共同研究・競争的資金等の研究 - 上田 真史
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低pH腫瘍微小環境で能動的に取り込まれるBNCT用治療・診断プローブの開発
研究課題/領域番号:22K07666 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
上田 真史
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治療・診断統合による次世代ドラッグデリバリー可視化システムの実証
研究課題/領域番号:20H00669 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
片岡 淳, 加藤 弘樹, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:45110000円 ( 直接経費:34700000円 、 間接経費:10410000円 )
本年度は (1)造影剤を投与した生体マウスの多色X線CT撮影 (2) ハイブリッドコンプトンカメラを用いたマウスの3次元リアルタイム・イメージング (3) 2種類のがん細胞(DU-145/MIA PaCA-2)をもちいたホウ素陽子捕獲反応(pBCT)の生物学的効果の検証を行った。多色X線CTシステムとして、前年度に開発した64ch セラミックパッケージのMPPCおよびYGAGセラミックシンチレータを利用した。ヨード、ガドリニウム、金ナノ粒子を生体マウスに投与することで、多色X線イメージングに初めて成功した。さらに、撮影ピッチを定位相分ずらすことで解像度を最大3倍向上する「超解像度」イメージング法を実証した。核医学イメージングにおいては、前年度に開発したハイブリッド・コンプトンカメラ4台をガントリ状に構築し、回転ステージを用いたマウスのリアルタイム3D画像再構成に挑戦した。アルファ線治療薬であるAt-211 から放出される79keVのX線および570keVのガンマ線の同時撮影にも成功した。これらの結果は Nature Sci. Rep.誌をはじめとする各種論文に掲載された。最後に、pBCT に関してはヒト前立腺がん細胞株(DU-145)およびヒト膵癌細胞株(MIA PACA-2)を培養し、2種類のホウ素薬剤 BPA/BSH を様々な濃度で取り込ませることで生物学的効果を検証した。残念ながら、先行研究で報告されていた増感作用は確認できず、これは物理計測による断面積測定と矛盾しない。恐らく、先行研究がみた増感作用は、2次中性子によるホウ素中性子捕獲反応(BNCT)であると結論づけた。
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細胞治療を指向した機能性エクソソーム分泌細胞内包ゲルの開発
研究課題/領域番号:20K20463 2019年06月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓) 挑戦的研究(開拓)
中瀬 生彦, 萩原 将也, 上田 真史, 児玉 栄一
担当区分:研究分担者
配分額:26000000円 ( 直接経費:20000000円 、 間接経費:6000000円 )
本研究課題では、新たに細胞治療に貢献できる技術として機能性エクソソームを分泌可能な細胞内包ゲルシステムの確立を目的とする。アガロースゲルを用いて、分泌エクソソームは通過するが、その母細胞は通過できない細胞封入体を作製し、ゲル内包細胞の比較的高い細胞生存率、及び、細胞内包ゲルからの性状を維持したエクソソーム分泌と、分泌後に周辺のがん細胞にエクソソームが効果的に取り込まれることを示した。さらに抗体を利用した、がん細胞を標的可能なリガンド等をゲル内で分泌エクソソームに結合できる技術構築にも成功し、狙った疾患関連細胞に分泌エクソソームを標的化できる新しい細胞治療技術として基盤技術構築に成功した。
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ペプチド輸送体による腫瘍選択的能動取込を企図したBNCT用治療・診断プローブ開発
研究課題/領域番号:18K07678 2018年04月 - 2021年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究の目的は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を行うために十分な量のホウ素を腫瘍組織選択的に高効率で送達するための薬剤開発、およびその送達量を非侵襲的に推定するための放射性分子プローブ開発である。
