共同研究・競争的資金等の研究 - 紅野 安彦
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ハロゲン化物添加による相分離現象を利用した汚染土壌の無害化処理に関する基礎的研究
研究課題/領域番号:22K05193 2022年04月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
難波 徳郎, 紅野 安彦
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
本研究では,土壌に非放射性Csを添加し溶融することで,模擬汚染土壌をまず作製しておき,模擬汚染土壌に塩化物を溶融促進剤と共に添加し,低温で溶融処理することにより,塩化物相を揮発させるのではなく,固相で析出させ,Csを塩化物の固相に選択的に取り込ませることで土壌と分離し,Csを取り込んだ固相を水に溶解させ,その後イオン交換によりCsを分離回収するための処理プロセスの開発を目指している。
まず先行研究の再現実験を試みた。MgCl2を添加した土壌を1100℃で溶融したが,土壌とは異なる白色の固形物が生成するものの,冷却後潮解してしまい,土壌と白色固形物を分離することができなかった。無水のMgCl2を用いたり,溶融促進剤として添加したLi2CO3の量や溶融温度を変更するなど,様々な条件を試みたものの,潮解することない安定な白色固形物を得ることができなかった。白色固形物は塩化物のはずなので,熱処理後の試料を水に浸漬し,塩化物相を溶解させることで土壌から分離することができると考えた。
そこで,加熱処理後の試料が入った坩堝に水を注ぎ,その後流し出すことで土壌と水相を分離した。加熱処理前後の重量差から揮発量を,加熱後に坩堝に水を注ぎ,水を流し出した後乾燥し,坩堝に残った試料の重量を不溶性固体の量,加熱処理後の重量との重量差を可溶性固体の量とした。模擬汚染土壌とMgCl2の添加量を一定にし,Li2CO3添加量を変化させて加熱処理実験を行った。Li2CO3添加量の増加に伴い,不溶性固体量が増加したのに対して,可溶性固体量と揮発量はほぼ一定であった。
今年度は,学内共同利用可能なICP装置がすべて故障していたため,不溶性固体と可溶性固体の組成分析を行うことができず,各相中のCs量を調べることができなかった。次年度は,利用可能な装置を探し,組成分析を行う予定である。 -
先端量子ビーム手法群によるナノ・メゾスケール元素選択構造計測
研究課題/領域番号:20H05881 2020年11月 - 2025年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
小原 真司, 林 好一, 小野寺 陽平, 木村 耕治, 田尻 寛男, 平田 秋彦, 紅野 安彦
配分額:138320000円 ( 直接経費:106400000円 、 間接経費:31920000円 )
放射光X線を利用し、超秩序構造の解明を加速するエンジンとして蛍光X線ホログラフィー(XFH)および異常X線散乱(AXS)の計測が可能な複合実験装置の開発および高度化を進めた。とくにAXSにおいてはハイスループット化に取り組んだ。蛍光X線ホログラフィーに関しては、これまでは無機材料を対象としてきたが、金属元素を含む有機物質やタンパク質への応用に取り組んだ。
ガラスの構造モデリングについて、はこれまで困難とされてきたB2O3系ガラスに取り組んだ。また、AXSデータや中性子のデータを併用した元素選択性のある構造データに基づいたモデリングを試みた。さらにBond Valence Sum(BVS)による拘束や第一原理計算を併用したモデリングを試みた。加えて、中性子や電子線を併用し、ガラス、アモルファス構造を多角的に捕らえることを試みた。
これまで永久高密度化ガラスの構造を温度と圧力により操ることに成功したが、さらなる高圧下での試料合成を試みた。
今回、圧力、温度をさらに検討し、世界一密度が高くかつ高密度のシリカ(SiO2)ガラスの合成に成功した。このガラスのX線回折データに現れる第一回折ピーク(First Sharp Diffraction Peak, FSDP)はこれまで報告されたどのガラスよりも鋭いものであることが確認できた。
連携研究についてはA01, A02班と連携し、ガラスやゼオライトのトポロジカル解析を試みた。まもなく論文投稿を行う。 -
土壌の溶融に伴う有害元素の揮発挙動の解析と選択的除去プロセスの設計指針の構築
研究課題/領域番号:19K05565 2019年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
難波 徳郎, 崎田 真一, 紅野 安彦
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
本研究は以下に示す3つの内容について計画している。研究Ⅰ:各処理工程における基材構成元素の揮発・溶出挙動の調査,研究Ⅱ:各固体の塩基度評価,構成元素の状態分析,研究Ⅲ:熱力学計算を併用した揮発・溶出挙動の予測精度の向上
