共同研究・競争的資金等の研究 - 木村 幸敬
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廃グリセリンからのポリ乳酸原料生産の実装化を指向した反応抽出プロセスの体系化
研究課題/領域番号:23K11490 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
木村 幸敬
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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セルロースナノファイバー高度利用のための高分子付加による配向性の向上
研究課題/領域番号:23658275 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
木村 幸敬
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
地球環境における主要な炭素資源である木質系バイオマスの主成分であるセルロースの有効利用を目的として、セルロースの末端に直鎖状の疎水性および親水性高分子の付加を試みた。これにより水にも油にも溶解しがたいセルロースの溶解性の向上と、カプセルなどの調製に有利な配向性を獲得し、セルロースの利用拡大が想定される。本研究では、末端へのポリ乳酸の重合が期待される還元末端の水酸基以外を保護したグルコースの調製条件と、還元末端にメトキシポリエチレングリコールを付加したグルコースの調製条件を確立した。
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高温高圧下でのpHが亜臨界水による食品成分分解動力学に及ぼす影響
研究課題/領域番号:19580136 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木村 幸敬
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
100℃以上で臨界点(374℃)以下の温度領域で, 液体状態が保たれた亜臨界水は常温常圧の水に比べて, 比誘電率が低く, またイオン積が500~1000倍程度大きい。これらの性質によって, 亜臨界水は疎水性物質の抽出への利用や酸または塩基触媒としての利用が可能である。本研究では, 亜臨界水中での食品成分の分解速度がpH変化および電気伝導度に影響する塩に影響を受ける現象に関して, 亜臨界水中での五単糖, ウロン酸, アミノ酸分解を試み, そのpHと分解動力学について反応機構を検討した。また, 糖の加水分解について, 塩が分解速度に影響することを見出した。
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亜臨界水による食品成分の無触媒合成
研究課題/領域番号:16580098 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
木村 幸敬, 島 元啓
配分額:3700000円 ( 直接経費:3700000円 )
高温高圧下で液体状態を保った亜臨界水中では,水のイオン積が常温の水の時の1000倍程度も上昇し,種々の反応が無触媒的に進行する.この特長を活かした環境への負荷を軽減した食品加工プロセスの構築を目的として,亜臨界水中での食品成分の無触媒合成について検討を行った.まず,薬や化粧品合成の出発物質となる5-ヒドロキシメチル-2-フルフラル(HMF)を糖から亜臨界水中で生産する変換反応を試みた.各種単糖の分解過程はいずれもWeibullの式で整理することができた.HMFへの変換率はフルクトースからが最も高く48%であることを見出した.次に,100〜140℃の亜臨界水中で,無触媒的にペプチドであるアンジオテンシンIIと3種類のジカルボン酸との間にペプチド結合が形成されることをLC-MSおよびMALDI-TOFで確認した.温度が高いほど,縮合物の生成量が増加した.また,ジカルボン酸の水酸基が少ないほど,高い変換率を与えることが明らかになった.最後に,亜臨界水中での異性化反応に着目した.200〜260℃の亜臨界水中で,リノール酸から異性体である共役リノール酸が生成することを,標準物質と比較することで確認した.処理時間が長いほど,温度が高いほど異性体の転換率が大きくなった.しかし,その転換率は高々1%未満であった.また,いずれの条件でも,異性体の転換率がcis-9,trans-11 CLA/trans-10,cis-12 CLA=1.0/0.6と一定であることも明らかとなった.上述のように,亜臨界水中での無触媒的な分解・合成・異性化反応により,食品成分の合成が可能であることを示した.これらの成果を3つの論文として公表し,所期の目的をほぼ達成した.
