共同研究・競争的資金等の研究 - 王 英正
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難治性血管炎の単一細胞解析による不均一性の解明とRNA誘導型組織修復法の開発
研究課題/領域番号:22H03040 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
王 英正
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
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RNA誘導型遺伝子編集幹細胞による多様性免疫細胞を標的とした組織修復再生法の開発
2021年04月 - 2023年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 橋渡し研究戦略的推進プログラム(シーズA)
担当区分:研究代表者
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輸送幹細胞の肺組織内集積反応により遊出される心筋再生促進因子の同定と実用化研究
研究課題/領域番号:19H03738 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
王 英正
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本研究では、移植した細胞のうち最もロッジする近接臓器である肺組織自身を介したparacrine効果の検討が目的であり、我々が報告してきたIGF-1やHGF以外の新たな心筋再生促進因子を同定する研究計画である。
1. 新たな手術法により確立したラットおよびブタ単心室循環モデルに対する心臓内幹細胞の経静脈的注入法による生命予後改善効果の検討ー単心室循環モデルに対する細胞移植において、急激な低酸素状況への暴露による生体内環境変化のため、非移植群に対する細胞移植の有意な生存率の改善効果は認めなかった。
2. 正常の2心室心ならびに単心室心のラットに、培地もしくは1.0x106/kg個の心臓内幹細胞を静脈内に注入後12時間目に心臓と肺組織を採取し、Agilent Array発現解析による網羅的遺伝子検索を行うー正常心への幹細胞静脈内注入後の組織解析において、肺特異的な遺伝子上昇群を6因子同定した。
3. Real-Time RT-PCR法を用いて、正常心で培地もしくは細胞移植で有意に変化した遺伝子群を抽出し、この候補因子群に対して、2次スクリーニングとして単心室心モデルにおいても同様に有意な変化を示した遺伝子群に最終的に絞るー上記候補因子群のうち、リアルタイムの遺伝子解析において、単心室モデルにおいても重複して有意な上昇を示した遺伝子群は3つあり、一つは従来より報告されているTNF-alphaの活性化上昇に伴い代償的に阻害する因子の一つであるTSG6を含んでいた。 -
腸管スキャフォールドとコラーゲン結合型成長因子を用いた拍動性グラフトの創成
研究課題/領域番号:18K08759 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
笠原 真悟, 松下 治, 王 英正, 美間 健彦
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
組織工学を用いた臓器再生研究の分野で、脱細胞化した心臓に心筋細胞を移植する
ことで拍動が得られることが報告された。また、脱細胞化した腸管を組織工学の鋳型として利用できることも報告された。これまでに我々は、細菌性コラゲナーゼのコラーゲン・アンカー部を用いて結合組織やコラーゲン基剤に成長因子をアンカリングすることで、その効果を持続的に発揮させられることを示した。
2019年度は、ラット小腸を腸間膜動静脈を含め脱細胞化して足場とし、心筋細胞の増殖と血管新生を誘導する種々の成長因子をアンカリングしつつ、ラット新生児の心臓由来細胞を播種することで、栄養血管を備えた拍動する心筋の筒を作製しようと考えていた。
まずラット小腸の脱細胞化を試みた。生体から小腸を採取し、動静脈にカニュレーションし、界面活性剤を24から48時間程度還流することにより脱細胞化できることを確認した。続いて、脱細胞化した小腸の細胞外マトリックスを足場として、心筋細胞を生着させようと試みた。従来我々が用いていた解放空間における灌流装置で、脱細胞化小腸にラット新生児心筋細胞を付着させ培養液を還流したが、良好な成育は認められなかった。心筋の破砕の程度、還流流量などを変化させたが、十分な生着といえる成果は得られなかった。そこで、温度、湿度、CO2濃度を管理できるインキュベータ内で培養すべく、小型の還流装置を試作した。しかしながら最適な還流量の確立が困難で、現在足場素材、大きさの再検討、それに対する流量の検討を進めている。 -