研究Iでは,3つの工程に分かれた無害化処理について,工程毎の処理条件(基材や添加物の種類や量,溶融温度,時間,雰囲気など)を系統的に変化させ,構成元素の気相,液相,固相への分配挙動を調査する計画である。本年度も前年度に引き続き,溶融処理における元素の分配挙動を調査した。
Csを含む模擬汚染土壌については,これまで使用してきた坩堝に加え,より開口面積の広い舟形のボートを使用して溶融処理を行った。これにより,添加する塩化物(NaCl,KCl,CaCl2,MgCl2)の種類によらず,95%以上のCs揮発率が達成された。融剤の影響については,Li2CO3を添加した際のCs揮発率が最も高く,続いてNa2CO3,CaOH2の順にCs揮発率が低くなった。融体の粘性の影響を調べるために,溶流度とCs揮発率の関係を調べたが,溶流度が高い(粘度が低い)ほどCs揮発率が高くなったが,Cs揮発率の差は大きなものではなかった。
また,Pb,Cd,Crを含む模擬汚染土壌については,以下の結果を得た。Pb,Cdについては,塩化物添加による揮発促進効果が確認され,添加する融剤は少ないほど,また塩化物は多いほど,揮発率が高くなることが分かった。この時,揮発促進効果の高い塩化物は順にMgCl2>CaCl2>NaClであった。Crについては,塩化物添加による揮発促進効果が低いことが分かった。揮発率を高めることができる,さらなる条件探索が必要である。
研究Ⅱについては,次年度に実施する予定である。研究Ⅲについては,配分経費が不足しており,実施は見送らざるをえない。 -
研究課題/領域番号:15K05646 2015年04月 - 2018年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
紅野 安彦, 松井 郁也, 小林 彩華
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
等方性のリン酸塩ガラスをガラス転移領域で圧縮変形処理した異方性ガラスを作製し、方位依存の物性測定と構造解析の両側面から、非晶質構造に形成する構造異方性を調査した。あわせて分子動力学シミュレーションによる異方性ガラスの構造モデル化を行い、変形処理後のガラス構造においてリン酸鎖と修飾成分の部分構造の双方に異方的な配向が見られるのはメタリン酸塩に特有の構造的特徴であることを明らかにした。
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無機性汚泥からの有価元素回収プロセスの開発
研究課題/領域番号:23560992 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
難波 徳郎, 紅野 安彦, 崎田 真一
配分額:5460000円 ( 直接経費:4200000円 、 間接経費:1260000円 )
下水処理汚泥は大量のリンを含むが,ほとんど再利用されることはない。当研究グループでは,鉄鋼スラグからのリンの回収プロセスの開発にも取り組んでいる。そこで本研究では,開発したプロセスを下水処理汚泥に適用し,リンの回収を試みた。リンの回収にはSiO2添加が有効であることを見出したが,他の成分との分離は困難であった。還元溶融が効果的であると考えられ,将来的にリンの選択的な分離回収が期待される。
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定常的連続結晶成長に基づいた高度配向結晶集合体の創製と光学機能向上
研究課題/領域番号:21560698 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
紅野 安彦
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
機能性結晶が配向析出して形成された透明結晶化ガラスにおいて、析出結晶形態の観察および誘起された機能の評価を通して、結晶の光学機能を効率的に利用可能な新規な結晶化ガラスの形態を得るための材料およびプロセス条件の最適化を行った。電子顕微鏡観察から、フレスノイト系においては20. 50nm程度の結晶子サイズを有し、200nm以上に同一結晶方位領域および非晶質部分から構成され、結晶配向と透明性の両立に関連する結晶析出形態を明らかにした。
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高温燃焼型都市ごみ焼却炉用クロムフリー耐火レンガの開発
研究課題/領域番号:19310052 2007年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
難波 徳郎, 紅野 安彦, 崎田 真一
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
本研究では,耐火レンガの耐スラグ侵食性の支配因子として,スラグとレンガの反応性に着目した。反応性の予測にはX線光電子分光(XPS)測定より求めたOls束縛エネルギー差が有効であることを明らかにした。XPS測定によりOls束縛エネルギー差が大きく反応性がある程度高い材料を探索した上で,スラグとの反応によって粘度を高める作用を有する材料を選択しレンガの材料に添加すればよいことを明らかにした。
