共同研究・競争的資金等の研究 - 門田 充司
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同一果実の開花から成熟までの追跡による促成栽培イチゴの収量予測と的確な摘花の提案
研究課題/領域番号:24K09162 2024年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
難波 和彦, 門田 充司, 坪田 将吾
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
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ロボット三原則を実現する安全かつ効率的な農業ロボットシステムの開発
研究課題/領域番号:19K06317 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
門田 充司, 難波 和彦
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
本研究は,センシングシステム,危険度の算出,ロボット制御の3要素から構成されるシステムにより,安全かつ効率的な農業ロボットシステムを実現することを最終目標としている。
初年度には,収穫ロボットの外界センシングシステムにおいて,トマトの果房の中から収穫適期の果実を識別する視覚アルゴリズムの開発を行った。カラーカメラと3次元距離センサが一体となったセンサを用いて識別を行った。カラー画像内において収穫対象となる赤色果実の領域を抽出し,その中で検出距離の最も小さい点を代表点とする。代表点から赤色領域の境界線までの距離情報の変化を360度走査して求め,対象果実が他の果実と隣接しているかどうかを判断する。実験の結果,約80%の果房において,収穫対象果実の識別に成功した。
2020年度は人間に対する安全性を確保するために,同様のセンサを用いて人体の検出実験を行った。頭部の座標を人間の代表点とし,その位置や移動速度を算出することで人間の移動が検出可能かを検証した。人間の様々な動作に対して検出実験を行った結果,人間の位置や移動速度,移動方向を良好に検出することができた。また,ロボットハンドや人間の頭部の位置や移動速度をパラメータに含めた危険度関数を基に,コンピュータシミュレーションでロボット制御の基礎実験を試みた結果,危険度の大きさに応じたロボット制御の実現の可能性が確認された。2021年度は,実際のロボットアームを用いた制御実験を行う予定であったが,コロナ禍の影響により,ロボットの納期が2022年5月の予定となったため,ロボット制御シミュレーションが可能な制御プログラムを先に購入し,仮想果実の座標を用いた収穫実験を想定した制御実験を行った。ロボットアームが到着次第,2021年度に作成したプログラムを用い,実機での実験を通して,本ロボットシステムのブラッシュアップを行う。 -
移動型選果ロボットシステムによる農産物のトレーサビリティの構築
研究課題/領域番号:21580316 2009年 - 2011年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
門田 充司, 難波 和彦
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
農産物の生育環境から品質に至るまでの一貫したトレーサビリティを構築するために,収穫と同時に品質評価を行うロボットシステムを開発した。ロボットの操縦と果実収穫は人間が行い,果実の品質評価をロボットに搭載されたマシンビジョンで行う。各株に装着されたICタグの番号から果実収穫が行われた株の特定を行い,品質評価結果と共に保存される。これにより,生産者にとっての情報となる圃場内の果実品質や収穫量に関するマップが生成される。
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農業分野におけるテレロボティクス
研究課題/領域番号:14560211 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
門田 充司, 難波 和彦, 西 卓郎
配分額:4100000円 ( 直接経費:4100000円 )
本研究は農業分野におけるテレロボティクス(遠隔操作型ロボットシステム)の開発を目標に,情報収集ロボット,収穫ロボットならびにネットワークから構成されるシステムを用いて収穫実験を行った。
