共同研究・競争的資金等の研究 - 笠原 成
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極限定常磁場下での精密熱輸送測定の実装とエキゾチック凝縮相の物性開拓
研究課題/領域番号:22KK0036 2022年10月 - 2028年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
笠原 成, 木原 工, 今城 周作
配分額:20150000円 ( 直接経費:15500000円 、 間接経費:4650000円 )
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時間および空間反転対称性を破る奇パリティ・アナポール秩序の解明
研究課題/領域番号:21H04443 2021年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
笠原 成
配分額:43290000円 ( 直接経費:33300000円 、 間接経費:9990000円 )
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量子液晶の精密計測
研究課題/領域番号:19H05824 2019年06月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
花栗 哲郎, 佐藤 卓, 笠原 成, 芝内 孝禎, 清水 康弘, 廣理 英基, 和達 大樹
配分額:349440000円 ( 直接経費:268800000円 、 間接経費:80640000円 )
電荷液晶に関して、鉄系超伝導体FeSeにおけるSeのTe置換の研究に着手した。Te置換を行うと、ネマティシティとバンド構造のトポロジーが変化する。これまで、相分離のために通常の作製方法では低Te置換領域の単結晶が得られなかったが、化学蒸気輸送法を用いて単結晶作製に成功した。これにより、電子相図が明らかになった他、STMを用いた電子状態評価も可能になった。
スピン液晶に関しては、Kitaev量子スピン系候補物質RuCl3の磁気励起をNMRによって詳細に調べ、分数化した準粒子の根拠となる2種類のスピンギャップの存在を突き止めた。また、RuX3 (X = Br, I) の中性子回折実験を行い、結晶構造および磁気構造を決定した。さらに、Ca3ReO5Cl2におけるスピノン束縛状態や、バナジウム硫酸塩におけるスピンネマティック相を中性子実験によって調べた。
電子対液晶に関しては、昨年度に引き続きFeSeにおけるFFLO状態の研究を行った。特に、精密比熱測定により、上部臨界磁場よりも低磁場において比熱の磁場依存性に明瞭なキンクを観測し、STMの結果と合わせて、FFLO状態の節が表面にピン止めされるモデルを提唱した。
手法開発では、X線自由電子レーザーの超短パルス性を利用して時間分解X線分光を行い、元素別磁化ダイナミクスを観測した。また、超短パルスの赤外線レーザーを用いた時間分解磁気光学顕微鏡の建設を行い、レーザー照射後の強磁性体薄膜のスピンのダイナミクスをサブミクロン、フェムト秒のスケールで観測できるようになった。また、低温強磁場中でTHz-STMを行うための導光技術の開発を行い、約1 m離れた場所に励起レーザーやTHzパルスビームを制御して照射可能になった。 -
研究課題/領域番号:18H05227 2018年06月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
松田 祐司, 芝内 孝禎, 笠原 成, 笠原 裕一, 柳瀬 陽一
配分額:198250000円 ( 直接経費:152500000円 、 間接経費:45750000円 )
(1) 鉄系高温超伝導体のネマティック揺らぎのもたらす異常電子状態
Fe(Se1-xSx)におけるネマティック量子臨界点(x ~ 0.16)において超伝導のギャップ構造が劇的に変わることを明らかにした[Y. Sato et al., PNAS (2018); T. Hanaguri et al., Sci, Adv. (2018)]。さらに強磁場中のノーマル状態の輸送現象が、ネマティック揺らぎにより非フェルミ流体的な振る舞いを示すことも明らかにした[S. Licciardello et al., Nature (2019)]。
(2) 量子スピン液体のエキゾチック準粒子
3次元パイロクロアPr2Zr2O7 では、100 mK 以下において熱伝導が異常に大きくなる現象が観測され、これがトポロジカル励起であるフォトン励起である可能性を示した。また1-2K では量子モノポール励起も観測されることも示した[Y. Tokiwa et al., J. Phys. Soc. Jpn. (2018)]。さらにキタエフ・スピン液体候補物質であるα-RuCl3 に対し熱ホール効果の測定を行い、有限の熱ホール効果が観測されるだけでなく[Y. Kasahara et al., Phys. Rev. Lett. (2018)]、熱ホール効果が半整数値に量子化されることを発見した[Y. Kasahara et al., Nature (2018)]。これはマヨラナ粒子と非可換エニオンの存在を直接示すものであり、分数量子ホール効果における電荷の分数化と同様にスピンの分数化の証拠を与える。
