共同研究・競争的資金等の研究 - 尾﨑 敏文
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治療抵抗性肉腫における免疫微小環境の空間的解明と新規治療法への展開
研究課題/領域番号:24K02566 2024年04月 - 2028年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
藤原 智洋, 冨田 秀太, 山元 英崇, 冨樫 庸介, 尾崎 敏文, 近藤 彩奈, 長谷川 翼
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
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難病における病的バリアントに特有な疾患進行メカニズムの解明
研究課題/領域番号:24K10453 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
濱田 全紀, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 山田 大祐
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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軟骨再生による変形性足関節症に対する新規治療の開発
研究課題/領域番号:24K12374 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
雑賀 建多, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 高尾 知佳
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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難治性肉腫における融合遺伝子の機能解明とタンパク質立体構造に基づく治療薬開発
研究課題/領域番号:24K12375 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
黒住 尭巨, 澤田 隆介, 藤原 智洋, 細野 祥之, 尾崎 敏文
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
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肉腫における腫瘍内免疫環境の細胞間ネットワーク機構解明を基盤とした治療法の開発
研究課題/領域番号:23K18329 2023年06月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
尾崎 敏文, 藤原 智洋, 近藤 彩奈, 吉田 晶
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
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変形性股関節症に対する軟骨再生の新規治療の開発
研究課題/領域番号:23K08590 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山田 和希, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 高尾 知佳, 山田 大祐
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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脊椎脊髄腫瘍に対する腫瘍融解ウイルス療法の確立
研究課題/領域番号:23K08589 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
魚谷 弘二, 吉田 晶, 尾崎 敏文, 藤原 智洋, 田澤 大, 三澤 治夫, 小田 孔明
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
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脂質代謝による翻訳制御を標的とした横紋筋肉腫の革新的治療法の開発
研究課題/領域番号:23K08678 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
板野 拓人, 中田 英二, 藤村 篤史, 尾崎 敏文
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
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内在性カテコラミン合成経路を標的とした悪性末梢神経鞘腫瘍の新規治療方法の確立
研究課題/領域番号:23K08698 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
片山 晴喜, 中田 英二, 藤村 篤史, 尾崎 敏文
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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肉腫における体液分子診断技術の統合的開発と循環分子の新規治療標的としての検証
研究課題/領域番号:22H03202 2022年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 藤原 智洋, 近藤 宏也, 畑 利彰, 吉田 晶, 杉原 進介
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AIによる骨腫瘍X線画像読影システムの開発と臨床研究
研究課題/領域番号:22579674 2022年04月 - 2027年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構研究費 (2022年度・一次)小児用医療機器の実用化を目指す医師主導治験・臨床研究
尾崎敏文、長谷井嬢、中原龍一、大塚裕次朗
担当区分:研究代表者
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肉腫における体液分子診断技術の統合的開発と循環分子の新規治療標的としての検証
研究課題/領域番号:23K24461 2022年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 藤原 智洋, 近藤 彩奈, 長谷川 翼, 畑 利彰, 近藤 宏也, 杉原 進介, 吉田 晶
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
骨軟部肉腫には有用な血中バイオマーカーに極めて乏しく、予後改善を妨げている。歴史的には、骨軟部肉腫の一部に特異的な融合遺伝子が発見されたことで組織診断の精度は向上したが、これまで血液を用いた非侵襲的な方法は開発されていなかった。本年度は、腫瘍分泌サイトカインの体液診断法への応用の可能性について検討を行った。本施設で手術治療を行った粘液線維肉腫(MFS)患者22名、未分化多形肉腫(UPS)患者20名における、治療前血清中サイトカインA濃度を健常人を対象に計測した。ヒトMFS細胞株(NMFH1)、ヒトUPS細胞株(NCC-UPS1-C1)からのサイトカインAの分泌を時間および細胞数依存的に解析した。また、MFS・UPS組織における腫瘍関連マクロファージ(TAM)の浸潤割合を解析した。UPS群、MFS群の血清中サイトカインA濃度は、それぞれ健常人に比べ有意に高値を示した(p<0.05)。MFS・UPS細胞株からのサイトカインA濃度は細胞数・培養時間依存的に上昇した。また、UPS群、MFS群におけるTAMは腫瘍組織において、それぞれ約20-30%の浸潤が確認された。以上の結果から、浸潤性軟部肉腫はサイトカインAを分泌し、血流にのって腫瘍微小環境にTAMを誘導している可能性が示唆された。TAMは悪性腫瘍での腫瘍微小環境において、血管新生や転移、抗アポトーシス効果などで腫瘍の増殖を加速させる因子となっている。血中サイトカインA測定により、TAM誘導の程度や腫瘍進展の可能性を予測し、TAMを標的とした治療選択に応用できる可能性があると考えられた。
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関節軟骨の光in vivoイメージング技術の開発
研究課題/領域番号:22K09332 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
鉄永 智紀, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 高尾 知佳, 山田 大祐
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
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新しい軟骨移植素材を用いた軟骨再生の開発
研究課題/領域番号:22K09356 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
宮澤 慎一, 中田 英二, 尾崎 敏文, 高尾 知佳, 山田 大祐