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結晶ライン近傍の局所応力誘起および緩和を利用した変調構造形成と機能評価
研究課題/領域番号:19560673 2007年 - 2008年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
紅野 安彦
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
光学機能を発現する材料開発を目的として、近赤外レーザー光のガラス表面への集光照射局所加熱によるパターン形成技術に関する研究を実施した。半導体レーザー、顕微鏡および自動ステージによるシステムを構築し、その動作性能をステイン着色パターン形成により確認した。本システムを用いたレーザー照射で結晶化挙動を調査し基板ガラスとしての最適組成を決定した。また、レーザー照射点近傍の温度プロファイルをモデル計算により予測した。
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レーザー集光照射結晶化プロセスの空間温度プロファイル計測と機構解明
研究課題/領域番号:17760540 2005年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
紅野 安彦
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
研究初年度において構築を完了した顕微分光学的手法による光学系を利用し、レーザー集光照射加熱法による局所的結晶化プロセスにおけるレーザー照射位置近傍の温度プロファイルおよび温度変化に関する計測を実施した。また、有限要素法に基づく伝熱モデルを改良し、計測結果に基づく温度プロファイルとの比較を行い、計測手法および伝熱モデルの相互検証から双方の妥当性に関する情報を得た。各々の概要は以下の通りである。
半導体レーザー(波長808nm、最大出力1.20W)を熱源用レーザーとし、この波長域に吸収帯を有し熱源となるDr^<3+>イオンおよび蛍光スペクトルが温度指標となるEr^<3+>イオンをビスマスホウ酸系ガラス組成に対してそれぞれ9mol%、1mol%添加することによりモデル試料とした。Arイオンレーザー(波長488nm)励起による顕微蛍光スペクトル測定で蛍光帯のブランチ比を指標として、照射裏面の温度分布およびその経時変化を計測した。局所温度計測にあたり、顕微鏡用ホットステージを用いた試料全体加熱時の蛍光スペクトルを参照して温度を決定した。加熱点の最高到達温度はレーザー照射エネルギーおよび照射時間に依存し、ガラス転移温度、軟化温度、結晶化温度に達することを示し、従来提案の本プロセスにおける照射痕形成モデルを支持した。一方、有限要素法を用いた伝熱モデル計算では、上記のビスマスホウ酸系ガラスにおける熱物性値とエネルギー消失に関するより現実的モデル化への改良を加えた結果、最高到達温度および流動変形領域(軟化温度境界内部に相当)に関して実測に矛盾しない温度プロファイルを再現した。不連続境界の移動モデルの導入、高温物性値の考慮により、さらに現実的モデルとして高度化が期待されることが示唆された。 -
希土類原子加熱法によるパノスコピック形態制御光学機能ガラスの創製と光波制御
研究課題/領域番号:16080207 2004年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特定領域研究
小松 高行, 本間 剛, 藤原 巧, 紅野 安彦
配分額:47600000円 ( 直接経費:47600000円 )
本研究は、光非線形性を示す単結晶ラインをガラス表面にレーザー誘起原子加熱法(希土類/遷移金属原子加熱法)で書き込み、形態や光機能を明らかにすると共に次世代光波制御デバイスへと展開することを目的とするものである。今年度の研究で得られた成果を以下に示す。
○レーザー誘起原子加熱法の適用によって、Li_2O-Nb_2O_3-SiO_2系ガラスにおいて強誘電性LiNbO_3結晶ラインのパターニング(Yb:YVO_4ファイバーレーザー:波長1080nm、パワー:1.3W、走査速度:7μm/s)を行い、偏光マイクロラマン散乱スペクトルおよび第二高調波強度の方位依存性(Azimuthal法)から、LiNbO_3結晶は単結晶に近い高配向(レーザー走査方向に沿ってc-軸配向)で成長していることを明らかにした。光導波(波長:632.8nm)実験の結果、LiNbO_3結晶ラインに有効に光が閉じ込められることを実証した。また、前駆体ガラスにEr_2O_3を添加することにより、結晶ラインから、Er^<3+>イオンに起因する蛍光が観測されたことから、LiNbO_3結晶にEr^<3+>が固溶することを明らかにした。光制御デバイス創製に大きく前進した。
