共同研究・競争的資金等の研究 - 山元 英崇
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治療抵抗性肉腫における免疫微小環境の空間的解明と新規治療法への展開
研究課題/領域番号:24K02566 2024年04月 - 2028年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
藤原 智洋, 冨田 秀太, 山元 英崇, 冨樫 庸介, 尾崎 敏文, 近藤 彩奈, 長谷川 翼
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
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IgG4関連疾患の異所性胚中心オルガノイドから病因解明と新規モデル動物の樹立
研究課題/領域番号:22H03291 2022年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
前原 隆, 川野 充弘, 山元 英崇, 中村 誠司
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
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骨腫瘍におけるヒストン変異、エピゲノム異常と骨分化制御機構の解明
研究課題/領域番号:22K06941 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山元 英崇
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
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個別化治療確立に向けた唾液腺癌の分子病理学的解析:大規模多施設共同研究
研究課題/領域番号:21H02704 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
稲垣 宏, 加納 里志, 中黒 匡人, 奥村 嘉英, 岩井 大, 丹生 健一, 草深 公秀, 櫻井 一生, 山元 英崇, 河田 了, 村瀬 貴幸, 田口 健一, 正木 彩子, 羽藤 直人, 多田 雄一郎, 川北 大介, 花井 信広, 大上 研二, 長尾 徹, 長尾 俊孝
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
唾液腺癌は稀な腫瘍であるが、われわれは多施設共同研究組織を構築し、これまでに多数の症例を収集した。2021年度は以下の研究を行い、論文発表を行った。
1. 粘表皮癌は唾液腺癌の中で最も頻度の高い腫瘍であるが、その組織学的多様性は十分明らかになっていない。我々は粘表皮癌117例を亜型分類したところ、Classical (74%), Clear/oncocytic (8%), Warthin-like (3%), Clear cell (3%), Oncocytic (2%), Spindle (2%), Sclerosing (2%), Mucinous (3%), Central (2%)であることを明らかにした。Ciliated, Mucoacinar, High-grade transformationは認められなかった(Histopathology, 2021, PMID: 34657306)。
2. 粘表皮癌に次いで頻度の高い腫瘍である腺様嚢胞癌は、組織学的に、充実性腫瘍成分により悪性度を推定することが多いが、それを正確に判定することはしばしば困難である。われわれは腺様嚢胞癌195例を臨床病理学的に検討し、充実性腫瘍成分の短径が客観的な悪性度指標であることを明らかにした(Cancer Sci, 2021, PMID: 33377247)。
3. 粘表皮癌は稀に胸腺に発生するが、その詳細は明らかではない。われわれは国際共同研究を行い、胸腺粘表皮癌の臨床病理学的、分子病理学的特徴を系統的に解析した。興味深いことに、CRTC1-MAML2融合遺伝子は56%の症例に認められ、患者の予後良好と関連した(Am J Surg Pathol, 2022, PMID: 35319525)。 -
希少癌における肉腫のマルチオミクス解析による発癌機序と治療抵抗性獲得機構の解明
研究課題/領域番号:19H03444 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
小田 義直, 孝橋 賢一, 山元 英崇, 岩崎 健, 山田 裕一
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
2年目(2020年度)は前年度に引き続き、骨軟部腫瘍におけるエピジェネティクスの異常を同定する基礎となる塩基配列の情報を得るため、対象となる骨軟部腫瘍に対して次世代シークエンサー(NGS)を利用した遺伝子解析を継続している。本年度は粘液性分と未分化多形肉腫様成分のいずれの成分も有する粘液線維肉腫10例を抽出し、未分化多形肉腫10例、特に粘液線維肉腫は古典的な粘液線維肉腫成分と未分化多形肉腫に相当する組織像を呈する領域に分けて網羅的遺伝子解析を施行中の状態である。
また、ヒストンH3.3異常を検出するため、H3K27me3免疫染色を多数種の骨軟部腫瘍に対して施行した。悪性抹消神経鞘腫は昨年度H3K27me3発現欠失を86例中37例(43%)に確認されたが、同腫瘍の骨格筋分化およびに末梢神経分化の程度と併せて評価することにより、発現欠失が見られる腫瘍には骨格筋分化が観察される傾向があることが統計学的に示された。同内容は論文投稿中の状態である。また、血管内膜肉腫20例においてもH3K27me3発現を免疫組織化学的に確認し、20例中2例で発現欠失が認められた。血管内膜肉腫における発現欠失はこれまでに報告されておらず、その意義も不明であるため、今後同腫瘍に関しても検討を行う方針である。
骨原発未分化多形肉腫より悪性GCTB9例(primary 3,secondary 6)を抽出し、NGS解析した。うち2例のsecondary MGCTBはH3.3G34Wが陰性転化しており、FISHでH3FA3片アレルの欠失を認めた。4例でNGSをし、3例でTP53変異、1例でEZH2変異を認めた。p53変異並びに、H3K27me3欠失で表されるエピジェネティックな異常がGCTBの悪性転化や形態形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 -