心臓内幹細胞移植による小児拡張型心筋症に対する再生医療の臨床研究
2016年04月 - 2019年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 再生医療実用化研究事業
担当区分:研究代表者
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エクスプラント心由来の自己幹細胞移植による拒絶緩和と膜組織作成法の開発
研究課題/領域番号:15K10216 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
新井 禎彦, 王 英正
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
純系ラットを用いた異所性心移植慢性期生存モデルによる自己幹細胞移植評価を実施した。その結果細胞投与群は細胞非投与群に比較してグラフト生着期間の延長と心機能の改善傾向がみられ現在統計学的解析などの評価を行っている。さらに移植心内の細胞由来を追跡調査した。これにより、心機能の改善が幹細胞由来細胞生着と増殖によるものか、いわゆるパラクリン作用による移植心の細胞の増殖、機能改善によるものかを特定することを目指している。現状ではその混在の割合が圧倒的優位性を持っている状態とは言い難いため、作用機序特定のためには多様な内分泌、化学的伝達物質などの評価を要する可能性がある。
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Ex-vivo Heart Perfusionを用いた心臓移植の臨床応用
研究課題/領域番号:15K10215 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
小谷 恭弘, 王 英正
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
現在、心臓移植のドナーとなりうるのは脳死に陥った患者様(脳死ドナー)であるが、その発生頻度は少なくドナー不足が問題となっている。代替として心停止を起こした患者様がドナーとなる場合(心停止ドナー)があるが、心臓は脳死や心停止になった際に同時に障害を受けてしまい、心臓が臓器移植に耐えうるかどうか不明であるという問題がある。本研究では、心停止ドナーからの心臓移植の実現を目指して、どのように心臓を保護すれば、一度心停止になった心臓が蘇生されるかを調べた。結果として、適切な心筋への血液や酸素の供給(調節再還流)を行うことで、心停止前と同等の心臓の機能まで回復することが示された。
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小児心不全に対する心筋再生医療法の企業主導多施設共同臨床治験
2015年04月 - 2018年03月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 革新的医療技術創出拠点プロジェクト (シーズC)
担当区分:研究代表者
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メカノメディスン:メカノ医工学を駆使した再生医療・生殖医療への展開
研究課題/領域番号:26220203 2014年05月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
成瀬 恵治, 王 英正, 高橋 賢, 松浦 宏治, 入部 玄太郎
配分額:201760000円 ( 直接経費:155200000円 、 間接経費:46560000円 )
メカノ心臓再生医療に関し、ヒトiPS細胞から自発的に収縮する心筋細胞への分化誘導を行った。この分化誘導は周期的伸展刺激により早期化し、ヒト線維芽細胞との共培養により促進された。小児拡張型心筋症に対する心臓内幹細胞の自家移植療法に関し、TICAP-DCM第1相臨床研究を3症例に対し行い、細胞移植を無事に実施した。
メカノ生殖補助医療に関し、マウス受精卵を用いてメカニカルストレスの有無による遺伝子発現の違いを網羅的解析したところ、胚発育、細胞死、環境ストレス等に関する遺伝子発現に有意差が見られた。また従来のマウス用チャンバーに対し、ヒト受精卵に利用可能な高純度シリコン樹脂製チャンバーを完成させた。 -
心疾患治療に向けた革新的次世代メカノ組織工学・再生医療の創生
研究課題/領域番号:26242042 2014年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
成瀬 恵治, 王 英正, 高橋 賢, 入部 玄太郎
配分額:23270000円 ( 直接経費:17900000円 、 間接経費:5370000円 )
