共同研究・競争的資金等の研究 - 植竹 智
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純レプトン原子の精密レーザー分光で拓く標準理論精密検証と新物理探索
研究課題/領域番号:24H00023 2024年04月 - 2029年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
植竹 智, 下村 浩一郎, 山崎 高幸, 田中 実
配分額:203970000円 ( 直接経費:156900000円 、 間接経費:47070000円 )
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冷却極性分子の量子操作による電子の永久電気双極子モーメント探索
研究課題/領域番号:20KK0068 2020年10月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
増田 孝彦, 吉村 浩司, 植竹 智
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
ThO分子を用いた電子双極子能率の高感度探索のための光検出モジュールとして、silicon photomultiplierを用いたモジュールの開発を進めている。本年度は特に、光クロストークの抑制法について中心的に研究開発を進めた。本研究以外でもSilicon photomultiplierは光クロストークが問題になることがあるが、本研究においては、最も重要な光子数分解能に悪影響を与えること、背景光を抑制するための干渉型波長選択フィルタによって劇的に増えてしまうことから、特別な対策が必要となった。
光クロストークの抑制に吸収型波長選択フィルタの導入が効果的であることがわかったため、さまざまなフィルタを比較することで系統的に調べ、最適なフィルタを選定した。本結果をまとめたものを原著論文として投稿中である。
そのほか、25mmという比較的大面積のセンサをー20度まで冷却して使用することを踏まえ、安定して冷却するための設計開発を進めた。主に冷却に使用する電子冷却器や熱伝導グリーズの選定などである。冷却試験においては実際に光を入射する事でsilicon photomultiplierの発熱も模擬し、本実験で期待される光量が入射しても温度上昇による悪影響はないことが確認され、冷却部の設計はほぼ固まった。一方で、電子冷却器の制御に用いるコントローラからのAD変換に伴うノイズが予想よりも大きく、改善が必要である。
読み出し部のアンプは基礎設計、試作が完了したところである。来年度にノイズ、リニアリティ等の評価を行う。 -
純レプトン原子のレーザー分光による電弱統一理論精密検証と新物理探索
研究課題/領域番号:19H05606 2019年06月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
植竹 智, 山崎 高幸, 下村 浩一郎, 吉田 光宏, 吉村 太彦
配分額:200590000円 ( 直接経費:154300000円 、 間接経費:46290000円 )
ミューオニウムの精密レーザー分光に必要な(1)ミューオニウム生成標的,(2)狭線幅・高出力244nmレーザーシステム,(3)2S励起ミューオニウム検出システムの独自開発・改良を進めた.ミューオニウム生成標的開発では,レーザー加工を施したシリカエアロゲルの形状最適化を進め,長時間安定に高効率のミューオニウム生成が可能な標的の開発に成功した.狭線幅・高出力レーザーシステム開発では,出力30mW程度の狭線幅マスターレーザーを数段の光パワーアンプで増幅する方式を採用した連続波発振(CW)レーザーシステムの開発,アンプしたCW光をパルス増幅するTi:Sapphireパルスレーザーシステムの開発,マスターレーザーの光周波数計測および周波数安定化を行うエルビウムドープ光ファイバーコムシステム開発,ファイバーコムへマスターレーザー周波数を位相同期させる光位相同期システム開発,などを進めた.CW光パワーアンプの出力は目標とする5W以上を達成した.Ti:Sapphireパルスレーザーシステムでは9mJと言う高いパルスエネルギーを得られている.出力光の周波数線幅はほぼフーリエ限界の約5MHzであり,過去の研究で用いられたレーザーよりも狭線幅を実現した.ファイバー光コムシステムは1ヶ月以上にわたり安定してコム発振が可能であることを確認しており,長時間の連続運転が必要なレーザー分光実験で問題なく使えることを示した.2S励起ミューオニウム検出システムでは,真空装置のアライメント微調整を進めることで,従来よりも33%検出効率を向上することに成功した.
また,ミューオニウム基底状態の超微細分裂マイクロ波分光実験では,J-PARCの大強度パルスミュー粒子ビームを用いたゼロ磁場での分光実験およびデータ解析を進めた.並行して数テスラの磁場を印加可能な超伝導電磁石や,大強度ミュー粒子ビームに対応した高レート耐性検出器の独自開発を進めた. -
純レプトン原子のレーザー分光による電弱統一理論精密検証と新物理探索
研究課題/領域番号:19H00687 2019年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
植竹 智, 山崎 高幸, 下村 浩一郎, 吉村 太彦
配分額:45760000円 ( 直接経費:35200000円 、 間接経費:10560000円 )
本研究は,レプトンのみからなる水素様純レプトン原子(ミューオニウム: Mu)の精密分光により,電弱統一理論の精密検証および新物理の探索へ向けた開発研究を行う.低エネルギー領域(O(1eV))の精密計測技術を駆使して電弱スケール(O(0.1~1TeV))の新物理を探索することを長期目標に据え,そのための第1ステップとして重要な,(1) Muの1S-2S間遷移周波数の精密二光子レーザー分光を3年間で遂行し,実験精度を先行研究より3桁向上させることが目標である.これにより,基礎物理定数であるミュー粒子質量の決定精度をCODATA2014推奨値より20倍向上させることを目指す.また,(2) 荷電束縛系のエネルギー準位に電弱効果が及ぼす影響を,摂動2次の項まで取り入れた高精度理論計算を行う.
