共同研究・競争的資金等の研究 - 菅 倫寛
-
光合成ベシクルを用いた光エネルギー変換の統合的理解
2024年10月
JST 創発研究
担当区分:研究代表者
-
酸素非発生型の光合成反応中心-集光アンテナタンパク質超複合体の構造ダイナミクス
研究課題/領域番号:24K21948 2024年06月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
菅 倫寛
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
-
有害半金属のチャネルおよび輸送体における基質透過の分子基盤
研究課題/領域番号:23H02450 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
菅 倫寛, 三谷 奈見季
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
-
光合成における光誘導水分解反応機構及び光エネルギー利用機構の解明
研究課題/領域番号:22H04916 2022年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究 特別推進研究
沈 建仁, 庄司 光男, 秋田 総理, 菅 倫寛, 山口 兆
配分額:627640000円 ( 直接経費:482800000円 、 間接経費:144840000円 )
-
酸素非発生型の光合成反応中心-アンテナ超複合体の高速分子動画解析
研究課題/領域番号:22H04754 2022年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
菅 倫寛
配分額:11180000円 ( 直接経費:8600000円 、 間接経費:2580000円 )
-
土壌環境変動に応答する植物のミネラル輸送システムの可塑性の解明
研究課題/領域番号:21H05034 2021年07月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
馬 建鋒
-
ゆがんだイス型の触媒の立体構造が紐解く光化学系IIの水分解反応
研究課題/領域番号:20H03226 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
菅 倫寛, 中島 芳樹
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
光合成での水分解・酸素発生反応は光化学系II(PSII)内部のMn4CaO5クラスターが酸化状態を5段階(S0状態からS4状態へ)に順次変化させて触媒する。このうち,中間体S2状態は電磁性共鳴法により区別されるスピン状態の異なる2つの平衡状態があることが知られているが,構造解析されたのはスピン状態がS=1/2のもののみであり,スピン状態がS=5/2のものは解析されていない。そこで本研究ではPSIIのS=5/2のS2状態を調製して構造解析することを目指している。令和3年度は中間体状態が得ることを目的として,溶液のpHをアルカリ状態にしたものを調製して固定ターゲット法を用いて回折実験を行い,構造解析を進めた。光をあててS状態遷移させたもの、光を当てる前の状態のものなど複数の状態について調製してデータを収集した。解析の結果,溶液状態がアルカリ状態に変化したことに伴う立体構造の変化を確認することができた。また,時間分解シリアルフェムト秒構造解析を行ってS=1/2のものを室温で構造解析した。解析の結果,これまで凍結状態で確認されていたS=1/2状態での構造変化を確認したほか、新たに基質の水分子を取り込むためのチャネルと思われている水素結合のネットワークに変化が見られた。これは構造変化したところが水チャネルであることを示す証拠となるものである。この内容は論文にまとめIUCrJに発表した。
-
光合成反応中心とアンテナ複合体の超複合体の高速分子動画解析
研究課題/領域番号:20H05446 2020年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
菅 倫寛
配分額:10400000円 ( 直接経費:8000000円 、 間接経費:2400000円 )