情報収集ロボットは,カラーカメラ,レーザ距離計,昇降装置などから構成され,対象物のカラー画像と3次元距離情報を収集し,サーバへ無線LANで送信する。サーバではそれらの情報を元に,収穫適期の果実の識別や位置検出が行われ,その結果が保存される。遠隔の人間は,任意の時間にサーバにアクセスし,サーバの判断をチェックする。修正等があれば,ディスプレイ上で行い,その結果がサーバを介して収穫ロボットに送信される。収穫ロボットは,5自由度垂直多関節型マニピュレータ,収穫用多指ハンド,昇降装置などから構成され,前後移動する吸着パッドで対象の果実を果房から分離したあと,離層からもぎ取って収穫する。実験の結果,サーバによる果実識別の成功率は74%であった。収穫動作に関しては,最も前方に存在する果実は全て収穫されたが,作業中に果房の位置が変化することなどが原因で2番目以降の果実の収穫率は低下し,全体として収穫率は56.7%であった。
これらの問題を解決するため,果実識別のアルゴリズムに改良を加え,収穫ロボットにもカラーカメラを装着し,果実の座標を補正しながら収穫を行う方法を検討した。実験の結果,3種類のエッジ検出用フィルタを併用した果実の識別においては,識別率は90%以上であった。また,収穫の成功率も90%以上となった。
以上の結果より,農業分野におけるテレロボティクス実現の可能性が確認された。今後,収穫以外の作業にもこの技術を展開すれば,さらに充実したロボットシステムが実現できる。 -
生物生産ロボットの外界センシングシステム
研究課題/領域番号:12660232 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
門田 充司, 近藤 直, 難波 和彦
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
本研究は,人間および作業環境と共存できるロボットシステム実現のため,ロボットの周囲に存在する物体の検出および識別が可能なセンシングシステムの開発を目標としている。
センシングシステムは,対象の二次元座標が検出できるレーザ距離計と人間の存在の有無を検出できる赤外線センサから構成されており,昇降装置でレーザ距離計を上下移動させることにより,三次元の距離情報を収集できる。
まず,センシングシステムを用いて圃場にて基礎実験を行った。ブドウの幹や棚を支える支柱を対象に検出を行ったところ,距離が3m以内であれば±5mm程度の精度で物体の幅を検出することができた。
また,レーザ距離計を上下移動させて三次元距離情報を得ることにより,物体までの距離だけでなく,大きさや主幹の枝分かれした部分や葉の形状も良好に検出することができた。次に,人間の検出においては,レーザ距離計と赤外線センサの情報を融合することで,人間と背景とを識別し,人間の動きだけを検出することができた。複数の人間を識別するアルゴリズムに関しては,ある程度距離が大きい場合には良好に識別できた。
さらに,センシングシステムの有効性を確認するため,センシングシステムをロボットに搭載し,人間ならびに植物や支柱などの物体に対するマニピュレータの障害物回避制御の実験を行った。その結果,レーザ距離計を上下移動させることで,マニピュレータが通過する高さの障害物の位置および大きさが検出され,マニピュレータは物体に接触することなく回避動作を行った。また,人間と背景との識別ならびに人間の移動の検出が良好に行われ,その情報をマニピュレータの情報と融合することで,人間を含む物体に対してマニピュレータの回避制御が行われた。 -
キクの挿し穂ロボットシステムの開発研究
研究課題/領域番号:10556055 1998年 - 2000年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
門田 充司, 近藤 直, 原 広志, 和田 憲治, 難波 和彦, 門田 充司
配分額:5800000円 ( 直接経費:5800000円 )
本研究では,キクの苗生産において,水揚げから植え付け作業に至る行程を行うロボットシステムを開発することを目標に,分離・供給装置,挿し穂認識アルゴリズム,整形装置,植え付け装置から構成されるシステムを考案し,基礎実験を行った。
挿し穂の分離・供給装置は,主にマニピュレータ,水槽,TVカメラから構成されており,水面に起こした波を利用して穂の束を分離し,画像処理によって最も孤立した穂を順に検出してマニピュレータが一本ずつ把持する。実験の結果,90%を越える成功率で,穂に損傷を与えることなく良好に分離することが可能であった。穂をマニピュレータで一本ずつ搬送するための把持位置の基準点の認識アルゴリズムには,穂の形状的な特徴を利用した。その結果,誤認識することなく良好に検出が行われた。穂の不要な下葉を除去するための整形装置は,切断およびせん断力を利用した2種類の装置を試作した。切断式整形装置では,開閉部にY字形のカッタを有する装置を2組90度間隔で設置することで,穂の向きに関わらず90%の成功率で穂の整形を行うことができた。フィンガを上下移動させて葉柄の根元から下葉を除去するせん断式整形装置では,85%の成功率を得た。トレイに穂を植え付ける装置においては,10本の穂を同時に植え付ける構造とした。植え付け深さによる評価を行った結果,装置単体では約95%の成功率を得た。