現在臨床使用されているホウ素薬剤としてボロノフェニルアラニン(BPA)があるが、その腫瘍移行量は十分ではない。そこで、BPAを母体とするホウ素含有ジペプチド薬剤を開発し、ジ/トリペプチドを認識するペプチドトランスポーター(PEPT)に基質として認識させ、腫瘍細胞に発現するPEPTを介して細胞内に能動輸送することで、腫瘍への高効率・選択的なホウ素送達が達成できると考えた。
最終年度は、開発したホウ素含有ジペプチド薬剤(BPA-フェニルアラニン、BPA-Phe)の腫瘍細胞への取り込みについて詳細な評価を行った。PEPT高発現細胞株と低発現細胞株それぞれにBPA-Pheを処置したところ、低発現細胞株よりも高発現細胞株に対して有意に高い取り込みを認めた。またその取り込みは、PEPTの基質として知られるグリシルサルコシン共存下では顕著に抑制され、BPA-PheがPEPTを介して腫瘍細胞内に集積する可能性が示された。最後に、腫瘍細胞への取り込みをBPAとBPA-Pheの間で比較したところ、BPA-Pheの方が有意に高く取り込まれた。これらの結果から、PEPTを介して、BPAよりも高く腫瘍細胞に取り込まれるBNCT用薬剤の開発に成功した。 -
脳内RAGEイメージングプローブの開発:アミロイドPET偽陽性克服への挑戦
研究課題/領域番号:16K15583 2016年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
上田 真史, 松浦 有希
担当区分:研究代表者
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
本研究では、脳内RAGEに結合する放射性分子イメージングプローブの開発を目的とし、RAGEアンタゴニストであるFPS-ZM1の構造を改変し、これまで報告のなかったRAGE結合放射性ヨウ素標識プローブの開発に成功した。また、アルツハイマー病モデル遺伝子改変マウスを用いて、加齢に伴うRAGEおよびニコチン受容体発現変化について調べ、加齢とともにRAGE発現が増加すること、ニコチン受容体α4β2サブタイプが減少すること、α7サブタイプは野生型マウスよりも発現量が多いものの加齢に依存した発現変化は認めないことを明らかとした。
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低温プラズマ止血医療の確立を目的としたトランスレーショナル分子イメージング研究
研究課題/領域番号:15H00895 2015年04月 - 2017年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:7410000円 ( 直接経費:5700000円 、 間接経費:1710000円 )
本研究では、低温プラズマ止血を医療行為として確立することを目的として、低温プラズマ照射装置の止血能力評価と中動物を用いたトランスレーショナル分子イメージング研究を行った。
前者の研究については、名古屋大学および産業技術総合研究所それぞれによって開発された装置を用いて、抗血液凝固薬であるワルファリンを投与したマウスでの止血能力を比較した。ワルファリンを溶かした水を自由飲水により摂取させたところ、マウスの血液凝固能は顕著に低下(INR値が顕著に増大)した。しかしながら、大腿静脈に針を刺した出血部位に低温プラズマを照射したところ、いずれの装置を用いても止血は可能であり、止血までに要する時間はワルファリン投与の有無で差を認めなかった。このことから、いずれのプラズマ照射装置も内因性の血液凝固系が阻害された状態でも止血が可能であることが明らかとなった。
後者の研究については、ミニブタの胃壁からの出血を低温プラズマ照射により止血し、その後の炎症からの回復過程を、炎症イメージングプローブである18F-FDGを用いる非侵襲的PETイメージングにより評価した。詳細な組織学的検討が必要であるものの、胃壁への18F-FDGを認め、小動物(マウス)で確立したPETイメージングによる炎症の非侵襲的追跡を中動物(ミニブタ)へと応用することに成功し、ヒトへの橋渡しに資する知見を得た。 -
認知機能の画像バイオマーカーとしての脳内ニコチン受容体イメージングの意義評価
研究課題/領域番号:26670562 2014年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
上田 真史, 檜垣 佑輔, 松浦 有希, 佐野 紘平, 佐治 英郎
担当区分:研究代表者
