共同研究・競争的資金等の研究 - 森實 祐基
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網膜硝子体界面疾患における膜形成の病態の多面的解析
研究課題/領域番号:24K12806 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
森實 祐基, 大内 淑代, 谷岡 真樹
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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難治性網膜疾患の遺伝子治療を目的としたボルナウイルスベクターの開発
研究課題/領域番号:23K09027 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
塩出 雄亮, 森實 祐基, 本田 知之
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
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網膜色素上皮細胞におけるカリウムチャネルKir7.1の機能解明
研究課題/領域番号:21K09700 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森實 祐基, 大内 淑代
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
網膜色素上皮細胞(以下RPE)は網膜の恒常性維持を司る細胞であり、RPEの障害によって視覚障害の主原因である網膜色素変性や加齢黄斑変性等の網膜変性疾患を発症する。しかし網膜変性疾患の病態は未解明で根本的な治療法は存在しない。そのため、RPE障害の原因を解明することは喫緊の課題である。近年、網膜変性疾患の一つであるレーバー先天盲の病態に膜電位の維持に重要なカリウムチャネルの一つ(Kir7.1)が関与することが明らかにされた。しかし、RPEに多種存在するカリウムチャネルの中でKir7.1の障害がRPE障害を引き起こす機構については不明である。そこで申請者は、RPEにおけるKir.7.1には、膜電位の維持以外の未知の機能があるのではないかとの仮説を立て、独自に作成したKir7.1欠損iPS-RPEを用いてKir.7.1の機能解明に取り組む。
Kir7.1欠損iPS-RPEは野生型iPS-RPEと比較して細胞死を生じやすい。我々はKir7.1欠損iPS-RPEの細胞死のメカニズムの一つにRPEの酸化ストレスに対する脆弱性が関与している可能性があると考えた。トランスウェルに4週間播種した野生型およびKir7.1欠損iPS-RPEに対して酸化刺激として種々の濃度(1.5mM, 5mM, 15mM)のt-BHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド)を培地中に添加し、MTSアッセイを行い、細胞死の定量解析を行った。t-BHPを添加したKir7.1欠損iPS-RPEは同濃度のt-BHPで刺激した野生型iPS-RPEと比較して有意に細胞死が多かった。Kir7.1欠損iPS-RPEは酸化ストレスに対する脆弱性が原因となって、細胞死を生じている可能性が示唆された。 -
ゲノム編集技術を用いた網膜における長寿遺伝子の機能解明:加齢黄斑変性の予防戦略
研究課題/領域番号:18K09410 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森實 祐基, 大内 淑代, 米澤 朋子
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
加齢黄斑変性(Age-related macular degeneration,以下AMD)は失明に至る難治性の眼疾患であり,加齢を背景とした網膜色素上皮細胞(以下RPE)の機能低下(老化) が原因で発症する。申請者はこれまでに,長寿遺伝子の一つであるAMP活性化プロテインキナーぜ(以下AMPK)に着目し,その活性を薬剤によって変化させ、AMPKの 活性化が様々な眼疾患の病態を改善することを明らかにしてきた。しかし,AMPKやその他の長寿遺伝子が網膜やRPEの老化に及ぼす影響は不明であり,また、薬剤 の非特異的作用のために,長寿遺伝子の真の機能を検討することが困難であるという問題があった。そこで本研究では,主要な長寿遺伝子であるサーチュイン(以下SIRT)とAMPKに着目し,これらの遺伝子が網膜やRPEの老化に及ぼす影響を,ゲノム編集技術を用いて作成した遺伝子改変RPEおよびマウスを用いて明らかにす る。そして,十分な治療法が存在しない加齢黄斑変性の新規予防法を開発するための基盤となる成果を得る。 上記の目的を達成するために当該年度は、SIRT遺伝子に着目し、CRISPR/Cas9等のゲノム編集技術を用いてiPS細胞のSIRT遺伝子のゲノム編集を行い、目的とする遺伝子が編集されていることを確認した。
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研究課題/領域番号:17K11450 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
白神 史雄, 且原 真木, 森實 祐基
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