各実験結果より,本ロボットシステムの有効性が確認された。しかし,主茎が大きく曲がった穂などに対しては失敗するケースが確認されたため,ロボット作業に適した穂の検討を行えば,さらに成功率は向上すると考えられた。 -
人間協調型生物生産ロボットの安全システムに関する研究
研究課題/領域番号:10760148 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
門田 充司
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
本研究は,人間協調型の生物生産ロボットシステムの確立を最終目標に,センシングシステム,危険度関数の算出アルゴリズム,およびロボット制御の開発を目的としている。
平成10年度の実験では,超音波センサと赤外線センサから成るセンシングシステムを開発し,基礎実験を行った。その結果,人間と背景との識別が行われ,人間の移動(位置,速度,移動方向)を良好に検出できることが分かった。また,人間とロボットとの相対速度や距離などをパラメータに含む危険度関数を用いて危険性の程度を数値化する方法を検討し,コンピュータ・シミュレーションでその有効性を確認した。
今年度の研究では,ロボットにセンシングシステムを搭載し,危険度関数を含むアルゴリズムを用いてロボット制御の実験を行った。ロボットの制御方法としては,危険度関数で算出した値に対して数段階のしきい値を設定し,それに対応してマニピュレータの移動速度を切り替える方法を用いた。実験は実際の作業を想定し,ブドウ園において実施し,人間を様々な方向から接近させて行った。実験の結果,マニピュレータは危険度が高くならないように速度を変化させ,不必要な停止を避けながら作業を継続した。また,危険度が高くなると,マニピュレータは停止し,人間との接触を回避した。
また,ロボットシステムの作業効率をコンピュータ・シミュレーションで評価した。評価方法としては,安全システムを搭載しない作業効率重視のロボット,危険度関数のパラメータを変化させたロボット,および作動領域内に人間が進入した場合に停止するロボットの3種類を想定し,本ロボットシステムとの比較をエンドエフェクタの移動量で数値化した。その結果,本ロボットシステムは,作業重視型のロボットシステムに対しても95%程度の効率で作業が行えることが示された。 -
分散センシングによる農業用ロボットの障害物回避アルゴリズムの開発
研究課題/領域番号:07856026 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
門田 充司
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
農業用ロボットが人間と協調作業を行う状況において、人間に安全であり、かつロボットにとって効率の良い作業が行えるロボットシステムの開発を目的とし、超音波センサ、赤外線センサによる人間検出のセンシングシステムの検討を行った。両センサの指向角や検出距離などの基本特性を把握し、ロボットへの配置方法や検出アルゴリズムなどを検討した。超音波センサに関しては、固定した状態では小さな範囲しか検出できないため、センサをパルスモータで旋回させることで、広範囲の検出範囲を得ることとした。これらをロボットの周囲に4組装着し、連続して180度往復旋回させることで、半径約3m以内に存在する人間の距離を検出できた。また距離データのサンプリング時間とモータの角度から、移動中の人間の位置や移動方向も逐次検出することが可能であった。散布作業を想定した実験においては、超音波センサで対象物と散布ノイズ間の距離を検出し、散布距離を一定に保ちながらマニピュレータを移動させる制御が可能であった。赤外線センサに関しては、指向角が充分広く、移動している人間を広範囲で充分認識できたが、静止した人間の検出が困難であったため、センサの視野を絞り、モータで旋回させる方法を用いた。背景および人間に対するセンサの出力電圧を比較することで、人間の存在する方向を確実に検出することが可能であった。以上のことより、赤外線センサによって人間の存在とその方向を検出し、超音波センサで人間や障害物の距離や移動方向を検出することが可能であるという結果が得られた。今後の課題として、センシングシステムとロボットの制御方法とのインターフェイスの検討が残された。