光合成細菌の光合成反応中心(RC)は集光アンテナ複合体I(LH1)と超複合体をとっており、光エネルギーを高い効率で吸収して、電子伝達鎖を駆動し酸素非発生型の光合成の初発の反応を開始する。本研究ではLH1-RC超複合体を対象としX線自由電子レーザーを用いて時間分解シリアルフェムト秒結晶構造解析して励起後の構造解析を明らかにすることを目指し、LH1-RC超複合体の良質な微小結晶を作成することを第一の目標としている。
2020年度は時間分解シリアルフェムト秒結晶構造解析に向けた、LH1-RC超複合体の良質な微小結晶を作成する条件を探索した。これまでの研究で1.9-A分解能の大型結晶が得らえているので、この条件の再現性の向上と結晶の小型化を進めた。結晶の品質の再現性は学内のX線源装置と放射光を用いてスクリーニングした。回折分解能は凍結条件の影響を受けやすいことがわかっていたので、沈殿剤の種類と濃度、溶液を交換する方法を検討した。その結果、2-A分解能で回折する結晶を2割程度の頻度で得ることができた。得られた結晶は空間群C2、結晶格子はa=145-A, b=144-A, c=208-A, beta=90.82 deg でこれまでに1.9-A分解能で解析した結晶と同じ空間群であるが、結晶格子は僅かに短くなっていた。シリアルフェムト秒結晶構造解析に向け、結晶のサイズを小さくするために研究代表者らの研究室で取り扱っている光化学系IIの微小結晶作成と同様の方法を試したが、均一なサイズの結晶は得られなかった。 -
量子ビームが拓く光合成膜タンパク質のマルチモーダル構造解析
2018年10月 - 2022年03月
JST さきがけ研究
菅倫寛
担当区分:研究代表者
-
光合成膜タンパク質のフェムト秒時間分解能での構造ダイナミクス
研究課題/領域番号:17H05884 2017年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
菅 倫寛
配分額:13000000円 ( 直接経費:10000000円 、 間接経費:3000000円 )
光化学系IIは光駆動の水分子の分解反応とそれに伴う分子状酸素の発生を行う,分子量70万にもおよぶ巨大な膜タンパク質複合体である。本研究では光化学系IIを中心とする巨大な光合成膜タンパク質複合体を対象として、光による励起後の構造変化をフェムト秒時間分解能で明らかにすることを目指している。研究代表者らはとくに光化学系IIの水分解・酸素発生の反応機構における原子基盤を明らかにすることを目的としてX線自由電子レーザーを用いた構造解析を行ってきた。これまでに反応開始状態に相当するS1状態および反応中間体に相当するS3状態を構造解析することに成功したので、この研究基盤を用いて光励起後の時間経過に伴う構造変化を捉えることを試みている。H30年度は結晶サンプルの調製方法を改良し大型化することで比較的簡便に結晶サンプルを供給する方法を確立することをめざした。なお、結晶化されたサンプルの観察およびその品質を迅速に評価する方法が必要であることを実感したので、新たに結晶観察装置などを購入した。最終的に,4点の多点測定が可能な量の結晶サンプルが供給できるようになったが,この方法で調製した結晶サンプルは分解能および同型性ともに従来の方法と比べて良くないことが判明している。従って,サンプルの供給方法は継続して改善する必要がある。研究課題は最終年度ではあるが,これからも根気強く精製スケールの大型化と回折データの改善を行って詳細な構造解析を完結させ、反応機構の詳細を明らかにして論文発表したい。さらに本研究課題で開発された構造解析手法を今後は他の光合成膜タンパク質にもこの手法を適用して構造解析を行うことを予定している。本年度は他の光合成膜タンパク質の一つであるFCPタンパク質の精製,結晶化,構造解析に成功したのでこれを論文発表した。
-
作物のミネラル輸送システムの統合解析
研究課題/領域番号:16H06296 2016年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究 特別推進研究
馬 建鋒, 山地 直樹, 宮地 孝明, 三谷 奈見季, 横正 健剛, 菅 倫寛, 櫻井 玄
配分額:536250000円 ( 直接経費:412500000円 、 間接経費:123750000円 )
