共同研究・競争的資金等の研究 - 森本 美智子
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CKD患者の病気認知に「腑に落ちる」体験を踏まえた療養行動支援プログラムの構築
研究課題/領域番号:24K13778 2024年04月 - 2028年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
梶原 右揮, 森本 美智子, 田邊 克幸
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
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地域連携教育プログラム構築に向けた看護師の疼痛マネジメントに関する実態と関連因子の解明
2024年04月 - 2025年03月
女性研究者研究費支援助成金事業 文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニ シアティブ(女性リーダー育成型)
Xi M., 平松貴子
担当区分:研究代表者
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COPD患者およびその家族に対する看護師主導の早期緩和ケアモデルの構築
研究課題/領域番号:23K09930 2023年04月 - 2027年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
森本 美智子
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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慢性呼吸器疾患患者における息切れマネジメント力を高める看護ケアの構築
研究課題/領域番号:22H03392 2022年04月 - 2026年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究B 基盤研究(B)
森菊子, 池田由紀, 森本美智子, 上原喜美子, 毛利貴子, 河田照絵
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新たな支援を目指したCKD患者における病気の捉え方と自己管理行動との関係解明
研究課題/領域番号:21K10712 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
梶原 右揮, 森本 美智子
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
本研究はCKD患者の病気の捉え方をIllness Perception Questionnaire-Revised(IPQ-R)で数量的に示し、その特徴を明らかにするとともに、病気の捉え方が自己管理行動にどのように関係しているのかを示すことを目的として行った.
2021年度はCKD患者における病気の捉え方の特徴(クラスター)について検討を行った.CKD患者212名を対象としIPQ-Rの因子構造について確証的因子分析を行い,信頼性係数(Cronbach’s α)を算出した.IPQ-Rの因子は7因子を使用予定だったが先行研究より検討し8因子を用いた.確証的因子分析の結果はCFI=.966-.997,RMSEA=.067-.090,Cronbach’s α=0.52-0.84でありIPQ-Rの因子構造は概ね良好であった.
病気の捉え方の特徴を検討するため,階層的クラスター分析(Ward法),加えて非階層型クラスター分析(k平均法)を行い,3つのクラスターに類別された(クラスター1:N =66,クラスター2:N =63,クラスター3:N =83).病気の捉え方の特徴は,一元配置分散分析,多重比較を行い検討した.クラスター1は病気への捉え(認識)に乖離が生じやすい特徴,クラスター2は病気が生活に重大な影響をもたらすと認識しており,情緒的反応が高い特徴,クラスター3は病気に対してコントロール感を認識している特徴を示した.
類別化された病気の捉え方と自己管理行動の違いの検討には,自己管理行動の測定に日本語版Chronic Kidney Disease Self-Care scaleを使用し(梶原ら,2021),一元配置分散分析,多重比較で検討し,クラスター1とクラスター3で自己管理行動に違いを示した.これらの結果について学会発表を行った.また,論文を執筆し海外ジャーナルへの投稿を行った. -
ウェアラブル機器を用いた低強度運動での運動耐容能の評価
研究課題/領域番号:21K12787 2021年04月 - 2024年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森田 瑞樹, 頼 冠名, 森本 美智子
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