配分額:3640000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:840000円 )
認知機能を客観的・定量的に評価可能な画像バイオマーカーとして、脳内ニコチン受容体イメージングの有効性を明らかにすることを目的に研究を実施した。これを達成するため、まずはニコチン受容体結合放射性プローブである123I-5IAを用いて、マウス脳ニコチン受容体のイメージング法を確立した。続いて、アルツハイマー病モデルマウスの認知機能の低下とニコチン受容体の減少が同じタイミングで起こることを見出し、その減少を123I-5IAを用いて画像で捉えることにも成功した。これらの成果は、認知機能の画像バイオマーカーとしてニコチン受容体イメージングの可能性を示すものである。
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膵がん及び間葉系幹細胞、膵がん特異的タンパク質を標的とした膵がん早期診断法の開発
研究課題/領域番号:26870388 2014年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
堤 康一郎, 上田 真史
配分額:3120000円 ( 直接経費:2400000円 、 間接経費:720000円 )
膵がん早期診断法の開発を目的として、膵がん幹細胞、間葉系幹細胞、膵がん特異的タンパク質をターゲットとしたイメージングの可能性を検討した。まず、膵がん臨床検体や培養細胞において、plectin-1、14-3-3σ、lipocalin-2などいくつかのタンパク質は高発現していたが、膵がん幹細胞、間葉系細胞の細胞表面マーカーは低発現であることが分かった。そこでタンパク質のうち、14-3-3σに対するイメージングプローブを作成し、マウスXenograftモデルでの評価を行ったが、腫瘍集積性は十分でなかった。プローブの標的に対する結合能の評価をふまえた上で、プローブのさらなる改良が必要と考えられた。
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分子イメージング技術を用いたプラズマ-生体組織相互作用の定量評価研究
研究課題/領域番号:25108508 2013年04月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:7150000円 ( 直接経費:5500000円 、 間接経費:1650000円 )
本研究では、定量的・非侵襲的・同一個体で経時的に生体機能情報を取得できる核医学分子イメージング技術を用いて、局所および全身におけるプラズマと生体組織との相互作用を定量的に評価し、その分子メカニズムを解明することを目的とする。
プラズマの全身作用については、アルツハイマー病モデル動物として用いられる遺伝子改変マウスを用い、プラズマ吸入を行ったマウスと行っていないマウスの脳糖代謝率(神経活動の指標)と認知機能を測る行動薬理学試験の結果と照らし合わせることで、プラズマの神経活動賦活効果について検討を試みた。しかしながら遺伝子改変マウスの認知機能低下が認められなかったため、プラズマの影響を測定する実験系としては不適当と判断し、局所におけるプラズマ-生体組織相互作用の定量解析に注力した。
局所作用に関する今年度の研究では、マウス肝臓を切開した際の流血をプラズマ照射あるいは高温熱凝固により止血し、その後の回復過程で生じる炎症反応を、炎症部位に集積することが知られている18F-FDGを用いて、PET撮像により経時的かつ非侵襲的にモニタリングした。高温熱凝固止血群では術後15日後の時点で腹部に顕著な放射能集積を認めた一方、プラズマ止血群における腹部への放射能集積は術後15日後には消失した。PET撮像後に肝臓を摘出してオートラジオグラフィを行ったところ、放射能集積が止血部に由来することを確認できた。これらの経時変化は、昨年度行った組織学的評価と一致した。以上の結果から、プラズマ止血では止血後の回復が早期に達成されることを明らかとし、それをPETで非侵襲的かつ定量的にモニタリングすることに成功した。 -
タウオパチーの超早期診断のためのGSKー3β標的核医学イメージングプローブの開発
研究課題/領域番号:24659564 2012年04月 - 2014年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 挑戦的萌芽研究
佐治 英郎, 小野 正博, 天満 敬, 木村 寛之, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
