共同研究・競争的資金等の研究 - 木村 康二
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体外精子産生を可能にする人工精細管の3次元構築
研究課題/領域番号:20K21656 2020年07月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
山本 ゆき, 木村 康二
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究では3次元バイオプリンターによる精細管の構築を目指し、未成熟ウシ精巣から細胞の単離・培養条件とプリンティング条件の検討を行った。生殖細胞の精細管内への維持には10%ウシ胎子血清を含む培養液を用い、ホルモン添加またはレチノイン酸添加の影響を検討したところ、ホルモンは細胞の増殖や生殖細胞の局在に効果を発揮しなかったが、レチノイン酸添加では Ki67 を発現する生殖細胞の割合が増加した。
またバイオインクとして市販の ポリエチレングリコールジアクリレートとゼラチンメタクリロイルの混合割合を検討したが、細胞の定着・増殖する条件と3次元構造物の形態を維持する条件が一致せず、更なる検証が必要となった。 -
オゾンゲルを利用したウシ空胎日数短縮技術の開発
研究課題/領域番号:20K21372 2020年07月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
木村 康二, 松山 秀一
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
近年、ウシの妊空胎日数(分娩してから妊娠するまでの日数)は約1か月も増加しており、これを改善することが出来れば生産性向上に大きく貢献できるが具体的な対策は施されていない。分娩によって子宮は胎盤や胎膜の剥離により大きな物理的損傷と最近感染・炎症を生じる。これらからの早期回復を目的に本研究ではオゾンの分解を抑制したオゾンゲルのin vitroならびにin vivoの炎症抑制効果について検討した。子宮内膜間質細胞を用いた実験ではオゾンゲルの細胞培養液への添加はIL6遺伝子発現に影響をおよぼさなかった。さらにゲルの分娩後ウシ子宮内投与においてもその感染レベルに影響を与えなかった。
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最終糖化産物がウシ子宮、卵管および胚発育に及ぼす影響とその作用機序の解明
研究課題/領域番号:20H03129 2020年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
松山 秀一, 木村 康二
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
本研究では、高穀物含量の飼料によって産生されるメチルグリオキサール(MGO)が乳牛における受胎率低下の一因となっていることを検証する。本年度は、牛子宮内膜細胞において、培養液へのMGOの添加により細胞老化のマーカーであるp21遺伝子発現が有意に増加し、子宮内膜間質細胞におけるROS産生量も有意な増加が認められた。以上の結果から、牛子宮内膜間質細胞においてMGOがROS産生を亢進することでDNA損傷を引き起こし、p21などのサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の発現を誘導することで細胞周期を停止させ、細胞老化を引き起こす可能性が考えられた。さらに、MGOの9日間にわたる静脈内投与(2時間/日)が牛生体の子宮内膜におけるp21遺伝子発現に及ぼす影響を検討した結果、MGO長期投与後の子宮内膜組織におけるp21 mRNA発現量は投与前と比較して増加する傾向がみられた。このことから、牛へのMGOの長期投与が子宮内膜における細胞老化を誘導することが示唆された。次に、MGOが牛卵管上皮細胞に及ぼす影響を検討した。MGOを添加した卵管上皮細胞におけるROS産生量は有意に増加し、卵管上皮細胞の増殖能は有意に低下した。一方、卵管上皮細胞におけるp21 mRNA発現量についてはMGO添加による変化は認められなかった。これらの結果から、牛卵管上皮細胞において、MGOはROSの発生を促進し、酸化ストレスに伴って生じるアポトーシスが、細胞増殖に影響を与えることが示唆された一方で、細胞老化には関与しない可能性が示された。また、MGOが胚発育に及ぼす時期と影響についても検討を行った。卵子の体外成熟時と比較して体外受精時にMGOを添加した場合の8 cell発生率が著しく低下したことから、MGOは胚の体外受精の段階で作用する可能性が考えられた。
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子宮腺を有する子宮内膜組織の体外構築とそれを用いたウシ伸長胚発生分化機構の解明