本研究では,医療機関における臨床検査としてではなく,日常生活の中で運動能力(ここでは「運動耐容能」とする)を評価できる方法の確立を目的とする。このための要件として,歩行などの強度の低い運動において運動耐容能が評価できること,医療機器ではなく一般に普及したウェアラブル機器を用いて測定・評価ができることを挙げた。運動耐容能の評価は高強度の運動で行われているが,この結果は運動強度に依存する。そこで,低い強度で運動耐容能を評価するには,①運動強度に依存しない指標を発見して運動耐容能を評価するという,②運動強度や運動の種類を同時に測定・推定して運動耐容能を補正するという,という2つの戦略を考えた。前者によるアプローチを試み,それが困難だと考えられた場合には後者をあらためて検討することとした。
はじめに,運動に伴って計測した生体情報から,運動強度に依存しない運動耐容能の評価指標の作成を検討した。健常者を対象として3つの強度の運動を行ってもらい,経時的に生体情報(脈拍,経皮的動脈血酸素飽和度)を取得した。得られた生体情報から複数の指標を計算し,運動強度によって差があるか確認した。運動は体動の影響を小さくするためにリカンベントバイクを用いて行ったが,対象者によっては測定値のノイズが大きく,指標の計算が安定して行えないと判断した。
次に,様々な行動・運動を生体情報を用いて識別する方法を検討した。健常者に9種類の行動・運動(歩行,走行,階段昇降,座位,立位,仰臥位,着替え,歯磨き,荷物移動)を行ってもらい,腕と腰に装着した機器によって加速度を取得し,このデータから機械学習によって行動の識別を試みた。腕と腰の両方に装着した場合に,6種類の行動を妥当な精度で識別することができた。一方,腕だけに装着した場合には3種類,腰だけに装着した場合には4種類の行動であった。 -
保存期CKD(慢性腎臓病)患者のセルフケア行動に病気認知が及ぼす影響
2019年06月 - 2020年06月
公益財団法人政策医療振興財団
梶原右揮, 森本美智子
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脳卒中右片麻痺者の非利き手による書字練習初期の習熟に対する主観的評価および作業療法士の視点
2019年05月 - 2020年05月
公益財団法人フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団
渡邊真紀,森本美智子
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COPD治療に最適なアロマセラピーを用いた呼吸リハビリテーションの構築
研究課題/領域番号:19K10901 2019年04月 - 2023年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
柴倉 美砂子, 森本 美智子, 篠畑 綾子, 宮原 信明, 飯尾 友愛
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
ヒト単球系細胞THP-1をマクロファージに分化させて、精油と慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬で処理した後に、タバコ抽出液(CSE)で刺激して、炎症性サイトカイン発現、シグナル伝達経路および貪食能を指標として、精油とCOPD治療薬との相乗作用を検討する計画であった。予備実験において、指標として用いるCSE誘導性炎症性サイトカインの発現は、ラベンダー精油とユーカリ精油で抑制されることを明らかにしていたが、再現性を確認した。また、CSE活性化シグナル伝達経路に対する精油の作用を明らかにするために、活性酸素などのストレス刺激によって活性化されるNF-κB、p38 MAPK、JNK経路について検討した。CSE刺激によってNF-κB、p38 MAPK、JNK経路はすべて活性化されるが、精油はJNK経路を抑制することが明らかになった。精油が抑制するCSE誘導性炎症性サイトカインとシグナル伝達経路が判明し、精油の作用を評価する指標が確立できた。また、CSE刺激によってマクロファージの貪食能が低下する傾向は確認できているが、貪食能に対する精油の作用は検討できていない。
次に精油とCOPD治療薬との相乗作用を明らかにするために、まずCOPD治療薬である長時間作用性抗コリン薬(チオトロピウム)単独でのCSE誘導性炎症性サイトカインへの作用を調べたところ、明らかな発現抑制を認めなかった。そこで、COPD治療薬をテオフィリンに変更して同様の実験を行ったところ、高濃度でCSE誘導性炎症性サイトカインの発現抑制傾向が確認できた。しかし、精油とテオフィリンとの相乗作用については、まだ検討できていない。また、ラベンダー精油やユーカリ精油と同じ作用を持つ精油のスクリーニングも検討できていない。 -
慢性呼吸器疾患患者の息切れへの対処を促進する支援プログラムの構築と評価