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
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骨肉腫肺転移に対する新規分子標的治療の開発
研究課題/領域番号:22K09401 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 高尾 知佳, 山田 大祐
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
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新規肉腫モデルを用いた肉腫発生メカニズムの解明と治療標的分子同定の試み
研究課題/領域番号:22K09378 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
上原 健敬, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 高尾 知佳, 山田 大祐
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進行軟部肉腫に対する二次治療における標準治療の開発のための研究
研究課題/領域番号:22578875 2022年04月 - 2025年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構研究費 令和4年度革新的がん医療実用化研究事業一次公募(領域6-2)希少がんの標準的治療法の開発に関する臨床研究
担当区分:研究分担者
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悪性軟部腫瘍におけるPRRX1の機能解析とその新規薬物療法への応用
研究課題/領域番号:21K07178 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
たき平 将太, 中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 山田 大祐
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
我々は転写制御因子Paired related homeobox 1(PRRX1)について研究を行ってきた。PRRX1は四肢骨格形成に強く関与しているが、腫瘍の悪性化に関与するとの報告がある。オープンデータベースの解析にて悪性軟部腫瘍の1つである悪性末梢神経鞘腫(MPNST)においてPRRX1が比較的高発現していることを見出した。ヒト腫瘍検体においてPRRX1の発現の多寡を免疫染色にて確認し高発現/低発現と群分けし予後と肺転移について相関を評価したところ、高発現グループにおいて5年生存率は低く、転移率も高い結果となった。次にレンチウイルスベクターを用いてPRRX1に対するshRNA(shPRRX1)をヒトMPNST細胞株に導入、PRRX1の発現を抑制した細胞株を作製し、対照群(空ベクター導入群)とshPRRX1導入群間で増殖能、遊走能、浸潤能を検討したところ、増殖能・遊走能・浸潤能いずれも低下する結果となった。次にPiggybac systemを用いてPRRX1をドキシサイクリン依存的に過剰発現させるヒトMPNST細胞株を樹立した。対照群(ドキシサイクリン未処理群)とPRRX1過剰発現群(ドキシサイクリン処理群)間で増殖能、遊走能、浸潤能を検討したところ、PRRX1過剰発現群では増殖能に変化はなく、遊走能、浸潤能は増加していた。次に、PRRX1の発現を抑制した細胞株と対照群、それぞれの細胞株をマウスに皮下移植を行ったところshPRRX1導入群では腫瘍径は有意に縮小していた。本研究によりPRRX1は腫瘍悪性化の原因の可能性が示唆され、その働きを阻害する薬剤を見いだすことで、本来治療が困難なことが多いとされる軟部肉腫に対する新規治療法となり得る可能性が考えられた。本研究では悪性腫瘍のメカニズムの一端を解明しうるだけでなく、新規創薬開発の点においても非常に重要性が高いと考える。
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人工知能による物体検出を用いた原発性悪性骨腫瘍X線読影システムの開発と臨床応用
研究課題/領域番号:21K09228 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
長谷井 嬢, 中原 龍一, 尾崎 敏文
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
今回の研究では、臨床応用まで見据えた計画としたいため、研究目標として薬事承認を目指すこととした。そのために必要な、国内臨床試験(性能試験)を予定することとなった。そのため、研究をプログラム開発のための探索フェーズと、臨床試験フェーズ(薬事申請提出用データ)に分けて設定することとした。そのため、倫理委員会の申請も分けて行うこととし、岡山大学内にある新医療開発センターへ相談し、倫理委員会の申請から分けて行うことした。新規の倫理委員会申請書類を作成し、新医療開発センターによる書類のレビューを行い申請を行った。また、データ提供いただいている研究協力施設(近畿大学病院、弘前大学附属病院、金沢大学付属病院、大阪国際医療センター、水島中央病院)へも新規に倫理委員会申請となることを説明し了解を得て、これまでの研究については一旦終了扱いとして、新規に当院の認定倫理委員会で一括審査を行っている。また、臨床使用を目指すため、画像データはこれまでの研究ではPNGデータで開発を行ってきたが、DICOMそのもののデータを匿名化したもので再度開発を開始する体制を構築した。匿名化のステータス確認のために、新医療開発センター内において匿名化に問題がないことを確認後、データをクラウドに移行して研究を行うこととしている。また、薬事申請のために、PMDAへの事前相談を予定しており、新規研究計画が承認され次第、資料作成と相談を行う予定である。
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変形性足関節症におけるCCN3を介した新たな軟骨細胞老化制御機構の解明
研究課題/領域番号:21K09280 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
雑賀 建多, 服部 高子, 中田 英二, 二川 摩周, 尾崎 敏文, 久保田 聡
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
変形性足関節症 (osteoarthritis of the ankle; OA of the ankle)の患者では痛みや歩行障害により日常生活動作が著しく低下する。我々はOA関連遺伝子の探索を行い、軟骨組織の発生・分化・再生過程において多様な生理機能を持つCellular Communication Network Factor (CCN)フ ァミリー遺伝子のうち、CCN3がヒトから得られた関節軟骨細胞で加齢とともに有意に増加していることを認めた。また、酸化ストレス刺激により老化を誘導した軟骨細胞でCCN3 発現の上昇を認めた。そこで、これらの結果をもとに足関節においてCCN3が軟骨細胞の老化によるOAを促進するか検討し、足関節の軟骨細胞において、CCN3を介した加齢性変性に対する分子メカニズムを解明することを目的としている。
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研究実施計画に基づき、足関節固定術や人工足関節置換術時に軟骨組織を採取し解析を行なっている。令和3年度は、まず並行して行なっている股関節軟骨研究を進めた。すなわち、Normal群とOA群を荷重部と非荷重部で分け、それぞれの組織をサフラニンOで染色した。肉眼的にOA群荷重部で明らかな軟骨層の菲薄化が確認できた。また、培養した軟骨細胞のmRNAをReal-time PCRを使用しCCN2, 3とADAMTS5で評価した。CCN3, ADAMTS5で荷重、非荷重関係なしにOA群で有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。さらに、組織より直接抽出した軟骨細胞のmRANを評価した。荷重、非荷重に関与することなくそれぞれの因子でOA群において有意に上昇を認めた。また、両群において年齢との相関はなかった。 -
顎関節症ならびに疲労愁訴を伴う疾患における,AIを用いた筋疲労の定量評価
研究課題/領域番号:20H03878 2020年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
皆木 省吾, 中原 龍一, 尾崎 敏文, 兒玉 直紀, 萬田 陽介, 丸尾 幸憲, 沖 和広
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
全身的な筋疲労を評価することは頭頚部における口腔顔面痛に限らず、疲労が関連する他の疾患の診断や治療方針の決定にも深く貢献すると考えられる。
