共同研究・競争的資金等の研究 - 坂本 亘
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空間データの潜在構造を表現する統計モデルの効率的な推測・選択
研究課題/領域番号:26330042 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
坂本 亘
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
地図・空間上のデータに潜む複雑な構造を明らかにするために,高次元の潜在変数を伴う統計モデルを考え,効率的な推測・選択を行う方法を研究した.疾病地図データへの適用で提案した,推定空間効果を用いた領域同定の方法は,従来の方法に比べて高リスク領域を適切に同定する可能性が高いことが示された.また,年齢・時代・コホート (APC) モデルによるがん死亡率データの解析で検討されたモデル選択の方法は,各効果を適切に推定し,解釈上の新たな知見を与えることが示唆された.
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シミュレーションに基づく最適な混合効果モデルの選定:理論と応用
研究課題/領域番号:21500275 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
坂本 亘
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
混合効果モデルは,個体ごとに繰り返し測定されたデータの解析に有用であり,医学・生物学など様々な分野に応用されている.しかしながら,最適なモデルを選択する方法の研究はこれまで十分には行われていなかった.本研究では,理論上適切でかつ実用に即したモデル選定の規準を提案した.この規準は乱数を用いて近似的に計算することができる.提案した規準は,倹約な(パラメータの少ない)モデルを誤って選択する危険を減らすことを確認した.
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ノンパラメトリック回帰による多次元構造の探索:推定方式の改良と実装
研究課題/領域番号:17700280 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
坂本 亘
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
本研究は、非線形構造の探索・診断という観点からノンパラメトリック回帰の方法論を再整備し、ノンパラメトリック回帰をより強力な探索的データ解析の道具にすることを目的とした。とくに交互作用効果を含む多次元ノンパラメトリック回帰モデルの有用性を探った。
前年度までに提案・開発した、多変量適応的回帰スプライン(MARS)における経験Bayes法による基底関数および節点の選定方式は、Friedman による従来の方式(一般化交差確認法の利用)での回帰構造の解釈などの難点を克服することを目標としている。これについて、本年度は以下のような研究を行った。
1.変数寄与の測度の再検討
回帰構造の解釈に必要となる、各々の説明変数の寄与(主効果・交互作用効果)の測度について、従来の「相対重要度」はかなりアドホックな定義であった。より合理的・包括的な測度として、分散分析などで用いられる平方和分解に類似した変動の分解に基づいて、条件付き分散を用いて定義することを検討した。
2.シミュレーションなどによる性能評価
前述の条件付き分散に基づく測度を用いて、従来の方式(Friedmanが提案した交差確認法などによる方法)に比べて、回帰構造、とくに交互作用効果を正しく抽出できることを実証した。 -
ノンパラメトリック回帰による非線形構造の探索とその実装
研究課題/領域番号:14780171 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
坂本 亘
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
本研究の目標は,データの背後にある複雑な非線形構造を探索・抽出するための道具として,ノンパラメトリック回帰,とくに平滑化スプラインの有用性を実証し,その方法を実装したアプリケーションを開発することであった。
本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。
1.応答のベキ変換による加法モデルの拡張
加法モデルにおける仮定(加法性,分散均一性,正規性など)の妥当性を評価するために,ベキ加法化平滑化スプラインやベキ重み付き平滑化スプラインなどを提案し,Fortranプログラムによる実装を行った。応答のベキ変換パラメータを分散・平滑化パラメータと同時に最大周辺尤度法(経験Bayes法)によって選定する。ベキ加法化平滑化スプラインでは周辺尤度の正確な計算は困難であるため,その近似方式を提案した。本方式の近似精度,および本方式を用いた場合の加法関数の推定性能を,事例研究やシミュレーションを通じて評価し,推定されるベキ変換が非線形構造を考慮しながら加法性や分散均一性などの要件を達成するという妥当な結果を得ることができた。
2.ABIC(赤池Bayes情報量基準)による最適なモデルの選定