研究課題/領域番号:19H03105 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
木村 康二, 山本 ゆき, 松山 秀一
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
1.3次元培養によって得られた子宮腺シストならびに子宮腺様構造における細胞種を特定するためにサイトケラチン、ビメンチン抗体で染色を行った。両者においてビメンチンポジティブの細胞は存在せずすべてサイトケラチンポジティブであったことから、シスト、子宮腺様構造とも上皮性の細胞のみで構成されていることが示された。2.子宮腺を採取したb所が子宮内膜内のどの部位かによって腺様構造形成に差があるのかを調べるために、子宮内膜浅層ならびに深層のそれぞれから子宮腺を単離し、EGF+WNT存在下でマトリジェル内で培養した。その結果、両者の間でシストならびに子宮腺様構造形成率に差は見られなかった。4.昨年度シストから子宮腺様構造形成の際にEGFは必須であるがWNTは必須でないことが示されたため、単離子宮腺をゲルに包埋直後よりEGFのみで培養したところ、シストの形成は起こらず、直接子宮腺断片から子宮腺様構造が形成することが明らかとなった。またこれはEGF受容体阻害剤によって抑制されることが示された。5.腺様構造、単離子宮腺、シストにおける分泌タンパク質SERPINA14とSPP1遺伝子の発現を比較したところ、単離子宮腺と比較してシストではこれらの発現は有意に上昇したが、腺様構造ではこれらの遺伝子の発現は対照区と比較して有意な差は認められなかった。6.子宮腺ノックアウト牛作出を試みているが、これまでヒツジやマウスで報告された方法に準じて実施した結果、子宮腺のノックアウト個体の作出には至らなかった。当該年度はプロジェステロン量を大幅に増加して投与実験を行い、今年度その個体が性成熟を迎えるので、子宮内膜を採取して子宮腺の存在を確認する予定である。
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研究課題/領域番号:17K19322 2017年06月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
木村 康二, 山本 ゆき
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
ウシ子宮内膜組織を酵素処理することにより、子宮腺組織をその部分的構造を維持して単離することが可能となり、さらにこれをマトリゲル内に包埋して培養することにより、従来のプラスティックシャーレ上培養よりも分泌能を高く維持することが出来る手法を開発した。このようにして得られた細胞は性ステロイドホルモンに対して感受性を持ち、これに応答して子宮分泌タンパク質の遺伝子発現を変化させることが示された。本課題の成果によって、様々な条件下でウシ子宮腺の分泌機能を研究することが可能となり、今後ウシ受胎性向上研究に大いに役立つことが期待される。
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妊娠認識時のウシ子宮改編に果たすオートファジー-リソソーム応答機構の解明と制御
研究課題/領域番号:15H04579 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
高橋 昌志, 山内 伸彦, 木村 康二, 川原 学
配分額:16380000円 ( 直接経費:12600000円 、 間接経費:3780000円 )
本研究では、ウシ妊娠子宮組織において、プロテアーゼであるカテプシン(CTS)Bの活性化を明らかにし、これがIFNτによる可能性が示唆された。また、IFNτによるリソソームの活性化も確認された。一方、妊娠子宮およびIFNτ添加子宮上皮細胞でのCTS遺伝子発現の上昇がみられるものもあったが、オートファジーに直接関連する遺伝子の増加は見られず、その関与は少ないことが示唆された。RNA干渉によるIFN受容体の個別発現阻害によって、IFNτによるシグナル伝達経路がサブユニット特異的であることを明らかにした。加えて、子宮に接続する頸管組織での非常に高い妊娠特異的な発現遺伝子の変動を明らかにした。
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卵管内環境をコーディネートするアクチビンA:受精および妊娠成立までの局所作用
研究課題/領域番号:15K18771 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
山本 ゆき, 奥田 潔, 木村 康二
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
