Research Projects -
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Sustainability of Minority Languages in Southern Ethiopia and Empowerment of Their Speakers: Designing Mother-Tongue Educational Materials
Grant number:24KK0007 2024.09 - 2029.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
乾 秀行, 仲尾 周一郎, 高橋 洋成, 林 由華
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琉球諸語における指示詞の総合的研究
Grant number:24K00073 2024.04 - 2029.03
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
又吉 里美, 荻野 千砂子, 白田 理人, 重野 裕美, 堤 良一, 衣畑 智秀, 林 由華, 當山 奈那
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Variation and historical transition of verb morphology in Ryukyuan languages
Grant number:22K13126 2022.04 - 2026.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
林 由華
Grant amount:\4550000 ( Direct expense: \3500000 、 Indirect expense:\1050000 )
本年度は、(i)南琉球におけるm語尾終止形とそれと相補的に現れる他の述語形の意味機能と分布 (ii)北琉球におけるri終止形とm終止形の意味機能と分布 (iii)諸方言における連用形終止用法の意味機能と分布 について、与那国島、沖縄本島、徳之島の各地において予備調査を計画していたが、コロナ禍の影響を受け、特に現地調査について制限の強い中での研究実施となった。そのような制限の中でできることとして、主として北琉球の津波方言(沖縄本島)、平田方言(奄美大島)について、通信などを組み合わせた調査を行い、それぞれの方言における文法記述を進めた。津波においては、動詞形態論および各種助詞に関する調査・分析を進め、助詞に関する発表を1件行ったほか、動詞形態論の論文の投稿準備を行っている。平田方言については、方言の概要を正確に把握するための語彙調査、動詞形態論を含む文法調査を進め、報告資料としての投稿を準備中である。また、池間西原方言(宮古島)の情報構造に関わる助詞に関して、学会発表および論文の発表を行った。そのほかの地域では主として先行研究・文献による研究を進め、予備調査票の作成・改善を進めた。
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Case as a Grammatical Category in Japanese and Ryukyuan Languages
Grant number:20K20704 2020.07 - 2024.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
竹内 史郎, 松丸 真大, 中川 奈津子, 小西 いずみ, 下地 理則, 林 由華
Grant amount:\6370000 ( Direct expense: \4900000 、 Indirect expense:\1470000 )
今年度の研究において見いだされた一つの結論は以下の通りである。文法記述を行う研究者の間には、述語と項の関係は「格」という文法的な手段によって一律に定まるという暗黙の了解があり、長らく対案のないままこの暗黙の了解を前提として研究が行われてきた。しかし、この暗黙の了解から距離を置かなければ統語記述が甚だ不十分になってしまう言語があり、そして文文法のレベルにおける説明に終始するだけでは不十分な言語があることが明らかとなった。有生性効果、無生性といった項名詞の意味特徴による相互識別の手段や、文脈や世界知識といった語用論的な相互識別の手段を広く包摂し、格という文法カテゴリーにおける文法化のメカニズムを捉えていくような理論が望まれることが確認された。よりいっそう統語記述が改善されるような理論的な考察を深めていかなければならない。
研究代表者、研究分担者らが中心になって日琉諸方言における情報構造と文法現象をテーマとした論文集を刊行する計画が進行している。出版社も決まっており今年度中の刊行を目指している。 -
A study of demonstratives in Ryukyuan languages: Toward an elucidation of Proto-Japonic
Grant number:19K00589 2019.04 - 2024.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
衣畑 智秀, 林 由華
Grant amount:\4420000 ( Direct expense: \3400000 、 Indirect expense:\1020000 )
琉球諸方言には二系列の指示詞を持つ方言と三系列の指示詞を持つ方言が存在する。しかし、それぞれの指示体系の実態がどのようなものか、また二系列指示体系と三系列指示体系がどのような歴史的関係にあるのかは明らかになっていなかった。本研究では琉球諸方言の指示体系について、直示用法・照応用法の調査を行い、その実態を明らかにするとともに、どのような祖体系からそれぞれの方言が変化してきたのかを明らかにし、また同時に、古代日本語の指示体系と比較することで、日琉祖語の指示体系にも迫っていく。