研究代表者らは、これまで顎関節症患者に関して蓄積してきた高精度24時間連続筋電図記録から新たな筋疲労度の定量化因子に着目し、機械学習を用いた解析システムの開発を進めてきた。令和2年度には、ワークステーション上での環境構築を行った。また、Neural Network Consoleを使用して、疲労データの自動解析を試行した。令和3年度には、AIシステムの構築にPytorchの検討を行うとともに、4肢筋を用いて負荷を与えた際の筋電図波形の収集を行った。また、日常生活環境におけるデジタルノイズサンプルの収集を継続して実施した。前年度までに収集していたデジタルノイズサンプルに加えて、発生源となるデジタルデバイスの数を増してデジタルノイズサンプルデータベースの充実を図った。このようなデジタルノイズはAIを用いた解析においては大量の蓄積が必要となるものであり有用である。本年度に収集したデジタルノイズを検討した結果、一部のデジタルノイズ波形とGD 波形とが予想以上に類似していることが明らかになった。現状ではこれまでのAIを用いた解析だけでは100%の精度でこれら2者を分離することは困難であったため、筋電図信号収集時にあわせてデジタルノイズを観測できるハードウェアシステムを開発し、本研究の目的を達成できるように進行している。 -
高悪性度骨軟部腫瘍に対する標準治療確立のための研究
研究課題/領域番号:20314817 2020年04月 - 2023年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構研究費 令和2年度革新的がん医療実用化研究事業一次公募(領域6-2)希少がんの標準的治療法の開発に関する臨床研究
田仲 和宏, 平賀 博明, 岩本 幸英, 川井 章, 坂本 昭夫, 淺沼 邦洋, 米本司, 中山 タラント ロバート, 永野 昭仁, 古田 太輔, 西田 佳弘, 阿江 啓介, 綿貫 宗則, 阿部 哲士, 土屋 弘行, 松本 嘉寛, 山本 哲司, 前田 尚子, 細野 亜古, 小川 淳, 小田 義直
担当区分:研究代表者
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がん遺伝的素因を有する小児・AYA世代へのフォローアップ体制確立を目指したLi-Fraumeni症候群におけるがんサーベイランスプログラムの実行可能性と新規バイオマーカー探索に関する研究
研究課題/領域番号:20351210 2020年04月 - 2023年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構研究費 令和2年度革新的がん医療実用化研究事業二次公募 領域6-2 がんの遺伝的素因を有する小児・AYA 世代に対する先制医療開発に関する研究
服部浩佳, 熊本忠史, 下村昭彦, 倉橋浩樹, 田村智英子, 宮坂実木子, 田代志門, 齋藤明子, 井上永介, 山本雄介, 高阪真路, 岩田広治, 小杉眞司, 西川亮, 櫻井晃洋, 尾崎敏文, 加藤元博
担当区分:研究分担者
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悪性軟部腫瘍に対する新しい複合がん免疫療法の開発
研究課題/領域番号:19K09551 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中田 英二, 宝田 剛志, 尾崎 敏文, 山田 大祐, 伊藤 達男, 上甲 良二
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
悪性骨軟部腫瘍は四肢に多く発生し、肺転移を起こす予後不良な悪性腫瘍である。有効な化学療法はほとんど開発されておらず、進行例に対する新規抗がん剤の開発が期待されている。我々は、間葉系幹細胞(MSC)に発現するPaired related homeobox 1 (PRRX1) という遺伝子が、間葉系幹細胞由来である肉腫にも強く発現し、PRX1の発現を抑制すると、肉腫細胞株の増殖が著しく抑制されることを確認した。また、PRX1が免疫チェックポイント阻害剤の効果のキーとなるProgrammed Death-Ligand 1 (PD-L1)を制御することを確認した。したがって、PRRX1阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤 (ニボルマブ)を併用した複合がん免疫療法が軟部肉腫に対しより効果が得られると考えた。そこで、我々は、さらに複数の肉腫細胞株でPRRX1の発現を抑制し、細胞増殖が低下することをin vivoとin vitroで調べることとした。また、ニボルマブで肉腫細胞株の増殖が抑制されることを調べることとした。さらに、PRRX1阻害と、ニボルマブの併用による相乗効果で、抗腫瘍作用がより増強されることを調べることとした。
この研究に取り組みにあたり、まず我々は様々なPRRX1の発現を肉腫細胞株で調べた。その結果、最も発現している細胞株の1つが骨肉腫細胞株であることが判明した。したがって、我々は骨肉腫細胞株でのPRRX1抑制効果について検討することとした。 -
肉腫における体液分子診断技術の開発と標的分子による新たな腫瘍進展機序の解明
研究課題/領域番号:19H03784 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 藤原 智洋, 長谷井 嬢, 杉原 進介, 畑 利彰, 横尾 賢, 清野 正普
配分額:12870000円 ( 直接経費:9900000円 、 間接経費:2970000円 )
本研究は、バイオマーカーに極めて乏しい肉腫に対し、近年確立されつつある体液診断技術の手法を検討することにより、最も有効な方法を確立することである。今年度は、骨肉腫細胞、粘液線維肉腫および滑膜肉腫細胞における腫瘍分泌エクソソームの抽出を行い、エクソソームの確認として、ゼータサイザーを用いた動的散乱光や電子顕微鏡(TEM)によるサイズの確認、またエクソソームマーカーであるテトラスパニン蛋白の確認をウエスタンブロット法を用いて行った。
また、滑膜肉腫由来の分泌エクソソームおよび患者由来の血中エクソソームを抽出し、両者の膜表面タンパクをプロテオーム解析により特定した。さらに患者治療効果に沿った発現変動を追い、感度・特異度に優れた標的タンパクを特定した。
上記で特定した肉腫由来循環エクソソームが腫瘍自身、腫瘍周囲微小環境、遠隔転移先で腫瘍進展に対しどのような影響を与えているか、in vitroモデルで評価した。骨肉腫転移に深く関わっている正常線維芽細胞・血管内皮細胞・肺微小血管内皮細胞・肺線維芽細胞を用い、in vitro環境下で腫瘍周囲および肺組織微小環境モデルを作成した。各転移能の異なる骨肉腫腫瘍細胞由来エクソソームを添加し、それぞれの細胞株の機能変化を解析した。 -
肉腫におけるエクソソームによる浸潤・転移機序の解明と新規治療法の開発
研究課題/領域番号:17K10969 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森田 卓也, 魚谷 弘二, 尾崎 敏文, 國定 俊之, 藤原 智洋
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
肉腫における特異的な分泌型microRNA/exosomeを細胞株、臨床検体から候補を抽出し、さらにvalidation studyを行うことで各肉腫における特異性の高い遺伝子を特定することが可能であった。次に、それら遺伝しの作用機序を確認するためin vivoでも実験を行い肉腫に特徴的な転移もしくは浸潤に関与しているかを検証したところ、この特異的な遺伝子は転移や浸潤を促進する作用をもっていることを確認した。臨床検体との相互性も確認できたため、特異的なバイオマーカー、また治療薬のない肉腫において、今後の検査や治療に繋がる研究であると考えられる。
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高悪性度骨軟部腫瘍に対する標準治療確立のための研究
研究課題/領域番号:17846029 2017年04月 - 2020年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構研究費
岩本 幸英, 田仲 和宏, 平賀 博明, 川井 章, 岡本 健, 比留間 徹, 中村 知樹, 米本司, 中山 ロバート, 永野 昭仁, 久保 忠彦, 西田佳弘, 阿江啓介, 荒木 信人, 江森 誠人, 平岡 弘二, 森井 健司, 保坂 正美, 吉川 秀樹, 筑紫 聡, 阿部哲士, 畠野 宏史, 吉田行弘, 横山 良平, 高橋 満, 竹元 暁, 末原 義之, 秋末 敏宏, 小田 義直, 松本嘉寛, 山本 哲司, 蛭田 啓之, 山口 岳彦
担当区分:研究代表者
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骨軟部肉腫における新規免疫機能解析システムと新規免疫治療の開発
研究課題/領域番号:16K15666 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
尾崎 敏文, 榮川 伸吾, 長谷井 嬢, 上原 健敬, 鵜殿 平一郎, 藤原 智洋
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
本研究ではマウス骨肉腫モデルにおいて,CD11b陽性の免疫細胞主体の抗腫瘍免疫機構の存在が明らかとなった.また,CD8TILs, Tregと同様に骨髄球系細胞においてもメトホルミンが細胞内代謝を制御することで抗腫瘍効果を惹起することが示され,それは細胞内における嫌気的解糖の促進によるものであった.先行研究と合わせると腫瘍微小環境においてメトホルミンがT cells, CD11b陽性細胞の双方で同様に嫌気的解糖を促進しており,腫瘍微小環境におけるglucoseの代謝制御が抗腫瘍免疫と密接に関連していることが示唆された.