心臓再生医療において、力学的・機械的刺激(メカニカルストレス)を用いた新しい技術を開発するために研究活動を行った。まず、心臓機能障害の動物モデルを作出するためにin vivoでECGを記録しつつラット冠状動脈左前下行枝(LAD)を結紮する実験を行った。組織学的解析の結果、LAD支配領域に心筋壊死による梗塞巣が形成されていることが確認された。計画段階において、心機能障害のモデルとして心筋梗塞モデルと右心不全モデルの作出を想定していたが、心筋梗塞モデルの作出は達成された。
細胞培養による移植細胞の作出実験に関しては、3次元培養用の培養装置の開発を行い、これを用いた細胞培養を開始した。新生児ラットの単離心筋細胞およびラット心筋細胞株を用いた実験により、ゲルを足場にして細胞が3次元的に生育あるいは増殖することを確認した。この成果により、ずり応力およびストレッチによる機械的刺激を細胞に負荷する環境が確立された。
またOxford大学客員教授のPeter Kohlを招聘し、メカニカルストレスによる心臓再生医療の開発に関しディスカッションを行った。さらにメカノバイオロジーの世界的な権威が集う国際学会International Symposium on Mechanobiology 2014に研究者を参加させ、関連研究領域の情報収集を行った。また3次元プリンタのワークショップにも研究者を参加させ、細胞培養用の培養器開発の実務的知見を取得させた。
本研究の内容を包括する基盤研究(S)「メカノメディスン:メカノ医工学を駆使した再生医療・生殖医療への展開」の交付決定に伴い、本研究課題を終了しこれに引き継ぐこととした。 -
小児心不全に対するヒト幹細胞移植による先進医療の実用化加速に向けた第2相臨床研究
2013年04月 - 2016年03月
厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業
担当区分:研究代表者
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研究課題/領域番号:25670389 2013年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
王 英正
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
本研究では、ヒト心臓内幹細胞とラット心筋細胞の細胞間融合を介した人工心筋細胞の大量精製後、ラット全心臓の脱細胞化による細胞外マトリックスで形成された足場の作成をした。脱細胞化した心臓への人工ヒト心筋細胞およびヒト心血管前駆細胞の再播種化することで、再構築した自家細胞由来バイオ人工心臓の機能解析及び移植検討した。細胞は5x107個の精製したヒト人工心筋細胞と5x107個のヒト心臓内幹細胞をPBSに希釈し、27ゲージの針使用し5回に分けて左心室内に注入する。回路内を密閉後、約8から10日間持続潅流させることで三次元培養を行い、全周性で均一な生存心血管細胞で覆われた心臓器官の形成に成功した。
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希少難治性心疾患由来iPS細胞を用いた左心低形成症候群の予後因子の解明に関する研究
2013年04月 - 2014年03月
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業
担当区分:研究代表者
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異種間ヘテロカリオン細胞の包括的遺伝子解析によるヒト心筋細胞初期変換因子群の確立
研究課題/領域番号:23659419 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
王 英正
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
ヒト細胞における心筋細胞への直接誘導因子群は明らかでなく、本研究において、ヒト心筋前駆細胞とマウス成熟心筋細胞との異種間細胞融合法を用いてヘテロカリオン細胞を作製し、本質的な心筋細胞への再プログラム化因子群を同定した。本研究により、従来のGATA4, Mef2c, Tbx5に加え、Myocardin, Hand2といった複合的な制御転写因子群が必須であり、合計5因子群による心筋前駆細胞から直接心筋細胞への形質変換法の確立に成功した。
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脱細胞化したマトリックスへのヒト人工心筋細胞の再播種によるバイオ人工心臓の作成
研究課題/領域番号:23659672 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
佐野 俊二, 王 英正
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