平滑化スプラインの線形混合モデルによる表現を利用することにより,包括的な階層型のモデル族を構築することが可能となる。モデルが非線形(ノンパラメトリック)成分を含むかどうかの診断は,線形混合モデルのランダム効果に関する診断に帰着され,必要となる分散パラメータの個数の選定にはABICを用いることができる。本方式の有用性を事例研究などにより確認した。 -
大腸がんリスク評価のためのマイクロシミュレーションの精緻化と改良
研究課題/領域番号:22K10559 2022年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
加茂 憲一, 福井 敬祐, 坂本 亘
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
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がん対策推進基本計画の効果検証と目標設定に関する研究
2014年 - 2016年
厚生労働省 厚生労働科学研究費 H26-がん政策-一般-015
加茂憲一(研究代表者), 田中純子, 高橋秀人, 坂本亘, 片野田耕太, 伊藤ゆり, 雑賀公美子, 松田 彩子, 伊森晋平
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
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回帰関数と確率密度関数に関する推定の研究
研究課題/領域番号:22540126 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
白旗 慎吾, 坂本 亘, 藤木 美江, ドウ シャオィリン
配分額:2340000円 ( 直接経費:1800000円 、 間接経費:540000円 )
以下の2つの領域で成果を挙げた。 まず回帰関数の推定について。直線回帰で、誤差の仮定によらない頑健な推定量を調べた。マウスの発する超音波を時間を説明変数とする回帰関数とみなし、誤差の消去法、超音波かどうかの判断基準、得られた曲線の分類の新しい方法を提案した。 次に、確率密度関数の2乗の積分の推定について。カーネル関数、U統計量を用いた推定量を構成し、その漸近正規性を示し、窓幅の性質等をシミュレーションにより確認した。
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関数データの解析法の開発とその応用の研究
研究課題/領域番号:17654024 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
白旗 慎吾, 坂本 亘
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
本研究では、気象データ、人間の成長データなど本来は関数として得られるべきであるが、観測の都合上離散時点で観測されたデータを関数データとし、その解析法を開発することを目的としている。
関数データでは通常観測時点数が比較的多く、通常の多変量解析法は適用困難であり、まず元の関数(回帰関数)をできるだけ再現し、その後に判別解析、主成分分析などの種々の解析を行う。本年はその基本的問題である回帰関数の推定量、および、例えば人間の成長過程の解析に必要な速度関数(1回微分関数)・加速度(2回微分関数)の種々推定量の比較を行った。回帰関数の推定量の比較に関しては多くの研究がすでに行われているが微分関数の推定量の比較検討はほとんど行われていない。推定量としては、最もよく普及しているスプライン関数による区分的多項式で基底関数の係数を回帰関数と微分関数で別々に推定する方式と一度に推定する方式、kernel関数によるある種の加重和で通常の推定量を微分する方式と局所多項式モデルを考えその係数を用いる方式を考えた。ただし、解析は数学的には困難でコンピュータ・シミュレーションを多用した。比較する母回帰関数としては、微分の方が変動の激しい関数、変動がほとんど変わらない関数、変動が減少する関数を採用した。結果として、どの場合でもスプライン関数で基底関数の係数を回帰関数と微分関数で別個に推定する方式が最良であった。ただし計算量では一度に推定する方式の方が負荷が軽い。ただし、どの方式であれ、関数の定義域の境界近くで乱雑度が増し、精度が落ち欠点がある。そこで定義域の境界近くでより平滑な関数を得るために節点を調整する工夫を行った。結果は論文として投稿すべく準備中である。 -
生活の質を持続的に向上させる政策評価方法の研究:理論と実証
研究課題/領域番号:16203020 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
下村 研一, 白旗 慎吾, 福重 元嗣, 山地 秀俊, 橋本 介三, 小池 淳司, 坂田 裕輔, 坂本 亘
配分額:39780000円 ( 直接経費:30600000円 、 間接経費:9180000円 )
政策評価の基礎理論の研究と,政策の実態を重視した実証分析の研究を行なった。分析方法が経済理論に加え、統計学・計量経済学・実験経済学を方法とする本プロジェクトの特色である。分析のプロセスと結果を研究分担者間でチェックする研究会を適宜開催し、その意見交換を経て研究成果を公刊した。
環境交通・政策評価研究班は環境問題と交通問題の実態、特にごみ一般、産業廃棄物、大気汚染、観光地の自然環境、そして公共交通機関に関する内外の重要研究を整理し、問題に応じた分析と評価方法の検討を行なった。イタリアの政策研究ではスローライフ及びリサイクル事業の実地調査と聞き取り調査を行い,大阪モノレールの彩都線延伸計画に関する調査研究では,選択型実験法を用いて大阪モノレールの延伸事業の費用便益分析を行った。