独自な膜小胞アッセイ法を用いて、幾つかミネラル輸送体の輸送基質を同定した。イネのアルミニウム耐性に関わる転写因子ART2を同定した。ART2を破壊すると、イネのアルミニウム耐性が低下したが、そのアルミニウム耐性への寄与はART1ほど大きくなかった。またART2はART1による制御を受けず、下流に異なる遺伝子を制御していた。オオムギのアルミニウム耐性遺伝子HvAACT1の発現制御機構を調べたところ、上流に少なくとも15.5kbの挿入が関与していることが分かった。またこの挿入の脱メチル化が遺伝子発現の向上に関与することを突き止めた。さらにアルミニウム耐性遺伝子OsFRDL4の発現制御に転写因子WRKY 22が関与することを突き止めた。
輸送体遺伝子OsNIP1;1とOsNIP3;3をイネに過剰発現させると、イネのヒ素集積が大幅に低下した。また節で発現するABCC1遺伝子を特異的なプロモーター制御下に発現させると、種子中のヒ素濃度が有意に減少した。
ソバからアルミニウム耐性に関わる輸送体遺伝子FeSTAR1とFeSTAR2を同定した。両遺伝によってコードされたタンパク質は複合体を形成し、ABC輸送体として機能することを明らかにした。
作物のミネラル輸送体(ケイ酸輸送体、カドミウム輸送体、亜鉛輸送体、アニオン性小分子輸送体)の昆虫細胞を用いた大量発現・精製・結晶化と機能解析を行った。ケイ酸輸送体は昨年度に得られた結晶の条件を改善してX線結晶構造解析により立体構造を決定できた。得られた結晶構造からケイ酸輸送に関わる構造基盤を変異導入と機能解析によって明らかにした。重原子輸送体とアニオン性小分子輸送体について結晶化に十分な量と純度の試料を得ることができた。
去年度までに完成させたミネラルの輸送に関する細胞スケールの3次元モデルと作物全体スケールのモデルを融合させ、ハイブリッドスケールモデルを開発した。 -
X線自由電子レーザーを用いた光化学系IIの反応中間体の構造解析
研究課題/領域番号:16H06162 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(A) 若手研究(A)
菅 倫寛, 沈 建仁
配分額:24570000円 ( 直接経費:18900000円 、 間接経費:5670000円 )
光化学系II(PSII)の酸素発生複合体(OEC)の構造は高分解能で解析されている。しかし、 水分解反応の中間体状態に相当する構造は原子分解能では解析されておらず、反応機構への理解は限定的である。研究代表者らはPSIIの微小結晶を用いて、二閃光照射により励起させたPSIIの反応中間体S3状態を調製し、XFELを用いて構造を2.35A分解能で決定した。S1状態との差の電子密度より光励起によって起こる構造変化を確認した。OECの周辺では、これまで基質の候補とされていたオキソ酸素の一つであるO5近辺への新しい水分子O6の挿入が確認されたことからO5とO6がO=O結合を形成する反応機構を提唱した。
-
時分割シリアルフェムト秒構造解析法の開発と光化学系II複合体への適用
研究課題/領域番号:15H01642 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
菅 倫寛
配分額:5980000円 ( 直接経費:4600000円 、 間接経費:1380000円 )
光化学系IIは光駆動の水分子の酸化と酸素分子の発生を担う、分子量70万の巨大な膜タンパク質複合体である。この水分解・酸素発生の反応機構における原子基盤を明らかにすることは、生物の基本現象を明らかにするのみでなく、エネルギー問題や環境問題を解決する可能性があり、人工光合成研究にも大きく貢献することが期待される。
初年度より光化学系IIの水分解の反応の解明をめざし、反応中間体状態を解析可能なX線自由電子レーザーをもちいたシリアルフェムト秒結晶学の開発と光化学系IIのサンプルの条件検討を行ってきた。本年度はサンプルかの回折分解能を大幅に改善する事に成功した。その結果、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いて、サイズが100um程度の非凍結の小さな結晶に対し室温にて閃光を二発照射してS3状態へと励起させた回折データを収集して、2.35A分解能で構造解析した。構造解析の結果、S1状態からS3状態への遷移にともない、Mn原子の動きと周辺の配位子の構造変化がみられた。さらにMnクラスターからの水分子を含む水素結合ネットワークが分断されるとともに、酸素発生する触媒部分に新たな水分子に相当する電子密度の挿入が確認された。これにより酸素が発生する直前の構造を明らかにし、この新たな水分子が基質となる反応機構を提唱した。またMnクラスターだけでなく、電子授与体側においても構造変化を確認した。これらの成果は論文発表した。 -
