共同研究・競争的資金等の研究 - 袴田 玲
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ビザンツ帝国末期における聖母(生神女)マリア崇敬とその社会的背景
研究課題/領域番号:23K12024 2023年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
袴田 玲
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キリスト教文明・文化史における「女性」像の意義と多様性 ―文献学・典礼学・考古学による学際的研究–
2023年 - 2024年03月
カトリック学術奨励金(研究助成金)
袴田玲
担当区分:研究分担者
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東方・ギリシア教父と女性ーその歴史的実態と東西キリスト教世界における解釈史ー
研究課題/領域番号:20H01191 2020年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
宮本 久雄, 村上 寛, 足立 広明, 袴田 玲, 坂田 奈々絵, 阿部 善彦, 鶴岡 賀雄, 山田 望, 山田 順, 海老原 晴香
配分額:17680000円 ( 直接経費:13600000円 、 間接経費:4080000円 )
初期キリスト教から東方キリスト教について扱う研究班1においては、碑文史料や出土遺跡をもとにした初期キリスト教における女性の社会的地位や慈善活動への取り組みについての考察、聖書外典における女性像とそれに対する女性の主体的関わり、ペラギウス派、クリュソストモス、アウグスティヌス等のテクストをもとにした神学的女性観の比較分析、またグレゴリオス・パラマス、フィロテオス・コッキノス、ニケフォロス・グレゴラスらのテクストからビザンツにおける民衆教化運動と女性の関わりについての研究が行われた。
西方キリスト教における雅歌解釈、女性イメージについて扱う研究班2では、ビンゲンのヒルデガルトの分析をもとにした「女性神秘家」概念の再検討や、ホノリウスらによる中世の雅歌解釈伝統および女性神秘家への影響関係、マンドのドゥランドゥスやクレモナのシカルドゥスらによる典礼注解書や、ルイス・デ・レオンらの女性観や女性像の使用についての考察も行った。また現代のフェミニズム思想を踏まえることで、さらなる分析を試みた。
加えて、イギリスでの在外研究やイタリアでの出土遺跡の分析等、一部ではあるが海外での調査活動も行われた。
また本プロジェクトメンバー同士の研究打ち合わせの他、六回にわたるオンラインでの連続公開研究会(4月、7月、8月、10月、12月、1月)の他、2022年3月17-18日には、本研究メンバーが在外研究先のオックスフォード大学にて、The Oxford Centre for Byzantine Researchと共催のかたちで国際シンポジウムHesychasm in Context: Theology and Society in the Fourteenth Centuryを主催し、自らも発表を行った。その他各分担者も、国内外の研究集会や学会・研究会において広く発表を行い、その成果を共有した。 -
「ビザンツ帝国期の正教会における「説教」とその社会的背景」
2020年 - 2022年
日本学術振興会 海外特別研究員(RRA)
袴田玲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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「東方キリスト教における「説教」の研究:聖と俗の架橋としての「説教」」
研究課題/領域番号:18K12206 2018年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業(若手研究) 若手研究
袴田玲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
グレゴリオス・パラマスの説教テクストを引き続き読解しつつも、当時の時代状況をより詳細に解明すべく、フィロテオス・コッキノスによる『パラマスの生涯』や『イシドロスの生涯』、ニケフォロス・グレゴラスおよびヨアンネス・カンタクゼノスの両者による『歴史』、公会議文書など、パラマスの同時代に執筆されたテクストも併せて読解することにより、当時の時代状況を一層立体的に解明した。
テクストの分析から、パラマスとイシドロスによる女性や子供を含めた一般信徒に対する教化活動が明らかになり、彼らの思想的背景としてシナイのグレゴリオスの存在も浮かび上がってきた。さらに、女性が主体的に修道的生活(必ずしも修道院に入ることを意味せず、巷間に生きながら精神的に浄く静謐な生活を送ることも含まれる)を送ることを推奨する彼らの思想において、聖母マリアがその範型として描かれるなど、東方キリスト教世界の中でも特徴的なマリア観が存在していることを明らかにし、当時のマリア崇敬の盛り上がりとの連関の解明に着手した。