平成31年度(令和元年度)は研究準備のため,実験に必要な装置の購入を進めた.また,限られたービームタイムを有効利用し精度の高い結果を出すためには,ミューオニウムのレーザー分光システム開発を加速器運転と独立に進められることが望ましい.このため,水素原子を用いた1S-2S二光子レーザー分光装置の開発に着手した.ミューオニウムは水素原子の同位体と見なすことができ,エネルギー準位などの構造はほぼ同じである.ミューオニウムの二光子レーザー分光に用いる検出器 (低速ミューオンビームライン) を使って水素原子の1S-2S二光子レーザー分光を行うことで,ミューオニウムのレーザー分光に必要な周辺機器や自動制御プログラムなどの開発を進める.水素原子の生成は,水素分子を2.45GHzマイクロ波共振器を用いた放電チューブに通すことで得る.すでに水素原子発生に成功し,既設の色素レーザーを用いた1S-2S二光子レーザー分光に成功した. -
アト秒ナノメートル領域の時空間光制御に基づく冷却原子量子シミュレータの開発と量子計算への応用
研究課題/領域番号:JPMXS0118069021 2018年12月 - 2028年03月
文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)
担当区分:研究分担者
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研究課題/領域番号:16813691 2016年 - 2019年
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
植竹 智
本研究では、光と原子集団のコヒーレント相互作用を究極的に制御することで、弱い相互作用を含む電弱過程の人為操作を可能とする新技術開発の基礎を固めます。研究期間中の目標は、非常に微弱なQED過程-磁気双極子放射や電気四重極放射、そしてそれらを含む多光子放射過程-の発生レートを大幅に増幅し観測することで、新技術の原理実証を行います。
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マクロコヒーレンスによる電弱過程の人工制御:ニュートリノ質量分光に向けて
研究課題/領域番号:15H03660 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
植竹 智, 吉村 太彦
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
光子随伴ニュートリノ対放射過程(RENP過程)発見によるニュートリノの性質詳細解明を目指し,以下の基礎研究を進めた:(1)マクロコヒーレント増幅機構の理解を深め,二光子対超放射(PSR)や多光子放射など高次の量子電気力学過程を制御する実験手法開発につなげる;(2)RENP過程に最適な高密度・低位相緩和の性質を併せ持つ標的を開発する.PSR過程の最適化により二光子放射レートを18桁以上増幅することに成功し,固体パラ水素結晶において入射光の10倍以上の長い時間に渡りコヒーレンスが成長する現象を観測した.RENP過程に適した標的としてXeガスに注目し,マクロコヒーレンス生成用光源開発などを進めた.
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二光子レーザー開発を目指した,二光子遷移レートの人為的操作方法の探索
研究課題/領域番号:24654132 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
植竹 智
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
本研究の目標は,原子・分子集団からの二光子放射レートを人為的に増強し,二光子レーザー発振実現に向けた基礎研究を進めることである.研究の鍵を握るのは,原子・分子集団間の共同効果を利用した二光子放射レートの人為操作である.本研究では,1立方センチあたり10の20乗個の密度であるパラ水素分子に高いコヒーレンスを誘起することに成功した.また,このコヒーレンスを用いて二光子遷移レートを増強することに成功し,水素分子の振動励起状態からの二光子放出の観測に成功した.自然放出に比べた二光子放出レートの増幅率は10の18乗以上であり,二光子レーザー発振の実現に向けて研究が大きく進展した.
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研究課題/領域番号:21104002 2009年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
笹尾 登, 中野 逸夫, 吉村 太彦, 福見 敦, 若林 知成, 田中 実, 桂川 眞幸, 南條 創, 川口 建太郎, 唐 健, 久保園 芳博, 谷垣 勝己, 中嶋 亨, 吉村 浩司, 吉見 彰洋, 植竹 智, 久間 晋, 谷口 敬, 南條 創
配分額:411840000円 ( 直接経費:316800000円 、 間接経費:95040000円 )
「マクロコヒーランス増幅」は原子を用いたニュートリノ質量分光計画にと極めて重要な増幅機構である。本研究の最大の成果は、水素分子振動励起状態(v=1)からの二光子放射過程を用いて原理検証実験を行い、期待通りの結果を得たことにある。具体的には、断熱ラマン過程を用いて振動励起準位に励起し、二光子コヒーラント放射が観測された。この結果自然放射過程に比較し、15桁以上の巨大な増幅効果が確認された。これにより原子を用いたニュートリノ質量分光の道を大きく切り開くことが出来た。この他、多様な原子分子を用い超放射過程の詳細研究や位相緩和の研究などニュートリノ質量分光に対する基礎研究を行った。