共同研究・競争的資金等の研究 - 森 也寸志
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地球陸域最大の炭素貯蔵庫「土壌」の構造進化に基づく最適土壌環境の解明
研究課題/領域番号:24H00057 2024年04月 - 2029年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
森 也寸志, 松本 真悟, 前田 守弘, 登尾 浩助, 齊藤 忠臣, 井手 淳一郎, 宗村 広昭
配分額:151320000円 ( 直接経費:116400000円 、 間接経費:34920000円 )
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微小・低重力環境下における高効率保水・有機質土壌の生成と展開
研究課題/領域番号:23K17386 2023年06月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
森 也寸志, 前田 守弘, 登尾 浩助, 齊藤 忠臣, 珠玖 隆行, 宗村 広昭
配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )
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天然ラテックスによる土粒子団粒化促進メカニズムの理解と土壌流亡抑制技術への展開
研究課題/領域番号:22K19224 2022年06月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
宗村 広昭, 狩野 旬, 森 也寸志
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
圃場から水域への土壌流亡(炭素流亡)は世界的環境問題であり過去60年以上の研究蓄積にも拘わらず未解決である.本研究は天然ゴムラテックス(以下,天然ラテックス)の特性・利点(高い凝集能,カーボンニュートラルなど)を生かし問題解決に挑戦する.現状では天然ラテックスによる土壌流出特性や土壌環境変化とそれらの制御に関する研究は殆どない.研究チームは,水文学,土壌物理学,固体化学を専門とし,天然ラテックスによる土壌物理化学特性変化や土壌流亡抑制(炭素貯留)効果を評価する.
令和4年度はタイ2圃場から採取された土壌(Sandy loam,Red clay)とタイ産の天然ラテックスを用いて実験を実施した.輸入した土壌量が限られるため小型の実験装置を構築した.構築した実験装置を用いて,降雨強度20㎜/hと50mm/hの条件下において,表面流出量と浸透量を計測し,天然ラテックス混和の有無および土壌種類の違いによる影響を評価した.その際,時間経過による影響も評価するため,24時間経過後に同一実験を繰り返した.
その結果,降雨強度20mm/hの場合,天然ラテックスを土壌に混和することで,表面流出量が減少し,浸透量が増加する傾向が伺えた.特に,Sandy loamでその傾向が顕著に観測された.また24時間経過後に実施した実験においても同様の傾向であった.一方,降雨強度50mm/hの場合では,表面流出量の方が浸透量よりも顕著に大きく,天然ラテックス混和の有無による差異は小さいことが分かった. -
植物根成孔隙マクロポアを活用した有機物蓄積と温室効果ガスの排出削減
研究課題/領域番号:21H04747 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
森 也寸志, 松本 真悟, 前田 守弘, 金子 信博, 宗村 広昭
配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )
土壌カラムの管理の違いに,肥料,排水,マクロポア(粗大間隙)の有無の違いを設け,8管理3反復,24カラムで温室効果ガスの発生の違い設けると,肥料を投入しメタンが発生しやすい状況でも,排水が有り,マクロポアがあるときにメタンガスが有意に減少する成果を得た.同様に,牛ふん堆肥および3畜種混合堆肥を施用した土壌からのCO2, N2O発生を調べたところ,土壌NH4-N含量が高い場合には発生抑制が生じることがわかった.また,生ゴミ堆肥を施用した土壌からのCO2, N2O, CH4発生は堆肥化期間が長い方が少なくなることがわかった.
一方,自然環境下で耕起と不耕起草生栽培1年目の農地で土壌の比較を行い,不耕起草生栽培では土壌表層の炭素隔離が進行し,可給態の栄養塩,特に有効態リン酸が耕起栽培の3倍程度の濃度に増加することが明らになった.イネは,カリウムとケイ酸が不足した条件下でも,他の作物に比べてカリウムとケイ酸を効率的に吸収した.そして,高活性なアルミニウムは根圏にとどまり,有機物と結合して,難分解性の土壌炭素を生成した.ケイ酸を強力に吸収する植物は,鉱物風化によって活性アルミニウムを増加させる役割を担っており,土壌中の炭素蓄積に寄与していると考えられた.