このような研究計画のうち、琉球宮古語の二系列指示体系と三系列指示体系がどのような祖体系から変化したのかについては、昨年度「琉球諸語と上代日本語からみた祖語の指示体系試論」という論文で明らかにした。本年度は宮古語だけでなく、奄美語、八重山語についても指示詞の調査を行う予定であったが、長引く新型コロナ・ウィルス蔓延の影響で、奄美、八重山には調査に行くことができなかった。そのため、方針を変更し、上記の論文で再建した指示体系を日本語と比較するために、上代・中古日本語の指示詞の調査を行った。このうち、上代日本語の指示体系については、論文「上代語指示詞の指示特徴---文献を用いた観察データの構築法」を執筆し、上代日本語の指示体系は、話し手の近辺を直示的に指すコ系列と、照応や非可視的な対象を非直示的に指すソ系列からなることを統計的に明らかにした。この体系は、ku-が近称(直示)であり、u-がもっぱら照応を表す宮古祖語の指示体系と類似しているが、資料とした万葉集では、遠称ka-のような、遠く離れた指示対象を直示的に指す例に乏しく、その点では異なりも見られた。これについては和歌という資料性の問題も絡んでいると見られるため、今後、中古の散文資料も含めて用例を整理し、明らかにしていく予定である。 -
日琉諸語の歴史と発展についての総合的研究に向けて
Grant number:19H05354 2019.04 - 2021.03
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
林 由華
Grant amount:\2600000 ( Direct expense: \2000000 、 Indirect expense:\600000 )
2年目である2020年度では、前年度までに準備を進めた2件のシンポジウムおよび1件の研究会を実施した。まず、2020年8月17日・18日に、研究会「遺伝学・言語学・考古学の成果から見る宮古諸島の人の多様性」をオンラインで実施し、遺伝学、言語学、考古学のそれぞれの最新の研究結果を共有し、宮古諸島における人の多様性やその形成過程の解明において、それらの結果をどのように融合させられるかについて議論した。次に、2020年9月19日・20日には、シンポジウム 「係り結びと格の通方言的・通時的研究」(国立国語研究所「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」、科研費19H01255、20K20704との共催)では、係り結びおよび格について、主に文献資料を用いた古典語の研究と、主にフィールド調査によるデータを用いる方言の研究の双方の観点から、日琉諸語に認められるこれらの現象を総合的に検討した。さらに、2020年12月19日・20日には、シンポジウム「日琉諸方言系統論の展望」(国立国語研究所「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」、科研費17H02332、17H06115、18H05510 との共催)を行い、これは、日琉諸語諸方言の系統関係(歴史的派生関係)を反映した下位分類や、日琉分岐前の言語特徴に関わる研究について、問題となる点を共有し議論した。代表者個人の活動としては、係り結びに関係する研究成果、2件の学会発表と1件の論文がある。
コロナ禍の影響による延長期間である2021年度~2022年度には、2020年度に行ったシンポジウム、特に日琉諸語の系統論および個別の言語現象の歴史的研究に関する研究に関する論文を集めた書籍を出版した。また代表者個人として、学会発表(2021年度1件、2022年度1件)や論文の発表を行っている(2022年度1件)。 -
Description and documentation of Ethiopian languages: Towards a social innovation
Grant number:18KK0009 2018.10 - 2024.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
乾 秀行, 池田 潤, 高橋 洋成, 仲尾 周一郎, 林 由華
Grant amount:\17940000 ( Direct expense: \13800000 、 Indirect expense:\4140000 )
本研究はエチオピア少数言語を対象に、エチオピア人研究者と共同で現地調査を行い、①文法記述、②民話などのコーパスを動画及び音声で保存し、動画解析ソフトELANを用いてIPA(国際音声記号)による音転写、英語・アムハラ語への翻訳、形態素のグロス作成、③収集したドキュメンテーションや語彙を基にして母語教材(読み物テキストや絵付き単語集等)を作成して現地で出版し、母語話者に提供することを目的としている。本年度の研究実績は以下のとおりである。
1.乾(北オモ系バスケト語)、高橋(南オモ系ハマル語・バンナ語)、仲尾(ナイルサハラ系ベルタ語およびベニシャルグル・アラビア語)、エチオピア人研究者モガス(ナイルサハラ系ニャンガトム語)が現地調査を実施し、文法記述、ドキュメンテーション作成を行った。
2.乾と高橋は、エチオピア人研究者4名(モガス、ビニアム、ムルゲタ、ヨハネス)と今後3年間の研究計画とエチオピアにおいてどのような形で少数言語の母語教材を提供するのかについて協議を行うと共に、共同研究で用いる録画・録音機材の使用方法、ELANを用いたデータ収集法に関して説明を行い、少数言語のドキュメンテーション作成の準備を完了させた。
3.林はジジガ大学アフメッド氏とクシ系ソマリ語のドキュメンテーション作成を共同で行うための協議を行った。
4.高橋は現地情勢などを情報交換するためのサーバを整備した。
5.エチオピア諸語研究会を実施し、乾、池田、高橋、仲尾、林、研究協力者の岩月(名古屋大学院生)、原(筑波大学院生)、ゲブリエル(筑波大学研究生)が研究発表を行った。 -
A cross-dialectal study on the form and the function of Kakarimusubi in Ryukyuan and Hachijoan dialects
Grant number:17J10117 2017.04 - 2021.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for JSPS Fellows
林 由華
Grant amount:\4420000 ( Direct expense: \3400000 、 Indirect expense:\1020000 )
本研究は、I) 琉球諸語および八丈語全体における係り結びの調査研究 II) 宮古語諸方言 における係り結びおよび係り結びに関係する情報構造やモダリティについての記述の精緻化という2つの軸のもとに進めている。
