較を行った。この結果,間隙水圧の誤差指標はX/Lが大きい程大きくなるが,誤差指標変化率は変わらなかった。また,側方変位は,誤差指標も誤差指標変化率もX/Lが大きい程大きくなった。
4.盛土中央では,どの地区も誤差指標は0.5から24%の低い値を示した。
5.盛土面積の小さい地区の誤差指標は大きかったのに対して,誤差指標変化率はほぼ零であった。一方,盛土面積の大きい地区では誤差指標と誤差指標変化率はともに小さい値を示した。 -
サクションが強度定数に及ぼす影響
研究課題/領域番号:03660245 1991年 - 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C) 一般研究(C)
島田 清, 西村 伸一, 藤井 弘章
配分額:1900000円 ( 直接経費:1900000円 )
本研究は,不飽和土の強度特性に与えるサクションの影響を実験的に調べようとするものである。
試料には,岡山市に産するまさ土の2mmふるい通過分を用いた。0.074〜2mmの砂分の含有率は90.1%であった。実験には,三笠式改良型一面せん断試験機を用いた。下部加圧板にはポーラスストーンの替わりにセラミックスディスクを埋め込み,サクションを制御できるように改良した。供試体は試験機のせん断箱内で垂直応力を載荷することによる静的締固めにより準備し,pF試験における吸引法を適用してサクションを制御した排気・排水一面せん断試験を行った。せん断過程は応力制御方式で行い,せん断応力増分の載荷は10〜20段階に分けて行った。垂直応力は1.0,2.0,3.0kgf/cm^2の3段階とした。また,サクション(Su)はSu=0,0.1,0.2,0.4,0.6,0.8kgf/cm^2の6段階を設定した。
せん断試験結果によれば,サクションの増加により,Su=0kgf/cm^2の飽和供試体より強度が増加していることが分かった。しかし,垂直応力の大きさに関わらず,Su=0.4kgf/cm^2以上になるとせん断強度の増加がほとんど認められないことが明らかとなった。これらの傾向は,正規圧縮,過圧縮を問わずにほぼ同じ傾向であることが分かった。
また,同じ大きさの球がランダムに詰まっている集合体を想定して2球間に働く粒子間結合力を理論的に計算し,サクションと単位面積あたりの粒子間結合力の関係を求めて実験結果と比較し考察した。その結果,まさ土の実験から得られたサクションとせん断強度の関係の傾向は,粒径の粗い粒状体についての理論から得られた傾向と一致した。 -
信頼性解析手法を用いた軟弱地盤の安定性および圧密沈下挙動予測に関する研究
研究課題/領域番号:03760158 1991年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
西村 伸一
配分額:700000円 ( 直接経費:700000円 )
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軟弱地盤における材料定数のばらつきを考慮に入れた信頼性解析に関する研究
研究課題/領域番号:63760187 1988年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
西村 伸一
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
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土構造物と地盤の信頼性解析・設計に関する研究
資金種別:競争的資金