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悪性骨軟部腫瘍に対する放射線治療を併用したテロメライシン局所投与療法の開発
研究課題/領域番号:16K10862 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
國定 俊之, 尾崎 敏文, 藤原 智洋
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
テロメラーゼ活性依存性に癌細胞内で増殖して細胞死を誘導する腫瘍選択的融解ウイルスを利用した治療は、単独で投与するよりも、放射線治療や化学療法と併用することで、より強力な抗腫瘍効果を認めた。さらに、相乗効果も確認でき、肉腫に対する新規療法となる可能性が示された。そこで、これらのウイルス治療を利用した実際の臨床応用では、単独投与ではなく、放射線治療との併用療法を考えていく。
臨床応用へ向けた基礎研究は、ほぼ予定どおり行うことができた。肉腫患者へのウイルス治療の臨床試験が食道癌ですでに開始されており、今後は肉腫で早期臨床応用を開始できるように、プロトコールを作成していく。 -
先端接着技術と神経幹細胞を併用した脊髄損傷の新たな治療法開発への挑戦
研究課題/領域番号:16K10822 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
杉本 佳久, 尾崎 敏文, 松川 昭博, 塩崎 泰之, 瀧川 朋亨
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
組織への先端接着技術を応用した改変成長因子CBD-HGF及び可視光硬化型ゼラチンを用いた脊髄損傷治療につき、マウス脊髄損傷モデルを用いて検討を行った。運動機能及び脊髄の組織学的に脊髄再生を認め、脊髄損傷治療に臨床応用できる可能性が示された。神経幹細胞については、マウス胎児を用いた幹細胞培養技術は確立できたが脊髄損傷モデルへの移植までは到達できなかったため、これらの方法を組み合わせて研究を継続する予定である。
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進化分子工学と先端接着技術による損傷椎間板の治療法の開発と実用化に向けた検討
研究課題/領域番号:16K10823 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
荒瀧 慎也, 尾崎 敏文, 松川 昭博, 吉村 将秀, 宇川 諒, 内野 崇彦
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
ラット椎間板変性モデルを用い、培養した椎間板線維輪細胞と可視光硬化型ゼラチンを併用した新規椎間板再生治療の有用性について検討した。移植した細胞は移植箇所への生着を認めたが、線維輪構造の再生を認めることはできなかった。再生治療に用いる成長因子として、過去に報告のあるBMP-7につき検討したが、今回の検討では線維輪においてはむしろ変性に傾く可能性が示唆された。
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体液診断技術を応用した肉腫における新規バイオマーカーの開発と実用化への展開
研究課題/領域番号:16H05449 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 杉原 進介, 清野 正普, 國定 俊之, 横尾 賢, 森田 卓也, 藤原 智洋, 魚谷 弘二, 落谷 孝広, 吉岡 裕亮, 植田 幸嗣, 上原 健敬
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
血中の循環microRNAならびにexosome蛋白に着目し、骨軟部肉腫患者のモニタリングや治療奏功性を判断可能なバイオマーカーの開発を目指した。Ewing肉腫では、proteome解析からexosome表面蛋白を抽出し、細胞培養上清及び患者血清由来exosomeにおける発現を特定した。骨肉腫では、患者血清と細胞株を用いたmicroRNAの網羅的解析から、担癌状態および治療経過を反映する血清miR-25-3pを特定した。滑膜肉腫では、骨肉腫における手法を用いて血清miR-92-3pをリキッドバイオプシーの標的分子として特定し、その発現は治療経過を反映し、他の肉腫組織型との層別化を可能とした。
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進化分子工学と先端接着技術による脆弱性骨折の治療法の開発と実用化に向けた検討
研究課題/領域番号:15K10445 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
渡邉 典行, 尾崎 敏文, 松川 昭博
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
新規生体材料であるチタン結合性BMPの有用性について検討した。チタン結合性BMPを付与したチタンワイヤーと付与していないチタンワイヤーをそれぞれラット大腿骨に埋植したところ、チタン結合性BMP群の方がワイヤー周囲の骨新生が有意に増加していた。また引き抜き強度も有意に増加しており、チタン結合性BMPはインプラント周囲の固定力を早期に増加させる可能性がある。以上よりチタン結合性BMPは粗鬆骨に対する治療において有用であることが示唆された。
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腫瘍融解ウイルス治療と放射線治療の併用による骨軟部肉腫に対する新規治療法の開発
研究課題/領域番号:15K10446 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
杉生 和久, 藤原 俊義, 尾崎 敏文, 國定 俊之, 藤原 智洋
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
骨軟部肉腫は治療抵抗性を示すものがあり、現行の標準治療でも未だ予後不良の転帰をたどる症例も多いことから新規治療法の開発が望まれている。腫瘍融解ウイルス(Telomelysin、OBP-301)は骨軟部肉腫に対して強力な抗腫瘍効果を示すことが明らかにされている。本研究では、骨軟部肉腫に対するTelomelysin と放射線療法の併用治療効果について検討した。Telomelysin と放射線療法の併用治療は、骨軟部肉腫に対して強力な抗腫瘍効果を認め、有用な新規治療法となり得ることが示唆された。
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研究課題/領域番号:15K10444 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
魚谷 弘二, 尾崎 敏文, 藤原 俊義, 藤原 智洋
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本学で開発された腫瘍融解アデノウイルス(テロメライシン)は効果発現にCARやhTERTの存在が必要で、骨軟部腫瘍へのウイルスの臨床応用にむけた適応症例の選別のために簡便にその評価を行う必要がある。今回、本学で開発したテロメライシンにGFP遺伝子を 組み込み細胞内のウイルス増殖により緑色蛍光を発するテロメスキャンを骨軟部悪性・中間悪性腫瘍に感染させ蛍光発現を評価した。ウイルス投与24時間後の蛍光陽性数はCARの発現強度との相関が有意に認められ、経時的な蛍光の増強にhTERTの発現が関連する傾向が見られた。テロメライシンの肉腫への適応をウイルスの組織片への投与のみで評価できる可能性が示された。
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研究課題/領域番号:26462298 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
香川 洋平, 尾崎 敏文, 松川 昭博
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
整形外科領域の手術においてはインプラントと骨との早期固定が重要である。セメントレスのインプラント表面にはハイドロキシアパタイト(以下HA)がコーティングされることが多いが、コーティング方法は様々で確立されたひとつの方法があるわけではない。本研究においては多糖誘導体リン酸化プルラン(以下PP)を基材として、HAをインプラントにコーティングし骨新生の促進を得た。力学強度試験、元素分析および組織学的評価のいずれの実験結果においてもPP+HA群において有意に優れた結果が得られた。
HAを添加することでより優れた骨伝導を期待でき、PPはインプラントをコーティングする基材として有用であると考えられた。 -