土壌環境における水利用効率を最大にするため,流域(広域)レベルで水資源量の空間分布およびその季節変動を評価した.その中で土壌内への炭素貯留に大きな影響を持つ畑地,水田,プランテーションにおけるバイオマスの変動を中心に解析を進めた.また人為的な土地利用の変更が広域でのバイオマス量に与える影響について考察を進めた. -
フィリピン及び日本の棚田群の劣化プロセスの解明と生態工学的保全手法の構築 国際共著
2020年11月 - 2022年10月
住友財団 環境研究助成金 課題研究:深刻化する環境問題の理解および解決のための学際研究または国際共同研究
森 也寸志, 宗村広昭, 前田守弘, Milagros O. How, Pearl B. Sanchez
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微小重力から過重力条件における多孔質体中の水分移動に対する統一理論の構築
研究課題/領域番号:20K20300 2017年06月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓) 挑戦的研究(開拓)
登尾 浩助, 溝口 勝, 加藤 雅彦, 小島 悠揮, 森 也寸志
配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )
前年度の実施した微小重力条件下における様々な実験結果の整理を主に行った。国際学会で口頭とポスターを合わせて6件の発表と国内学会において口頭とポスターを合わせて6件の発表を行った。さらに、これまでの研究成果をもとにして、卒業論文1編と博士論文1編が提出された。発表題名は、Capillary force under microgravity estimated from Hagen-Poiseuille equation, Similarity of water movement in porous media under the conditions of microgravity and hydrophobicity, Effects of shapes of pore throat on water infiltration under microgravity, Challenges to understanding water imbibition under microgravity by numerical simulation, 微小重力下における接触角測定のための2 m落下施設の適用性, 重力の変化と粘性の関係, 単一間隙内の水分挙動に対する間隙形状および接触角の影響, 重力の変化が水の粘性に与える影響, 低重力下における不飽和多孔質体中の水分移動速度, Measurement of surface tension under microgravity with the maximum bubble pressure method, The behavior of liquids in porous media with different particle size under variable gravity, 多孔質体中の浸潤速度と重力の関係であった。
また、野川健人. 2019. 多孔質体中の浸潤に関わる水の粘性、接触角の重力依存性の評価. 明治大学農学部農学科卒業論文.(未発表)と佐藤直人. 2019. 多孔質体中の水分挙動の重力依存性. 明治大学大学院農学研究科2018年度博士学位請求論文が提出され、受理された。 -
地球陸域表層で土壌有機物が分解を逃れ蓄積していくメカニズムの探索
研究課題/領域番号:17H01496 2017年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
森 也寸志, 松本 真悟, 金子 信博, 大澤 和敏, 辻本 久美子
配分額:43160000円 ( 直接経費:33200000円 、 間接経費:9960000円 )
土壌流亡は営農に影響を与えるだけでなく,有機物の消失としてもとらえられ,土壌環境に悪影響を与える.透水性の低い層であるクラストの発生がその原因の一つであり,強雨時の雨滴の衝撃,土壌間隙の目詰まりにより生じる.対策として鉛直孔隙に繊維状物質を挿入する人工マクロポアを提案し,流亡対策と成り得るデータが示したが,さらに労力軽減のために線状型マクロポアを提案したのでその効果を報告する.線状マクロポアは従来の穴の代わりに深さ30cm程度の溝を引き,サトウキビ残渣を鋤き込む.線状型マクロポアの下方浸透促進による表面流出・土壌流亡を抑制し,もって表層土壌の保全をすることを研究の目的とした.
供試土として沖縄県石垣島のサトウキビ圃場から採取した土壌をライシメータに充填し,現場と同じ傾斜3%で設置し,時間20㎜の降雨を4時間降らせ,降雨終了24時間後に同様の条件で再度雨を降らせた.対照区として耕起区,植物残渣を表層に残す不耕起区,線状型マクロポア区,中空溝切のみの溝切区を用意し,表面流出,下方排水,土壌水分,流出土砂量を測定した.