○レーザー誘起原子加熱法によって、Gd_2O_3-MoO_3-B_2O_3系ガラスにおいて強弾性/強誘電性を示すβ'-Gd_2(MoO_4)_3結晶ラインは、屈折率の周期的構造およびそれに伴う第二高調波強度の周期的変化を示し、レーザー誘起結晶化において極めて特異な結晶成長をすることを発見した。また、前駆体ガラスを通常の電気炉で熱処理を行うと、結晶化に伴って、電気炉内(結晶化後の冷却過程ではなく)で自ら微粉化する現象を発見した。この現象を、我々は自己微粉化現象と命名した。自己微粉化したβ'-Gd_2(MoO_4)_3結晶片においても、屈折率の周期的構造およびそれに伴う第二高調波強度の周期的変化が観測された。これらの現象はいずれも、β'-Gd_2(MoO_4)_3結晶の強弾性に基づくものと結論した。新規光制御デバイスとしての可能性が高い。 -
レーザによるガラスのナノ局所構造制御と光子伝達型フォトニック回路の創製
研究課題/領域番号:16350111 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
藤原 巧, 紅野 安彦
配分額:14500000円 ( 直接経費:14500000円 )
これまでに、ナノ結晶化を呈するガラス系において、紫外レーザー光照射により2次光非線形性を有するナノサイズの結晶/粒子が生成されることを初めて明らかにし、さらにそれらナノ結晶/粒子を極めて簡便・低コストな方法により、ナノ結晶子の緻密化・均一化や規則周期的に1次元/2次元配列構造として形成する新しいレーザプロセス法を開発してきた。このナノ結晶粒子の緻密および規則構造を、光触媒用の比表面積増大やランダムレーザーの形成、さらにはナノ粒子間における近接場光の伝搬を基本原理として、信号を伝達する光子伝達型の光回路として利用することが可能となる。
KNbO_3-TeO_2という、熱処理によりナノ結晶化を示し、かつ結晶化により本来は結晶に固有の高機能性(2次光非線形性)を発現するガラス系を選択し、波長308nmを有するXeC1エキシマレーザにより局所加熱処理を実施し、次の成果を得た。1.パルスレーザの照射パルス数の増大に伴い、ナノ粒子の直径は漸増し、およそ30J/cm^2以上のエネルギーにおいて直径が飽和する変化傾向を見出した。2.基板に対して加熱補助を施すことにより、レーザ照射による加熱をより安定に実施することが可能となり、基板加熱のない場合に比べて、ナノ粒子直径のばらつき(偏差)を約1/5に低減することが出来た。ナノフォトニクス回路を実現する、新しい均一ナノ粒子形成法として実用的な手法の開発に成功した。
さらに特筆すべき成果として、酸化チタンを選択的に形成するナノ結晶化ガラスの開発に成功した点を挙げることができる。我々が偶然見出した新しいガラス系においては、熱処理条件によって酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)のみが選択的に結晶化されることを発見した。この酸化チタンは、粒径約10nm程度のナノ結晶子としてガラス中に分布していることが電子顕微鏡観察によって確認され、酸化チタン・ナノ結晶化ガラスの開発に世界で初めて成功した。 -
サマリウム原子加熱法による方位制御単結晶ラインの創製とデバイス展開
研究課題/領域番号:16360324 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小松 高行, 紅野 安彦
配分額:14500000円 ( 直接経費:14500000円 )
本研究は、我々が発見した原子サイズの局所的な加熱を可能にする新プロセス"サマリウム原子加熱法"およびその手法をさらに発展させた遷移金属原子加熱法を種々のガラス系に適用して結晶ラインパターニングをガラス基板上に作製し、さらに次世代機能デバイス素子に応用展開することを目的としたものであり、以下の成果が得られた。
1.SmO_3-Bi_2O_3-B_2O_3系ガラスにおいてレーザー走査方向を変えることにより、光非線形性を示す曲線状および分岐状結晶ラインを書き込むことに成功した。分岐状結晶ラインは屈曲前後においても同じ結晶方位を有し、屈曲点あるいは分岐点で顕著な光の散乱が観察されないことから、光導波路として機能することを明らかにした。また、結晶ラインの表面形態を観察した結果、結晶ラインの表面は非常にスムースであり、屈曲点あるいは分岐点においても顕著な構造の乱れがないことを明らかにした。
2.サマリウム原子加熱法に代わる新規な手法として遷移金属イオンを利用したレーザー誘起結晶化法を開発した。サマリウム原子加熱法と比較して、遷移金属イオンの含有量が1mo1%程度でもレーザー照射によって十分発熱し、様々な結晶ライン(例:LiNbO_3,Sr_<0.5>Ba_<0.5>Nb_2O_6,β'-Gd_2(MoO_4)_3,Ba_2TiGe_2O_8)創製に適用可能であることを実証した。
3.レーザー照射と化学エッチングの組合せによる新規な形態制御加工法を提案し、実際にBaO-TiO_2-GeO_2系ガラスにおいて数μm〜数十μmサイズの内径を持つマイクロチャンネルの創製が可能であることを実証した。この技術を結晶ラインへの電極形成に利用できることを提案した。