(3) 絶縁体における量子振動の観測
近藤絶縁体YbB12 において量子振動測定を行ない、その結果、磁化だけでなく電気抵抗にも量子振動が現れることを発見した[Z. Xiang et al., Science (2018)]。 -
擬ギャップ状態における対称性の破れの解明
2018年04月 - 2021年03月
文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(B)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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量子スピン液体における創発準粒子の解明
研究課題/領域番号:18H03680 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
松田 祐司, 笠原 成, 笠原 裕一, 宇田川 将文
配分額:45110000円 ( 直接経費:34700000円 、 間接経費:10410000円 )
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次世代高感度磁気トルク測定の構築と強相関電子系への応用
2016年04月 - 2019年03月
文部科学省 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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鉄系超伝導体における超伝導とnematic相の関係解明
研究課題/領域番号:16H04024 2016年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
花栗 哲郎, 笠原 成, 町田 理, 松田 祐司, 芝内 孝禎, 為ヶ井 強, えれみん いりや
配分額:15730000円 ( 直接経費:12100000円 、 間接経費:3630000円 )
鉄系超伝導体では、電子状態が自発的に結晶の回転対称性を破るネマティック相と超伝導の関係が示唆されているが、その詳細は分かっていなかった。そこで、FeSeを対象にSeの一部をSで置換することでネマティック相を抑制し、バンド構造と超伝導ギャップの変化を分光イメージング走査型トンネル顕微鏡で調べた。その結果、ネマティック相が消失するとき、バンド構造は滑らかに変化するのに対し、超伝導ギャップは突然小さくなることが分かった。この結果は、ネマティックの有無が超伝導発現機構に重要であることを意味する。
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超シャロウバンド物質における新奇電子状態と量子凝縮相(国際共同研究強化)
研究課題/領域番号:15KK0160 2016年04月 - 2018年03月
文部科学省 科学研究費補助金 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究では超シャロウバンド物質である鉄系超伝導体FeSeに焦点をあて、ドイツ・ドレスデン強磁場研究所、およびオランダ・ナイメーヘン強磁場研究所における極低温・強磁場中での熱輸送おび電子輸送測定を通じて、BCS-BEC クロスオーバー領域にある量子凝縮状態の特異性の解明に取り組んだ。特に、未踏の極低温・強磁場環境における熱伝導率測定を確立し、FeSeにおいて低温高磁場中で一次相転移によって隔てられた新奇超伝導状態が実現していることを見出した。これは、有限の重心運動量を持ったクーパー対が形成されるFFLO状態の実現を示すものと考えられる。
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超シャロウバンド物質における新奇電子状態と量子凝縮相
2015年04月 - 2018年03月
文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(B)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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研究課題/領域番号:25220710 2013年05月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
松田 祐司, 芝内 孝禎, 笠原 成, 花栗 哲郎, 寺嶋 孝仁
配分額:244270000円 ( 直接経費:187900000円 、 間接経費:56370000円 )
重い電子系化合物の人工制御、特に重い電子系化合物CeCoIn5、CeRhIn5を含む様々な人工超格子を作製し、量子臨界点の研究や新奇な超伝導状態の研究を行った。特にd波超伝導体CeCoIn5を含むトリコロール超格子により、空間反転対称性の破れを人工的に制御することに成功し。さらにCeCoIn5とスピン密度波化合物CeRhIn5を原子層単位で、積層成長させた人工超格子を作製し、圧力をかけることにより、界面を通して磁気揺らぎを超伝導状態に注入することに成功した。また超高真空中でエピタキシャル成長し清浄表面を持つ、CeCoIn5とCeRhIn5薄膜のトンネル顕微鏡による分光にも成功した。