実験の結果,表面流出量は耕起区で最も多く,次に不耕起区で多かった.線状型マクロポア区では表面流出は発生しなかった.溝切区では溝構造の崩壊が起こり,まもなく目詰まりを起こした.圃場調査では溝切区において目詰まりが発生することにより表面流出,土砂流出が増加すると推定されていたが、今回の結果から降雨の早い段階で構造そのものが崩壊している可能性が示された.これは現場圃場で観察されていたこととよく一致し,
その際に表層土壌から奪われる有機物の量は,保全的活動で表層土壌で蓄積される有機物量とほぼ同じくらいであることがわかった.土壌の劣化原因として表土流亡が知られているが,有機物の消失についても非常に大きなインパクトを持つことが明らかであった. -
フィリピン棚田群の劣化プロセスの解明と水文学的将来予測による最適環境管理
研究課題/領域番号:17H04484 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
森 也寸志, 宗村 広昭, 辻本 久美子
配分額:15860000円 ( 直接経費:12200000円 、 間接経費:3660000円 )
世界遺産であるフィリピン北部にあるコルディリェーラの棚田群は,地域の伝統的文化を伝え,稲作たる生産基盤,自然の水・物質循環の一部として存在している.しかし棚田の崩壊が深刻化しており,棚田を保全するための適切かつ効率的な営農管理が求められていた.棚田という農地の構造と水・物質循環に注目して研究をしたところ,水を蓄えるために水田下層に形成される耕盤という構造が,棚田を成立させていることがわかった.また,有機物過多の状態であると耕盤を形成することなく湛水が可能になるため,棚田の形成不全,ミネラルの流出などが発生しており,見えないところにある構造の形成と維持が肝要であることが明らかであった.
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渡鳥コハクチョウのもつ営農コスト削減ポテンシャルの検証と湖沼流域への負荷削減効果
研究課題/領域番号:15K07647 2015年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
宗村 広昭, 森 也寸志
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
本研究では,コハクチョウの越冬が冬期湛水水田の田面水や土壌にどのような影響を与えるかを評価し,冬期湛水水田への施肥量削減の可能性を考察することを目的に研究を進めた.現地調査では,コハクチョウの日中行動パターンを観察し冬期湛水水田に滞在する個体数の把握を行った.その際,田面水を採水し,T-PやT-Nなどを分析した.また越冬開始前後の水田土壌を,コハクチョウが帰郷した後(5月)とコハクチョウが飛来する前の水稲収穫後(10月)で採取・分析し,pH,EC,T-N,可給態リン酸,C/N比などを比較した.その結果,水質に関してはコハクチョウの滞在羽数と水質変動について統計的に有意差が確認された.
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人工マクロポアを利用した下方浸透促進による土壌・植生環境の修復と有機物貯留
研究課題/領域番号:26292127 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
森 也寸志, 金子 信博, 松本 真悟
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
人工マクロポアという疑似間隙構造を土壌内に作るとき,充填物に縦方向に長い繊維を使い,充填率30%であったときに最も効果的に下方浸透を促すことができた.土壌カラム実験では,土壌水分と有機物量に逆相関がみられ,栄養塩をよりも水分が有機物分解に影響すること,また,土壌下方にある有機物は酸素が遮断され,かつ水分が減ると上方移動が不能になるため分解を免れる傾向にあり,根や浸透有機物の分解が逆に促進されることはなかった.亜熱帯土壌では畑圃場で地表流の発生が抑制され,結果的に農地土壌の流亡が抑制されることがわかった.このため,分解が優勢な高温化でも有機物については保全傾向が見られた.
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土壌深部への放射性物質の効果的誘導と固定-廃棄土壌を伴わない放射線量低減技術-
研究課題/領域番号:26550067 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
森 也寸志, 登尾 浩助
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
東日本大震災時に発生した福島第一原子力発電所の事故によって,福島をはじめとして複数の地域に放射性物質が降下した.表土はぎや天地返しが除染として有効とされているが,廃棄土壌の扱いは社会問題になっている.そこでブルーベリー畑を対象として,人工マクロポアによって表層にある放射性セシウムをバイパス的に下方移動させて固定し,植物による吸収を回避することを試みた.結果として放射性セシウムを移動させるには,セシウムを溶出させて可動状態にするプロセス,人工マクロポアによる下方移動を促進させるプロセスが必要であるとわかった.さらにカリウムはセシウムの植物による吸収抑制になると考えられた.