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遠赤外線による農産物乾燥装置の開発に関する研究
研究課題/領域番号:05556043 1993年 - 1995年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 試験研究(B)
毛利 建太郎, 門田 充司, 近藤 直, 芝野 保徳, 難波 和彦
配分額:6800000円 ( 直接経費:6800000円 )
遠赤外線ヒ-タを用いた汎用の遠赤外線農産物乾燥装置の開発を目的とし、まず、遠赤外線乾燥装置を試作し、試作した乾燥装置の基本的な性能を求めて、汎用化する場合の基礎データを得る。その後いくつかの農産物について遠赤外線による乾燥を試みて遠赤外線乾燥の特徴を明らかにするとともに、遠赤外線による高品質化乾燥法を検討してきた。
遠赤外線で農作物を加熱すると、加熱している農作物(例サツマイモ)の表面温度および内部温度が、加熱を始めて一定時間たつと乾燥室内の空気温度よりも高くなることが明らかになった。これは、通常の熱風による加熱(乾燥)では生じなかった現象である。すなわち、遠赤外線が対象物を構成するの分子の運動を活発化させて、内部からの温度上昇があるからと考えられ、遠赤外線加熱(乾燥)の大きな特徴である。そして、遠赤外線による農産物の乾燥方法を確立するために実験を行った。
(1)籾の乾燥 籾の乾燥はこれまでに試みられているので、乾燥能率の限度について実験した。毎時乾減率は最大17.7%/hとなった。
(2)サツマイモの乾燥 サツマイモは前処理として蒸し、蒸したサツマイモを乾燥した。この場合、6〜9時間で市販されている干しサツマイモの水分になり、乾燥能率の高い乾燥ができた。
(3)シイタケの乾燥 シイタケは予備乾燥期、本乾燥期、後乾燥期および仕上げ期の4段階に分かれ、各段階で最適温度を設定して乾燥される。通常での熱風乾燥で16〜20時間かかるものが遠赤外線で乾燥すると約11時間で目標の水分に達し、乾燥したシイタケは収縮率が小さく、高品質にシイタケの乾燥が仕上がった。
(4)海産物のノリの乾燥 ノリは低い温度で、風を通しながら乾燥することによって艶のあるよいノリに仕上げられる。ここでは遠赤外線で乾燥する場合の乾燥方法が明らかにできた。 -
ブドウ収穫・管理用ロボットの開発に関する研究
研究課題/領域番号:02556033 1990年 - 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 試験研究(B)
芝野 保徳, 門田 充司, 近藤 直, 毛利 建太郎, 伏見 吉正
配分額:5200000円 ( 直接経費:5200000円 )
棚栽培されているブドウの管理・収穫用ロボットの開発を目的とし,まず対象物の3次元位置,摩擦抵抗,切断抵抗等の基礎的物理特性を測定した上で,5自由度極座標型マニピュレータおよび把持,切断,押出の3つの機能を有する収穫用ハンドを試作した。さらに,その収穫用ハンドをマニピュレータ先端に装着し,収穫実験を行った。その結果,ブドウの果房はほぼ水平面上に存在するため,5自由度マニピュレータをCP制御することにより,ほぼ良好に接近可能であり,果房でなく穂軸をフィンガにより把持し,切断する方法で収穫可能であった。次に,視覚センサを開発するため,まずブドウ各部位の分光反射特性を測定し,識別に適した波長の選定を行った。その結果を基にして,識別実験,位置検出実験,さらにマニピュレータおよび収穫用ハンドを用いた収穫基礎実験を行った。その結果,各部位の特徴的な吸収帯に透過率を有する干渉フィルタを用いることにより,異なる色を呈する部位同士はもちろんのこと,同系統の色を呈する部位同士の識別も可能であった。また,視点の移動による位置検出方法を用いた穂軸,果房の検出精度も,収穫作業に対しては,ほぼ満足できるものであった。これに加えて,本ロボットに汎用性をもたせ,ロボットによるブドウ生産システムの効率化を計るため,ハンド部の交換によって作業が可能と考えられる整房,摘粒用ハンドを試作した。そのハンドを用いて基礎実験を行った結果,ほぼ良好な整房,摘粒作業が可能であり,本作業のロボット化の可能性を確認できた。さらには,前述した視覚部および収穫用ハンドを装着したマニピュレータを走行部に搭載し,岡山大学附属農場において,収穫実験を行った。その結果,栽培様式が整っていれば,ほぼ収穫可能であった。今後の課題として,摘粒・整房ハンドの圃場における有効性の確認および走行部の自律走行等が残された。