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亜臨界条件下における水・有機溶媒混合液を用いた食品素材物質の合成の可能性
研究課題/領域番号:15658043 2003年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
安達 修二, 木村 幸敬
配分額:3800000円 ( 直接経費:3800000円 )
常温の水に比べてイオン積が大きく,水自体が酸または塩基触媒として作用すると期待される亜臨界水を用いた食品素材物質の合成の可能性を,オクタペプチドであるアンジオテンシンIIとジカルボン酸,および糖アルコールであるエリスリトールとオクタン酸の縮合反応について検討した.前年度に,100℃〜130℃という比較的低温の亜臨界水中で前者の反応が進行することを見出していた.そこで本年度はまず,有機溶媒の添加効果について検討したところ,理由は不明であるが,水濃度の低下は縮合生成物の収率に顕著な影響を及ぼさなかった.次に,アンジオテンシンIIの各種類縁ペプチドおよび水酸基数の異なる各種ジカルボン酸の亜臨界水中での反応性の差異について検討したところ,ほとんどの組み合わせで対応する縮合物が生成することをLC-MSを用いて確認した.検討した炭素数4のジカルボン酸では水酸基の数が少ないほど,アンジオテンシンIIとの縮合物の収率が高かった.また,アンジオテンシンII類縁ペプチドの大半はジカルボン酸と反応して対応する縮合物を与えた.また,アミノ酸でも縮合物を生成する場合があり,これらの反応にアルギニンまたはアスパラギン酸残基が関与する可能性が示されたが,確証を得るには至っていない.また,水の濃度を極限的に低下した系に相当する無溶媒系(185℃)でエリスリトールとオクタン酸の縮合の可否について検討したところ,HPLC分析において溶出時間の異なる2または3種のエステルと思われる生成物が認められた,生成物の同定には至っていないが,無溶媒・無触媒系で食品素材物質が合成できる可能性が示唆された.
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Study on Food Enjineering using Subcritical Water
2002年
資金種別:競争的資金
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亜臨界水を用いた食品加工に関する研究
2002年
資金種別:競争的資金
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疑似血流とリンパ流を具備した疎水性物質用腸管吸収モデルの構築
研究課題/領域番号:12460057 2000年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
松野 隆一, 島 元啓, 木村 幸敬
配分額:15500000円 ( 直接経費:15500000円 )
疎水性物質は、生体では腸管から血液あるいはリンパ液に吸収される。この生体での吸収過程と比較できるような簡便な腸管モデルとして、腸管上皮様に分化する培養細胞層を用いて血流とリンパ流を独立に制御できるモデルの確立を目的として研究を行った。研究期間を通じて疎水性物質の細胞層透過様式の解析に最も力を注いだ。その過程で、疎水性物質が細胞層を透過する際に疎水度の高い物質が細胞層に蓄積しやすいこと、消化分解酵素に分解されやすい疎水性物質でも電荷を有するならば、相補する電荷を有する疎水性物質を用いることで両物質間の静電的な相互作用を促し、細胞内酵素による分解を免れ透過吸収量を向上させることができることを見出した。また、抗酸化作用を示す疎水性物質・アスコルビン酸脂肪酸エステルの細胞層透過吸収様式を非酵素的な分解過程も含めて詳細に解析し、さらに同物質を作用させた腸管吸収細胞Caco-2は、腸管側からの酸化剤に対して強い抗酸化能を獲得することを明らかにした。
モデル構築のために必要な様々な条件を検討し、疑似リンパ液成分として有効な成分の選定、疎水性物質を親水性溶液(血液に相当)から疎水性溶液(リンパ液に相当)に透過し易いメンブランフィルターの選定した。また、血漿側のコンパートメントへの溶液の流入流出量をペリスターポンプで制御できることを確認し、小コンパートメントの完全混合のための攪拌条件を決定した。