心臓移植の事業推進において臓器提供者不足が大きな問題であり、次世代の臓器移植医療法の開発が必要である。摘出心臓をランゲンドルフ潅流装置用いて脱細胞化させることで立体的な足場を形成し、周期的な前後負荷及び電気刺激を与えつつ、ヒト心臓内細胞及び血管内皮細胞を潅流培養させることで、冠動脈血流を伴い、緻密に作業心筋細胞が生着することで、より高い機能性のある自家細胞由来の心臓としての器官形成に成功した。
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小児心不全に対する細胞治療と単心室症由来人工多能性幹(iPS)細胞の樹立による次世代心筋再生医療法の開発
2010年04月 - 2013年03月
厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
担当区分:研究代表者
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ヒト心臓内多能性幹細胞と幹細胞増幅因子bFGF徐放シートのハイブリッド移植療法による心筋再生医療の多施設共同型臨床研究
2008年04月 - 2011年03月
厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業
担当区分:研究分担者
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新たな幹細胞増幅因子とヒト心臓内幹細胞を併用した心不全への自家細胞移植療法の開発
研究課題/領域番号:20390223 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
王 英正
配分額:19110000円 ( 直接経費:14700000円 、 間接経費:4410000円 )
重度の虚血性心不全に対して、自己心臓内幹細胞の心筋内注入に加え、幹細胞増殖促進因子の一つである塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を併用した細胞治療法を開発することに成功した。慢性心筋梗塞のミニブタにおける免疫機能を抑制下、ヒト心臓内幹細胞の心筋内注入とbFGFの組織内徐放を併用した細胞治療法の前臨床試験を行った。本法による治療後、左室駆出率と心筋局所壁運動は有意に改善し、心筋梗塞サイズは著明に縮小した。
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Cre-loxPシステムを用いたAkt依存性に活性化される心筋細胞再生因子の単離
研究課題/領域番号:19659204 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
王 英正, 上山 知己, 小形 岳寛
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
本研究の目的は、心臓内幹細胞の特異的増殖規定因子の同定であり、これまでの我々の報告から、心臓内幹細胞は主として、細胞表面抗原であるSca-1で認識及び精製できること、また、Sca-1ノックダウンマウスの機能解析から、Aktが重要な候補支配因子であることが明らかとなった。そこで、本研究では、Sca-1プロモーターにAktをノックインした薬剤誘導型Akt発現マウス(Sca-1/Akt mice)を作成し、遺伝子工学的手法用いて、Akt依存性に活性化される心臓内幹細胞の網羅的検索を行った。結果:1)Sca-1ノックダウンマウスに急性虚血を作成すると、梗塞後1週間での生存率が約30%と野生型の70%に比べ、有意に低下したことから、Sca-1依存性に心臓内幹細胞の自己増殖に重要な因子の発現低下が関与していることが示唆された。一方、Sca-1/Akt miceに虚血を導入すると、急性生存率が野生型と同様なレベルまでに回復し、Sca-1/Aktの活性化を軸とした心臓内幹細胞による障害心筋細胞の自己修復機構の存在が確認された。2)Sca-1/Aktを介した心臓内幹細胞の増殖規定因子を検索するため、野生型及びSca-1/Aktマウスの心臓内から幹細胞をそれぞれ精製し、マイクロアレイによる網羅的検索を行った。cutoff indexを2倍以上に上昇した因子群に集約すると、心臓幹細胞はAkt依存性に活性化される増殖制御因子として、インスリン様成長因子結合蛋白4やセマフォリン3C、さらに、Wnt/beta-cateninの経路を調節するfrizzled関連蛋白1/2が候補因子として同定された。これらの因子群はいずれもin vitroでの検討で心臓内幹細胞の増殖能を促進させ、今後in vivoにおけるこれらの因子群の心筋虚血耐性の役割について、さらに詳細に検討していく予定である。
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Expression cloning法による心筋細胞分化制御因子の同定と機能解析