IgG4関連疾患とその世界初モデルマウスにおける臓器線維化メカニズム解明
研究課題/領域番号:19H03854 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
前原 隆, 新納 宏昭, 森山 雅文, 山元 英崇, 中村 誠司
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
本邦から提唱され、現在では世界で注目されている IgG4関連疾患 (IgG4-RD) は、全身の臓器に病変を生じ罹患臓器への T 細胞および B 細胞の浸潤に伴う不可逆性の臓器線維化ならびに特異な免疫グロブリンのクラススイッチを特徴とする特異な疾患である。IgG4-RD における特徴的な臓器線維化については、未だその詳細な病態メカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、この臓器線維化の病態メカニズムの解明に焦点をあてる。
2020年度には、IgG4-RD 患者の末梢血と罹患臓器の検体を用いて、臓器線維化に関与するマクロファージ、CD4陽性細胞障害性 T 細胞 (CD4+CTL)、CD8陽性細胞障害性 T 細胞 (CD8+CTL)、臓器線維化関連形質細胞を明らかにした。IgG4-RD はアレルギー疾患と異なり、花筵用の特徴的な線維化や細胞障害性 T 細胞の浸潤を特徴とする。本研究では、IgG4-RD の罹患臓器に存在し、細胞障害性の臓器線維化に関与する可能性があるマクロファージ、CD4+CTL、CD8+CTL を明らかにした。 -
IgG4関連疾患の病因解明と新規治療戦略 -特異なT・B細胞を標的として-
研究課題/領域番号:18KK0260 2018年10月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
前原 隆, 中村 誠司, 新納 宏昭, 山元 英崇, 森山 雅文
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
本邦から提唱され、現在では世界で注目されている IgG4 関連疾患 (IgG4-RD) は、全身の臓器に病変を生じ罹患臓器への T 細胞および B 細胞の浸潤に伴う不可逆性の臓器線維化ならびに特異な免疫グロブリンのクラススイッチ (主に IgG4) を特徴とする特異な疾患である。本研究の目的は、病因となる T 細胞と B 細胞のサブセットを明らかにし病態解明を行うことである。本年では、罹患臓器である唾液腺の4検体よりシングルセル次世代シークエンス解析を行った。その結果、全患者の罹患臓器に特徴的に増加している IL10産生 T 細胞と CD4陽性細胞障害性 T 細胞、細胞障害性濾胞ヘルパー T 細胞 (Tfh) 細胞の存在を明らかにした。特に、IgG4産生へのクラススイッチに深く関与する IL10産生T細胞については、特異な遺伝子を発現していることを明らかにした。またこのIgG4 を特徴的に産生する B 細胞のサブセットも明らかにし、この B 細胞が IgG4産生に関与するサイトカインレセプターを特異的に発現していることが明らかとなった。また、空間的遺伝子発現解析を行い、これらの T 細胞と AID を発現した B 細胞が細胞接触していることを明らかにした。以上の結果より、本疾患の特徴である IgG4 産生について、この特異な現象に関与する特異的な T 細胞と B 細胞を明らかにした。
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個別化治療を見据えた唾液腺癌の分子病理学的解析:大規模多施設共同研究
研究課題/領域番号:18H02633 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
稲垣 宏, 加納 里志, 中黒 匡人, 奥村 嘉英, 岩井 大, 丹生 健一, 草深 公秀, 櫻井 一生, 山元 英崇, 河田 了, 村瀬 貴幸, 田口 健一, 正木 彩子, 羽藤 直人, 多田 雄一郎, 川北 大介, 花井 信広, 大上 研二, 長尾 徹, 長尾 俊孝, 内藤 健晴
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
唾液腺癌は稀な腫瘍であるが、多施設共同研究により多数の唾液腺腫瘍症例を収集し、臨床病理学的解析を行った。腺様嚢胞癌では鑑別の難しい良性腫瘍のタイプを明らかにし、また新規悪性度分類を提唱した。粘表皮癌患者の予後は特異的融合遺伝子が陽性の場合、極めて良好であり、術後放射線治療を省ける可能性などを報告した。これらの研究により、唾液腺癌の分子病態解明が進み、唾液腺癌の層別化・個別化治療へ直接的・間接的に応用されることを期待する。
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研究課題/領域番号:16K08669 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山元 英崇, 野崎 優衣
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
中間悪性腫瘍である炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)においてALK, ROS1, NTRK3融合遺伝子を同定した。その頻度はそれぞれ約60%, 5%, 5%であった。ALK免疫染色においては稀に、ALK1モノクローナル抗体を用いた従来法で陰性であっても、5A4モノクローナル抗体を用いた高感度法では陽性となるALK偽陰性例が存在することが判明した。pan-Trk抗体を用いた免疫染色は腫瘍細胞の核+細胞質の特徴的な発現パターンを示し、ETV6-NTRK3融合遺伝子を有するIMTの同定において、診断的価値が示唆された。
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軟部肉腫におけるSWI/SNF型クロマチン再構成因子発現および治療への応用