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プランテーションのダイナミックモデル開発による持続性評価と地域システムへの展開
研究課題/領域番号:25220104 2013年05月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
藤江 幸一, 橘 隆一, 金子 信博, 後藤 尚弘, 森 也寸志, ウトモ ムハジール, ハサヌディン ウディン, ニスワティ アイニン, 南谷 幸雄, 三浦 季子
配分額:127660000円 ( 直接経費:98200000円 、 間接経費:29460000円 )
環境・生態系への多大なインパクトが懸念される熱帯プランテーションにおいて、サトウキビ、パーム、キャッサバの栽培、加工・精製、排水・廃棄物処理とリサイクルに係る物質フロー分析に加えて、不耕起とバイオマス残渣を併用した保全農法による土壌環境と収穫量に対する効果の実測を行い、1)保全農法は土壌への有機物蓄積、微生物の量と多様化の増加をもたらし、収穫量は慣行法に劣らぬこと、2)加工残渣と排水の飼料化、肥料化、メタン発酵、エネルギー回収等を評価する現場データが蓄積され、3)バイオマス残渣循環システムの有効性を予測・評価するモデル構築が実現し、限られたバイオマス残渣の活用に貢献できる。
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人工マクロポアによる土壌水下方浸透の促進と有機物貯留による劣化土壌環境の修復 国際共著
研究課題/領域番号:GS021 2011年02月 - 2014年03月
日本学術振興会 最先端・次世代研究開発支援プログラム
森 也寸志
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人工マクロポアを用いた土壌水下方浸透の促進と有機物貯留による劣化土壌環境の修復
研究課題/領域番号:23380142 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
森 也寸志
配分額:11180000円 ( 直接経費:8600000円 、 間接経費:2580000円 )
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研究課題/領域番号:21241010 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
金子 信博, 増永 二之, 森 也寸志, 山下 多聞, 小松崎 将一, 高橋 正通, 長谷川 元洋, 太田 寛行
配分額:43160000円 ( 直接経費:33200000円 、 間接経費:9960000円 )
土壌の劣化を引き起こさない農林業における土地利用について,生物多様性とそれがもたらす機能について解析した.森林施業において多様性と土壌構造の変化は少なく,林齢とともに粒度の細かい土壌粒子とミクロ団粒が表層に増えた.農地の耕起は,生物多様性と,団粒に大きな負の影響を与え,不耕起・草生栽培では短期間で土壌が変化し,炭素隔離が観測された.生物が作り出す土壌団粒が土壌の機能を評価する重要な指標である.
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地域の有機性資源と鉄バクテリアを用いたリン資源の循環利用システム
研究課題/領域番号:20380179 2008年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
武田 育郎, 西野 吉彦, 深田 耕太郎, 佐藤 裕和, 宗村 広昭, 森 也寸志
配分額:19760000円 ( 直接経費:15200000円 、 間接経費:4560000円 )
自然水域の底質とともに存在する鉄バクテリア集積物は,リン吸着能を持つ鉄化合物を多く含むので,リン資源の循環利用に重要な役割を果たすことができる。しかしながら自然水域の鉄バクテリア集積物は,容易に水流によって流されてしまう事,また,嫌気性の泥を含む底質からの収集が困難である事などから,有効な利用が行われていない。本研究では,鉄バクテリア集積物を収集する担体を水中に浸漬させ,鉄バクテリア集積物をリン酸肥料又はリン吸着材として利用できる形態で効率的に収集する方法の開発を行った。
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ラムサール条約登録後の中海における汽水域生態系の再生と長期生態学研究