インフェクションコントロール能を有した短期置換型骨補填剤の創成と実用化への展開
研究課題/領域番号:26293339 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
田中 雅人, 尾崎 敏文, 沖原 巧, 渡邉 典行, 瀧川 朋亨, 塩崎 泰之
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
抗菌薬をリン酸化プルランに含有した新規骨補填材の有用性について検討した。骨補填材からの抗菌薬徐放能を検討し、新規骨補填材では従来の骨補填材と比較し良好な徐放能を示した。また、黄色ブドウ球菌をマウス骨髄内に注入し作成した骨髄炎マウスモデルを用いて検討を行い、従来の骨補填材と比較し有意に強い抗菌作用を認めた。以上より抗菌薬含有リン酸化プルランは感染治療に有用であることが示唆された。
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研究課題/領域番号:25670650 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
尾崎 敏文, 杉原 進介, 武田 健
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
悪性腫瘍治療における最大の問題は、薬剤耐性を獲得している場合、その薬剤による治療効果が期待できないことである。特に悪性肉腫の領域では未だ解明されていない部分が多い。本研究では、網羅的タンパク質分析法を用いて薬剤耐性細胞株におけるタンパク質発現を定量解析し、リアルタイムに発現タンパク質の変動を検出することを目的とした。 骨肉腫細胞株において薬剤耐性細胞株を作製し、親株、耐性株各株について、8-plex iTRAQ安定同位体標識を使用して、サンプル間相対定量を行った。全体で3000のタンパクを同定可能であった。これらの手法によって、薬剤耐性の機序に関与するタンパクを見出すことが可能であった。
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先端生体材料を用いた転移性骨腫瘍の低侵襲かつ機能温存手術治療法の開発
研究課題/領域番号:25462335 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
篠原 健介, 尾崎 敏文, 松川 昭博
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
リン酸化プルランを用いた転移性骨悪性腫瘍治療薬との併用時における有用性について検討した。転移性骨腫瘍の原発巣として頻度の高い乳癌細胞株(MDA-MB231)をヌードマウス大腿骨の遠位果部に24G針を用いて作成した骨孔に注入し、担癌腫瘍を作成した。これらを、無治療群、抗がん剤単独群、抗がん剤+リン酸化プルラン群、リン酸化プルラン群に分類し、腫瘍抑制効果を継時的に評価した。抗がん剤はドセタキセルを使用した。抗がん剤単独群と抗がん剤+リン酸化プルラン群で腫瘍抑制効果が認められた。以上より、リン酸化プルランは抗がん剤含有セメントとして有用であることが示唆された。
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悪性骨軟部腫瘍患者への腫瘍融解アデノウイルス「テロメライシン」の臨床応用
研究課題/領域番号:25462333 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
國定 俊之, 尾﨑 敏文
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
我々はテロメラーゼ活性に依存して増殖する腫瘍融解アデノウイルス(OBP-301)を用いて、骨・軟部肉腫細胞に対する抗腫瘍効果を報告してきた。今回の研究では、肉腫に対しするOBP-301と化学療法、およびゾレドロン酸の併用効果を検討した。骨肉腫培養細胞に対し、OBP-301と化学療法を併用すると、化学療法の効果を増強させ、相乗効果を認めた。また、肉腫細胞を皮下に移植した動物モデルでも同様に化学療法の感受性を増強させた。ただ骨破壊を抑えることはできなかった。そこで、ゾレドロン酸と併用すると、腫瘍増殖抑制が増強されるとともに、骨破壊が抑制された。今後、臨床応用へ向けたプロトコールを作成したい。
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新規p53発現腫瘍融解アデノウイルスがもたらす化学療法・放射線療法ブースト効果
研究課題/領域番号:25293323 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 国定 俊之, 藤原 俊義, 古松 毅之, 武田 健
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
骨・軟部肉腫に対する治療は大きな進歩を遂げているが、化学療法や放射線療法に抵抗性で予後不良となる症例が存在する。我々はp53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-702)が骨肉腫に対して強力な抗腫瘍効果を示すことを既に明らかにした。本研究では、骨・軟部肉腫に対するOBP-702と化学療法・放射線療法との併用効果を評価した。OBP-702を化学療法・放射線療法と併用することにより抗腫瘍効果の増強を示した。
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可視光硬化型ゼラチンを用いた革新的軟骨再生療法
研究課題/領域番号:25462334 2013年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山根 健太郎, 尾崎 敏文, 吉田 靖弘
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
軟骨再生に必要な細胞や成長因子を患部へ効果的に集積させる方法として、可視光硬化型ゼラチンと細胞、結合性改変成長因子を用いた併用療法を検討した。成長因子としてコラーゲンへの強い結合能を有する結合改変成長因子を開発し、可視光硬化型ゼラチンからの徐放能を検討した結果、結合改変成長因子はゼラチンへの優れた結合能を有し、より長期間ゼラチン内に留まることがわかった。また、骨髄間質細胞(BMSC)を用いたゼラチン内での細胞培養で、使用組成における同ゼラチンの毒性はなく、長期間にわたり細胞が生存できることを確認した。以上のin vitro実験の結果を踏まえ、可視光硬化型ゼラチンと細胞、結合性改変成長因子併用療法の有効性についてウサギ大腿骨内側顆骨軟骨欠損モデルを用いて検討した。ウサギ大腿骨内側顆に径3mmの骨軟骨欠損を作成し、同部位に結合性改変成長因子(本研究ではBMP4を使用)を混和したゼラチンを充填し、可視光によって硬化させた。4週後に同部位でのmRNA発現量(type-2 collagen、aggrecan、SOX9)をRT-PCRにて定量した結果、併用群で有意な上昇を認めた。12週後の同部位の組織学的検討では、併用群で欠損部に硝子軟骨様細胞の増生を認め、Wayne scoreでも有意に優れた結果が得られた。今後は、ゼラチンに細胞(BMSC)を含有させた併用療法を検討し、最終的にはゼラチンに細胞と成長因子を同時に含有させた併用療法を検討する予定である。これらにおいて良好な結果が得られることは、再生医療において可視光硬化型ゼラチンが優れたscaffoldとなりうることを証明するものである。
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超微細手術のための汎用プラットフォーム開発とそれを支える超精密テクノロジーの追求
研究課題/領域番号:23226006 2011年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
光石 衛, 藤原 一夫, 鈴木 昌彦, 尾崎 敏文, 中島 義和, 森田 明夫, 杉田 直彦, 阿部 信寛, 原田 香奈子, 岩中 督, 上田 高志, 玉置 泰裕
配分額:215540000円 ( 直接経費:165800000円 、 間接経費:49740000円 )
従来の手術では達成できない高度治療を実現するため,超低侵襲・超微細・超精密手術を可能にするスーパー・マイクロ・サージェリ支援技術に関する研究を行った.具体的には,(1)軟組織対応手術ロボットとスーパー・マイクロ技術の確立,(2)硬組織対応手術ロボットとスーパー・マイクロ技術の確立,(3)血管内治療用マイクロロボットについて研究を行った.複数の手術分野に共通な汎用的な要素技術の開発を行い,実際のロボットに実装して評価した.