研究課題/領域番号:18K10311 2018年04月 - 2022年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森本 美智子, 谷本 安
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
令和元(2019)年度は、患者‐配偶者の二者間での対処プロセスを記述することが必要と考え、計画を修正し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者および間質性肺炎(IP)患者とその配偶者に対してジョイント・インタビューと個別インタビューを実施した。研究対象者は、modified MRC 3以上の息切れあり、同状態が6か月以上続いている患者とその配偶者とした。在宅酸素療法を行っている患者‐配偶者9組計18名に対して、データ収集を行い、分析を行っている段階である。
病気や息切れに対する意味理解には、患者と配偶者で異なった見方があるものの、二者間で調整を行って、病気や息切れをもちつつ生活することに対処していた。酸素療法をしながらの生活は、配偶者にとってもストレスな事態になったことが語られ、社会生活・対人関係上の調整対処を必要としたことが示された。積極的関係対処だけでなく、我慢・譲歩的関係対処をしている傾向も示された。また、病気や息切れをもつことで変更が必要となった生活を共通の課題として関心を向ける共感・支持的な対処を用いる二者がいる一方で、無関心で相互に回避的な対処をとっている患者‐配偶者の様相も示された。これらの対処は、配偶者における患者のもつ病気や息切れに対する理解の不足がある可能性が示唆され、配偶者を含めた医療者の支援の必要性が示唆される。さらに詳細に分析をすすめ、評価指標を検討するとともに、行動だけでなく、認知や感情状態に対処するという観点から、家族との関係性を加味した息切れに対する支援プログラムの構築へと繋げていく。 -
息切れのマネジメント力を高めるための看護支援の検討
2015年12月 - 2016年12月
公益財団法人テルモ科学技術振興財団 一般研究開発助成Ⅱ
森菊子, 森本美智子, 長谷佳子, 竹川幸恵, 伊藤史
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慢性呼吸器疾患患者の息切れに対するマネジメント法の実際と支援ニーズの探索
2015年06月 - 2016年06月
公益財団法人政策医療振興財団
河田照絵, 森本美智子, 松本麻里
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COPD合併非小細胞肺がん患者のQOLの維持を目指したサポーティブケアの構築
研究課題/領域番号:15K11623 2015年04月 - 2019年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森本 美智子
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
COPD合併非小細胞肺がんで化学療法を受ける患者の治療開始前から6ヵ月後までのQOLについて調査した結果、非小細胞肺がん患者を対象とした先行研究に比べQOLは低い傾向にあった。息切れの程度の改善、治療の奏功は、非活動時間の短縮につながり、四肢筋肉量の増加に寄与しているものと推察された。一方で、治療開始前に比べて3ヵ月後、6ヵ月後にはサポート人数が減少する傾向にあり、治療を継続していくことは社会・家族面に影響を与えていることが推察された。COPD合併非小細胞肺がん患者に対しては、息切れ等の症状緩和が重要となるが、加えて、家族との関係や体重の維持といった側面への介入が重要と考えられた。
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変形性膝関節症患者のQOL向上を目指したセルフマネジメントプログラムの構築
研究課題/領域番号:24593296 2012年04月 - 2016年03月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
谷村 千華, 森本 美智子, 萩野 浩
配分額:3510000円 ( 直接経費:2700000円 、 間接経費:810000円 )
膝OA患者のセルフケア能力の関連要因を明らかにし,後期高齢者は,前期高齢者と比較してセルフケア能力が高く,男性よりも女性のセルフケア能力が高いことが示された.また,肥満傾向にある対象は自己管理に対する意識が高いことが推察された.患者教育プログラムとセルフマネジメントプログラムに関する文献レビューでは,患者教育を含めた有酸素歩行運動,大腿四頭筋や下肢筋力増強運動は,疼痛を軽減させ,関節可動域やQOLの向上に寄与することが明確になった.インストラクショナルデザインに基づくセルフマネジメントプログラムは,参加者の満足感を促進し,有意に自己効力感を高め,自己管理の継続性を促進する可能性を示唆した.