研究課題/領域番号:26460435 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
孝橋 賢一, 山元 英崇
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
類上皮肉腫や悪性ラブドイド腫瘍ではほとんどの例でSMARCB1/INI1の完全欠失を伴うが、一部の症例では発現が保持されている。また、SWI/SNF型クロマチン再構成因子複合体を構成するSMARCB1/INI1以外の蛋白発現も腫瘍によりさまざまであった。
このことから、類上皮肉腫や悪性ラブドイド腫瘍では従来よりいわれているSMARCB1/INI1以外にも、SMARCA4/BRG1、SMARCC1/BAF155、SMARCC2/BAF170といった蛋白群の発現パターンにより、腫瘍の性格が異なっている可能性が考えられた。また、腫瘍発生においても重要な役割を果たしていると考えられる。 -
転座関連および非転座関連悪性軟部腫瘍における分子標的の網羅的探索
研究課題/領域番号:25293088 2013年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
小田 義直, 孝橋 賢一, 山元 英崇
配分額:16510000円 ( 直接経費:12700000円 、 間接経費:3810000円 )
転座関連腫瘍である孤立性線維性腫瘍では複数のチロシンキナーゼ型受容体及びシグナル伝達系の活性化が腫瘍の進展、増殖に関与することが推察された。新たに同定された転座関連腫瘍である軟部血管線維腫、CIC-DUX4/BCOR-CCNB3陽性肉腫の臨床病理学的特徴を明らかにした。転写因子FOXM1の発現は様々な軟部肉腫で悪性度、予後、抗がん剤耐性との関与が認められ治療ターゲットとなる可能性が示唆された。転座関連肉腫である滑膜肉腫と粘液型脂肪肉腫において癌精巣抗原NY-ESO-1, PRAMEの高発現を認め、さらに悪性度との相関も認め、免疫療法の標的として有用ある可能性が示唆された。
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胃腸管間質腫瘍における低酸素応答関連分子異常の臨床病理学的意義に関する研究
研究課題/領域番号:24590413 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山元 英崇, 財津 瑛子
配分額:5330000円 ( 直接経費:4100000円 、 間接経費:1230000円 )
胃腸管間質腫瘍(GIST)において、HIF (hypoxia-induced factor)の蓄積や、それに影響を与えるSDH(succinate dehydrogenase)の異常を解析した。HIF-1αの過剰発現例は有意に予後不良であった。さらにHIF-1αの標的遺伝子であるmiR-210は、高悪性度GISTにおいて発現が上昇していた。従ってGISTにおいて、HIF-1αの蓄積やそれに伴うmiR-210過剰発現はGISTの悪性化進展に関与することが示唆された。また一部のGISTでは、SDH欠失により、HIF-1αが蓄積される可能性が示唆された。
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マイクロRNAを用いた胃腸管間質腫瘍の発育・進展に関する研究
研究課題/領域番号:22790346 2010年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
山元 英崇
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
胃腸管間質腫瘍(GIST)におけるマイクロRNA(miRNA)の発現の意義を検討した。miRNAアレイおよび定量的real-time RT-PCRにおいて、miR-133b等の特定のmiRNAが高悪性度GISTにおいて発現が低下していることを見出した。逆にmiR-133bの標的遺伝子であるfascin-1 mRNAおよびfascin-1蛋白は高悪性度GISTにおいて有意に発現が亢進しており、予後不良因子であった。以上より、GISTにおいてmiR-133b発現低下とfascin-1過剰発現がGISTの進展に重要な役割していると考えられ、fascin-1は新たなバイオマーカーや治療標的となる可能性が示唆された。
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胃腸管間質腫瘍における血管新生と新しい分子標的治療への応用
研究課題/領域番号:18790248 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
山元 英崇
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
胃腸管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;以下GIST)は消化管に発生する間葉系腫瘍であり、その発生にはc-kit遺伝子変異が重要な役割を果たしている。c-kit遺伝子の機能獲得性変異により、c-kit蛋白が活性化されている。c-kitを阻害する分子標的治療薬が臨床応用されているが、c-kitととも血管内皮増殖因子(VEGFR)を阻害し、血管新生阻害効果を持つ分子標的治療も臨床応用が始まりつつある。これまでの研究であきらかとなったのは、(1)GISTにおいてmicrovessel density(MVD)高値は、腫瘍サイズ、組織学的グレード、VEGF発現と有意に相関する。(2)MVD高値、VEGF高発現例はそれぞれ有意に予後不良である。(3)c-kit遺伝子野生型GISTのほうが、同遺伝子変異型より有意にVEGF発現高値である。
さらにGISTの発生・進展に関する分子を明らかにするために、22番染色体上に存在するhSNF5/INI1遺伝子異常を解析したところ、高頻度に同遺伝子のLOH, mRNAおよび蛋白発現低下を認めた。これらの変化は低グレードから高グレード(悪性)までの様々な段階のGISTに認められた。上記の結果より、GISTの発生にはc-kit遺伝子に加え、hSNF5/INI1遺伝子異常も重要であり、VEGF発現は血管新生に重要な役割を果たし、GISTの悪性化に関与していることが示唆された。