研究課題/領域番号:19201017 2007年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
国井 秀伸, 瀬戸 浩二, 野中 資博, 森 也寸志, 相崎 守弘, 石賀 裕明, 野村 律夫
配分額:46280000円 ( 直接経費:35600000円 、 間接経費:10680000円 )
高度汚水処理法・直接浄化法の開発と,底質処理法(無害化・資源化)の開発を行い,流域統合管理の視点を加えて,流域の管理の違いが水文循環過程に与える影響を評価した.さらに,科学的・普遍的な立場もふまえて,汽水域生態系モニタリングのシステムを研究・開発・構築し,さらに地域と一体となった汽水域の生態系保全活動を行うことを目的に,地域住民との連携による汽水域長期モニタリング法を検討した
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研究課題/領域番号:19580389 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
江口 定夫, 山口 紀子, 藤原 英司, 森 也寸志, 関 勝寿
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
土壌中のコロイド粒子に強く吸着する性質を持ち、環境中に存在する放射性核種(^7Be,^<137>Cs,^<210>Pb)をコロイド粒子のトレーサーとみなすことにより、現場土壌中におけるコロイド粒子の輸送時間及び起源を推定する手法を開発した。この手法により、粘土質土壌の暗渠排水及び砂質土壌の浸透水中のコロイド粒子の起源はいずれも主に表層土壌であること、粘土質土壌中のコロイド粒子輸送時間は約35日であること等を明らかにした。
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土壌中の移流・分散制御による選択的物質輸送を用いた省資源・低コスト土壌環境管理
研究課題/領域番号:18510074 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森 也寸志, 東 直子
配分額:4140000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:540000円 )
自然に存在する土壌にはマクロポアと呼ばれる粗大間隙があり,溶質が迅速に流れ出てしまい,効果的な施肥や薬剤散布を妨げている.そこで土壌が僅かに不飽和になる条件下で溶質移動を行うと分散が卓越し,溶質が正規分布様に土壌全体に分散し,汚染土壌の浄化では効率的に栄養塩を土壌細部に送り届けることが出来た.人工的にこの構造を作ると,浸透を制御できる限りにおいて,湛水を防止し,長期に溶質浸透を可能にできることが明らかになった.
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水田地域における生物生息環境保全のための水土環境診断システム
研究課題/領域番号:16380221 2004年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
武田 育郎, 森 也寸志, 石井 将幸, 木原 康孝, 宗村 広昭
配分額:16070000円 ( 直接経費:15800000円 、 間接経費:270000円 )
島根県東部の水田流域や山地流域などを研究対象にして,生物生息環境,水文環境,水質環境,土壌環境などの観点から農山村の環境要素を調査し,GIS解析に用いる環境要素の定量化と,環境解析やモニタリングのためのいくつかの新しい方法の開発を行った。そして,これらの環境要素をGISの手法を応用して統合化することを試みた。特に生物生息環境については,夏季の農業排水路に生息する水生動物の多様性(魚類・水生昆虫類)と,これに影響を与えると考えられる環境因子との関係を考察し,ほ場整備の完了した水田地区において,魚類,水生昆虫類,水質,水路の物理的環境(水深・流速・水路の護岸部・植生被覆率・水面下の土壌占有率・水路幅)に関する調査を行った。その結果,調査対象地点では,魚類に関しては11種,水生昆虫類に関しては14種の生息が確認され,また,それぞれの調査地点において,魚類,水生昆虫類に区分してShannon-Wienerの多様性指数を算出し,水質および物理的環境との間の関係を明らかにした。そして水生昆虫類に関しては,いくつかの水質指標や,植生被覆率,水面下の土壌占有率,水路幅が重要な環境因子であるとの結果が得られた。一方,循環灌漑を行っている水田流域における水質汚濁物質の物質収支の結果より,年間の汚濁負荷特性の変化には水文条件が主に寄与しており,また,水質浄化機能には,水理学的滞留時間の影響が大きいことなどを明らかにした。このような結果と流域における水循環,物質循環,土壌環境などの研究結果も加えて,農山村の環境要素を評価した。そして,これらの環境情報をGISの手法を応用して統合化し,水田地域における生物生息環境保全のための水土環境診断システムに十分な説得力をもたせるために,主要な環境要素を定量評価し,相互関係について考察した。