これら全ての知見を用いることで、腸管モデルの構築の可能性を示すことができた。 -
難吸収生理活性物質の腸管吸収速度を制御するための培養細胞を用いたモデリング
研究課題/領域番号:10750575 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
木村 幸敬
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
本年度は以下の項目について研究を実施した。
1)吸収促進能の発現と中鎖脂肪酸の蓄積・透過過程の解析
プラスティックウェル上に生育させたCaco-2細胞層への侵入蓄積過程をラジオアイソトープラベルしたオクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)を用いて実験し、解析した。細胞層への浸入係数は、pH7.3でそれぞれ3.4×10^<-5>(C8)、3.4×10^<-5>(C10)、1.6×10^<-4>(C12)(cm/s)であり、疎水度の高いC12が最も速く浸入した。溶液のpHを変化させてもこれらの係数はほとんど変化しなかった。また、細胞層への分配係数も4.4×10^2(C8)、5.9×10^2(C10)、2.9×10^3(C12)という値が得られ、中鎖脂肪酸が示す吸収促進能発現機構のシミュレートモデルの基礎因子を解明した。
2)腸溶性カプセルの作製と試験
親水性難吸収性物質の吸収促進に必要な濃度という因子や良好なカプセル化という因子などを考察し、中鎖脂肪酸を封入した腸溶性ゼラチンカプセルを調製した。
3)実用化の安全性試験
奇数鎖の脂肪酸を含むC8〜C12をCaco-2細胞層に一定時間さらした後に、細胞ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性をMTT法で、細胞骨格への影響をアクチンフィラメント染色で測定した。親水性物質透過の促進効果が同程度であるとき、MTT活性を最も下げたのがC10であり、C12はMTT活性を保持させることが明らかになった。C10のみがアクチンフィラメントを大きく変化させることが明らかになった。これらの手法の、細胞安全性試験の第1次スクリーニングとしての可能性を示した。 -
ビタミンCの中鎖脂肪酸による酵素的アシル化とその腸管吸収能の評価
研究課題/領域番号:09650874 1997年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
安達 修二, 木村 幸敬
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
水溶性めビタミンC(アスコルビン酸)は,体内における吸収効率が低い.一方,炭素数6〜12の飽和脂肪酸である中鎖脂肪酸は腸管などの上皮での親水性物質の吸収を促進することが知られている.そこで,アスコルビン酸を中鎖脂肪酸によりアシル化することにより,その腸管吸収効率の向上を図るとともに,還元能を有するアスコルビン酸に疎水性を付与することによる脂溶性還元剤としての利用,並びに生成物が界面活性をもつと期待されることより還元能を具備した乳化剤(界面活性剤)としての使用を意図して本研究を行った.まず,Candida antarctica起源の固定化リパーゼがアセトニトリル中でラウリル酸とアスコルビン酸の縮合反応を効率的に触媒し,溶媒の含水率が低いほど収率が向上することを見出した.また,各種炭素鎖長の中鎖脂肪酸との縮合反応の平衡収率について検討したところ,脂肪酸の炭素鎖長は平衡収率に顕著な影響を及ぼさなかった.さらに,食品への応用を念頭において各種水可溶性有機溶媒を対象に反応溶媒の選択を行い,沸点が低く,精製過程での除去が容易と考えられるアセトン中でも本反応が効率的に進行することを見出した.また,アセトンの含水率が低いほど目的生成物の平衡収率が高かった.さらに,中鎖脂肪酸による親水性物質の腸管吸収機構などに関して小腸上皮様に分化したCaco-2培養細胞を用いた検討を行い,吸収促進効果には中鎖脂肪酸の界面活性剤としての性質が深く関与していることを示した.一方,リパーゼ触媒反応により調製したアスコルビン酸のアシル化物は比較的強い界面活性能を有していた.上述のように,酵素法を用いて中鎖脂肪酸によりビタミンCをアシル化する方法を確立するとともに,ビタミンCの腸管吸収効率の改善に関する基礎的な知見が得られ,所期の目的をほぼ達成した.