本研究では、タウオパチーの早期診断に資するGSK-3β標的核医学イメージングプローブの開発を目的として、GSK-3β阻害剤の一つであるマレイミド誘導体に着目し、125Iを導入したマレイミド誘導体である化合物7を設計・合成した。化合物7は、正常マウスにおける体内放射能分布実験より、脳移行性を示すことが明らかとなった。また、GSK-3βへのインビトロ結合性評価実験において、既存のGSK-3β阻害剤に比べ、高い結合性親和性を有することが示唆された。今後、プローブの構造最適化を行うことによって、GSK-3βを標的とした核医学イメージングプローブの開発の可能性が示唆された。
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研究課題/領域番号:23000005 2011年05月 - 2015年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別推進研究 特別推進研究
永井 泰樹, 初川 雄一, 橋本 和幸, 塚田 和明, 佐藤 哲也, 今野 力, 飯田 靖彦, 上田 真史, 金 政浩, 原田 秀郎, 永目 諭一郎, 落合 謙太郎
担当区分:研究分担者
配分額:388960000円 ( 直接経費:299200000円 、 間接経費:89760000円 )
放射性同位体(RI)を含む医薬品は核医学診断及び治療に重用されている。本研究では、加速器で得られる中性子を用い診断用99mTcの親核99Mo及び64Cu、がん治療用90Y及び67Cuを独自の方法で生成し、高品質の99mTc、64Cu、67Cu及び90Yを分離・精製する開発研究を成功裏に行った。実際、本製法による99mTcの医薬品は市販の99mTc医薬品と同等であることをマウスの画像撮影等により確認した。また高品質の67Cuを多量に生成する方法を初めて確立し、今後の67Cu医薬品の創薬へ向けた研究に目処を立てた。
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腫瘍内 HIF-1 存在低酸素領域の特異的描出を目的とした 低分子放射性プローブの開発
研究課題/領域番号:23791412 2011年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
腫瘍の悪性化、治療抵抗性に関与する低酸素誘導因子(HIF-1)の酸素依存的分解に関与するアミノ酸配列を母体としたペプチドプローブ(^I-DKOP30)を開発した。^I-DKOP30は通常酸素条件で培養した細胞より低酸素条件で培養した細胞に高く集積し、体内分布実験では腫瘍イメージングに成功した。腫瘍内のHIF-1発現部位に^I-DKOP30の集積を認めたことから、^I-DKOP30がHIF-1存在低酸素領域のイメージングプローブとして有効であることが示された。
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糖尿病の早期・予防診断法構築のための膵 β 細胞標的核医学分子イメージング法の開発
研究課題/領域番号:22249046 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
佐治 英郎, 豊田 健太郎, 上田 真史, 木村 寛之, 河嶋 秀和, 天満 敬, 小野 正博
担当区分:研究分担者
配分額:48880000円 ( 直接経費:37600000円 、 間接経費:11280000円 )
膵島量及び膵β細胞量の減少を早期に発見することができれば、糖尿病を予防・治療できる可能性がある。したがって、糖尿病の予防・診断を行うために非侵襲の膵島イメージング技術、とりわけ膵島量及び膵β細胞量を測定するための非侵襲の膵島イメージング技術が望まれている。その中でも、膵β細胞のイメージングを可能とする分子プローブが特に望まれている。本研究では、標的分子には膵島β細胞膜特異的に発現する脂肪酸受容体GPR40、7回膜貫通型G タンパク質共役型受容体であるペプチド受容体GLP-1R、および膵島β細胞への糖取り込みを担うトランスポーターであるGLUT2を選択し、PET/SPECT用イメージングプローブの開発を行った。
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糖尿病の超早期診断のための核磁気共鳴画像(MRI)による膵島定量法の開発
研究課題/領域番号:22390185 2010年 - 2012年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