4.本研究を通じ、レーザー誘起原子加熱法を用いて次世代光導波路として展開可能な様々な光非線形性/強誘電性結晶のラインをガラス表面に書込むことに成功すると共に、材料創製の科学および工学分野に多大な貢献をした。 -
非線形光学結晶のナノサイズ析出による透明結晶化ガラスの電気光学的機能発現
研究課題/領域番号:14750663 2002年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
紅野 安彦
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
本研究は、光非線形性結晶化ガラス材料の探索と機能発現機構の解明を目指し、ガラスを熱処理あるいはレーザー照射局所加熱で得られる結晶化ガラスを対象に電気光学効果の確認と第2高調波顕微鏡(SHGM)下での非線形光学機能の評価を試みることを目的として以下の実験を行った。
1.電気光学機能を有する透明結晶化ガラス
研究初年度に引き続き、結晶化ガラスの組成および熱処理条件を再検討による透明性の向上を試みたが、結晶化ガラスにおいて測定に十分な透明性を維持したままで電気光学効果を見出すには至らなかった。また、プリズムカプラを用いた表面結晶層への光波導入に関しても結合が困難であることが明らかとなり、レーザー集光照射による光導波路型結晶化パターニングの実現を先行させる必要があると判断した。
2.非線形光学結晶パターン形成とSHGM観察
SHGMによる種々の結晶化ガラスの観察の結果、(1)BTG結晶化ガラスにおいて析出相の方位をSHGの偏光特性から特定した、(2)SiO_2:Ge薄膜の熱処理で得られる結晶化ガラスからのSHGは、析出するクリストバライト相近傍の残留応力の存在と関係することを明らかにした、(3)(Bi,Ln)BO_3系結晶化ガラスに析出する2相のうち非線形性の高いSHG活性相を特定した、(4)YAGレーザー照射によるβ-BBO相ラインパターニングにおける方位をSHGの偏光特性から特定した。
3.SHGMによる非線形光学定数の定量
z-cut石英を標準試料とし、非線形光学定数が既知であるニオブ酸リチウム(LN)単結晶試料のSHGM像の解析から、非線形光学定数の定量およびマッピングに関する一定の手法を確立し、BTG表面結晶化ガラスにおいて、析出結晶のd_33およびd_31が評価可能となった。これは、従来法のMakerフリンジ法による評価と比較しうるものであり、微細結晶での光学物性評価の可能性を見出した。 -
希土類テルライト系ガラスでの屈折率分布パターニングの新手法開発
研究課題/領域番号:13450269 2001年 - 2003年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小松 高行, 紅野 安彦
配分額:7100000円 ( 直接経費:7100000円 )
本研究は、通常のNd : YAGレーザー(波長:1064nm)をテルライト系(TeO_2)およびビスマス系(Bi_2O_3)ガラス等に照射し、位置選択的に光機能性を有する屈折率分布および希土類結晶ドット、ラインを作製し、屈折率分布パターニングのメカニズムを解明すると共に、極めて高度な屈折率分布パターニングの形成技術を確立することである。得られた主な成果は以下の通りである。
(1)Sm_2O_3-BaO-TeO_2系ガラスにNd : YAGレーザー照射を行い、Sm_2Te_6O_<15>結晶から成る結晶ドットおよび結晶ラインを書き込み、それらの生成挙動と形態を明らかにした。特に、結晶ドットはコーン状をしており、表面から内部に向かって成長していることを見出した。また、結晶ドットのサイズはレーザー照射時間tに対してt^<1/3>に従って大きくなることから、構成成分の拡散支配によって結晶ドットが成長していることが明らかになった。
(2)Sm_2O_3-BaO-B_2O_3系ガラスにナノ秒(〜100ns)パルスのNd : YAGレーザーを照射することにより、ガラス内部(100-1000μm)に屈折率変化(ライン状)を誘起することに成功した。屈折率分布領域のライン幅は1-13μmであり、レーザー照射エネルギーと焦点位置により自在に変化させることができた。
(3)Sm_2O_3-Bi_2O_3-B_2O_3系ガラスにNd : YAGレーザー照射を行い、スキャン方向を変化させることにより、曲線状の結晶ラインの書き込みに成功した。結晶ラインを0°から90°まで曲げることが可能であり、また連続的に変化した円状の結晶ラインも作製できた。偏光光学顕微鏡及び偏光マイクロラマン散乱スペクトルから、結晶を曲げても、結晶成長方向は常に一定であることがわかった。ただし、曲がった部分では100um程度にわたって結晶方位は徐々に変化していることを見出した。レーザー照射によるガラスでの曲がった結晶ラインの書き込みは本研究が初めてであり、波長可変型光導波路の作製に大きな道が開かれた。