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CCN2のメタボリックサポーターとしての機能解明とその臨床応用研究
研究課題/領域番号:23592216 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
三宅 由晃, 青山 絵理子, 古松 毅之, 久保田 聡, 尾崎 敏文, 滝川 正春
配分額:5330000円 ( 直接経費:4100000円 、 間接経費:1230000円 )
CCN2は軟骨細胞の増殖と分化をともに促進するが、この一見矛盾する分子機能を可能とするメカニズムは明らかではなかった。本研究では、CCN2が軟骨細胞における代謝全般、特にエネルギー産生に与える影響、ならびにその背景にある分子基盤を解明することを目的とした。
その結果、CCN2欠損により軟骨細胞内ATP量が低下し、その原因が解糖系の抑制にあることが解明され、CCN2は軟骨細胞のATP産生を支えるメタボリック・サポーターであることが示された。また動物OAモデルにおいて関節軟骨再生効果が確認できたことからOA軟骨治療への応用が期待される。 -
骨肉腫におけるオミックス解析技術を用いた新たな抗分子標的療法の開発
研究課題/領域番号:23659724 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
尾崎 敏文, 川井 章, 伊藤 達男
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
骨分化に必須かつ特異的転写因子である RUNX2とアルギニンメチル化酵素の相互作用の可能性を in vitro で検討し RUNX2 の PRMT4 及び5によるアルギニンメチル化を確認した。このメチル化修飾は骨肉腫細胞の細胞周期依存性であった。また、RUNX2 の同蛋白修飾を骨肉腫検体にて発現をみたところ、予後との関連も有る事が確認できた。RUNX2 の発現は組織特異的であるため将来の分子特異的治療のターゲットとして期待できる研究成果を示す事ができた。
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進化分子工学と先端接着技術の応用による骨粗鬆症の新しい骨折予防法・治療法の開発
研究課題/領域番号:23592187 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
塩崎 泰之, 尾崎 敏文, 松川 昭博
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
進化分子工学の手法を用いて創製する結合性改変成長因子Collagen Binding Domain (CBD)等の新規生体材料を効果的に用いることにより,骨粗鬆症患者の骨折予防や骨折治療に有効な新しい骨組織再生・再建技術を開発する。
CBDの遺伝子配列と,骨形成促進蛋白-4(BMP4)の遺伝子配列を連結した融合遺伝子をベクターにいれ,蚕の卵に導入することによりトランスジェニックカイコを作製する。この時,遺伝子は選択的に絹糸腺で働くようにしおく。絹タンパク質と同時に繭に吐き出されたCBD-BMPは,できた繭から精製することにより得られた。
ウエスタンブロット法を用いて、作製したタンパク質を測定すると55kDaであった。
続いて、このCBD-BMPと通常のrhBMPとの効果の比較をマウス大腿骨へ投与する事で検討した。まず、蛍光標識を行ったそれぞれの成長因子を投与後1,3,7日でマウスを屠殺後に非脱灰凍結切片を作成し蛍光顕微鏡で評価した。CBD-BMPに関しては7日後であってもマウス大腿骨内への残存が確認できた。
続いて、投与後4週後に屠殺し、両群をμCTで撮影し骨密度を比較した。これも2群間で有意にCBD-BMP群が優れていた。(P=0.0489)
また、これらの大腿骨骨髄からRNAを抽出しRT-PCRを用いて両者を比較した。(CBD-BMP,BMP,生理食塩水の3群)HPRTをハウスキーピング遺伝子としALP,Osteocalcin,Osterixを計測し、P=0.035,0.0599,0.0126とCBD群が優れていた。
これらの結果よりCBD-BMPは、成長因子の効果を発現するために必要な標的組織への定着が確認できた。また、その効果に関しても放射線学的、遺伝子学的にも確認できた。これらを用いる事で効果的な骨形成が得られ,骨粗鬆症患者の骨折予防や骨折治療に有効である。 -
骨再生に優れた新しい生体吸収性骨セメントの開発
研究課題/領域番号:22591635 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高畑 智宏, 尾崎 敏文, 吉田 靖弘, 塩崎 泰之, 馬崎 哲朗, 山根 健太郎
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
独自に開発した骨接着性リン酸系多糖誘導体を用い、生体吸収性骨セメントを創製し、物性と骨再生に関する実験データを集積した。本セメントは既存の骨セメントよりも優れた骨接着性を認めた。動物実験モデルでは骨欠損部に本セメントを充填することで本セメントは徐々に吸収され、骨へと置換された。新規骨セメントとして今後臨床応用ができるようさらなる研究を継続していく予定である。
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間葉系幹細胞を用いた軟骨細胞が分泌する新規骨芽細胞分化調節タンパク質の同定
研究課題/領域番号:21591945 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
佐々木 順造, 尾崎 敏文, 藤田 洋史, 三木 友香理, 森本 裕樹
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
私たちは、骨髄間葉系幹細胞を用いて、骨芽細胞分化の指標である石灰化を、調整する分子を検索した。その結果、軟骨細胞から分泌される分子というよりもむしろ、その元となる間葉系幹細胞の死細胞が石灰化に重要であることを見いだした。私たちの結果は、in vitroで骨芽細胞による石灰化に、間葉系幹細胞のアポトーシスとネクローシス細胞が関与し、石灰化の核形成過程に死細胞の膜が関与することを示唆した。
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骨肉腫における年齢や部位別遺伝子異常の検出と機能的ゲノム解析
研究課題/領域番号:20390400 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 国定 俊之, 杉原 進介, 森本 裕樹
配分額:9750000円 ( 直接経費:7500000円 、 間接経費:2250000円 )
