共同研究・競争的資金等の研究 - 神例 康博
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経済刑法における行為規範の具体化とその手続的保障をめぐる理論的・実務的課題の研究
研究課題/領域番号:24K04592 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
神例 康博
配分額:1950000円 ( 直接経費:1500000円 、 間接経費:450000円 )
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経済刑法の体系化と刑事規制の導入基準―解釈論と立法論とを接続する視座の構築―
研究課題/領域番号:21K01202 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
神例 康博
配分額:2080000円 ( 直接経費:1600000円 、 間接経費:480000円 )
「経済刑法」の体系的整序を図り、解釈論と立法論とを接続する経済刑法の統一的視座を明らかにすることにより、経済活動の規制の領域における刑事規制の導入基準を明らかにする、という本研究の目的に即して、経済刑法全般にかかわる総論研究と個別の経済刑法罰則に関する各論研究とを並行して行った。
まず、総論研究としては、経済犯罪規制における経済刑罰法規の行為規範としての意義と限界について考察し、その成果を、「刑法の行為規範性に関する覚え書-経済刑法を素材としつつ-」として公表した(山口厚ほか編『高橋則夫先生古稀祝賀論文集[上巻]』(成文堂、2022年)91頁以下)。本研究を通して得られた刑罰法規の運用における課題(行為規範の不確定性をめぐる諸問題)については、2022年度において引き続き検討を行うこととしている。
次に、各論研究としては、租税刑法を対象とした研究を行った。租税ほ脱犯をめぐっては、法定刑の引き上げと新たな罰則規定の創設により、罰則相互の関係と個々の犯罪類型の意義が不明確になっているように思われる。そこで、法益を分析概念として、罰則相互の関係と個別の犯罪類型に関する理論的課題について検討を行い、その成果を公表した(「租税ほ脱犯の罪質に関する一考察-単純不申告犯、単純不申告ほ脱犯、虚偽不申告等ほ脱犯の相互関係-」日本法学87巻2号(2021年)113頁以下)。租税ほ脱犯に関しては、引き続き、受還付犯について研究を進めている。
このほか、令和4年5月に開催される日本刑法学会第100回大会におけるワークショップ「経済刑法-デジタルプラットフォームの規制と刑事法-」において、本研究課題にとっても重要な課題である、デジタルプラットフォーム(DPF) を巡る諸問題の経済犯罪規制における位置づけと刑事規制を考える上での課題について報告する機会を与えられたことから、これに関する研究を行った。 -
東アジアの経済刑法と国際的相互作用の動態
研究課題/領域番号:18K01313 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
高山 佳奈子, 松宮 孝明, 神例 康博, 辻本 典央, 安達 光治, 平山 幹子, 品田 智史
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
1.定例の研究会を2019年4月13日、2019年9月8日、2019年12月15日、2020年2月29日の4回開催して、共同研究に基づく出版・国際シンポジウムに向けた各自の研究を報告するとともに、公正取引委員会から独禁法改正、学界から詐欺罪および関連諸法に関する実務動向の専門家をそれぞれ招へいし、最新の知見の提供を得た。
2.2019年5月3日に華東政法大学(上海)において経済刑法シンポジウムを開催し、研究分担者の松宮が「AIと刑法」、品田が「背任罪」に関する報告を担当した。
3.論文集『日中経済刑法の最新動向』(成文堂)を2020年3月に出版できた。研究代表者の高山が「犯罪論体系と比較法研究」、研究分担者の松宮が「会社再建と強制執行妨害の罪」「食品の安全と過失論の役割」「日本における過失犯論の展開」、神例が「刑事製造物責任と組織の責任・個人の責任」、品田が「日本法における相場操縦・開示規制違反」、辻本が「謝傑『証券、先物市場支配罪の本質に対する再認識』へのコメント」、安達が「熊琦『相場操縦罪における法益および帰属問題について』へのコメント」を寄稿している。
4.また、研究代表者・研究分担者全員が参加する共著『新経済刑法入門(第3版)』の刊行準備も順調に進めている。
5.しかしながら、武漢大学法学院と合同で2019年度中に開催する予定であった国際シンポジウムは、新型コロナウィルスの影響のため次年度に延期されている。研究報告としては高山が「賄賂罪について」、研究分担者の松宮が「経済犯罪の実質的違法性ないし『社会侵害性』について」、辻本が「経済犯罪と司法取引」、安達が「経済犯罪における共犯問題」が発表に向けて準備を開始している。 -
研究課題/領域番号:15K03172 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
