共同研究・競争的資金等の研究 - 山下 徹
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in vivo ダイレクトリプログラミング法を用いた新規認知症治療法の総合的開発
研究課題/領域番号:23K08543 2023年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山下 徹
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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咀嚼が唾液中BDNFならびに認知症発症に与える影響-ヒト高齢者を対象とした研究-
研究課題/領域番号:22K10101 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
三野 卓哉, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭, 山下 徹, 黒崎 陽子
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
トライアルとして2名の成人健常男性を対象に,無刺激ガム(唾液検査で用いる無味,無香料のガム)を用いた試験的咀嚼運動刺激を与えた.試験的ガム咀嚼運動時間は60分と設定した.2mlの採血は試験的ガム咀嚼運動刺激開始の5分前(ベースライン)と運動刺激終了直後の計2回行った.唾液の採取は試験的ガム咀嚼運動刺激開始の5分前(ベースライン)と刺激開始後1分,20分,40分,60分,90分(刺激終了後30分)の計6回行った.採取した唾液と血液は,4°Cで15分間3000rpm遠心分離し,-70°Cで保存した後にBDNF濃度を測定した.BDNF濃度の測定には”Mature BDNF ELISA Kit Wako”を用いた.
血漿BDNF濃度は被験者A,B共にベースライン時に比較し運動刺激終了直後が低い傾向を示した.60分の試験的ガム咀嚼時間では,血漿BDNF濃度へ影響を与えるには刺激が少ない可能性が示された.一方,唾液BDNF濃度に関して被験者Aでは,ベースライン時が一番高く,刺激開始後1分で最も低くなり,そこから刺激開始後90分まで徐々にBDNF濃度が高くなる傾向を示した.被験者Bの唾液BDNF濃度はベースライン時と刺激開始後1分以外は濃度が低すぎるためか測定ができなかった.
今後は再度倫理委員会への申請を行ったうえで,試験的ガム咀嚼時間を延ばすことで咀嚼刺激を強くし,再トライアルを行う予定である. -
脳内炎症を可視化する挑戦的融合的 in vivo 分子イメージング法の確立
研究課題/領域番号:21K19572 2021年07月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
阿部 康二, 山下 徹
配分額:5720000円 ( 直接経費:4400000円 、 間接経費:1320000円 )
申請者はこれまで脳梗塞モデルの酸化ストレスや脳梗塞モデルやALSモデルに対するオートファジーに対するin vivo光イメージング解析を行い報告してきた。本研究では近年開発された脳内炎症を評価できることを可能にしたIDOLマウスを用いて、血管性障害を伴った認知症モデルマウスの病態解析ならびに各種治療を行った場合の治療効果解析を行うことを可能とする新たな脳内炎症・病態分子イメージング技術の確立が目的である。本研究では、主に以下の2つの研究を行う。1). IDOL/APP23ダブルトランスジェニックマウスの慢性脳低潅流モデルを作製し、主に大脳皮質におけるLucの発現を経時的に観察する。2). 上記疾患モデルで各種治療薬剤やiPS/iNS細胞移植などの神経再生療法を行った際の治療効果解析を行う。
2021年度はまず、IDOLマウスの急性期脳梗塞モデルを作成し、それを使用することでin vivoイメージングの実験系の立ち上げを行っている。またそれと同時にIDOLマウスとAPP23マウスモデルそれぞれを準備し、現在その2系統のかけ合わせを開始している。
今後IDOL/APP23マウスモデル16週齢オスに直径0.75㎜のアメロイドコンストリクターを両側総頚動脈に取り付けることで、緩徐に脳血流が低下する慢性脳低潅流モデルを作成する。また慢性脳低潅流開始後14日後、1、2、6、12か月後にin vivoイメージングを行い、Lucの大脳における発光を定量する。このLucシグナルは脳内炎症を反映したものと考えられ、慢性脳低潅流の亜急性期から慢性期の脳組織の炎症状態を捉えることができる。この間、ロータロッド、8字迷路テスト等の運動や高次機能評価もあわせて経時的に行い、各タイムポイント3匹ずつ還流固定後、免疫組織学的解析も行う予定としている。 -
安全かつ高効率誘導を実現する新世代型ダイレクトリプログラミング法の総合的開発
研究課題/領域番号:20K09370 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山下 徹
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
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咀嚼が認知機能に与える影響の検討および認知症早期診断バイオマーカーの網羅的探索
研究課題/領域番号:19K10205 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
三野 卓哉, 窪木 拓男, 大野 彩, 大野 充昭, 山下 徹, 黒崎 陽子
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究の目的は,①ヒト高齢者において,試験的咀嚼運動刺激が,唾液や血液中BDNF濃度に及ぼす影響を検討すること,②ある要介護高齢者集団において,唾液や血液中のBDNF濃度が咀嚼能力ならびに認知機能と関連しているかを検討すること,③BDNFに加えて認知症発症の早期バイオマーカーを唾液中から網羅的に探索することである.