骨肉腫は、原発悪性骨腫瘍の中で最も頻度の多い腫瘍であり、染色体不安定性を多く示し、治療抵抗性の腫瘍も存在する。本研究では、骨肉腫の発生部位・病理組織学的所見の違いおよび臨床経過に影響を及ぼす因子についてDNA構造異常と異常領域の遺伝子について検討した。その中で染色体不安定性を示す領域で腫瘍に関連するゲノムDNAのコピー数の異常が腫瘍化に関与していると考え、アレイCGH法を用いて年齢、部位別に検討を行った。体幹発生例より四肢発生例の方でDNA欠失を多く認めた。また、若年例で染色体異常が多い傾向にあった。若年者と高齢者の生物学的な腫瘍化過程の違いを示す可能性を持つ複数の遺伝子領域を検出した。
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変形性関節症軟骨におけるアグリカン分解機構の解明とエビジェネティック制御法の開発
研究課題/領域番号:20591780 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
西田 圭一郎, 鉄永 智紀, 古松 毅之, 吉田 晶, 尾崎 敏文, 成瀬 恵治
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
軟骨マトリックスの破壊に重要であるMMP-13,あるいはADAMTS-4,-5,-9といったアグリカナーゼが軟骨細胞においてメカニカルストレスによって遺伝子発現が調節される遺伝子であること、メカニカルストレスによる基質破壊に転写因子RUNX2が深く関与し、変形性関節症発症(OA)の治療ターゲットとなることを示した。さらに、HDAC阻害剤がRUNX2発現に抑制的に働くことも判明した。HDAC阻害剤によるエピジェネティックな制御が、OA早期のアグリカン分解に関わるアグリカナーゼの発現を阻害することで新たな治療法の一つとなる可能性がある。
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上皮間葉移行における腫瘍浸潤能獲得の解明とヒストン修飾と腫瘍悪性化の関連性
研究課題/領域番号:19659379 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
尾崎 敏文, 国定 俊之, 古松 毅之
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
今回の研究では、我々が確立した腫瘍組織浸潤モデルマウスを使用し、軟部腫瘍におけるヒストン修飾と腫浸潤能獲得との関連性をEpithelial-Mesenchymal Transition (EMT;上皮間葉移行)の理論のもと、HDAC複合体関連因子によるE-Cadherinの発現調節の解析を目的とする。
21年度 に、ヒストン修飾とEMT関連遺伝子の発現、SYO-1細胞の初代培養細胞からの新たな細胞株の樹立(SYO-1e細胞)を行った。アセチル化ヒストンH4に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降法(ChIP assay ; Chromatin Immunoprecipitation Assay)により,p21プロモーター領域の結合について検討を行った。
HDAC阻害剤添加により、RT-PCR法では,p21mRNAはHDAC阻害剤添加により継時的に発現が増強された。また,Western blotによりp21の蛋白発現においても継時的に発現が増強された。また、ChIP assayではHDAC阻害剤添加によりp21プロモーター領域のp53結合ドメインへの結合を認め、p21蛋白発現を制御すると考えられた。
分離されたSYO-1e細胞はin vitroにおいて、上皮様形態を示し、上皮系マーカーの発現を認めたが、HDAC阻害剤によるE-cadherin遺伝子の発現変化に差を認めなかった。現在In vivoにおける滑膜肉腫細胞株の細胞間接着能について検討している。今後さらに条件を検討しHDAC関連因子におけるE-cadherin発現調整を検討し軟部腫瘍におけるヒストン修飾と腫瘍浸潤能獲得について研究を続ける。 -
コンパクト型手術ロボットと最小侵襲手術とを統合する医用CAD/CAMシステム
研究課題/領域番号:18106005 2006年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
光石 衛, 中島 義和, 杉田 直彦, 小泉 憲裕, 森田 明夫, 尾崎 敏文, 割澤 伸一
配分額:113750000円 ( 直接経費:87500000円 、 間接経費:26250000円 )
本研究では,医師の経験と勘をロボット動作データに反映させる方法として,(1)CTやMRIの医用画像で構成される患部モデルをもとに低侵襲手術計画から動作データを生成する医用CAD/CAMシステム,(2)術中に手術計画の遂行を促す手術ロボット用ナビゲーションシステム,(3)低侵襲手術を支援する手術ロボットの開発を行った.
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マイクロアレイCGH法を用いた軟骨性腫瘍における遺伝子・染色体変異の解析
研究課題/領域番号:18390417 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文, 国定 俊之
配分額:5970000円 ( 直接経費:5400000円 、 間接経費:570000円 )
目的:アレイCGH法を用いてDNAコピー数異常の検出を行い、内軟骨腫、低悪性軟骨肉腫の分類可能か検討した。
方法:内軟骨腫9例、低悪性軟骨肉腫(grade 1)8例を用いてメタファーゼCGH、アレイCGHを行った。2倍以上のコピー数の変化をgain、lossとし、それぞれの疾患のうち半数以上の症例で見られた領域で発現差のあるスポットについて検討を行った。
結果:内軟骨腫で20箇所のgain、14箇所のloss、軟骨肉腫で41箇所のgain、16箇所のlossを認めた。両方の腫瘍で共通に認められた領域は、gainが2q12.1-2(60%),6p22(60%),7q11.2(53%)、15q13.2(53%)、21q22.1(60%)、22q13.3(60%)、lossが1q21.3(87%)、6p21.3(73%)、7q22.1(60%)、19q13.2(67%)、20q11.2(93%)、20q13.1-2(80%)であった。腫瘍特異的な領域は、gainが内軟骨腫で9q34、軟骨肉腫で11p15.4、12q13.2、17q12、lossが内軟骨腫で13q12、軟骨肉腫で13q14であった。標的遺伝子としては、低悪性軟骨肉腫では、CHK2,RARA、DTX3、内軟骨腫では、WDR5のgain等の特異的な変異がみられた。定量RT-PCRでは、mRNA発現量に有意差は見られなかった。
考察:メタファーゼCGHでは、内軟骨腫、低悪性軟骨肉腫の間に明らかなコピー数の変化を認めなかった。しかし、アレイCGHを用いた検討では、個々の遺伝子のコピー数の差が検出可能であり、内軟骨腫、低悪性軟骨肉腫に特異的な領域を検出した。今回の検討では症例数が少なく、DNAコピー数とmRNAの発現レベルに相関を認めなかった。