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乾燥地の潅漑農地における不攪乱土壌の塩分動態と下方浸透量の計測技術の開発
研究課題/領域番号:16380159 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
井上 光弘, 山本 定博, 猪迫 耕二, 森 也寸志, 取手 伸夫, 東 直子
配分額:15300000円 ( 直接経費:15300000円 )
除塩のため,リーチングに伴う下方浸透量の正確な計測技術の開発が必要である。研究結果をまとめると,次のようになる。
1.誘電率水分計と4極塩分センサーによる測定精度を検討し,水分と塩分の同時測定の新たな校正手法を提案し,灌漑農地の水収支・塩収支を明らかにした。また,塩の影響が少ないTDRセンサーを開発し,塩水点滴灌漑における不撹乱状態の水分・塩分濃度変化の測定から根群域内の塩分動態の特徴を明らかにした。
2.圃場の不撹乱土壌カラム採集器を開発した。団粒構造を持つ黒ボクのコアサンプルを対象に,飽和流および不飽和流の溶質分散長を測定した結果,不撹乱土の飽和分散長は,撹乱土と比べて格段に大きいことを明らかにし,土の構造に基づく水分と溶質流れの特徴を明らかにした。
3.砂丘ラッキョ畑でモノリスライシメータを用いて硝酸態窒素の溶脱試験を行い,圃場の不撹乱状態の土壌構造の違いによる硝酸溶脱の影響を明らかにした。
4.根群域からの下方浸透量をリアルタイムに計測するために,ウィックライシメータと下方浸透水採取装置を開発した。砂地圃場に埋設して,下方への浸透水量と溶液の電気伝導度を測定した結果,浸透水の電気伝導度を自動記録できる下方浸透水採取装置は高い採水効率と有用性を確認した。
5.砂丘圃場でウィックサンプラーの採水試験を行い,採水量,水収支,土壌水分環境に関する長期測定データを解析して,先行降雨,土壌水分プロファイルの初期状態,降雨強度が,ウィックサンプラーの採取に与える影響について検討し,過剰採水の原因と対策を明らかにした。
6.多機能熱パルスセンサーで土壌水分量,電気伝導度,浸透速度を測定して,その適用範囲や限界を明らかにし,有用な土壌環境モニタリング技術を構築した。 -
宍道湖及び中海圏域における農業水管理の変遷と水文・水質環境への影響評価
研究課題/領域番号:09556048 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
福島 晟, 森 也寸志, 武田 育郎
配分額:12900000円 ( 直接経費:12900000円 )
本研究は、斐伊川水系における農業水管理と本地域の今後の水環境の在り方に関し、有用な水文・水質学的情報を提供しうる手法を展開することを基本目的とする。研究実績の概要は以下のとおりである。1.(1)オーダーの異なる流出モデル定数の有効桁を設定した上で、一定の刻み幅でモデル定数を探索する手法を提示し、3種の流出モデルで、その有用性を示した。(2)舗装道路面積や水路網の具備の効果、あるいは地表条件の面積的な分布の効果を貯留型流出モデルに取り入れた流出解析法をUNIX計算機システムで開発した。(2)しかし、洪水氾濫時の流出特性及び取水等の農業水管理状況を組み込んだ解析については、なお流出モデル及び同定手法の改良・検討が必要である。2.(1)斐伊川下流域の循環潅漑水田流域において、水質汚濁物質のフラックスを定量評価した。その結果、流域内での循環水に伴う水質汚濁物質の挙動が、流域内の水質環境に多大な影響を及ぼしうること、また、水田地域の農業水管理の一環として行われている水生植物の水系外への除去や河川底質の浚渫が、流域内の水質環境の改善に寄与する可能性があることを示した。(2)中山間地域の傾斜畑地からの水質汚濁物質に関する基礎的知見を得るため、傾斜ライシメーターを用いた計測を行った。その結果、窒素負荷の削減には慣行性肥料がある程度有効であるが、栽培条件によっては必ずしも負荷削減に寄与しないことを示した。3.(1)水田・畑地・森林から非破壊土壌を採取し,軟X線を用いて土壌の排水過程を解析した。水田・畑地土ともに根成孔隙を中心に迅速な排水が始まり,次いでマトリックスへと排水は進んだ。森林土では,はじめから土壌基質からの排水が卓越した。(2)逆解析によって求めた不飽和透水係数は,飽和から不飽和への移行時に不連続点を生じており,飽和時には粗間隙が水みちとして機能し,次いで土壌基質が排水を担うものと考えられた。