稲垣 暢也, 豊田 健太郎, 松田 哲也, 富樫 かおり, 木村 寛之, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
2 型糖尿病の病態を膵β細胞量の観点から解析するため、非侵襲的に核磁気共鳴画像(MRI)を用いて画像化できるかどうか検討した。初めに、マウスより摘出した膵臓断片を種々の解析条件で MRI 撮像したが膵島は描出できなかった。Gd 造影剤などを用いて同様に検討したが同様の結果であった。そこで、β細胞に発現するグルカゴン様ペプチド 1 (glucagon-like peptide-1)受容体(以下 GLP-1R)のリガンドである exendin(9-39)にフッ素(F)を付加したプローブを単離した膵島に暴露して MRI 解析を行った。しかし、前検討で認められたシグナルが全く認められず、膵β細胞腫瘍株の INS-1 細胞を用いて同様の実験を行っても結果は同様であった。シグナルが得られない原因探索のため、このプローブのGLP-1R 親和性を結合実験で評価した結果、親和性が著明に低下していることが判明した。そこで、新たに exendin-4 に F を付加したプローブを合成した。このプローブの GLP-1R 親和性は exendin-4 と同様に維持されていた。研究期間は終了したが、今後このプローブを用いて MRI 解析を行う予定である。
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代謝捕捉の概念に基づくHIF-1活性化低酸素腫瘍の高感度イメージング法の開発
研究課題/領域番号:21791187 2009年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
腫瘍の悪性化、治療抵抗性に関与する低酸素誘導因子(HIF-1)の酸素依存的分解に関与するアミノ酸配列に、膜透過配列と1型単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを結合させた融合タンパク質(POTK)を構築し、それによってリン酸化されて細胞内に蓄積する基質プローブ([^<123>I]FIAU)を利用することで、代謝捕捉の概念に基づく腫瘍内HIF-1存在低酸素腫瘍の高感度イメージングの可能性を見出した。
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アルツハイマー病のシステム解析のための分子プローブの開発:新しい画像診断法の構築
研究課題/領域番号:19209041 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
佐治 英郎, 久下 裕司, 福山 秀直, 小野 正博, 河嶋 秀和, 天滿 敬, 上田 真史, 石津 浩一, 入江 俊章
担当区分:研究分担者
配分額:49920000円 ( 直接経費:38400000円 、 間接経費:11520000円 )
アルツハイマー病の脳病態を分子レベルで解明するため、本疾患の神経病理学的なイベントに関与する複数の生体分子を標的とし、これらを高感度に描出する放射性分子イメージングプローブを開発した。インビトロ、インビボでの評価から、各プローブはアルツハイマー病の早期診断、進行度診断、薬物治療の効果判定に向けて有用な知見を与えた。開発した分子イメージングプローブを活用することで、アルツハイマー病の新規臨床画像診断法の構築が可能となった。
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神経因性疼痛下のアセチルコリン神経機能の画像解析とそれに基づく鎮痛作用部位の解明
研究課題/領域番号:19790869 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:3530000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:330000円 )
脳内に存在するニコチン性アセチルコリン受容体に結合する放射性プローブを用いて、慢性的な痛覚過敏状態(神経因性疼痛)でのニコチン受容体およびその神経系の機能変化を調べ、鎮痛作用に関与する部位を明らかにすることを計画した。その結果、神経因性疼痛状態で視床に存在するニコチン受容体が増加していることを見出した。実際に視床に薬物を投与したところ、鎮痛作用が認められたことから、視床に存在するニコチン受容体が神経因性疼痛抑制に関与する可能性が明らかとなった。
