共同研究・競争的資金等の研究 - 小野 努
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酵素包括ゾル-ゲルシリカモノリスマイクロチャネルバイオリアクターの開発
研究課題/領域番号:15656212 2003年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
川上 幸衛, 境 慎司, 小野 努
担当区分:連携研究者
配分額:2900000円 ( 直接経費:2900000円 )
内径数mmのPEEKチューブやガラス毛細管,内径数百μmのPEEKSTLチューブの内部に,テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランの1:4混合物を前駆体としたゾル-ゲル法により,プロテアーゼもしくはリパーゼを包括した有機-無機ハイブリッドシリカモノリスをその場形成させた.モノリスは直径数μmの微粒子の集合体からなり85%程度の空隙を有する.この空隙を基質溶液の流路とする固定化酵素マイクロバイオリアクターを構築した.
まず,乾燥に伴うシリカの収縮を最小限にするために,種々のゾル-ゲル反射条件,ならびにPFGやPVAなどの添加剤の効果を検討した.その結果,酵素サンプルに当初から安定化剤として添加されているデキストリンをさらに追加添加し,最終量を最適化することによって収縮が防止できることを見出した.
つぎに,有機溶媒中におけるプロテアーゼによるグリシドールと酪酸ビニルのエステル交換およびリパーゼによるグリシドールと酪酸からのエステル合成をモデル反応に,同じ固定化酵素ゲル粒子の懸濁回分反応器との比較において,流通マイクロバイオリアクターの性能を検討した.その結果,一定の時間因子においては,マイクロバイオリアクターの反応率は単なる回分反応器の反応率を上回ることが分かったが,マイクロバイオリアクター内の酵素反応速度は基質の液固間物質移動過程によって影響を受けていることが明らかとなった.この効果を回分反応器とマイクロバイオリアクターにおける酵素反応速度の単純なモデル解析によって定量的に表し,マイクロバイオリアクターの性能方程式を決定した.
さらに,リアクターの高性能化のために,テトラメトキシシランとジメチルジメトキシシランの混合物を原料とした気相もしくは超臨界相ゾル-ゲル反応によって酵素のシリカ被覆を行い,一層の活性向上がもたらされることを見いだした. -
ナノ分子集合組織を利用した非水系膜型バイオリアクターの開発
研究課題/領域番号:14750607 2002年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
小野 努
担当区分:研究代表者
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
ナノ分子集合組織である逆ミセル溶液を限外濾過することによって、高効率な蛋白質リフォールディングが可能なことをこれまでに示してきたが、本年度は膜型反応器という特性を活かして、連続的なリフォールディング操作を行うことのできる蛋白質リフォールディングリアクターの開発について得た成果を以下に述べる。
限外濾過膜を介して、分画分子量以下の低分子化合物である変性剤(本研究では尿素)や酸化還元試薬(本研究では酸化型/還元型グルタチオンあるいはシスチン/システイン)が膜内外の逆ミセル溶液間で物質移動を起こす。このときの変性剤濃度の減少速度が蛋白質のリフォールディング速度にも反映されるため、実際の変性剤濃度減少速度と蛋白質のリフォールディング挙動を測定して変性剤を効率よく除去可能な膜型反応器を設計した。
一般的な透析装置(回分操作)、膜内外の逆ミセル溶液を循環させた閉鎖循環型装置、さらに中空糸モジュールを用いた中空糸膜型装置をそれぞれ作製し、酸化還元試薬組成がリフォールディング効率に与える影響については回分操作によって検討した。その結果、酸化剤の比率増加にともないリフォールディング効率が向上した。このように、瞬間的にリフォールディング反応が進行してしまう水溶液中と比較して反応が極めて遅いため、蛋白質の高次構造形成過程の観察に非常に有効な系であることがわかった。
また、実際にリフォールディングが困難とされる蛋白質のインクルージョンボディを用いて本手法の回分装置を利用することで蛋白質のリフォールディングを試みた。水に不溶な蛋白質凝集体であったが、本手法によるリフォールディング操作により一部の蛋白質が水に可溶な状態で回収できた。しかしながら、回収率としては依然低いため、今後の実験条件の最適化が必要とされる。 -
クロロエチレン類の好気的微生物分解のための高効率バイオリアクターシステムの開発
研究課題/領域番号:11555222 1999年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
川上 幸衛, 井嶋 博之, 陶山 明子, 古川 謙介, 小野 努
担当区分:連携研究者
配分額:13100000円 ( 直接経費:13100000円 )
アガロースゲルに包括した組み換えPseudomonas putida KF715-P6株によるTCE分解に適した高効率バイオリアクターシステムを開発する目的で,菌体の活性と安定性を高く維持し得る分解条件並びに賦活条件の最適化を行った.得られた結果を以下に列挙する.
分解温度としては,分解活性の至適温度は30℃であったが,その場合より高い安定性を与える15℃に設定した.最適な賦活条件は,pH6.5,温度4℃において,0.2mMグルコース及び5mMギ酸を含む無機塩培地(BSM)中において6時間振盪することであった.この条件下における菌体の賦活によって,残存活性は、30℃における賦活なしの場合と比較すると、約30%から60%へとほぼ倍増した.
分解培地として水の代わりに上記の最適化されたBSMGを使用することによって,分解活性及び残存活性は,それぞれ,50%及び10%増加した.また,振盪速度や集菌までの培養時間などの培養条件が,その後のTCE分解に対する菌体の性能に大きな影響を及ぼすことが明かとなった.つまり,生菌密度,TCE分解初期活性,残存活性並びに分解容量は,振盪速度80rpmで培養し,菌体同収の増殖のフェーズが対数増殖期である菌体が最も高い値を示した.しかし、対数増殖期の菌体量は静止期の約80%のため,最適な菌体回収の増殖のフェーズは静止期とした.この条件下で分解培地を精製水からBSMGにし,さらに賦活を18時間行うと約90%の残存活性を示した.
これらの実験結果に基づいて,疎水性のホローファイバー膜モジュールによるTCEの分離と上記の最適培地中でアガロースミクロゲルビーズ包括菌体によるTCE分解を組み合わせたバイオリアクターシステムを提案した. -
有機媒体中における分子集合体を利用した高度分子認識
研究課題/領域番号:97J00392 1998年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
小野 努