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画像処理による農山村地域の流域数値モデルの表現と洪水流出予測への応用
研究課題/領域番号:08456118 1996年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
福島 晟, 森 也寸志, 武田 育郎
配分額:1700000円 ( 直接経費:1700000円 )
本研究は、流域地形情報をワークステーションを介して流出予測への応用を図ることを基本目的とする。特に、山陰地方の農山村主体の中山間地に視点を置いた議論を展開するため、益田農地造成域、斐伊川流域及び島根大学付属演習林に試験流域を設定した。研究実績の概要は以下のとおりである。1.(1)長短期流出両用モデル及びKiWSモデルを活用して、流域地形効果、不浸透面積率を考慮した解析が可能な流出解析法を提示し、その適用性を試験流域で検討した。(2)UNIXワークステーションによる流出解析プログラムの開発を行い、データ入力から流出解析及びハイドログラフ出力までの一連の解析・図形出力が可能な流出計算システムを構築することができた。2.(1)斐伊川下流の循環潅漑水田流域において、水文循環と溶質の挙動を解析した。そして、水田潅漑期における他の排水系統から導入される水移動量や循環水量、それにその水移動によって移動する物質循環量を、河川底質や水性植物の水質浄化機能などと関連させながら、流域環境の保全の観点から定量評価した。(2)中山間地域の傾斜畑における降水-流出系の特性を把握するための基礎実験として、傾斜ライシメーターによる水文動態を計測した。その結果、浸透流出量は降水量の約60%に相当し、また、積算降水量がある程度まで達しないと地表流出が生じないことを明らかにした。3.(1)水田・畑地・森林で非破壊土壌を採取し,軟X線を用いて土壌中の水移動を解析した。その結果,水田では鉛直方向に卓越した管状孔隙内を,畑地ではネットワークを組んだ管状孔隙内を水が選択的に流れ,レイノルズ数が数十になっており,流れは層流から乱流への遷移状態にあることがわかった。すなわち乱流モデルを取り込んだ新しいモデルが必要であることが示唆された。一方森林では選択的な流れは少ないことが明らかになった。
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トレーサ法を用いた土壌水分移動特性の定量解析
研究課題/領域番号:07760231 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
森 也寸志
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
本研究は,飽和土壌に高圧を加え,そこから排水される水の量の変化から土壌の不飽和透水性を解析する「One-Step Outflow法」と水みちを染色し水移動の経路を明らかにする「メチレンブルートレーサ法」を用いて,土壌中の水移動傾向を調べた。
水田,畑地,森林から非破壊土壌を採取し,トレーサを用いた透水・排水試験を行った。透水試験においては水みちが透水性に優れたマクロポアに限られること,さらにそのマクロポアも全土壌マクロポアの中のごく一部であることが明らかになった。従来バイパス流として土壌体の一部を水が優先的に流れる現象の報告はあったが,それが通水性に優れるマクロポアの中でもごく一部に限定されることを初めて示すことができた。
排水試験においても土壌からの排水は土壌間隙構造に影響された形態をもつことが明らかになった。水田土壌においてはまず鉛直に,次いで水平方向のマクロポアより排水が進み,最終的に土壌マトリックスから排水が進んだ。畑地も同様にマクロポアからマトリックスへという排水順序が存在した。土壌団粒の発達した森林土壌では両者の区別はほとんどつかなかった。