哺乳動物において、受精や初期胚発育が正常に進行するために卵管内の環境は緻密に調節されている。本研究では、局所因子アクチビンAが恒常的にウシ卵管内腔に存在し、上皮細胞がアクチビンAの標的細胞であること、卵管峡部においては受容体の遺伝子発現が排卵日に低下することを見出した。また、培養峡部上皮細胞のアクチビンシグナル伝達を阻害するとアポトーシス誘導因子の遺伝子発現が上昇することを明らかにした。
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卵管繊毛の微小管ネットワーク構築と協調的波打ち運動の制御メカニズム
研究課題/領域番号:15K14843 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
奥田 潔, 木村 康二
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
卵管上皮細胞に無数に存在する繊毛の運動は卵母細胞や初期胚の輸送に必須の生理現象で、この繊毛運動は一方向性を持つ必要があるがその制御機構には不明な点が多い。本研究はホールマウント免疫組織化学法を用いることでPCPタンパク質の一つであるVANGL1がウシ卵管繊毛上皮細胞の細胞膜のうち卵巣―子宮軸に直行する面に局在することを見出した。さらに同タンパク質の下流シグナル因子であるDVL3およびInturnedも繊毛上皮細胞に局在することを示した。これらのシグナルが卵管の入り口側から出口側まで走ることで、組織を通じて繊毛運動の方向性が統一され、子宮方向への卵管液の流れを生み出すことが推察される。
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ウシ人工栄養膜細胞株作出と特性評価およびこれを用いた体外着床モデルの構築
研究課題/領域番号:26292168 2014年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
木村 康二, 今井 裕, 松山 秀一
配分額:16120000円 ( 直接経費:12400000円 、 間接経費:3720000円 )
ウシの受胎率向上のためにはウシ胚の発生および着床・妊娠確立メカニズムの解明が必須である。本課題ではウシ着床メカニズム解明のために人工多能性幹細胞および人工栄養膜細胞を樹立し、着床モデル作出の可能性について検討を行った。ウシ胎子羊膜細胞を生体から回収し、これにトランスポゾンベクターを用いて、細胞の多能性獲得に関与する4つの遺伝子を導入することにより、上記細胞株の作出を行った。その結果、生殖系列への寄与が確認できたウシ人工多能性幹細胞株および栄養膜細胞の特徴を備えた人口栄養膜細胞株の樹立に成功した。
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伸長胚選別によるウシES細胞キメラ作出の効率化
研究課題/領域番号:23380169 2011年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
古澤 軌, 木村 康二, 松山 秀一
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
[ウシES細胞の高品質化]
幹細胞マーカーであるPOU5F1の発現量をTet-onシステムで調節可能なウシES細胞株を樹立した。
①キメラ形成能を調べるため、DiIで蛍光標識したES細胞を5個注入した8-16細胞期のマウスあるいはウシ胚をドキシサイクリン(Dox)存在(1μg/ml)、非存在下で培養し、胚盤胞期胚における局在を調べた。8細胞期のマウス胚をホストとした場合、3株中2株において、Dox 存在下の方がICM(inner cell mass)に局在する割合が1.8-3.2倍有意に高かった。Doxの添加時間を0、12、24、及び48時間に設定して局在を比較したところ、24時間ではICMへの局在が2倍以上に増加するものの、それ以上の添加は効果が認められなかった。8-16細胞期のウシ胚をホストにした場合もDox添加24時間でICMへの局在及び取り込みがそれぞれ2倍以上に増加したが、48時間以上の添加は胚発生に悪影響が認められた。TE(trophectoderm)への局在も増加したことから、Dox添加によるPOU5F1の上昇は細胞の未分化性よりも生存性の維持に影響を与え、寄与率が増加したと考えられた。
②ウシES細胞とマウスES細胞を2日間単独、あるいは混合培養したマトリゲルビーズをDoxを徐放的に放出する浸透圧ポンプとともにヌードマウスに移植し、3週間後に腫瘍を回収して、蛍光観察及び免疫組織学的解析によりテラトーマ形成能を調べた。ウシES細胞のビーズを単独、あるいはマウスES細胞と隣接して移植した場合、ウシES細胞由来の奇形腫形成が認められたものの、特定の細胞系譜へ分化した像は観察できなかった。一方、両者を混合培養したビーズを移植したところ、マウスES細胞由来のテラトーマ中にウシES細胞由来の上皮、神経叢、血管内皮、及び腺組織が認められたことから、分化誘導をサポートする組織が存在することにより三胚葉に分化し得ることが確認された。 -