これらの研究成果は、2021年12月12日に開催された第58回古代・東方キリスト教研究会、2022年3月9-12日に開催されたVirgin Beyond Borders International Conference、および、本研究代表者とThe Oxford Centre for Byzantine Researchが2022年3月17-18日にかけて共催したHesychasm in Context: Theology and Society in the Fourteenth Centuryにて発表された。また、2022年3月27日には、本研究代表者がコーディネーターとなり、Mary Cunninghamノッティンガム大学名誉准教授に東方キリスト教学会にて特別講演を行っていただいた。 -
研究課題/領域番号:17H02276 2017年 - 2020年
日本学術振興会 科学研究費助成事業(基盤B) 基盤研究(B)
宮本久雄, 桑原 直巳, 出村 和彦, 上村 直樹, 高橋, 英海, 山本, 芳久, 袴田, 渉, 袴田 玲, 坂田 奈々絵
資金種別:競争的資金
本研究では、キリスト教の教えの基礎を作った教父たちの思想を、「相生かし、相生かされ、相生く」を意味する「相生(そうせい)」を鍵語として、その後代への影響も含めて分析することによって、分裂状態にある現代世界にも資する視座を提供した。
ニュッサのグレゴリオス、アウグスティヌス、カッシアヌス、ディオニュシオス、トマス・アクィナス、バルヘブラエウス、グレゴリオス・パラマスといった思想家たちのテクストからは、当時の民族的・宗教的・文化的な分裂とその克服に向けた銘々の思索と実践が浮かび上がり、それらを思想・典礼・芸術の各方面から多面的に分析することで、現代にも適用されうる様々な相生のあり方が見いだされた。 -
「東方キリスト教における死生観-死とその解釈を通じたヘシュカスム的人間理解-」
2014年 - 2017年
日本学術振興会 特別研究員奨励費(PD)
袴田玲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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「ヘシュカスムの歴史におけるグレゴリオス・パラマスの位置および『フィロカリア』編纂の意義」
2012年 - 2013年
東京大学大学院人文社会系研究科附属次世代人文学開発センター 平成24年度夏学期個人派遣事業
袴田玲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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「グレゴリオス・パラマスとビザンツ思想:ヘシュカズムのロシアへの流れと展開」
研究課題/領域番号:09J07876 2009年 - 2012年
日本学術振興会 特別研究員奨励費(DC1) 特別研究員奨励費
袴田玲
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本年度も昨年度に引きつづき、14世紀ビザンツの神学者グレゴリオス・パラマスの思想をその主著『聖なるしかたで修行するヘシュカストの弁護』および『講話集』の読解を基軸に研究を進めた。特に、これまで研究を進めてきた彼の人間観・神観を仲介する概念として、彼のエウカリスティア(聖体拝領)論に着目し、キリスト教の本質に迫る研究となりえた。
2011年9月からは指導委託のかたちでフランスはパリの大学L'Institut Catholiqueに滞在し、トマス・アクゥイナスの大家Gilles BERCEVILLE教授との共同研究を通じて、聖体拝領や身体観をめぐるカトリック側と東方キリスト教側の理解を比較研究し、東方キリスト教における人間および神観念の特色を浮き彫りにした。
さらに、L'Ecole Pratique des Hautes EtudesのVassa Kontouman率いる研究グループに参加し、パラマスが生きたアトスの修道院世界・修道思想代表する詞華集『フィロカリア』を中心に考察した。その中で『フィロカリア』編纂が要請された時代背景、およびその編纂意図について研究を進め、当時オスマン帝国下にあって腐敗していた正教会の高位聖職者たちへの不満と、一般信徒の信仰実践の衰退および西欧の人文主義の影響を受けた知識人らのキリスト教離れへの危惧とを背景とした、正教会内部の霊性復興運動の内実を解明した。
これらの研究は2011年6月に教父研究会にて発表され、同会会誌『パトリスティカ』および同会会誌欧文号Patristicaにて、日・英語の両言語で論文としても発表された。
また、東方キリスト教に深く影響を与えた新プラトン主義についての研究も深めており、今年度は神秘体験を語るパラマスとプロティノスの言表を比較考察し、『新プラトン主義を学ぶ人のために』(世界思想社、現在印刷中)内に論文が掲載される運びとなった。