研究課題/領域番号:18590773 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
上山 知己, 松原 弘明, 王 英正, 原田 光一郎, 小形 岳寛
配分額:3890000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:390000円 )
心筋細胞分化の分子機序の解明と、選択的にES細胞を心筋細胞へと分化制御する因子の同定とその機能解析を目的に以下の研究を行った。
1.cDNAライブラリーを発現する非増殖性組み換えレトロウイルスの作製。
P19CL6細胞を用い心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後4〜7日の細胞より抽出したmRNAからcDNAを合成し、レトロウイルスベクターに組み込みcDNAライブラリーを作製し、非増殖性組み換えレトロウイルスを作製した。
2.未分化状態のES細胞を分化誘導する因子の探索。
心筋細胞へと分化するとGFP遺伝子を発現するES細胞を用い、作製したcDNAライブラリーをレトロウイルスベクターにより遺伝子導入し、心筋細胞へと分化しGFPを発現した細胞群より染色体DNAを抽出した。その染色体DNAを用い、レトロウイルスベクターを認識するベクタープライマーを用いたPCRによりcDNAを回収し、その塩基配列をシークエンサーにより決定し、G protein beta polypeptide 2 like 1(Gnb211,Rack1),oxidase assembly 1-like(0xa11),glutaredoxin 5 homolog(Glrx5),aurora kinase A interacting protein 1(Aurkaipl)などを候補遺伝子として得た。
3.同定した候補遺伝子の機能解析。
同定した候補遺伝子のfull-length cDNAをレトロウイルスベクターによりES細胞に発現させることにより、これらの遺伝子の心筋細胞への分化誘導能を検討しており、本研究を進めることにより、心筋細胞分化の分子機序の解明と、選択的に心筋細胞に分化誘導する方法の開発につながると考える。 -
ヒト心筋幹細胞移植療法の前臨床的確立と細胞組織工学によるハイブリッド療法の開発
研究課題/領域番号:18390233 2006年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
王 英正, 上山 知己, 原田 光一郎, 小形 岳寛
配分額:17050000円 ( 直接経費:15700000円 、 間接経費:1350000円 )
ヒト心臓内幹細胞と幹細胞増幅因子を統合した心筋再生医療法の前臨床的確立に向けて、以下の2つの課題を明らかにした。1)幹細胞増幅因子の同定-activinII型受容体拮抗薬であるfollistatinは骨格筋組織幹細胞において、幹細胞コロニーの自己増殖能を増加させる作用があることを確認した。activinII型受容体を介するTGF-beta familyのリガンドを特定するため、myostatin欠損マウスの骨格筋組織より精製した心筋幹細胞の増幅動態を培養細胞系で検討。骨格筋組織幹細胞は骨格筋芽細胞と異なり、myostatinの情報伝達を介さず、むしろ、GDF11やactivin Aによる幹細胞の増幅調節を受けていることが明らかとなった。一方、心臓内幹細胞の自己増幅因子は幹細胞の認識抗原であるSca-1のノックダウンマウスを用いた検討で、bFGF/Aktを中心とする情報伝達が幹細胞の増幅過程を制御していることが確認された。2)ヒト心臓内幹細胞移植と幹細胞増幅因子の併用療法の安全性と有効性の検証一大型動物を用いてのランダム割り振り前臨床治験を行った。慢性心筋梗塞モデルを作成し、研究目的1)で確認したbFGFを生体吸収材料であるゲラチンハイドロゲル用いて、心筋組織内に徐放し、免疫抑制下でヒト心臓内幹細胞を移植した。心エコー検査や心臓MRIによる心機能評価では、bFGFによる心筋微小血流の改善に伴い、細胞周囲環境が調節され、ヒト心臓内幹細胞移植の生着性が、通常の幹細胞単独移植に比べ2倍以上、さらにin vivoでの心筋細胞再生能が8倍以上と有意に向上した。本研究により、心臓内幹細胞とbFGFのハイブリッド療法は最も有効な心機能改善と実質的な心筋細胞再生をもたらす画期的な再生医療法として確立した。
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胚性幹細胞との細胞融合及び遺伝子工学的手法で再プログラムされた心筋幹細胞株の樹立
研究課題/領域番号:18659224 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
王 英正, 上山 知己, 原田 光一郎, 小形 岳寛
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