本年は,まずは目的①のための倫理委員会審査書類の作成を行った.また,倫理委員会審査書類の作成と並行して目的②のために,他の研究で毎年行っている岡山県下の老人介護施設(3施設)へ調査に出向き,基礎疾患,認知機能,ADLなどの臨床情報に加えて口腔内診査(残存歯数,機能歯数,カリエス数など)や摂食嚥下機能などを評価し,高齢者疫学調査データベースのアップデートを行った.現時点で、63名の要介護高齢者(認知機能健全:4名,MCI:10名,軽度認知症:7名,中等度認知症:23名,重度認知症:19名)を得ている.
今後は倫理委員会承認後に、岡山大学病院に所属する教職員のうち全身疾患ならびに服薬を認めない20歳以上の健康成人,あるいはクラウンブリッジ補綴科にてメインテナンスを行なっている患者のうち全身疾患ならびに服薬を認めない65歳以上の健康高齢患者からボランティアを募り,無刺激ガムによる試験的咀嚼運動刺激が,唾液や血液中BDNF濃度に及ぼす影響をランダム化クロスオーバーデザインにて検討する予定である. -
新規疾患修飾遺伝子クロモグラニンBによる神経変性疾患共通分子病態関与の解明
研究課題/領域番号:17K09756 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
太田 康之, 阿部 康二, 山下 徹
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
新規の神経変性疾患修飾遺伝子Chromogranin B(CHGB)は異常構造蛋白(misfolded protein)の細胞間伝播に関わり、P413L変異(variant)は日本人女性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症年齢を早めることが判明している。本研究では、神経変性疾患共通の病態である異常構造蛋白の神経細胞間伝播(プリオン仮説)におけるCHGBの役割を解明することを目的としている。具体的には、代表的神経変性疾患であるALS、アルツハイマー病及びパーキンソン病患者における、性別による発症リスクおよび発症年齢についてのCHGB遺伝子変異関与についての遺伝学的解析と、CHGB変異の有無による臨床病型の違いの解析である。また、P413L変異CHGB発現ALSモデルマウス(G93A-SOD1トランスジェニックマウスおよびAAVベクターを使用したTDP43発現マウス)、アルツハイマー病モデルマウス(APPマウスとのdouble Tgマウス)の作成および性別毎の病態解析であり、神経変性の主要な原因となりえる酸化ストレスとの関連を明らかにすることである。現在、CHGB遺伝子解析のために、ALS、アルツハイマー病およびパーキンソン病患者の遺伝子検体を収集しており、また各患者の臨床病型を記録している。またG93ASOD1マウスにおける酸化ストレスの解析のために酸化ストレスを可視化できる0KDマウスとALSモデルマウスであるG93A-SOD1マウスをかけあわせてダブルトランスジェニックマウスを作成し、ALS病態における酸化ストレスの経時的変化の解析をLuciferase発光の観察(in vivo imaging)により行い、ALS病態における酸化ストレスの増強を確認し、組織学的解析をすすめている。
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多様な神経疾患治療に応用可能な次世代型ダイレクトリプログラミング法の総合的開発
研究課題/領域番号:17K10827 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山下 徹
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では、これまで培ってきたダイレクトリプログラミング技術を脳梗塞や神経変性疾患など多様な神経疾患への治療応用へ展開することが目的である。iPS細胞を誘導して神経系細胞を誘導するには少なくとも1-3ヶ月かかるのに比べ、このダイレクトリプログラミング法では2-3週間で神経系細胞を誘導することが可能である。in vivoで直接患者脳内のグリア細胞から目的の神経系細胞を誘導し神経ネットワークを再構築できれば、細胞移植治療で問題となる培地内の血清の持ち込みなどの感染リスクの回避できるなど利点が非常に多く、その成果の波及効果は高い。しかしながらまだこのダイレクトリプログラミング法によって誘導された神経系細胞の治療効果や腫瘍形成能は未知の部分が多く、in vivoの系を利用して評価していくことが非常に重要であると考えている。
今回計画している具体的な研究項目は、①マウス脳内グリア細胞に直接転写因子を導入し神経系細胞に誘導するin vivo ダイレクトリプログラミングを行い、その治療効果とGlia-vascular unitへの影響の評価、 ②低侵襲な経静脈的投与による脳内への遺伝子導入技術の確立 の2つである。
平成30年度は,平成29年度に作成したiN誘導マウスモデルの脳切片を作成し、iN細胞がどの程度誘導され脳内で分化、生着するかを評価を行った。その結果、レトロウイルスベクター導入して7日後、14日後にはDcx陽性神経前駆細胞が誘導され、50日後にはNeuN陽性成熟神経細胞が誘導されることが明らかになった。 -
研究課題/領域番号:17H04196 2017年04月 - 2020年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
阿部 康二, 太田 康之, 山下 徹
配分額:16770000円 ( 直接経費:12900000円 、 間接経費:3870000円 )