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慢性閉塞性肺疾患患者のQOLの向上を目指した病期移行過程支援プログラムの構築
研究課題/領域番号:23593232 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森本 美智子, 鰤岡 直人
配分額:5200000円 ( 直接経費:4000000円 、 間接経費:1200000円 )
息切れに対するコントロール感について検討した結果、【無理をしないで活動をセーブする自分をもつ】【仕方ないとあきらめて自分の身体能力を受け止める】【経験を重ねて自分なりの息苦しさを緩和させるコツをつかむ】ことで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は心身のコントロールを図っていた。重症化するにつれて、段階的に活動をセーブし、動けない状態に陥っており、動くきっかけを作る関わりの必要性が示唆された。また、動機づけを行いつつ患者教育を行うことで、通院中の最重症の者であっても療養法への関心を高め、体重改善が可能であることを確認した。更なる検討が必要である。
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慢性閉塞性肺疾患患者における気道感染の 重症化に関連する要因
2009年04月 - 2010年03月
財団法人 木村看護教育振興財団
森本美智子, 前田陽子
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慢性閉塞性肺疾患患者のセルフマネジメント力を高めるための介入方法に関する研究
研究課題/領域番号:19592491 2007年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森本 美智子, 鰤岡 直人, 谷村 千華, 原田 和宏
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
慢性閉塞性肺疾患患者の急性増悪に関連する要因を縦断的に調査した結果、増悪を起こした者は、そうでない者に比べ、観察開始時点の(病気や症状に対する)コントロール可能性・息切れの対応に対する自信が低い状態にあった。肺機能の程度、息切れの程度に違いはなかったことから、身体的機能の状態は同じであっても、自分の状況についてコントロール感を低めている者が増悪を起こしやすいことが示唆された。また、コントロール感を低めている者は、具体的な療養法を行っていない傾向にあり、患者がコントロール感を高められるように、自信をもてるように支援することは、セルフマネジメント力を高めるうえでも増悪を予防するうえでも重要になると考えられた。
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臓器移植患者と家族のスピリチュアリティとスピリチュアリティを支える看護ケアの開発
研究課題/領域番号:17592246 2005年 - 2007年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
林 優子, 成田 常雄, 長谷川 雅美, 吉谷 啓次, 赤澤 千春, 森本 美智子, 宮田 雅子
配分額:3730000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:330000円 )
【目的】臓器移植患者とその家族のスピリチュアリティを明らかにし、スピリチュアリティを支える看護ケアを検討することを目的とする。本研究では、スピリチュアリティを、「その人の生きる力、あるいは力の根源となるもの」とした。
【方法】臓器移植を受けた患者とその家族の個別面接を実施し、人間存在の時間性を基盤にしたハイデガーの現象学を研究の前提にして、その人が世界に対してどのような意味の連関を作り上げ、自己を解釈的に構成しているかを分析した。その結果と文献的考察を踏まえて、スピリチュアリティを支える看護ケアを検討した。
【結果】4事例の分析結果より、臓器移植患者やその家族のスピリチュアリティとして、以下のことが明らかになった。(1)家族との関係、他者(病者、医療者、友人)との関係、自然や神の尊厳たる宇宙との関係、自分との関係(やり残したこと、生きてきた価値、この世に生を受けた証、どう生きたいのか、人として尊重される存在)、死との関係(自己の死の意味、覚悟)などの関係性の中で、その人のスピリチュアリティが引き出されていた。(2)特に、家族との親密なつながりと、医療者との親密なつながりはすべての対象者において共通しており、生きる力を歓喜させていた。(3)スピリチュアリティが引き出されると、癒し、安らぎ、苦しみからの解放、価値の転換となっていた。スピリチュアリティを支える看護は、(1)ともにいること、(2)聴くこと、(3)触れること、(4)祈ることの行為を通して、患者や家族が自分自身のスピリチュアルな問題に自ら取り組んで行けるように、患者や家族と共に進んでいくという共存在になることである。 -
慢性閉塞性肺疾患患者の病気に対する認知と対処法に関する研究
研究課題/領域番号:16592150 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
森本 美智子
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
COPD患者130名から回答を得,107名を分析対象として,まず病気に対する認知と対処法に対する因子の構造について検討した。その結果,病気に対する認知については「息苦しさに対するネガティブ認知」「活動制限に対するネガティブ認知」を,対処(対処行動)については「積極的対応」「自己コントロール」「病気の再解釈」を下位因子とする二次因子モデルが,適合度の高いモデルとして構築された。