土壌中の水移動そのものに焦点を当てる研究手法により土壌内部で複雑な水移動が行われていることが明らかになった。今後水分測定するセンサー部をさらに小さくするなどの工夫をすることで,より精度の高い実験ができるものと考えられる。 -
低平水田地帯の農業水利再編計画に関わる水文・水質環境の診断モデル
研究課題/領域番号:07556106 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 試験研究(B) 試験研究(B)
福島 晟, 森 也寸志, 武田 育郎
複雑な水田用排水系統が形成されている斐伊川下流域では、農業水利再編計画が検討されている。本研究はこうした農村地域の水文・水質環境の定量的・工業的な診断手法の検討を基本目的とする。そして、実態観測を踏まえつつ、潅漑排水計画に関わる雨水流出システムモデル、斐伊川水系の水源部から下流部までの水質環境についての調査診断、圃場レベルでの水質環境と水循環機構との関連を中心に検討した。研究実績の概要は以下のとおりである。1.(1)丘陵山地部をも包含した複数地目から構成される農村地域からの雨水流出システムに対し、KiWSモデルを活用したFORTRAN77による流出計算プログラムの作成、及び(2)流域地形効果を反映して発生させた遅延降雨系列を長短期流出両用モデルに利用するという流出解析法を提示し、その有用性を検証した。2.排水河川水のみを循環潅漑している水田地域を対象として行った水文水質調査に基づき、汚濁物質の収支及び流域のもつ水質浄化機能についての考察、また水生植物群落による浄化量を検討した。その結果、年間の流出量あるいは浄化量は、窒素は16.3kg/ha/yの流出、リンは1.14kg/ha/yの浄化、CODは26kg/ha/yの浄化となった。水生植物群落内の浄化量は、負荷量のフラックスに比べて小さかった。この理由として、河川の面積が流域面積の約1%しかないことが考えられた。3.TDR土壌水分測定装置を用い土壌中の水移動を測定した結果、土性、密度、温度、塩分濃度、プローブのタイプなどによらず一つのキャリブレーションカーブで水分量を測定できることが確認された。また、本測定装置は土壌中に埋設された金属に瞬間的に与えられた電気パルスの伝達速度や波形の衰弱から土壌の電気伝導度を測定するため測定時間が短く、かつ土壌体を破壊することなく水分量が測定可能であることから、圃場レベルでの水・物質移動に着眼した水循環機構に関する実用的な実態調査が可能と判断した。
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軟X線を用いた土壌の間隙構造・透水現象の可視化システム開発に関する研究
研究課題/領域番号:04556033 1992年 - 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 試験研究(B) 試験研究(B)
丸山 利輔, 森 也寸志, 堀野 治彦, 渡邉 紹裕, 久馬 一剛
配分額:18100000円 ( 直接経費:18100000円 )
本研究は、土壌中の水や物質の移動を支配すると思われる粗間隙に注目し、間隙構造の把握とそれが水の透水性や保水性に及ぼす影響の定量的評価を目的として進めた。とくに、従来、十分な知見が得られていなかった土壌内部の間隙構造を、軟X線を用いた非破壊検査技術を応用して写真撮影し、ステレオ撮影及び画像処理によって、その3次元構造を可視化し、またその3次元座標を同定し構造を定量評価するシステムを開発した。また、こうした間隙構造の把握とともに、間隙における透水現象や排水現象を、同様に可視化し、さらに間隙構造との関係を評価するシステムを構築した。当初計画したシステムの基本部分は構築でき、それによって土壌粗間隙の構造とそこでの透水現象について、新しい知見が得られたと考える。
主要な具体的成果を整理すると以下のようになる。土壌粗間隙中の水移動過程では、根成孔隙に沿った速いバイパス流が発生し、その経路は動水勾配によって変化することがわかった。また、土壌からの排水は土壌間隙構造に対応した順序があることがわかった。FTTによって土壌粗間隙の方向性・周期性を定量的に評価した。さらに、間隙構造の3次元表示に及ぼす撮影システムの条件を検討した上で、ステレオフィルム影像から、土壌孔隙の三次元座標を計算するシステムを試作し、針金を孔隙に代用した疑似孔隙のステレオ影像に適用して、開発したシステムの精度と有用性を確認した。そして、土壌の間隙構造を3次元表示するシステムを開発し、3次元構造を定量評価し、この数値情報を用いて、土壌孔隙径の頻度分布と土壌孔隙の方向別分布を求めて、土壌間隙構造を定量的に扱うことが可能となることを示した。