増幅能が限られている体性幹細はテロメア関連伝子導入によって不死化する試みがされているが、遺伝子をベースにした方法では常に悪性腫瘍化する危険性が付きまとう。そこで、申請者らはES細胞との細胞融合によって、ES細胞が持つ極めて高い増殖性の性質を申請者らが単離に成功した心筋幹細胞に形質伝承する目的で、Cre-loxPシステムを利用したレトロウイルスベクターを作成した。ES細胞と融合によって形質変換した細胞の精製によって、心筋幹細胞クローンにCre-IRES-RFPレトロウイルスを感染させ、ウイルス感染が良好であることを確認した。
(1)puro/hygroの抗生剤選択で純化したハイブリッド細胞が4倍体であることをFACSで確認した。融合した心筋細胞は免疫組織染色にて、心筋幹細胞には発現していないES細胞特異的な転写因子の提示を認め、細胞融合の効率がその後の解析に有効な頻度(約50%)で生じていることを検証した。
(2)RNAを回収しマイクロアレイによる網羅的検索によって、未分化ES細胞特異的転写因子や細胞周期調節因子について網羅的検索を行ったところ、約6割の心筋幹細胞特異的遺伝子の発現減少とそれに伴うES細胞固有因子の増加を融合した新規細胞の遺伝子プロファイルにて確認した。このことは、細胞融合によって心筋幹細胞が完全に形質変換したことを直接証明するものではなく、細胞融合前の約6割の心筋幹細胞がES細胞との再プログラムによる修飾の影響を受けたことを強く示唆した。
(3)neo耐性遺伝子を持つalpha-MHC-EGFPを導入したES細胞の形質を継承した再プログラムされた心筋幹細胞は、in vitroにて通常のES細胞に比べ、心筋細胞に分化する効率が約3倍向上したことをEGFPの発現頻度にて確認された。逆に融合した心筋幹細胞は正常のES細胞と比し、細胞増殖能が約半分に低下した。このことは、ES細胞の持つ多能性分化能を再プログラムする手法を用いて、遺伝子工学的に幹細胞の運命を制御したことを証明し、今後の虚血心への融合細胞移植実験にて、生体内での心筋細胞再生医療への有用性について研究を発展させていく予定である。 -
ヒト心筋・骨格筋からの心筋幹細胞株の樹立と末期的心不全への幹細胞移植医療実現化へ向けての研究基盤形成
2005年04月 - 2008年03月
厚生労働科学研究費補助金 医療技術実用化総合研究事業 基礎研究成果の臨床応用推進事業
担当区分:研究分担者
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ヒト心筋・骨格筋からの心筋幹細胞株の樹立と末期的心不全への幹細胞移植医療の実現化-ES細胞からの心筋前駆細胞クローン単離と不死化・増幅-
研究課題/領域番号:17209028 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
松原 弘明, 高橋 知三郎, 王 英正, 辰巳 哲也
配分額:49530000円 ( 直接経費:38100000円 、 間接経費:11430000円 )
申請者らは、細胞移植療法の実現化に向けて、効率よく短期間内で心筋幹細胞の大量増幅を行う目的で、遺伝子工学的手法を用い、幹細胞特異的増幅因子の同定及び機能解析を行った。心筋幹細胞を認識する表面抗原Sca-1に注目し、Sca-1ノックダウンマウスを作成し解析した結果、心筋幹細胞はbFGF依存性にAktの活性化を介して、生体内における幹細胞の増殖及び細胞移植後の生着促進に重要であることを突き止めた。同様の培養技術を用いて、ヒト心臓生検組織からの心筋幹細胞の単離・増幅技術を確立し、また、この心筋幹細胞の特異的増殖・維持因子がbFGFであることを初めて明らかにした。現在、世界初の実質的な心筋細胞分化を伴う細胞移植再生医療の実現化に向けて、ヒト心筋幹細胞移植とその増幅因子を組み合わせたハイブリッド療法(bFGF徐放生体吸収シート)の前臨床治験を進めている。本研究は幹細胞単独移植でなく、bFGF徐放生体吸収シートを組み合わせたハイブリッド療法であることが大きな特徴であり、臨床治験に向けたブタ陳旧性心筋梗塞モデルを用いたランダム割り振り前臨床治験を6カ月前から実施している。左冠動脈をバルーンで閉塞後解放して作成した雌ブタ心筋梗塞部に1月後に免疫抑制薬の投与とともに、男性ヒト心筋幹細胞移植とbFGF徐放生体吸収シート貼りを併用する。MRIでさらに1月後の心臓機能を解析すると、bFGF徐放生体吸収シートだけでは3-4%の改善であったが、心筋幹細胞移植との併用では12%もの改善が見られている。移植部位では細胞融合を伴う、移植細胞による心筋分化が豊富に見られていた。また、移植細胞はbFGF徐放生体吸収シートの存在により1月後には移植部位において、30%の生着が観察された(シートなしでは5%生着)。本研究は幹細胞単独移植でなく、bFGF徐放生体吸収シートを組み合わせたハイブリッド療法であることが大きな特徴であり、臨床治験に向けたブタ陳旧性心筋梗塞モデルを用いたランダム割り振り前臨床治験は世界でも行われておらず、非常に心機能改善効果の高い心筋再生治療と期待される。