黄斑浮腫は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、黄斑上膜に共通してみられる病態であり、過剰な水や浸透圧の変化は、黄斑を構成する細胞を障害し視力が低下する。本研究では、黄斑の水輸送を担う網膜色素上皮細胞と細胞における水輸送蛋白であるアクアポリンに着目し、黄斑疾患における細胞への様々なストレスが網膜色素上皮細胞のアクアポリンの発現に及ぼす影響を検討した。その結果、細胞に対する伸展ストレスによってアクアポリン1の発現が有意に減少することが明らかになった。一方でその他のアクアポリンの発現に有意な変化はみられなかった。
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研究課題/領域番号:16K11287 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木村 修平, 大内 淑代, 白神 史雄, 森實 祐基, 戸島 慎二, 荒木 亮一
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
網膜疾患が網膜色素上皮細胞 (RPE) の機能に及ぼす影響を検討するため、種々のストレスを負荷し、RPEの障害に関与する因子を検討し、網膜疾患に対する新たな治療法開発の基盤となる研究を行った。
RPEに対する 組織プラスミノーゲン活性化因子 (tPA) の毒性によるストレス負荷の検討では、tPAは低濃度短時間(83μg/ml, 6時間)ではRPEに対して毒性を示さなかったが、濃度および時間依存性に毒性が増加した。tPAによる細胞毒性の原因として添加剤であるL-arginineが考えられた。 -
研究課題/領域番号:15K20263 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
細川 海音, 白神 史雄, 森實 祐基, 塩出 雄亮
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
本研究では、未熟児網膜症の病態が網膜を構成する細胞の生存や蛋白発現に及ぼす影響を明らかにし、AMP依存性キナーゼの治療への応用の可能性を検討した。その結果、酸素濃度の変化や酸化ストレスは網膜色素上皮細胞におけるイオン輸送や細胞外マトリックス分解能を変化させ、未熟児網膜症の病態に関与していることが示唆された。また、AMP依存性キナーゼによってこれらの変化が阻害された。今後、未熟児網膜症に対するAMP依存性キナーゼの治療応用の可能性についてさらなる検討が必要である。
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研究課題/領域番号:15K10867 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森實 祐基, 米澤 朋子, 菅原 満, 塩出 雄亮, 的場 亮
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
本研究では、キサントフィルが網膜内に取り込まれる機構や、網膜の機能に果たす役割を明らかにすることを目的として、網膜を構成する細胞である網膜色素上皮細胞と網膜グリア細胞を用いて、キサントフィルの細胞内への取り込みとその経路、そして細胞の遊走に及ぼす影響について検討した。ルテインは濃度および時間依存性に細胞内に取り込まれることが明らかになった。既知のルテイン輸送経路を阻害してもルテインの取り込みに有意な変化はみられなかった。また、ルテインは細胞遊走に対して有意な影響を及ぼさなかった。今後、細胞内ルテインの代謝とルテインの役割について詳細に検討することが課題と考えられた。
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難治性黄斑円孔の閉鎖過程におけるミュラー細胞の役割:新たな治療法の開発を目指して
研究課題/領域番号:15K20262 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
塩出 雄亮, 森實 祐基, 的場 亮, 平野 雅幸, 土居 真一郎, 戸島 慎二, 高橋 耕介, 荒木 亮一, 神﨑 勇希, 細木 三佳, 米澤 朋子, 吉田 篤史, 白神 史雄
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
黄斑円孔手術において内境界膜弁翻転法のメカニズムを解明した。サル眼の実験的な黄斑円孔に、内境界膜弁翻転法を行うことにより黄斑円孔の閉鎖過程を組織学的に検討した。内境界膜成分である4型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンが、ミュラー細胞(MIO-M1)の機能に与える影響について検討した。さらに、ミュラー細胞、およびヒト内境界膜における神経栄養因子の発現について検討した。これらの結果から、黄斑円孔手術の際に内境界膜はミュラー細胞を活性化させミュラー細胞の増殖及び遊走の足場として働くこと、活性化したミュラー細胞から神経栄養因子が発現されることにより、黄斑円孔の閉鎖に寄与する可能性が考えられた。
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研究課題/領域番号:26462662 2014年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
白神 史雄, 平野 雅幸, 高橋 耕介, 的場 亮, 西堀 正洋, 森實 祐基
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