本年度は、まずIに関して、去年度までの成果を基に各方言における結び形の焦点特性と係助詞との関係を中心とした係り結びの類型について学会発表を行った。それを基にさらに奄美語(平田・井之川)、沖縄語(首里・名瀬・津波)、八重山語(宮良)、与那国語、八丈語(大賀郷)において、係助詞の機能とそれに対応する述語形の機能、動詞述語のパラダイムについての調査を進めた。このうち津波について、結び形がないため活用形の交替(呼応)としての係り結びはないが、係り助詞が文末に及ぼす影響があり、それが典型に近い係り結びがある方言と同様のものと考えれられることを示し、次年度初頭に学会発表を行った。
II に関しては、宮古語諸方言で観察される接続形終止用法について、それが中立的な過去形として現れる方言のほか、述語焦点過去形として現れる方言があることを明らかにし、学会発表を行った。また、宮古語諸方言の動詞屈折形態の分析において拡張語幹を認めるかどうかについて、共時的には決定できないが歴史変化を考慮することにより拡張語幹の結束性を認められることを示す学会発表を行った。
また、IやIIを発展させるものとして、焦点助詞をもつ他言語(ソマリ語)と宮古語との対照研究を試み、初期報告として発表を行った。 -
宮古語池間方言と八重山語波照間方言における無声鼻音の研究
2017.04 - 2019.03
鹿島学術振興財団助成 研究助成
林由華
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「何もしなければ」消滅してしまう琉球のことばを、 記録、共有して、継承するために
2017.04 - 2019.03
電気通信財団普及財団助成 研究助成
林由華
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A fundamental study and data collection for documenting the dialects of Miyakoan
Grant number:16K16842 2016.04 - 2023.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
林 由華
Authorship:Principal investigator Grant type:Competitive
Grant amount:\3770000 ( Direct expense: \2900000 、 Indirect expense:\870000 )
本研究の目的は、消滅の危機にある南琉球宮古語について、豊かな方言バリエーション全体を記録保存するためのデータ収集、および記録のための社会言語学的基盤、電子公開の基盤の整備である。宮古語の方言は数十あるとも考えられるが、実際に話者が区別しうる方言数はどのくらいあるのか、それがどのような区分を成しているのかについては、明らかでない。本研究は、そのような話者の言語意識に基づく方言区分・方言数を明らかにしてその記録の単位を割り出すとともに、それぞれの方言についての動画による談話資料を収集し、共有のために電子公開を行う。
本年度は、①言語意識に基づく方言区画の聞き取り調査、②ウェブサイト(「みゃーくの方言 ―宮古語諸方言の記録―」http://miyakogo.ryukyu)でのデータ公開、③話者コミュニティとの共同での記録・コンテンツ作成を進めた。①については、対面調査と電話による調査を組み合わて行い、全地点の80%程の調査を済ませた。②について、実際にウェブサイトに掲載した状態での動画を話者に見てもらい、承諾を取り、9地点のデータを公開した。また、英語版サイトの構築も進めた。③について、FUMO 山本史氏の協力のもと、宮古総合実業高校生徒と共同で、地域の民話と方言に触れることのできる紙芝居作成を行った。この作品についても、ウェブサイトでの公開準備を進めている。また、これらの活動や方言記録のためのウェブサイトのデザイン、開発済みの字幕システムなどについて、国際学会で発表を行った。 -
A study of the northern dialects of Miyako Ryukyuan
Grant number:26770153 2014.04 - 2018.03
Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Kinuhata Tomohide, HAYASHI Yuka
Grant amount:\3770000 ( Direct expense: \2900000 、 Indirect expense:\870000 )
The purpose of this project is to complete a reference grammar, a word list and texts of spontaneous discourse of the northern dialects of Miyako Ryukyuan, which are severely endangered languages, and contribute to the linguistic study of the next generation. At the same time, this project attempted to show the significance of those endangered languages for the general linguistic research. For these purposes, we have so far recorded and transcribed 4 hour spontaneous discourse of the Karimata dialect, and described the grammar of this dialect based on this text. In order to show the significance of the Miyako dialect, we have studied topics such as Kakarimusubi, interrogatives, verbal conjugation, aspectual expressions, and demonstrative pronouns and discussed their characteristics comparing it with other Japonic dialects.