高山 佳奈子, 山本 雅昭, 神例 康博, 辻本 典央, 品田 智史
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
定例の研究会を3年間で全13回実施し、報告を基にした成果を法律学術雑誌に公表した。公正取引委員会から講師も招へいした。
武漢大学法学院および華東政法大学法律学院との国際シンポジウムを各2回実施し、「証券犯罪」「金融犯罪」「インターネット金融犯罪」をテーマに各国の最新の立法および実務の状況を報告するとともに理論的な討論を実施した。成果は平成30年度内に論文集として刊行する。 -
研究課題/領域番号:24530070 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
高山 佳奈子, 山本 雅昭, 神例 康博, 松原 英世, 品田 智史, 張 小寧, 松宮 孝明, 斉藤 豊治, 平山 幹子, 佐川 友佳子, 嘉門 優, 永井 善之, 大下 英希, 中島 洋樹, 井上 宜裕, 前嶋 匠, 松原 英世, 張 小寧
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
日本・中国・台湾・韓国などの東アジア諸国では、従来、それぞれソビエト連邦法、ドイツ法、日本法などの影響下に独自の刑事制度を発展させてきた。経済刑法もその一部であり、個別に発生する問題に対処するための立法が多かった。しかし、経済活動の国際化に伴い、各国に共通する問題が見出されるとともに、その対策においても、相互の方法を参照する意義が高まっていることが、本研究によって明らかになった。その意義は、個別具体的な立法のみでなく、刑法総論や制裁制度論全般に及んでおり、今後研究を継続する必要性もまた示された。
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研究課題/領域番号:18530049 2006年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
神例 康博
配分額:2160000円 ( 直接経費:1800000円 、 間接経費:360000円 )
企業の組織的意思決定に基づく犯罪について, 企業のトップを含め, 個人責任を問うことは理論上および実務上, 基本的に可能である.その際, 企業トップ等について正犯としての重い責任を問えないことが必ずしも犯罪実態の過小評価を意味するわけではなく, また, 個人の刑事責任を問えない場合があるとしても, そのこと自体が処罰の不当な間隙を意味するわけではない.いずれにせよ, 「企業の犯罪」とは, 仮象問題にすぎないのである.
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地域社会の安全保持媒体としての交番制度の国際比較研究
研究課題/領域番号:08041073 1996年 - 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際学術研究 国際学術研究
西村 春夫, 小林 寿一, 樫村 志郎, 守山 正, 瀬川 晃, 鈴木 真悟, 神例 康博, 鈴木 真吾, 宮沢 節生
配分額:3800000円 ( 直接経費:3800000円 )
3年の研究期間において、地域安全活動が活発に行われている(交番類似制度を有する)諸国、イギリス、アメリカ、ドイツ、シンガポールの実地調査を行うことができた。わが国の警察庁、イギリス内務省、あるいはアメリカの犯罪研究機関などを通じて現地調査の設定を行うことができた。また、現地のおいても各国警察機関の友好的な協力が得られ、詳細な資料が獲得できた。
これらの調査の結果、次の知見を得た。(1)地域に根ざす交番類似制度の機能が、主として住民自身の安全のためにあるのか、あるいは住民行動の監視のためにあるのかによってその意義が大きく異なることである。ドイツでこの種の制度が歓迎されていない状況は、後者の例である。(2)地域安全活動の拠点の場所として全国一律に設置するか、あるいは犯罪・非行多発地点に限定するか。欧米あるいはアジアではシンガポールの例では、地域安全活動拠点は犯罪・非行多発地区に設置され、活動の合理性が重視されている。(3)警察の対する基本的な住民の態度として、信頼的か不信的か。一般に英米系諸国、さらには大陸諸国では警察に対する不信感が強い。そのような状況では、地域安全活動のあり方に対しても警戒的であまり高度な発展を期待できない。(4)わが国の交番制度をヒントに導入された交番制度も、国、社会、地域によってその発展が異なることである。アメリカ・コロンビア市では言葉は「交番」を用いながら、その内容は大きく異なる。(5)一般に、地域安全活動に従事している担当警察官は、刑事警察的な法執行よりも地域住民の福祉的側面を重視する傾向にある。このため、検挙率などの業績を重視する本部警察の方針とのずれが生じる場合が少なくない。
近年の文献によると、上記の国のほか、カナダ、韓国、ノルウェー、オーストラリア、中南米諸国で、交番類似制度が実施されているといわれ、将来当該研究の対象としたい。