(4)Sm_2O_3-Bi_2O_3-B_2O_3系ガラスから通常の熱処理およびYAGレーザー照射によって生成する光非線形性を示すBiBO_3およびSm_xBi_<1-x>BO_3結晶の結晶構造および相変化挙動をX線回折および高温ラマン散乱スペクトルから明らかにした。特に、BiBO_3結晶に希土類イオンが固溶することにより結晶構造が安定化されることを見出した。 -
新規な透明結晶化ガラスを利用した次世代短波長固体レーザーと光増幅導波路の開発
研究課題/領域番号:12555247 2000年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小松 高行, 伊藤 節郎, 紅野 安彦
配分額:8000000円 ( 直接経費:8000000円 )
本研究は、新規なTeO_2系、Bi_2O_3系、B_2O_3系、GeO_2系透明結晶化ガラスを利用して可視から紫外域にかけての波長を有する次世代短波長固体レーザーと光導波路を開発することを目的としており、得られた結果は次の通りである。
(1)fresnoite型Ba_2TiGe_2O_8結晶(BTG)が生成した透明BTG結晶化ガラス(30BaO. 15TiO_2. 55GeO_2)の創製に成功し、BTG結晶が優れた非線形光学結晶であることを初めて明らかにした。また、Benitoite型BaTiGe_3O_9結晶が最初に析出し、これを結晶核サイトとしてBTG結晶が生成するという結晶化機構を提案した。
(2)本研究で作製したLaBGeO_5, LiBGeO_4, BTG透明結晶化ガラスの二次光非線形光学定数(d_<33>)をMakerフリンジ法により定量的に評価した。最初に、LaBGeO_5結晶化試料のd_<33>を算出し、結晶化ガラスのd_<33>は単結晶のそれを反映することを確認し、透明結晶化ガラスから非線形光学定数の評価が可能であることを明らかにした。さらに、BTG結晶化ガラスはLiNbO_3単結晶級の二次光非線形性(d_<33>〜22pm/V)を有することを発見した。この値は、今までに報告されているガラスに付与された光非線形性として世界のトップデータである。
(3)BTG以外のfresnoite型結晶、Ba_2TiSi_2O_8 (BTS)およびSr_2TiSi_2O_8 (STS)が生成した結晶化ガラスを創製し、d_<33>値を評価すると共に、光非線形性発現の起源を解明した。特に、Ba^<2+>やGe^<4+>のより大きなイオンの置換により、TiO_5四角錐の自発分極がより大きくなることを明らかにした。
(4)Ba_2TiGe_2O_8結晶が生成した透明な表面結晶化ガラスは光導波路して機能することを確認し、この結晶化ガラスが新規な短波長固体レーザーとして有望であることを提案した。
(5)TeO_2系およびBi_2O_3系ガラスにYAGレーザーを照射することにより、位置選択的に希土類イオンを含有したあるいは光非線形性を示す単結晶ラインの書き込みに成功し、光集積回路への展開が可能であることを提案した。 -
光機能性低フォノン酸化物ガラスの特異な構造緩和機構
研究課題/領域番号:10650822 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小松 高行, 紅野 安彦, デミトロフ ベセリン
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
本研究は光機能性ガラスとして注目されている低フォノンTeO_2系およびBi_2O_3系ガラスに焦点を当て、ガラス転移域での粘性測定、示差走査熱量計(DSC)による比熱測定、ビッカース硬度測定などを行い、これらのガラスの特異な構造緩和機構を明らかにすることを目的とする。得られた成果は次の通りである。1)R_2O-MO-TeO_2系ガラス(R=Li,Na,K,M=Mg,Ba,Zn)の結晶化に対する熱的安定性は光学的塩基度が大きく異なる組み合わせ(K_2O-MgO,Li_2O-BaO)において顕著に増加する。2)K_2O-MgO-TeO_2系ガラスのガラス転移域での比熱変化【right filled triangle】)C_pは約45J/molKでという大きな値を示すことから、ガラス転移域で網目構造の切断が容易に起こり、原子間の再配列が顕著に起こる。この特徴はビッカース硬度の室温における値(〜3GPa)とガラス転移域での急激な減少にも現れる。3)構造緩和の活性化エネルギー(エンタルピー緩和)は900〜1250kJ/molであり、通常のSiO_2系ガラスと比べて極めて大きい。粘性流動の活性化エネルギーは500〜750kJ/molであり、フラジリティの値は60程度である。ビスマス系ガラスにおいてもエンタルピー緩和と粘性流動の活性化エネルギーの違い、すなわち、デカップリングが顕著に観測される。これはSiO_2系ガラスとは全く異なる特異な構造緩和現象であり、ガラス転移域での粘性流動が網目構造の切断(主緩和)のみではなく、他の修飾イオンの動き(副緩和)にも顕著に依存していることを示している。4)ビスマス系ガラスもテルライト系ガラスと同様にガラス転移域で原子間の再配列が容易に起こる極めてフラジャイルなガラス形成系である。5)本研究によって、たとえば光増幅用TeO_2系ファーバーの製造に必須な種々の情報を提供し、同時にガラスの最も本質的な現象である"ガラス転移"と"構造緩和"を従来のSiO_2やB_2O_3といったガラス系ではなく全く異なった挙動を示すTeO_2系およびBi_2O_3系ガラスからのアプローチによりそれらの本質に迫ることができた。