まとめ:アレイCGHを用いて内軟骨腫と低悪性軟骨肉腫のDNAコピー数の異常を検出可能であった。アレイCGHはメタファーゼCGHでは検出できないレベルのDNAコピー数を検出するための有用な手段であった。アレイCGHによって検出された染色体領域から良性軟骨腫瘍、低悪性軟骨肉腫に特異的なDNAコピー数異常を検出した。今回の検討では症例数が少なく、DNAコピー数とmRNAの発現には有意な相関は見られなかった。しかし、検出された候補遺伝子は、軟骨性腫瘍の悪性化に関与するゲノム異常領域の同定や、腫瘍化・進展メカニズムの解明、新たな分子標的治療へのターゲットの同定などの研究対象としても有用であると考えられる。 -
ChIP-CGH法の開発、骨軟部肉腫におけるクロマチン修飾の網羅的解析
研究課題/領域番号:17659469 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
尾崎 敏文, 国定 俊之
配分額:1700000円 ( 直接経費:1700000円 )
昨年度はChIp(Chromatin Immuno-Precipitation)-CGH(comparative genomic hybridization)法の条件を元に、ChIp-CGHの条件および精度を確認するため、滑膜肉腫細胞株SYO-1を用いて実験を行った。SYO-1細胞にヒストンアセチル化阻害剤FK228を投与し、ヒストンのアセチル化を誘導し、ChIp-CGH法でヒストンアセチル化の検出を行えるか検証した。
本年度は、ヒストンのアセチル化の状態をより詳細に検出するためにマイクロアレイを用いて、アレイCGHを行った。ChIp-CGH法で用いたDNAを用いて、DOP-PCR法を用いてDNAの増幅を行った後、Cydyeにて蛍光標識し(ChIp DNA とInput DNA)、Operon社製OpArrayにハイブリダイズさせた。その後Agilent DNA Microarray Scannerで取り込み後、Feature Extraction Softwareを用いて数値化した。Log ratio+/-2.0以上をgain(高アセチル化)、loss(低アセチル化)と判定した。
アレイCGHでの結果は、ChIp-CGH法の結果と異なる傾向にあった。ChIp-CGH法ではメタファーゼ上で全染色体を網羅的に検索可能であるが、アレイCGHではすべての領域を網羅していないためと考えられる。そのため、ChIp-CGH法で検出された領域を選択したカスタムアレイを選択するべきである。
ChIp-CGH法を用いてヒストンアセチル化領域の検出が可能であった、しかし検出感度の問題があり、遺伝子を特定するには至らない。そのため、より詳細に遺伝子を検出するためには、特定した領域のデレイCGHを行うべきである。 -
骨軟部肉腫における人種差と染色体不安定性の研究
研究課題/領域番号:14370464 2002年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
尾崎 敏文
配分額:13600000円 ( 直接経費:13600000円 )
Ewing腫瘍(ET)18例を用いて、CGH法によりDNAコピー数の変化を検討した。それらの結果をヨーロッパ症例での結果と比較検討した。まず、13例中12例のEwing肉腫でEWSexon7とFLIlexon6の融合遺伝子が検出されたが、ヨーロッパ症例では62例中31例が同タイプの融合遺伝子を有していた(p=0.005)。CGHで検出できた変異数の中央値は日欧の症例間で差は無かった。日本症例でgainは8q、8p、12qに多く、ヨーロッパ症例でも同じ傾向が認められた。日本症例でlossは19q、19p、17pに多く、ヨーロッパ症例でも16q、19q、17qに多かった。日本症例のatypical ET1例にのみ、1p33-34(L-MYC)に著明な遺伝子増幅が認められた。滑膜肉腫14症例に対しCGH法を行い、その染色体不安定性を解析した。14例中10例(71%)に遺伝子変異が認められ、更にgain(平均4.4個)はloss(平均0.9個)よりも頻繁に認められた。高頻度に認められたgainは12q15(5例)、12q22(5例)、12q24.3(5例)に存在し、lossは3p14(2例)、6q(2例)にあった。High-level gainは12q15、12q22、12q24.3に認められた。12q15(p=0.021)、12q22(p=0.021)gainは、二相型よりも単相型に有意に多く認められた。単相型は二相型と比較して、平均変異数とhigh-level gain数ともに多く、予後も不良であった。3q32、4q26-qter、5p、5q14-q23、11pのgainと1p33-pter、3p21、11q12、16p、17p、22qのlossがヨーロッパ症例群に多く、12q15と12q22のgainが日本症例群に多く認められた。
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自己硬化型細胞制御膜による骨組織再生と癒着防止に関する検討
研究課題/領域番号:12470310 2000年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
井上 一, 尾崎 敏文, 原田 良昭, 石川 邦夫, 川井 章, 竹内 一裕
配分額:14200000円 ( 直接経費:14200000円 )
本研究は、アルジネート膜が、癒着防止作用を有する細胞遮断膜の機能としての有用性を検討したものである。
まず、in vivoの実験として、ラットの背側の傍脊柱筋挫滅創における癒着防止効果について検討した。アルジネート膜は十分な創の被覆がなされ、創治癒期間における炎症は軽度であり、異物巨細胞による吸収を経て、良好な創のremodellingが確認された。アルジネート膜の吸収のコントロールを想定し、ステロイドの添加を試みると、急性期の炎症細胞浸潤については、ステロイド添加群では、やや軽減されているようである。次に、ビーグル犬での椎弓切除による神経周囲の癒着防止効果を検討した。短期の経過観察結果は、先の実験結果と同様であったが、長期の観察によると、アルジネート膜群では、癒着が少なく良好な結果を示したものが多かったものの、対照群と大差ない例もあった。当初アルジネート膜吸収期間の差による影響を考えていたが、ステロイド添加効果についても、中長期ではあまり明瞭な違いは認めていない
in vitro実験のLynda F. Bonewaldより提供された骨細胞cell line (MLO-Y4)に対するアルジネート膜の影響は、アルジネート膜上に播種した細胞では、顕微鏡下には骨細胞樹状突起の伸展は少なく細胞遮断膜効果を支持する。また骨特異蛋白(ALPおよびオステオカルシン)合成には、対照群との有意な変化を認めず、アルジネート膜による細胞障害性は認めていない。
以上、アルジネート膜は優れた空間占拠能を有しており、創修復機転において癒着防止作用を有する細胞遮断膜として有用性が確かめられた。将来的には臨床応用可能な人工材料のひとつと考える。アルジネート膜の細胞障害性についても、他分野での応用例のあることや本研究での細胞レベルでの評価では認められていない。