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鉄系超伝導体におけるスピン及び軌道の物理と異常常伝導相の研究
2012年04月 - 2015年03月
文部科学省 科学研究費補助金 若手研究(A)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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鉄系超伝導体における超伝導ギャップの位相構造の解明
研究課題/領域番号:24340089 2012年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
花栗 哲郎, 新高 誠司, 北川 健太郎, 笹川 崇男, 綿重 達哉, 笠原 成, 芝内 孝禎, 松田 祐司
配分額:20020000円 ( 直接経費:15400000円 、 間接経費:4620000円 )
分光イメージング走査型トンネル顕微鏡を用いて、鉄系超伝導体LiFeAsとFeSeの超伝導ギャップと電子状態を調べた。LiFeAsでは、いくつかの欠陥が超伝導ギャップ内に準粒子束縛状態を形成することを見出した。FeSeに関しては、双晶境界が時間反転対称性を破る特異な超伝導状態を誘起している可能性を指摘した。また、準粒子干渉効果からバンド分散を決定し、FeSeの有効Fermiエネルギーが10 meV以下と異常に小さく超伝導ギャップと同程度であり、BCS-BECクロスオーバー領域にあることを明らかにした。さらに、軌道秩序を反映すると考えられる強い面内異方性を準粒子干渉パターンに見出した。
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角度分解トンネル分光測定の開発
2012年04月 - 2014年03月
文部科学省 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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エピタキシャル薄膜を用いた鉄系高温超伝導機構の解明
研究課題/領域番号:21740254 2009年04月 - 2011年03月
文部科学省 科学研究費補助金 若手研究(B) 若手研究(B)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
新しい高温超伝導物質体系として注目される鉄ニクタイド超伝導体について、エキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着によってエピタキシャル薄膜の作製を行ない、最適置換組成の超伝導薄膜をその場成長することに成功した。又、エピタキシャル薄膜と相補する試料形態である単結晶試料の育成を合わせて行い、これらの試料を基盤とした精密物性測定を行った。
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時間反転対称性の破れを伴った超伝導状態におけるドメイン構造の研究
研究課題/領域番号:18740214 2006年04月 - 2008年03月
文部科学省 科学研究費補助金 若手研究(B) 若手研究(B)
笠原 成
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
時間反転対称性の破れた超伝導状態を示す充填スクッテルダイト化合物PrOs_4Sb_<12>において、微小ホール素子法により試料表面における局所的な磁化を測定し、これによる自発的内部磁場の直接観測と、その空間分布に関する知見を得ることを目的とした実験を行なった。対象物質であるPrOs_4Sb_<12>は、Pr元素に基づく初の重い電子超伝導体であり、超伝導二段転移や秩序関数が内部自由度を伴った多重超伝導の可能性、超伝導状態そのものの発現により微弱な内部磁場を発生させる時間反転対称性の破れた超伝導等、数多くの特異な現象を示す。
本研究の第一の研究成果として、PrOs_4Sb_<12>の超伝導二段転移に関する知見を得たことが挙げられる。微小ホール素子を複数配列させた局所磁化の多点測定により、PrOs_4Sb_<12>では異なる転移温度を与える二つの相がミクロンスケールで不均一に分布していることが明らかになった。この起源としては希土類充填率の不完全性が考えられ、不完全な希土類充填率が存在するような試料内部では、本来の転移温度より高い超伝導転移が実現されている可能性が考えられる。第二の成果は、超伝導二段転移が明瞭に観測されるような試料表面においては、第一の超伝導転移直下より強磁性的な正の局所磁化が現れる場合があることを明らかにした点である。この局所磁化の異常は時間反転対称性の破れと関連すると考えられ、PrOs_4Sb_<12>における時間反転対称性の破れには、超伝導二段転移を与える高温相の存在が重要であることを示唆している。置換試料であるPr(Os_χRu_<1-χ>)_4Sb_<12>、並びに(Pr_<1-χ>La_χ)Os_4Sb_<12>では、超伝導二段転移と時間反転対称性の破れが観測される組成領域が全く同一であり、このことからも二つの特異な現象が密接に関連していることが示唆される。