また,地方財政・都市政策研究班は、離島経済の持続的成長、地方政府の情報公開問題に関するデータの収集・整理に加え、シミュレーションを用いた研究を行った。具体的には奄美大島の観光政策等および中越地震の被害状況に関する自治体関係者への聞き取り調査、地元へのアンケート調査を行った。また日本の都市圏データに基づく一人当たり所得の収束に関してマルコフ行列を応用した分析を行ったところ,過去の一人当たりの所得の変化からは,非常に長期の期間においても収束する傾向が無い事が明らかになった。実験経済学の研究では,完全競争では均衡が不安定な場合にそして独占的競争では均衡が安定な場合も不安定な場合も均衡の達成が実験では保証されないため,政策の有効性は理論と実験の両方で確認すべきであるという結論が得られた。さらに規模の経済性を考慮した動学的空間的応用一般均衡分析の研究では,オランダにおける都市部の交通渋滞による影響を社会経済の視点と生活水準の視点から分析し,渋滞がどのような業種にどのような影響をおよぼすかが明らかになった。 -
生存時間情報の統計的診断過程の研究
研究課題/領域番号:15300091 2003年 - 2005年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
白旗 慎吾, 坂本 亘, 黒木 学, 杉本 知之, 大瀧 慈, 越智 義道, 後藤 昌司
配分額:14400000円 ( 直接経費:14400000円 )
本研究の目的は、生存時間解析およびそれに関連した医療科学に関する情報解析に有用な統計学の研究である。生存時間とは、医学においては対象が死亡するまでの時間を意味するが、広く解釈すれば事件が起きるまでの時間や回数であり、心理学、テスト理論その他の広い分野と関連する。生存時間データはそのほとんどが人間や生物からのデータであり、個体変動が大きく、正規分布を中心とした標準的な手法の適用は困難であり、適用される統計手法はロバストなノンパラメトリック・セミパラメトリックな手法、およびデータのモデルを探る統計グラフィックスが中心となる。これらは多量の計算やコンピュータ・シミュレーションが必要とされ、コンピュータ志向型手法である。
代表者・分担者は多くの研究協力者と共同して研究を進め、多くの結果を発表した。特に、時間順に取られた経時データの分散分析法の開発、depthの概念を用いての回帰モデルにおけるロバストな推定量の開発とその実際のデータへの適用可能なことの実証、ウエーブレットによる平滑化法における基底関数の選択法の開発、スプライン平滑化による分散成分の均一性の診断法の研究、2分木・多分木法による非線形回帰構造の探索、非線形構造を持つ・分散の不均一性等が疑われるデータに線形性・分散均一性を仮定している標準的手法を適用するためのデータ変換法の研究、原因と結果の関係を探るモデルの構築を目指す因果分析法の研究、モデルが複雑な場合に推定量を構成するための疑似尤度法の研究、標準的仮定の下でより変動の過大・過小なデータの処理法と医学・薬学データへの応用、等で成果をあげた。
また、研究期間中、分担者、および実際にデータ解析に従事している民間の研究者多数の参加を得て5回の研究集会を開催し、活発な議論や情報交換を行い産学交流に貢献した。 -
高次情報処理に関する統計的推論過程の研究
研究課題/領域番号:14208024 2002年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
後藤 昌司, 杉本 知之, 坂本 亘, 白旗 慎吾, 越智 義道, 大瀧 慈
配分額:22750000円 ( 直接経費:17500000円 、 間接経費:5250000円 )
2年間にわたる本研究の成果と実績を下記に要約する.
人間の所作が関与あるいは介在する「高次情報処理過程」でデータと環境に適応的な推測の方法論に注力して研究を進めた.
統計的変換論を中心に研究を進め,データ適応型接近法の代表格として,アナログ情報からディジタル情報への変換と逆変換を含め,従来の統計的財産を活かす包括的方法論を体系化して提示した.
・データ適応型多変量解析論として,データ適用型判別解析法とその診断法を提案し,実際例への適用をとおして,その有用性を示した.
・統計的視覚表現論の研究では,統計的グラフィクスの理論,方法,応用,評価をその適用目的に沿って整備し,新たに,データ適応型グラフィクスを提案し,その有用性を評価した.
・不完備経時データの解析法と離散データのモデル依拠型解析法を最近の切り口で評価し,新しい提案を行った.
・樹木構造接近法については,経時対応データの解析用と生存時間解析用のCARTとMARSの拡張,開発,適応をはかり,医療などの分野で実地の効用を評価した. -
非線形構造の探索・抽出のためのノンパラメトリック回帰とその有用性の研究
研究課題/領域番号:12780177 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
坂本 亘
配分額:1700000円 ( 直接経費:1700000円 )
ノンパラメトリック回帰の代表的な方法であるスプライン平滑化では,平滑化パラメータが推定関数の滑らかさを制御する.本研究では,制限付き最尤推定法(REML)による平滑化パラメータの選定方式に着目し,非線形構造の探索・抽出という観点からその性能評価を行った.そして,REMLによる選定方式を用いることで,スプライン平滑化が探索的データ解析の有用な道具となる可能性を追求してきた.