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分子イメージングとがん治療戦略:イメージングによるインビボ組織染色を目指して
研究課題/領域番号:17390332 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
久下 裕司, 佐治 英郎, 清野 泰, 玉木 長良, 関 興一, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:16180000円 ( 直接経費:15400000円 、 間接経費:780000円 )
本研究では、"がんの分子機構"や"がんの個性"に関する情報を、ポジトロンCTをはじめとする分子イメージング法を用いてインビボで画像として捉え、がんの治療戦略に役立てることを目的とし、以下の成果を得た。
1.分子標的治療に関する研究
動物実験において、FLT(核酸誘導体)は腫瘍細胞の増殖能を反映し、Iressaなど分子標的療法の早期治療効果判定に有用である可能性が示された。
2.放射線治療に関する研究
担がんモデルラットにおいて、放射線照射による炎症反応が惹起される前にFDGにより放射線治療の効果を評価しうる可能性が示唆された。
3.がんの分子機構を標的とする新規分子イメージング剤の開発
(1)がんの血管新生能の評価を目的とした分子イメージング用薬剤として、チミジンホスホリラーゼ(TP)阻害作用を有する核酸誘導体の合成、及びC-11, I-123標識に成功した。これらの化合物は母体化合物と同等のTP阻害能を有した。
(2)Celecoxibの放射性ヨウ素標識体(IMTP)のシクロオキシゲナーゼ-2イメージング用薬剤としての有用性が示唆された。また、非特異的集積の低減を目指して設計・合成した、新規ヨウ素標識体はCOX-2に高い選択性と阻害活性、非特異的結合の低下を示し、[^<123>I]FIMAがCOX-2選択的イメージング剤となる得ることが示唆された。
(3)[^<99m>Tc]標識抗MT1-MMP抗体は腫瘍への集積性を示し、Membrane-type 1 matrix metalloproteinase (MT1-MMP)を標的としたイメージング剤としての有用性が示唆された。また、プレターゲティング法を用いることで、S/N比が改善する可能性が示唆された。 -
酸素応答分解型タンパクを用いる低酸素領域のインビボ放射性イメージング法の開発
研究課題/領域番号:17659010 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
佐治 英郎, 近藤 科江, 河嶋 秀和, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
本研究では、臨床診断上強く望まれている腫瘍や虚血性疾患の質的診断を可能とする、低酸素領域のインビボ非侵襲的イメージングのための新しい方法として、(1)低酸素領域においてのみ安定に存在し、正常組織では分解を受けて消失してしまう酸素応答分解型タンパク質に、細胞膜透過性に有効な部位と放射性プローブ結合部位とを導入した二官能性タンパク質を設計する、(2)この二官能性タンパク質を投与して、正常組織での分解と低酸素領域への分布が完了後(プレターゲティング)、このタンパク質の放射性プローブ結合部位に放射性リガンドを選択的に結合させる、ことにより、酸素濃度に逆依存して低酸素領域を陽性にイメージングする方法を開発することを計画した。そのために、前年度までに、酸素応答分解型タンパク質としてHypoxia-inducible Factor-1(HIF-1)に着目し、その分子内の酸素依存的分解に関与するアミノ酸配列を選出し、これに細胞膜透過性を有するアミノ酸配列(PTD)および放射性ビオチン誘導体を結合するためのアビジンをコードするDNA断片を結合して発現ベクターを構築し、これをもとにタンパク質を作成した。本年度は、このタンパク質の低酸素での安定性および細胞、体内動態での腫瘍移行性、プレターゲット法の可能性について検討した。その結果、このタンパク質は低酸素状態で培養した細胞で安定に存在することを認めた。さらに、このタンパク質を蛍光およびRIで標識し、それらを腫瘍移植動物に投与し、その腫瘍集積性を検討したところ、プローブ投与早期には体内全体に分布していたが、その後正常組織からは時間とともに消失し、投与1日後では腫瘍で高濃度に存在していた。さらに、この結果に基づいて、このタンパク質をプレターゲティングし、その後、これに結合する放射性ビオチン誘導体を投与することにより、RIタンパク質自身を投与する場合に比べて、撮像時間の短縮とS/N比の向上の可能性が示され、プレターゲティング法の有効性を見出した。