加齢黄斑変性は本邦の失明の主要な原因の一つであり、眼内に異常な血管新生を来す疾患である。本研究では加齢によって生体内に増加し血管新生を引き起こすと考えられる終末糖化産物を標的とし、その新規抗体の探索を行った。本研究で得られた新規抗体はいずれも有意な血管新生阻害作用を示さなかったが、今後さらなる探索を進めていく上で基盤となる成果が得られた。
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AMPキナーゼの活性化による網膜色素上皮細胞の老化防止:加齢黄斑変性治療への展開
研究課題/領域番号:24890133 2012年08月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援
木村 修平, 森實 祐基
配分額:2990000円 ( 直接経費:2300000円 、 間接経費:690000円 )
加齢黄斑変性は加齢を背景とした網膜色素上皮細胞(以下RPE)の機能異常が原因で発症する。本研究では、AMPキナーゼ(AMPK)に着目し、加齢によるRPEの機能異常におけるAMPKの役割を解明することを目的とし研究を行った。加齢黄斑変性でみられる慢性炎症のモデルにおいて、RPEの細胞増殖、遊走をAMPKの活性化が抑制することを明らかにした。また、慢性酸化ストレスを細胞に負荷することによって、RPEの老化を誘導できることを明らかにした。さらに、老化に伴うRPEの細胞機能の変化を評価する実験法を確立した。
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AMPキナーゼの活性化による網膜色素上皮細胞の老化防止:加齢黄斑変性治療への展開
研究課題/領域番号:24592630 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森實 祐基, 小阪 淳, 米澤 朋子
配分額:5330000円 ( 直接経費:4100000円 、 間接経費:1230000円 )
網膜色素上皮細胞(RPE)は網膜の恒常性を維持する多彩な生理機能を有しており、加齢黄斑変性では、加齢に伴うRPEの機能低下によって網膜の恒常性が破綻し、血管新生、網膜障害が起こり、視力が低下する。本研究では、ARPE-19とヒトiPS由来RPEに対して、慢性酸化ストレス負荷によってRPEの老化を誘導し、老化に伴うRPEの機能の変化を明らかにした。また、炎症モデルを用いてRPEの上皮間葉転換を誘導し、AMPKの活性化がRPEの上皮間葉転換を阻害することを明らかにした。
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眼球発達期の網膜血管形成におけるAMPキナーゼの役割:未熟児網膜症の新治療戦略
研究課題/領域番号:24659762 2012年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
塚本 真啓, 森實 祐基
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
平成24年度前半の検討結果から、in vivo(生体)で網膜組織全体のAMPK活性を検討することが困難であると判明したため、実験系を培養系に変更し、また網膜を構成する細胞ごとに検討を行う方針とした。未熟児網膜症では、虚血に伴う組織内エネルギーの低下を基礎に血管新生、増殖膜形成を来す。また未熟児網膜症の発症に重要な細胞は網膜を構成する網膜色素上皮細胞と血管内細胞、マクロファージである。そこで平成24年度の後半に、網膜色素上皮を用いてエネルギーの低下がAMPKの活性に及ぼす影響を培養液内のグルコース 濃度を減少させ検討した。その結果、網膜色素上皮細胞のAMPKが活性化するグルコース濃度条件を設定することが出来た。
この条件設定の研究では、網膜色素上皮細胞としてヒト由来のARPE-19細胞を用いた。しかし、本研究では、未熟児網膜症が研究対象であるため、最終的に使用する細胞は未熟児網膜症発症モデルマウスから単離した初代培養網膜色素上皮細胞となる。そのため、平成25年度は、マウスから網膜色素上皮細胞を単離することを試みた。マウスから網膜色素上皮細胞を単離する方法についてはこれまでに報告がある。そこでこの報告にしたがって、成体マウスの眼球から網膜色素上皮細胞を単離し、初代培養を試みた。その結果、網膜色素上皮細胞の単離に成功し、初代培養の方法を確立することが出来た。そこで、次のステップとして今後は新生マウス眼から網膜色素上皮細胞を単離培養することを試みたいと考えている。新生マウス眼は成体眼に比べて眼球が小さく、単離できる網膜色素上皮細胞の数も少ないと予想される。今後の実験に必要な網膜色素上皮細胞を得るために、どの程度の数の新生マウスが必要であるかを検討することは重要であると思われる。 -
発達期水晶体の透明性獲得機構の解明:SPring-8X線回折による統合的解析
研究課題/領域番号:19791269 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
森實 祐基
配分額:3660000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:360000円 )
<目的>
水晶体はその発生初期には混濁しておりその後発生後期にかけて透明になることが知られている。しかし、水晶体が透明性を獲得する過程のメカニズムについては十分解明されていない。