本研究は神経変性疾患の包括的分子病態解明のため、ニューロン変性の原因である酸化ストレスと、近年難治性神経疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)で報告されている、核細胞質輸送障害および蛋白ゲル化異常とに関連する分子機構を明らかにし、臨床的に有用性の高い次世代型治療法の開発研究を推進することが目的であり、様々に神経変性疾患のモデルマウスを用いた基礎研究と様々な神経変性疾患の患者を対象とした臨床研究を計画している。基礎研究においては、特に酸化ストレス可視化ALSモデルマウスとして、0KD×S0D1 double Tgマウスの確立をし、酸化ストレスを可視化できる0KDを利用して、ALS病態における酸化ストレスの経時的変化の解析をLuciferase発光の観察(in vivo imaging)により行った。In vivo imagingの解析で、ALS発症早期(15週齢)からALS発症後期(18週齢)になるにしたがい、脊髄および下肢筋の酸化ストレス発現増強を認めた。またRotarod法において、15週齢から18週齢になるに従い運動機能低下を認めた。また18週齢において、マウス眼静脈から採血を行い、血液酸化ストレスマーカー(dROMsテスト)について解析を行い、ALSマウス血清において酸化ストレスマーカー上昇を認めた。また18週齢においてマウス脊髄および下肢筋肉のサンプリングも行い、組織学的解析にて酸化ストレスマーカーである、Nrf2の発現が下肢骨格筋および腰髄運動ニューロンで亢進していることを確認した。現在、0KD×S0D1 double Tgマウスに抗酸化治療を行い、臨床的治療効果および、酸化ストレスマーカーの改善効果につき解析している。臨床研究においては、ALS患者脳および脊髄における血流および糖代謝をPET検査で評価し、ALS頸髄において糖代謝が亢進していることを確認した。
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ダイレクトリプログラミング法を用いた新規脳梗塞治療法の開発
研究課題/領域番号:15K21181 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
山下 徹
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
神経幹細胞特異的な4つの転写因子群をマウス皮膚線維芽細胞に強制発現させることで、神経幹細胞の性質を持つiNS細胞株を誘導した。このiNS細胞株を脳梗塞マウス急性期に細胞移植したところ、運動機能改善効果を示し、長期観察モデルでも腫瘍形成を認めなかった。以上の結果から、ダイレクトリプログラミングで直接的に誘導したiNS細胞株が脳梗塞急性期において治療効果があり、かつ安全性が高いことが示された。
さらに、マウスの初代培養アストロサイトからも神経系細胞が誘導できることも確認できており、今後脳内グリア細胞等を脳内で直接ニューロンへ誘導する技術も検討する予定である。 -
酸化ストレス応答を応用した新規 in vivo 分子イメージング法の確立
研究課題/領域番号:15K15527 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
阿部 康二, 山下 徹
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
OKD-lucマウスはKeap1-Nrf2システムを応用し開発され、このマウスでは酸化ストレス下の細胞が発光タンパクであるルシフェラーゼ(luciferase;luc)を発現し発光する。今回我々は、このOKD-lucマウスの中大脳動脈閉塞モデルを作製し、酸化ストレスの経時的変化を詳細に観察した。その結果、この酸化ストレスイメージングは、酸化ストレスを生きた動物のままin vivoで検出することができ、脳梗塞の病態を評価する新規のイメージング法として大変有用であることが明らかになった。
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筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と新たな治療法開発研究
研究課題/領域番号:25293202 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
阿部 康二, 山下 徹, 池田 佳生
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
ALSは運動ニューロンの選択的細胞死がおこる予後不良な難治性神経疾患である。またAsidanは小脳障害に加えALSに類似した運動ニューロン障害を呈する新たな遺伝性神経変性疾患である。ALSモデルマウス脊髄の検討ではTDP43,FUSはともに発病期で減少したが、Asidan関連遺伝子であるNOP56は病初期から減少していた。またAsidan患者剖検組織の検討では、ユビキチン陽性、p62陽性の封入体が存在すること、巨大なRNA foci(伸長GGCCUGリピート転写産物の凝集体)が存在することが明らかになり、伸長リピートの転写産物が他のRNA機能を阻害し毒性を生じている可能性が示唆された。
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新規誘導法で樹立された神経幹細胞は脳梗塞を治療しうるか?
研究課題/領域番号:25870460 2013年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
山下 徹
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
神経幹細胞特異的な4つの転写因子群をマウス皮膚線維芽細胞にレトロウイルスベクターを用いて強制発現させることで、iNS細胞株を誘導した。得られたiNS細胞株はニューロンとグリア細胞にそれぞれ分化できることも確認した。
また脳梗塞マウスモデルの検討ではiNSC細胞移殖群ではvehicle群と比較して、明らかな生存率の改善と運動機能改善効果を認めた。以上の実験結果から新規iNS細胞株は脳梗塞急性期において治療効果があることが明らかになった。