プリン塩基代謝がウシ胚発生に及ぼす影響とそのメカニズムの解明
研究課題/領域番号:23580398 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木村 康二
配分額:5460000円 ( 直接経費:4200000円 、 間接経費:1260000円 )
本研究ではプリン誘導体のウシ胚発生に及ぼす影響について検討した。de novo プリン合成を抑制したところ、ウシ胚の胚性ゲノム活性化以前(8細胞期前)では胚発生に影響を与えなかったが、胚性ゲノム活性化後は胚発生が著しく低下した。さらに、この抑制効果はプリン誘導体(アデニン、ヒポキサンチン)の低下により回復することが示された。以上の結果から、胚性ゲノム活性化後はde novoプリン合成は胚発生に必要であることが示唆された。しかしながら過剰なプリン誘導体の存在は発生に悪影響を及ぼす(特にアデニン)ことが明らかとなった。さらに過剰なアデニンは核の断片化を誘起することが示された。
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ウシインターフェロンタウの性に依存した分泌動態メカニズムの解明
研究課題/領域番号:20580333 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木村 康二
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
ウシ妊娠認識物質であるインターフェロンタウ(IFNτ)の胚における発現はその性に依存していることが知られている。この特徴的な分泌動態はIFNτ遺伝子の発現を制御している転写因子自体の遺伝子発現の性による違いによって引き起こされているものではなかった。しかしながら、DNAメチル化酵素の一つである、Dnmt3aの遺伝子発現は雌胚に比べ雄胚で有意に高く、また、DNAメチル化酵素阻害剤である5-azadeoxycitidineの培養液への添加により、ウシ胚からのインターフェロンタウ生産の雌雄差が消滅した。以上の結果から、ウシ胚ゲノムDNAのメチル化がこの現象に大きく関与していることが示唆された。
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グルコース代謝がウシ受精卵の雌雄比率に及ぼす影響に関する研究
研究課題/領域番号:16780208 2004年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
木村 康二
配分額:3700000円 ( 直接経費:3700000円 )
1.屠場由来卵巣から卵子を吸引し、体外成熟・受精・培養を行い、授精3日目に8細胞期胚を得て以下の実験に供試した。
(1)3種のグルコース濃度(1、2.5及び4mM)のmSOF培地中で胚を培養し、媒精後8日目に胚盤胞期まで発生した胚を回収し、PCR法によって性を判定した。2.5mMまでの培養液へのグルコース添加は発生率には影響を及ぼさなかった。しかしながら、性比は2.5mMのグルコース添加でも有意に雄に偏ることが示された。
(2)3種類の培養液(無糖mSOF、5.56mM グルコース添加mSOF、5.56mM フルクトース添加mSOF)で培養し、媒精後8日目に胚盤胞期に発生した胚を回収し、PCR法によって性を判定した。5.6mMのグルコース添加は発生率を有意に低下させた。しかしながら、フルクトースの添加は発生率を低下させることは無かった。性比も同様にグルコースでは有意に雄に偏ったがフルクトースではこの偏りが見られなかった。
(3)種々の濃度のG6PD阻害剤(DHEAまたは6-AN)を含む4mMグルコース加mSOF培地中で胚を培養し、媒精後8日目に胚盤胞期に発生した胚を回収し、PCR法によって性を判定した。グルコースの添加により生じた性比の偏りは、G6PD阻害剤の添加により消失した。
以上の結果から、8細胞期胚以降に見られる性比の偏りはグルコースの存在により生じ、これは解糖系ではなくペントースリン酸系へのグルコースの流入によって生じることが明らかとなった。
2.屠場由来卵巣から卵子を吸引し、体外成熟後、グルコース存在下で授精を行い、媒精後6または18時間後に卵を取り出し、培養に供した。媒精後72時間に8細胞期に発生した胚を回収し、その性をPCRにより決定した。その結果、媒精中のグルコースの添加は、卵の受精に悪影響を及ぼしたが、性比に影響を及ぼすことはなかった。以上の結果から受精および前核形成時のグルコースの存在は性比に影響を及ぼさないことが明らかとなった。