13年度の研究で得られた知見・成果は以下のとおりである.
1.シミュレーションによるREMLの性能評価
REMLによる非線形構造や相関構造の抽出能力,さらに関数および分散・相関パラメータの推定性能を評価した.その結果,REMLは非線形構造をほぼ適切に抽出し,相関がある場合にもこれを適切に検出することができること,さらにREMLは標本サイズが比較的小さい場合にも有用であることがわかった.平滑化スプラインとREMLの組み合わせにより,ノンパラメトリック回帰は非線形構造の探索・診断を行うための道具としての有用性をもつといえる.
今後は以上の成果について学会発表や投稿論文による報告を行う予定である.加法モデルや交互作用モデルなど種々のモデルヘのREMLの適応とその評価についても今後の検討課題としたい.
2.非正規型ノンパラメトリック回帰モデルヘのREMLの適用についての考察
非正規型平滑化スプライン・モデルを一般化線形混合効果モデルによって表現し,回帰関数を求めるための反復方程式に基づいて構成される近似的な制限付き対数尤度を最大化する.簡単な数値実験を行ったところ,観測が同じ説明変数値で反復される場合にはREMLによって平滑化パラメータが良好に選定されるのに対して,異なる説明変数値において観測される場合にはやや滑らかな関数を推定することがわかった.
今後は上記の問題点の改良を行い,より包括的な性能評価を行う予定である. -
繰り返し全数検査とそのパラメータ推定法の研究
研究課題/領域番号:11878047 1999年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽的研究
白旗 慎吾, 坂本 亘, 安芸 重雄, 後藤 昌司
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
1.品質検査の対象となるロットに含まれる不良品個数をM、1回の検査で不良品が検出される確率をθ、1回の検査のコストをcとする。本研究ではロットに含まれる製品の数は極めて多く、不良品の個数は相対的には少ないことを仮定している。検査の目的は合理的なコストで可能な限り不良品を除去すること、および残存不良品個数を精度良く推定することである。
2.ロットの現状を把握するためにはT回の全数検査によりM、θを推定する必要がある。推定方式として単純最小2乗法、重み付き最小2乗法、最尤法、モーメント法を比較し、精度としては最尤法が最も良く、ただし多くの場合に計算の容易な単純最小2乗法も捨てがたいことが分かった。
3.もちろんすべての不良品を発見することが望ましい。また、検査は終わらなければならない。実際的ないくつかの停止方式でのコスト、検査回数等を求めた。実際に行われている検査回数は少なすぎることを指摘した。これはすでに論文として発表している。
4.不良のタイプが複数の場合は発見確率θがそれぞれで異なるが、2,3の方式を組み合わせれば推定、計算は容易である。
5.検査に物理的な刺激が加わる場合は、検査により不良品が追加発生されることがある。その場合の物理モデルは知られていない。追加発生の確率として、ポアソン分布、負の2項分布などのモデルの当てはめを行っているが、データにうまく当てはまるモデルはまだ見つかっていない。 -
非線形統計モデルにおける統計理論とその応用の研究
研究課題/領域番号:09304024 1997年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
白旗 慎吾, 藤越 康祝, 坂本 亘, 後藤 昌司, 越智 義道, 正法地 孝雄, 安芸 重雄
配分額:20000000円 ( 直接経費:20000000円 )
1.本研究の目的は(1)代表者および分担者によって非線形統計モデル・非線形統計解析法の研究を進めること、および(2)研究集会を開催して、いろいろの研究成果の発表を得て、代表者・分担者による討論・情報交換を行うとともに研究班以外の研究者との交流を深めること、にあった。
2.1(1)に関しては、代表者・分担者による個別もしくは共同研究により多くの結果を得ている。その多くは各種学術雑誌に掲載されるか、国内・国外の研究集会・学会・シンポジウム等で発表されている。その詳しいリストは冊子体の成果報告書を参照されたい。
3.1(2)に関しては、研究期間の3年間に7回の研究集会を開催した。それぞれのテーマは(1)非線形統計モデルにおける統計理論とその応用の研究・第1部(発表5件、開催地:呉市)、(2)非線形統計モデルにおける統計理論とその応用の研究・第2部(発表12件、開催地:大分市)、(3)実験計画法における理論と非線形問題(発表17件、開催地:広島大学)、(4)ノンパラ・非線形・シミュレーション(発表7件、開催地:成蹊大学)、(5)非線形統計モデルとデータ解析(発表12件、開催地:鳥羽市)、(6)非線形統計モデルとコンピュータ(発表13件、開催地:金沢大学)、(7)実験と非線形統計モデル(発表13件、開催地:松山市)であった。計79件の発表は純粋に理論を追求した研究から非線形構造を持つ実際のデータの解析まで多岐に渡り、また達成した成果の発表から解けなかった問題や重要な問題の提示に渡る。ただし、そのほとんどはコンピュータに源を持つ発表であり、かつこれから統計学の研究対象となる大きなテーマである。 -
実験と観察の融合に基づく統計的データ解析過程の研究
研究課題/領域番号:09558024 1997年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
後藤 昌司, 田子 精男, 越智 義道, 白旗 慎吾, 坂本 亘, 上坂 浩之, 岩佐 学
配分額:12100000円 ( 直接経費:12100000円 )
本研究の最終年度にあたることから,実験研究と観察研究での主要な方法論について最近の研究成果に注目し,両研究に交叉して適用することのできる諸法を摘出し,その検討を行った.また,本研究の成果をまとめるために,平成11年度10月に大分で,また平成11年度12月に大阪で研究集会(連絡会議)をもち,意思の疎通をはかるとともに個々の研究を深耕させ,生産的知見を産出した.