次いで,追跡調査(初回調査から12ヵ月後)を行い,病気に対するストレス認知(ネガティブな認知)と精神的健康との相互関係を2時点の反復測定データを用いて検討した。2時点の反復測定データによって,ストレス認知(ネガティブな認知)と精神的な健康度の因果関係を確認し,認知に着目して介入することが精神的健康の維持を図る介入を検討するうえで妥当であることを裏付けた。
さらに,対処(対処行動)をストレス認知(ネガティブな認知)と精神的健康との介在変数として位置づけ,対処の精神的健康に及ぼす効果を検討した。加えて,どのような対処パターンが精神的な健康を維持するのか,ストレス認知と各対処の交互作用を確認することで重症度によって対処の効果に違いはないのかを検討した。その結果,対処を多く用いているほど精神的な健康度が維持されていることが示された。対処パターンの検討からは,精神的健康を維持するには,患者が自信をもっているか(「自己コントロール」)や病気への意味づけはどうか(「病気の再解釈」)に着目して援助する必要性が示唆された。また,交互作用の検討からは,「病気の再解釈」にストレス認知を抑制する効果が示され,精神的な健康の維持を図るための介入として,病気への意味づけに着目し,介入していく必要性が示唆された。以上の結果は,COPD患者の精神的な健康の維持を図るために,ストレス認知(ネガティブな認知)に看護介入できることを示していた。 -
臓器移植患者及び親のスピリチュアリティとスピリチュアリティを支えるための看護ケア
研究課題/領域番号:14657653 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究 萌芽研究
林 優子, 成田 常雄, 吉谷 啓次, 森本 美智子, 森 恵子, 坪井 桂子
配分額:3100000円 ( 直接経費:3100000円 )
本研究は、臓器移植患者の体験からスピリチュアリティを引き出し、スピリチュアリティを支える看護ケアについて検討することである。臓器移植患者に非構造的面接法により印象に残っている出来事や体験について自由に語ってもらった。面接回数は1人2〜4回、1回の面接時間は約1〜2時間であった。データ分析は、人間存在を時間性を基盤にして解釈する立場に立つ解釈学的方法論を用いて分析した。解釈の妥当性は分析結果を研究参加者に確認してもらった。ここでは2事例について報告する。事例1(腎機能獲得と喪失を体験し再透析になった女性):患者は喪失体験による実存的な苦しみに苦悩しているとき、大きな木に出会った。その大木に生命力を感じ、木も自分も同じ「命」を共にする存在であることを知覚し、木が木のために生きているように「自分は自分のために生きればいい」ことに気づいた。その木によってその人のスピリチュアリティは解き放たれ、木が「命」を共にする存在として見いだされた。事例2(心臓移植後にクローン病を再発した男性):患者は心臓移植で与えられた命によって生きる力が喚起された。カテーテル検査、クローン再発、失職などが繰り返されるなかで、ボランティア活動、結婚、仕事探し、就職と前向きに行動していた。生きることを励ます妻や友人や親など他者とのつながりが生きる力を与えていた。他者が「生きる」という目的に向かって共に進む存在として見いだされた。それらの結果から、スピリチュアリティを支えるには、患者と何かを共にする存在が重要であることが明らかになった。臨床の場で病む人間のスピリチュアリティを支える看護ケアには、「何かを共にする存在」としての看護者の存在が必要であると思われる。そのために、看護者は患者の求めている何かを共有できるように、まずは患者の語りをじっくり聴きことであり、そこからケアが始まることが示された。
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腎移植を受けたレシピエントのQOLを高めるための看護援助モデルの開発
研究課題/領域番号:11672374 1999年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
中西 代志子, 金尾 直美, 林 優子, 森本 美智子, 坪井 桂子, 中西 代志子, 金尾 直美
配分額:1600000円 ( 直接経費:1600000円 )
腎移植を受けたレシピエントが移植後の生活に適応し、より積極的な生活を送ることができるように援助することは看護者の重要な役割である。本研究は、腎移植後のレシピエントのQOL向上を目指した看護援助モデルを評価することを目的としている。
看護援助モデルは、身体の状態、自己概念、サポート、不確かさ、対処への働きかけにより、自己概念が改善され、効果的なサポートが認知され、対処能力が高まればQOLが高められることを示すものである。QOLは患者の置かれている状況によって容易に変化する傾向にあるため、QOLを絶えず評価しながら看護援助を継続的に行うことが重要であることも示している。
この患者援助モデルを岡山大学医学部附属病院で腎移植を受け入院中もしくは外来通院中の腎移植患者に適応し、その評価を行った。その結果、身体的な問題への取り組みと共に患者ひとり一人の自己概念や不確かさをアセスメントしながら適切な対応を個々に考慮してケアや教育を効果的に行うことができることが明らかにされた。移植後に生じる患者の対処については、患者が情緒的な対処行動をとっている時は、その対処の仕方を否定することなく肯定的に受け止めることができるようになり、患者が認知的に対処できるような時期を見極めることに効果を示した。
看護援助モデルを用いて看護援助を行うことは、腎移植者の特有な自己概念や不確かさ身体の状態を焦点化でき、患者個々の期待するQOLに導くことで有効なモデルであることが明らかになった。