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中鎖脂肪酸グリセリド分解物の有する腸管からの吸収促進機構の解明
研究課題/領域番号:08760133 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
木村 幸敬
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
1.中鎖脂肪酸グリセリド分解物が与える腸管吸収促進の経路の特定
メンブレンフィルター上に培養したヒト結腸癌由来のCaco-2を用いて、中鎖脂肪酸グリセリド分解物が与える腸管吸収促進の経路について以下の結果を得た。腸管側に促進物質を加えると、細胞間隙を通過する経路のマーカーとして用いた親水性薬物・ペニシリンVの透過が促進された。また細胞間隙経路の指標である細胞層を隔てた電気抵抗が低下し、促進される経路が細胞間隙であることが示された。さらに、透過経路のモデルをたて、細胞のミトコンンドリアでのデヒドロゲナーゼ活性を指標とした実験(MTT法)で得られた細胞の障害率とその時の透過係数の値から、細胞間隙を透過するモデルが障害率と透過係数の関係をよく説明することを明らかにした。なお、このモデルを96年9月の化学工学会シンポジウムにおいて発表した(Shima M.et a1.)。
2.細胞内シグナル伝達系阻害剤を用いたC10脂肪酸の作用機構の解明
細胞内情報伝達経賂の内phospholipase Cを介する経路の様々な段階での阻害剤を用いてC10脂肪酸の作用機構への細胞情報伝達系の関与について研究をした。diacylglycerolのアナログがC10の促進効果を阻害し、inositol trisphosphateが関与する経路の阻害剤のいくつかがC10の促進効果を阻害した。C10はこれらの経路に相反する様式で影響して、吸収促進効果を与えることが示唆された。これらの結果は、97年1月の日本薬学会関東支部シンポジウムで発表し、Proc.Int.Symp.Control.Release Bioact.Mater.にも発表した. -
可食性界面活性剤の酵素合成に関する溶媒工学的研究
研究課題/領域番号:06453175 1994年 - 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
松野 隆一, 木村 幸敬, 安達 修二
配分額:7300000円 ( 直接経費:7300000円 )
食品中に含まれる親水性および疎水性物質から酵素法により可食性界面活性剤を効率的に合成する手法の確立を目的とした。まず、可食性とは言い難いが、複雑な反応系の特徴とその解析法を確立するため、工業的用途の広いアルキルグルコシドのβ-グルコシダーゼによる合成を取り上げた。基質の一つであるアルコール自体を有機相とする二相系反応における目的物および副生成物の平衡収率を予測する式を提出するとともに、縮合反応の平衡定数がアルキル鎖長に依存しないことを見出した。さらに、緩衝液で飽和したアルコールに粉末状のグルコースと酵素を添加する新たな反応方式を考案し、従来の二相系反応に比べて著しく収率が向上することおよび酵素の再利用が可能なことを検証した。本系では、(S)-体および(R)-体のいずれの2級アルコールも基質となり、比較的高収率で対応するグルコシドを生成することを見出した。これらの反応で生成したアルキルグルコシドを液体クロマトグラフ分離により効率的に回収できる充填剤を見出すとともに、各溶質の溶出挙動に及ぼす溶媒の影響を合理的に説明する新たなモデルを提出した。また、各溶質の充填剤に対する吸着等温線を1本のパルス応答曲線から簡便に推定する新たな方法を提案した。さらに、固定化リパーゼを用いたエリスリトールおよびビタミンCのアシル化についても検討し、位置選択的なアシル化がほとんど水を含まないアセトニトリル中で効率的に反応が進行することを見出し、NMRにより生成物の同定を行った。
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中鎖脂肪酸トリグリセリドを利用した生理活性物質吸収促進機能を有する食品の構築
研究課題/領域番号:06856019 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
木村 幸敬
配分額:800000円 ( 直接経費:800000円 )
1.培養細胞系の確立
小腸上皮吸収細胞様の機能を発現するヒト結腸ガン細胞Caco-2を使用した培養系の確立を目指した。tight junctionの形成度の指標として細胞層を隔てた電気抵抗を測定した。培養2日目以降に高い抵抗値が得られた。電子顕微鏡による観察で、17-19日程度培養した細胞では、micro villiも観察され、吸収実験を行うのに最適である培養系(培養後17-19日)が確立された。
2.促進能とトリグリセリドの分解度との相関関係の解析