・観察研究での代表的な方法論として「繰り返し更新分割に依る回帰と分類」の方法を開発し,生存時間研究および医薬品の市販後調査データの解析に適用した.とくに,"SurvivalCART"に依る胃癌データの解析は,その規模と解釈の容易さもあって,臨床の場(医師などの共同研究者)に相当の影響を与えたと考えられる.
・国際標準化の波に洗われている医薬品の臨床評価の場で「ブリッジング・スタディ」の方法論を用量反応関係とと同等性評価の場で提案し,その有用性を示した.そして,今後の医薬品の評価のあり方に一つの道標を提示した.
・観察研究でのデータ解析および実験研究の事後解析において,計数値を計量値と同じように扱えるように「変換の方法論」を拡張し,評価した.それらを実際の医学データの解析に適用し,その有用性を評価した.
・条件付き推測法で鞍点近似に依る接近法を提示し,通常の正確(直接)推測法との対比・評価を行い,この方法の適用枠について実践上の示唆を与えた.
・観察研究,とくに医学・生物学の領域で生じる「多変量小標本の比較」の問題について検討を加え,従来の「変量の次元で規定される変量空間と標本サイズで規定される標本空間との双対性」を利用する有効次元数の推定,およびそれに基づく検定の評価を行い,新たに主成分解析法による次元の縮約に基づく検定の方法を提案し,その有用性と相対的な特徴を示した.
・観察研究で,とくに有用なデータ省察型グラフィクスを統合的に省察し,データ適応型確率プロッティングを開発し,その有用性を実際例とシュミレーションのもとで検証・評価した. -
統計的変換論の研究
研究課題/領域番号:09640266 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
後藤 昌司, 坂本 亘, 谷口 正信, 白旗 慎吾, 衛藤 俊寿, 大瀧 慈, 衞藤 俊寿, 稲垣 宣生
配分額:2900000円 ( 直接経費:2900000円 )
前年度からの「変換の諸型と諸法」に関する理論と応用の研究を継続し,さらに特定の主題を深耕した.とくに,本研究の最終年度にあたるため,今後の研究へつなぐことに配慮し,その成果をまとめる方向に注力し,本研究で得られた生産的知見と今後の研究の必要な課題を整理した.
・ベキ変換の拡張の諸型を「目標と仮定」に注目することから,2重ベキ正規化変換,2重ベキ加法化変換,2重ベキ均一化変換を提案し,その性能を評価し,実際場面での適用の有用性を示唆した.
・ベキ変換が「無変換」(正規性の成立)の場合を「無修正」で含むように,調整する変換公式を提案し,それに基づく推測の方法とソフトウェアを開発した.
・ノンパラメトリック変換ACEを射影追跡回帰で用いる方法を提案し,その性能を評価した.この方法(主題)は適用場面の広さからも今後に期待を抱かせる.
・級分け観測値と計量値の混在,および欠測卸値,中途打ち切り(censored)観測値,打ち切り(truncated)分布の場面のような実際的な状況での変換諸法に基づく統計解析の方式とその性能を検討した.とくに,医療における評価指標のグレイドの適切性を検討し,実際の臨床試験の場面で検証した.さらに,級分け観測値と計量値が混在する場面では,無構造から有構造にわたるデータへも適用可能なことを示した.後者の場面は,とくに回帰の場面で有用である.
・ノンパラメトリック回帰に諸種の変換を組み入れることを探求し,その性能を評価した.
なお,これらの研究成果の詳細は『統計的変換論:研究成果報告書』に記載・要約した.