超高輝度極端パルスXFEL光を用いた光化学系II複合体の無損傷結晶構造解析
研究課題/領域番号:26840023 2014年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
菅 倫寛
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
光化学系IIの結晶構造は放射線損傷を受けていることが指摘されていた。そこでSACLAのX線自由電子レーザー(XFEL)と何百の巨大で同型な結晶を用いてS1状態における無損傷構造を1.95A分解能で解析した。XFELによって決定したOECではMn-Mn原子間の距離がこれまでの結晶構造よりも0.1-0.2A短くなっていた。構造にもとづき,水分解反応の開始状態では酸素発生中心を構成するMnの価数はMn1が+3,Mn2が+4,Mn3が+4,Mn4が+3であることを明らかにした。これらの結果は水分解の反応機構を解明するための構造基盤を提供し, 水分解の人工触媒合成のための設計図ともなり得ると期待される。
-
光合成系Ⅱにおける水分解反応の学理解明
研究課題/領域番号:24000018 2012年 - 2017年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究
沈 建仁, 野口 巧, 山口 兆, 庄司 光男, 菅 倫寛, 秋田 総理, 三野 広幸, 加藤 祐樹, 磯部 寛
配分額:519350000円 ( 直接経費:399500000円 、 間接経費:119850000円 )
光合成光化学系II(PSII)による水分解反応の機構を解明するため、フェムト秒X 線自由電子レーザー(XEFL)を用いてPSIIのX 線無損傷構造を高分解能で解析し、天然状態のMn_4CaO_5クラスターの構造を解明した。さらにXFEL を利用して反応中間体のひとつS_3状態の構造を解明し、反応機構の解明に重要なO=O 結合の形成部位を明らかにした。得られた構造を元に理論計算を行い、可能な反応経路を明らかにした。そして赤外分光を中心とする分光法により、反応に伴う配位場や水素結合ネットワークの変化を追跡し、プロトン移動経路を特定した。
-
生体超分子チトクロム酸化酵素のプロトンポンプ機構と酸化還元機構の解明
研究課題/領域番号:08J06358 2008年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
菅 倫寛
配分額:1200000円 ( 直接経費:1200000円 )
チトクロム酸化酵素活性中心には完全酸化型状態において電子密度が存在することがわかっており、この電子密度をめぐっては20年以上も論争が続いている。この電子密度の決定は酸化還元機構を議論する上でも特に重要である。研究代表者らは昨年度にこの電子密度がハーオキサイドであることを発表したが、それに対し多くの反響と反論を得た。そこで本年度、研究代表者らは新たに回折実験を計画した。この実験はX線による異常分散効果を利用して、パーオキサイドに対する反論の矛盾点を指摘するものであった。実験には精度良い回折実験が必要であったが、これを様々な工夫により克服した。得られた結果はパーオキサイド説に対する反論を完全に否定するものであった。また研究代表者は前年度に得た1.4A分解能のX線回折データを用いて高分解能の構造解析を進めた。前年度から実施してきた、精度の高いFcを求めることを目的とした構造精密化を導入することで、原子モデルの結晶学的freeRを0.20から0.15に改善させた。この結晶系ではチトクロム酸化酵素は単量体の状態でパッキングしていたため、これまで得られていた二量体の構造と比較を行った。この比較から脂質がチトクロム酸化酵素の単量体と二量体の構造変化を制御していて、脂質分子が膜蛋白質の機能において特別な役割を果たすという、新しいモデルを提案することができた。さらに研究代表者は構造精密化後の座標中のカルボン酸の炭素原子-酸素原子間の距離からプロトン化状態を判別する方法を検討した。実験誤差をまったく含まないテストデータを用意し、このデータに対して構造精密化を行ってプロトン化状態の再現性を調べた。その結果、freeRが0.10を切る精度の高いFcのもとでは1.7A分解能でもプロトン化状態の判別が可能であることを示した。