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心筋幹細胞移植医療の実現化に向けたヒト心筋幹細胞特異的増幅因子のクローニング
研究課題/領域番号:17659233 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
王 英正
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
平成17年7月1日より、心筋幹細胞移植医療の実現化に向けたヒト心筋幹細胞特異的増殖因子のクローニングに関する研究課題に関し、特にsignal sequence trap法を使ったadult由来心筋幹細胞の増殖因子の同定に関する研究を開始した。
採取したadult由来マウス心筋幹細胞からのcDNA library作製し、レトロウイルスパッケージング細胞であるPlatE細胞にRoche社のFuGENE6を使用して導入し、レトロウイルスとして回収した。回収したレトロウイルスを感染効率が20%弱になるように調整してBa/F3細胞に感染させ、96well plateに10000個/wellで撒き、IL-3非存在下で2週間程培養した。培養により、シグナル配列を持たないpMX-SSTが感染したBa/F3細胞は死滅し、シグナル配列を持ったcDNA断片を融合したpMX-SSTが感染したBa/F3細胞のみ増殖が認められ、最終的に200近くの細胞クローンが認められた。これらの細胞クローンから染色体DNAを抽出した後、vector primerを用いてPCRを行い、挿入cDNA断片を回収した。
回収したcDNA断片のすべてに対してシーケンサーによる解読を行い、NCBI BLASTホームページ上のnucleotide-nucleotide blastを使って相同性検索を行ったところ、adult由来マウス心筋幹細胞に特異的に発現している分泌タンパク質が2つ認められた。この2つは、RT-PCRでもmRNA発現が亢進していることを確認し、そのうちの1つは免疫染色でsphereを形成している細胞上に強くタンパク発現していることも確認した。
現在、これらの同定されたタンパク質についてrecombinantによる薬物的刺激実験とノックアウトマウスを使った抑制実験の2つの方向から、同定されたタンパク質のマウス心筋幹細胞への増殖に対する効果を解析すべく準備を進めている。今後、同定されたタンパク質が増殖に関わることが明らかになれば、ヒト心筋幹細胞への応用が可能かどうか検討していく予定である。 -
新たに同定した心臓由来心筋前駆細胞のクローン化増殖、機能解析による心筋再生医療
研究課題/領域番号:16689017 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(A) 若手研究(A)
王 英正
配分額:28470000円 ( 直接経費:21900000円 、 間接経費:6570000円 )
心臓由来の心筋前駆細胞の細胞機能解析として、平成16年度に引き続き、平成17年度一年間で以下の2つの課題を明らかにしてきました。
1)心臓由来のSca-1陽性細胞のクローン化とその多能性を明らかにすること。
平成16年度の報告のように、申請者らは心筋前駆細胞である心臓由来のSca-1陽性細胞を単一細胞より大量増幅させ、そのクローン化に成功した。各クローンはそれぞれ心筋細胞に分化できるポテンシャルが異なり、心筋細胞以外では血管平滑筋、内皮、グリア、脂肪、上皮細胞への多能性分化能についても確認しえた。
2)マウス生体内でのSca-1遺伝子の役割をSca-1欠損マウスへ心筋梗塞作成することで明らかにする。
平成16年度内にSca-1ノックダウンマウスの作成に成功した。ある一定の数まで動物を繁殖させた後、マウスの表現型の解析を開始した。Sca-1ノックダウンマウスは生後異常なく成長し、心臓にも異常が認められなかった。しかしながら、Sca-1ノックダウンマウスより精製純化した心筋幹細胞コロニーは増幅能を著しく傷害され、野生型の心筋幹細胞と比べ、長期培養は不可能であった。また、Sca-1ノックダウンマウス由来の心筋幹細胞は高い増幅能を持った細胞に特徴的なテロメラーゼ活性も著しく低下し、細胞周期調節因子であるp53の発現上昇を認めた。興味深いことに、Sca-1ノックダウンした心筋幹細胞をドナーとして用い、虚血心に細胞した場合、野生型の細胞移植と比べ、心筋細胞の再生能及び心機能改善効果は著しく障害を受けた。また、Sca-1ノックダウンマウスに心筋梗塞を作成すると、梗塞巣が繊維化領域の拡大により、野生型と比べ増加し、1ヶ月目までの虚血心マウスの生存は有意に低下した。これらのことより、Sca-1は心筋幹細胞を認識するだけでなく、心臓内心筋幹細胞の自己増幅能を制御する重要な因子であることが示唆された。