水晶体における分子間近距離秩序は、分子量20 kDa のαA,Bクリスタリンが作る平均分子量800 kDa、直径15 nmの粒子の配列であると考えられている。この集合体をX線が通過すると、電子密度の高低を反映して、平均分子間距離に反比例した直径を持つリング状のX線回折像として現される。平成19年度、私は水晶体が発育期においてどのように透明性と高い屈折率を獲得していくかを把握するためにラット新生児を用いて水晶体タンパク量とX線回折像の経時的変化を観察した。
<方法と結果>
生後5日、10日、15日目のラット水晶体をBicinchonianate 法を用いてウシ血清アルブミンを標準としてタンパク濃度を計測した。また、X線回折像についても同様の生後日数のものを37℃で計測した。X線の波長は1Å、カメラ長は1.5mと同様の条件とした。X線は光軸と平行に水晶体の中心を通過させた。水晶体のタンパク濃度は274.4±39.6,347.4±41.6,569.0±60.7[mg/ml lens volume](それぞれn=5)と生後日数とともに上昇した。X線像では、生後10日までは散乱のみで回折像を認めなかったが15日目では約15 nmに該当するリング状の回折像が出現した。
<結論>
水晶体タンパク濃度は生後10日から15日の間に著名に上昇し、それに伴いX線回折像も出現した。この回折像を成ラット水晶体のものと比べると分子量の大きい部分の輝度が高く、幼弱な水晶体ほど大きな粒子を含んでおり成長に伴って均一な大きさに統一されると考えた。 -
生体血管膜モデルを用いた血管新生・消退機構の統合的解析
研究課題/領域番号:19659450 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
高畠 隆, 大月 洋, 成瀬 恵治, 毛利 聡, 森實 祐基
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
本研究は、1)瞳孔膜消退過程のメカニズムの詳細に対する分子生物学的検討、2)瞳孔膜の消退が眼球全体の発達に及ぼす影響についての検討を目的とした。1)我々はこれまでに虹彩の動きが瞳孔膜血管の血流の停止再開を誘導し、それによる虚血再還流障害によって瞳孔膜を構成する血管内皮細胞のアポトーシスが誘導されることを明らかにした。今回我々は虚血再還流障害以降の過程でどのような因子が機能しているか検討を行った。我々は血管内皮細胞のアポトーシスに関与するとサイトカインの中で、血管内皮細胞増殖因子と骨形成因子、また虚血再還流障害による細胞死において重要な役割を果たす活性酸素に注目しこれらの因子について瞳孔膜の消退時期における産生量について検討した。具体的には眼球の前房水中の血管内皮細胞増殖因子、骨形成因子、活性酸素の産生量を経時的に定量した。血管内皮細胞増殖因子および骨形成因子については瞳孔膜消退の前後で産生量に有為な変化を認めなかった。また活性酸素の産生量については計測が困難で有為なデータを得ることが出来なかった。2)瞳孔膜の消退が関与する他の眼球発達過程として我々は水晶体におけるナトリウム/カルシウム交換体の発現と硝子体動脈の消退に着目した。我々は虹彩の動きを抑制し瞳孔膜の消退を抑制し瞳孔膜を残存させた。そしてナトリウム/カルシウム交換体の発現をwesternblot法で検討した。また水晶体後方に存在する硝子体動脈の消退をその血管分岐点数を定量し検討した。瞳孔膜消退時期においてはナトリウム/カルシウム交換体の同位体1の発現を認めたが、その他の同位体の発現は認めなかった。同位体1の発現と瞳孔膜消退との間に因果関係を認めなかった。虹彩の動きを抑制すると瞳孔膜の残存がみられたが硝子体動脈の消退に影響はみられなかった。硝子体動脈の消退には虹彩の動きは関与していない可能性が高いと考えられた。
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未熟児網膜症におけるヘモグロビン変換の関与
研究課題/領域番号:19659451 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
毛利 聡, 成瀬 恵治, 片野坂 友紀, 宮坂 武寛, 森実 祐基
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
未熟児網膜症は低体重出生児への過剰な酸素投与を中止した際に網膜の相対的低酸素状態が惹起され、病的な血管新生によって起こる網膜剥離が原因とされる。酸素運搬体であるヘモグロビンは生後胎児型(高酸素親和度)から成人型に変化酸素を容易に放出する成人型に変換されていくが、この変換が進んでいる症例では末梢組織(網膜)での酸素放出量が多く、酸素中止時の相対的低酸素が顕著になり未熟児網膜症を発症し易いという仮説を検証するために高速液体クロマトグラフィーを用いてカラムや溶離液の作成、グラディエント条件を検討して計測システムを構成した。また、赤血球の特性としてヘモグロビンによる一酸化窒素(NO)の結合や酸化による微小循環制御の解明のため、NO標準液を溶解させた生理食塩水(NO:190nM)50mlにヘパリンによる抗凝固を施した全血を0.3ml懸濁させてNO濃度の変化をNOセンサを用いて計測した。この実験系では成人型ヘモグロビンを含む赤血球が190nMのNOを90%減少させた。胎児型ヘモグロビン比率の計測には、赤血球による陽イオン交換カラムを用いて検出波長は415nm、流量は2ml/minとして、新生児の臨床検査のために採血した血液の廃棄分を用いて計測した。測定方法の妥当性を確認するために出生後週齢と胎児型ヘモグロビン比率について検討し、ロジスティック関数によるカーブフィティングから約8週齢で50%が成人型に変換されていた。今後これらの確立された実験系を用いて未熟児網膜症症例との関連を検討するとともに、胎児ヘモグロビン比率とNOの関係を検討する。