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ガンの転移・浸潤のインビボ分子イメージング法の開発
研究課題/領域番号:17790871 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
上田 真史
担当区分:研究代表者
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
本研究の目的は、がんが転移・浸潤するときに細胞内で生じている分子事象、すなわち転移・浸潤に関与するシグナル伝達の亢進やタンパク質発現の増加をインビボで、かつそれぞれを区別してイメージングする手法を開発することである。
E-カドヘリンの転写抑制因子であるSnailを細胞に導入することで細胞接着を阻害して転移を誘導することを計画し、まずはそのベクターを細胞内に有効に送達するための膜透過配列の検討を行った。細胞膜透過のためには正電荷を有することが重要であることから、蛍光タンパク質であるEGFPにリジンを9つ結合させたK9-EGFPを構築し、その膜透過能をFACSを用いて評価した。比較対照としては、既存の膜透過配列であるHIV Tatペプチド由来の配列を結合させたTat-EGFP、何も結合させていないEGFPを使用した。その結果、Tat-EGFP、K9-EGFPはEGFPに比べてそれぞれ4倍、8倍と高く細胞内に移行し、K9がTatよりも有用であることが明らかとなった。
また本研究課題では、がんの転移・浸潤の際に細胞内で生じている複数の事象を、それぞれを区別して捉えることを目標としていることから、光と放射線を併用したイメージングの可能性について基礎検討を行った。HeLa細胞を移植したヌードマウスに対して、K9-EGFPを蛍光色素で標識したプローブあるいはI-123で標識したプローブを投与し、光イメージング装置とガンマカメラで撮像したところ、どちらのプローブも類似の体内動態を示し、腫瘍のイメージングが達成できた。今後、これらの成果をさらに発展させることで、がんの転移・浸潤に伴う分子事象のマルチモダリティイメージングが可能となると考えられる。 -
成体幹細胞を用いた血管新生・心筋再生による心不全治療に対する核医学的評価の有用性
研究課題/領域番号:16591218 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
大槻 克一, 松原 弘明, 小川 数馬, 上田 真史
担当区分:研究分担者
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
骨髄単核細胞・末梢血単核細胞移植による虚血心筋血管新生治療の効果判定における核医学的評価の有用性の検討を行った。ラット60分虚血・再灌流モデルを作成、24時間後に^<99m>Tc-Tetrofosmin心筋SPECTと心臓超音波検査を行い、DiI標識骨髄単核細胞または末梢血単核細胞1x10^7個を左室腔内に注入した(各n=8)。生食投与群(n=8)も作成し、4週後に同様の検査を行った。心筋構成細胞にFITC標識免疫染色を施した。ガンマカメラで撮像した心筋SPECTからBull's Eye Mapを作成し、正常ラット10匹の心筋SPECTから作成したNormal Fileとの比較から求めたDefect Score、Severity Scoreは、骨髄単核細胞移植群で有意な改善(-36.4%,p=0.01;-24.3%,p=0.003)、末梢血単核細胞移植群で改善傾向(-18,5%,-13.9%)、生食投与群では増悪傾向(+13.9%,+4.8%)を認めた。虚血領域での血管内皮細胞数は、骨髄単核細胞移植群、末梢血単核細胞移植群で生食投与群に較べ有意に多かった(177±29,157±115,68±6/0.25mm^2)。免疫染色標本の観察から移植細胞の内皮細胞への分化が確認された。心臓超音波1検査での左室短縮率は、生食投与群で43.5%低下したが、骨髄単核細胞移植群、末梢血単核細胞移植群では14.5%、19.4%の低下に留まった。骨髄単核細胞移植群では、末梢血単核細胞移植群に比して心筋血流改善効果が優れており、左室の機能低下抑制も骨髄単核細胞移植群でより効果的であった。また、心筋血流シンチグラフィは、心筋梗塞後の左室機能低下を抑制する血管新生治療の効果判定に有用と考えられた。