トリグリセリドやその分解物である各成分について、吸収促進能を上記培養細胞系で測定した。すなわち、炭素鎖長6,8,10の脂肪酸(FA)やそれからなるモノ・ジ・トリグリセリド(MG,DG,TG)存在下(10mM)での生理活性モデル物質ペニシリンVの細胞層透過速度を測定した。測定には、拡散チャンバーを用いた。各成分のうちC6-DG,C8-MG,C10-MG,C10FA存在下の透過速度がそれぞれコントロールの197倍、220倍、190倍、13倍であった。その他の成分はコントロールと差が見られなかった。これらの促進能がそれぞれの成分の界面活性と正の相関があることを明らかにした。これらの成分を混合して使用した際の促進能力については、現在検討中である。
本年度で得られた知見を、1995年度の農芸化学会本大会で発表する予定である。また、近く論文として投稿する。 -
アミノアシラーゼによる脂肪酸とアミノ酸からの天然界面活性剤の合成に関する研究
研究課題/領域番号:03856032 1991年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
木村 幸敬
配分額:800000円 ( 直接経費:800000円 )
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必須アミノ酸よりなる機能性オリゴペプチドの酵素合成
研究課題/領域番号:02453131 1990年 - 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(B) 一般研究(B)
松野 隆一, 中西 一弘, 木村 幸敬, 安達 修二
配分額:7700000円 ( 直接経費:7700000円 )
腸管吸収速度が速いなどの栄養学的に優れた機能を有すると考えられる必須アミノ酸を含むオリゴペプチドを酵素法により効率的に合成する方法について検討し、以下の成果を得た。固定化thermolysin(TL),α-chymotrypsin(CT)およびpapain(PP)の有する縮合または転移作用を利用して、有機溶媒または有機溶媒/緩衝液系で各種のジおよびトリペプチドを合成する方法を開発した。例えば、固定化TLとCTを直列に連結した2固定化酵素カラムでZ-GFLNH_2を220時間にわたり80%以上の高収率で連続合成することに成功した。本研究で合成した必須アミノ酸およびそれに準ずるヒスチジンを含むジおよびトリペプチドは以下の通りである。カッコ内は使用した酵素、その作用および収率を示す。Z-K(Z)IOMe(TL;縮合,約100%),Z-TWOEt(PP;転移,73%),Z-TWVNH_2(CT;縮合,約100%),Z-LFOMe(TL;縮合,約100%),Z-MLFOMe(TL;縮合,約100%),Boc-H(Tos)VOEt(PP;縮合,91%)。また、基質の有機溶媒と水相への分配特性により、水分濃度の増加に伴い物質移動抵抗が急激に増加する場合があることを認めた。さらに、オピオイドペプチドであるLeu-enkephalinの前駆体(Z-YGGFLOEt)を、構成アミノ酸誘導体より、CT、TLおよびPPを用いて合成する手順を提出し、その実現性を実験的に検証した。塩基性アミノ酸(K)からなるジおよびトリペプチドをトリプシンを用いたアセトリトリル/水系で合成した。とくに、Kのみからなるジおよびトリペプチドの合成について詳細な検討を行い、酵素濃度およびアミド基質の濃度を適正に制御することにより、目的物の収率を向上させかつその収率を長期間維持できることを見い出した。本研究は、わずか4種の酵素により多種のオリゴペプチドが構成できることを示した。これは、バイオプロセスが指向する少量多品種生産系が構築できたものといえる。
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プロテアーゼによるペプチド合成反応に関する研究
研究課題/領域番号:01790456 1989年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A) 奨励研究(A)
木村 幸敬
配分額:1000000円 ( 直接経費:1000000円 )
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加水分解酵素を用いた有用物質合成に関する研究
1984年
資金種別:競争的資金
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Study on synthesis of availably biochemical materials by hydrolytic enzyme
1984年
資金種別:競争的資金
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小腸上皮吸収細胞における機能性食品の吸収過程の解析
資金種別:競争的資金
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Study on absorption of physiologically functional foods through absorbtive cells in intestine.
資金種別:競争的資金