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第2高調波測定によるガラスの熱高電場処理過程の動的解析
研究課題/領域番号:10750493 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
紅野 安彦
配分額:2400000円 ( 直接経費:2400000円 )
ガラスは、本来、反転対称性を有することから、2次非線形現象である第2高調波発生(SHG)を示さないが、熱あるいは光による励起を伴った高電場処理により反転対称性を失った状態を誘起、凍結したガラスからSHGが見出されており、熱ポーリング、紫外光ポーリングなどと呼ばれる。本研究は、酸化物ガラスの熱高電場処理過程におけるイオンの動き、ガラス構造の変化、結果として生じるSHG等の現象の関連に着目し、これらの過程におけるダイナミックスを解明することを目的とした。
熱ポーリング過程の変化をSHG測定により捉えるため、Nd:YAGレーザー、分光検出器、高電圧電源、ファンクションジェネレーター等から構成される装置を構築した。高電圧直流電源を制御することにより、平板状ガラス試料に周期的な電場(V_<pp>=1-3kV,10mHz)を印加し、同時にMakerフリンジ法によるSHG測定を可能にした。YAGレーザー入射と電場方向の配置について検討した結果、電場に対して垂直な入射方向の場合に、明瞭なフリンジが周期電場に応答することを確認した。当初、市販のソーダライムガラスおよび無アルカリガラス7059(双方とも厚さ約1mm)を試料とすることにより、最適な測定の条件を設定できたが、比較的大きな非線形性が期待できるテルライト系、ビスマス系の酸化物ガラスについては、試料の加工性に問題が生じ、市販ガラスと同様の条件での測定は実現できなかった。ポーリング処理したガラスの表面に微結晶が析出し、SHG活性に寄与することが報告されている。試料表面での電荷層の形成や局所的な構造変化をとらえる目的では、本研究で採用した測定手法に特に問題がないが、結晶化をはじめ不可逆な現象が関与する場合、本装置による測定時間、シグナル強度などに再検討を必要とすることが指摘された。 -
光学的線形・非線形傾斜機能型ガラスセラミックの創製と評価
研究課題/領域番号:09229226 1997年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
小松 高行, 紅野 安彦
配分額:1500000円 ( 直接経費:1500000円 )
光を最大限に利用でき、かつ光の制御を可能にする新しい光学的傾斜機能材料、あるいは光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換できる従来にないタイプの光電的傾斜機能材料の開発は今後ますます重要になる。本研究は、第二高調波発生(非線形性)を示す光学的に透明な結晶化相と非線形性を示さないガラス相の割合いが傾斜した構造を有する光学的線形・非線形傾斜機能型透明テルライト系ガラスセラミックスの創製を試み、次の成果を得た。
1)15K2O-15Nb2O5-70TeO2ガラスのNb^<5+>をW^<6+>やMo^<6+>で置換したガラスは、結晶化に対して著しく安定になることから、15K2O-15Nb2O5-70TeO2ガラスと接合するガラス系として選択した。2)15K2O-15Nb2O5-70TeO2ガラスにEr^<3+>を添加した系では、Er2O3を1.5mol%まで添加しても透明ガラスセラミックスが得られることが明らかになった。3)ガラス表面での結晶化相はバルス内部とはかなり異なった状態になっており、内部に比べて非常に大きなSHGを示すことを発見した。4)15K2O-15Nb2O5-70TeO_2ガラスと15K2O-15W2O6-70TeO2ガラスの接合体は、2種類のガラス融液をアルミナボ-トに順次流し出す手法により作製した。ガラス同志の接合は十分に起こったが、熱処理するとガラス相と結晶化相の界面にクラックが生じた。これは、15K2O-15W2O6-70TeO2ガラスと15K2O-15Nb2O6-70TeO2透明ガラスセラミックスの熱膨張係数が大きく異なるためと推察された。また、アルカリ金属イオンの場合と違って、テルライト系ガラス中におけるNb^<5+>とW^<6+>の相互拡散はかなり起こりずらいことが明らかになり、本研究の目的を達成させるためには、もう少し拡散しやすい化学種、例えば、アルカリ土類金属イオンなどを含んだ安定なガラス系を利用する必要があることがわかった。 -
光機能を有する新規テルライト系透明ガラスセラミックスの設計と開発
研究課題/領域番号:08455300 1996年 - 1997年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小松 高行, 紅野 安彦
配分額:7100000円 ( 直接経費:7100000円 )
本研究は、申請者の発見した透明なテルライト系ガラスセラミックスにおける第二高調波発生(SHG)の機構を解明し、新しいと透明な光機能を有するガラスセラミックスを開発することを目的とする。得られた成果は次の通りである。1)15K2O-15Nb2O5-70TeO2系ガラスの熱処理によって得られるSHGを示す結晶相の化学組成は、ほぼ(Nb1/3Te2/3)2O4.8に対応し、構造は酸素欠損型の蛍石型構造を有する。この結晶は立方晶からわずかにひずんおり、それがSHGの起源であると結論した。2)xNa2O-(15-x)K2O-15Nb2O5-70TeO2系において得られる結晶相の格子定数はNa^+の置換と共に連続的に減少し、Na^+とK^+が生成する結晶相においてお互いに全率固溶する。SHGは、Na2O/K2O比と共に急激に小さくなり、x=8の透明ガラスセラミックスではSHGは確認できない。3)Nb2O5をWO3,MoO3で置換すると、母体ガラスのガラスの熱的安定性が非常に大きくなり、SHGを示す結晶相の生成は極めて難しくなる。1)SHGの強度は、2段階熱処理した後に両面を研磨して得られた試料と表面をあらかじめ研磨した後に熱処理して得られた試料の場合では、大きく異なる。特に、メーカーフリンジ法でSHGの強度を測定すると、後者の方が前者の場合に比べてかなり大きい。また、後者の場合には明瞭なフリンジパターンも観測されることから、表面近傍における結晶相の配向や結晶自体に内部とはかなり異なる状態が出現している。4)15K2O-15Nb2O5-70TeO2ガラスにEr^<3+>を添加した系では、Er2O3を1.5mol%まで添加しても透明ガラスセラミックスが得られる。この透明なガラスセラミックスに800nmのレーザー光を照射すると、550nm付近に^4S_<3/2>→^4I_<15/2>への遷移に帰属できるアップコンバージョンが明瞭に観測される。5)各種テルライト系ガラスの構造緩和を粘性流動の活性化エネルギーや比熱測定から評価した結果、TeO2系ガラスはSiO2系ガラスなどとは異なり、ガラス転移域においてイオン間や網目構造単位間の再配列が極めて容易に起こることが明らかになった。
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光学的線形・非線形傾斜機能型ガラスセラミックスの創製と評価
研究課題/領域番号:08243223 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 重点領域研究
小松 高行, 紅野 安彦
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
光を最大限に利用でき、かつ光の制御を可能にする新しい光学的傾斜機能材料、あるいは光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換できる従来にないタイプの光電的傾斜機能材料の開発は今後ますます重要になる。我々は、第二高調波発生を示す光学的に非線形な透明なテルライト系ガラスセラミックス(母体ガラスの組成:15K_2O-15Nb_2O_5-70TeO_2)を発見し、しかも、非線形性の発現は母体ガラスのアルカリ金属イオンの種類に大きく依存することを見出した。すなわち、アルカリ金属イオンの分布を傾斜化することにより、これまで全く発想されることのなかった光学的に線形・非線形な透明な傾斜機能型ガラスセラミックスの創製ができることになる。
本研究で得られた成果は次の通りである。1)xNa_2O-(15-x)K_2O-15Nb_2O_5-70TeO_2系の透明ガラスセラミックスの作製を試み、x=0〜8の組成範囲で透明なガラスセラミックスを得た。格子定数の測定から、生成する結晶相においてNa^+とK^+はお互いに全率固溶することが明らかになり、アルカリ金属イオンの組成分布を傾斜化することが可能であることを示した。また、透明ガラスセラミックスの誘電率、熱膨張係数などの物性がNa_2O/K_2O比によって連続的に変化することを明らかにした。2)アルカリ金属イオンが異なる2種類のガラスを高温で接合した後、2段階熱処理することにより透明かつ接合界面近傍でアルカリ金属イオンが傾斜したガラスセラミックスを作製した。3)ガラスセラミックスから発生する第二高調波の強度の測定装置を組立てた。Na_2O/K_2O比と共に第二高調波の強度が急激に小さくなり、特に、x=8の試料では第二高調波の発生は確認できなかった。本研究は、透明な傾斜型ガラスセラミックスの創製が可能であることを初めて実証すると共に、デバイス等への応用が大いに期待できる新規な光機能傾斜型材料であることを明らかにした。